(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記環状ジオールが、イソソルビド、イソマンニドおよびイソイジド、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールからなる群から選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ポリカーボネートがジアルキルカーボネートをイソソルビドおよび環状ジオールと反応させることによって製造できることは、たとえば文献米国特許出願公開第2010/196 720号明細書から公知であるが、本出願人は、これらの方法によって得られる収率は一般に不十分なものであることを観察した(実施例を参照されたい)。
【0015】
したがって、室温で剛性であるポリカーボネートを製造するための新規ルートを見いだすことが現時点で依然として必要とされている。
【0016】
表現「室温で剛性であるポリカーボネート」とは、本出願人は、50℃以上のガラス転移温度のポリカーボネートを意味する。
【0017】
特に、標準合成法において通常発生するものよりも毒性が少ない化合物を発生させる方法を見いだすことが有利である。
【0018】
この方法は毒性の低い試薬を使用することがまた有利である。
【0019】
その研究の過程で、本出願人は、特定のジアンヒドロヘキシトール誘導体に由来する単位を含むポリカーボネートの新規取得方法であって、前記ポリカーボネートが、同時に上記の問題の少なくとも1つを満足させながら、剛体性を有する方法を開発することに成功した。
【0020】
具体的には、本発明による方法を用いることによって、製造プロセス中にいかなるフェノールをも発生させず、毒性のより少ないアルコールを発生させることが可能である。
【0021】
さらに、本方法はまた、ホスゲンおよびその誘導体などの毒性試薬の使用を省くことを可能にする。
【0022】
この新規方法は、アルキルジカーボネート型のジアンヒドロヘキシトール誘導体と環状ジオールとの間のエステル交換による重縮合反応を含む。
【0023】
こうして形成されたポリカーボネートは、最も厳しい用途などの、あらゆるタイプの用途に使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の一主題はしたがって、
・式:
【化1】
(R1およびR2は、同一のまたは異なるアルキル基である)
のモノマー(A)を、反応器へ、導入する工程(1);
・少なくとも1つの環状ジオールまたは少なくとも20モル%の環状ジオールを含むジオールの混合物(B)を、反応器へ、導入する工程(2);
・モノマー(A)および(B)を含むモノマー混合物のエステル交換による重縮合のその後の工程(3);
・工程(3)において形成されたポリカーボネートを回収する工程(4)
を含む、50℃以上のガラス転移温度のポリカーボネートの製造方法である。
【0025】
意外にも、本出願人は、既に概説された利点を有する、室温で剛性であるポリカーボネートの新規製造方法を何とか見いだした。特に、本方法は、モノマー(A)の代わりにジアンヒドロヘキシトールおよびジアルキルカーボネートを使用して既に記載された方法と比べて向上した収率を得ることを可能にする。
【0026】
(A)が有するアルキル基R1およびR2は、1〜10個、有利には1〜6個、たとえば1〜4個の炭素原子を含んでもよく、最も特にメチルおよびエチル基から選択される。
【0027】
有利には、(B)は、ジオールの総数に対して、少なくとも50モル%、優先的には少なくとも80%の環状ジオールまたは環状ジオールの混合物を含むジオールの混合物であり、最も優先的には環状ジオールまたは環状ジオールの混合物からなる。
【0028】
優先的には、環状ジオールは、
・2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールC)および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(ビスフェノールAD)などのビスフェノール;
・イソソルビド、イソマンニドおよびイソイジドなどのジアンヒドロヘキシトール;
・1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのシクロヘキサンジメタノール;
・トリシクロデカンジメタノール;
・ペンタシクロペンタンジメタノール;
・2,6−デカリンジメタノール、1,5−デカリンジメタノールおよび2,3−デカリンジメタノールなどのデカリンジメタノール;
・2,3−ノルボルナンジメタノールおよび2,5−ノルボルナンジメタノールなどのノルボルナンジメタノール;
・1,3−アダマンタンジメタノールなどのアダマンタンジメタノール;
・1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジオールなどのシクロヘキサンジオール;
・トリシクロデカンジオール;
・ペンタシクロペンタデカンジオール;
・デカリンジオール;
・ノルボルナンジオール;ならびに
・アダマンタンジオール
から選択される。
【0029】
環境ジオールは好ましくは非芳香族である。優先的には、環状ジオールは、イソソルビド、イソマンニドおよびイソイジド、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノール、優先的にはイソソルビドから選択される。
【0030】
有利には、(A)はイソソルビドジアルキルカーボネートである。
【0031】
本発明による方法の変形によれば、それは、式:
【化2】
(R3およびR4は、たとえば、1〜10個、有利には1〜6個、優先的には1〜4個の炭素原子を含む同一のまたは異なるアルキル基であり、かつ最も特にメチルおよびエチル基から選択される)
