特許第5970537号(P5970537)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5970537キナーゼ阻害薬として活性な置換ピリミジニル−ピロール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5970537
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】キナーゼ阻害薬として活性な置換ピリミジニル−ピロール
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20160804BHJP
   C07D 403/04 20060101ALI20160804BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20160804BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20160804BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20160804BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20160804BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20160804BHJP
   C12N 9/99 20060101ALN20160804BHJP
【FI】
   C07D401/14CSP
   C07D403/04
   A61K31/506
   C07D405/14
   A61P43/00 121
   A61K45/00
   A61P35/00
   !C12N9/99
【請求項の数】8
【全頁数】71
(21)【出願番号】特願2014-505570(P2014-505570)
(86)(22)【出願日】2012年4月5日
(65)【公表番号】特表2014-516360(P2014-516360A)
(43)【公表日】2014年7月10日
(86)【国際出願番号】EP2012056266
(87)【国際公開番号】WO2012143248
(87)【国際公開日】20121026
【審査請求日】2015年4月2日
(31)【優先権主張番号】11162960.6
(32)【優先日】2011年4月19日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】307012403
【氏名又は名称】ネルビアーノ・メデイカル・サイエンシーズ・エツセ・エルレ・エルレ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラスカ,マリア・ガブリエツラ
(72)【発明者】
【氏名】バンデイエラ,テイツイアーノ
(72)【発明者】
【氏名】バートランド,ジエイ・アーロン
(72)【発明者】
【氏名】ニヨツキ,パオラ
(72)【発明者】
【氏名】ミリツツイ,ダニロ
(72)【発明者】
【氏名】ネージ,マルチエツラ
(72)【発明者】
【氏名】パンツエリ,アキツレ
【審査官】 東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−531373(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0204386(US,A1)
【文献】 特表2011−518866(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/046416(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(2,5−ジクロロフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(2−クロロ−5−エチルフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−エチルフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(2−クロロ−5−メチルフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(2−クロロ−5−シアノフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−ブロモ−2−メトキシフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2−クロロ−5−(ヒドロキシメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(2−クロロ−5−メトキシフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2−クロロ−5−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2−メチル−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[5−クロロ−2−(プロパン−2−イル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2−エチル−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[5−クロロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−シアノ−2−メチルフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−メチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−エチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−[2−(ピペリジン−1−イル)エチル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−フェニル−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−(フラン−2−イルメチル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−(3−ヒドロキシプロピル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−(2−メトキシエチル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−(2−フルオロエチル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N,N−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
N−(2−アミノエチル)−5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−[2−(メチルアミノ)エチル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−N−ベンジル−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−(2−メチルプロピル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−(2,2−ジメチルプロピル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−エチルフェニル)−N−メチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−エチルフェニル)−N−エチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−エチルフェニル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−エチルフェニル)−N,N−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−N−メチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−5−[2−(メチルアミノ)ピリジン−4−イル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチル−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(ピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチル−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−5−(2−メチルピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−エチルフェニル)−1−メチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−1−メチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−1−エチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−N−メチル−2−[2−メチル−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミドおよび
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2−エチル−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−N−メチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド
からなる群より選択される化合物またはこの医薬として許容される塩。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物またはこの医薬として許容される塩の調製方法であって、
以下の工程:
工程1:式(II)
【化1】
のハロ誘導体と式(IIIa)の置換ボロン酸または式(IIIb)のボロン酸エステル:
【化2】
[式中、R1およびR2は請求項1の化合物において規定したとおりである]
との金属触媒によるカップリング反応;
工程2:得られた式(IV)
【化3】
[式中、R1およびR2は上記に規定したとおりである]、
のカルボン酸エステルの塩基性加水分解による加水分解;
工程3:得られた式(V)のカルボン酸を
【化4】
[式中、R1およびR2は上記に規定したとおりである]
NHR8R9(VI)
[式中、R8およびR9は請求項1の化合物において規定したとおりである]
の誘導体との反応によるアミド化により式(I)
【化5】
[式中、R1およびR2は上記に規定したとおりであり、R3は請求項1の化合物において規定したとおりであり、R4はNHであり、ならびにR12は水素である]
の化合物を得ること;
または
工程3a:上記に規定した式(IV)のカルボン酸エステルの上記に規定した式(VI)の誘導体との反応による直接アミド化により式(I)
【化6】
[式中、R1、R2およびR3は上記に規定したとおりであり、R4はNHでありならびにR12は水素である]
の化合物を得ること;
あるいは、
工程4:式(VII)
【化7】
[式中、R3は上記に規定したとおりである]
のハロ誘導体と式(IIIa)の置換ボロン酸または式(IIIb)のボロン酸エステル
【化8】
[式中、R1およびR2は上記に規定したとおりである]
との金属触媒によるカップリング反応により式(I)
【化9】
[式中、R1、R2およびR3は上記に規定したとおりであり、R4はNHでありならびにR12は水素である]
の化合物を得ること;
あるいは
工程5:式(VIII)
【化10】
[式中、R1およびR2は上記に規定したとおりである]
のピロールを塩化アセチルと、ルイス酸の存在下または金属亜鉛の存在下で反応させること;
工程6:得られた式(IX)
【化11】
[式中、R1およびR2は上記に規定したとおりである]
の化合物をN,N−ジメチルホルムアミドのジアルキルアセタールと反応させること;
工程7:得られた式(X)
【化12】
[式中、R1およびR2は上記に規定したとおりである]
のエナミノンを式(XI)
【化13】
[式中、R4はNR10R11であり、ならびにR10およびR11は請求項1の化合物において規定したとおりである]
の場合により置換されているグアニジンまたはこの塩と反応させること;
工程8:酸性条件で、得られた式(XII)
【化14】
[式中、R4はNR10R11であり、ここで、R10およびR11は上記に規定したとおりであり、ならびにR1およびR2は上記に規定したとおりである]
の化合物のシアノ基を、
式(I)
【化15】
[式中、R1およびR2は上記に規定したとおりであり、R3はNHであり、R4はNR10R11であり、ここで、R10およびR11は上記に規定したとおりであり、ならびにR12は水素である]
の化合物が得られるように加水分解させること;
あるいは
工程9:上記に規定した式(X)のエナミノンを式(XIII)の場合により置換されているアミジンまたはこの塩
【化16】
[式中、R4は、水素または場合により置換されている直鎖もしくは分枝鎖の(C−C)アルキルである]
と反応させること;
工程10:得られた式(XIV)
【化17】
[式中、R1およびR2は上記に規定したとおりでありならびにR4は水素または場合により置換されている直鎖もしくは分枝鎖の(C−C)アルキルである]
の化合物のシアノ基を酸性条件で、式(I)
【化18】
[式中、R1およびR2は上記に規定したとおりであり、R3は−NHであり、R4は水素または場合により置換されている直鎖もしくは分枝鎖の(C−C)アルキルであり、R12は水素である]
の化合物が得られるように加水分解させること;
場合により、請求項1で規定された化合物を請求項1で規定された別の異なる化合物に変換させること、および、所望により、請求項1で規定された化合物をこの医薬として許容される塩に変換させることまたは塩を遊離の化合物に変換させること
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項3】
JAK1、JAK2、JAK3キナーゼタンパク質の活性を阻害するためのインビトロ方法であって、前記タンパク質を有効量の請求項1に記載の化合物と接触させることを含む方法。
【請求項4】
治療有効量の請求項1に記載の化合物またはこの医薬として許容される塩、および少なくとも1種類の医薬として許容される賦形剤、担体および/または希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項5】
さらに1種類以上の化学療法剤を含む、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
抗がん治療における同時、別々または逐次使用のための併用調製物として、請求項1に記載の化合物またはこの医薬として許容される塩および1種類以上の化学療法剤を含む製品。
【請求項7】
医薬としての使用のための、請求項1に記載の化合物またはこの医薬として許容される塩。
【請求項8】
抗がん活性を有する医薬の製造における、請求項1に記載の化合物またはこの医薬として許容される塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロテインキナーゼの活性をモジュレートする特定の置換ピリミジニル−ピロール化合物に関する。従って、本発明の化合物は、キナーゼ活性の調節不全に関連している疾患、例えば、がん、細胞増殖性障害、ウイルス感染、免疫障害、神経変性障害および心血管疾患の処置に有用である。
【0002】
また、本発明は、この化合物の調製方法、この化合物を含む医薬組成物およびこの化合物を含む医薬組成物を用いた疾患の処置方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
プロテインキナーゼは、ヌクレオシド三リン酸からシグナル伝達経路に関与している受容タンパク質へのリン酸基転移に影響を及ぼすことにより細胞内シグナル伝達を媒介する。このようなリン酸化事象は、標的タンパク質の生物学的機能がモジュレートまたは調節され得る分子オン/オフスイッチとして作用し、最終的にさまざまな細胞外刺激および他の刺激に応答して誘起される。かかる刺激の例としては、環境的および化学的ストレスシグナル(例えば、浸透圧性ショック、熱ショック、紫外線、細菌内毒素およびH)、サイトカイン(例えば、インターロイキン−3(IL−3)、IL−2)ならびに増殖因子(例えば、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)およびエリスロポエチン(EPO)が挙げられる。細胞外刺激は、細胞の増殖、遊走、分化、ホルモンの分泌、転写因子の活性化、筋肉の収縮、グルコース代謝、タンパク質合成の制御および細胞周期の調節に関連している1つ以上の細胞応答に影響を及ぼすことがあり得る。
【0004】
プロテインキナーゼ(PK)の異常機能は数多くの疾患のホールマークである。ヒトのがんに関与しているがん遺伝子およびがん原遺伝子は多くの割合でPKをコードしている。また、PK活性の向上は多くの非悪性疾患に関与しており、該疾患としては、限定されないが、自己免疫疾患、炎症性疾患、乾癬、骨疾患、代謝病、神経系疾患および神経変性疾患、心血管疾患、アレルギーおよび喘息、アルツハイマー病ならびにホルモン関連疾患が挙げられる。従って、医薬品化学業界では、治療用薬剤として有効なプロテインキナーゼ阻害薬を見出すために大きな取り組みがなされている。PKの異常機能または脱調節に対する一般的な記載については、Current Opinions in Chemical Biology 1999,3:459−465、Nature Rev.Drug Discov.2002;1:309−315およびCarcinogenesis 2008,29:1087−191を参照されたい。
【0005】
JAKは、JAK1、JAK2、JAK3およびTYK2からなる非受容体型チロシンキナーゼファミリーである。JAK1、JAK2およびTYK2は哺乳動物において遍在的に発現されるが、JAK3は主に造血細胞において発現される。JAKは、造血性サイトカインおよび増殖因子のシグナル伝達に非常に重要な役割を果たしており(Nature 1995;377:591−594、Annu.Rev.Immunol.1998;16:293−322)、骨髄性細胞および免疫細胞の細胞増殖、生存、発生および分化に緊要に関与している。有効な先天性および適応的免疫応答には、生物体を感染または腫瘍から保護するための機能性JAKシグナル伝達が必要とされ、機能低下をもたらす変異は、一部の最も一般的な遺伝性の重度の免疫不全を構成している。この結果、JAK/STATシグナル伝達は、多くの異常な免疫応答、例えば、アレルギー、喘息、自己免疫疾患、移植拒絶、関節リウマチ、筋萎縮性側索硬化症および多発性硬化症の媒介ならびに充実性および血液系の悪性腫瘍(白血病およびリンパ腫など)に関与している(Immunol Rev.2009;228:273−287)。
【0006】
特に、JAK2キナーゼは、エリスロポエチン(EPO)、トロンボポエチン(TPO)、成長ホルモン(GH)、プロラクチン(PR)、ならびに共通のβ鎖受容体IL−3を介してシグナル伝達するサイトカイン、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)およびIL−5によって媒介されるシグナル伝達に排他的に関与している。また、JAK2はJak1および/またはTyk2とともに、gp130受容体を介してシグナル伝達するサイトカイン(例えば、IL−6、IL−11)、II型サイトカイン受容体(IL−10、IL−19、IL−20およびIL−22など)、p40含有サイトカイン受容体IL−12およびIL−23ならびにI型およびII型IFN受容体のシグナルに重要である(Immunol Rev.2009;228:273−287)。JAK3キナーゼは、主に造血細胞において発現され、リンパ球系の発生と機能ならびに免疫機構の恒常性に関与しているサイトカインであるIL−2、IL−4、IL−7、IL−9、IL−15およびIL−21の受容体の共有成分である共通のγ鎖(γc)と選択的に関連している。TYK2は、主にインターフェロンIL−12およびIL−23と関連しているが、IL−10およびIL−6のシグナル伝達とも関連している。これらの増殖因子およびサイトカインはすべて、骨髄性細胞の増殖および分化、炎症応答ならびにがんにおいて主体的に関与している(Blood.2009;114:1289−1298、Clin Cancer Res.2006;12:6270s−6273s、J Leukoc Biol.2010;88:1145−1156、Eur J Cancer.2010;46:1223)。
【0007】
リガンドのこの特異的受容体に対する結合により該受容体において、2つの結合JAK2分子のリン酸基転移および/または自己リン酸化を可能にするコンホメーションの変化が誘発されるようである。活性化されたJAK2は、次いで、該受容体の細胞質尾部上の特定のチロシン残基をリン酸化し、シグナル伝達性転写因子タンパク質(STAT)のSH2ドメインのためのドッキング部位を作出する。受容体に結合したら、STAT自体がJAK2によってチロシン残基のリン酸化を受ける。リン酸化されたSTATは二量体化し、核内に移行し、そこで遺伝子の転写を調節する。従って、JAK2は、チロシンリン酸化シグナル伝達機構により細胞表面から核へのシグナルの伝達を担っている(J.Immun.2007,178:2623−2629、Oncogene 2007,26:6724−6737およびCell Biochem Biophys.2006,44:213−222)。
【0008】
JAK2は、この他のJAKと同様、タンパク質のC末端側の半分において偽キナーゼドメイン(JH2)と直接隣接しているキナーゼドメイン(JH1)を特徴とする。偽キナーゼドメインの機能は該キナーゼドメインの活性を負に調節することである(N.Engl.J.Med 2006,355:2452−2466)。偽キナーゼドメインにおけるJAK2の活性化点変異(バリンからフェニルアラニンへの置換,JAK2−V617F)は、JAK2エキソン12およびTPO受容体(MPLW515L/K)における他の活性化変異とともに、骨髄増殖性障害またはMPDを有する患者の造血細胞において同定されている(Nature 2005;434:1144−8、N Engl J Med 2005;352:1779−90、Lancet 2005;365:1054−61、Cancer Cell 2005;7:387−97、Blood 2006,108:1427−1428およびLeukemia 2008,22:87−95)。これらのデータはすべて、JAK2がMPD特異的治療薬の開発のための好適な標的であることを示している(Curr.Onc.Reports 2009,11:117−124)。また、JAK2および一般にJAK/STAT経路は、血液悪性腫瘍、限定されないが、AML、ALL、ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫および縦隔大細胞型B細胞性リンパ腫などにおいて活性化(例えば、変異、増幅、トランスロケーション)されていること(Science 1997,278:1309−1312、Trends in Biochemical Sciences 2007;33:122−131)、ならびにさまざまな充実性腫瘍において活性化(例えば、変異、STATリン酸化、JAK/STAT経路阻害薬SOCSタンパク質のサイレンシング、増幅)されていることが示されている。JAK/STAT経路における薬学的介入の総説は、AJP 2004;165:1449−1460、Cancer Res 2006;66:3162−3168、Clin Cancer Res.2008;14:3716−3721およびImmunol Rev.2009;228:273−287に示されている。
【0009】
がんなどのタンパク質の活性の調節不全と関連している疾患の処置のためのピリミジニル−ピロール誘導体は本出願人自身の名義のWO2007/110344に開示されており、前述の国際特許出願の一部の具体的な化合物は本発明の一般式から除外される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2007/110344号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Current Opinions in Chemical Biology 1999,3:459−465
【非特許文献2】Nature Rev.Drug Discov.2002;1:309−315
【非特許文献3】Carcinogenesis 2008,29:1087−191
【非特許文献4】Nature 1995;377:591−594
【非特許文献5】Annu.Rev.Immunol.1998;16:293−322
【非特許文献6】Immunol Rev.2009;228:273−287
【非特許文献7】Blood.2009;114:1289−1298
【非特許文献8】Clin Cancer Res.2006;12:6270s−6273s
【非特許文献9】J Leukoc Biol.2010;88:1145−1156
【非特許文献10】Eur J Cancer.2010;46:1223
【非特許文献11】J.Immun.2007,178:2623−2629
【非特許文献12】Oncogene 2007,26:6724−6737
【非特許文献13】Cell Biochem Biophys.2006,44:213−222
【非特許文献14】N.Engl.J.Med 2006,355:2452−2466
【非特許文献15】Nature 2005;434:1144−8
【非特許文献16】N Engl J Med 2005;352:1779−90
【非特許文献17】Lancet 2005;365:1054−61
【非特許文献18】Cancer Cell 2005;7:387−97
【非特許文献19】Blood 2006,108:1427−1428
【非特許文献20】Leukemia 2008,22:87−95
【非特許文献21】Curr.Onc.Reports 2009,11:117−124
【非特許文献22】Science 1997,278:1309−1312
【非特許文献23】Trends in Biochemical Sciences 2007;33:122−131
【非特許文献24】AJP 2004;165:1449−1460
【非特許文献25】Cancer Res 2006;66:3162−3168
【非特許文献26】Clin Cancer Res.2008;14:3716−3721
【発明の概要】
【0012】
本発明者らは、ここに、後述する式(I)の化合物が強力で選択的なJAK阻害薬であり、従って、がん、細胞増殖性障害、ウイルス感染、免疫障害、神経変性障害および心血管疾患の治療に有用であることを見出した。
