(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5970538
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】内燃機関の最適化方法
(51)【国際特許分類】
F02M 27/04 20060101AFI20160804BHJP
F02M 37/00 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
F02M27/04 H
F02M27/04 F
F02M27/04 G
F02M37/00 341Z
F02M37/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-505740(P2014-505740)
(86)(22)【出願日】2012年3月28日
(65)【公表番号】特表2014-513762(P2014-513762A)
(43)【公表日】2014年6月5日
(86)【国際出願番号】IB2012051484
(87)【国際公開番号】WO2012143804
(87)【国際公開日】20121026
【審査請求日】2015年2月4日
(31)【優先権主張番号】RM2011A000198
(32)【優先日】2011年4月19日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】513250282
【氏名又は名称】チタノ エッセ・エレ・エレ
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100115369
【弁理士】
【氏名又は名称】仙波 司
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100161274
【弁理士】
【氏名又は名称】土居 史明
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181021
【弁理士】
【氏名又は名称】西尾 剛輝
(72)【発明者】
【氏名】ボヴェ、ファブリツィオ
(72)【発明者】
【氏名】ボヴェ、アレサンドロ
【審査官】
北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭57−049053(JP,A)
【文献】
特開平07−259665(JP,A)
【文献】
特開2009−097363(JP,A)
【文献】
特開平09−271614(JP,A)
【文献】
特開2000−227056(JP,A)
【文献】
特開2007−170365(JP,A)
【文献】
特開2006−063953(JP,A)
【文献】
特開2000−297707(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0074683(US,A1)
【文献】
登録実用新案第3128280(JP,U)
【文献】
特開平04−153520(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3139660(JP,U)
【文献】
特開平11−022566(JP,A)
【文献】
実開昭59−115857(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 27/04
F02M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関に供給する空気・燃料混合物の処理方法であって、
a)複数の孔(41)が設けられるとともに複数の磁気要素(5)とこれを互いに離隔するセラミック・スペーサ(6)とが設けられた少なくとも1個の円筒状容器(3)を収容し、かつ、複数の孔(40)が設けられた少なくとも1個の浸漬容器(1)により、タンク(2)内の燃料に磁界を印加する工程、
b)上記タンク(2)で処理された燃料を、燃料ダクト(8)によって形成された一連の湾曲部(12)を含む導管容器(9)に移送するするとともに、上記導管容器(9)の内部において上記燃料ダクト(8)内の燃料に少なくとも1対の磁石(10)により磁界を印加する工程、
