(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
タキサンファミリーが有望な抗腫瘍活性を有することを鑑みれば、癌の治療に用いるための新規かつ改善されたタキサン類似体および誘導体を研究することが望ましい。一の特に重要な領域はMDRの反転特性が改善されている薬物を開発することである。したがって、癌の治療に用いるための生物活性が改善されている新たなタキサン化合物を提供する必要性がある。また、かかる化合物を形成する方法の提供についても要求もある。最後に、癌の治療計画にてかかる化合物を用いて患者を治療する方法についても要求がある。本発明はこれらの要求を満たすことを対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一の実施態様にて、本願は、チューブリンとの結合に親和性を有し、タウ、MAP1、MAP2およびMAP4などの、チューブリンと結合する蛋白の機能不全と関連付けられる、癌および他の病態の治療における強力な薬物である、化合物を記載する。
【0008】
本願の実施態様および態様:
以下の実施態様、態様およびその変形は例示および説明であって、範囲を限定することを意図とするものではない。
【0009】
一の実施態様において、式IまたはII:
【化2】
[式中、Rは、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ−、C
2−6アルケニル、C
6−10アリール、C
6−10アリールC
1−3アルキルおよびC
6−10アリールC
1−3アルコキシからなる群より選択され;R
1は水素であるか、またはC
1−6アルキル、C
2−6アルケニル、R’CO−、C
6−10アリールおよびC
6−10アリールC
1−3アルキルからなる群より選択され、ここでR’はC
1−6アルキル、C
6−10アリールおよびアリールC
1−3アルキル−からなる群より選択され;R
2は所望により置換されていてもよいC
1−6アルキル、所望により置換されていてもよいフェニルおよび所望により置換されていてもよいヘテロアリールからなる群より選択され;R
3は水素であるか、またはC
1−18アルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
6−10アリールおよびC
6−10アリールC
1−3アルキルからなる群より選択され、ここでC
1−18アルキル、C
3−6アルケニルおよびC
3−6アルキニルは、各々、1または2個の−OH、−NH
2、−NHC
1−3アルキルまたは−N(C
1−3アルキル)
2で所望により置換されていてもよく、各C
6−10アリールは置換されていないか、1、2または3個の−OCH
3で置換されており;R’
3は水素であるか、またはC
1−18アルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
6−10アリールおよびC
6−10アリールC
1−3アルキルからなる群より選択され、ここでC
1−18アルキル、C
3−6アルケニルおよびC
3−6アルキニルは、各々、1または2個の−OH、−NH
2、−NHC
1−3アルキルまたは−N(C
1−3アルキル)
2で所望により置換されていてもよく、各C
6−10アリールは置換されていないか、または1、2または3個の−OCH
3で置換されている;ただし、R
3またはR’
3の一方が水素である場合、他方はa)1または2個の−OH、−NR
0R
00またはその混合物で所望により置換されていてもよいC
1−2アルキル、b)−OHまたは−NR
0R
00で所望により置換されていてもよいC
3アルケニル、またはc)−OHまたは−NR
0R
00で所望により置換されていてもよいC
3アルキニルではなく、ここでR
0およびR
00は、各々独立して、水素、−C
1−6アルキルからなる群より選択されるか、R
0およびR
00はそれらの結合する窒素と一緒になって1−モルホリニル基または4、5、6または7員のヘテロ環式環を形成する]
で示される、単一のジアステレオマーまたはジアステレオマーの混合物としての化合物、そのプロドラッグおよび医薬上許容される塩が提供される;ただし、式IIの化合物については、R
3またはR’
3の一方が−CH=CH
2である場合、その場合にR
1はCH
3CO−ではない。上記した化合物の一の態様にて、R
3およびR’
3は、各々独立して、水素およびC
1−6アルキルまたはC
7−9アルキルである。別の態様において、R
3およびR’
3は、各々独立して、水素およびC
10−18アルキルである。
【0010】
上記される実施態様の一の態様において、Rは、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ−およびC
6−10アリールC
1−3アルコキシからなる群より選択され;R
1は水素またはR’CO−であり、ここでR’はC
1−6アルキル、C
6−10アリールおよびアリールC
1−3アルキル−からなる群より選択され;R
3はC
1−6アルキルおよび所望により置換されていてもよいC
2−6アルケニルからなる群より選択され;ならびにR’
3は水素である。もう一つ別の態様において、R
2は(CH
3)
2CHCH
2−、t−ブチル、所望により置換されていてもよいフェニル、および所望により置換されていてもよいヘテロアリールからなる群より選択され、Rはt−ブトキシであり、R
1はCH
3CO−であり、R
3はベータ−CH
2=CH−であり、R’
3は水素である。
【0011】
もう一つ別の実施態様において、式IIIまたは式IV:
【化3】
[式中、RはC
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、C
2−6アルケニル、C
6−10アリール、C
6−10アリールC
1−3アルキルおよびC
6−10アリールC
1−3アルコキシからなる群より選択され;R
1は水素であるか、またはC
1−6アルキル、C
2−6アルケニル、R’CO−、C
6−10アリールおよびC
6−10アリールC
1−3アルキルからなる群より選択され、ここでR’はC
1−6アルキル、C
6−10アリールおよびアリールC
1−3アルキル−からなる群より選択され;R
2は所望により置換されていてもよいC
1−6アルキル、所望により置換されていてもよいフェニルおよび所望により置換されていてもよいヘテロアリールからなる群より選択され;R
3は水素であるか、またはC
1−18アルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
6−10アリールおよびC
6−10アリールC
1−3アルキルからなる群より選択され、ここでC
1−18アルキル、C
3−6アルケニルおよびC
3−6アルキニルの各々は、1または2個の−OH、−NH
2、−NHC
1−3アルキルまたは−N(C
1−3アルキル)
2で所望により置換されていてもよく、ここでC
6−10アリールは、各々、置換されていないか、または1、2または3個の−OCH
3で置換されており;R’
3は水素であるか、またはC
1−18アルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
6−10アリールおよびC
6−10アリールC
1−3アルキルからなる群より選択され、ここでC
1−18アルキル、C
3−6アルケニルおよびC
3−6アルキニルは、各々、1または2個の−OH、−NH
2、−NHC
1−3アルキルまたは−N(C
1−3アルキル)
2で所望により置換されていてもよく、C
6−10アリールは、各々、置換されていないか、または1、2または3個の−OCH
3で置換されている;ただし、R
3またはR’
3の一方が水素である場合、その場合には、他方はa)1または2個の−OH、−NR
0R
00またはその混合物で所望により置換されていてもよいC
1−2アルキル、b)−OHまたは−NR
0R
00で所望により置換されていてもよいC
3アルケニル、あるいはc)−OHまたは−NR
0R
00で所望により置換されていてもよいC
3アルキニルではなく、ここでR
0およびR
00は、各々独立して、水素、C
1−6アルキルからなる群より選択されるか、R
0およびR
00はそれらの結合する窒素と一緒になって1−モルホリニル基または4、5、6または7員のヘテロ環式環を形成する]
で示される、単一のジアステレオマーまたはジアステレオマーの混合物としての化合物、そのプロドラッグおよび医薬上許容される塩が提供される;ただし、式IVの化合物については、R
3またはR’
3の一方が−CH=CH
2である場合、その場合にR
1はCH
3CO−ではない。上記した化合物の一の態様にて、RはC
1−6アルキル、C
1−6アルコキシおよびC
6−10アリールC
1−3アルコキシからなる群より選択され;R
1は水素またはR’CO−であり、ここでR’はC
1−6アルキル、C
6−10アリールおよびアリールC
1−3アルキル−からなる群より選択させ;R
3はC
1−6アルキルおよび所望により置換されていてもよいC
2−6アルケニルからなる群より選択され;R’
3は水素である。上記した実施態様のもう一つ別の態様にて、R
2は(CH
3)
2CHCH
2−、t−ブチル、所望により置換されていてもよいフェニルおよび所望により置換されていてもよいヘテロアリールからなる群より選択され、Rはtert−ブトキシであり、R
1はCH
3CO−であり、R
3はベータ−CH
2=CH−であり、R’
3は水素である。上記した化合物の一の態様にて、R
3およびR’
3は、各々独立して、水素およびC
1−6アルキルまたはC
7−9アルキルである。もう一つ別の態様において、R
3およびR’
3は、各々独立して、水素およびC
10−18アルキルである。上記される実施態様のもう一つ別の態様にて、R’
3は水素であり、7,9−架橋の環でのR
3の立体化学は:
【化4】
(ベータ配置)および
【化5】
(アルファ配置)
またはアルファおよびベータ異性体の混合物からなる群より選択される。上記される実施態様の一の態様にて、7,9−架橋の環でのR
3の立体化学は:
【化6】
である。
【0012】
上記される各々の化合物のもう一つ別の態様にて、本明細書に記載のクロマトグラフィー操作を用いて単離した後では、化合物の純度は95%より高く、97%より高く、あるいは99%より高い。
【0013】
もう一つ別の実施態様にて、a)治療上の有効量の、単一のジアステレオマーの形態の、上記に示される化合物の各々の化合物;およびb)少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤、希釈剤または補助剤を含む医薬組成物が提供される。もう一つ別の態様にて、該組成物は、テモゾロマイドおよび/またはアバスチンをさらに含む。もう一つ別の態様にて、上記される組成物は、アロマターゼ阻害剤、抗エストロゲン、抗アンドロゲン、ゴナドレリンアゴニスト、トポイソメラーゼ1阻害剤、トポイソメラーゼ2阻害剤、微小管活性剤、アルキル化剤、アントラサイクリン、副腎皮質ステロイド、IMiD、プロテアーゼ阻害剤、IGF−1阻害剤、CD40抗体、Smac模倣剤、FGF3修飾因子、mTOR阻害剤、HDAC阻害剤、IKK阻害剤、P38MAPK阻害剤、HSP90阻害剤、akt阻害剤、抗悪性腫瘍薬、代謝拮抗剤、含プラチン化合物、脂質−または蛋白キナーゼ−標的剤、蛋白−または脂質ホスファターゼ−標的剤、抗血管形成剤、細胞分化を誘発する薬剤、ブラジキニン1受容体アンタゴニスト、アンジオテンシンIIアンタゴニスト、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、ヘパラナーゼ阻害剤、リンホカイン阻害剤、サイトカイン阻害剤、ビスホスファネート、ラパマイシン誘導体、抗アポトーシス経路阻害剤、アポトーシス経路アゴニスト、PPARアゴニスト、Rasアイソフォームの阻害剤、テロメラーゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、メタロプロテイナーゼ阻害剤およびアミノペプチダーゼ阻害剤、細胞分裂停止剤、細胞毒性剤、タキサン、トポイソメラーゼII阻害剤、トポイソメラーゼI阻害剤、チューブリン相互作用剤、抗体、抗血管新生剤、COX−2阻害剤、ホルモン剤、チミジレートシンターゼ阻害剤、代謝拮抗剤、アルキル化剤、ファルネシル蛋白トランスフェラーゼ阻害剤、シグナル変換阻害剤、EGFRキナーゼ阻害剤、EGFRに対する抗体、C−ablキナーゼ阻害剤、ホルモン併用治療剤およびアロマターゼ併用治療剤からなる群より選択される1または複数の治療薬をさらに含む。