【0013】
従って、本発明の第1の目的は、式(I)
【0014】
【化1】
[式中:
R1およびR2は、独立して、ハロゲン、ニトロ、シアノ、OR5、NR6R7であるか、または直鎖もしくは分枝鎖のC−Cアルキル、直鎖もしくは分枝鎖のC−Cアルケニル、直鎖もしくは分枝鎖のC−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリル−アルキルから選択される場合により置換されている基であり、ここで:
R5は、水素であるか、または直鎖もしくは分枝鎖のC−Cアルキル、直鎖もしくは分枝鎖のC−Cアルケニル、直鎖もしくは分枝鎖のC−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリル−アルキルから選択される場合により置換されている基であり;
R6およびR7は、独立して、水素であるか、または直鎖もしくは分枝鎖のC−Cアルキル、直鎖もしくは分枝鎖のC−Cアルケニル、直鎖もしくは分枝鎖のC−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリル−アルキルから選択される場合により置換されている基であるか、あるいはR6とR7が、これらが結合している窒素原子と一体となって、N、OおよびSから選択される1個のさらなるヘテロ原子を場合により含有している場合により置換されている5から6員のヘテロアリールもしくはヘテロシクリル基を形成していてもよく;
R3はNR8R9であり、ここで:
R8およびR9は、独立して、水素であるか、または直鎖もしくは分枝鎖のC−Cアルキル、直鎖もしくは分枝鎖のC−Cアルケニル、直鎖もしくは分枝鎖のC−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリル−アルキルから選択される場合により置換されている基であるか、あるいはR8とR9が、これらが結合している窒素原子と一体となって、N、OおよびSから選択される1個のさらなるヘテロ原子を場合により含有している場合により置換されている5から6員のヘテロアリールもしくはヘテロシクリル基を形成していてもよく;
R4は、水素、場合により置換されている直鎖もしくは分枝鎖のC−CアルキルまたはNR10R11であり、ここで:
R10およびR11は、独立して、水素であるか、または直鎖もしくは分枝鎖のC−Cアルキル、直鎖もしくは分枝鎖のC−Cアルケニル、直鎖もしくは分枝鎖のC−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロシクリル−アルキルから選択される場合により置換されている基であるか、あるいはR10とR11が、これらが結合している窒素原子と一体となって、N、OおよびSから選択される1個のさらなるヘテロ原子を場合により含有している場合により置換されている5から6員のヘテロアリールもしくはヘテロシクリル基を形成していてもよく;
R12は、水素または場合により置換されている直鎖もしくは分枝鎖のC−Cアルキルである]
で表される置換ピリミジニル−ピロール化合物またはこの医薬として許容される塩であるが、下記の化合物:
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(5−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2,5−ジメチル−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチル−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2−フルオロ−5−メチル−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミドおよび
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2−クロロ−5−フルオロ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド
は除外されるものとする、
置換ピリミジニル−ピロール化合物またはこの医薬として許容される塩を提供することである。
【0015】
また、本発明は、標準的な合成変換からなる方法によって調製される、式(I)で表される置換ピリミジニル−ピロール化合物の調製方法を提供する。
【0016】
また、本発明は、プロテインキナーゼ活性、特に、ABL、ACK1、AKT1、ALK、AUR1、AUR2、BRK、BUB1、CDC7/DBF4、CDK2/CYCA、CHK1、CK2、EEF2K、EGFR1、EphA2、EphB4、ERK2、FAK、FGFR1、FLT3、GSK3β、Haspin、IGFR1、IKK2、IR、JAK1、JAK2、JAK3、KIT、LCK、LYN、MAPKAPK2、MELK、MET、MNK2、MPS1、MST4、NEK6、NIM1、P38α、PAK4、PDGFR、PDK1、PERK、PIM1、PIM2、PKAα、PKCβ、PLK1、RET、ROS1、SULU1、Syk、TLK2、TRKA、TYK2、VEGFR2、VEGFR3、ZAP70、より特別にはJAKファミリーの調節不全によって引き起こされる、および/または該調節不全と関連している疾患処置方法であって、処置を必要とする哺乳動物に、上記に規定した式(I)で表される有効量の置換ピリミジニル−ピロール化合物を投与することを含む方法を提供する。該処置を必要とする哺乳動物は、例えばヒトであり得る。
【0017】
本発明の一例の好ましい方法は、がん、細胞増殖性障害、ウイルス感染、免疫関連障害、神経変性障害および心血管疾患からなる群より選択される、プロテインキナーゼ活性の調節不全によって引き起こされる、および/または該調節不全と関連している疾患を処置するためのものである。
【0018】
本発明の別の好ましい方法は、特定の型のがん、例えば限定されないが:膀胱がん、乳がん、脳がん、結腸がん、腎臓がん、肝臓がん、小細胞肺がんを含む肺がん、、頭頸部がん、食道がん、胆嚢がん、卵巣がん、子宮がん、膵臓がん、胃がん、頸部がん、甲状がん腺、前立腺がんおよび扁平上皮がんを含む皮膚がん;リンパ球系列の造血器腫瘍、例えば、白血病、TおよびB急性リンパ芽球性白血病(ALL)、例えば、DS−ALL、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、ヘアリーセルリンパ腫、バーキットリンパ腫およびマントル細胞リンパ腫;骨髄細胞系列の造血器腫瘍、例えば、急性および慢性骨髄性白血病、急性巨核球性白血病、骨髄異形成症候群ならびに前骨髄球性白血病、骨髄増殖性障害、例えば、真性赤血球増加症(PV)、本態性血小板血症(ET)、原発性骨髄線維症ならびにPVおよびETに続発性の骨髄線維症、慢性骨髄単球性白血病;間葉起源の腫瘍、例えば、肉腫、線維肉腫および横紋筋肉腫;中枢および末梢神経系の腫瘍、例えば、星状細胞腫 神経芽細胞腫、神経膠腫および神経鞘腫;他の腫瘍、例えば、黒色腫、セミノーマ、奇形がん、骨肉腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫(keratoxanthoma)、甲状腺の濾胞状がん、カポジ肉腫、中皮腫を処置するためのものである。
【0019】
本発明の別の好ましい方法は、特定の型の細胞増殖性障害、例えば限定されないが:良性前立腺過形成、乾癬、アテローム性動脈硬化と関連している血管平滑筋細胞増殖、肺線維症、関節炎、糸球体腎炎ならびに術後の狭窄および再狭窄を処置するためのものである。
【0020】
本発明の別の好ましい方法は、HIV感染個体におけるAIDS発症の予防を含むウイルス感染を処置するためのものである。
【0021】
本発明の一例の好ましい方法は、免疫関連障害、例えば限定されないが:移植拒絶、皮膚障害、例えば、乾癬、アレルギー、喘息ならびに自己免疫媒介性疾患、例えば、関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、クローン病および筋萎縮性側索硬化症を処置するためのものである。本発明の別の好ましい方法は、神経変性障害、例えば限定されないが:アルツハイマー病、変性性神経疾患、脳炎、卒中、パーキンソン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALSまたはルー・ゲーリグ病)、ハンティングトン病およびピック病を処置するためのものである。
【0022】
本発明の別の好ましい方法は、心血管疾患、例えば限定されないが:糖尿病原発性または続発性のアテローム性動脈硬化、心臓発作および卒中を処置するためのものである。
【0023】
また、本発明の方法は、腫瘍の血管新生および転移抑止ならびに器官移植拒絶および対宿主性移植片病の処置をもたらすものである。
【0024】
さらに、本発明の方法は、処置を必要とする哺乳動物を、少なくとも1種類の細胞増殖抑制剤または細胞傷害剤と併用した放射線療法または化学療法レジメンに供することをさらに含むものである。
【0025】
また、本発明は、治療有効量の式(I)の化合物またはこの医薬として許容される塩と、少なくとも1種類の医薬として許容される賦形剤、担体および/または希釈剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0026】
また、本発明は、1種類以上の化学療法薬−例えば、細胞増殖抑制剤または細胞傷害剤、抗生物質型薬剤、アルキル化剤、代謝拮抗物質薬剤、ホルモン剤、免疫学的薬剤、インターフェロン型薬剤、シクロオキシゲナーゼ阻害薬(例えば、COX−2阻害薬)、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害薬、テロメラーゼ阻害薬、チロシンキナーゼ阻害薬、抗増殖因子受容体薬剤、例えば、抗HER剤、抗EGFR剤、抗Abl、抗血管新生剤(例えば、血管新生阻害薬)、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害薬、ras−rafシグナル伝達経路阻害薬、Akt経路阻害薬、細胞周期阻害薬、他のcdk阻害薬、チューブリン結合剤、トポイソメラーゼI阻害薬、トポイソメラーゼII阻害薬などをさらに含む式(I)の化合物の医薬組成物を提供する。
【0027】
さらに、本発明は、JAK1、JAK2、JAK3キナーゼタンパク質の活性を阻害するためのインビトロ方法であって、該キナーゼを有効量の上記に規定した式(I)の化合物と接触させることを含む方法を提供する。
【0028】
さらに、本発明は、JAK2依存性ヒト巨核球性白血病細胞株SET−2アッセイであって、該細胞を有効量の上記に規定した式(I)の化合物と接触させることを含む方法を提供する。
【0029】
さらに、本発明は、急性巨核球性白血病細胞株SET−2を5−6週齢の雌の重篤複合免疫不全(SCID)マウスにs.c.で接種したインビボモデルを提供する。触知可能な腫瘍を有するマウスを式(I)の化合物でbidにて10日間処置した。腫瘍サイズをVernierカリパスを用いて定期的に測定し、腫瘍増殖阻害(TGI)を計算した。
【0030】
さらに、本発明は、抗がん治療における同時、別々または逐次使用のための併用調製物として、上記に規定した式(I)の化合物またはこの医薬として許容される塩と、1種類以上の化学療法剤とを含む製品を提供する。
【0031】
また別の態様では、本発明は、医薬としての使用のための上記に規定した式(I)の化合物またはこの医薬として許容される塩を提供する。
【0032】
さらに、本発明は、がんの処置方法における使用のための上記に規定した式(I)の化合物またはこの医薬として許容される塩を提供する。
【0033】
最後に、本発明は、抗がん活性を有する医薬の製造における、上記に規定した式(I)の化合物またはこの医薬として許容される塩の使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0034】
特に指定のない限り、式(I)の化合物自体ならびにこの任意の医薬組成物またはこれらを含む任意の治療的処置に言及している場合、本発明は、本発明の化合物の水和物、溶媒和物、錯体、代謝産物、医薬として許容されるプロドラッグ、医薬として許容される生体内前駆物質(bio−precursor)、担体、N−オキシドおよび医薬として許容される塩のすべてを包含している。
【0035】
式(I)の化合物の「代謝産物」は、例えば、必要とする哺乳動物に投与するとインビボでこの同じ式(I)の化合物に変換される任意の化合物である。典型的には、限定的な例を表すものではないが、式(I)の化合物を投与すると、この同じ誘導体は、さまざまな化合物、例えば、容易に排出されるより可溶性の誘導体(ヒドロキシル化誘導体など)などに変換され得る。従って、かくして生じる代謝経路にもよるが、このようなヒドロキシル化誘導体はいずれも式(I)の化合物の代謝産物とみなされ得る。
【0036】
「医薬として許容されるプロドラッグ」および「医薬として許容される生体内前駆物質」は、インビボで式(I)による親活性薬物を放出する共有結合された任意の化合物である。
【0037】
用語「医薬として許容されるプロドラッグ」および「医薬として許容される生体内前駆物質」は、本明細書で用いる場合、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などがなく人間または下等動物の組織との接触における使用に適しており、適度な便益/リスク比に相応しており、この意図された使用のために有効である本発明の化合物ならびに本発明の化合物の両性イオン形態(可能な場合)のプロドラッグをいう。用語「プロドラッグ」は、例えば血中での加水分解によってインビボで速やかに変換されて式(I)による親活性薬物が得られる化合物をいう。論考は、A.C.S.Symposium Seriesの第14巻のT.Higuchi and V.Stella,Pro−drugs as Novel Delivery SystemsおよびEdward B.Roche,Bioreversible Carriers in Drug Design,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987に示されている。
【0038】
「N−オキシド」は、窒素と酸素が供与結合によってテザーリングされている式(I)の化合物である。
【0039】
式(I)の化合物の医薬として許容される塩としては、無機または有機酸、例えば、硝酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、過塩素酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、フマル酸、乳酸、シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、イセチオン酸およびサリチル酸との酸付加塩が挙げられる。
【0040】
また、式(I)の化合物の医薬として許容される塩としては、無機または有機塩基、例えば、アルカリまたはアルカリ土類金属、特に、ナトリウム、カリウム、カルシウム アンモニウムまたはマグネシウムの水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩、非環式または環状アミンとの塩も挙げられる。
【0041】
不斉中心または別の形態の異性体中心が本発明の化合物に存在する場合、あらゆる形態のかかる異性体(1種類または複数種)、例えば、エナンチオマーおよびジアステレオマーが本発明において包含されることを意図する。不斉中心を含む化合物は、ラセミ混合物として使用してもよく、エナンチオマー的に富化した混合物として使用してもよく、ラセミ混合物をよく知られた手法を用いて分離してもよく、個々のエナンチオマーを単独で使用してもよい。化合物が不飽和炭素−炭素二重結合を有する場合、シス(Z)異性体とトランス(E)異性体の両方が本発明の範囲に含まれる。
【0042】
化合物がケト−エノール互変異性体などの互変異性体形態として存在し得る場合、各互変異性体形態は、平衡状態で存在していようと一方の形態が主体であろうと本発明に包含されることが想定される。本発明の説明において、特に指定のない限り、以下の用語は以下の意味を有する。
【0043】
用語「アリール」は、1から2個の環部分(互いに単結合によって縮合しているかまたは連結しているかのいずれかである。)を有し、該環の少なくとも一方は芳香族であり;存在する場合、芳香族複素環式炭化水素(あれば)(ヘテロアリール基とも称される。)はN、OおよびSから選択される1から3個のヘテロ原子を有する5から6員の環を含む炭素環式または複素環式の炭化水素を包含している。
【0044】
本発明によるアリール基の例は、例えば、フェニル、ビフェニル、α−またはβ−ナフチル、ジヒドロナフチル、チエニル、ベンゾチエニル、フリル、ベンゾフラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、イソインドリル、プリニル、キノリル、イソキノリル、ジヒドロキノリニル、キノキサリニル、ベンゾジオキソリル、インダニル、インデニル、トリアゾリルなどである。
【0045】
用語「ヘテロシクリル」(「ヘテロシクロアルキル」としても知られている。)により、本発明者らは3−7員の飽和または部分不飽和炭素環式の環であって、1個以上の炭素原子が窒素、酸素およびイオウなどのヘテロ原子で置き換えられているものを意図する。ヘテロシクリル基の非限定的な例は、例えば、ピラン、ピロリジン、ピロリン、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピラゾリン、チアゾリン、チアゾリジン、ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリンなどである。
【0046】
用語「直鎖もしくは分枝鎖のC−Cアルキル」(従ってC−CアルキルまたはC−Cアルキルを包括する。)により、本発明者らは、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどの基のいずれかを意図する。
【0047】
用語「C−Cシクロアルキル」により、本発明者らは、特に示していない限り、3−7員の全部炭素の単環式の環を意図し、該環は、1つ以上の二重結合を含んでいてもよいが完全に共役したπ電子系を有するものではない。シクロアルキル基の例は、限定されないが、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプテン、シクロヘプタジエン
である。
【0048】
用語「直鎖もしくは分枝鎖のC−Cアルケニル」により、本発明者らは、例えば、ビニル、アリル、1−プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−ペンテニル、1−ヘキセニルなどの基のいずれかを意図する。
【0049】
用語「直鎖もしくは分枝鎖のC−Cアルキニル」により、本発明者らは、例えば、エチニル、2−プロピニル、4−ペンチニルなどの基のいずれかを意図する。
【0050】
本発明によれば特に示していない限り、上記のR1、R2、R3、R4、R12基のいずれかがこの空き位置(あれば)において、ハロゲン原子、ニトロ、オキソ基(=O)、シアノ、C−Cアルキル、ポリフッ素化アルキル、ポリフッ素化アルコキシ、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、C−Cシクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、メチレンジオキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、シクロアルケニルオキシ、ヘテロシクリルカルボニルオキシ、アルキリデンアミノオキシ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、ヘテロシクリルオキシカルボニル、アミノ、ウレイド、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロシクリルアミノ、ホルミルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロシクリルカルボニルアミノ、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、ヘテロシクリルアミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、ヒドロキシアミノカルボニル アルコキシイミノ、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ヘテロシクリルスルホニルアミノ、ホルミル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、シクロアルキルカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、アルキルアミノスルホニル、ジアルキルアミノスルホニル、アリールアミノスルホニル、ヘテロシクリルアミノスルホニル、アリールチオ、アルキルチオ、ホスホネートおよびアルキルホスホネートから独立して選択される1個以上の基(例えば、1から6個の基)によって場合により置換されていてもよい。
【0051】
示されている場合、適切な場合はいつでも、上記の各置換基は1個以上の前述の基でさらに置換されていてもよい。
【0052】
これとの関連において、用語「ハロゲン原子」により、本発明者らはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子を意図する。
【0053】
用語「シアノ」により、本発明者らは−CN残基を意図する。
【0054】
用語「ニトロ」により、本発明者らは−NO基を意図する。
【0055】
用語「ポリフッ素化アルキルまたはアルコキシ」により、本発明者らは、1個より多くのフッ素原子置換されている上記の直鎖もしくは分枝鎖のC−Cアルキルまたはアルコキシ基のいずれか、例えば、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル、トリフルオロメトキシなどを意図する。
【0056】
用語「アルコキシ」、「アリールオキシ」、「ヘテロシクリルオキシ」およびこの誘導体により、本発明者らは、酸素原子によって(−O−)分子の残部に連結されている上記のC−Cアルキル、アリールまたはヘテロシクリル基のいずれかを意図する。
【0057】
上記のすべてから、当業者には、名称が例えば「アリールアミノ」などの合成名称である任意の基は、由来する部分によって、例えば、アリール(ここで、アリールは上記に定義したとおりである。)でさらに置換されているアミノ基によって慣用的に構築されるものが意図されているはずであることが明らかであろう。
【0058】
同様に、例えば、アルキルチオ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、ヘテロシクリルカルボニル、ヘテロシクリルカルボニルアミノ、シクロアルキルオキシカルボニルなどの用語はいずれも、該アルキル、アルコキシ、アリール、C−Cシクロアルキルおよびヘテロシクリル部分が上記に定義したとおりである基を包含している。
【0059】
好ましくは、式(I)の化合物は、R4がNR10R11であり、ここで、R10およびR11は独立して、水素または場合により置換されている直鎖もしくは分枝鎖のC−Cアルキルであり;R1、R2、R3およびR12は上記に規定したとおりであることを特徴とするものである。
【0060】
より好ましくは、式(I)の化合物は、R3がNR8R9であり、ここで、R8およびR9は独立して、水素または場合により置換されている直鎖もしくは分枝鎖のC−Cアルキルであり;R1、R2、R4およびR12は上記に規定したとおりであることを特徴とするものである。
【0061】
さらにより好ましくは、式(I)の化合物は、R12が水素であり;R1、R2、R3およびR4は上記に規定したとおりであることを特徴とするものである。
【0062】
限定的でない具体的な好ましい本発明の化合物(適切な場合はいつでも医薬として許容される塩の形態である。)は以下のもの:
1. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
2. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(2,5−ジクロロフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
3. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
4. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(2−クロロ−5−エチルフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−エチルフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
6. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(2−クロロ−5−メチルフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
7. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(2−クロロ−5−シアノフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
8. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−ブロモ−2−メトキシフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
9. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
10. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2−クロロ−5−(ヒドロキシメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
11. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(2−クロロ−5−メトキシフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
12. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2−クロロ−5−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
13. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2−メチル−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
14. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[5−クロロ−2−(プロパン−2−イル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
15. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
16. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2−エチル−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
17. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[5−クロロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
18. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−シアノ−2−メチルフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
19. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−メチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
20. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−エチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
21. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
22. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−[2−(ピペリジン−1−イル)エチル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
23. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
24. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−フェニル−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
25. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−(フラン−2−イルメチル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
26. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−(3−ヒドロキシプロピル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
27. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−(2−メトキシエチル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
28. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−(2−フルオロエチル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
29. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N,N−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
30. N−(2−アミノエチル)−5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
31. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−[2−(メチルアミノ)エチル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
32. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−N−ベンジル−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
33. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−(2−メチルプロピル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
34. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−(2,2−ジメチルプロピル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
35. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−エチルフェニル)−N−メチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
36. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−エチルフェニル)−N−エチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
37. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−エチルフェニル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
38. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−エチルフェニル)−N,N−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
39. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−N−メチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
40. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
41. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(2−クロロ−5−ヒドロキシフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
42. 2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−5−[2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
43. 5−(ピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチル−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
44. 2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−5−(2−メチルピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
45. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−エチルフェニル)−1−メチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
46. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−1−メチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
47. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−1−エチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
48. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
49. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
50. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−N−メチル−2−[2−メチル−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミドおよび
51. 5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2−エチル−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−N−メチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド
である。
【0063】
また、本発明は、後述する反応経路および合成スキームを使用することにより、当該技術分野で利用可能な手法および容易に入手可能な出発物質を用いて上記に規定した式(I)の化合物の調製のための方法を提供する。本発明の一部の特定の実施形態の調製を以下の実施例に記載するが、当業者には、記載の調製が本発明の他の実施形態の調製に容易に適合され得ることが認識されよう。例えば、例示していない本発明による化合物の合成は、当業者に自明の修正によって、例えば、妨害基を適切に保護すること、当該技術分野で知られた他の適切な試薬に変更すること、または反応条件の常套的な修正を行うことによって行われ得る。または、本明細書において言及しているかまたは当該技術分野で知られた他の反応は、本発明の他の化合物の調製に対して適合性を有すると認められたものである。
【0064】
本発明の化合物は、容易に入手可能な出発物質から、以下の一般的な方法および手順を用いて調製され得る。特に記載のない限り、出発物質は既知の化合物であるか、または既知の化合物からよく知られた手順に従って調製され得るものである。典型的なまたは好ましい作業条件(即ち、反応温度、時間、反応体のモル比、溶媒、圧力)を示している場合、特に記載のない限り、他の作業条件も使用され得ることは認識されよう。最適な反応条件は、使用される具体的な反応体または溶媒により異なり得るが、かかる条件は当業者により常套的な最適化手順によって決定され得る。さらに、当業者に自明のように、特定の官能基が望ましくない反応を行うことを抑制するために慣用的な保護基が必要な場合があり得る。種々の官能基に好適な保護基ならびに特定の官能基の保護および脱保護に好適な条件は当該技術分野でよく知られている。例えば、数多くの保護基がT.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protecting Groups in Organic Synthesis,第2版,Wiley,New York,1991およびそこに挙げられた参考文献に記載されている。
【0065】
式(I)の化合物は、本明細書において以下にスキームA、B、CおよびDに記載する一般的な合成方法に従って調製され得る。
【0066】
報告したスキームAは、式中のR1、R2およびR3が上記に規定したとおりであり、R4がNHであり、R12が水素である式(I)の化合物の調製を示す。
【0067】
スキームA
【0068】
【化2】
上記のスキームにおいて、R1、R2、R3、R8およびR9は上記に規定したとおりであり、R4はNHおよびR12は水素である。
【0069】
すべての当業者には、前記の方法に従って行われる変換にはいずれも、標準的な修正、例えば、妨害基の保護、当該技術分野で知られた他の適切な試薬への変更などが必要とされ得るか、または反応条件の常套的な修正が行われ得ることが認識されよう。
【0070】
従って、本発明の方法は、以下の工程:
工程1:式(II)
【0071】
【化3】
のハロ誘導体と式(IIIa)の置換アリールボロン酸または式(IIIb)のアリールボロン酸エステル:
【0072】
【化4】
[式中、R1およびR2は上記に規定したとおりである]
との金属触媒によるカップリング反応;
工程2:得られた式(IV)
【0073】
【化5】
[式中、R1およびR2は上記に規定したとおりである]、
のカルボン酸エステルの塩基性加水分解による加水分解;
工程3:得られた式(V)
【0074】
【化6】
[式中、R1およびR2は上記に規定したとおりである]
のカルボン酸の式(VI)
NHR8R9(VI)
[式中、R8およびR9は上記に規定したとおりである]
の誘導体との反応によるアミド化により式(I)
【0075】
【化7】
[式中、
R1、R2およびR3は上記に規定したとおりであり、R4はNHであり、R12は水素である]
の化合物を得ること;
または
工程3a:上記に規定した式(IV)のカルボン酸エステルの上記に規定した式(VI)の誘導体との反応による直接アミド化により式(I)
【0076】
【化8】
[式中、R1、R2およびR3は上記に規定したとおりであり、R4はNHであり、R12は水素である]
の化合物を得ること;
場合により、式(I)の化合物を式(I)の別の異なる化合物に変換させること、および所望により、式(I)の化合物をこの医薬として許容される塩に変換させることまたは塩を遊離の化合物(I)に変換させること
を含むものである。
【0077】
スキームAの工程1により、一般式(II)ハロ誘導体の式(IV)の化合物への変換がさまざまな様式で行われ得る。例えば、式(II)の化合物は、金属触媒によるカップリング反応によって式(IIIa)の置換アリールボロン酸または式(IIIb)のアリールボロン酸エステルと反応させ得る。好ましくは、式(IV)の化合物は、中間体(II)から、一般式(IIIa)の置換アリールボロン酸または一般式(IIIb)のアリールボロン酸エステルとのPd触媒型鈴木−宮浦カップリングによって調製され得る。ハロゲン化(ヘテロ)アリールとアリールボロン酸またはボロン酸エステルとの遷移金属触媒によるカップリングは当業者によく知られており、参考文献:a)Miyaura,Norio;Suzuki,Akira(1979).「Palladium−Catalyzed Cross−Coupling Reactions of Organoboron Compounds」,Chemical reviews 95(7):2457−2483;b)Suzuki,A.In Metal−Catalyzed Cross−Coupling Reactions,Diederich F.and Stang P.J.編.Wiley−VCH:New York,1998,pp.49−97を参照のこと。いわゆる鈴木−宮浦反応では、アリールボロン酸またはボロン酸エステルとハロゲン化(ヘテロ)アリールとのカップリング反応は、典型的にはパラジウム錯体によって誘起される。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)などのホスフィン−パラジウム錯体がこの反応に使用されるが、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)もまた使用され得る。塩基、例えば、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸カリウム、カリウムt−ブトキシド、テトラエチル水酸化アンモニウム、トリエチルアミンを添加し、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、エタノールおよびトルエンが反応媒体として使用され得る。典型的には、温度は室温から150℃までの範囲である。慣用的な加熱がマイクロ波照射とともに使用され得る。反応持続期間は約30分間から約96時間の範囲である。種々のPd−触媒/塩基/溶媒の組合せが文献に記載されており、これにより、両方のカップリングパートナー上において広範なさらなる官能基の組を可能にするための反応条件の微調整が可能である。
【0078】
スキームAの工程2により、式(IV)の誘導体の式(V)のカルボン酸への加水分解がさまざまな様式で行われ得る。典型的には、アルコール性溶液中のNaOHまたはKOHが室温から150℃までの範囲の温度で約30分間から約96時間の範囲の時間使用される。
【0079】
スキームAの工程3により、式(V)のカルボン酸の式(I)のアミドへの変換が、カルボキサミドの調製について当該技術分野で広く知られたさまざまな様式および実験条件で行われ得る。一例として、式(V)の化合物はこの対応する塩化アシルに、塩化チオニルまたは塩化オキサリルの存在下で、適切な溶媒、例えば、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン中、約−10℃から還流までの範囲の温度で約1時間から約96時間までの種々の期間変換され得る。塩化アシルは溶媒の蒸発によって単離してもよく、33%水酸化アンモニウム溶液またはアミンNHR8R9(VI)と適切な溶媒、例えば、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン中、約−10℃から還流までの範囲の温度で約1時間から約96時間までの種々の期間さらに反応させてもよい。または、式(V)の化合物を1−ヒドロキシベンゾトリアゾールのアンモニウム塩またはアミンNHR8R9(VI)と、カルボジイミド、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノ)カルボジイミド塩酸塩の存在下で反応させてもよい。好ましくは、この反応は、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、トルエン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミドなどの適切な溶媒中、例えば、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンなどのプロトン捕捉剤の存在下で、室温から還流までの範囲の温度で約30分間から約96時間の範囲の時間行われる。
【0080】
また、スキームAの工程3aにより、エステル(IV)の式(I)の化合物への直接変換も合成的に実現可能であり、本発明の範囲に含まれることを意図する。最近の文献データにより、例えば、かかる変換は、窒化マグネシウム(Mg)を使用することにより、アルコールなど(such an)の適切な溶媒中、マイクロ波照射下で容易に行われ得ることが示されている(Gemma,E.;Veitch,G.E.;Bridgwood,K.L.;Ley,S.V.Org.Lett.2008,10,3623)。
【0081】
さらに、本発明は、以下のスキームBに示す、式中のR1、R2およびR3が上記に規定したとおりであり、R4がNHであり、R12が水素である式(I)の化合物の調製のための択一的な方法を提供する。
【0082】
スキームB
【0083】
【化9】
上記のスキームにおいて、R1、R2およびR3は上記に規定したとおりであり、R4はNHであり、R12は水素である。
【0084】
従って、本発明の別の方法は、以下の工程:
工程4:式(VII)
【0085】
【化10】
[式中、R3は上記に規定したとおりである]
のハロ誘導体と式(IIIa)の置換アリールボロン酸または式(IIIb)のアリールボロン酸エステル
【0086】
【化11】
[式中、R1およびR2は上記に規定したとおりである]
との金属触媒によるカップリング反応により式(I)
【0087】
【化12】
[式中、R1、R2およびR3は上記に規定したとおりであり、R4はNHであり、R12は水素である]
の化合物を得ること;場合により、式(I)の化合物を式(I)の別の異なる化合物に変換させること、および所望により、式(I)の化合物をこの医薬として許容される塩に変換させることまたは塩を遊離の化合物(I)に変換させることを含むものである。
【0088】
スキームBの工程4により、一般式(VII)のハロ誘導体の一般式(I)の化合物への変換がスキームAの工程1で既に記載したさまざまな条件下で行われ得る。
【0089】
さらに、本発明は、以下のスキームCに示す、式中のR1およびR2が上記に規定したとおりであり、R3がNHであり、R4がNR10R11であり、ここで、R10およびR11は上記に規定したとおりであり、R12が水素である式(I)の化合物の調製のための択一的な方法を提供する。
【0090】
スキームC
【0091】
【化13】
上記のスキームにおいて、R1およびR2は上記に規定したとおりであり、R3はNHであり、R4はNR10R11であり、ここで、R10およびR11は上記に規定したとおりであり、R12は水素である。
【0092】
従って、本発明の別の方法は、以下の工程:
工程5:式(VIII)
【0093】
【化14】
[式中、R1およびR2は上記に規定したとおりである]
のピロールを塩化アセチルと、ルイス酸の存在下または金属亜鉛の存在下で反応させること;
工程6:得られた式(IX)
【0094】
【化15】
[式中、R1およびR2は上記に規定したとおりである]
の化合物をN,N−ジメチルホルムアミドのジアルキルアセタールと反応させること;
工程7:得られた式(X)
【0095】
【化16】
[式中、R1およびR2は上記に規定したとおりである]
のエナミノンを式(XI)
【0096】
【化17】
[式中、R4はNR10R11であり、R10およびR11は上記に規定したとおりである]
の場合により置換されているグアニジンまたはこの塩と反応させること;
工程8:酸性条件で、得られた式(XII)
【0097】
【化18】
[式中、R4はNR10R11であり、ここで、R10およびR11は上記に規定したとおりであり、R1およびR2は上記に規定したとおりである]
の化合物のシアノ基を、
式(I)
【0098】
【化19】
[式中、R1およびR2は上記に規定したとおりであり、R3はNHであり、R4はNR10R11であり、ここで、R10およびR11は上記に規定したとおりであり、R12は水素である]
の化合物が得られるように加水分解させること;場合により、式(I)の化合物を式(I)の別の異なる化合物に変換させること、および所望により、式(I)の化合物をこの医薬として許容される塩に変換させることまたは塩を遊離の化合物(I)に変換させることを含むものである。
【0099】
スキームCの工程5により、式(IX)の化合物を得るための式(VIII)の化合物のアシル化が、好ましくは、塩化アセチルを用いてルイス酸、例えば、三塩化アルミニウムまたは四塩化チタンの存在下で行われ、冷却下、例えば−5℃から0℃の温度または室温で、無水有機溶媒、例えばジクロロメタン中で操作される。同様の反応がJ.Het.Chem.1983,20,61に記載されている。または式(IX)の化合物を得るための式(VIII)の化合物のアシル化は、塩化アセチルを用いて金属亜鉛の存在下で行われ、室温から還流までの温度で無水有機溶媒、例えばトルエン中で操作される。同様の反応がTe.Le.2002,43,8133に記載されている。
【0100】
スキームCの工程6により、式(IX)の化合物の式(X)のエナミノンへの変換が、ジアルキルアセタール、例えば、N,N−ジメチルホルムアミドのジメチルアセタールまたはジイソプロピルアセタールを用いて行われ得る。好ましくは、該反応は、室温から還流温度の間の温度で、好ましくは60℃から90℃までの温度で、例えば、トルエン、ベンゼン、ジクロロエタンまたはΝ,Ν−ジメチルホルムアミドなどの有機溶媒中で行われる。同様の変換が例えば、Heterocycles 1998,47,689において記載された。
【0101】
スキームCの工程7により、式(X)の化合物の式(XII)の化合物への変換が、式(XI)のグアニジンもしくは置換グアニジンまたはこの塩との反応によって行われる。好ましくは、該反応は80℃から130℃の温度で、例えば、アセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、Ν,Ν−ジメチルホルムアミドなどの有機溶媒中、炭酸カリウムなどの塩基の存在下で行われる。かかる種類の変換は科学文献、例えばJ.Het.Chem.1989,26,1147に記載されている。
【0102】
スキームCの工程8により、式(I)のカルボキサミドを得るための酸性条件での式(XII)のニトリル誘導体の加水分解が、好ましくは氷酢酸またはトリフルオロ酢酸と濃硫酸中、より好ましくは1対1から5対1の比率で、場合により水の存在下、室温から120℃の間の温度で、特に60℃から90℃の温度で行われる。同様の加水分解が、例えばJ.Org.Chem.2005,70,1926に記載されている。濃アンモニア水、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムでの塩基性化の後、遊離塩基を析出物として濾別する。
【0103】
さらに、本発明は、以下のスキームDに示す、式中のR1およびR2が上記に規定したとおりであり、R3がNHであり、R4が水素または場合により置換されている直鎖もしくは分枝鎖の(C−C)アルキルであり、R12が水素である式(I)の化合物の調製のための択一的な方法を提供する。
【0104】
スキームD
【0105】
【化20】
上記のスキームにおいて、R1およびR2は上記に規定したとおりであり、R3はNHであり、R4は水素または場合により置換されている直鎖もしくは分枝鎖の(C−C)アルキルでありR12は水素である。
【0106】
従って、本発明の別の方法は以下の工程:
工程9:上記に規定した式(X)のエナミノンを式(XIII)の場合により置換されているアミジンまたはこの塩
【0107】
【化21】
[式中、R4は、水素または場合により置換されている直鎖もしくは分枝鎖の(C−C)アルキルである]
と反応させること;
工程10:得られた式(XIV)
【0108】
【化22】
[式中、R1およびR2は上記に規定したとおりであり、R4は水素または場合により置換されている直鎖もしくは分枝鎖の(C−C)アルキルである]
の化合物のシアノ基を酸性条件で、式(I)
【0109】
【化23】
[式中、R1およびR2は上記に規定したとおりであり、R3はNHであり、R4は水素または場合により置換されている直鎖もしくは分枝鎖の(C−C)アルキルであり、R12は水素である]
の化合物が得られるように加水分解させること;場合により、式(I)の化合物を式(I)の別の異なる化合物に変換させること、および、所望により、式(I)の化合物をこの医薬として許容される塩に変換させることまたは塩を遊離の化合物(I)に変換させることを含むものである。
【0110】
スキームDの工程9により、式(X)の化合物の式(XIV)の化合物への変換が、式(XIII)のホルムアミジンもしくは置換アミジンまたはこの塩との反応によって行われる。好ましくは、該反応は、80℃から150℃の温度で、例えば、アセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドなどの有機溶媒中で行われる。
【0111】
スキームDの工程10により、式(I)の化合物を得るための酸性条件での式(XIV)ニトリル誘導体の加水分解が、スキームCの工程8で既に記載したさまざまな条件下で行われ得る。
【0112】
上記に示したように、本発明の目的の方法に従って調製される式(I)の化合物は、よく知られた合成条件に従って操作することにより式(I)の別の化合物に簡便に変換され得、以下は、考えられ得る変換の一例である:
変換1)式中のR1またはR2の一方がOCHである式(I)の化合物を、R1またはR2の一方がOHである対応する式(I)の化合物に、BClまたはBBrでの処理によって、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、アセトニトリルなどの溶媒中、−20℃から還流までの範囲の温度で約30分間から約96時間変換させる:
【0113】
【化24】
変換2)式中のR12が水素である式(I)の化合物を、式中のR12が場合により置換されている直鎖もしくは分枝鎖の(C−C)アルキルである対応する式(I)の化合物に
【0114】
【化25】
式中のR12’が場合により置換されている直鎖もしくは分枝鎖の(C−C)アルキルであり、Xがハロゲンである式R12’−X(XV)の場合により置換されているハロゲン化アルキルでの処理によって、N,N−ジメチルホルムアミドなどの溶媒中、塩基の存在下で、室温から還流までの範囲の温度で約30分間から約96時間変換させる。
【0115】
上記のすべてから、当業者には、当該技術分野でよく知られた方法に従って作業することにより別の官能基にさらに誘導体化され得、従って式(I)の他の化合物をもたらし得る官能基を有する式(I)の任意の化合物は、本発明の範囲に包含されることが意図されることが明らかであろう。
【0116】
言うまでもなく、上記の方法の任意の中間体もまた、所望され必要な場合は、本明細書において上記の変換反応のいずれか1つの場合と同様の様式で操作することにより異なる中間体に変換され得る。
【0117】
上記のすべてから、当業者には、式(I)の化合物を前述の方法の異型のいずれか1つに従って調製する場合、不要な副反応を起こし得る出発物質またはこの中間体中にあってもよい官能基は、慣用的な手法に従って適正に保護されることが必要であることが明らかであろう。同様に、このような後者の脱保護された遊離化合物への変換は既知の手順に従って行われ得る。
【0118】
容易に認識されようが、上記の方法に従って調製される式(I)の化合物が異性体混合物として得られた場合、慣用的な手法を用いた式(I)の単独の異性体への分離は本発明の範囲に含まれる。
【0119】
最終化合物は、慣用的な手順、例えば、クロマトグラフィーおよび/または晶出ならびに塩の形成を用いて単離および精製され得る。
【0120】
上記に規定した式(I)カルボキサミドは医薬として許容される塩に変換され得る。上記に規定した式(I)のカルボキサミドまたはこの医薬として許容される塩は、続いて、医薬として許容される担体または希釈剤を用いて製剤化され、医薬組成物が得られ得る。
【0121】
上記の合成方法による式(I)の化合物の合成は段階的様式で行ってもよく、この場合、各中間体は、後続の反応を行う前に標準的な精製手法(例えば、カラムクロマトグラフィーなど)によって単離および精製される。または、合成シーケンスの2つ以上の工程を当該技術分野で知られたいわゆる「ワンポット」手順で行ってもよく、この場合、該2つ以上の工程で得られた化合物のみを単離および精製する。
【0122】
式(I)の化合物が1つ以上の不斉中心を含むものである場合、前記化合物は、当業者に知られた手順によって単独の異性体に分離され得る。かかる手順は、標準的なクロマトグラフィー手法、例えばキラル固定相を用いたクロマトグラフィーまたは晶出を含む。1つ以上の不斉中心を含む化合物の分離のための一般的な方法は、例えば、Jacques,Jean;Collet,Andre;Wilen,Samuel H.,−Enantiomers,Racemates,and Resolutions,John Wiley & Sons Inc.,New York(NY),1981に報告されている。
【0123】
式(I)の化合物を調製するための方法の任意の異型によれば、出発物質および任意の他の反応体は既知のもの、または既知の方法に従って容易に調製されるものである。
【0124】
式(II)および(VII)の出発物質はWO2007/110344に記載のようにして調製され得る。
【0125】
式(VIII)の出発物質は、既知の方法によって、または以下の実験の部(調製DおよびE)に記載のようにして調製され得る。
【0126】
式(IIIa)、(IIIb)、(VI)、(XI)、(XIII)および(XV)の化合物は、市販のもの、または既知の方法により調製され得るもののいずれかである;また、式(IIIa)の化合物は、以下の実験の部(調製A、BおよびC)に記載のようにして調製され得る。
【0127】
また、本発明は、(IIIa):
【0128】
【化26】
[式中
R1はエチルであり、R2は塩素もしくはCFであるか、または
R1はイソプロピルであり、R2は塩素である]
の中間体を提供する。
【0129】
本発明の化合物は単独薬剤として、または、細胞増殖抑制剤または細胞傷害剤、抗生物質型薬剤、アルキル化剤、代謝拮抗物質薬剤、ホルモン剤、免疫学的薬剤、インターフェロン型薬剤、シクロオキシゲナーゼ阻害薬(例えば、COX−2阻害薬)、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害薬、テロメラーゼ阻害薬、チロシンキナーゼ阻害薬、抗増殖因子受容体薬剤、抗HER剤、抗EGFR剤、抗血管新生剤(例えば、血管新生阻害薬)、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害薬、ras−rafシグナル伝達経路阻害薬、細胞周期阻害薬、他のcdk阻害薬、チューブリン結合剤、トポイソメラーゼI阻害薬、トポイソメラーゼII阻害薬などと併用した既知の抗がん処置、例えば、放射線療法もしくは化学療法レジメンと併用してのいずれかで投与され得る。
【0130】
固定用量で製剤化する場合、かかる合剤製剤品には、後述する投薬量範囲内の本発明の化合物と、承認された投薬量範囲内のこの他の医薬活性薬剤とが使用される。
【0131】
式(I)の化合物は、合剤製剤が不適切な場合は既知の抗がん剤と逐次使用され得る。
【0132】
哺乳動物、例えばヒトへの投与に適した本発明の式(I)の化合物は通常の経路によって投与され得、投薬量レベルは患者の年齢、体重、体調ならびに投与経路に依存する。
【0133】
例えば、式(I)の化合物の経口投与に採用される適切な投薬量は、用量あたり約10から約500mgを1日1回から5回の範囲であり得る。本発明の化合物は、さまざまな投薬形態で、例えば、経口で錠剤、カプセル剤、糖衣錠もしくはフィルムコート錠、液状の液剤または懸濁剤の形態で;経直腸で坐剤の形態で;非経口、例えば筋肉内で、または静脈内および/または髄腔内および/または脊髄内注射または輸注によって投与され得る。
【0134】
また、本発明は、式(I)の化合物またはこの医薬として許容される塩を、医薬として許容される賦形剤(これは担体または希釈剤であり得る。)と合わされた状態で含む医薬組成物を含む。
【0135】
本発明の化合物を含む医薬組成物は、通常、慣用的な方法に従って調製され、適切な医薬形態で投与される。例えば、固形の経口形態には、活性化合物とともに、希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、サッカロース、スクロース、セルロース、コーンスターチもしくはイモデンプン;滑沢剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムもしくはカルシウムおよび/またはポリエチレングリコール;結合剤、例えば、デンプン、アラビアガム、ゼラチン メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはポリビニルピロリドン;崩壊剤、例えば、デンプン、アルギン酸、アルギネートまたはデンプングリコール酸ナトリウム;発泡混合物;色素;甘味料;湿潤剤、例えば、レシチン、ポリソルベート、ラウリルスルフェート;ならびに一般に、無毒性の医薬製剤に使用される薬理学的に不活性な物質が含有され得る。このような医薬調製物は既知の様式で、例えば、混合、造粒、打錠、糖衣またはフィルムコート過程によって製造され得る。
【0136】
経口投与のための液状分散剤は、例えば、シロップ剤、乳剤および懸濁剤であり得る。一例として、シロップ剤は、担体として、サッカロースまたはサッカロースとグリセリンおよび/またはマンニトールとソルビトールを含有するものであり得る。
【0137】
懸濁剤および乳剤には、担体の例として、天然ガム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはポリビニルアルコールが含有され得る。筋肉内注射用の懸濁剤または液剤には、活性化合物とともに、医薬として許容される担体、例えば、滅菌水、オリーブ油、オレイン酸エチル、グリコール、例えば、プロピレングリコールおよび、所望により適切な量のリドカイン塩酸塩が含有され得る。
【0138】
静脈内注射または輸注用の液剤には担体として滅菌水が含有され得、または好ましくは、滅菌された水性の等張性生理食塩水液剤の形態であり得るか、またはプロピレングリコールを担体として含有するものであり得る。
【0139】
坐剤には、活性化合物とともに、医薬として許容される担体、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤またはレシチンが含有され得る。
【0140】
次に、本発明をよりよく例示する目的で、本発明をなんら限定するものではない実施例を以下に示す。
【実施例】
【0141】
実験セクション
本発明の任意の具体的な式(I)の化合物(場合により医薬として許容される塩の形態である。)に対する説明は、実験セクションおよび特許請求の範囲を参照されたい。以下の実施例に関して、本発明の化合物は本明細書に記載の方法または当該技術分野でよく知られた他の方法を用いて合成した。
【0142】
一般的な精製および解析方法
本発明の式(I)の一部の化合物の合成的調製を以下の実施例に記載する。また、以下の実施例に従って調製される本発明の化合物は、H NMRおよび/または厳密質量データESI(+)によって特性評価した。
【0143】
H−NMR分光分析はMercury VX 400で行った(400.45MHzで操作,5mm二重共鳴プローブ[1H(15N−31P)ID_PFG Varian]を備えている。)。ESI(+)高解像度質量スペクトル(HRMS)は既報のマイクロHPLC 1100 Agilentに直接接続したWaters Q−Tof Ultimaで取得した(M.Colombo,F.Riccardi−Sirtori,V.Rizzo,Rapid Commun.Mass Spectrom.2004,18,511−517)。カラムクロマトグラフィーは、シリカ(Merckシリカゲル40−63μm)で中圧下で、またはプレパックシリカゲルカートリッジ(Biotage)のいずれかで行った。成分はUV光(λ:254nm)およびヨウ素蒸気によって可視化した。HPLCは、Waters X Terra RP 18(4.6×50mm,3.5μm)カラムで、996 Waters PDA検出器およびWatersmodを備えたWaters 2790 HPLCシステムを用いて行った。エレクトロスプレー(ESI)イオン源を備えたZQシングル四重極型質量分析計。移動相Aは酢酸アンモニウム5mMバッファー(酢酸によりpH5.2)/アセトニトリルを95/5とし、移動相Bは水/アセトニトリルを5/95とした。8分間で10から90%の勾配のB、90%Bで2分間保持。220nmおよび254nmでUV検出。流速1mL/分。インジェクション容量10マイクロL。フルスキャン、100から800amuの質量範囲。キャピラリー電圧は2.5KVとした;給源温度は120℃とした;コーンは10Vとした。保持時間(HPLC 室温)は220nmまたは254nmでの単位:分で示す。質量はm/z比で示す。必要な場合は、化合物をWaters Symmetry C18(19×50mm,5μm)カラムまたはWaters X Terra RP 18(30×150mm,5μm)カラムでの分取用HPLC(996 Waters PDA検出器およびWaters modを備えたWaters分取用HPLC 600を使用)によって精製した。ZMDシングル四重極型質量分析計、電子スプレーイオン化、ポジティブモード。方法1:移動相Aは水−0.1%トリフルオロ酢酸/アセトニトリルを95/5とし、移動相Bはアセトニトリルとした;8分間で10から90%までの勾配のB、90%Bで2分間B;流速20mL/分。方法2:移動相Aは水−0.05%NH/アセトニトリルを95/5とし、移動相Bはアセトニトリルとした。8分間で10から100%までの勾配のB、100%Bで2分間保持。流速20mL/分。
【0144】
以下の実施例ならびに本出願書類全体において、以下の略号は以下の意味を有する。定義していない場合、用語は一般的に認知された意味を有する。
【0145】
略号
AcOH 酢酸
CHCN アセトニトリル
DCM ジクロロメタン
DIPEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
eq 当量
ESI エレクトロスプレーイオン化
EtOAc 酢酸エチル
EDCI N−エチル−N’,N’−ジイソプロピルカルボジイミド塩酸塩
EtO ジエチルエーテル
EtOH エタノール
g グラム
h 時間
HCl 塩酸
HOBt 1H−ベンゾトリアゾル−1−オール
HOBt.NH 1H−ベンゾトリアゾル−1−オールアンモニウム塩
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
CO 炭酸カリウム
PO リン酸カリウム
KOH 水酸化カリウム
tBuOK カリウムtert−ブトキシド
LiCl 塩化リチウム
M モル
MeOH メタノール
MeNH メチルアミン
mg ミリグラム
min 分
mL ミリリットル
mmol ミリモル
mol モル
N 規定
NaCO 炭酸ナトリウム
Na メタ重亜硫酸ナトリウム
NaSO 硫酸ナトリウム
NaHCO 炭酸水素ナトリウム
NaOH 水酸化ナトリウム
Pd(PPhCl ビス(トリフェニルホスフィン)−塩化パラジウム(II)
PdCl(dppf)[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)塩化フェロセン]パラジウム(II)
rt 室温
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
μL マイクロリットル
【0146】
調製A
(5−クロロ−2−エチルフェニル)ボロン酸(IIIa)
【0147】
【化27】
【0148】
工程1:4−エチル−3−ニトロアニリン
4−エチルアニリン(10.3mL,82.5mmol)を8℃まで冷却した硫酸(96%,63mL)に、温度を10℃より下に維持しながら滴下した。添加後、反応混合物を−5℃まで冷却した後、温度を0℃より下に維持しながら硝酸(100%,4mL)と硫酸(96%,10mL)の混合物を添加した。次いで、反応混合物を同温度で1時間攪拌した。反応混合物を氷(200mL)に注入し、析出物を濾過し、水で洗浄した。固形物を水(100mL)で懸濁させ、水酸化アンモニウム(35%)で中和した。析出物を濾過し、炉内で乾燥させ、淡褐色固形物を得た(10g,73%)。
【0149】
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.11(t,J=7.45Hz,3H)、2.63(q,J=7.45Hz,2H)、5.53(s,2H)、6.81(dd,J=8.30,2.44Hz,1H)、7.04(d,J=244Hz,1H)、7.11(d,J=8.30Hz,1H)。
【0150】
工程2:4−クロロ−1−エチル−2−ニトロベンゼン
亜硝酸ナトリウムの水(4.2g,60mmol,5M,12mL)溶液を、4−エチル−3−ニトロアニリン(10g,60mmol)の濃HCl(200mL)冷却(0℃)溶液に滴下し、反応混合物を同温度で1.5時間攪拌した。次いで、塩化(I)銅(9.5g,96mmol)を添加し、この溶液を室温で1時間、次いで80℃でさらに1時間攪拌した。冷却後、反応混合物をDCM(3×100mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで脱水した。次いで、粗製物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製し(9/1のヘキサン/EtOAc)、標題化合物を黄色油状物として得た(6.28g,56%)。
【0151】
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.19(t,J=7.45Hz,3H)、2.78(q,J=7.45Hz,2H)、7.57(d,J=8.42Hz,1H)、7.74(dd,J=8.36,2.26Hz,1H)、8.03(d,J=2.32Hz,1H)。
【0152】
工程3:5−クロロ−2−エチルアニリン
ヒドラジン水和物(6.95mL,134.7mmol)のメタノール(50mL)溶液を、4−クロロ−1−エチル−2−ニトロベンゼン(6.25g,33.7mmol)のメタノール(120mL)溶液に、塩化鉄(III)(547mg,3.4mmol)と活性炭(547mg)の存在下で滴下し、反応混合物を還流下で13時間攪拌した。固形物をセライトで濾過し、濾液を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィーによって精製し(9/1のヘキサン/EtOAc)、標題化合物を淡いピンク色の油状物として得た(5.09g,97%)。
【0153】
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.09(t,J=7.51Hz,3H)、2.39(q,J=7.49Hz,2H)、5.13(s,2H)、6.47(dd,J=8.06,2.20Hz,1H)、6.62(d,J=2.20Hz,1H)、6.89(d,J=8.06Hz,1H)。
【0154】
工程4:4−クロロ−1−エチル−2−ヨードベンゼン
5−クロロ−2−エチルアニリン(3.35g,21.5mmol)、p−トルエンスルホン酸(12.29g,64.6mmol)および水(2.15mL)の混合物を乳鉢内で数分間粉砕し、均一なペーストを得、これに固体の亜硝酸ナトリウム(3.71g,53.8mmol)を添加し、ペーストを10分間粉砕した。固体のヨウ化カリウム(8.94g,53.8mmol)を添加し、ペーストを20分間粉砕した。次いでペーストを水(50mL)に溶解させ、亜硫酸ナトリウム(10%水溶液)で処理した後、EtOAc(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、粗製物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製し(ヘキサン)、標題化合物を淡黄色油状物として得た(4.35g,76%)。
【0155】
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.12(t,J=7.51Hz,3H)、2.66(q,J=7.53Hz,2H)、7.29−7.35(m,1H)、7.42(dd,J=8.30,2.20Hz,1H)、7.87(d,J=2.20Hz,1H)。
【0156】
工程5:(5−クロロ−2−エチルフェニル)ボロン酸
塩化i−プロピルマグネシウム(THF中2M溶液,8.98mL,17.95mmol)を、4−クロロ−1−エチル−2−ヨードベンゼン(4.35g,16.3mmol)の乾燥THF(40mL)溶液に−30℃で滴下し、反応混合物を同温度でアルゴン下にて30分間攪拌した。この時間後、ホウ酸トリメチル(3.63mL,32.6mmol)を滴下し、反応混合物を同温度で1.5時間攪拌した。HCl(1M,16mL)を添加し、反応混合物をEtOAc(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒の除去後、固形物を得、これをヘキサンとともに磨砕し、標題化合物を白色固形物として得た(2.15g,72%)。
【0157】
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ 1.12 ppm(t,J=7.51Hz,3H)、2.72(q,J=7.69Hz,2H)、7.17(d,J=8.18Hz,1H)、7.25−7.32(m,1H)、7.36(d,J=2.32Hz,1H)、8.19(s,2H)。
【0158】
調製B
[5−クロロ−2−(プロパン−2−イル)フェニル]ボロン酸(IIIa)
【0159】
【化28】
【0160】
工程1:3−ニトロ−4−(プロパン−2−イル)アニリン
4−(プロパン−2−イル)アニリン(10.12mL,74mmol)を8℃まで冷却した硫酸(96%,57mL)に、温度を10℃より下に維持しながら滴下した。添加後、反応混合物を−5℃まで冷却した後、硝酸(100%,3.7mL)と硫酸(96%,9mL)の混合物を、温度を0℃より下に維持しながら添加した。次いで、反応混合物を同温度で1時間攪拌した。反応混合物を氷(200mL)に注入し、析出物を濾過し、水で洗浄した。固形物を水(100mL)で懸濁させ、水酸化アンモニウム(35%)で中和した。析出物を濾過し、炉内で乾燥させ、淡褐色固形物を得た(9.49g,71%)。
【0161】
工程2:4−クロロ−2−ニトロ−1−(プロパン−2−イル)ベンゼン
亜硝酸ナトリウムの水(3.6g,52.2mmol,5M,10.4mL)溶液を、3−ニトロ−4−(プロパン−2−イル)アニリン(9.4g,52.2mmol)の濃HCl(175mL)溶液に0℃で滴下し、反応混合物を同温度で1.5時間攪拌した。次いで塩化(I)銅(8.3g,83.5mmol)を添加し、この溶液を室温で1時間、次いで80℃でさらに1時間攪拌した。冷却後、反応混合物をDCM(3×100mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで脱水した。次いで、粗製物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製し(95/5のヘキサン/EtOAc)、標題化合物を黄色油状物として得た(1.8g,17%)。
【0162】
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.23(d,J=6.84Hz,6H)、3.14(spt,J=6.94Hz,1H)、7.67(d,J=8.54Hz,1H)、7.74(dd,J=8.54,2.30Hz,1H)、7.95(d,J=2.20Hz,1H)。
【0163】
工程3:5−クロロ−2−(プロパン−2−イル)アニリン
ヒドラジン水和物(1.7mL,35.1mmol)のメタノール(12mL)溶液を、4−クロロ−2−ニトロ−1−(プロパン−2−イル)ベンゼン(1.75g,8.8mmol)のメタノール(40mL)溶液に、塩化鉄(III)(146mg,0.9mmol)と活性炭(146mg)の存在下で滴下し、反応混合物を還流下で7時間攪拌した。固形物をセライトで濾過し、濾液を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィーによって精製し(9/1のヘキサン/EtOAc)、標題化合物を淡いピンク色の油状物として得た(1.4g,94%)。
【0164】
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.11(d,J=6.84Hz,6H)、2.90(spt,J=6.75Hz,1H)、5.15(s,2H)、6.50(dd,J=8.18,2.32Hz,1H)、6.62(d,J=2.32Hz,1H)、6.96(d,J=8.18Hz,1H)。
【0165】
工程4:4−クロロ−2−ヨード−1−(プロパン−2−イル)ベンゼン
5−クロロ−2−(プロパン−2−イル)アニリン(1.4g,8.3mmol)、p−トルエンスルホン酸(4.7g,24.8mmol)および水(0.83mmol)の混合物を乳鉢内で数分間粉砕し、均一なペーストを得、これに固体の亜硝酸ナトリウム(1.42g,20.6mmol)を添加し、ペーストを10分間粉砕した。固体のヨウ化カリウム(3.42g,20.6mmol)を添加し、ペーストを20分間粉砕した。次いでペーストを水(20mL)に溶解させ、亜硫酸ナトリウム(10%水溶液)で処理した後、EtOAc(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、粗製物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製し(ヘキサン)、標題化合物を淡黄色油状物として得た(1.79g,77%)。
【0166】
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.17(d,J=6.84Hz,6H)、3.08(spt,J=6.88Hz,1H)、7.33(d,J=8.42Hz,1H)、7.45(ddd,J=8.42,2.20、0.37Hz,1H)、7.87(d,J=2.20Hz,1H)。
【0167】
工程5:[5−クロロ−2−(プロパン−2−イル)フェニル]ボロン酸
塩化i−プロピルマグネシウム(THF中2M,3.34mL,6.7mmol)を、4−クロロ−2−ヨード−1−(プロパン−2−イル)ベンゼン(1.7g,6.7mmol)の乾燥THF(15mL)溶液に−30℃で滴下し、反応混合物を同温度でアルゴン下にて30分間攪拌した。この時間後、ホウ酸トリメチル(1.35mL,12.1mmol)を滴下し、反応混合物を同温度で1.5時間攪拌した。HCl(1M,6mL)を添加し、反応混合物をEtOAc(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒の除去後、固形物を得、これをヘキサンとともに磨砕し、標題化合物を白色固形物として得た(1.05g,87%)。
【0168】
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.16(d,J=6.84Hz,6H)、3.17−3.25(m,1H)、7.24−7.29(m,2H)、7.29−7.33(m,1H)、8.22(s,2H)。
【0169】
調製C
[2−エチル−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ボロン酸(IIIa)
【0170】
【化29】
【0171】
工程1:1−エチル−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン
1−エテニル−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン(1.72mL,11.6mmol)のTHF(60mL)溶液をPd/C(10%,400mg)の存在下、水素雰囲気(45psi)下で7時間攪拌した。固形物をセライトに通して濾過し(DCMで洗浄)、浴温度を20℃より下に維持しながら濾液を200mmHgで注意深く濃縮した。かくして得られた濃縮溶液を、さらに操作せずに次の工程で使用した。
【0172】
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.20(t,J=7.63Hz,3H)、2.70(q,J=7.16Hz,2H)、7.44(d,J=7.93Hz,2H)、7.63(d,J=7.93Hz,2H)。