のモノマー(C)を導入する工程(1’)を含む。
【0032】
導入されるモノマー(A)、(B)および(C)のモル量は有利には、それらの総数に対して、
・1%〜60%、優先的には39%〜59%の(A);
・40%〜60%の(B);および
・0%〜39%、優先的には1%〜10%の(C)
であり、
(A)、(B)および(C)の合計は100%である。
【0033】
優先的には、(A)、(B)および(C)は、反応器へ導入されるモノマーの総量の90モル%超を構成する。
【0034】
本発明は、モノマー(A)、(B)および任意選択的に(C)の特定の混合物を使用する方法に関する。エステル交換縮合のタイプおよび条件は、特に限定されるものではない。
【0035】
しかし、工程(3)は有利には、エステル交換による重縮合のための公知の触媒、有利には少なくとも1つのアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属イオン、第四級アンモニウムイオン、第四級ホスホニウムイオン、環状窒素化合物、塩基性ホウ素ベースの化合物または塩基性リンベースの化合物を含む触媒の存在下で行われる。
【0036】
優先的には、触媒は、炭酸セシウム、トリアゾールまたは水酸化テトラメチルアンモニウム、最も優先的には炭酸セシウムなどの、少なくとも1つのアルカリ金属イオンを含む触媒、環状窒素化合物を含む触媒および第四級アンモニウムイオンを含む触媒から選択される。
【0037】
任意選択の触媒のモル量は、(A)のおよび任意選択の(C)の量に対して、有利には10
−7%〜1%、優先的には10
−4%〜0.5%の範囲である。
【0038】
有利には、本発明による方法の工程(3)は、不活性雰囲気下で、たとえば窒素下で行われる。
【0039】
本発明による方法の工程(3)の少なくとも一部は、100℃〜250℃、優先的には150〜235℃の範囲の温度で行われてもよい。
【0040】
本方法の有利な実施形態によれば、工程(3)の少なくとも一部は、30kPa〜110kPa、有利には50〜105kPa、優先的には90〜105kPaの範囲の圧力で、たとえば大気圧で行われる。
【0041】
具体的には、標準的な方法によれば、エステル交換縮合反応は、満足のいくように行うことができるように、比較的高真空下で、一般に20kPaの最高圧力で形成されなければならない。本発明の方法は、比較的軽い真空下で作動するという利点を有する。
【0042】
工程(4)において回収されたポリカーボネートは有利には、90〜180℃、たとえば110〜170℃の範囲のガラス転移温度を有する。ポリカーボネートは、(A)がイソソルビドジアルキルカーボネートであり、かつ(B)が、少なくとも80%イソソルビドを含むジオール組成物であるときに、このガラス転移温度に達することができる。
【0043】
ポリカーボネートは、1000〜4000MPaの範囲の25℃でのヤング率を有する可能性がある。それは有利には、5000g/モル以上の、優先的には8000〜200 000g/モルの範囲の重量平均モル質量を有する。[発明を実施するための形態]において本明細書で以下に説明されるように、当業者は、とりわけ(B)を適切に選択することによってポリカーボネートのガラス転移温度を変えることができる。
【0044】
本発明はここで、本明細書で以下により詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明によれば、用語「ポリカーボネート」は、カーボネート結合によって連結されるモノマーの反応により形成される繰り返し単位、特に上記の繰り返し単位を含むあらゆるポリマーを意味する。これらの繰り返し単位は、既に提示された(A)と(B)との反応によって形成される。
【0046】
ポリカーボネートは、カーボネート結合によって連結された繰り返し単位のみを含有してもよいし;それはまた、カーボネート結合によって連結された繰り返し単位とカルボン酸エステルまたはウレタン結合などの他の結合によって連結された繰り返し単位とを含有するコポリマーであってもよい。
【0047】
本特許出願においては、用語「モノマー」は、エステル交換縮合反応においてアルコール官能基またはアルキルカーボネート官能基と反応できる少なくとも2つの官能基を含有する化合物を意味する。
【0048】
それらが用語「モノマー」または「二量体」と組み合わせられるとき、数「1」、「2」または「それ以上」は、本特許出願においては、異なる種類のモノマーの数を意味する。例として、用語「モノマー」または「ジオール」が単数形で用いられるとき、これは明らかに、たった1つの分子が導入されるかまたは反応することを意味せず、同じ種類の幾つかの分子が導入されるかまたは反応することを意味する。
【0049】
以前に説明されたように、本発明は、モノマー(A)および(B)の重縮合によるポリカーボネートの製造方法に関する。
【0050】
モノマー(C)がまた、変形によれば導入されてもよい。(C)は、(A)の二量体であってもよい。使用されるジアンヒドロヘキシトールに依存して、1つ以上の立体配置の二量体(C)が得られる可能性がある。
【0051】
(A)は、導入工程(1)中に反応器に入れられる。モノマー(A)は、イソソルビドジアルキルカーボネート、イソマンニドジアルキルカーボネートおよびイソイジドジアルキルカーボネートから選択されてもよい。
【0052】
モノマー(A)は、たとえば、ジアンヒドロヘキシトールジアルキルカーボネートの既に公知の製造方法を用いることによって得られてもよい。
【0053】