【0014】
もう一つ別の実施態様にて、癌の治療を必要とする患者にとって治療上の有効量の上記される各々の化合物または組成物を該患者に投与することを含む、該患者における癌の治療方法が提供される。該方法の一の態様にて、癌は白血病、神経芽細胞腫、グリア芽腫、子宮頸癌、結腸直腸癌、膵臓癌、腎臓癌およびメラノーマからなる群より選択される。もう一つ別の態様にて、癌は肺癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌および頭頸部癌からなる群より選択される。ある態様において、癌は結腸直腸癌である。もう一つ別の態様にて、癌は膵臓癌である。もう一つ別の態様にて、癌は神経芽細胞腫またはグリア芽腫である。
【0015】
上記される方法の一の態様にて、該化合物は、テモゾロマイド、シスプラチン、5−フルオロウラシル、タキソテールまたはゲムシタビンより選択される化学治療剤、好ましくはテモゾロマイドと同時に、別々に、または連続して投与される。もう一つ別の態様にて、該化合物はテモゾロマイドと同時に、別々に、または連続して投与される。上記される態様のもう一つ別の態様にて、該方法は放射線療法の実施をさらに含む。もう一つ別の態様にて、該方法は癌の外科的摘出と組み合わせて使用される。もう一つ別の態様において、該組成物は、アロマターゼ阻害剤、抗エストロゲン、抗アンドロゲン、ゴナドレリンアゴニスト、トポイソメラーゼ1阻害剤、トポイソメラーゼ2阻害剤、微小管活性剤、アルキル化剤、アントラサイクリン、副腎皮質ステロイド、IMiD、プロテアーゼ阻害剤、IGF−1阻害剤、CD40抗体、Smac模倣剤、FGF3修飾因子、mTOR阻害剤、HDAC阻害剤、IKK阻害剤、P38MAPK阻害剤、HSP90阻害剤、akt阻害剤、抗悪性腫瘍薬、代謝拮抗剤、含プラチン化合物、脂質−または蛋白キナーゼ−標的剤、蛋白−または脂質ホスファターゼ−標的剤、抗血管形成剤、細胞分化を誘発する薬剤、ブラジキニン1受容体アンタゴニスト、アンジオテンシンIIアンタゴニスト、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、ヘパラナーゼ阻害剤、リンホカイン阻害剤、サイトカイン阻害剤、ビスホスファネート、ラパマイシン誘導体、抗アポトーシス経路阻害剤、アポトーシス経路アゴニスト、PPARアゴニスト、Rasアイソフォームの阻害剤、テロメラーゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、メタロプロテイナーゼ阻害剤およびアミノペプチダーゼ阻害剤、細胞分裂停止剤、細胞毒性剤、タキサン、トポイソメラーゼII阻害剤、トポイソメラーゼI阻害剤、チューブリン相互作用剤、抗体、抗血管新生剤、COX−2阻害剤、ホルモン剤、チミジレートシンターゼ阻害剤、代謝拮抗剤、アルキル化剤、ファルネシル蛋白トランスフェラーゼ阻害剤、シグナル変換阻害剤、EGFRキナーゼ阻害剤、EGFRに対する抗体、C−ablキナーゼ阻害剤、ホルモン併用治療剤およびアロマターゼ併用治療剤と同時に、別々にまたは連続して投与される。
【0016】
もう一つ別の実施態様において、a)治療上の有効量の、単一のジアステレオマーの形態の上記に示される化合物;およびb)少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤、希釈剤または補助剤を含む経口投与用医薬組成物が提供される。一の態様にて、該組成物は、テモゾロマイドおよび/またはアバスチンをさらに含む。もう一つ別の態様にて、該組成物は、アロマターゼ阻害剤、抗エストロゲン、抗アンドロゲン、ゴナドレリンアゴニスト、トポイソメラーゼ1阻害剤、トポイソメラーゼ2阻害剤、微小管活性剤、アルキル化剤、アントラサイクリン、副腎皮質ステロイド、IMiD、プロテアーゼ阻害剤、IGF−1阻害剤、CD40抗体、Smac模倣剤、FGF3修飾因子、mTOR阻害剤、HDAC阻害剤、IKK阻害剤、P38MAPK阻害剤、HSP90阻害剤、akt阻害剤、抗悪性腫瘍薬、代謝拮抗剤、含プラチン化合物、脂質−または蛋白キナーゼ−標的剤、蛋白−または脂質ホスファターゼ−標的剤、抗血管形成剤、細胞分化を誘発する薬剤、ブラジキニン1受容体アンタゴニスト、アンジオテンシンIIアンタゴニスト、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、ヘパラナーゼ阻害剤、リンホカイン阻害剤、サイトカイン阻害剤、ビスホスファネート、ラパマイシン誘導体、抗アポトーシス経路阻害剤、アポトーシス経路アゴニスト、PPARアゴニスト、Rasアイソフォームの阻害剤、テロメラーゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、メタロプロテイナーゼ阻害剤およびアミノペプチダーゼ阻害剤、細胞分裂停止剤、細胞毒性剤、タキサン、トポイソメラーゼII阻害剤、トポイソメラーゼI阻害剤、チューブリン相互作用剤、抗体、抗血管新生剤、COX−2阻害剤、ホルモン剤、チミジレートシンターゼ阻害剤、代謝拮抗剤、アルキル化剤、ファルネシル蛋白トランスフェラーゼ阻害剤、シグナル変換阻害剤、EGFRキナーゼ阻害剤、EGFRに対する抗体、C−ablキナーゼ阻害剤、ホルモン併用治療剤およびアロマターゼ併用治療剤からなる群より選択される1または複数の治療薬をさらに含む。
【0017】
もう一つ別の実施態様において、癌の治療を必要とする患者にとって治療上の有効量の上記される化合物を該患者に経口投与することを含む該患者における癌の治療方法が提供される。該方法の一の態様にて、癌は白血病、神経芽細胞腫、グリア芽腫、子宮頸癌、結腸直腸癌、膵臓癌、腎臓癌およびメラノーマからなる群より選択される。該方法のもう一つ別の態様にて、癌は肺癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌および頭頸部癌からなる群より選択される。もう一つ別の態様において、癌は結腸直腸癌、膵臓癌、神経芽細胞腫またはグリア芽腫である。上記される方法のもう一つ別の態様にて、該化合物は、テモゾロマイド、シスプラチン、5−フルオロウラシル、タキソテールまたはゲムシタビンより選択される化学治療剤、好ましくはテモゾロマイドと同時に、別々に、または連続して投与される。上記される方法のもう一つ別の態様にて、該化合物はテモゾロマイドと同時に、別々に、または連続して投与される。上記される態様のもう一つ別の態様にて、該方法は放射線療法の実施をさらに含む。上記される方法のもう一つ別の態様にて、該方法は癌の外科的摘出と組み合わせて使用される。上記される方法のもう一つ別の態様において、該組成物は、アロマターゼ阻害剤、抗エストロゲン、抗アンドロゲン、ゴナドレリンアゴニスト、トポイソメラーゼ1阻害剤、トポイソメラーゼ2阻害剤、微小管活性剤、アルキル化剤、アントラサイクリン、副腎皮質ステロイド、IMiD、プロテアーゼ阻害剤、IGF−1阻害剤、CD40抗体、Smac模倣剤、FGF3修飾因子、mTOR阻害剤、HDAC阻害剤、IKK阻害剤、P38MAPK阻害剤、HSP90阻害剤、akt阻害剤、抗悪性腫瘍薬、代謝拮抗剤、含プラチン化合物、脂質−または蛋白キナーゼ−標的剤、蛋白−または脂質ホスファターゼ−標的剤、抗血管形成剤、細胞分化を誘発する薬剤、ブラジキニン1受容体アンタゴニスト、アンジオテンシンIIアンタゴニスト、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、ヘパラナーゼ阻害剤、リンホカイン阻害剤、サイトカイン阻害剤、ビスホスファネート、ラパマイシン誘導体、抗アポトーシス経路阻害剤、アポトーシス経路アゴニスト、PPARアゴニスト、Rasアイソフォームの阻害剤、テロメラーゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、メタロプロテイナーゼ阻害剤およびアミノペプチダーゼ阻害剤、細胞分裂停止剤、細胞毒性剤、タキサン、トポイソメラーゼII阻害剤、トポイソメラーゼI阻害剤、チューブリン相互作用剤、抗体、抗血管新生剤、COX−2阻害剤、ホルモン剤、チミジレートシンターゼ阻害剤、代謝拮抗剤、アルキル化剤、ファルネシル蛋白トランスフェラーゼ阻害剤、シグナル変換阻害剤、EGFRキナーゼ阻害剤、EGFRに対する抗体、C−ablキナーゼ阻害剤、ホルモン併用治療剤およびアロマターゼ併用治療剤と同時に、別々にまたは連続して投与される。
【0018】
もう一つ別の実施態様において、式I:
【化7】
[式中、RはC
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、C
2−6アルケニル、C
6−10アリールおよびC
6−10アリールC
1−3アルキルからなる群より選択され;R
1は水素であるか、またはC
1−6アルキル、C
2−6アルケニル、R’CO−、C
6−10アリールおよびC
6−10アリールC
1−3アルキルからなる群より選択され、ここでR’はC
1−6アルキル、C
6−10アリールおよびアリールC
1−3アルキルからなる群より選択され;R
2はC
1−6アルキル、所望により置換されていてもよいフェニルおよび所望により置換されていてもよいヘテロアリールからなる群より選択され;R
3は水素であるか、またはC
1−18アルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
6−10アリールおよびC
6−10アリールC
1−3アルキルからなる群より選択され、ここでC
1−18アルキル、C
3−6アルケニルおよびC
3−6アルキニルの各々は、1または2個の−OH、−NH
2、−NHC
1−3アルキルまたは−N(C
1−3アルキル)
2で所望により置換されていてもよく、ここでC
6−10アリールは、各々、置換されていないか、または1、2または3個の−OCH
3で置換されており;R’
3は水素であるか、またはC
1−18アルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
6−10アリールおよびC
6−10アリールC
1−3アルキルからなる群より選択され、ここでC
1−18アルキル、C
3−6アルケニルおよびC
3−6アルキニルは、各々、1または2個の−OH、−NH
2、−NHC
1−3アルキルまたは−N(C
1−3アルキル)
2で所望により置換されていてもよく、C
6−10アリールは、各々、置換されていないか、または1、2または3個の−OCH
3で置換されている;ただし、R
3またはR’
3の一方が水素である場合、その場合には、他方はa)1または2個の−OH、−NR
0R
00またはその混合物で所望により置換されていてもよいC
1−2アルキル、b)−OHまたは−NR
0R
00で所望により置換されていてもよいC
3アルケニル、あるいはc)−OHまたは−NR
0R
00で所望により置換されていてもよいC
3アルキニルではなく、ここでR
0およびR
00は、各々独立して、水素、C
1−6アルキルからなる群より選択されるか、R
0およびR
00はそれらの結合する窒素と一緒になって1−モルホリニル基または4、5、6または7員のヘテロ環式環を形成し;P
1は保護基である]
で示される化合物の製造方法(
図1を参照)であって、式
5:
【化8】
で示される化合物を、転位反応を行うに十分な条件下で反応させ、式
6:
【化9】
で示される化合物を形成させ、環形成を生じさせ、式
7:
【化10】
で示されるアセタールまたはケタールを形成させ、C−13アセテートを選択的脱アセチル化に付して、式
8:
【化11】
で示される化合物を形成させ、式
8の化合物を、式
9または
10:
【化12】
で示される側鎖の化合物とカップリングさせ、保護基P
1またはArを脱保護し、式
Iの化合物を形成させることを含む方法が提供される。上記される方法の1の態様において、式