【0173】
工程2:2−ヨード−1−エチル−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン
硫酸(96%,1.9mL)を、過ヨウ素酸ナトリウム(3.73g,17.4mmol)とヨウ素(2.95g,11.6mmol)を含む酢酸(8.45mL)と無水酢酸(4.23mL)の混合物の溶液に0℃で滴下した後、1−エチル−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン(2.0g,11.6mmol)を滴下した。反応混合物を攪拌しながら24時間、室温まで昇温させた。メタ重亜硫酸ナトリウム溶液(10%)を添加して残留ヨウ素をクエンチし、続いて水酸化ナトリウム(35%)を添加してpH=7にした。水層をDCM(3×50mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで脱水した。溶媒を除去したら、粗製物をさらに精製せずに次の工程で使用した。
【0174】
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.16(t,J=7.51Hz,3H)、2.75(q,J=7.49Hz,2H)、7.53(d,J=8.06Hz,1H)、7.69−7.75(m,1H)、8.11(dq,J=1.95,0.73Hz,1H)。
【0175】
工程3:[2−エチル−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ボロン酸
塩化i−プロピルマグネシウム(THF中2M溶液,5.81mL,11.6mmol)を、2−ヨード−1−エチル−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン(3.48g,11.6mmol)の乾燥THF(30mL)冷却(−30℃)溶液に滴下し、反応混合物を同温度でアルゴン下にて30分間攪拌した。この時間後、ホウ酸トリメチル(2.6mL,23.2mmol)を滴下し、反応混合物を同温度で1.5時間攪拌した。HCl(1M,10mL)を添加し、反応混合物をEtOAc(3×40mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒を蒸発させ、標題化合物を白色固形物として得た(ヘキサンから晶出)(2.46g,97%)。
【0176】
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.16(t,J=7.51Hz,3H)、2.82(q,J=7.45Hz,2H)、7.37(d,J=8.06Hz,1H)、7.56−7.62(m,1H)、7.69(dq,J=1.80,0.40Hz,1H)、8.27(s,2H)。
【0177】
調製D
5−クロロ−2−エチル安息香酸メチル
【0178】
【化30】
【0179】
2−ブロモ−5−クロロ安息香酸メチル(1.0g,4mmol)、塩化リチウム(490mg,11.58mmol)、テトラエチルスズ(0.81mL,4.1mmol)およびビス(トリフェニルホスフィン)−塩化パラジウム(II)(100mg,0.13mmol)をDMF(20mL)中で合わせ、100℃で5時間加熱した。溶媒を減圧除去し、残渣を水とEtOAcで希釈した。有機層を分離し、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濃縮した。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより(0から10%までのEtOAc/ヘキサン)、標題化合物を得た(435mg,55%)。
【0180】
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.15(t,J=7.43Hz,3H)2.86(q,J=7.45Hz,2H)3.84(s,3H)7.40(d,J=8.30Hz,1H)7.53−7.61(m,1H)7.75(d,J=2.32Hz,1H)。
【0181】
上記の手順を用いて下記の化合物を合成した。
【0182】
2−エチル−5−(トリフルオロ(fluro)メチル)安息香酸メチル
H NMR(600MHz,DMSO−d)δ 1.18(t,J=7.6Hz,3H)2.97(q,J=7.6Hz,2H)3.87(s,3H)7.62(d,J=8.1Hz,1H)7.88(dd,J=1.5,8.2Hz,1H)8.04(d,J=1.10Hz,1H)。
【0183】
調製E
2−[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボニトリル[(VIII),R1=Cl,R2=CF
【0184】
【化31】
【0185】
工程1:3−[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−オキソプロパンニトリル
カリウムtert−ペントオキシド(Potassium tert−pentoxide)(トルエン中1.7M)(7.35mL,12.5mmol)を、2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)安息香酸メチル(2.0g,8.38mmol)とACN(1.32mL,25.15mmol)を含む無水トルエン(30mL)の溶液に滴下した。混合物を室温で20分間攪拌し、次いでHCl(1N)(20mL)、水(75mL)およびEtOAc(100mL)で希釈した。有機層を分離し、水(50mL×2)とブライン(50mL×2)で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濃縮した。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより(0から20%までのEtOAc/ヘキサン)、標題化合物を得た(1.73g,83%)。
【0186】
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 4.76(s,2H)7.81−7.98(m,3H)。
【0187】
工程2:3−[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−[(2,2−ジエトキシエチル)アミノ]プロパ−2−エンニトリル
3−[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−オキソプロパンニトリル(1.2g,4.8mmol)、2−アミノアセトアルデヒドジエチルアセタール(0.77mL,5.3mmol)およびトルエン(30mL)の混合物を窒素雰囲気下、ディーン・スターク装置内で還流下にて5時間攪拌した。混合物を真空にてエバポレートし、さらに精製せずに次の工程で使用した。
【0188】
工程3:2−(2−クロロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル
5℃のTFA(4mL)に、粗製3−[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−[(2,2−ジエトキシエチル)アミノ]プロパ−2−エンニトリルを添加した。室温で30分間攪拌した後、反応混合物を濃縮し、次いで、EtOAcと飽和炭酸水素ナトリウム溶液で希釈した。有機層を分離し、水とブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濃縮した。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより(0から20%までのEtOAc/ヘキサン)、標題化合物を得た(584mg,45%(2工程))。
【0189】
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 6.65(t,J=2.62Hz,1H)7.12(t,J=2.81Hz,1H)7.81−7.95(m,3H)12.23(bs,1H)。
【0190】
上記の手順を用いて下記の化合物を合成した。
【0191】
2−(5−クロロ−2−メチル−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル[(VIII),R1=CH,R2=Cl]
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.26(s,3H)6.59(t,J=2.69Hz,1H)7.04(t,J=2.81Hz,1H)7.38(d,J=2.20Hz,1H)7.39−7.42(m,1H)7.42−7.47(m,1H)11.99(bs,1H)。
【0192】
2−(2−ブロモ−5−クロロ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル[(VIII),R1=Br,R2=Cl]
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 6.60(t,J=2.62Hz,1H)7.06(t,J=2.81Hz,1H)7.51(dd,J=8.61,2.62Hz,1H)7.59(d,J=2.56Hz,1H)7.82(d,J=8.54Hz,1H)12.13(bs,1H)。
【0193】
2−(2,5−ジクロロ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル[(VIII),R1=Cl,R2=Cl]
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 6.62(t,J=2.62Hz,1H)7.08(t,J=2.81Hz,1H)7.55−7.61(m,1H)7.61−7.63(m,1H)7.65−7.69(m,1H)12.16(bs,1H)。
【0194】
2−(5−クロロ−2−エチルフェニル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル[(VIII),R1=CHCH,R2=Cl]
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 0.99(t,J=7.51Hz,3H)2.58(q,J=7.53Hz,2H)6.58(t,J=2.65Hz,1H)7.02(t,J=2.81Hz,1H)7.31−7.37(m,1H)7.41−7.46(m,1H)7.47−7.52(m,1H)11.99(bs,1H)。
【0195】
2−[2−メチル−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボニトリル[(VIII),R1=CH,R2=CF
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ 2.36−2.39(m,3H)6.62(t,J=2.61Hz,1H)7.08(t,J=2.75Hz,1H)7.62(d,J=8.24Hz,1H)7.65(s,1H)7.74(d,J=7.96Hz,1H)12.08(br.s.,1H)。
【0196】
2−[2−エチル−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボニトリル[(VIII),R1=CHCH,R2=CF
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.04(t,J=7.51Hz,3H)1.11−1.52(m,1H)2.07(s,1H)2.69(q,J=7.51Hz,2H)6.61(t,J=2.75Hz,1H)7.06(t,J=2.75Hz,1H)7.61(s,1H)7.66(d,J=8.24Hz,1H)7.79(dd,J=1.46、8.06Hz,1H)12.05(bs,1H)。
【0197】
実施例1
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=Cl,R2=CF,R3=R4=NH,R12=H](化合物1)
【0198】
スキームA、工程1,2,3
【0199】
【化32】
【0200】
工程1:エチル5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキシラート
エチル5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−ブロモ−1H−ピロール−3−カルボキシラート(WO2007/110344に従って調製,2.0g,6.43mmol)をEtOH(20mL)とトルエン(20mL)に溶解させた溶液に、LiCl(408mg,9.64mmol)、1M水性NaCO(17mmol)、2−クロロ−5−トリフルオロメチルフェニルボロン酸(1.875g,8.35mmol)および(PhP)PdCl(470mg,0.67mmol)を添加し、反応混合物を100℃で5時間加熱した。室温まで冷却した後、析出物を濾過し、濾液を減圧下でエバポレートし、DCMに溶解させ、水で洗浄した。次いで有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濃縮した。粗製物質をシリカゲルでクロマトグラフィー処理し(50/50のDCM/EtOAc)、標題化合物を得た(2.16g,82%)。
【0201】
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.01(t,J=7.08Hz,3H)4.00(q,J=7.08Hz,2H)6.39(bs,2H)6.99(d,J=5.25Hz,1H)7.29(d,J=2.32Hz,3H)7.82(s,4H)8.20(d,J=5.13Hz,3H)12.36(bs,1H)。
【0202】
HRMS(ESI)C1814ClF+Hの計算値411.0830,実測値411.0827。
【0203】
上記の手順を用いて下記の化合物を合成した。
【0204】
エチル5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキシラート
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.09(t,J=7.14Hz,3H)2.11(s,3H)4.04(q,J=7.12Hz,2H)6.41(s,2H)7.01(d,J=5.25Hz,1H)7.25−7.36(m,3H)7.37−7.43(m,1H)8.21(d,J=5.13Hz,1H)12.17(bs,1H)。
【0205】
エチル5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(2,5−ジクロロフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキシラート
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.07(t,J=7.08Hz,3H)4.05(q,J=7.16Hz,2H)6.42(bs,2H)7.01(d,J=5.25Hz,1H)7.29(s,1H)7.52−7.60(m,3H)8.22(d,J=5.25Hz,1H)12.32(bs,1H)。
【0206】
エチル5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキシラート
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.11(t,J=7.08Hz,3H)3.73(s,3H)4.05(q,J=7.16Hz,2H)6.43(bs,2H)7.01(d,J=5.25Hz,1H)7.11(d,J=8.91Hz,1H)7.26(d,J=2.69Hz,1H)7.38(d,J=2.69Hz,1H)7.45(dd,J=8.85、2.75Hz,1H)8.20(d,J=5.25Hz,1H)12.01(bs,1H)。
【0207】
エチル5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−エチルフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキシラート
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 0.97(t,J=7.57Hz,3H)1.06(t,J=7.08Hz,3H)2.44(q,J=7.57Hz,2H)4.03(q,J=7.08Hz,2H)7.21(d,J=6.10Hz,1H)7.32(d,J=2.32Hz,1H)7.38(d,J=8.42Hz,1H)7.47(dd,J=8.30,2.32Hz,1H)7.50(d,J=2.56Hz,1H)8.25(d,J=5.98Hz,1H)12.52(bs,1H)。
【0208】
エチル5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(2−クロロ−5−メチルフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキシラート
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.06(t,J=7.14Hz,3H)2.34(s,3H)4.03(q,J=7.16Hz,2H)6.41(s,1H)7.01(d,J=5.25Hz,1H)7.27−7.30(m,3H)7.42(d,J=8.06Hz,1H)8.21(d,J=5.25Hz,1H)12.20(bs,1H)。
【0209】
エチル5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−ブロモ−2−メトキシフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキシラート
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.11(t,J=7.08Hz,3H)3.72(s,3H)4.05(q,J=7.16Hz,2H)6.41(s,2H)7.01(d,J=5.25Hz,1H)7.06(d,J=8.91Hz,1H)7.25(d,J=2.69Hz,1H)7.49(d,J=2.56Hz,1H)7.57(dd,J=8.85,2.62Hz,1H)8.20(d,J=5.25Hz,1H)12.01(bs,1H)。
【0210】
エチル5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキシラート
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.13(t,J=7.08Hz,3H)4.09(q,J=7.16Hz,2H)6.44(bs,2H)7.03(d,J=5.13Hz,1H)7.29(dd,J=9.28,8.91Hz,1H)7.31(d,J=2.32Hz,1H)7.63−7.69(m,2H)7.72(dd,J=6.47,2.56Hz,1H)8.23(d,J=5.25Hz,1H)12.33(bs,1H)。
【0211】
エチル5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−([2−クロロ−5−(ヒドロキシメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキシラート
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.07(t,J=7.08Hz,3H)4.04(q,J=7.08Hz,2H)4.55(s,2H)7.22(d,J=5.98Hz,1H))7.38−7.55(m,4H)8.26(d,J=5.98Hz,1H)12.55(bs,1H)。
【0212】
エチル5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(2−クロロ−5−メトキシフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキシラート
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.07(t,J=7.14Hz,3H)3.79(s,3H)4.04(q,J=7.08Hz,2H)6.41(s,2H)7.02(d,J=5.25Hz,1H)7.03−7.06(m,2H)7.28(d,J=2.56Hz,1H)7.41−7.46(m,1H)8.21(d,J=5.25Hz,1H)12.22(bs,1H)。
【0213】
エチル5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2−クロロ−5−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキシラート
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.04(t,J=7.08Hz,3H)4.03(q,J=7.08Hz,2H)6.42(bs,2H)7.01(d,J=5.13Hz,1H)7.30(d,J=2.32Hz,1H)7.46−7.54(m,2H)7.68−7.72(m,1H)8.22(d,J=5.25Hz,1H)12.37(bs,1H)。
【0214】
エチル5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2−メチル−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキシラート
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.04(t,J=7.14Hz,3H)2.21(s,3H)4.02(q,J=7.04Hz,2H)6.41(s,2H)7.01(d,J=5.25Hz,1H)7.32(d,J=2.44Hz,1H)7.54(d,J=8.06Hz,1H)7.59(d,J=1.46Hz,1H)7.70(dd,J=8.06,1.46Hz,1H)8.21(d,J=5.25Hz,1H)12.24(bs,1H)。
【0215】
エチル5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[5−クロロ−2−(プロパン−2−イル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキシラート
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.02(t,J=7.08Hz,3H)1.07(d,J=6.96Hz,6H)2.71(spt,J=6.84Hz,1H)4.00(q,J=7.08Hz,2H)6.40(bs,2H)7.00(d,J=5.13Hz,1H)7.25(d,J=2.32Hz,1H)7.28(d,J=2.56Hz,1H)7.42(d,J=8.30Hz,1H)7.48(dd,J=8.30,2.32Hz,1H)8.20(d,J=5.25Hz,1H)12.23(bs,1H)。
【0216】
エチル5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2−エチル−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキシラート
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.01(t,J=7.15Hz,6H)2.54(q,J=7.60Hz,2H)4.00(q,J=7.08Hz,2H)6.41(bs,2H)7.01(d,J=5.25Hz,1H)7.31(d,J=2.56Hz,1H)7.56(d,J=1.60Hz,1H)7.58(d,J=8.20Hz,1H)7.74(dd,J=8.12、1.53Hz,1H)8.21(d,J=5.13Hz,1H)12.27(bs,1H)。
【0217】
エチル5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[5−クロロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキシラート
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 0.97(t,J=7.08Hz,3H)3.97(q,J=7.08Hz,2H)6.41(bs,2H)6.99(d,J=5.25Hz,1H)7.27(d,J=2.44Hz,1H)7.66(d,J=2.07Hz,1H)7.74−7.79(m,1H)7.86(d,J=8.54Hz,1H)8.21(d,J=5.13Hz,1H)12.37(bs,1H)。
【0218】
エチル5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−シアノ−2−メチルフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキシラート
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.07(t,J=7.14Hz,3H)2.21(s,3H)4.04(q,J=7.08Hz,2H)6.41(bs,2H)7.01(d,J=5.25Hz,1H)7.32(d,J=2.32Hz,1H)7.52(d,J=8.06Hz,1H)7.76(d,J=1.83Hz,1H)7.80(dd,J=7.87,1.77Hz,1H)8.22(d,J=5.25Hz,1H)12.24(bs,1H)。
【0219】
工程2:5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボン酸
エチル5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキシラート(1.0g,2.43mmol)を、水酸化カリウムの1.5M溶液(95%EtOH中)(32.4mL,20当量)で還流下にて20時間処理した。冷却後、残渣を濃縮し、水に溶解させ、DCMで洗浄した。5℃まで冷却した水相に、撹拌しながらHCl(2N)溶液を添加した。生じた析出物を濾過によって収集し、標題化合物を得た(0.88g,95%)。
【0220】
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 7.29(d,J=6.35Hz,1H)7.62(bs,2H)7.58(d,J=2.20Hz,1H)7.79−7.92(m,3H)8.29(d,J=6.23Hz,1H)12.67(bs,1H)12.76(bs,1H)。
【0221】
HRMS(ESI)C1610ClF+Hの計算値383.0517,実測値383.0513。
【0222】
上記の手順を用いて下記の化合物を合成した。
【0223】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.12(s,3H)7.28−7.37(m,3H)7.40−7.45(m,1H)7.59(d,J=2.56Hz,1H)7.77(bs,1H)8.28(d,J=6.44Hz,1H)12.06(s,1H)12.54(bs,1H)。