c)上記a)およびb)の工程で処理された燃料を、燃料ダクト(8)を介して少なくとも1個の燃料フィルタ(31)に導入するとともに、上記燃料フィルタ(31)に直接配置された少なくとも1対の磁石(16)によって上記燃料フィルタ(31)内の燃料に磁界を印加する工程、
d)上記燃料フィルタから延びる燃料ダクト(8)において、上記燃料ダクト(8)に直接接触させて配置され、かつ燃焼室に燃料を噴射する装置の上流に設けられた少なくとも1対の磁石(14)により上記燃料ダクト(8)内の燃料にさらに磁界を印加する工程、
e)上記内燃機関に対する冷却用配管に直接配置された少なくとも1対の磁石(16)により冷却水および/または冷却液に磁界を印加する工程、
f)上記内燃機関の上流にある吸引ダクト(17)に配置された少なくとも1対の磁石(16)によって上記内燃機関に供給される空気に磁界を印加する工程、
g)内燃機関の燃焼室において、上記工程a)、b)、c)、d)で処理された燃料を、上記工程f)によって処理された空気と混合する工程、
を含む空気・燃料混合物の処理方法。
【請求項2】
上記磁石によって生成される磁場は、0.4から1.49テスラまでの範囲で変動する、請求項1に記載の空気・燃料混合物の処理方法。
【請求項3】
上記磁石は、強磁性および/または常磁性要素、希土類元素で作製されている、請求項1または2に記載の空気・燃料混合物の処理方法。
【請求項4】
上記b)、c)、d)、e)およびf)で用いられる上記磁石は、ネオジム、フェライトまたはサマリウム・コバルトからなる、請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
上記工程b)、c)、d)、e)およびf)における上記永久磁石要素は、少なくとも1mmの厚みをもった保護ポリマー、金属または合金によって外面が保護されている、請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料および内燃機関全体を磁化するための革新的な統合システムを記述することを企図しており、このシステムは、内燃機関の効率を改善するために、タンクおよび内燃機関周りに適正に配置された多数の磁気要素からなる多様な構成要素を設け、燃料消費を削減し、汚染の影響を低減することに特徴づけられる。
【背景技術】
【0002】
特に1960年代初頭以降のしばらくの間、磁力が内燃機関に対して明らかな影響を及ぼすことが知られていた。燃焼に対する磁力の影響についても、最近の学術研究においてしばしば認識されており、2つの異なる使用形式に区別されている。内燃機関の供給管に設けられた磁気装置に関する特許、および、燃料タンク内に浸漬するための磁気装置に関する特許である。かかる明らかな磁力による影響については、1986年の米国特許4572145、1991年の米国特許5048489、1992年の米国特許5124045、ドイツ特許DE44171676、および2000年のWO 00/06888特許に示されている。しかしながら、現在まで、上記のすべての特許は、もっぱら、種類にかかわらず燃料のみ、および、空気のみに磁場を与えるように適応させた装置についてのものであった。これに対して本発明は、燃料、内燃機関の冷却液、および空気
に磁界を印加するための革新的な統合システムを記述し、かつクレームすることを企図しており、この統合システムは、燃料タンク内の1またはそれ以上の孔があけられた容器内、および内燃機関周りにおいて、適正に配置された複数の単一
磁気要素もしくは複合
磁気要素を設けることによって特徴づけられ、これ
が相互的に作動するようにすべてが同時に稼働し、これにより内燃機関も同様に磁化する点に特徴がある。本発明は、内燃機関の出力に相関する要素として、上記装置の統合された革新的使用(多数回の繰り返し使用の可能性を含む)について記述し、かつクレームする
ものである。
【0003】
本願において6つの装置が記載され、それらの磁力およびサイズは、それらが装備される内燃機関の出力の増加に直接比例するように変化する。
【0004】
本発明は、本特許の目的に係る上記統合システムの