5の化合物の転位反応を行うのに十分な条件は湿式酸/有機溶媒である。上記される方法のもう一つ別の態様にて、該酸はCSA、TFA、p−TsOH、モンモリロナイト粘土およびポリマー支持酸性触媒からなる群より選択される。
【0019】
本明細書に記載される化合物は、7,9−架橋の立体異性体の混合物、例えばジアステレオマー混合物であってもよく、あるいは本明細書に示されるような特定の立体中心についての単一の異性体であってもよい。本願はまた、上記される式のジアステレオマーを含む医薬組成物であって、そのジアステレオマーの純度が90%以上、95%以上、97%以上、または99%以上である医薬組成物を提供する。上記される化合物のある態様にて、その純度はHPLCにより、あるいは本明細書に記載される新規な方法を用いて該化合物を単離することにより測定される。
【0020】
特定の実施態様にて、かかる化合物の7,9−架橋の立体化学は:
【化13】
である。
【0021】
もう一つ別の実施態様において、7,9−架橋の立体化学は:
【化14】
である。
【0022】
もう一つ別の実施態様にて、7,9−架橋がベータ、アルファまたはその混合した立体化学を有する上記の化合物は、各々、C−10が、
【化15】
で示されるアルファ、ベータまたはその混合物である、立体化学の化合物でもある。
【0023】
本発明の化合物の典型的な製造方法を
図6に示す。一の実施態様にて、9−DHB(
5b.1、C−10がベータ−OAcである)のC−13アセテートを脱アセチル化し、保護基Pを13−ヒドロキシルに配置して得られる式
Vの化合物は、転位反応(または異性化反応)に供され、酸性条件下で対応するアベオ−タキサン構造
VIとなる。ある態様において、C−10の−OR
1基はアルファまたはベータあるいはその混合である。もう一つ別の態様において、R
1は水素であるか、またはC
1−6アルキル、C
2−6アルケニル、R’CO−、C
6−10アリールおよびC
6−10アリールC
1−3アルキルからなる群より選択され、ここでR’はC
1−6アルキル、C
6−10アリールおよびアリールC
1−3アルキルからなる群より選択される。一の変形にて、R
1はアセチルである。酸性条件は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールおよびその混合溶媒などのプロトン性溶媒中の、カンファースルホン酸(CSA)、p−トルエンスルホン酸(p−TsOH)などのスルホン酸、トリフルオロ酢酸(TFA)あるいは酢酸またはその混合物などの有機酸を包含する。あるいはまた、溶媒はジクロロメタン(DCM)、トルエン、MTBEまたはその混合溶媒などの水湿式非プロトン性溶媒であってもよい。水湿式非プロトン性溶媒は水飽和溶媒であってもよい。酸、溶媒または混合溶媒に応じて、反応は、
VIへの転位が実質的に完了するまでの十分な時間、約20−25℃、25−35℃または35−55℃で実施されるか、あるいは約20−25℃より開始し、該反応物をゆっくりと還流温度にまで加熱してなされてもよい。転位反応により、C−7、C−9、C−10およびC−13等で、タキサン(またはバッカチン)出発物質の立体化学を保持するアベオ−タキサンが得られる。例えば、C−10がベータである、式
Vのバッカチン構造で開始し、得られる式
VIの転位化合物も、C−10がベータであるキラル中心を有するであろう。
【0024】
VIのC−13ヒドロキシ基での保護側鎖(
図6を参照、化合物
9または化合物
10a〜10fを参照)とのカップリング反応は、プロトン性または非プロトン性溶媒中、酸ハライド、酸無水物、混合酸無水物、ベータラクタムおよび活性化酸を用いる(例えば、DCC/DMAPを用いる)などの当該分野にて公知の活性化酸を用いるアシル化反応として、あるいはHCl、H
2SO4、CSA、p−TsOH、ポリマースルホン酸等などの酸を用いる酸触媒性エステル化反応として
VIIを形成するのに実施されてもよい。ある態様において、カップリングまたはアシル化剤は
9のRCONHCHR
2CH(OP
1)C(O)Xであり、ここでRはC
1−6アルキル、C
2−6アルケニル、R’O−、C
6−10アリール、C
6−10アリールC
1−3アルキルおよびC
6−10アリールC
1−3アルコキシからなる群より選択され、R’はC
1−6アルキル、C
6−10アリールおよびアリールC
1−3アルキルからなる群より選択され、R
2はC
1−6アルキル、所望により置換されていてもよいフェニルまたは所望により置換されていてもよいヘテロアリールであり、Xは−OH、−OCOC
1−6アルキル、−F、−Cl、−Brおよび−Iより選択される。もう一つ別の態様において、カップリング剤は
10eまたは
10fであり、ここでRはC
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、C
2−6アルケニル、C
6−10アリールまたはC
6−10アリールC
1−3アルキルであり;R
2はC
1−6アルキル、フェニルまたはヘテロアリールである。ある態様において、Arはフェニル、2−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、2,6−ジメトキシフェニルまたは2,4,6−トリメトキシフェニルである。化合物
VIIのある態様にて、Rはt−BuOであり、R
2は−CH
2CH(CH
3)
2である。
【0025】
7,9−ジオールの化合物
VIIを、対応する7,9−架橋の化合物
VIIIに変形するための7,9−架橋の環形成反応は、
VIIと、アルデヒド、R
3CHO、ジアルキルアセタール(R
3−CH(OC
1−4アルキル)
2との反応によりなされ、ここでR
3はC
1−18アルキル、所望により置換されていてもよいC
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、所望により置換されていてもよいC
6−10アリール、所望により置換されていてもよいヘテロアリールおよびC
6−10アリールC
1−3アルキルからなる群より選択されるか;またはジアルキルケタール(R
3R’
3C(OC
1−4 アルキル)
2)との反応によりなされ、ここでR
3はC
1−18アルキル、所望により置換されていてもよいC
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、所望により置換されていてもよいC
6−10アリール、所望により置換されていてもよいヘテロアリールおよびC
6−10アリールC
1−3アルキルからなる群より選択され;ならびにR’
3は所望により置換されていてもよいC
1−18アルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、所望により置換されていてもよいC
6−10アリール、所望により置換されていてもよいヘテロアリールおよびC
6−10アリールC
1−3アルキルからなる群より選択される。化合物
VIIIの一の態様にて、R’
3は水素であり、R
3は−CH=CH
2である。もう一つ別の態様において、R
3はベータ−CH=CH
2である。もう一つ別の態様において、R
3は所望により置換されていてもよいC
2−6アルケニルである。ある態様において、7,9−環形成反応はスルホン酸などの酸の存在下で実施されてもよい。酸は触媒量で使用されてもよく、酸はカンファースルホン酸またはp−トルエンスルホン酸であってもよい。もう一つ別の態様において、酸触媒はモンモリロナイト粘土およびポリマー支持酸性触媒を包含する。7,9−環形成はアセトニトリル、DCM(CH
2Cl2)、THFまたはトルエンなどの有機溶媒中、ほぼ室温(20−25℃)で実施されてもよい。
【0026】
7,9−環形成反応を行い、R’
3が水素で、7,9−環がアセタールである
VIIIを形成する場合、得られる7,9−架橋のジアステレオマーはまた、アルファおよびベータ異性体の混合物を分離することにより、単一の異性体として得られてもよい。一の態様において、該分離はクロマトグラフィーを用い、異性体の所望の混合物またはR
3がベータ異性体で、R
3’が水素である場合などの単一の異性体を得るのに実施されてもよい。ある態様において、クロマトグラフィー分離は球状シリカなどのシリカを用いて実施されてもよい。本明細書に記載されるように、規模の異なる通常の相分離は、YMCシリカ(シリカゲルS 30−50μm、120Å)またはクロマジルシリカ(100Å、10μm クロマジルシリカゲル)を、およびn−ヘプタン/IBAc(酢酸イソブチル中1%水および1%酢酸)またはn−ヘプタン/MTBE(メチルt−ブチルエーテル中1%水および1%酢酸)より調製された溶媒などの混合溶媒を装填した種々の大きさのカラムで実施し、異性体純度が95%以上、97%以上、および99%以上である単一異性体を得た(例えば、ベータ異性体またはアルファ異性体)を得た。
【0027】
もう一つ別の実施態様において、式
VIIIの化合物は、
Vで出発し、7,9−環形成を介して、
IXを形成し、つづいて保護された側鎖を付加して
Xを形成し、ついで転位反応に付して
VIIIを形成させてもよい。別法として、側鎖とのカップリング反応が転位反応を行う前に実施され、
VIIIを形成してもよい。
IXが、
Vとアルデヒド:R3CHO、ジアルキルアセタール:R
3−CH(OC
1−4アルキル)
2との反応で調製されてもよく、ここでR
3はC
1−18アルキル、所望により置換されていてもよいC
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
6−10アリールおよびC
6−10アリールC
1−3アルキルからなる群より選択されるか;またはジアルキルケタール:R
3R’
3C(OC
1−4アルキル)
2との反応で調製されてもよく、ここでR
3はC
1−18アルキル、所望により置換されていてもよいC
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
6−10アリールおよびC
6−10アリールC
1−3アルキルからなる群より選択され;およびR’
3はC
1−18アルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
6−10アリールおよびC
6−10アリールC
1−3アルキルからなる群より選択される。化合物
IXの一の態様にて、R’
3は水素であり、R
3は−CH=CH
2である。もう一つ別の態様において、R
3はベータ−CH=CH
2である。もう一つ別の態様において、R
3は所望により置換されていてもよいC
2−6アルケニルである。ある態様において、7,9−環形成反応はスルホン酸などの酸の存在下でなされてもよい。酸は触媒量で使用されてもよく、酸はカンファースルホン酸またはp−トルエンスルホン酸であってもよい。もう一つ別の態様において、酸触媒はモンモリロナイト粘土およびポリマー支持酸性触媒を包含する。7,9−環形成はアセトニトリル、DCM(CH
2Cl2)、THFまたはトルエンなどの有機溶媒中、ほぼ室温(20℃−25℃)で実施されてもよい。ある態様において、ジアステレオマーの分離は、上記されるようにクロマトグラフィーを用いて実施され、異性体の所望の混合物あるいはR
3がベータ異性体であり、R’
3が水素であるなどの単一異性体を得てもよい。
Xの
VIIIへの転位は、
Vの
VIへの反応の記載と同じ反応条件で実施されてもよい。ある態様において、式
Xの化合物を上記される条件下で転位工程に付して得られる生成物が提供される。
【0028】
あるいはまた、式
VIIIの化合物は、
Vから
VIへの反応について記載されるのと同じ反応条件下での式
IXの化合物を転位反応に付し、つづいて化合物
VIの化合物
VIIへの変換にあるように保護された側鎖をカップリングすることにより調製され得る。ある態様において、上記される転位条件下で式
IXの化合物の転位工程に付すことにより得られる生成物であって、つづいて保護された側鎖を13−ヒドロキシルとカップリングすることで、式
VIIIの化合物が得られる。
【0029】
式
Xの化合物は、
IXと、カップリング剤(
9または10a〜10f)を、当該分野にて既知の標準カップリング条件下で、または上記されるように、
VIをカップリング反応に付し、
VIIを形成するのと同様の条件下でカップリング反応に付すことで調製され得る。