たとえば、ジアンヒドロヘキシトールとクロロギ酸アルキルとを反応させることによってモノマー(A)を製造することが可能であり、これらの試薬は1:2のモル割合で反応器へ導入される。このタイプの方法は、たとえば、実施例5において文献特開平6−261774号公報に記載されている。本出願人は、この方法によれば、ジアンヒドロヘキシトールジアルキルカーボネートのみが形成され、二量体はまったく形成されないことを観察した。
【0054】
モノマー(C)は、たとえば、第1工程で1モルのジアンヒドロヘキシトールを、ジアンヒドロヘキシトールモノアルキルカーボネートを形成するように1モルのクロロギ酸アルキルと反応させ、次に第2工程で1モルのホスゲンを、2モルの第1工程で形成されたジアンヒドロヘキシトールモノアルキルカーボネートと反応させることによって製造することができる。
【0055】
モノマー(A)および(C)を製造するための一可能性は、それらの同時合成を可能にする方法を用いることである。具体的には、本出願人はまた、そのような混合物の製造方法を開発した。この方法は、国際特許出願PCT/FR2010/052066号明細書に詳細に記載されている。
【0056】
この製造方法は、次の順で、次の工程:
(a)− 少なくとも1つのジアンヒドロヘキシトール、
− 存在するジアンヒドロヘキシトールの量に対して、少なくとも2モル当量の少なくとも1つのジアルキルカーボネート、および
− エステル交換触媒、たとえば炭酸カリウム
を含有する初期反応混合物の調製、
(b)反応混合物を、得られたアルコール、またはそれが反応混合物中に存在する別の成分と形成する共沸混合物を反応混合物から分離するのに十分である数の理論蒸留プレートを含む精留塔を備えた反応器中で、エステル交換反応によって形成されたアルコールR−OHの沸点以上、または得られたアルコールR−OHと反応混合物中に存在する別の成分とによって形成される共沸混合物の沸点以上、および高くても反応混合物の沸点に等しい温度に加熱する工程
を含む。
【0057】
本方法の終わりに得られた溶液は、ジアルキルカーボネートとともにモノマー(A)と(C)との混合物を含む。蒸留が行われ、ジアルキルカーボネートを含まない(A)と(C)との混合物が回収される。
【0058】
比(A)/(C)は、初期反応混合物を修正することによって変えることができ:この混合物は有利には、反応混合物中に最初に存在するジアンヒドロヘキシトールの量に対して、2.1〜100モル当量、好ましくは5〜60モル当量、特に10〜40当量のジアルキルカーボネートを含有する。ジアルキルカーボネートの量が高ければ高いほど、得られたモノマーの溶液中の比(A)/(C)は高くなる。
【0059】
たとえば、本出願人は、上記の方法の条件下に炭酸カリウムの存在下でイソソルビドとジメチルカーボネートとを反応させることによって、約4(ジアルキルカーボネート/イソソルビド比が10であるとき)〜約20(ジアルキルカーボネート/イソソルビド比が40であるとき)の範囲の比(A)/(C)で(A)および(C)を含むモノマーの溶液を得ることができることを見いだした。
【0060】
モノマー(A)および(C)は、たとえばスクラップドフィルムエバポレーターを用いる、真空蒸留技法によって分離することができる。
【0061】
(A)および(C)のこの同時合成方法は、たとえば、文献特開平6−261774号公報に記載されている方法に使用されるクロロギ酸アルキルよりも毒性が少ない試薬を使用するという利点を有し;合成副産物(アルキルがメチルである場合にはメタノール、アルキルがエチルである場合にはエタノール)はまたクロロギ酸エステルを使った合成中に放出される塩素化化学種よりも毒性が少ない。
【0062】
モノマー(B)に関しては、それは、環状ジオール、環状ジオールの混合物または少なくとも20モル%の環状ジオールを含むジオールの混合物である。
【0063】
環状ジオールは、1つ以上の環、たとえば2〜4つの環、優先的には2つの環を含んでもよい。各環は優先的には4〜10の原子を含む。環中に含まれる原子は、炭素、酸素、窒素および硫黄から選択されてもよい。優先的には、環の構成原子は、炭素または炭素および酸素である。
【0064】
環状ジオールは、芳香族であっても非芳香族であってもよい。
【0065】
芳香族ジオールは優先的には、6〜24個の炭素原子を含む。
【0066】
非芳香族環状ジオールは、4〜24個の炭素原子、有利には6〜20個の炭素原子を含んでもよい。
【0067】
(B)が、少なくとも20モル%の環状ジオールを含むジオールの混合物である変形によれば、環状ジオールと一緒に、線状もしくは分岐のアルキルジオールなどの非環状ジオールを使用することが可能である。この非環状ジオールは、2〜10個の炭素原子、たとえばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオールまたは1,10−デカンジオールを含んでもよい。
【0068】
本発明の方法によれば、(A)、(B)および任意選択的に(C)以外のモノマーを導入することが可能である。たとえば、3つ以上のアルコールまたはアルキルカーボネート官能基を含むモノマーを導入することが可能である。カルボン酸、カルボン酸エステルおよびアミン官能基またはこれらの官能基の混合物から選択される幾つかの官能基を含むモノマーを導入することもまた可能である。ジアンヒドロヘキシトールモノアルキルカーボネートなどの他のモノマー、および3以上の重合度の(A)のオリゴマーを導入することもまた可能である。
【0069】
他の生成物、またはあるいは(A)もしくは(C)の合成副産物であってもよい、ジアンヒドロヘキシトールジアルキルエーテル、ジアンヒドロヘキシトールモノアルキルエーテルまたはジアンヒドロヘキシトールモノアルキルエーテルモノアルキルカーボネートなどの他の生成物を導入することもまた可能である。アルコールまたはカーボネート官能基と反応できるたった一つの官能基を含む化合物である、連鎖停止剤を導入することもまた可能である。