【0224】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−エチルフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 0.98(t,J=7.57Hz,3H)2.46(q,J=7.57Hz,2H)6.79(bs,2H)7.08(d,J=5.49Hz,1H)7.29(d,J=2.32Hz,1H)7.35(d,J=8.30Hz,1H)7.36(d,J=2.81Hz,1H)7.43(dd,J=8.30,2.32Hz,1H)8.22(d,J=5.62Hz,1H)11.86(bs,1H)12.23(bs,1H)。
【0225】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(2−クロロ−5−メチルフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.33(s,3H)6.88(bs,1H)7.11(d,J=5.61Hz,1H)7.24−7.30(m,2H)7.29(dq,J=2.20,0.60Hz,1H)7.37(d,J=2.20Hz,1H)7.41(d,J=8.06Hz,1H)8.22(d,J=5.62Hz,1H)11.84(bs,1H)12.26(bs,1H)。
【0226】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−ブロモ−2−メトキシフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 3.73(s,3H)7.09(d,J=8.91Hz,1H)7.31(d,J=6.59Hz,1H)7.51(d,J=2.56Hz,1H)7.56(d,J=2.32Hz,1H)7.59(dd,J=8.85,2.62Hz,1H)7.81(bs,2H)8.27(d,J=6.47Hz,1H)12.41(bs,1H)。
【0227】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 7.27(d,J=6.10Hz,1H)7.30(t,J=9.10Hz,1H)7.53(bs,1H)7.68(ddd,J=8.88,4.49,2.62Hz,1H)7.73(dd,J=6.35,2.56Hz,1H)8.29(d,J=6.10Hz,1H)12.59(bs,1H)。
【0228】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2−クロロ−5−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボン酸
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 7.27(d,J=6.47Hz,1H)7.47−7.57(m,3H)7.71(d,J=9.03Hz,1H)8.29(d,J=6.23Hz,1H)12.06(s,1H)12.65(bs,1H)。
【0229】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2−メチル−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボン酸
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.23(s,3H)7.28(d,J=6.10Hz,1H)7.55(d,J=8.30Hz,1H)7.58(d,J=1.80Hz,1H)7.61(d,J=1.34Hz,1H)7.71(dd,J=8.18,1.60Hz,1H)8.27(d,J=6.22Hz,1H)12.54(bs,1H)。
【0230】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2−エチル−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボン酸
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.02(t,J=7.57Hz,3H)2.56(q,J=7.65Hz,2H)7.18(d,J=5.86Hz,1H)7.20(bs,2H)7.48(d,J=2.44Hz,1H)7.57(bs,1H)7.58(d,J=8.00Hz,1H)7.74(dd,J=7.99、1.65Hz,1H)8.25(d,J=5.98Hz,1H)11.95(bs,1H)12.43(bs,1H)。
【0231】
工程3:5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=Cl,R2=CF,R3=R4=NH,R12=H](化合物1)
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2−クロロ−5−(トリフルオロメチル−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸(581mg,1.52mmol)を含むDMF(5mL)とDIPEA(1.06mL,6.08mmol)の溶液を0℃で攪拌した。EDCI(582mg,3.04mmol)とHOBT.NH(469mg,3.04mmol)を添加し、反応混合物を室温で3時間攪拌した。混合物を水で希釈し、生じた析出物を濾過によって収集し、標題化合物を得た(475mg,82%)。
【0232】
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 6.36(bs,2H)6.77(bs,1H)6.90(d,J=5.25Hz,1H)7.37(d,J=2.56Hz,1H)7.42(bs,1H)7.69−7.84(m,3H)8.22(d,J=5.25Hz,1H)12.07(bs,1H)。
【0233】
HRMS(ESI)C1611ClFO+Hの計算値382.0677,実測値382.0675。
【0234】
上記の手順を用いて下記の化合物を合成した。
【0235】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(2,5−ジクロロフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=Cl,R2=Cl,R3=R4=NH,R12=H](化合物2)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 6.87(bs,1H)7.09(d,J=6.10Hz,1H)7.46(bs,1H)7.48−7.56(m,3H)8.26(d,J=6.10Hz,1H)12.35(bs,1H)。
【0236】
HRMS(ESI)C1511ClO+Hの計算値348.0414,実測値348.0419。
【0237】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=OCH,R2=Cl,R3=R4=NH,R12=H](化合物3)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 3.75(s,3H)6.35(bs,2H)6.74(bs,1H)6.92(d,J=5.25Hz,1H)7.08−7.12(m,1H)7.20(bs,1H)7.25(d,J=2.56Hz,1H)7.36−7.41(m,2H)8.19(d,J=5.25Hz,1H)11.63(bs,1H)。
【0238】
HRMS(ESI)C1614ClN+Hの計算値344.0909,実測値344.0912。
【0239】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(2−クロロ−5−エチルフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=Cl,R2=CHCH,R3=R4=NH,R12=H](化合物4)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.20(t,J=7.57Hz,3H)2.63(q,J=7.57Hz,2H)6.33(bs,2H)6.69(bs,1H)6.93(d,J=5.25Hz,1H)7.14(bs,1H)7.27(d,J=2.20Hz,1H)7.26(dd,J=7.90,2.20Hz,1H)7.32(d,J=2.56Hz,2H)7.40(dd,J=7.81,0.49Hz,1H)8.19(d,J=5.25Hz,1H)11.87(bs,1H)。
【0240】
HRMS(ESI)C1716ClNO+Hの計算値342.1116,実測値342.1120。
【0241】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−エチルフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=CHCH,R2=Cl,R3=R4=NH,R12=H](化合物5)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 0.97(t,J=7.57Hz,3H)2.41−2.49(m,2H)6.32(bs,2H)6.71(bs,1H)6.92(d,J=5.25Hz,1H)7.16(bs,1H)7.25(d,J=2.20Hz,1H)7.30−7.33(m,1H)7.34(d,J=2.69Hz,1H)7.37−7.46(m,1H)8.19(d,J=5.25Hz,1H)11.87(bs,1H)。
【0242】
HRMS(ESI)C1716ClNO+Hの計算値342.1116,実測値342.1111。
【0243】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(2−クロロ−5−メチルフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=Cl,R2=CH,R3=R4=NH,R12=H](化合物6)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.32(s,3H)6.33(bs,2H)6.68(bs,1H)6.93(d,J=5.25Hz,1H)7.14(bs,1H)7.20−7.24(m,1H)7.25(dq,J=2.20,0.60Hz,1H)7.31(d,J=2.56Hz,1H)7.38(d,J=8.18Hz,1H)8.19(d,J=5.25Hz,1H)11.85(bs,1H)。
【0244】
HRMS(ESI)C1614ClNO+Hの計算値328.0960,実測値328.0965。
【0245】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(2−クロロ−5−シアノフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=Cl,R2=CN,R3=R4=NH,R12=H](化合物7)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 6.42(bs,2H)6.79(bs,1H)6.90(d,J=5.25Hz,1H)7.38(d,J=2.56Hz,1H)7.44(bs,1H)7.73(d,J=8.42Hz,1H)7.88(dd,J=8.42,2.07Hz,1H)7.94(d,J=2.07Hz,1H)8.23(d,J=5.37Hz,1H)12.07(bs,1H)。
【0246】
HRMS(ESI)C1611ClNO+Hの計算値339.0756,実測値339.0761。
【0247】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−ブロモ−2−メトキシフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=OCH,R2=Br,R3=R4=NH,R12=H](化合物8)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 3.74(s,3H)6.36(bs,2H)6.86(bs,1H)7.07(d,J=8.91Hz,1H)7.14(d,J=6.23Hz,1H)7.29(bs,1H)7.47(d,J=2.44Hz,1H)7.51(d,J=2.56Hz,1H)7.55(dd,J=8.79,2.56Hz,1H)8.23(d,J=6.23Hz,1H)12.05(bs,1H)。
【0248】
HRMS(ESI)C1614BrN+Hの計算値388.0404,実測値388.0410。
【0249】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=F,R2=Br,R3=R4=NH,R12=H](化合物9)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 6.46(bs,2H)6.91(bs,1H)7.11(d,J=6.10Hz,1H)7.25(dd,J=9.46、8.97Hz,1H)7.33(bs,1H)7.51(d,J=2.32Hz,2H)7.63(ddd,J=8.76,4.49,2.62Hz,1H)7.69(dd,J=6.47,2.56Hz,1H)8.27(d,J=5.98Hz,1H)12.31(bs,1H)。
【0250】
HRMS(ESI)C1511BrFNO+Hの計算値376.0204,実測値376.0209。
【0251】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2−クロロ−5−(ヒドロキシメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=Cl,R2=CHOH,R3=R4=NH,R12=H](化合物10)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 4.53(d,J=5.74Hz,2H)5.33(t,J=5.68Hz,1H)6.33(bs,2H)6.68(bs,1H)6.93(d,J=5.25Hz,1H)7.15(bs,1H)7.32(d,J=2.56Hz,1H)7.33−7.37(m,2H)7.45(d,J=8.80Hz,1H)8.19(d,J=5.25Hz,1H)11.88(bs,1H)。
【0252】
HRMS(ESI)C1614ClN+Hの計算値344.0909,実測値344.0902。
【0253】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(2−クロロ−5−メトキシフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=Cl,R2=OCH,R3=R4=NH,R12=H](化合物11)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 3.78(s,3H)6.33(s,2H)6.70(bs,1H)6.93(d,J=5.25Hz,1H)6.97−7.02(m,2H)7.15(bs,1H)7.31(d,J=2.56Hz,1H)7.36−7.42(m,1H)8.19(d,J=5.25Hz,1H)11.88(bs,1H)。
【0254】
HRMS(ESI)C1614ClN+Hの計算値344.0909,実測値344.0907。
【0255】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2−クロロ−5−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=Cl,R2=OCF,R3=R4=NH,R12=H](化合物12)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 6.35(bs,2H)6.76(bs,1H)6.90(d,J=5.13Hz,1H)7.35(d,J=2.56Hz,1H)7.39(bs,1H)7.41−7.46(m,1H)7.42(dq,J=1.74,0.90Hz,1H)7.64(ddd,J=8.79,1.46,1.10Hz,1H)8.21(d,J=5.25Hz,1H)12.04(bs,1H)。
【0256】
HRMS(ESI)C1611ClF+Hの計算値398.0626,実測値398.0624。
【0257】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2−メチル−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=CH,R2=CF,R3=R4=NH,R12=H](化合物13)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.23(s,3H)6.32(bs,2H)6.74(bs,1H)6.92(d,J=5.25Hz,1H)7.32(bs,1H)7.37(d,J=2.44Hz,1H)7.49(d,J=8.06Hz,1H)7.53(d,J=1.46Hz,1H)7.64(dd,J=8.06,1.46Hz,1H)8.20(d,J=5.25Hz,1H)11.91(bs,1H)。
【0258】
HRMS(ESI)C1714O+Hの計算値362.1223,実測値362.1225。
【0259】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[5−クロロ−2−(プロパン−2−イル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=CH(CH,R2=Cl,R3=R4=NH,R12=H](化合物14)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.06(d,J=6.84Hz,6H)2.79(spt,J=6.90Hz,1H)6.32(bs,2H)6.71(bs,1H)6.91(d,J=5.25Hz,1H)7.11(bs,1H)7.21(d,J=2.32Hz,1H)7.34(d,J=2.69Hz,1H)7.38(d,J=8.30Hz,1H)7.44(dd,J=8.30,2.32Hz,1H)8.18(d,J=5.25Hz,1H)11.89(bs,1H)。
【0260】
HRMS(ESI)C1818ClNO+Hの計算値356.1273,実測値356.1271。
【0261】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=CF,R2=CF,R3=R4=NH,R12=H](化合物15)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 6.34(bs,2H)6.69(bs,1H)6.85(d,J=5.25Hz,1H)7.37(d,J=2.44Hz,1H)7.40(bs,1H)7.79(bs,1H)8.0−8.06(m,2H)8.21(d,J=5.25Hz,1H)12.08(bs,1H)。
【0262】
HRMS(ESI)C1711ClNO+Hの計算値416.0941,実測値416.0945。
【0263】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2−エチル−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=CHCH,R2=CF,R3=R4=NH,R12=H](化合物16)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.02(t,J=7.55Hz,3H)2.57(q,J=7.60Hz,4H)6.37(bs,2H)6.76(bs,1H)6.92(d,J=5.49Hz,1H)7.33(bs,1H)7.38(d,J=2.47Hz,1H)7.47−7.57(m,2H)7.70(d,J=7.14Hz,1H)8.21(d,J=5.22Hz,1H)11.97(bs,1H)。
【0264】
HRMS(ESI)C1816O+Hの計算値376.138,実測値376.1384。
【0265】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[5−クロロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=CF,R2=Cl,R3=R4=NH,R12=H](化合物17)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 6.36(bs,2H)6.68(bs,1H)6.86(d,J=5.25Hz,1H)7.34(bs,1H)7.35(d,J=2.56Hz,1H)7.54(d,J=1.95Hz,1H)7.70(dd,J=8.48,1.40Hz,1H)7.80(d,J=8.54Hz,1H)7.95(s,1H)8.21(d,J=5.37Hz,1H)12.03(bs,1H)。
【0266】
HRMS(ESI)C1611ClFO+Hの計算値382.0677,実測値382.0679。
【0267】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−シアノ−2−メチルフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=CH,R2=CN,R3=R4=NH,R12=H](化合物18)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.22(s,3H)6.33(bs,2H)6.76(bs,1H)6.91(d,J=5.25Hz,2H)7.35(bs,1H)7.37(d,J=2.56Hz,1H)7.47(d,J=7.93Hz,2H)7.69(d,J=1.83Hz,2H)7.74(dd,J=7.93,1.83Hz,2H)8.21(d,J=5.25Hz,2H)11.90(bs,1H)。
【0268】
HRMS(ESI)C1714O+Hの計算値319.1302,実測値319.1314。
【0269】
実施例2
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−メチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=CH,R2=Cl,R3=NHCH、R4=NH,R12=H](化合物19)
【0270】
スキームA、工程3
【0271】
【化33】
【0272】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸(142mg,0.43mmol)を含む1/1のDMF/THF(4mL)の溶液に、DIPEA(0.301mL,1.72mmol)とMeNH(THF中2M)(0.432mL,0.86mmol)を添加し、この溶液を0℃で攪拌した。EDCI(157mg,0.86mmol)とHOBT(117mg,0.86mmol)を添加し、反応混合物を室温で4時間攪拌した。混合物を水で希釈し、DCM(4×10mL)で抽出した。有機相をブライン、水で洗浄し、次いで硫酸ナトリウムで脱水し、濃縮した。粗製物質をシリカゲルでクロマトグラフィー処理し(90/10のDCM/MeOH)、標題化合物を得た(124mg,84%)。
【0273】
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.10(s,3H)2.62(d,J=4.52Hz,3H)6.32(bs,1H)6.93(d,J=5.25Hz,1H)7.27(d,J=8.00Hz,1H)7.29(d,J=2.32Hz,1H)7.31(d,J=2.56Hz,1H)7.35(dd,J=8.30,2.32Hz,1H)7.80(q,J=4.76Hz,1H)8.19(d,J=5.37Hz,1H)11.84(bs,1H)。
【0274】
HRMS(ESI)C1716ClNO+Hの計算値342.1116,実測値342.1118。
【0275】
上記の手順を用いて下記の化合物を合成した。
【0276】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−エチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=CH,R2=Cl,R3=NHCHCH,R4=NH,R12=H](化合物20)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.02(t,J=7.20Hz,3H)2.11(s,3H)3.12(dq,J=7.10,5.92Hz,2H)6.32(bs,2H)6.94(d,J=5.25Hz,1H)7.28(d,J=2.32Hz,1H)7.28(d,J=8.30Hz,1H)7.33(d,J=2.56Hz,1H)7.35(dd,J=8.30,2.32Hz,1H)7.80(t,J=5.68Hz,1H)8.19(d,J=5.25Hz,1H)11.83(bs,1H)。
【0277】
HRMS(ESI)C1818ClNO+Hの計算値356.1273,実測値356.1277。
【0278】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=CH,R2=Cl,R3=NHCHCHOH,R4=NH,R12=H](化合物21)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.10(s,3H)3.17(q,J=6.06Hz,2H)3.38−3.44(m,2H)4.61(t,J=5.37Hz,1H)6.34(bs,2H)6.94(d,J=5.25Hz,1H)7.23−7.30(m,2H)7.32−7.38(m,2H)7.71(t,J=5.80Hz,1H)8.20(d,J=5.37Hz,1H)11.86(bs,1H)。
【0279】
HRMS(ESI)C1818ClN+Hの計算値372.1222,実測値372.1230。
【0280】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−[2−(ピペリジン−1−イル)エチル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=CH,R2=Cl,R3=NH−[2−(ピペリジン−1−イル)エチル,R4=NH,R12=H](化合物22)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.28−1.39(m,2H)1.39−1.48(m,4H)2.11(s,3H)2.20−2.35(m,6H)3.19(dq,J=6.80,5.50Hz,2H)6.33(bs,2H)6.94(d,J=5.25Hz,1H)7.30(d,J=7.95Hz,1H)7.29(d,J=2.20Hz,1H)7.30(d,J=2.00Hz,1H)7.37(dd,J=8.18,2.20Hz,1H)7.41(t,J=5.37Hz,1H)8.19(d,J=5.25Hz,1H)11.86(bs,1H)。
【0281】
HRMS(ESI)C2327ClNO+Hの計算値439.2008,実測値439.2012。
【0282】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=CH,R2=Cl,R3=NH−(1−メチルピペリジン−4−イル),R4=NH,R12=H](化合物23)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.45(dq,J=11.64,3.91Hz,2H)1.65(dq,J=12.66,3.14Hz,2H)1.88(td,J=11.41,2.07Hz,2H)2.10(s,3H)2.12(s,3H)2.63(d,J=11.23Hz,2H)3.49−3.62(m,1H)6.32(bs,2H)6.94(d,J=5.25Hz,1H)7.28(d,J=8.67Hz,1H)7.29(d,J=2.00Hz,1H)7.33−7.38(m,2H)7.48(d,J=8.18Hz,1H)8.19(d,J=5.25Hz,1H)11.85(bs,1H)。