【0030】
所望により、上記される反応工程のいずれかにて、反応条件に応じて、保護されていない反応性ヒドロキシル基またはアミン基(C−7、C−9、C−10、C−13またはカップリング試薬上の窒素など)は、ヒドロキシル保護基および/またはアミン保護基で保護されてもよい。個々のヒドロキシルまたはアミン保護基の選択は、本明細書に開示される所望の生成物を得るためのその後の反応条件および反応経路に依存するであろう。ある態様において、選択される保護基は、7,9−環形成反応に供し、
VIIIを形成した後で除去されてもよい。上記される化合物
VIIおよび
VIIIのもう一つ別の態様において、R
1は−COCH
3である。化合物
VIIIの一の態様にて、R’
3は水素であり、7,9−架橋の配置はベータ:
【化16】
である。
【0031】
式
VII、
IXまたは
Xの化合物を含め、
図6の化合物の選択される単一ジアステレオマーは、上記されるような球状シリカなどのシリカを用いるクロマトグラフィー分離方法で単離されてもよい。選択される単一ジアステレオマーは、単一異性体として、95%、97%以上の、および99%より大きな異性体純度にて得られてもよい。
【0032】
本明細書に記載の、および
図1−6に記載の変数は、特記されない限り、次のとおりである:
RはC
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ−、C
2−6アルケニル、C
6−10アリール、C
6−10アリールC
1−3アルキルおよびC
6−10アリールC
1−3アルコキシからなる群より選択され;
R
1は水素であるか、またはC
1−6アルキル、C
2−6アルケニル、R’CO−、C
6−10アリールおよびC
6−10アリールC
1−3アルキルからなる群より選択され、ここでR’はC
1−6アルキル、C
6−10アリールおよびアリールC
1−3アルキルからなる群より選択され;
R
2はC
1−6アルキル、フェニルおよびヘテロアリールからなる群より選択され;
R
3は水素であるか、またはC
1−18アルキル、所望により置換されていてもよいC
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
6−10アリールおよびC
6−10アリールC
1−3アルキルからなる群より選択され、ここで各C
6−10アリールは置換されていないか、または1、2または3個の−OCH
3で置換されており;
R’
3は水素であるか、またはC
1−18アルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
6−10アリールおよびC
6−10アリールC
1−3アルキルからなる群より選択され、ここで各C
6−10アリールは置換されていないか、または1、2または3個の−OCH
3で置換されており;
Arはフェニル、2−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、2,6−ジメトキシフェニルまたは2,4,6−トリメトキシフェニルであり;
P
1はTBS、CBz、Bn、BOM、Troc、トリクロロエチル、アリル、アロック(alloc)、フェノキシアセテート、メトキシアセテート、フェニルアセテート、エトキシエチル、アセチル、ベンゾイル、ベンジル、TMS(トリメチルシリル)、MEM(ベータ−メトキシエトキシメチルエーテル)、DMT、MMT、PMB、メチルチオメチルエーテル、NDMS(2−ノルボルニルジメチルシリル)、TES(トリエチルシリル)、TBDMS、THP、トリチル、PivおよびMOMからなる群より選択されるアルコール保護基であり;および
Xは−OH、−OCOC
1−6アルキル、−F、−Cl、−Brおよび−Iから選択される。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1は本願の10ベータアベオ−タキサン化合物を製造する代表的方法を記載する。
【0066】
図2は本願の10ベータタキサンおよびアベオ−タキサン化合物を製造する代表的方法を記載する。
【0067】
図3は9−DHB誘導体から10−ベータタキサンおよびアベオ−タキサン誘導体を製造する代表的方法を記載する。
図4はバッカチン誘導体から10−アルファアベオ−タキサン誘導体を製造する代表的方法を記載する。
【0068】
図5はバッカチン誘導体から10−アルファタキサンおよびアベオ−タキサン誘導体を製造する代表的方法を記載する。
【0069】
図6は本願の化合物の代表的な製造方法を説明する一般的合成反応経路を記載する。
【0070】
図7は10−ベータアベオ−タキサン化合物の代表的な製造方法を記載する。
【0071】
実験:
以下の操作は本発明の化合物を製造するのに利用されてもよい。これら化合物の製造に使用される出発物質および試薬は、Aldrich Chemical Company(Milwaukee, Wis.)、Bachem(Torrance, Calif.)、Sigma(St. Louis, Mo.)などの供給源より市販されているか、または当該分野の当業者に周知の方法により、FieserおよびFieser’s Reagents for Organic Synthesis, vols.1-17、John Wiley and Sons、New York、N.Y.、1991;Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds、vols1-5および補遺、Elsevier Science Publishers、1989;Organic Reactions、vols1-40、John Wiley and Sons、New York、 N.Y.、1991;March J.:Advanced Organic Chemistry、4th ed.、John Wiley and Sons、 New York、N.Y.;およびLarock:Comprehensive Organic Transformations、VCH Publishers、New York、1989などの参考文献に記載の操作に従って、調製される。
【0072】
ある場合には、保護基が導入され、最終的に除去されてもよい。アミノ、ヒドロキシおよびカルボキシ基についての適切な保護基はGreeneら、Protective Groups in Organic Synthesis、第2版、John Wiley and Sons、New York、1991に記載されている。標準的な有機化学反応は、例えば、Larock:Comprehensive Organic Transformations、VCH Publishers、New York、1989に記載されるような、多種の試薬を用いて達成されうる。
【0073】
実施例1
一の変形にて、本願の10−ベータ化合物は以下に示される工程により調製され得る。
図2および3も参照のこと。
【0074】
9−DHB7,9−ケタール:
【化20】
630mgの
5b.1の9−DHB(13−アセチル−9−ジヒドロバッカチンIII、1ミリモル)を25mLのRBフラスコに評量し、7mLのACNを室温で添加し、得られた混合物を撹拌した。2.44mL(約20ミリモル)の2,2−ジメトキシプロパンを、つづいて126mgのモンモルリロナイト粘土を添加した。窒素下で撹拌を続けた。反応の進行を約135分後にTLC(15:85 アセトン:DCM)でモニター観察し;それは反応が約50%完了していることを示唆した。さらに2時間撹拌した後では、反応は進行していなかった。15mgのカンファースルホン酸を加え、撹拌を続けた。45分後、TLCは出発物質がすべて消費されたことを示した。450mgのK
2CO
3固体を添加し、得られた混合物を15分間撹拌することにより反応をクエンチさせた。3mLの水を加え、撹拌をさらに10分間続けた。スラリーを焼結漏斗で濾過し、濾液をロータリー・エバポレーターで蒸発させた。水をアセトニトリルと共に共沸蒸留させ、得られた生成物をオーブン中で一夜乾燥させた。粗生成物をフラッシュカラムで1:9 アセトン:DCMを用いて精製し、550mgの生成物
11を得た。
【0075】
13−脱アセチル化:
450mg(0.67ミリモル)の7,9−アセトニド−9−DHB、11をRBフラスコに加え、15mLのTHFを添加し、溶液を窒素下で撹拌し、−50℃に冷却した。1.6mLの(1.8M)フェニルリチウムを8分間にわたって滴下した。10分後に反応物を4:6のEtOAc:ヘプタンでTLCに付し、それは該反応が完了していることを示した。反応混合液を50mLの飽和塩化アンモニウム水溶液中に注ぎ、室温にまで上温させた。層を分け、混合物を20mLの酢酸イソプロピルで3回抽出した。有機層を合わせ、食塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濃縮した。粗生成物をオーブン中で一夜乾燥させた。シリカゲルクロマトグラフィーにより、40:60 EtOAc:ヘプタン+1%AcOHおよび1%水を用いて精製し、精製された生成物(
11b.1)を得、それを次工程に用いた。
【0076】
カップリング反応:
【化21】
RBフラスコ中、カップリングのための469mg(1ミリモル)の保護された側鎖、
10、630mg(1ミリモル)の保護された13−ヒドロキシ−10−ベータアセチルバッカチン誘導体(
11b.1)、61mg(0.5ミリモル)のDMAPを秤量し、該フラスコをセプタムで栓をした。15mLの乾燥EtOAcを加え、該混合物をN
2下、室温で攪拌し、206mg(1ミリモル)のDCCを添加した。反応液を45分間攪拌し、TLCでチェックし、それは約60%の完了を示した。さらに1時間経過後、TLCはほとんど変化を示さなかった。さらに50mgのDCCおよび200mgの保護された側鎖、
10を加え、攪拌を2時間以上続けた。TLCは反応の終了(
11b.1が完全に変換されたこと)を示した。5mLの水および20mLの塩化アンモニウムを添加することで反応物をクエンチかつ分配させ、有機層を分離し、25mLの食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータリー・エバポレーターで濃縮させた。粗生成物を1:3 EtOAc/ヘプタンのフラッシュクロマトグラフィーで精製し、精製された連結エステル、
12b.1を得た。
【0077】
アセタール脱保護:
1.5gの連結エステル(1.39ミリモル)を秤量して還流冷却器を備えた100mLのRBフラスコに入れ、30mLのMeOHを加え、該混合物を窒素下で攪拌した。該フラスコを45℃に加温し、10mLの0.1N HClを10分間にわたって滴下した。添加後も攪拌を続け、出発物質がTLC上でよりゆっくりしたスポットに変換されるまで、該反応をTLCでモニター観察した。反応物を室温に冷却し、pHが約9になるまで水性炭酸水素ナトリウムでクエンチした。MeOHをロータリー・エバポレーターで蒸発させ、50mLのEtOAcを該フラスコに加えた。混合物を分配させ、EtOAcを除去した。水層を50mLのEtOAcで2回以上抽出した。有機層を合わせ、50mLの食塩水で洗浄し、濃縮して粗生成物を得、それを1:1 EtOAc:ヘプタンを用いるフラッシュクロマトグラフィーで精製した。900mgの生成物
13b.1を得た。
【0078】
粘土触媒性アクロレインアセタール化反応:
0.16gの13b.1(0.192ミリモル)および42mgのアクロレインジメチルアセタール(0.41ミリモル)を秤量して25mLのRBフラスコに加え、つづいて40mgのモンモリロナイト粘土を添加し、該フラスコをセプタムで栓をし、3mLのACNを窒素下で添加した。反応物のpHは約6であると測定された。約3マイクロリットルのTFAを添加した。さらに攪拌した後、そのpHは3.5であることが判明した。30分後、0.15mLのアクロレインジメチルアセタールを加え、室温で攪拌を続けた。反応をTLCおよびHPLCでモニター観察した。2mLの水性炭酸水素ナトリウムと一緒に5時間攪拌した後、反応物をクエンチし、該溶液をセライト床上で濾過した。該セライト床を20mLのACNで洗浄し、濾液を合わせ、ロータリー・エバポレーターで濃縮させた。粗生成物をメタノール/水 4:1を用いる逆相クロマトグラフィーで精製し、150mgのアクロレインアセタール生成物、