【0070】
しかし、反応器へ導入されるモノマーの総量に関して、(A)、(B)および(C)の合計が、導入されるモノマーの総量の90モル%超、有利には95モル%超、またはさらに99モル%超を構成することが好ましい。最も優先的には、反応器に導入されるモノマーは、本質的にモノマー(A)、(B)および(C)からなる。明らかに、導入されるジアリールカーボネートのおよびハロゲン化モノマーの量を、たとえば、導入されるモノマーの総モル数の5%未満の量に制限することが好ましい。特に好ましい実施形態においては、ジアリールカーボネートおよびハロゲン化モノマーから選択されたモノマーはまったく導入されない。
【0071】
導入工程(1)、(2)および任意選択的に(1’)の順番は重要ではない。工程(1)は、工程(2)の前に行われてもよいし、逆もまた同様である。これらの2つの工程を同時に行うこともまた可能である。
【0072】
一変形によれば、モノマー(A)、(B)および任意選択的に(C)のプレミックスが、それらを反応器へ導入する前に調製される。任意選択のモノマー(C)が本方法に使用されるときには、それは、(A)との混合物として導入されてもよい。この混合物はたとえば、国際特許出願PCT/FR2010/052066号明細書に記載されている合成方法に従って直接作られてもよい。
【0073】
モノマーの混合物が導入される場合には、これらのモノマーのそれぞれの量は、クロマトグラフ法、たとえばガスクロマトグラフィー(GC)によって測定することができる。
【0074】
たとえば、混合物の(A)および(C)の量を測定するために、構成物質のそれぞれの量は、トリメチルシリル誘導体の形態で分析を行うことによってGCで測定されてもよい。
【0075】
試料は、次の方法に従って調製されてもよい:500mgの試料および既知純度の50mgのグルコースペンタアセテート(内部標準)がビーカー中に量り取られる。50mlのピリジンが加えられ、混合物は、溶解が完了するまで攪拌される。1mlが坩堝に採取され、0.5mlのビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミドが加えられ、混合物は次に70℃で40分間加熱される。
【0076】
クロマトグラムを生成するために、
− 0.25μmのフィルム厚さの30m長さおよび直径0.32mmのカラムDB1、
− ガラスウールのフォーカスライナーを備えた、30のスプリット比を用いる300℃に加熱される1177型の注入器(ヘリウム流量は1.7ml/分である)、
− 10
−11の感度に設定された、300℃の温度に加熱されるFID検出器
を備えた、VARIAN 3800クロマトグラフが用いられてもよい。
【0077】
1.2μlの試料が、クロマトグラフへ、スプリットモードで、導入されてもよく、カラムは、7℃/分のランプで100℃から320℃まで加熱され、次に320℃で15分の段階で加熱される。これらの分析条件下に、(A)がイソソルビドジメチルカーボネートであり、(C)が(A)の二量体であるとき、(A)は、約0.74の相対保持時間を有し、(C)は、約1.34〜1.79の範囲の相対保持時間を有し、内部標準は約15.5分の保持時間を有する。
【0078】
クロマトグラムを用いて、構成物質のそれぞれの質量百分率は、相当するピークの面積を測定することによって、そして各構成物質について、それに相当するピークの面積対(内部標準についてのピークを除いて)ピークのすべての総面積の比を計算することによって計算することができる。
【0079】
本発明の方法によるポリカーボネートの形成を可能にするために、モノマー(A)は、モノマー(B)および任意選択的に(C)とエステル交換反応によって反応し、この反応は反応器で行われる。この反応は、触媒の不在下で行われてもよい。しかし、好適な触媒の存在は、反応を加速させることおよび/または工程(3)においてこうして形成されるポリカーボネートの重合度を増加させることを可能にする。
【0080】
工程(3)に任意選択的に使用されるエステル交換触媒に関しては、それは、少なくとも1つのアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属イオン、第四級アンモニウムイオン、第四級ホスホニウムイオン、環状窒素化合物、塩基性ホウ素ベースの化合物または塩基性リンベースの化合物を含む触媒であってもよい。
【0081】
少なくとも1つのアルカリ金属イオンを含む触媒の例としては、セシウム、リチウム、カリウムまたはナトリウム塩が挙げられてもよい。これらの塩は特に、炭酸塩、水酸化物、酢酸塩、ステアリン酸塩、ホウ化水素塩、ホウ化物、リン酸塩、アルコキシドまたはフェノキシド、およびまたそれらの誘導体であってもよい。
【0082】
少なくとも1つのアルカリ土類金属イオンを含む触媒としては、カルシウム、バリウム、マグネシウムまたはストロンチウム塩が挙げられてもよい。これらの塩は特に、炭酸塩、水酸化物、酢酸塩またはステアリン酸塩、およびまたそれらの誘導体であってもよい。
【0083】
塩基性ホウ素ベースの化合物に関しては、それらは優先的には、テトラフェニルホウ素などのアルキルまたはフェニルホウ素化合物の塩である。
【0084】
塩基性リンベースの化合物を含む触媒は、ホスフィンであってもよい。
【0085】
第四級アンモニウムイオンを含む触媒は優先的には、水酸化テトラメチルアンモニウムなどの水酸化物である。
【0086】
環状窒素化合物を含む触媒は優先的には、トリアゾール、テトラゾール、ピロール、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、ピコリン、ピペリジン、ピリジン、アミノキノリンまたはイミダゾール誘導体である。