効果をさらに増大させるために、かつ、出力において性能を高め、燃料消費および汚染物質の排出を低減するように処理するべき内燃機関により良く適合させるために、使用する磁石をシールドし、かつ結合する
革新的な方法を記述し、かつクレームする
ものである。
【0005】
本発明は――燃料ダクト、燃料タンク内に設置した1または複数の浸漬容器内、冷却
用配管および空気
吸引ダクトに対し――内燃機関に供給される燃料と空気とに逆符号のチャージを付与するように適合させた複数の磁石のモジュール組立体を設ける
革新的方法を記述し、かつクレームする
ものである。WO 00/06888の特許は、当該技術の現状をより良く記述するが、適当な容器およびスペーサに包含されるネオジムやサマリウム・コバルトでできた多数の永久磁石を含み、孔を有する板でできた1個のみの容器をクレームしており、かかる磁石は、容器の破損や構造的な変形を低減する。本発明は、内燃機関の燃焼室に供給される燃料と空気との間に――正負に関わりなく――逆符号のチャージを付与するように適合された複数の磁気装置を設けることにより特徴づけられた統合磁化システムを記述することにより、当該技術の現状を乗り越える
ものである。その結果、内燃機関自体
も磁化される。
【0006】
本発明は、内燃機関に供給される燃料を処理するための新規な統合方法、上記内燃機関に供給される空気を処理する新規なシステム、および、冷却液を処理する新規なシステムを提供する。上記したすべての処理は、適正に結合されかつ最適化されることにより、分子的な複雑さを単純化し、内燃機関に導入される燃料と空気を互いに逆符号
にチャージ
させることにより、燃料に含まれる炭化水素複合体の分子組織に変化をもたらすことができる。上記炭化水素は、本発明の技術にしたがって組織化された磁場にさらされると、直接接触または照射により、アスファルテンおよび長鎖炭素化合物の断片化を経て、単純で立体化学的に大きくない分子に分解される。こうして分解された炭化水素はしたがって、燃焼前のシリンダー内で最適な空気・燃料混合物を得るために、空気中の酸素とより容易に混合される。本発明の目的に係る装置は、処理された燃料の粘度指数を低めるようにしてアスファルテンおよび炭素化合物の双方を著しく低減するとともに拡散することにより、燃料の質を改善し、燃焼時における燃料の化学
的・物理的性質を改善するが、上記装置を装備する内燃機関の寿命に否定的な影響や変更が生じることはない。本願はしたがって、燃料の質を改善する革新的な方法を提供し、燃焼室の内部において改善された噴霧を得るべく、燃料の粘度を低減し、かつ最適化する。上記改善された噴霧により、燃料自体の燃焼を最適化することができ、その結果として内燃機関の性能が改善され、燃料消費量が低減する。同時に、有害な排出物、粒子、排煙が低減する。加えて、空気・燃料混合物を処理するこの方法が用いられる内燃機関は、改善された動作一様性、少ないメインテナンス、および著しい静粛性を獲得する。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、内燃機関、燃料、空気、および上記内燃機関の冷却水
に磁界を印加するための統合システムを用いることによって作動する。この統合システムは、6つの異なる装置で構成され、これらが相互に作用することにより、(このシステムが設けられる)内燃機関の燃焼の最適化を実質的に促進し、その結果として効率を高め、同時に有害物質の排出と排出される悪臭を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】燃料タンク2内に配置された浸漬容器1を示す。この容器1は、燃料が燃料出口ダクト8に至る以前に十分に磁化されるようにダクト8の近傍に配置されている。
【