【0283】
HRMS(ESI)C2225ClNO+Hの計算値425.1851,実測値425.1846。
【0284】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−フェニル−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=CH,R2=Cl,R3=NHPh,R4=NH,R12=H](化合物24)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.14(s,3H)6.37(bs,2H)6.99(d,J=5.25Hz,1H)7.00(tt,J=7.40,1.15Hz,1H)7.26(dd,J=8.36,7.63Hz,2H)7.30(d,J=7.93Hz,1H)7.34(d,J=2.32Hz,1H)7.37(dd,J=7.93,2.32Hz,1H)7.57(d,J=1.34Hz,1H)7.65(dd,J=8.61,1.04Hz,2H)8.23(d,J=5.25Hz,1H)9.74(s,1H)12.05(bs,1H)。
【0285】
HRMS(ESI)C2218ClNO+Hの計算値404.1273,実測値404.1274。
【0286】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−(フラン−2−イルメチル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=CH,R2=Cl,R3=NH−(フラン−2−イルメチル),R4=NH,R12=H](化合物25)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.08(s,3H)4.30(d,J=5.86Hz,2H)6.16(dq,J=3.22,0.80Hz,1H)6.32(bs,2H)6.36(dd,J=3.17,1.83Hz,1H)6.93(d,J=5.25Hz,1H)7.27(d,J=7.93Hz,1H)7.28(d,J=2.20Hz,1H)7.35(dd,J=7.93,2.20Hz,1H)7.39(d,J=2.56Hz,1H)7.53(dd,J=1.83,0.85Hz,1H)8.19(d,J=5.37Hz,1H)8.28(t,J=5.86Hz,1H)11.90(bs,1H)。
【0287】
HRMS(ESI)C2118ClN+Hの計算値408.1222,実測値408.1229。
【0288】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−(3−ヒドロキシプロピル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=CH,R2=Cl,R3=NHCHCHCHOH,R4=NH,R12=H](化合物26)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.57(quin,J=6.65Hz,2H)2.10(s,3H)3.15(q,J=6.50Hz,2H)4.40(t,J=5.13Hz,1H)6.33(bs,1H)6.94(d,J=5.13Hz,1H)7.28(d,J=8.18Hz,1H)7.28(d,J=2.32Hz,1H)7.32(s,1H)7.35(dd,J=8.18,2.20Hz,1H)7.77(t,J=5.55Hz,1H)8.19(d,J=5.25Hz,1H)11.85(bs,1H)。
【0289】
HRMS(ESI)C1920ClN+Hの計算値386.1379,実測値386.1381。
【0290】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−(2−メトキシエチル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=CH,R2=Cl,R3=NHCHCHOCH,R4=NH,R12=H](化合物27)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.10(s,3H)3.22(s,3H)6.33(bs,2H)6.94(d,J=5.25Hz,1H)7.28(d,J=2.32Hz,1H)7.29(d,J=7.93Hz,1H)7.34(d,J=2.56Hz,1H)7.36(dd,J=8.18,2.20Hz,1H)7.69(t,J=5.49Hz,1H)8.19(d,J=5.25Hz,1H)11.87(bs,1H)。
【0291】
HRMS(ESI)C1920ClN+Hの計算値386.1379,実測値386.1385。
【0292】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−(2−フルオロエチル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=CH,R2=Cl,R3=NHCHCHF,R4=NH,R12=H](化合物28)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.10(s,3H)3.44(q,J=5.25Hz,2H)4.43(dt,J=47.48,5.25Hz,2H)6.33(bs,1H)6.94(d,J=5.25Hz,1H)7.28(d,J=8.30Hz,1H)7.28(d,J=2.32Hz,1H)7.35(dd,J=8.30,2.32Hz,1H)7.38(d,J=1.95Hz,1H)8.03(t,J=5.55Hz,1H)8.20(d,J=5.25Hz,1H)11.90(bs,1H)。
【0293】
HRMS(ESI)C1817ClFNO+Hの計算値374.1179,実測値374.1185。
【0294】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N,N−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド[(I),R1=CH,R2=Cl,R3=N(CH,R4=NH,R12=H](化合物29)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.17(s,3H)2.84(s,6H)6.36(s,1H)6.99(d,J=5.25Hz,1H)7.00(s,1H)7.30(d,J=8.06Hz,1H)7.29(d,J=2.20Hz,1H)7.35(dd,J=8.30,2.32Hz,1H)8.19(d,J=5.25Hz,1H)11.84(bs,1H)。
【0295】
HRMS(ESI)C1818ClNO+Hの計算値356.1273,実測値356.1277。
【0296】
N−(2−アミノエチル)−5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=CH,R2=Cl,R3=NHCHCHNH,R4=NH,R12=H](化合物30)
DCM中TFAでの処理後、[3−({[5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−1H−ピロル−3−イル]カルボニル}アミノ)エチル]カルバミン酸tert−ブチルから得られる。
【0297】
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.11(s,3H)2.90(sxt,4H)3.18(q,J=6.35Hz,2H)7.09(bs,2H)7.07(d,J=5.86Hz,1H)7.30(d,J=8.30Hz,1H)7.30(d,J=2.32Hz,1H)7.38(dd,J=8.30,2.32Hz,1H)7.51(d,J=2.20Hz,1H)7.71(bs,3H)8.15(t,J=5.55Hz,1H)8.25(d,J=5.86Hz,1H)12.23(bs,1H)。
【0298】
HRMS(ESI)C1819ClNO+Hの計算値371.1382,実測値371.1381。
【0299】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−[2−(メチルアミノ)エチル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=CH,R2=Cl,R3=NHCHCHNHCH,R4=NH,R12=H](化合物31)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.11(s,3H)2.26(s,3H)2.54(t,J=6.47Hz,2H)3.18(q,J=6.35Hz,2H)6.33(bs,2H)6.94(d,J=5.25Hz,1H)7.29(d,J=8.18Hz,1H)7.29(d,J=2.32Hz,1H)7.33(s,1H)7.36(dd,J=8.18,2.20Hz,1H)7.66(t,J=5.74Hz,1H)8.19(d,J=5.25Hz,1H)11.86(bs,1H)。
【0300】
HRMS(ESI)C1921ClNO+Hの計算値385.1538,実測値385.1541。
【0301】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−N−ベンジル−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=CH,R2=Cl,R3=NHCHPh,R4=NH,R12=H](化合物32)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.09(s,3H)4.32(d,J=6.10Hz,2H)6.33(bs,2H)6.94(d,J=5.25Hz,1H)7.17−7.32(m,7H)7.32−7.37(m,1H)7.40(d,J=2.56Hz,1H)8.20(d,J=5.25Hz,1H)8.38(t,J=6.04Hz,1H)11.89(bs,1H)。
【0302】
HRMS(ESI)C1920ClNO+Hの計算値370.1429,実測値370.1431。
【0303】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−(2−メチルプロピル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=CH,R2=Cl,R3=NHCHCH(CH,R4=NH,R12=H](化合物33)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 0.81(d,J=6.71Hz,6H)1.71(spt,J=6.80Hz,1H)2.11(s,3H)2.92(t,J=6.41Hz,2H)6.33(bs,2H)6.95(d,J=5.25Hz,1H)7.28(d,J=8.30Hz,1H)7.29(d,J=2.20Hz,1H)7.35(d,J=2.50Hz,1H)7.35(dd,J=8.30,2.30Hz,1H)7.72(t,J=5.92Hz,1H)8.19(d,J=5.25Hz,1H)11.84(bs,1H)。
【0304】
HRMS(ESI)C1818ClNO+Hの計算値356.1273,実測値356.1276。
【0305】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−N−(2,2−ジメチルプロピル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=CH,R2=Cl,R3=NHCHC(CH,R4=NH,R12=H](化合物34)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 0.78(s,9H)2.11(s,3H)2.94(d,J=6.35Hz,2H)6.33(s,2H)6.96(d,J=5.37Hz,1H)7.30(d,J=8.20Hz,1H)7.32(d,J=2.32Hz,1H)7.33−7.40(m,3H)8.19(d,J=5.37Hz,1H)11.86(bs,1H)。
【0306】
HRMS(ESI)C1920ClNO+Hの計算値370.1429,実測値370.1433。
【0307】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−エチルフェニル)−N−メチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=CHCH,R2=Cl,R3=NHCH,R4=NH,R12=H](化合物35)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 0.95(t,J=7.57Hz,3H)2.44(q,J=7.61Hz,2H)2.61(d,J=4.64Hz,3H)6.49(bs,2H)6.94−6.96(m,1H)7.24(d,J=2.32Hz,1H)7.30−7.33(m,1H)7.34(d,J=2.44Hz,1H)7.39(dd,J=8.30,2.32Hz,1H)7.75−7.83(m,1H)8.19(d,J=5.37Hz,1H)11.94(bs,1H)。
【0308】
HRMS(ESI)C1818ClNO+Hの計算値356.1273,実測値356.1281。
【0309】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−エチルフェニル)−N−エチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=CHCH,R2=Cl,R3=NHCHCH,R4=NH,R12=H](化合物36)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 0.95(t,J=7.57Hz,3H)1.01(t,J=7.20Hz,3H)2.44(q,J=7.65Hz,2H)3.03−3.16(m,2H)6.32(bs,2H)6.93(d,J=5.25Hz,1H)7.24(d,J=2.32Hz,1H)7.32(d,J=12.08Hz,1H)7.32(s,1H)7.39(dd,J=8.31,2.30Hz,1H)7.75(t,J=5.68Hz,1H)8.19(d,J=5.25Hz,1H)11.87(bs,1H)。
【0310】
HRMS(ESI)C1920ClNO+Hの計算値370.1429,実測値370.1434。
【0311】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−エチルフェニル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=CHCH,R2=Cl,R3=NHCHCHOH,R4=NH,R12=H](化合物37)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 0.96(t,J=7.57Hz,3H)2.44(q,J=7.61Hz,2H)3.11−3.18(m,2H)3.36−3.41(m,2H)4.60(bs,1H)6.35(bs,2H)6.93(d,J=5.37Hz,1H)7.24(d,J=2.32Hz,1H)7.32(d,J=12.08Hz,1H)7.36(d,J=2.56Hz,1H)7.40(dd,J=8.30,2.30Hz,1H)7.67(t,J=5.55Hz,1H)8.19(d,J=5.25Hz,1H)11.90(bs,1H)。
【0312】
HRMS(ESI)C1920ClN+Hの計算値386.1379,実測値386.1380。
【0313】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−エチルフェニル)−N,N−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=CHCH,R2=Cl,R3=N(CH,R4=NH,R12=H](化合物38)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 0.99(t,J=7.57Hz,3H)2.86(bs,6H)6.36(s,2H)6.98(d,J=5.25Hz,1H)7.29(d,J=2.32Hz,1H)7.34(d,J=8.30Hz,1H)7.40(dd,J=8.30,2.32Hz,1H)8.18(d,J=5.37Hz,1H)11.85(bs,1H)。
【0314】
HRMS(ESI)C2124ClNO+Hの計算値398.1742,実測値398.1740。
【0315】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−N−メチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=Cl,R2=CF,R3=NHCH,R4=NH,R12=H](化合物39)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.63(d,J=4.64Hz,3H)6.35(bs,2H)6.90(d,J=5.25Hz,1H)7.33(d,J=2.56Hz,1H)7.72−7.80(m,3H)7.90−7.94(m,1H)8.22(d,J=5.25Hz,1H)12.07(bs,1H)。
【0316】
HRMS(ESI)C1713ClFO+Hの計算値396.0834,実測値396.0828。
【0317】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−N−メチル−2−[2−メチル−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=CH,R2=CF,R3=NHCH,R4=NH,R12=H](化合物50)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.20(s,3H)、2.62(d,J=4.64Hz,3H)、6.32(bs,2H)、6.92(d,J=5.25Hz,1H)、7.34(d,J=2.44Hz,1H)、7.53(s,1H)、7.47−7.51(m,1H)、7.53(s,1H)、7.64(d,J=7.93Hz,1H)、7.86(d,J=4.64Hz,1H)、8.20(d,J=5.25Hz,1H)、11.92(bs,1H)、
HRMS(ESI)C1816O+Hの計算値376.1380,実測値376.1380。
【0318】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2−エチル−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−N−メチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=CHCH,R2=CF,R3=NHCH,R4=NH,R12=H](化合物51)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.00(t,J=7.57Hz,3H)、2.52−2.57(m,2H)、2.61(d,J=4.52Hz,3H)、6.32(bs,2H)、6.91(d,J=5.25Hz,1H)、7.34(d,J=2.32Hz,1H)、7.49(s,1H)、7.52(d,J=8.2Hz,1H)、7.68(d,J=8.18Hz,1H)、7.84(q,J=4.27Hz,1H)、8.19(d,J=5.25Hz,1H)、11.94(bs,1H)。
【0319】
HRMS(ESI)C1918O+Hの計算値390.1536,実測値390.1535。
【0320】
実施例3
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=OH,R2=Cl,R3=R4=NH,R12=H](化合物40)
【0321】
変換1
【0322】
【化34】
【0323】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド(50mg,0.15mmol)を含むDCM(1.5mL)の充分に攪拌した溶液に、三臭化ホウ素(DCM中1M,3mL,3mmol)を0℃で滴下した。混合物を室温で一晩攪拌した。混合物を水に注入し、有機相を分離した。水相をEtOAcで抽出した。有機相を収集し、硫酸ナトリウムで脱水し、濃縮した。粗製物質を分取用HPLC(方法2)によって精製し、標題化合物を得た(11mg,22%)。
【0324】
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 6.41(s,2H)6.95(d,J=8.67Hz,1H)6.99(d,J=5.25Hz,1H)7.28(dd,J=8.67,2.69Hz,1H)7.33(bs,2H)7.42(d,J=2.69Hz,1H)7.77(bs,1H)8.22(d,J=5.25Hz,1H)10.90(bs,1H)11.71(bs,1H)。
【0325】
HRMS(ESI)C1512ClN+Hの計算値330.0753,実測値330.0758。
【0326】
上記の手順を用いて下記の化合物を合成した。
【0327】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(2−クロロ−5−ヒドロキシフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=Cl,R2=OH,R3=R4=NH,R12=H](化合物41)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 6.33(s,2H)6.70(bs,1H)6.77−6.85(m,2H)6.93(d,J=5.25Hz,1H)7.08(bs,1H)7.24−7.33(m,2H)8.19(d,J=5.25Hz,1H)9.72(s,1H)11.83(bs,1H)。
【0328】
HRMS(ESI)C1512ClN+Hの計算値330.0753,実測値330.0751。
【0329】
実施例4
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(2−クロロ−5−シアノフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=Cl,R2=CN,R3=R4=NH,R12=H](化合物7)
【0330】
スキームB、工程4
【0331】
【化35】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−ブロモ−1H−ピロール−3−カルボキサミド(WO2007/110344に従って調製,0.1g,0.35mmol)、2−クロロ−5−シアノフェニルボロン酸(127mg,0.7mmol)、NaCO(111mg,1.05mmol)およびPdCl(dppf)(28mg,0.035mmol)を含むDME(2.5mL)と水(1mL)をアルゴン下で80℃にて12時間加熱した。室温まで冷却した後、析出物を濾過し、濾液を減圧下でエバポレートした。粗製物質を分取用HPLC(方法1)によって精製し、標題化合物を得た(15mg,13%)。
【0332】
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 6.42(bs,2H)6.79(bs,1H)6.90(d,J=5.25Hz,1H)7.38(d,J=2.56Hz,1H)7.44(bs,1H)7.73(d,J=8.42Hz,1H)7.88(dd,J=8.42,2.07Hz,1H)7.94(d,J=2.07Hz,1H)8.23(d,J=5.37Hz,1H)12.07(bs,1H)。
【0333】
HRMS(ESI)C1611ClNO+Hの計算値339.0756,実測値339.0761。
【0334】
実施例5
2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−5−[2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=CH,R2=Cl,R3=NH,R4=NHCH,R12=H](化合物42)
【0335】
スキームC、工程5,6,7,8
【0336】
【化36】
【0337】
工程5:5−アセチル−2−(5−クロロ−2−メチル−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル
2−(5−クロロ−2−メチル−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル(900mg,4.14mmol)とDCM(20mL)の混合物に、塩化アセチル(0.468mL,6.57mmol)を窒素下で室温にて添加した。得られた混合物を0℃まで冷却し、無水三塩化アルミニウム(1.31g,9.9mmol)を少量に分けて10分間で、内部温度を5℃より下に維持しながら添加した。添加が終了したら、混合物を室温にし、30分間攪拌した。次いで混合物を、氷冷却した1M HClの溶液(9mL)にゆっくり注入した。水層を分離し、DCM(20mL)で2回抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、減圧濃縮した。粗製物質をシリカゲルでクロマトグラフィー処理し(10から20%までのEtOAc/ヘキサン)、標題化合物を得た(1.0g,86%)。
【0338】
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.24(s,3H)2.43(s,3H)7.38−7.42(m,1H)7.43(d,J=2.32Hz,1H)7.46−7.50(m,1H)7.60(s,1H)12.89(bs,1H)。
【0339】
HRMS(ESI)C1411ClNO+Hの計算値259.0633,実測値259.0638。
【0340】
工程6:2−(5−クロロ−2−メチル−フェニル)−5−(E)−3−ジメチルアミノ−アクリロイル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル
5−アセチル−2−(5−クロロ−2−メチル−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル(990mg,3.83mmol)のDMF(5mL)懸濁液に、N,N−ジメチルホルムアミドジイソプロピルアセタール(2.4mL,11.5mmol)を添加した。混合物を90℃で一晩攪拌した。混合物を真空にてエバポレートし、さらに精製せずに次の工程で使用した。
【0341】
工程7:2−(5−クロロ−2−メチル−フェニル)−5−(2−メチルアミノ−ピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル
2−(5−クロロ−2−メチル−フェニル)−5−(E)−3−ジメチルアミノ−アクリロイル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル(618mg,1.91mmol)のDMF(5mL)懸濁液に、メチルグアニジン塩酸塩(230mg,2.1mmol)とKCO(318mg,2.29mmol)を添加した。混合物を効率的な攪拌下で110℃まで一晩加熱した。得られた混合物を濃縮し、シリカゲルでクロマトグラフィー処理し(10から30%までのEtOAc/ヘキサン)、標題化合物を得た(300mg,48%,2工程)。