【0087】
(A)および任意選択的に(C)の量に対して、触媒のモル量は有利には、10
−7%〜1%、優先的には10
−4%〜0.5%の範囲である。その量は、使用される触媒の関数として調整されてもよい。例として、少なくとも1つのアルカリ金属イオンを含む10
−3%〜10
−1%の触媒が優先的に使用される。
【0088】
安定剤などの添加剤が任意選択的に、モノマー(A)、(B)、(C)に添加されてもよい。
【0089】
安定剤は、たとえば、トリアルキルホスフェートなどのリン酸をベースとする、ホスファイトなどの亜リン酸をベースとする化合物もしくはホスフェート誘導体、またはこれらの酸の塩、たとえば、亜鉛塩であってもよく;この安定剤は、その製造中にポリマーの着色を制限することを可能にする。その使用は、重縮合が溶融体で行われるときに特に有利である可能性がある。しかし、安定剤の量は一般に、モノマー(A)、(B)および(C)の総モル数の0.01%未満である。
【0090】
本発明によるポリカーボネート製造方法においては、モノマー(A)、(B)および任意選択の(C)の重縮合の工程は、工程(3)中に行われる。重合のタイプおよび条件は特に制限されない。
【0091】
この反応は、溶融体で、すなわち、溶媒の不在下で反応媒体を加熱することによって行われてもよい。この重合はまた、溶媒の存在下で行われてもよい。この反応は好ましくは溶融体で行われる。
【0092】
この工程(3)は、ポリカーボネートを得るのに十分な時間行われる。有利には、工程(3)の継続時間は、1時間〜24時間、たとえば2〜12時間の範囲である。優先的には、反応器は、100℃〜250℃、優先的には150℃〜235℃の範囲の温度に工程(3)の間ずっと熱調節される。
【0093】
工程(3)のすべてを等温で行うことが可能である。しかし、温度段階でか、温度ランプを用いることによってかのどちらかで、温度をこの工程中に上げることが一般に好ましい。工程(3)中のこの温度上昇は、エステル交換による重縮合反応の進行度を向上させること、したがって得られる最終ポリカーボネートのモル質量を増加させることを可能にし、前記ポリカーボネートはさらに、本方法の工程(3)のすべてがその最高温度で行われるときよりも弱い着色を有する。
【0094】
言うまでもなく、工程(3)を不活性雰囲気下、たとえば窒素下で行うことが好ましい。
【0095】
エステル交換縮合反応中にフェノールを発生させる標準的方法を用いると、このフェノールを反応媒体から除去できるために、全体反応を真空下で行うことが必要である。本発明による方法中に発生したアルコールを除去するために、発生したアルコールがフェノールよりも容易に留去できるので、反応器中の真空は必要ではない。
【0096】
本発明による方法はこのように、エステル交換による重縮合の工程が必ずしも高真空下で行われないという利点を有する。こうして、本発明の方法の変形によれば、工程(3)の少なくとも一部は、30kPa〜110kPa、有利には50〜105kPa、優先的には90〜105kPaの範囲の圧力で、たとえば大気圧で行われる。優先的には、工程(3)の全継続時間の少なくとも半分はこの圧力で行われる。
【0097】
しかし、工程(3)は全面的にまたは部分的に、わずかに高い真空下で、たとえば100Pa〜20kPaの反応器内の圧力で行われてもよい。明らかに、この真空は、反応器内の温度および重合度に従って調整され:過度に低い圧力および過度に高い温度の場合には、重合度が低いときに、モノマーが蒸留によって反応器から抜き出されるので反応は正しく進行することができない。残留化学種の幾らかを除去することをさらに可能にする、わずかに高い真空下でのこの工程は、反応の終わりに行われてもよい。
【0098】
例として、本方法は、次の異なる一連の工程:
− 大気圧での170℃で2時間30分の第1工程;
− 大気圧での200℃で1時間の第2工程;
− 大気圧での220℃で1時間の第3工程;
− 大気圧での235℃で1時間の第4工程;
− 約300Paの圧力での235℃で1時間の第5工程
を実施することによって行われてもよい。
【0099】
反応器は一般に、エステル交換による重縮合反応中に発生したアルコールを除去するための手段、たとえば凝縮器に連結された蒸留ヘッドを備えている。
【0100】
反応器は一般に、櫂付き攪拌システムなどの攪拌手段を備えている。
【0101】
モノマー(A)および(B)は、工程(3)中にランダムに共に反応する。モノマー(B)の単独導入が行われるとき、ポリマー中のジオール(B)のランダム分布のポリカーボネートがこうして得られる。しかし、縮合エステル交換工程(3)を開始した後に、モノマー(B)の導入の1つ以上の追加工程を行うことが可能である。
【0102】
本方法は、回分法で、連続法で、または半連続半回分法で行われてもよい。
【0103】
工程(4)において本プロセス中に形成されたポリカーボネートが回収される。このポリカーボネートは、造粒機を用いて顆粒の形態に、または任意の他の形態に直接変換されてもよい。このように得られたポリマーの精製を工程(4)の後の工程で、たとえばポリマーをクロロホルムなどの溶媒に溶解させ、次にメタノールなどの非溶媒を加えることによる沈澱によって行うこともまた可能である。
【0104】
形成されたポリカーボネートのガラス転移温度は50℃以上である。ポリカーボネートのガラス転移温度は、プロセス中の合成条件を選択することによって調整することができる。本出願人はこうして、実質的に1に等しいモノマー(A)/(B)のモル比を選択することによって、最高のガラス転移温度を有するポリカーボネートを得ることが可能であることを観察した。条件が等モル濃度(A/B=1)から逸脱するとき、ガラス転移温度は低下する。ガラス転移温度はまた、モノマー(B)の種類で非常に著しく変わる。具体的には、実質的に高い温度を有するポリカーボネートを得ることが望ましい場合には、線状ジオールよりもむしろ環状ジオールを、少なくとも部分的に、使用することが好ましい。