図2】浸漬容器を示し、その内部には、――孔40を通って流れる燃料に加え−−複数の円筒形をし、孔をあけられた固体容器3が設けられており、この固体容器3は、その内部にサマリウム、コバルト、およびネオジムのような希土類元素を収容している。上記固体容器は、複数の孔41が設けられており、燃料タンク2内に配置された浸漬容器1の底部に少なくとも1つのアンカー・ブラケットによって安定的に固定されている。浸漬容器1は、タンク2に1または複数のブラケット4によって固定されており、かつ、燃料出口ダクト8に可能な限り近接するようにして位置づけられている。磁石要素3がディスクを積層した形態で設けられ、この磁石要素はネオジム、またはサマリウム・コバルトのような希土類元素で構成される。個々のディスク状磁石間には、このディスク状磁石によって発生させられる磁場の間隔をあけ、この磁場を安定させかつ増大させるために適用される適当なセラミック・スペーサ6が設けられる。
【
図3】導管容器9を示し、タンク2からの燃料ダクト8が格納容器9に導入され、この格納容器の内部においてダクト8には一連の曲げ部および/または湾曲部が設けられている。コイルおよび/またはロールが形成され、これにより、ダクト8の内部で滑り移動する燃料を流路全体にわたって電磁的にチャージするように、複数の磁石10を上記コイルおよび/またはチューブ形態に近接して安定的に位置づけることができる。
【
図4】ダクト8における実質的な直線部を囲むように配置され、フェライト、またはサマリウム・コバルトでできた1対の凹状磁石を示す。この磁石は、ダクト8の内部で移動する燃料流れをさらに
磁界を印加するように構成される。上記磁石対は、上記内燃機関の燃焼室における燃料の噴射ポイントより前段において、燃料フィルタと内燃機関のa/cポンプとの間に配置される。この磁石対の外部には、ネオジム、またはサマリウム・コバルトのような希土類元素でできたワッシャ15が設けられている。この構成は、少なくとも1mmの厚さとされた保護金属の膜で外面がコーティングされている。
【
図5】1対の凹状磁石の断面を示し、磁石14の各対の外側または内側の同じ位置において、同一符号の電荷が生じているのが判る。
【
図6】本発明の目的の内燃機関に空気を送り込むための吸引ダクト17の周囲に放射状に配置された、フェライト、ネオジムまたはサマリウム・コバルトでできた複数の凹状磁石16を示し、この凹状磁石は1対のネオジム・ワッシャ15で覆われていてもよい。上記磁石16は、少なくとも1つのシール・バンド18により、上記吸引ダクト17の外表面に安定的に接した状態が維持され、かつ、その表面は、磁場をシールドするために、少なくとも1mmの厚みをもったいずれかの絶縁層で覆われている。
【
図7】内燃機関の冷却ダクト20に直接取付けられた磁石16を示す。上記冷却ダクト20に設けられた磁石16の数は、図示例では、10個である。
【
図8】燃料フィルタ31の周囲に設けられ、ネオジム・ワッシャを有する磁石10を示す。シール・バンド18および燃料
ダクト8が併せ示されている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願における磁石は、0.4から1.49テスラまでの範囲の持続的な磁場を生むことができるいずれかの永久磁石、または、多くの持続的な磁場の和によって構成される、1.49テスラよりも相当に大きい強さをもった磁場を生むことができる永久磁石
からなる。したがって、本明細書では、磁石は、高い保磁力をもつすべてのいわゆるハード永久磁石
である。本発明で用いられる永久磁石は、強磁性および/または常磁性の材料により構成される。本発明で用いられる上記永久磁石は、磁鉄鉱、コバルト、ニッケル、および、ガドリニウムやジスプロシウムのような希土類元素といった磁気天然鉱物で形成される。上記した天然磁石に加え、ボロン、セラミック合成物ででたき磁石、AlNiCo磁石、TiCoAl磁石、射出成形磁石、可撓性磁石といった合成材料を用いることができる。本発明において好ましい磁石は、希土類元素、すなわち、サマリウム・コバルト磁石およびネオジム・鉄・ボロン磁石を含む、ランタニド類に属する希土類元素で構成された磁石である。
【0010】
上記磁石および常磁性物質のパワーは、0.4〜1.49テスラの範囲である。
【0011】
本発明の処理方法の完全な理解のために、以下に、本願の目的である6つの装置の詳細な説明を行う。
【0012】