14b.1を得た。
【0079】
アベオ−タキサン形成:
【化22】
RBフラスコに含まれる、0.125gのアクロレインアセタール出発物質、
14b.1に、5mLの湿式トルエン(溶媒が水で飽和するように、底部に2mlの水を含有するボトルに貯蔵されたトルエン)を添加した。該フラスコの中身を攪拌し、氷をいくらか含有する水浴中にて14℃に冷却した。5mLのトルエン中2%TFAを1分間にわたって該フラスコに添加し、攪拌を続けた。反応をHPLCによりタキサン操作に従ってモニター観察し、それは出発物質の保持時間が10.7分の生成物への変換を示した。120分後に反応物を5mLの水性炭酸水素ナトリウムでクエンチした。トルエン層を分離し、炭酸水素塩層を20mLのEtOAcと分離させた。有機層を合わせ、20mLの食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ロータリー・エバポレーターで濃縮させた。粗生成物をオーブンで一夜乾燥させ、4:1 MeOH:水を用いる逆相クロマトグラフィーで精製し、58mgのアベオ−タキサン転位の生成物、
15b.1を得た。
【0080】
実施例2
一の変形にて、本願の10−アルファ化合物は以下に記載される工程により調製され得る。
図4も参照のこと。
【0081】
10DABIII16の酸化:
300mLの乾燥EtOAcでリンスし、N
2下に保持した4Lの反応フラスコに、1250mLの乾燥EtOAcをチャージした。得られた混合物を攪拌し、乾燥
16(100g、0.184モル)を加えた。つづいて、800mLのUSPのEtOHを添加し、該反応混合物を−1.3℃に冷却した。無水CuCl2(86.4g、3.5当量)を加え、固体を450mLの無水EtOHで混合物に洗い流した。反応混合物を
<−13℃に冷却し、無水TEA(90mL、3.5当量)をゆっくりと加えた。HPLC/TLCで反応をモニター観察した。1時間で,反応は完了したと判断した(<5%の出発物質)。36mLのTFAを加えて、反応物をクエンチさせ、攪拌を15分間続けた。反応混合液を10Lのロトバップ用フラスコに移した。500mLのEtOAcおよび300mLのEtOHを該反応フラスコに加え、2分間攪拌し、リンス液を該ロトバップ用フラスコの中身に加え、それをさらなる蒸留が生じなくなるまで(80分間)、ロトバップ上、40℃で蒸発させた。酸性化エタノール(1%酢酸、300mL)を残渣に加え、得られたスラリーを2Lのロトバップ用フラスコに移した。第1ロトバップ用フラスコを400mLの酸性化EtOHでリンスし、第2フラスコに流した。混合物をロトバップ上40℃で蒸発させた。酸性化エタノール(305mL)を該ロトバップ用フラスコに加え、混合物を40℃で10分間攪拌した。次に、該フラスコを5℃に冷却し、濾過した。該ロトバップ用フラスコを2x30mLの冷(2℃)酸性化エタノールでリンスし、該リンス液をすべてフィルターに移し、該固体を洗浄した。該固体を真空オーブン中、45℃で一夜乾燥させ、
17を得た。HPLC面積%=91.3%;収量=96.7g。
【0082】
19を形成するための17のシリル化操作:
10Lのロトバップ用フラスコ中の
17(96.72g、0.1783ミリモル)に、酢酸エチル(3000mL、30mL/g)を添加した。該溶液をロトバップ上40℃で最初の体積のほぼ半分になるまで蒸発させた(蒸留体積=1680mL)。1000mLのトルエン(10mL/g)を残りの溶液に加え、固体が得られるまで(45分間)、40℃でロトバップさせた。固体をトルエン(1000mL、10mL/g)に懸濁させ、懸濁液を40℃(約1時間)で乾燥固体となるまでロータリー・エバポレーターで蒸発させた。固体をN
2流下で2Lフラスコに移した。該固体を無水ピリジン(292mL、3mL/g)でリンスして反応フラスコに流し、得られた混合物を攪拌した。溶解後、中身を−20℃に冷却した。トリエチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(TES−OTf、120.9mL、3.0当量)をゆっくりと反応混合物に添加し、
<−10℃に維持した。TES−OTfを添加した後、該混合物を−5.8℃に加温させた。TES−OTfの添加から30分経過した後、HPLC/TLCを行うために、30分間隔でサンプリングを始めた。HPLC/TLCがモノ−TES誘導体が<2%で残っていることを示す場合に、反応は完了したと判断される。混合物を−17.5℃に冷却し、メタノール(19.3mL、0.2mL/g)を加え、5分間攪拌した。該混合物を室温に加温し、500mLのMTBEをゆっくりと加え、ついで分離漏斗に移した。反応フラスコの残留物をMTBE(200mL、2mL/g)で該分離漏斗に洗い流し、次に水(250mL、2.5mL/g)およびNH
4Cl飽和溶液(250mL、2.5mL/g)を加えた。有機層を透明容器に移した。MTBE(250mL、2mL/g)を該水層に加えた。それを攪拌し、層を分離した。第2有機層を100mLのMTBEで洗浄し、水(200mL、2mL/g)をその合わせた層に加えた。有機層を2Lのロトバップ用フラスコに移し、40℃で残留物まで蒸発させた。n−ヘプタン (500mL、5mL/g)を加え、溶液を40℃で残留物にまで蒸発させた。n−ヘプタン(1000mL、約10mL/g)を加え、溶液をその体積の半分にまで蒸発させた(蒸留させる体積=375mL)。n−ヘプタン(300mL、約2.5mL/g)を加え、ロトバップ上40℃で攪拌した。次に、攪拌を約2.5時間続けながら、該溶液を−15.7℃に冷却し、次に濾過した。固体を冷(<5℃)n−ヘプタン(100mL)でリンスして濾過漏斗に流し、真空オーブン中で乾燥させて111gの
19を得た。HPLC面積%純度=93.4%。
【0083】
20を調製するための19の還元:
4Lの反応フラスコ中のN
2下にあるTHF(560mL、5mL/g)の攪拌溶液に、
19(111g、0.144モル)を、つづいて無水エタノール(560mL、5mL/g)を加えた。混合物を攪拌して固体を溶かし、次に−12℃に冷却した。THF中2M LiBH
4(72mL)を加え、反応温度(温度=−11.9〜−9.7℃)に調整した。HPLC/TLC用に30分間隔で反応物をサンプリングした。THF中2M LiBH
4(72mL、1.0当量)を付加的に反応フラスコ(温度=−9.6℃〜−7.1℃)に加え、30分間攪拌した。THF中2M LiBH
4(36mL、0.5当量)の3回目の添加を、LiBH
4溶液を添加した後に浴温度を15℃に、10分後には12.5℃に調整することを除き、上述したとおりに行った(温度=−7.6℃〜−6.7℃)。LiBH
4を添加して1時間経過した後、反応は完了した(
20と比べて単還元の生成物は
<3%であった)。混合物を−10.8℃に冷却し、EtOH(560mL)中10%酢酸アンモニウムを加え、泡沫体を沈降させて濁りをなくし、該溶液の温度を
<−3℃に調整した。該混合物を2Lのロトバップ用フラスコに移し、残渣を250mLのEtOHでリンスしてロトバップ用フラスコに流し、中身をロトバップ上40℃で油状物にまで蒸発させ、メタノール(560mL)を加えた。水(1700mL)を5Lフラスコに加え、激しく攪拌した。生成物を沈殿させるのに、メタノール反応混合物(748mL)を水含有のフラスコに添加した。混合物を濾過し、該固体を水(650mL)で洗浄した。該固体を45℃で一夜真空乾燥させ、140gのわずかに湿った不均質の生成物、
20を得た。HPLC面積%純度=92.8%。
【0084】
22を調製するための20のアセチル化/脱保護
アセチル化:2Lのロトバップ用フラスコ中の
20(138g、0.178モル)に、IPA(イソプロピルアセテート、1400mL、10mL/g)を添加した。該溶液を40℃でロータリー・エバポレーターに付して油状物にまで蒸発させた。該操作を繰り返した。次に、乾燥IPA(550mL)を該油状物に加え、その中身をN
2下で1Lの反応フラスコに移した。ロトバップ用フラスコを140mLのIPAcで洗浄し、反応フラスコに流した。DMAP(8.72g、0.4当量)、無水TEA(170mL、7当量)および無水酢酸(100.6mL、6当量)を加え、該混合物を攪拌し、35℃に加熱した。混合物を35℃に加熱し、反応をHPLC/TLCでモニター観察した。反応終了後、
20の不在(合計で3時間)により示されるように、該混合物を19.7℃に冷却し、塩化アンモニウム飽和溶液(552mL)を加えた。15分間攪拌した後、該混合物を分離漏斗に移し、層を分離した。280mLの水を有機層に加え、該混合物を4分間攪拌し、層を分離した。有機層を2Lのロトバップ用フラスコに移し、分離漏斗の中身の残りを200mLのIPAで洗浄し、ロトバップ用フラスコに流した。混合物を40℃で蒸発乾固させ、淡黄色油状泡沫体として約123gの
21を得た。
【0085】
脱保護:21(124g)含有のロトバップ用フラスコに、メタノール(970mL、7mL/g)を添加した。HPLC/TLC用のサンプリングを1時間の間隔で開始し、続けた。
21/メタノール溶液を3L反応フラスコに移し、攪拌を始めた。ロトバップに残っている中身を400mLのメタノールで洗浄した。酢酸(410mL、3mL/g)および水(275mL、2mL/g)を加え、反応混合物を50℃〜55℃に加熱し、HPLC/TLCで、生成物、
22の形成について1時間の間隔でモニター観察した。反応終了後(約9時間)、混合物を室温に冷却し、10Lのロトバップ用フラスコに移した。n−ヘプタン(2x1370mL、1x1000mL)およびIPA(2x1370mL、1x1500mL)への溶媒交換を行った。IPA(280mL、2mL/g)およびシリカ(140g、1g/g)を加え、自由流動性固体が得られるまでその中身を40℃でロータリー・エバポレーターに付して蒸発させた。乾燥シリカ混合物をシリカパッド(7cmカラム、280gシリカ)に充填し、2:1 n−ヘプタン/IPA(500mL、2mL/gシリカ)で条件付けし、すべての不純物がTLCで示される場合に除去されるまで、2:1 n−ヘプタン/IPA(2mL/gシリカ、合計3400mL)(x4)、および1:1 n−ヘプタン/IPA(合計3020mL、2mL/gシリカ)(x4)で洗浄した。各洗浄液(約840mL)を別々のフラクションとして集め、TLCにより解析した。次に、シリカパッドをwaEtOAc(EtOAc中1%水、1%AcOH)(x5)(合計3950mL、2mL/gシリカ)で、および1:1 MeOH/EtOAcで洗浄し、各洗浄液(約840mL)を集めた。HPLC/TLCで示される
22含有のフラクションを集め、40℃で蒸発乾固させた。フラスコ中の残留物を:最初に、1055mLのIPAおよび550mLのn−ヘプタンで、次に、830mLのIPAおよび410mLのn−ヘプタンで溶解させ、蒸発乾固させた。ついで、500mLのIPAを残留物に加え、該溶液を2Lの丸底フラスコに移し、140mLのn−ヘプタンを加えた。得られた溶液を40℃でロータリー・エバポレーターに付して蒸発させ、
22を泡沫体として得た。160mLのIPAを、つづいて800mLのトルエンを該フラスコに添加した。溶媒の半分が除去されるまで、該溶液を真空下50℃でロータリー・エバポレーターに付して蒸発させた。フラスコを攪拌し、21℃に1.5時間冷却した。固体を濾過し、165mLのトルエンで洗浄し、40℃で乾燥させ、62.6gの
22を得た。HPLC面積%=96.9%。
【0086】
アセタール形成:化合物22から23へのアセタール形成
22(25g、42.4ミリモル)含有の3Lの反応フラスコに、375mLのトルエンを加え、反応物を約−15℃に冷却した。TFA(9.8mL、3.0当量)をゆっくりと加え、つづいてアクロレイン・ジエチル・アセタール(8.7g)を添加し、
22の<3%が残るようになるまで、反応をHPLCでモニター観察した。シリカ(25g)と水(25%)を混合することで水和シリカを調製し、K
2CO
3(17.6g、3.0当量)の水中溶液(
22が1gに付き1mL)と50gシリカを混合することにより「塩基性化シリカ」混合物を調製した。反応完了後に、水和シリカを反応混合物に加え、それを
<5℃で30−45分間攪拌した。次に、塩基性化シリカを、