【0105】
ガラス転移温度は、示差熱量分析によって測定されてもよい。たとえば、アルミニウム坩堝を備えた、インジウムで温度および熱流束の点で校正される(たとえばref.119441)、Mettler DSC 30型機械が用いられる。約15mgの試料が穴あきアルミニウム坩堝に量り取られる。この方法は、次の方法で行われてもよい:
坩堝が、25℃の温度で、窒素の流れ下にオーブンに入れられる。
急冷ランプが、25℃から−100℃まで適用される。
10℃/分での加熱ランプが、−100℃から200℃まで適用される。
新たな急冷ランプが、200℃から−100℃まで適用される。
第2加熱ランプが、10℃/分で−100℃から200℃まで適用される。
ガラス転移温度が、3正接法に従って、中点の温度で与えられる。
【0106】
本発明の方法により、40%以上、有利には50%超、好ましくは55%超の、回収されたポリカーボネートの質量対使用されたモノマーの合計の質量の比で定義される、質量収率を得ることが可能である。
【0107】
実施形態はここで、以下の実施例で詳述される。これらの例示的な例は本発明の範囲を決して限定しないことが指摘される。
【実施例】
【0108】
モノマーの製造
本発明によるポリカーボネート製造方法に有用である、イソソルビドジメチルカーボネート(モノマーA)およびイソソルビドジメチルカーボネート二量体(モノマーC)は、下記の手順に従って得られる。
【0109】
合成1
800gのイソソルビド(5.47モル)および次に9862gのジメチルカーボネート(=20当量のジメチルカーボネート)ならびに2266gの炭酸カリウムを、櫂付き機械攪拌システム、反応媒体の温度を制御するためのシステムおよび還流ヘッド上に取り付けられた精留塔を備えた、20リットル反応器へ導入し、熱交換流体を使ってサーモスタットで維持される浴によって加熱する。反応混合物を全還流で1時間加熱し、その時点後に塔ヘッド蒸気の温度は、形成されたメタノールの除去を開始する前に、64℃に達する。反応媒体の加熱を次に、68℃〜75℃の温度で13時間維持し、その時点後に塔ヘッド蒸気の温度は90℃に達し、この温度(ジメチルカーボネートの沸点)で安定する。これは、エステル交換反応が完了していること、およびもはやメタノールが形成されていないことの証拠である。反応媒体を、それから懸濁液中の炭酸カリウムを除去するために濾過する。過剰のジメチルカーボネートを留去した後、91.5%のイソソルビドジメチルカーボネート(IDMC)および8.5%の二量体を含有する白色固体が回収され、これらの百分率はGCによって測定される。この固体は未反応イソソルビドを含まない。
【0110】
合成2
合成1を繰り返すが、唯一の差異は、10当量のジメチルカーボネートを使用することである。過剰のジメチルカーボネートを留去した後、79%のイソソルビドジメチルカーボネート(IDMC)および21%の二量体を含有する、白色固体が回収され、これらの百分率はGCによって測定される。この固体は未反応イソソルビドを含まない。
【0111】
合成3
合成1において得られた生成物の一部を、「ショートパッチ」形状のスクラップドフィルムエバポレーターで高真空下(1ミリバール未満)で蒸留する。このエバポレーターを140℃に加熱し、生成物を140g/時の流量で70℃で導入する。
【0112】
得られた留出物は、100重量%のイソソルビドジメチルカーボネートを含有する、いかなる微量の二量体をも含有しない白色固体である。
【0113】
ポリカーボネートの製造
実施例1
42.5g(0.162モル)のイソソルビドジメチルカーボネート(A)、23.7g(0.162モル)のイソソルビド(B)、すなわち、1/1の(A)/(B)モル比、および0.0112g(1.62×10
−4モル)の1,2,4−トリアゾールを100ml反応器に入れ、櫂付き機械攪拌システム、反応媒体、窒素注入管、凝縮器におよび凝縮物を受け入れるための容器に連結された蒸留ヘッド、ならびに被調節真空系の温度を制御するためのシステムを備えた、熱交換流体を使ってサーモスタットで維持される浴で加熱する。この装置を窒素の雰囲気下に置き、反応媒体を、熱交換流体を用いて加熱する。温度を、170℃で2時間30分、200℃で1時間、220℃で1時間および235℃で1時間の段階で徐々に上げる。各段階間の温度上昇は30分にわたって行われる。反応の課程で、メタノールの蒸留が観察される。235℃段階の終わりに、蒸留を続行するためにおよび残留低分子量化学種を除去するために、温度を235℃に維持しながら、装置を1時間真空(300パスカルよりも下の残留圧力)下に置く。反応媒体を冷却した後に、90℃のガラス転移温度のポリマーが得られる。
【0114】
操作条件は下の表1に並べられる。
【0115】
実施例2
実施例1を繰り返すが、唯一の差異は、1/1の((A)+(C))/(B)モル比を保って、イソソルビドジメチルカーボネート(A)が21重量%の二量体(C)を含有することである。
【0116】
120℃のガラス転移温度のポリマーが得られる。
【0117】
操作条件は下の表1に並べられる。
【0118】
実施例3
実施例2を繰り返すが、唯一の差異は、1/1の((A)+(C))/(B)モル比を保ちながら、イソソルビドをイソイジドで置き換えることである。
【0119】
85℃のガラス転移温度のポリマーが得られる。
【0120】
操作条件は下の表1に並べられる。
【0121】
実施例4