【0342】
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.28(s,3H)2.88(d,J=4.52Hz,3H)6.83−6.95(m,1H)6.95−7.03(m,1H)7.36−7.41(m,1H)7.41−7.46(m,1H)7.46−7.53(m,3H)8.27(d,J=4.64Hz,1H)12.53(bs,1H)。
【0343】
HRMS(ESI)C1714ClN+Hの計算値324.1011,実測値324.1013。
【0344】
工程8:2−(5−クロロ−2−メチル−フェニル)−5−(2−メチルアミノ−ピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド
2−(5−クロロ−2−メチル−フェニル)−5−(2−メチルアミノ−ピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル(74mg,0.23mmol)のTFA(1.0mL)溶液に、効率的な攪拌下で水(0.15mL)と98%硫酸(0.30mL)を逐次添加した。混合物を70℃で8時間攪拌し、次いで水(3mL)の滴下によって希釈した。反応混合物を、攪拌下での30%アンモニア水(1mL)の添加によって塩基性(pH10から12)にした。析出した固形物を濾過によって収集し、水で洗浄し、最後に50℃の真空炉内で乾燥させ、標題化合物をオフホワイト色固形物として得た(66mg,88%)。
【0345】
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.12(s,3H)2.88(d,J=4.15Hz,3H)6.67−6.83(m,1H)6.88(d,J=5.13Hz,1H)7.19(bs,1H)7.26−7.32(m,2H)7.34−7.38(m,1H)7.39(s,1H)8.20(d,J=5.37Hz,1H)11.87(bs,1H)。
【0346】
HRMS(ESI)C1716ClNO+Hの計算値342.1116,実測値342.1118。
【0347】
実施例6
5−(ピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチル−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=CH,R2=Cl,R3=NH,R4=H,R12=H](化合物43)
スキームD、工程9および10
【0348】
【化37】
【0349】
工程9:5−(ピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチル−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル
2−(5−クロロ−2−メチル−フェニル)−5−((E)−3−ジメチルアミノ−アクリロイル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル(313mg,1.0mmol)のDMF(5mL)懸濁液に、酢酸ホルムアミジン(208mg,2.0mmol)を添加した。混合物を効率的な攪拌下で150℃まで5時間加熱した。得られた混合物を水の滴下によって希釈し、EtOAcで抽出した。有機相をブライン、水で洗浄し、次いでNaSOで脱水し、濃縮した。粗製物質をシリカゲルでクロマトグラフィー処理し(90/10のヘキサン/EtOAc)、標題化合物を得た(90mg,30%)。
【0350】
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.30(s,3H)7.40−7.45(m,1H)7.46−7.53(m,2H)7.61(s,1H)7.90(dd,J=5.43,1.28Hz,1H)8.79(d,J=5.37Hz,1H)9.13(d,J=1.22Hz,1H)12.98(bs,1H)。
【0351】
HRMS(ESI)C1611ClN+Hの計算値295.0745,実測値295.0750。
【0352】
工程10:5−(ピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチル−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド
5−(ピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチル−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル(85mg,0.28mmol)のTFA(1.0mL)溶液に、効率的な攪拌下で水(0.15mL)と98%硫酸(0.30mL)を逐次添加した。混合物を70℃で5時間攪拌し、次いで水(1mL)の滴下によって希釈した。反応混合物を、攪拌下での30%アンモニア水(3mL)の添加によって塩基性(pH10から12)にした。析出した固形物を濾過によって収集し、水で洗浄し、最後に50℃の真空炉内で乾燥させ、標題化合物を得た(72mg,83%)。
【0353】
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.13(s,3H)6.81(bs,1H)7.19−7.33(m,3H)7.33−7.40(m,1H)7.57(d,J=2.69Hz,1H)7.74(dd,J=5.43,1.40Hz,1H)8.70(d,J=5.49Hz,1H)9.04(d,J=1.10Hz,1H)12.22(bs,1H)。
【0354】
HRMS(ESI)C1613ClNO+Hの計算値313.0851,実測値313.0853。
【0355】
上記の手順を用いて下記の化合物を合成した。
【0356】
2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−5−(2−メチルピリミジン−4−イル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=CH,R2=Cl,R3=NH,R4=CH,R12=H](化合物44)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.12(s,3H)2.59(s,3H)6.80(bs,1H)7.24−7.31(m,2H)7.33(bs,1H)7.34−7.38(m,1H)7.50−7.58(m,2H)8.59(d,J=5.34Hz,1H)12.13(bs,1H)。
【0357】
HRMS(ESI)C1715ClNO+Hの計算値327.1007,実測値327.1011。
【0358】
実施例7
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド
[(I),R1=Cl,R2=CF,R3=R4=NH,R12=H](化合物1)
スキームC、工程5,6,7,8
【0359】
【化38】
【0360】
工程5:5−アセチル−2−[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボニトリル
2−[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボニトリル(450mg,1.66mmol)とトルエン(3mL)の混合物に、塩化アセチル(0.176mL,2.49mmol)を室温にて窒素下で、および亜鉛(217mg,3.32mmol)を添加した。混合物を80℃で3時間攪拌した。混合物を室温まで冷却し、EtOAcで希釈し、水で洗浄した。水層を分離し、EtOAcで2回抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、減圧濃縮した。粗製物質をシリカゲルでクロマトグラフィー処理し(0から10%までのEtOAc/ヘキサン)、標題化合物を得た(386mg,74%)。
【0361】
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.45(s,3H)7.66(s,1H)7.81−7.96(m,2H)7.98(s,1H)13.15(bs,1H)。
【0362】
工程6:2−[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−(E)−3−ジメチルアミノ−アクリロイル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル
5−アセチル−2−[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボニトリル(280mg,0.89mmol)とトルエン(3mL)の混合物に、N,N−ジメチルホルムアミドジイソプロピルアセタール(0.74mL,3.56mmol)を添加(added added)した。混合物を80℃で2時間攪拌した。室温まで冷却した後、固形物を吸引によって収集し、トルエンで洗浄し、大気中で乾燥させ、標題化合物を白色固形物として得た(170mg,52%)。
【0363】
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.91(bs,3H)3.14(bs,3H)5.74(d,J=12.45Hz,1H)7.40(s,1H)7.69(d,J=12.45Hz,1H)7.81−7.99(m,3H)12.74(bs,1H)。
【0364】
工程7:5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボニトリル
2−[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−(E)−3−ジメチルアミノ−アクリロイル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル(167mg,0.46mmol)のDMF(2mL)の混合物に、炭酸グアニジン(388mg,2.15mmol)を添加した。混合物を効率的な攪拌下で110℃にて2時間加熱した。得られた混合物を濃縮し、シリカゲルでクロマトグラフィー処理し(20から50%までのEtOAc/ヘキサン)、標題化合物を得た(142mg,86%)。
【0365】
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 6.49(bs,2H)7.02(d,J=5.13Hz,1H)7.39(s,1H)7.85−8.03(m,3H)8.28(d,J=5.13Hz,1H)12.81(bs,1H)。
【0366】
工程8:5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド
TFA(2.0mL)、水(0.480mL)および98%硫酸(0.240mL)の溶液を5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボニトリル(137mg,0.415mmol)に添加した。混合物を70℃で8時間攪拌し、次いで水(6mL)の滴下によって希釈した。反応混合物を、攪拌下での30%アンモニア水の添加によって塩基性(pH10から12)にした。析出した固形物を濾過によって収集し、水で洗浄し、最後に50℃の真空炉内で乾燥させ、標題化合物を白色固形物として得た(133mg,92%)。
【0367】
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 6.36(bs,2H)6.77(bs,1H)6.90(d,J=5.25Hz,1H)7.37(d,J=2.56Hz,1H)7.42(bs,1H)7.69−7.84(m,3H)8.22(d,J=5.25Hz,1H)12.07(bs,1H)。
【0368】
HRMS(ESI)C1611ClFO+Hの計算値382.0677,実測値382.0675。
【0369】
実施例8
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−エチルフェニル)−1−メチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド[(I),R1=CHCH,R2=Cl,R3=R4=NH,R12=CH](化合物45)
【0370】
変換2
【0371】
【化39】
【0372】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−エチルフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド(101mg,0.295mmol)のDMF(1mL)溶液に、CSCO(101mg,0.31mmol)とMeI(28μL,0.43mmol)を添加した。混合物を室温で3時間攪拌し、次いで溶媒を除去した。残渣にEtOAcと水を添加し、層を分離し、水層をEtOAcで抽出し、合わせた有機層を水で洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、濃縮した。粗製物質をフラッシュクロマトグラフィーによって精製し(MeOH中95/5/0.5のDCM/MeOH/NH)、標題化合物を得た(36mg,34%収率)。
【0373】
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 0.96(t,J=7.57Hz,3H)2.18−2.45(m,2H)3.61(s,3H)6.58(s,2H)6.71(bs,1H)6.82(d,J=5.37Hz,1H)7.03(bs,1H)7.21(d,J=2.32Hz,1H)7.35(s,1H)7.36−7.40(m,1H)7.41−7.48(m,1H)8.21(d,J=5.37Hz,1H)。
【0374】
上記の手順を用いて下記の化合物を合成した。
【0375】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−1−メチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド[(I),R1=CH,R2=Cl,R3=R4=NH,R12=CH](化合物46)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.00(s,3H)3.61(s,3H)6.54(s,2H)6.71(bs,1H)6.81(d,J=5.36Hz,1H)7.04(bs,1H)7.23(d,J=2.19Hz,1H)7.35(d,J=8.30Hz,1H)7.33(s,1H)7.40(dd,J=8.17,2.19Hz,1H)8.21(d,J=5.36Hz,1H)。
【0376】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−1−エチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド[(I),R1=CH,R2=Cl,R3=R4=NH,R12=CHCH](化合物47)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 0.99(t,J=7.20Hz,3H)2.01(s,3H)4.00(dq,J=13.66,6.96Hz,1H)4.43(dq,J=13.55,6.92Hz,1H)6.52(s,2H)6.70(bs,1H)6.81(d,J=5.37Hz,1H)7.03(bs,1H)7.25(d,J=2.32Hz,1H)7.35(d,J=8.18Hz,1H)7.36(s,2H)7.41(dd,J=8.18,2.20Hz,1H)8.20(d,J=5.25Hz,1H)。
【0377】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド[(I),R1=CH,R2=Cl,R3=R4=NH,R12=CHCF](化合物48)
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.02(s,3H)5.46(bs,2H)6.67(s,2H)6.84(d,J=5.24Hz,1H)6.90(bs,1H)7.24(bs,1H)7.25(d,J=2.07Hz,1H)7.34−7.38(m,1H)7.41−7.45(m,1H)7.45(s,1H)8.26(d,J=5.24Hz,1H)。
【0378】
5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−ピロール−3−カルボキサミド[(I),R1=CH,R2=Cl,R3=R4=NH,R12=CHCHOH](化合物49)
EtOH中濃HClでの処理後、5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(5−クロロ−2−メチルフェニル)−1−[2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エチル]−1H−ピロール−3−カルボキサミドから得られる。
【0379】
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.00(s,3H)3.98(dt,J=12.97,7.00Hz,1H)4.08(q,J=5.17Hz,2H)4.46(ddd,J=12.97,7.11,5.92Hz,1H)4.67(t,J=5.80Hz,1H)6.54(s,2H)6.70(bs,1H)6.82(d,J=5.37Hz,1H)7.01(bs,1H)7.26(d,J=2.32Hz,1H)7.33(d,J=8.30Hz,1H)7.38(s,1H)7.39(dd,J=8.30,2.32Hz,1H)8.20(d,J=5.25Hz,1H)。
【0380】
薬理学
JAKキナーゼ活性の阻害薬に対する生化学的アッセイ
一般原理−特異的JAK2、JAK1またはJAK3ペプチド基質を、33Ρ−γ−ATPでトレースされるATPの存在下でJAKキナーゼによってリン酸転移させる。リン酸化反応の終了時、未反応のATP(冷却状態であり放射性)を過剰のdowexイオン交換樹脂によって捕捉し、これは、最終的に重力によって反応プレートの底に沈降する。続いて上清みを抜き取り、計数プレートに移し、次いでβ計数によって評価する。
【0381】
dowex樹脂の調製−500gの湿潤樹脂(SIGMA,特注調製樹脂DOWEX 1x8 200−400メッシュ,2.5Kg)を量り取り、150mMギ酸ナトリウム(pH3.00)中で2対1に希釈する。樹脂を一晩沈降させ、次いで上清みを廃棄する。上記のようにして2−3日間にわたって3回洗浄した後、樹脂を沈降させ、2容量(樹脂の容量に対して)の150mMギ酸ナトリウムバッファーを添加する。
【0382】
キナーゼバッファー(KB)−キナーゼバッファーは、10mM MgCl、2.5mM DTT、10μM NaVOおよび0.2mg/mL BSAを含有する50mM HEPES pH7.5で構成した。
【0383】
JAK2特異的アッセイ条件
酵素−アッセイは、線形反応速度論を示す予備リン酸化なしの市販のJAK2キナーゼドメイン(Invitrogen,Eugene,OR)を用いて行った。
【0384】
アッセイ条件−JAK2キナーゼアッセイは、最終酵素濃度1nMで、60μM ATP、3nM 33P−γ−ATPおよび64μMの基質BioDBn306(アミノ酸配列:LPLDKDYYVVREPGQ−配列番号:1)の存在下で実験した。ペプチド性基質はAmerican Peptide Company(Sunnyvale,CA)から購入した。
【0385】
JAK1特異的アッセイ条件
酵素−アッセイは、JAK1キナーゼドメイン(1154アミノ酸長の完全長配列の残基861−1152,UniProtKB/Swiss−Protデータベースの受託番号P23458)を用いて行った。
【0386】
線形反応速度論を得るため、JAK1キナーゼドメインをATPで28℃にて1時間予備活性化させた。
【0387】
アッセイ条件−JAK1キナーゼアッセイは、最終予備活性化酵素濃度2.5nMで、100μM ATP、2nM 33P−γ−ATPおよび154μMの基質BioDBn333(アミノ酸配列:KKHTDDGYMPMSPGVA−配列番号:2)の存在下で実験した。ペプチド性基質はAmerican Peptide Company(Sunnyvale,CA)から購入した。
【0388】
JAK3特異的アッセイ条件
酵素−アッセイは、線形反応速度論を示す予備リン酸化なしのJAK3キナーゼドメイン(1124アミノ酸長の完全長配列の残基781−1124,UniProtKB/Swiss−Protデータベースの受託番号P52333)を用いて行った。
【0389】
アッセイ条件−JAK3キナーゼアッセイは、最終酵素濃度1nMで、22μM ATP、1nM 33P−γ−ATPおよび40μMの基質BioDBn306(アミノ酸配列:LPLDKDYYVVREPGQ−配列番号:1)の存在下で実験した。ペプチド性基質はAmerican Peptide Company(Sunnyvale,CA)から購入した。
【0390】
化合物の希釈−IC50の測定のため、試験化合物を100%DMSO中1mM溶液として受容させ、96ウェルプレート内に分配する:次いで、化合物をマイクロタイタープレートの第1列(A1からG1)に100μL/ウェルでプレーティングする。連続希釈(Biomek FX,Beckman)のための自動化ステーションを、ラインA1からA10までの100%DMSOでの1:3希釈液の作製のため、およびこの列の全化合物に対して使用する。さらに、5μLのこの第1組の100%DMSO希釈プレートを深型384ウェルプレートに再フォーマットすることにより、4から5コピーの娘プレートを準備する:試験化合物の連続希釈物を含むこれらのプレートのうち1つを実験日に解凍し、水で3倍濃度に再構成し、IC50測定アッセイにおいて使用する。標準的な実験では、全化合物の最高濃度(3倍)は30μMであり、一方、最低濃度は1.5nMである。各384ウェルプレートには、Z’およびシグナル対バックグラウンドの評価のための標準阻害薬スタウロスポリンの少なくとも1つの曲線と参照ウェル(全酵素活性と酵素活性なしの対比)を含める。
【0391】
アッセイスキーム−5μLの化合物希釈物(3倍)を入れた384ウェルプレート(V字底(試験プレート))を準備し、次いで、PlateTrak 12ロボット型ステーション(Perkin Elmer;このロボットはアッセイ開始のための1つの384チップピペッティングヘッド+樹脂分配のための1つの96チップヘッドを有する。)に、1つは酵素ミックス(3倍)用および1つはATPミックス(3倍)のレザーバと一緒に配置する。実験開始時、ロボットで5μLのATPミックスを吸引し、チップ内部に空隙を作り(3μl)、5μLのJAK2ミックスを吸引する。以下のプレートへの分配+3サイクルの混合(ロボット自体によって実施)によりキナーゼ反応が開始される。この時点で、全試薬に対して正確な濃度を回復させる。ロボットでプレートを室温で60分間インキュベートし、次いで、60μLのdowex樹脂懸濁液を反応ミックス中にピペッティングすることにより反応を停止させる。チップの目詰まりを回避するため、大孔径チップを用いて樹脂懸濁液を分注する。樹脂の添加直後に3サイクルの混合を行う。ずべてのプレートを止めた後にさらに混合サイクルを行い、このときは通常のチップを使用する:次いで、樹脂を沈降させるためにプレートを約1時間休止させる。この時点で、27μLの上清みを、50μLのMicroscint 40(Perkin−Elmer)を有する384−Optiplates(Perkin−Elmer)に移す;5分間のオービタルシェーカーでの振盪後、Perkin−Elmer Top Count放射能計測器でプレートの読み出しを行う。
【0392】
データフィッティング−データを、二次アッセイ/ヒット確認ルーチンにおいてIC50測定のための10種類の希釈物の曲線のシグモイドフィッティングが得られる内部カスタマイズバージョンのSWパッケージ「Assay Explorer」によって解析する。
【0393】
細胞増殖
細胞株:JAK2依存性ヒト巨核球性白血病細胞株SET−2(DSMZ,Braunschweig GERMANY)およびJAK2非依存性ヒト慢性骨髄性白血病細胞株 K562(ECACC,Wiltshire,UK)を、10%ウシ胎仔血清(FBS)を補給したRPMI−1640培地−Glutamax(Gibco BRL,Gaithesburg,MD,USA)中で37℃および5%COにて培養した。
【0394】
細胞増殖アッセイ:およそ5×10個の細胞を、384マイクロタイタープレートウェル内の異なる濃度の阻害薬を有する50μLの増殖培地中で平板培養した。細胞を37℃および5%COで72時間インキュベートした。次いで(than)プレートをCellTiter−Gloアッセイ(Promega,Madison,WI,USA)を製造業者の使用説明書に従って用いて処理した。簡単には、25μL/ウェルの試薬溶液を各ウェルに添加し、5分間の振盪(shacking)後、Envisionルミノメータ(PerkinElmer,Waltham,MA,USA)によってマイクロプレートの読み出しを行う。
【0395】
データフィッティング−データを、IC50測定のための8点希釈曲線のシグモイドフィッティングアルゴリズムが得られるSymix Assay Explorer software(Symix Technologies Inc.)によって解析する。
【0396】
インビボモデル
急性巨核球性白血病細胞株SET−2(10個の細胞)を、事前にγ照射(200Radの全身γ照射)に曝露した5−6週齢の雌の重篤複合免疫不全(SCID)マウス(Charles River)にs.c.で接種した。触知可能な腫瘍(100−200mm)を有するマウスをビヒクル(0.5%Methocel)または式(I)の化合物でbidにて10日間処置した。腫瘍サイズをVernierカリパスを用いて定期的に測定し、腫瘍増殖阻害(TGI)を計算した。
【0397】
驚くべきことに生化学アッセイにおいて、上記のようにして試験した式(I)の化合物では、顕著に強力なJAK2阻害活性(典型的には0.020μM未満)が示される。
【0398】
一例として、式(I)の本発明の代表的な化合物の実験データ(IC50)を参照化合物と比較して報告した以下の表Aを参照されたい。
【0399】
参照化合物は、上記に挙げた特許出願WO2007/110344の化合物F25に対応し、本発明の式(I)において4番目に請求権放棄した化合物である。
【0400】
細胞アッセイでは、式(I)の化合物はJAK2依存性SET−2細胞株において、JAK2非依存性K562細胞株と比較して高い活性を示した。
【0401】
さらに、参照化合物と比べて式(I)の化合物のJAK2依存性細胞株における選択性が高いことが、参照化合物では4.65であるのに対して式(I)の化合物では9より大きいというK−562(IC50)とSET−2(IC50)の比によって示される(以下の表Aの最後の列を参照のこと。)。
【0402】
【表1】
【0403】
これまでのところ、本発明の新規な化合物は、構造的に最も近い先行技術の化合物のものより有意に高い、予想外に強力で選択的なJAK2阻害活性が賦与されたものであり、従って、がん、細胞増殖性障害、ウイルス感染、免疫障害、神経変性障害および心血管疾患に対する治療に特に好都合である。
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]