1)浸漬容器1として定義される第1の装置は、少なくとも1つの一般的な容器によって構成され、この容器は、燃料がこの浸漬容器1内に配置された磁性要素5に容易に直接接触するように適用された複数の開口40により、適切に孔があけられている。
図1および2に示された上記浸漬容器1は、処理するべき内燃機関の燃料タンク2内に安定的に位置づける必要がある。上記浸漬容器は、1個またはそれ以上設けることができる。浸漬容器の数は、処理するべき内燃機関の出力、燃料タンクの容量、および使用可能な空間に依存する。磨耗や振動を防ぐために、この浸漬容器1は、適切に溶接またはネジ付けされたブラケットにより、あるいはタンク2の内部に安定的に拘束する他のシール要素により、タンク2の内部構造物に固定する必要がある。また、考慮しておくべきは、この内燃機関の使用状態、タンク2のサイズ、および、固定状の地上内燃機関、航空機、船舶またはボート、あるいは、レール、タイヤまたは軌道上を移動する地上移動手段への適用である。この浸漬容器1は、好ましくは、燃料出口ダクト8の近傍に配置す
る。
【0013】
本発明に係る技術にしたがって燃料タンク2内に配置された上記1またはそれ以上の浸漬容器1の内部には、好ましくは円筒形状をもつがこれに限定されない形状の少なくとも1つの固体容器3が設けられる。好ましくは、複数の磁気要素5を含む複数の円筒状固体容器3が設けられる。この複数の磁気要素は、サマリウム・コバルトおよびネオジムを含む種々の希土類元素で構成されるディスク状の永久磁石で構成される。上記磁気要素5間には、磁気影響を増大させるために、円板形状をしたセラミック・スペーサ6が介装される。上記好ましくは円筒状の固体容器3は、浸漬容器1の底部に安定的に固定され、
磁界を印加するべき燃料と容易に接触するように、複数の孔41が設けられる。上記固定は、ネジまたはブラケットのような堅固な固定手段によって、上記好ましくは円筒状の固体容器3間の間隔が少なくとも3cmとなるようにして行われ、これにより、発生する磁場が最適となる。各円筒状固体容器3が、燃料タンク2の内部において(燃料のほとんどを処理するために)内燃機関に燃料送給を行うダクトの出口に可能な限り近接した位置において浸漬された上記浸漬容器1の内部に配置されることにより、タンク2内に収容された燃料と上記磁性要素との接触が可能な限り容易となる。このような接触は、分子処理と燃料自体
への磁界の印加を容易とするべく、
流れ抵抗
を増大させるとともに、その結果としての燃料と磁気要素5との接触時間を増大させるために重要である。上記磁気要素5はネオジム、およびサマリウム・コバルトのような希土類元素で構成された円筒ディスクの形態をとるが、他のいかなる形態をとってもよい。個々の磁気ディスク5間には、個々の磁気ディスク5によって生じる磁場の間隔をあけ、かつこれを最適化するセラミック・スペーサ6が設けられ、結果として生じる磁場の全体的なパワーを増大させるとともに最適化する。上記のすべての容器、すなわち、浸漬容器1および円筒状容器3は、タンク2内に収容された燃料に溶解しない、金属、金属合金、あるいは天然もしくは合成ポリマー材料といったどのような固体材料で作製してもよい。本発明にしたがう上記円筒状容器3と上記浸漬容器1はいずれも、どのような形状としてもよく、かつ、それぞれ複数の孔41,40を有する固体構造とすることができ、このような構造は、タンク2内の燃料に溶解しない、金属、金属合金、あるいは天然もしくは合成ポリマーといったどのような固体材料で作製してもよい。
【0014】
浸漬容器1内の上記円筒状容器3の配置と形状は、タンク2自体のサイズに応じて当然に変更することができるが、収容される燃料200リットルにつき、少なくとも10個の円筒状容器3をもつ少なくとも1個の浸漬容器1を設ける必要がある。各円筒状容器3の
およその高さおよびその結果としての浸漬容器1の
およその高さは、供給流量、および本発明にしたがう磁界の印加および分子処理のプロセスの対象となる内燃機関の形式に応じて変更することができる。このような高さは、オートバイ用のタンクとして理想的な最小の6cmから、客船用のタンクに磁界を印加するための100cmを大きく超える範囲まで変動し、好ましくは各円筒状容器の高さは20cmから40cmの範囲で変動し、最適な高さは約30cmである。希土類元素で形成された磁気ディスク5とセラミック・スペーサ6で構成される場合に上記容器で生じる磁気流れの密度は、およそ1.17テスラである。上記磁気ディスク5は、少なくとも1.17テスラの磁気パワーをもつ、好ましくはネオジムといったいずれかの希土類元素で作製される。1または複数の上記浸漬容器1は、燃料タンク2内において、燃料