実施例2を繰り返すが、唯一の差異は、1/1の((A)+(C))/(B)モル比を保ちながら、イソソルビドをイソマンニドで置き換えることである。
【0122】
93℃のガラス転移温度のポリマーが得られる。
【0123】
操作条件は下の表1に並べられる。
【0124】
実施例5
実施例2を繰り返すが、唯一の差異は、1/1の((A)+(C))/(B)モル比を保ちながら、イソソルビドを1,4−シクロヘキサンジメタノール(1,4 CHDM)で置き換えることである。
【0125】
51℃のガラス転移温度のポリマーが得られる。
【0126】
操作条件は下の表1に並べられる。
【0127】
実施例6(比較)
実施例2を繰り返すが、唯一の差異は、1/1の((A)+(C))/(B)モル比を保ちながら、イソソルビドをトリエチレングリコールで置き換えることである。
【0128】
−1℃のガラス転移温度のポリマーが得られる。
【0129】
操作条件は下の表1に並べられる。
【0130】
実施例7(比較)
実施例2を繰り返すが、唯一の差異は、1/1の((A)+(C))/(B)モル比を保ちながら、イソソルビドをエチレングリコールで置き換えることである。
【0131】
20.5℃のガラス転移温度のポリマーが得られる。
【0132】
操作条件は下の表1に並べられる。
【0133】
【表1】
【0134】
実施例8(比較)
91.5重量%のイソソルビドジメチルカーボネート(A)と8.5重量%の二量体(C)との93.0g(0.343モル)の混合物、21.2g(0.342モル)のエチレングリコール(B)、すなわち、1/1の((A)+(C))/(B)モル比、および0.0067g(2.05×10
−5モル)の炭酸セシウム、すなわち、(A)+(C)に対して0.006モル%を、実施例1に用いられたものと同一の反応器に入れる。この装置を窒素雰囲気下に置き、反応媒体を、熱交換流体によって加熱する。温度を、170℃で2時間30分、200℃で1時間、220℃で1時間および235℃で1時間の段階で徐々に上げる。各段階間の温度上昇は30分にわたって行われる。反応の課程で、メタノールの蒸留が観察される。235℃段階の終わりに、蒸留を続行するためにおよび残留低分子量化学種を除去するために、温度を235℃に維持しながら、装置を1時間真空(300パスカルよりも下の残留圧力)下に置く。反応媒体を冷却した後に、31.5℃のガラス転移温度のポリマーが得られる。
【0135】
操作条件は下の表2に並べられる。
【0136】
実施例9
実施例8を繰り返すが、唯一の差異は、1/1の((A)+(C))/(B)モル比を保ちながら、エチレングリコールを、エチレングリコール/イソソルビドの80/20モル混合物で置き換えることである。
【0137】
50℃のガラス転移温度のポリマーが得られる。
【0138】
操作条件は下の表2に並べられる。
【0139】
実施例10
実施例8を繰り返すが、唯一の差異は、1/1の((A)+(C))/(B)モル比を保ちながら、エチレングリコールを、エチレングリコール/イソソルビドの50/50モル混合物で置き換えることである。
【0140】
76.5℃のガラス転移温度のポリマーが得られる。
【0141】
操作条件は下の表2に並べられる。
【0142】
実施例11
実施例8を繰り返すが、唯一の差異は、1/1の((A)+(C))/(B)モル比を保ちながら、エチレングリコールを、エチレングリコール/イソソルビドの20/80モル混合物で置き換えることである。
【0143】
112.5℃のガラス転移温度のポリマーが得られる。
【0144】
操作条件は下の表2に並べられる。
【0145】
実施例12
実施例8を繰り返すが、唯一の差異は、1/1の((A)+(C))/(B)モル比を保ちながら、エチレングリコールをイソソルビドで置き換えることである。
【0146】
145℃のガラス転移温度のポリマーが得られる。
【0147】
操作条件は下の表2および3に並べられる。
【0148】
実施例13
実施例8を繰り返すが、唯一の差異は、1/1の((A)+(C))/(B)モル比を保ちながら、エチレングリコールを1,4−CHDMで置き換えることである。
【0149】
68℃のガラス転移温度のポリマーが得られる。
【0150】
操作条件は下の表2に並べられる。
【0151】
【表2】
【0152】
実施例14
実施例12を繰り返すが、唯一の差異は、1/1の((A)+(C))/(B)モル比を維持しながら、1,2,4−トリアゾールを、(A)+(C)に対して0.1モル%の割合で、触媒として使用することである。
【0153】
130℃のガラス転移温度のポリマーが得られる。
【0154】
操作条件は下の表3に並べられる。
【0155】
実施例15
実施例12を繰り返すが、唯一の差異は、1/1の((A)+(C))/(B)モル比を維持しながら、水酸化テトラメチルアンモニウム(イソソルビドジメチルカーボネートに対して0.1モル%)を触媒として使用することである。
【0156】
115℃のガラス転移温度のポリマーが得られる。
【0157】
操作条件は下の表3に並べられる。
【0158】
実施例16
実施例12を繰り返すが、唯一の差異は、0.8/1の((A)+(C))/(B)モル比を用いることである。
【0159】
125℃のガラス転移温度のポリマーが得られる。
【0160】
操作条件は下の表3に並べられる。
【0161】
実施例17
実施例12を繰り返すが、唯一の差異は、1.25/1の((A)+(C))/(B)モル比を用いることである。
【0162】
140℃のガラス転移温度のポリマーが得られる。
【0163】
操作条件は下の表3に並べられる。
【0164】
実施例18
実施例17を繰り返すが、唯一の差異は、1.25/1の((A)+(C))/(B)モル比を保ちながら、0.004%のモル百分率の触媒を導入することである。