<5℃およびpH>5で該混合物に加えた。約15分間攪拌した後、混合物を濾過した。シリカを約20mL/gのトルエンで洗浄し、濾液を合わせて濃縮した。残渣を1mL/gのトルエンで約4時間消化させた。得られた固体を濾過し、80:20のトルエン/ヘプタンで洗浄し、25gの23を得た。HPLC面積%=98%。質量収率=66%。
【0087】
化合物23から化合物15a.2の調製
1Lの反応フラスコ(500mLのTHFでリンスした)中で攪拌するTHF(300mL、8mL/g)に、
23(35.7g、0.0570モル)を添加した。該反応混合物に、精製されたカップリング剤
10a(30.9g、1.25当量)を、つづいてNMM(11.5mL、1.8当量)、DMAP(2.77g、0.4当量)およびTHF(75mL、2mL/g)を添加した。N
2をフラスコの底から通気しながら混合物を攪拌し、固体を混合して溶解させた。次に、塩化ピバロイル(11.5mL、1.6当量)を該反応混合物に添加した。混合液を38℃±4℃に加温した。1時間経過した後、該反応物を2℃に冷却した。MeOH中0.5N HCl(280mL、約20mL/mL NMM)を加え、そのpHを1.5−1.9に維持した。混合物を2℃±2℃で攪拌し、
15a.2およびアクロレインアセタールの加水分解による副生成物の形成について、HPLC/TLCにより30分間隔でモニター観察した。2時間後、300mLの5%水性炭酸水素ナトリウムおよびIPAc(185mL、5mL/g) を加えた。反応混合液を2Lのロトバップ用フラスコに移し、60mLのIPAcでリンスした(x2)。混合物を40℃で油状物にまで蒸発させ、水を得た。200mLのIPAcを加え、中身を分離漏斗に移した。反応フラスコを100mLのIPAcでリンスし、層を分離させた。70mLの水を有機層に加え、層を分離させた。有機層を40℃でロータリー・エバポレーターに付して泡沫体にまで蒸発させ、真空オーブンにて乾燥させ、64.8gの粗
15a.2を得た。HPLC面積%=45.5%。
【0088】
精製操作:
順相クロマトグラフィー:
6インチのバリアンDACカラムにクロマジル(5Kg、10μm、100Å順相シリカゲル)を充填した。50cmの床長で9Lの空隙カラム容量(eCV)が得られた。該カラムを再生し(1eCV 80:20 waMTBE:MeOH)、再平衡状態(1eCV waMTBE、1eCV 65:35n−ヘプタン:waMTBE)にした。粗
15a.2(64.7g)をMTBE(180mL)に溶かし、約40℃に加熱した。280mLのn−ヘプタンを該溶液に加え、ポンプで該カラムに移した。次に、該カラムを65:35 n−ヘプタン:waMTBEを用いて800mL/分の速度で溶出した。34Lの前留分(約3.8eCV)を、つづいて24のフラクション(各々、500mL)を集めた。フラクション1〜23を合わせ、ロータリー・エバポレーターで濃縮して乾固させた。残渣を真空オーブンで一夜乾燥させ、41.7gの
15a.2を得た。HPLC面積%=99.4%。
【0089】
最終精製工程:
順相プールをUSP EtOH(6mL/g)に溶かし、濃縮して乾燥させる工程を3回行った。残渣をUSP EtOH(2mL/g)に溶かした。エタノール性溶液をゆっくりと攪拌しながら水(脱イオン水、20mL/g)中に滴下した。固体を真空濾過し、冷DI水で洗浄し、真空オーブン中、40℃で一夜乾燥させ、38.9gの
15a.2を得た。HPLC面積%=99.5%。
【0090】
順相クロマトグラフィーによる式15a.2のジアステレオマーの分離
ジアステレオマーの混合物を含む式
15a.2(570mg)の化合物を35:65 MTBE/n−ヘプタンに溶かす。該溶液を、35:65 MTBE/n−ヘプタンで条件付けられる、球状シリカ(YMC−1701、56g)装填のフラッシュクロマトグラフィーカラムに負荷する。該カラムを35:65 MTBE/n−ヘプタンで溶出し、フラクション(25mL)を集める。純粋な生成物を含有するフラクションを集め、プールし、白色固体としての
15a.2のジアステレオマーに濃縮する。
【0091】
実施例3
一の変形において、本願の10−アルファ化合物は以下に示される工程により調製され得る。
図5を参照のこと。
【0092】
10−DAB IIIの7,10−ジ−CBZ保護:
図5にて図示される式
16で表される10−デアセチルバッカチンIII(10−DAB III)(シグマ−アルドリッチ)が種々のタキサンの調製における中間体として使用された。10−DAB III、式
16は、まずC−7およびC−10の両方の位置が保護され、式
25のC7,C10ジ−CBZ誘導体を形成する。40℃に加温することにより式
16の10−デアセチルバッカチンIII(50g、91ミリモル)をTHF(2L、40ml/g)に溶かした。該溶液を−41℃に冷却し、ベンジルクロロホルメート(46mL、3.2当量、294ミリモル)を加え、つづいてさらに−44℃に冷却した。2.3M ヘキシルリチウム溶液(130mL、3.3当量、303ミリモル)を45分間にわたって
<−39℃で加え、45分間攪拌した。2時間後、1N HCl(400mL)およびIPAc(1L)を加え、10℃に加温した。層を分離し、IPAc層をH
2O(500mL)、飽和NaHCO
3(200mL)およびH
2O(4x500mL)で洗浄し、ついでシリカゲルパッドを介して濾過した。濾液を固体が形成され始めるまで濃縮した。IPAc(850mL)を添加し、混合物を60℃に加熱した。ヘプタン(800mL)を添加し、該溶液を冷却し、濾過した。濾過で集めた固体をヘプタンで洗浄し、減圧下45℃で乾燥させ、式
25を得た。
【0093】
化合物25と9a.1のカップリング:
次に、式
25の化合物を側鎖とカップリングさせ、式
26の化合物を形成した。ここで、側鎖の式
9a.1の化合物(38g、99.6ミリモル)をトルエンに0.095g/mLまで溶かした。この溶液を式
25の化合物(54.0g、66.4ミリモル)に添加した。該溶液を温水浴にて加熱し、トルエン(540mL)中のDMAP(8.13g、66.4ミリモル)およびDCC(25.3g、120ミリモル)を添加した。3時間後、さらにトルエン(140mL)中のDCC(13.0g)を加えた。約25.25時間後、MTBE(450mL)を加え、該混合物をシリカゲルパッドを介して濾過し、MTBE、酢酸エチルで洗浄し、濃縮して式
26の化合物を61.8gの油状物として得た。
【0094】
7,10−ベンゾイル基の脱保護:
次に、式
26の化合物をC7およびC10の両方で脱保護し、式
27の化合物を得た。THF(300mL)および濃HCl(22mL)溶液を、式
26の化合物(61.8g、52.5ミリモル)のTHF(15mL/g、920mL)中溶液に窒素下で加えた。触媒(10%Pd/C+50%水、99.1g)を加え、フラスコを窒素で3回、ついで水素で3回フラッシュさせた。反応混合液を水素バルーン下で21時間攪拌した。HPLCは38面積%の出発物質がまだ残っていることを示した。水(10mL)を加え、攪拌を続けた。20時間後、HPLCは同量の出発物質がまだ残ったままであることを示した。反応混合物はセライトを介して濾過され、THFで洗浄された。過剰なTHFを除去し;新たな触媒(101g)を加え、反応混合物を再びチャージした。さらに24時間後、さらなる触媒(20g)を加えた。さらに1時間経過した後、該反応混合物をセライトを介して濾過し、IPAcで洗浄した。合わせた濾液をNH
4Cl溶液(500mL)、水(500mL)、5%NaHCO
3(500mL)、H
2O(300mL)および食塩水(300mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ、濾過し、濃縮して式
27の化合物の泡沫体(42.5g)を得た。
【0095】
化合物27のジシリル化:
次に、式
27の化合物を式
28の化合物に変換した。式
27(41.4g、52.5ミリモル)を室温でDCM(500mL)に溶かした。この場合、不純物は水であり、Na
2SO
4を該溶液に加え、該溶液を濾紙を通して2Lのフラスコに濾過した。固体を集め、DCM(250mL)で洗浄し、洗浄液をフラスコに移した。TEA(35mL)を、つづいてDMAP(1.28g)およびTES−Cl(約30mL、3.5当量)を該溶液に添加し、攪拌させた。付加的にTES−Cl(15mL)およびTEA(20mL)を加え、6時間後には、HPLCは反応が完了したことを示した。次に、反応をエタノール(25mL)でクエンチさせた。層を分離し、有機層を飽和NH
4Cl(約500mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濃縮した。フラッシュカラムにシリカゲルを装填し、8:2 ヘプタン/IPAc(1.5L)でウェットな状態にした。固体を8:2 ヘプタン/IPAc(250mL)に溶かし、濾過して固体を除去した。この溶液を濃縮して約100mLとし、該カラムに注いだ。カラムを8:2 ヘプタン/IPAcで溶出した。生成物を含むフラクションをプールし、式
28の泡沫体(24.5g)を得た。
【0096】
化合物28の酸化:
次に、式
28の化合物を酸化し、式
29の化合物を形成した。固形Na
2SO
4を式
28(24.5g、24.0ミリモル)および4−メチルモルホリンN−オキシド(10.1g、84ミリモル)のDCM(340mL)中溶液に加えた。該混合物を1時間攪拌し、ついで24cmの溝を付した濾紙を介してフラスコに濾過した。Na
2SO
4固体をDCM(100mL)で洗浄し、洗浄液を該フラスコに移した。モレキュラ・シーブス(6.1g、0.15g/g)を該溶液に加え、攪拌を始めた。TPAP(1.38g)を加え、反応物をN
2ブランケット下で攪拌させ、HPLCによりモニター観察した。2時間後に付加的にTPAP(0.62g)を、15時間後に再び(0.8g)を添加した。反応混合液をシリカゲル(86g)パッドに注ぎ、8:2 ヘプタン/IPAcでウェットな状態にし、IPAcで溶出させた。フラクションを集め、油状物に濃縮した。4−メチルモルホリンN−オキシド(5.0g)およびDCM(100mL)を加え、攪拌させた。Na
2SO
4(13g)を該混合物に加え、それを濾紙を通して濾過した。Na
2SO
4固体をDCM(45mL)で洗浄した。モレキュラ・シーブス(5g)およびTPAP(1.03g)を該溶液に加え、45分後に、さらにTPAP(1.05g)を加えた。シリカゲルのパッドを調製し、80:20 ヘプタン/IPAcでウェットな状態にした。反応混合液を該パッドに注ぎ、IPAcで溶出させた。生成物を含むフラクションを集め、プールし、濃縮して式
29の油状生成物(21.8g)を得た。
【0097】
ジケトン29での還元:
式
29の化合物を還元して式
30の化合物を形成した。NaBH
4(365mg、6当量)を、式
29(1.6g)の、氷水浴にて冷却したエタノール(19mL)およびメタノール(6.5mL)中攪拌溶液に添加した。1時間後、該混合物を氷水浴より外し、2時間で、反応は完了した。該混合物を氷水浴にて冷却し、NH
4OAcのメタノール(15mL)中溶液を加え、つづいてIPAc(50mL)およびH
2O(20mL)を添加して分離させた。有機層を水(20mL)および食塩水(10mL)、水(15mL)および食塩水(10mL)で洗浄し、ついで水で2回(2x15mL)洗浄した。それをNa
2SO
4で乾燥させ、冷凍庫に一夜置いた。HPLC用のサンプルを採取し、反応物を乾燥させ、有機層をロータリー・エバポレーターで濃縮させた。それを真空オーブンに入れ、式
30の泡沫生成物(1.45g)を得た。
【0098】
化合物30の位置選択的アセチル化:
次に、式
30の化合物をアシル化し、式
31の化合物を形成した。TEA(5.8mL、41.5ミリモル)、Ac
2O(2.62mL、27.7ミリモル)およびDMAP(724mg、5.5ミリモル)を、式(11)(14.1g、13.8ミリモル)のDCM(50mL)中溶液に添加した。該反応液を攪拌させ、HPLC用にサンプルを採取した。18.5時間後、付加的なTEA(1.5mL)およびAc
2O(1mL)を加えた。19時間で、反応混合物をIPAc(300mL)で稀釈し、5%NaHCO
3(100ml)中に注いだ。次に、該混合物を攪拌し、分離し、有機層を水(100mL)、飽和NH