ダクト8の近傍に配置する必要がある。非限定的な例として、MTU製のタイプ396のディーゼル・サイクル内燃機関用に、2個の浸漬容器が燃料タンクに装填され、その浸漬容器のそれぞれは、以下の寸法を有する。すなわち、26cmの幅と26cmの高さをもつ一方、26cmの高さと3.6cmの直径をもつ24個の円筒状容器3が設けられる。
【0015】
2)本発明の目的である第2の装置は、導管要素9である。上記導管要素9は、
図3に示されるように、平行パイプの形態をもった固体構造であり、ここにおいて、内燃機関のタンク2から延びる燃料ダクト8が
、一連の曲げ部および/または湾曲部12を設けることにより
コイル部および/または巻き部が形成されている。その結果、複数の磁石10を適正かつ安定的に位置づけることができる。
燃料ダクト8のコイル部および/または巻き部により、長状に延びる上記ダクト8内を滑り移動する燃料が帯電させられる。上記燃料ダクト8のコイル部および/または巻き部に設けた磁石10の近傍を通過してダクト8内を滑り移動する燃料は、ネオジムおよびサマリウム・コバルトのような希土類元素と結合したフェライトによって構成される上記磁石10によってチャージされる。すでに帯電させられた燃料はさらに、移動経路全体にわたって磁気的に処理され、同一符号にチャージされる
。空気はこれに対して反対符号にチャージされる。上記チャージは、磁気要素10により、かつ正負に関わりなく燃料に与えられ、その符号は、冷却液処理装置内の符号と同じである必要がある。加えて、上記チャージは、後記する空気供給装置において生じる符号と逆の符号をもつ必要がある。燃料が導管容器9の終端に到達するとき、燃料は、多数対の対向磁石13を通過したことになる。上記対向磁石13は、磁気作用の効率を高め、包含するダクトの形状により適応するために、わずかに凸湾曲した形状を有する。各導管要素9のための上記磁石10の数は、8から30個の範囲で変動する。上記磁石10の寸法は、MTU 396型のディーゼル内燃機関用で、長さ約9cm、幅3cm、厚さ2.5cmである。
【0016】
3)本発明にしたがって内燃機関の性能を最適化するための第3の燃料磁化装置は、
図4に示されるように、燃料ダクト8における実質的に直線状の部分および/または湾曲部を囲んで配置された、フェライト、ネオジムまたはサマリウム・コバルトでできた、少なくとも1対、好ましくは6対以上の凸状磁石14を設けることによって特徴づけられる。上記磁石対14はまた、ダクト8内を滑り移動する燃料流れの磁化をさらに増大させるために適用される。上記磁石対14は、A/C機械式燃料送給ポンプの直前または近傍、および/または、内燃機関の燃焼室における燃料噴射点の近傍に配置される。上記磁石対14は凸状をしているとともに、フェライト、ネオジムまたはサマリウム・コバルトでできており、かつ約10cmの高さと、3cmの幅と、2.5cmの厚さを有し、少なくとも110℃で機能するように調整する必要がある。上記磁石対14の数は、2から12個までの範囲で変動し、好ましくは5対の磁石が設けられる。加えて、上記磁石対14は、発生させる磁場をさらに増大させるために適用させた、複数のネオジム・ワッシャ15で覆うことができる。この誘導チャージは、正負に関わりなく、この内燃機関を冷却するためのシステムにおいて誘導されるチャージ、および、前段の燃料送給、処理装置において誘導されるチャージと同一の符号をもつ必要があるが、空気送給装置において誘導されるチャージと逆の符号をもつ必要がある。非限定的な例として、MTU 396型の内燃機関における第3の装置では、6個の磁石対14が設けられ、これらは、長さ9cm、幅3.5cm、厚さ2cmの寸法をもつ。
【0017】
4)内燃機関に供給される空気・燃料混合物を処理する方法としての