【0165】
134℃のガラス転移温度のポリマーが得られる。
【0166】
操作条件は下の表3に並べられる。
【0167】
実施例19
実施例17を繰り返すが、唯一の差異は、1.25/1の((A)+(C))/(B)モル比を保ちながら、0.002%のモル百分率の触媒を導入することである。
【0168】
127℃のガラス転移温度のポリマーが得られる。
【0169】
操作条件は下の表3に並べられる。
【0170】
【表3】
【0171】
等モル比のAおよびBを使用した、実施例12のポリカーボネートのガラス転移温度は、それぞれ、0.8および1.25に等しい(A)/(B)比を使用した、実施例16および17のそれらよりも高いことが分かる。
【0172】
ガラス転移温度は触媒の量とともに全体的に上昇することがまた分かる。
【0173】
実施例20
71.6g(0.796モル)のジメチルカーボネート(DMC)、113.5g(0.777モル)のイソソルビド(B)、すなわち、1.024/1のDMC/イソソルビドモル比、および0.015g(4.6×10
−5モル)の炭酸セシウム(すなわち、イソソルビドに対して0.006モル%)を、実施例1に用いられたものと同一の反応器に入れる。この装置を窒素雰囲気下に置き、反応媒体を熱交換流体によって加熱する。温度を、80℃で1時間、170℃で2時間30分、200℃で1時間および235℃で1時間の段階で徐々に上げる。各段階間の温度上昇は30分にわたって行われる。反応の過程で、メタノールの蒸留が観察される。235℃段階の終わりに、蒸留を続行するためにおよび残留低分子量化学種を除去するために、温度を235℃に維持しながら、装置を30分間真空(300パスカルよりも下の残留圧力)下に置く。反応媒体を冷却した後に、116.5℃のガラス転移温度のポリマーが得られる。
【0174】
この合成について得られた質量収率は17%である。
【0175】
操作条件は下の表4に並べられる。
【0176】
実施例21
実施例20を繰り返すが、唯一の差異は、1.025/1のDMC/(イソソルビド+CHDM)モル比を保ちながら、イソソルビドを、1,4 CHDM/イソソルビドの50/50モル混合物(B)で置き換えることである。−28℃のガラス転移温度のポリマーが得られる。
【0177】
この合成について得られた質量収率は15%である。
【0178】
実施例22
実施例20を繰り返すが、唯一の差異は、80℃で1時間の段階を80℃で3時間の段階で置き換えることである。70.5℃のガラス転移温度のポリマーが得られる。
【0179】
この合成について得られた質量収率は18.5%である。
【0180】
【表4】
【0181】
試験20は、ジアンヒドロヘキシトールとジアルキルカーボネートとを反応させることによるポリカーボネートの取得方法を用いることによって、高いガラス転移温度のポリカーボネートを得ることができることを示す。しかし、この方法での収率は非常に低く、工業的プロセスにおいて使用するには非常にコストがかかる。
【0182】
ポリマーの製造時間を増やしたとしても、この収率を満足のいくように増加させることは不可能である。試験22は、この時間増加が、得られるポリカーボネートのガラス転移温度に悪影響を及ぼすことをさえ示す。
【0183】
さらに、CHDMなどのジアンヒドロヘキシトール以外の追加の環状ジオールが使用されるときに、形成されるポリカーボネートは、非常に低いガラス転移温度をすべての場合に有する。
【0184】
実施例23
67g(0.256モル)のイソソルビドジメチルカーボネート(A)、36.9g(0.256モル)の1,4 CHDM(B)、すなわち、1/1の(A)/(B)モル比、および0.0050g(1.53×10
−5モル)の炭酸セシウム、すなわち、(B)に対して0.006モル%を、実施例1に用いられたものと同一の反応器に入れる。この装置を窒素雰囲気下に置き、反応媒体を熱交換流体によって加熱する。温度を、80℃で1時間、170℃で2時間30分、200℃で1時間および235℃で1時間の段階で徐々に上げる。各段階間の温度上昇は30分にわたって行われる。反応の課程で、メタノールの蒸留が観察される。235℃段階の終わりに、蒸留を続行するためにおよび残留低分子量化学種を除去するために、温度を235℃に維持しながら、装置を1時間真空(300パスカルよりも下の残留圧力)下に置く。反応媒体を冷却した後に、61.0℃のガラス転移温度のポリマーが得られる。
【0185】
この合成について得られた質量収率は64%である。
【0186】
操作条件は下の表5に並べられる。
【0187】
実施例24
実施例23を繰り返すが、唯一の差異は、1.025/1のA/Bモル比を保ちながら、1,4 CHDMをイソソルビド(B)で置き換えることである。119℃のガラス転移温度のポリマーが得られる。
【0188】
この合成について得られた質量収率は59%である。
【0189】
【表5】
【0190】
これらの試験は、本発明による方法を用いて、高いガラス転移温度のポリカーボネートが、ジアンヒドロヘキシトールジアルキルカーボネートの代わりにジアルキルカーボネートおよびジアンヒドロヘキシトールを使用する方法を用いることによって、優れた重縮合収率を同時に得ながら、得られ得ることを示す。
【0191】
同じ重縮合条件を用いて、これらの試験は、収率がこの方法で3倍にまたは4倍さえにされ得る(試験20についての17%の代わりに試験24についての59%、および試験21についての15%の代わりに試験23についての64%)ことを示す。
【0192】
さらに、得られたポリマーのガラス転移温度はより高い。これは、ジアンヒドロヘキシトールに加えて追加のジオールを使用するポリカーボネートについて特に注目に値する(−28℃の代わりに61℃)。