4Cl(2x100mL)、水(3x50mL)および食塩水(50mL)で洗浄し、ついでNa
2SO
4を介して濾過した。該混合物を濃縮し、式
31の泡沫生成物(14.6g)を得た。
【0099】
化合物31の脱シリル化:
式
31の化合物を式
13a.2の化合物に変換した。一定量の式
31(3.0g、2.83ミリモル)を秤量して100mLのフラスコに入れた。DCM(24mL)を、つづいてメタノール(6mL)を該フラスコに加え、カンファースルホン酸(CSA)(0.0394g、0.17ミリモル)を加えた。4時間後、5%NaHCO
3(15mL)を添加し、該混合物を振盪して、分離漏斗に移した。反応フラスコを5%NaHCO
3(25mL)でリンスして層を分離した。有機層を食塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濃縮した。MTBE(3x25mL)を加え、反応混合物を濃縮乾固させて3.71gの泡沫体を得た。該泡沫体をMTBE(10mL)に溶かし、攪拌した。ヘプタン(50mL)を該反応溶液に添加した。固体を真空濾過に付し、ヘプタン(720mL)でリンスした。固体を集め、真空オーブン中40℃で乾燥させ、式
13a.2(2.18g)の化合物を得た。
【0100】
14a.2および15a.2の合成:
式
13a.2の化合物を、
13b.1を
14b.1に、ついで
15b.1に変換するのに記載される実験条件を用いて、式
14a.2の化合物に、ついで式
15a.2の化合物に変換した。
【0101】
実施例4
もう一つ別の変形にて、本願の10−ベータ化合物は、以下に記載される工程により、より効率よく調製され得る。
図7も参照のこと。
【0102】
【化23】
9−DHB−7,9−PMBアセタール:
5b.1(9−DHB、16ミリモル、10.1g)を秤量して250mLのRBフラスコに入れ、40mLのACNを室温で添加し、得られた混合物を攪拌した(9−DHBはこの濃度で完全には溶解できなかった)。8.17mL(48ミリモル)の4−メトキシベンジレデン・アセタールを、つづいて149mgのカンファースルホン酸を加え、15分間攪拌した。20分後、該混合物を100mLの炭酸水素ナトリウム飽和溶液に注ぎ、EtOAc(2x100ml)で抽出した。有機層を合わせ、食塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させて濃縮した。粗生成物を7:3〜4:6 ヘプタン:EtOAcを用いてフラッシュカラムで精製し、11.9gの生成物
5b.2を収率92%で得た。
【0103】
【化24】
アベオ−タキサン形成:
RBフラスコに含まれる、12.2gの化合物
5b.2(9−DHBのPMBアセタール、16.3ミリモル)に、163mL(0.1モル濃度)の湿式トルエン(底に5mlの水を含有するボトルで貯蔵され、その結果、水で飽和されている、トルエン)を添加した。
該フラスコの中身を攪拌し、氷をいくらか含有する水浴中で14℃に冷却した。トルエン中2%TFA(163mL)を1分間にわたって該フラスコに添加し、攪拌を続けた。反応の進行を、出発物質の保持時間を5.58分で、生成物の保持時間を5.80分で示す、タキサン_MKG10法によるHPLC(シナジーカラム、ACN60%10分、2分100%CAN、230nm、1.5ml/分、30℃)でモニター観察した。4時間45分後に(この時点でHPLC分析は5%出発物質、60%生成物および保持時間が3.70(7%)、3.89(26%)および9.5(2%)の3種の副生成物を示した)、200mLの炭酸水素ナトリウム飽和水溶液に注ぐことで反応をクエンチさせた。トルエン層 を分離し、炭酸水素塩層を100mLのEtOAcで2回再抽出させた。有機層を合わせ、100mLの食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータリー・エバポレーターで濃縮させた。粗生成物をオーブン中で一夜乾燥させ、6:4のヘプタン:EtOAc(EtOAcは2%H
2Oおよび1%AcOHで飽和状態にある)中、クロマジル順相シリカゲル(10μm、100Å)を用いる順相クロマトグラフィーにより精製し、9.2g(60%)のアベオ−タキサン転位生成物
7b.1を得た。
【0104】
【化25】
13−脱アセチル化:
8.23g(11ミリモル)の9−DHB−7,9−PMBアセタール
7b.1を220mLの無水THF(HPLC等級のTHF、4Åモレキュラ・シーブス上)に加え、その溶液(0.05M)を窒素下で攪拌し、(アセトン−ドライアイスの混合物で)−60℃に冷却した。37mLのフェニルリチウム(66ミリモル、ジ−n−ブチルエーテル中1.8M溶液)を10分間にわたって滴下した。10分後の反応物の6:4 EtOAc:ヘプタンを用いるTLCは該反応が完了したことを示した。反応混合液を塩化アンモニウム飽和水溶液(150mL)に注いだ。層を分配し、混合物を100mLの酢酸エチルで3回抽出した。有機層を合わせ、食塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させて濃縮した。粗生成物を、シリカゲル、1:4および1:1のEtOAc ヘプタンを用いる、フラッシュクロマトグラフィーで精製し、13−脱アセチル生成物
8b.1(5.4g)を収率70%で得た。
【0105】
【化26】
カップリング反応:
2.6gの2,6−ジメトキシベンジリデンアセタール保護の側鎖ナトリウム塩
10a.2aをEtOAc(25ml)に溶かし、重硫酸ナトリウム飽和溶液(50ml)に注いだ。二相性層を分離漏斗にて5分間しっかりと混合し、有機層を分離し、食塩水(20ml)で2回洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させて2.5gの遊離酸
10a.2を得た。2.5g(6.1ミリモル)の酸
10a.2、2.4g(3.4ミリモル)のPMB保護の13−ヒドロキシ−アベオ−タキサン
8b.1、200mg(1.7ミリモル)のDMAPを秤量し、そのフラスコをセプタムで栓をした。23mLの乾燥THFおよび1mL(9.5ミリモル)のN−メチルモルホリン(NMM)を加え、混合物をN
2雰囲気下で攪拌した。反応混合物を35±4℃に加温し、1mL(8.1ミリモル)のトリメチルアセチルクロリドを3回に分けて添加した。反応物を30分間攪拌した。THFを蒸発させ、反応混合物を炭酸水素ナトリウム飽和溶液(25ml)に注ぎ、EtOAc(2x20ml)で抽出した。有機層を合わせ、食塩水(25ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮した。粗生成物を高真空下で乾燥させ、4:1〜7:3 ヘプタン:EtOAcを用いるシリカゲルクロマトグラフィーに付して精製し、3.3gの精製された結合エステル
32を収率89%にて得た。
【0106】
【化27】
ケタール脱保護:
0.22gの結合エステル
32(0.2ミリモル)を秤量し、還流式冷却器を備えた100mLのRBフラスコに入れ、6.6mLのMeOHを添加し、該混合物(0.03M)を窒素下で攪拌した。フラスコを35℃±4℃に加温し、2.2mLの0.1N HClを5分間にわたって滴下した。出発物質が完全に消費されるまで攪拌を続けた。反応液を室温に冷却し、pHが約9になるまで、水性炭酸水素ナトリウムでクエンチした。MeOHをロータリー・エバポレーター上で蒸発させ、15mLのEtOAcをフラスコに加えた。反応混合液を分配し、EtOAc層を分離した。水層を15mLのEtOAcで2回以上抽出した。有機層を合わせ、15mLの食塩水で洗浄し、濃縮して粗生成物を得、それを7:3 ヘキサン:EtOAcを用いるフラッシュクロマトグラフィーに付して精製し、0.11gの
15b.2を収率70%にて得た。
【0107】
実施例5
アベオ−タキサンを合成する方法の一の変形にて、種々のアベオ−タキサンが以下に記載の対応するタキサンより効率的に調製され得る。
図1も参照のこと。
【0108】
【化28】
9−DHBのアベオ−タキサンへの直接的変換:
0.946gの9−DHB(1.5ミリモル)を65mLの湿式トルエンに溶かし(0.0225M)、その反応フラスコを数個の氷を含有する水浴中にて15℃に冷却した。65mLの湿式トルエン中2%TFAを一度に加え、15℃で反応物を攪拌し続けた。
反応の進行を、出発物質の保持時間を5.02分で、所望の生成物の保持時間を5.98分で示す、タキサン_MKG5法によるHPLC(シナジーカラム、ACN:H
2O 40:60 9分、2分100%CAN、230nm、1.5ml/分、30℃)で15分間隔でモニター観察した。1時間50分後に(この時点でHPLC分析は10%出発物質、57%生成物および保持時間が4.79(9%)、4.09(13%)、3.71(7%)および7.16(4%)の4種の副生成物を示した)、20mLの炭酸水素ナトリウム飽和水溶液に注ぐことで反応をクエンチさせた。トルエン層 を分離し、炭酸水素塩層を10mLのEtOAcで2回再抽出させた。有機層を合わせ、10mLの食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータリー・エバポレーターで濃縮させた。粗生成物をオーブン中で一夜乾燥させ、45:55のヘプタン:EtOAc(EtOAcは2%H
2Oおよび1%AcOHと飽和状態にある)中、クロマジル順相シリカゲル(10μm、100Å)を用いる順相クロマトグラフィーにより精製し、0.52g(56%)の転位生成物
6bを得た。
【0109】
実施例6
一の変形にて、10−ベータタキサンの7,9−アセタール/ケタール類似体は、以下に記載の一般的操作に従って、対応するジオール
13b.2より調製され得る。
【0110】
【化29】
10−ベータタキサンの酸触媒性アセタール/ケタール形成:
25mgの
13b.2(0.03ミリモル)、5mgのモンモリロナイト−K10および0.4ミリモルの対応するジメチル/ジエチルアセタールを秤量し、オーブン乾燥のセプタムを備えた反応フラスコに入れるか、またはテフロン製キャップのある4mLのバイアルに入れた。1mLのアセトニトリルを加え、反応混合物を窒素雰囲気下の室温で攪拌した。反応物のpHは約6であった。反応物のpHが約3−3.5になるように、1ないし2マイクロリットルのTFAを添加した。反応混合物を約2〜5時間攪拌し、ついで2mLの水性炭酸水素ナトリウムでクエンチし、該溶液をセライト床で濾過し、3x5mLのACNで洗浄し、濾液をロータリー・エバポレーターで濃縮させた。粗生成物をヘプタン/EtOAcを用いるシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製した。上記した操作を用いて以下のアセタール/ケタール
14bが良好な収率(60−90%)で調製された。すべての化合物は1H NMRおよびHRMSで特徴付けられ、その純度はHPLCで決定された。
【0111】
10−ベータタキサンアクロレインアセタール(14b.2)
【化30】
+TOF MS:m/z 870.4162 [M+H]
【0112】
10−ベータタキサン−2,2−ジメチルケタール(14b.3)
【化31】
+TOF MS:m/z 872.4307 [M+H]
【0113】
10−ベータタキサン−2−メチルプロペニルアセタール(14b.4)
【化32】
+TOF MS:m/z 898.4468 [M+H]
【0114】
10−ベータタキサン2,6−ジメチル−1,5−ヘパジエニルアセタール(14b.5)
【化33】
+TOF MS:m/z 966.5098 [M+H]
【0115】
10−アルファタキサンヘキサナルアセタール(14b.6)
【化34】
+TOF MS:m/z 914.4696 [M+H]
【0116】
10−ベータタキサンベンジリデンアセタール(14b.7)
【化35】
+TOF MS:m/z 920.4224 [M+H]
【0117】
実施例7:
10−アルファアベオ−タキサンの7,9−アセタール/ケタール類似体は、以下に記載されるように化合物15a.2をアセタール脱保護することで調製される対応するジオール15a.0より調製され得る。
【0118】
10−アルファアベオータキサンのアセタール脱保護
【化36】
2.2gのアクロレインアセタール