図6に示された第4の装置は、いずれかの内燃機関に空気を送給する空気吸入ダクト17の周囲に放射状に配置された、フェライト16でできた複数の凹状磁石(一対のネオジム・ワッシャ16で覆われていてもよい)で構成される。上記磁石16は、少なくとも1つのシール・バンド18により、空気吸入ダクト17の外表面に接触して安定的に保持される。ネオジム、フェライトまたはサマリウム・コバルトでできた上記磁石により生成される磁場は、符号の正負に関わりなく上記装置2および装置3を通過する燃料がもつ符号と逆の符号をもつ
ように空気にチャージさせる。この手段により、互いに逆符号にチャージされた燃料と空気を内燃機関に供給することができる。燃焼混合物の2つの成分である空気と燃料間のこのようなチャージの相違により、燃焼工程および上記複合化された
磁界印加システムの効率が最適化され、また、分子分解を行い、燃料の粘性を低下させることができる。この説明から推量できるように、本発明の目的に係るシステムは、かかるシステムが6つの異なる装置(これらの装置はしかしながら、同一の結果に到達するべく寄与する)を備えているにせよ、内燃機関全体
に強力な磁場
を形成するように統合された
単一のシステム
である。空気吸入ダクト17に設けられる磁石16の数は、おおよそ4から40個の範囲で変動し、好ましくは、20個である。上記磁石16の寸法は、おおよそ、高さ10cm、幅3cm、厚さ2.5cmである。この磁石16の形状は、これが設けられる吸入ダクト17により密着するように、やや凹状となっている。上記磁石の構成物は、ネオジムまたはサマリウム・コバルトを含むフェライトとすることができる。上記磁石17は、約1.17テスラの最小磁場密度を有する。吸入ダクト17を構成するために、上記磁石16で発生させられる磁場をダクト17の内部に伝えることができるすべての材質が、当然として好ましい。上記磁石16が維持する温度は、少なくとも110℃である必要があり、かかる温度において、当該磁石がその磁化パワーを失うことはない。上記磁石の位置は、この位置における温度、および(磁気特性を失うことなく作用するべき)このような温度における磁石の強さを評価して、上記内燃機関の燃焼室に可能な限り近接している必要がある。非限定的な例として、MTU 396型の内燃機関では、40個の磁石が吸入ダクトに設けられ、この磁石の寸法は、長さ9cm、幅3.5cm、厚さ2cmである。
【0018】
5)
図7に示された第5
の装置は、上記第4の装置と近似しており、この場合、上記磁石16は内燃機関のラジエータに接続された冷却ダクト20に直接的に設けられている。この磁石16は、冷却システムの水および/または液を燃料がチャージされるのと同じ符号に
チャージし、実に、内燃機関全体を
流れる冷却水を、吸入される上記空気と逆符号の同じ符号に
チャージする。上記水の分極符号はしたがって、内燃機関に吸入される空気の符号と逆である。冷却ダクト20に設けられる磁石16の数は、4から40個の範囲で変動し、好ましくは20個である。上記磁石16の寸法は、おおよそ、長さ10cm、幅3cm、厚さ2.5cmである。この磁石16の形状は、これが設けられる上記冷却ダクト20により密着するように、やや凹状となっている。上記磁石16は、約1.17テスラの最小磁場密度を有する。冷却ダクト20に設けられる磁石16の数は、4から40個の範囲で変動し、好ましくは20個である。上記磁石16は、この磁石が維持するべき――少なくとも110℃の――温度を考慮にいれて作製する必要がある。この温度において、磁石は、その磁化パワーを失うことなく作用する必要がある。非限定的な例として、MTU 396型の内燃機関では、12個の磁石が冷却ダクトに設けられ、この磁石の寸法は、長さ9cm、幅3.5cm、厚さ2cmである。
【0019】
6)第6の装置は、全体として第4の装置と近似しており、この場合、上記磁石16は内燃機関に接続された燃料フィルタ31を取り巻いて直接設けられている。この場合においてはまた、内燃機関に送給される燃料に対して誘導された符号は、正負に関わりなく、先行する燃料処理システムにおいて