15a.2(2.53ミリモル)を評量し、還流式冷却器を備えた250mLのRBフラスコに入れ、50mL(0.05M)のMeOHを加え、混合物を窒素下で撹拌した。フラスコを35℃±4℃に加温し、16.6mL(MeOH容量の1/3)の0.1N HClを5分間にわたって滴下し、一夜撹拌し、反応を完了させた。MeOHをロータリー・エバポレーターで蒸発させ、反応混合物を飽和NaHCO
3(50ml)中に注ぎ、40mLのEtOAcで2回抽出した。有機層を合わせ、30mLの食塩水で洗浄し、濃縮して粗生成物を得、それを3:7 ヘキサン:EtOAcを用いるシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーに付して精製し、1.74gの
15a.0を収率83%で得た。
【0119】
10−アルファアベオ−タキサンの酸触媒性アセタール/ケタール形成:
【化37】
25mgの15a.0(0.03ミリモル)、5mgのモンモリロナイト−K10および0.4ミリモルの対応するジメチル/ジエチルアセタールを評量し、セプタム装着のオーブン乾燥した反応フラスコまたはテフロン製キャップの4mLのバイアルに入れた。1mLのアセトニトリルを加え、反応混合物を窒素下で撹拌した。反応生成物のpHは約6であった。1ないし2マイクロリットルのTFAを加え、反応物のpHを3−3.5とした。反応混合液を約2〜5時間撹拌し、ついで2mLの水性炭酸水素ナトリウムでクエンチし、該溶液をセライト床で濾過し、3x5mLのACNで洗浄し、濾液を合わせ、ロータリー・エバポレーターで濃縮させた。粗生成物をヘプタン/EtOAc溶媒系を用いるシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーに付して精製した。以下のアセタール/ケタール15aを上記した一般的操作を利用して良好な収率(60−90%)にて調製した。化合物のすべてを1H NMRおよびHRMSで特徴付けし、その純度をHPLCで測定した。
【0120】
10−アルファアベオ−タキサン−2−メチルプロペニルアセタール(15a.3)
【化38】
+TOF MS:m/z 915.4571 [M+18]
【0121】
10−アルファアベオ−タキサン−2,6−ジメチル−1,5−ヘプタジエニルアセタール(15a.4)
【化39】
+TOF MS:m/z 983.5178 [M+18]
【0122】
10−アルファアベオ−タキサンベンジリデンアセタール(15a.5)
【化40】
+TOF MS:m/z 937.4593 [M+18]
【0123】
MTT細胞増殖検定:
【0124】
これら実験の目的は、以下に列挙したアベオ−タキサン類似体とその標準となるタキサン類似体の、多剤耐性細胞およびその親感受性細胞系における細胞毒性を比較し、これら一連の化合物が親感受性ラインにて観察される毒性と、薬剤耐性ラインにおける毒性と同様のレベルを示すことを明らかにすることであった。
【0125】
方法
MTTをベースとする細胞毒性アッセイを、多剤耐性を示す、ヒト癌細胞ラインおよび対をなすサブラインを用いて実施した。これらのラインは、子宮肉腫ライン、MES−SA(Harker, W.G.; MacKintosh, F.R.; Sikic, B.I., Development and characterization of a human sarcoma cell line, MES-SA, sensitive to multiple drugs. Cancer Res. 1983, 43, 4943-4950)およびそのドキソルビシン耐性サブライン、MES−SA/Dx5(Harker, W.G.; Sikic, B.I., Multidrug (pleiotropic) resistance in doxorubicin-selected variants of the human sarcoma cell line MES-SA. Cancer Res. 1985, 45, 4091-4096)を包含した。MES−SA/Dx5は、ビンブラスチン、タキソール、コルヒチン、ビンクリスチン、エトポシド、ダクチノマイシン、ミトキサントロンおよびダウノルビシンを含む多くの化学療法薬に対して著しい交差耐性を示し、マイトマイシンCおよびメルファランに対して中程度の交差耐性を示す。しかしながら、ブレオマイシン、シスプラチン、カルムスチン、5−フルオロウラシルまたはメトトレキセートに対する耐性は観察されていない。MES−SA/Dx5細胞は高レベルのABCB1(MDR1)mRNAおよびその遺伝子産物、P−糖蛋白を発現する。MES−SAおよびMES−SA/Dx5はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC、Manassas, VA)より購入した。
【0126】
一連の第二の試験される細胞、CCRF−CEMまたは簡単にはCEMを急性リンパ芽球性白血病の患者の血液より得た(Foley,G.E.; Lazarus,H.; Farber,S.; Uzman,B.G.;Boone,B.A.; McCarthy,R.E.、Continuous Culture of Human Lymphoblasts from Peripheral Blood of a Child with Acute Leukemia. Cancer 1965, 18, 522-529)。ビンブラスチンに対して100ng/mlで耐性であるサブラインのCEM/VLB
100を開発した(Beck,W.T.; Mueller,T.J.; Tanzer,L.R.、Altered surface membrane glycoproteins in Vinca alkaloid-resistant human leukemic lymphoblasts. Cancer Res 1979, 39, 2070-2076)。薬剤耐性はMDR1遺伝子を過剰発現させることで得られる。しかしながら、CEM/VM−1−5で称されるCEMサブラインにおける耐性は「非定型」である(Danks,M.K.; Yalowich,J.C.; Beck,W.T.、Atypical multiple drug resistance in a human leukemic cell line selected for resistance to teniposide(VM-26). Cancer Res. 1987, 47, 1297-1301)。「古典的な」多剤耐性表現型に含まれる一連の薬物はビンカアルカロイド、アントラサイクリン、エピポドフィロトキシンおよび抗生物質である。しかしながら、CEM/VM−1−5細胞は、エトポシド、アントラサイクリンおよびミトキサントロンに対して耐性および交差耐性であるにもかかわらず、ビンカアルカロイドに対して感受性を保持している(Danks,M.K.; Schmidt,C.A.; Cirtain,M.C.; Suttle,D.P.; Beck,W.T.、Altered catalytic activity of and DNA cleavage by DNA topoisomerase II from human leukemic cells selected for resistance to VM-26. Biochemistry 1988, 27, 8861-8869)。CEM/VM−1−5細胞における耐性はABCC1(MRP1)遺伝子の過剰発現によりもたらされる。CEM、CEM/VLB
100およびCEM/VM−1−5細胞はシカゴ、イリノイ大学、Dr. WT Beckから入手した。
試験化合物の種々の濃度についての記載:
【表1】
【表2】
【0127】
MTS増殖アッセイ:
1日目:96ウェルの組織培養プレート、ファルコン(Falcon)において、試験すべき各薬物について一のプレートで、100μL中、ウェル当たり5x10
3の密度で、細胞を適切な培地に入れた。カラム1はブランクであり;そこは培地を含むが、細胞は含まれていない。プレートを5%CO
2中37℃で一夜インキュベートして結合させた。2日目:培地に希釈した薬物を0.005nM〜10μMの濃度で4通りにて細胞に加えた。薬物を照射した48−72時間後に、MTS剤をすべてのウェルに加え、CellTiter 96(登録商標)AQueous Non-Radioactive Proliferation Assay (MTS),Promegaの通り、細胞の型に応じて、1−6時間(37℃、5%CO
2)インキュベートした。プレートをBio-Tek Synergy HT Multi-検出マイクロタイタープレートリーダーを用いて490ナノメーターの波長で処理し、データをKC4V.3ソフトウェアで処理した。薬物濃度:吸光度のデータをプロットし、各試験化合物のIC
50値を推定した。
【0128】
以下に要約されるように、種々の細胞ラインの各々における各試験化合物のIC
50値を決定した。臨床用比較薬物、パクリタキセルを該実験に含め、候補化合物の結果をタキサン種の臨床的に関連する基準と比較した。
【0129】
試験したすべての化合物の結果は広範囲のIC
50値を有し、そのいくつかは実際に試験した薬物の範囲外より推定され、そこで<0.002nMで表される。MDR陰性細胞ライン、KB、SKNAS、DU145、MDAMB435およびHT29はすべて、IC
50<0.002nMであって、パクリタキセルに感受的な細胞ラインであり、それに対してMDR陽性細胞ライン、KBV、MV522/Mdr1、MESSA/DOXはパクリタキセルに対してほとんど感受的ではなく、500nM以上のIC
50値を有する。
【0130】
これらの結果は、パクリタキセルがMDR1薬排出ポンプについて優れた基質であることを示す公開実験の結果と一致するものであり、すなわち、MDR陰性細胞ラインと比べて、MDR陽性細胞ラインにて同等な細胞毒性に達するのに有意に高い薬物レベルを必要とする。アベオ−タキサン15a.2に関する結果から分かるように、本願の化合物は、MDRを示す、およびMDRを示さない両方の癌細胞ラインに対して、IC
50が1マイクロモルより小さい、同様の細胞毒性を提供する。したがって、本願の化合物は活性な抗癌剤であることが示される。
【表3】
【0131】
実施例4
一の実施態様にて、チューブリン蛋白のアセンブリー検定は、下記の操作に従って実施された:Mathew AE、Mejillano MR、Nath JP、Himes RH、Stella VJ、「Synthesis and Evaluation of Some Water-Soluble Prodrugs and Derivatives of Taxol with Antitumor Activity」、J.Med.Chem.、35, 145-151(1992)およびGeorg GI、Cheruvallath ZS、Himes RH、Mejillano MR、Burke CT 「Synhtesis of Biologically Active Taxol Analogs with Modified Phenylisoserine Side Chain」、J.Med.Chem., 35, 4230(1992)。
データを以下に示す:
【表4】
【0132】
細胞毒性の結果で示されるように、アベオ−タキサン類似体15a.2は、意外にも、数種の認識されているチューブリン結合剤と比べて、この結合アッセイプロトコルにてチューブリンに対して大きな親和性を示す。本願の付加的な化合物も同様にチューブリンに対して高い親和性を示し、パクリタキセルのような抗癌剤として、または他のタウおよびチューブリン関連疾患を治療するための有望な薬物として、該化合物を有用とする可能性があると期待される。
【0133】
多くの例示としての実施態様、態様および変形が本明細書にて提供されるが、当業者は特定の修飾、置換、付加およびコンビネーションを、ならびに該実施態様、態様および変形の特定のサブコンビネーションを認識するであろう。添付される特許請求の範囲は、かかるすべての修飾、置換、付加およびコンビネーション、ならびに該実施態様、態様および変形の特定のサブコンビネーションが本発明の範囲内に含まれると解釈されることを意図とするものである。
【0134】
本明細書にて引用される文献の開示はすべて、出典明示により本明細書の一部とされる。