燃料に誘導された符号と同じで、内燃機関に送給される空気に対して付与される符号と逆である必要がある。燃料フィルタに設けられる磁石16の数は、おおよそ、5から14個の範囲で変動し、MTU 396型のディーゼル内燃機関では、好ましくは10個である。この磁石16の寸法は、おおよそ、長さ10cm、幅3cm、厚さ2.5cmである。この磁石16の形状は、これが取付けられる燃料フィルタ31により良く密着するように、やや凹状としてある。上記磁石16は、約1.17テスラの最小磁場密度を有する。燃料フィルタ31に設けられる磁石16の数は、内燃機関の出力の関数に応じて変わり、この数は、おおよそ5から20の範囲で変動し、好ましくは10個である。この磁石が維持するべき温度はもまた、考慮される。この温度は、磁石が磁化パワーを失わない、少なくとも110℃かもしくはそれ以上である必要がある。
【0020】
燃料ダクトと空気
吸入ダクトに設けられるすべての磁石は、システムの分散を低減し、効率を増大させ、燃料ダクト、冷却ダクトおよび空気ダクトに磁石を良好に固定するために、少なくとも1mmの保護層で覆うことができる。
【0021】
燃料がタンク2内に導入される以前に、この燃料の品質と流動性を向上させ、同時に粘性を低下させるような手法により、この燃料
に磁界を印加することもまた、選択的に可能である。本発明の目的に係る磁化プロセスは、燃料中に溶存するアスファルテンおよびカーボン残基を低減することにより燃料の品質を向上させ、内燃機関に供給される燃料と空気とを逆符号にチャージし、かつ、燃料中に存在するカーボン・チェーン分子結合を分子レベルで消失させようとするものである。当然に、本願に記載した方法は、より効率的に燃料を処理するようにすることができる。得られた結果は、上述した技術を採用することにより、燃料消費を実質的に低減させ、費用を半減することさえ可能であることを示す。加えて、燃料の粘性を低下させ、品質を向上させることにより、内燃機関の効率の全体的な向上、燃料消費の軽減、機関のトルク向上が達成でき、かつ、内燃機関の排煙、有害排出物、および燃焼室内のカーボン付着を低減することもできる。本発明において上述した技術にしたがって処理される内燃機関の燃焼室における、分子レベルでかつ質的に処理され、かつある符号にチャージされた燃料と、逆の符号にチャージされた空気との間の遭遇は、理想的な空気・燃料混合物の生成を可能にする。最善の混合はもちろん、最善の燃焼をもたらし、上記装置が装備された内燃機関の全体効率を著しく向上させる。本発明の目的に係る装置は、ディーゼル燃料、無鉛燃料、LPG、メタン、ケロシン、オイル、アルコール、あるいは他の燃焼可能などのような液体またはガスが供給されるかに関わりなく、いかなる内燃機関にも装備可能である。当然に、上記統合されたシステムが装備された内燃機関の効率および性能は、採用される燃料の機能によって変わり、上記は理論上の適用であって、内燃機関が上記の説明において一般的に参照した平均サイズの船舶用内燃機関(MTU 396)よりも大型か、または小型である場合に、修正するべき課題である。
【0022】
内燃機関(MTU 396)の場合、このシステムの利点が現れ、効率を評価するためには、この統合システムを少なくとも220時間機能させる必要がある。そして、当該システムの最適化は、さらに200時間機能させた後に得られる。
【0023】
実際のところ、最初のいくらかの時間は内燃機関を磁化し、燃焼室を清掃するために費やされ、これに続く時間において、動作が安定し、かつ最適化される。本発明の目的に係る磁化方法は、これが適用される内燃機関にいかなる損傷を与えることもなく、時間の経過とともにかかる内燃機関の動作寿命を延長しさえする。
【0024】
非限定的な例として、本願において図示された統合システムを有し、ディーゼル燃料が供給されるMTU 396型ディーゼル内燃機関において、以下の結果が現実に得られた。
【0025】
まず、2008年に行われた試験において、7%の燃料節約が達成された。次に、これに続く装置の調整により、2011年には、燃料節約は66%に達した。
【0026】
このシステムはまた、第2のMTU 396型内燃機関に装備され、同様の燃料消費低減とともに同様の動作結果が達成された。