特許第5970637号(P5970637)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5970637屋内仕切り空間に自立させる箱型パネル構造体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5970637
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】屋内仕切り空間に自立させる箱型パネル構造体
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20160817BHJP
   E04B 2/74 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
   E04H1/12 B
   E04B2/74 501C
   E04B2/74 501H
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-166959(P2014-166959)
(22)【出願日】2014年7月31日
(65)【公開番号】特開2016-33322(P2016-33322A)
(43)【公開日】2016年3月10日
【審査請求日】2015年6月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510147684
【氏名又は名称】株式会社 丸仙工業
(72)【発明者】
【氏名】田中 達美
(72)【発明者】
【氏名】田中 智範
【審査官】 兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−047261(JP,A)
【文献】 実公昭40−012344(JP,Y1)
【文献】 特開平09−144172(JP,A)
【文献】 特開2010−203209(JP,A)
【文献】 特開平05−263487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/12
E04B 2/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つの仕切り部の存在しないフロアーにおいて、浴室ユニット、及びトイレユニット、及び洗面化粧台ユニットとから選ばれた1種類、又は2種類以上を備える水回り設備部屋、又は子共部屋、又はプライベート空間部屋、又は特殊部屋などをパネルで囲った仕切り部屋が、一定の寸法で一定の枚数のパネル材と特殊接続金具とを使用して簡単に脱着可能に組み立てられてなる箱型パネル構造体であって、
前記パネルで囲った仕切り部屋を覆う、枠体と外板により構成されているパネル材は、フラッシュ材、MDF材、無垢材、積層材、化粧パネル材の何れかにより、厚さ20〜60mmで、高さ1500〜2500mmの範囲で、横幅の種類として3〜5種類に形成され、
パネルを直角的に接合する箇所では、各パネル材の各端辺部に50〜300mm範囲の一定間隔5〜50mmの大きさの穴部が設けられ、3〜10mmφ、長さ10〜100mmのシャフト(43)と、シャフトの先端を固定する5〜50mmφの回転式円形カム(44)をそれぞれのパネル材に嵌め込むことによって各々のパネル材を接合できるような構造になっており、
またパネルを並行的に接合する箇所では、各パネル材の側面に幅、及び深さがそれぞれ5〜45mmである溝部が設けられ、一つのパネルの溝部内に、中心部にシャフト(41)の先端の冠を挿入できる開口部を有する逆コの字型固定具(42)を取り付けて、もう一つのパネルに冠付きシャフト(41)を取り付けて、前記逆コの字型固定具(42)に前記冠付きシャフト(41)を嵌め込むことによって各々のパネル材を接合できるような構造になっており、
既存床の上に、壁パネルが固定され、壁パネルの上端に天井パネルが設置され、前記既存床と前記天井パネルに、前記シャフト(43)が、それぞれ垂直状態に、嵌め込まれ、前記壁パネルの上下部に、前記回転式円形カム(44)がそれぞれ嵌め込まれてなることを特徴とする箱型パネル構造体。
【請求項2】
前記パネルで囲った仕切り部屋において、その周囲に本棚、クローゼット、電気器具デッキ、収納具、食器棚、キッチンから選ばれた1種類、又は2種類以上のリビング、及びダイニングの生活家具を設置できるようになっており、
前記パネルで囲った仕切り部屋の全体をパネル材によって覆い、部屋に出入りを可能にした1〜4箇所の出入り口を設けて、その面ではパネル材が引き戸や開き戸になるような構造で開閉を行えるように、吊車具とレールまたは丁番を付帯したパネルを使用していることを特徴とする請求項1に記載の箱型パネル構造体。
【請求項3】
浴室ユニット、及びトイレユニット、及び洗面化粧台ユニットとから選ばれた1種類、又は2種類以上を備える水回り設備部屋においては、その周囲に本棚、クローゼット、電気器具デッキ、収納具、食器棚、キッチンから選ばれた1種類、又は2種類以上のリビング、及びダイニングの生活家具を密着的に嵌着して、前記生活家具を安定的に設置すること、および保温性と防音性を高めるために、前記水回り設備部屋の全体を防音性、保温性の優れたパネル材によって覆い、当該パネル材の各部材の接合に二種類の押し込み接合具を使用していることを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の箱型パネル構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住空間およびオフィス空間に水回り設備に限らず、子供部屋、部屋の間仕切り、プライベート空間などに設置するパネルで囲った仕切り部屋で、屋内仕切り空間を自立させることができる箱型パネル構造体に関する。とくに特殊設備付き部屋を囲んで、全体的、或いは部分的にパネル材によって覆った箱型パネル構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
バブル時代に高騰した都心部の地価も、バブル崩壊によりある程度下落したことから、そのアメニティに惹かれて、都心に住居を構える都心回帰の現象が起きている。この中心となるのが、シングル(特に女性)世帯と、カップル(DINKS等)世帯である。都心部でのマンション購入費又は家賃は決して安いものではないので、住居の面積も限られたものとなる。それでも彼等は、自分達のライフスタイルに合った質の高く、独自性を培うことができる住居を望んでいる。
【0003】
従来、集合住宅は一組の夫婦とその子供といういわゆる核家族を標準世帯とした2DK〜3LDKの間取りのものが主流であった。これらの住宅は在来木軸工法で建てられたものがほとんどであり、多くの柱や間仕切壁によって住宅内がいくつかの空間に仕切られている。そのため各空間は自ずと使用形態が限定されるようになり、子供部屋などは子供が独立した後は全く使われないような状況にあることが多かった。
【0004】
近年、世帯形態の変化やライフスタイルの多様化が顕著であり、従前の画一的な間取りの住宅に対する需要が乏しくなってきている。その結果、借り手のいない空き部屋が大量に不良ストック化するという社会問題にまで発展してきている。このような旧態化した住宅のうち立地条件のよい物件については、改修工事により柱や間仕切壁を取り払い、広いリビング空間を持つ住宅に再生させるという試みもなされている。
【0005】
このような試みも居室に関する部分的な改修のみに止まっているのが大部分であり、住空間およびオフィス空間に水回り設備に限らず、子供部屋、部屋の間仕切り、プライベート空間などに設置するパネルで囲った仕切り部屋で、屋内仕切り空間を自立させることができる箱型パネル構造体が望まれている。さらに浴室、洗面台、トイレなどの衛生設備については新品に交換することはあっても基本的には元の場所を変えることはなく、変えたとしても扉の位置をずらす程度の小改造がほとんどである。
【0006】
そのような中にあって、水回り設備の配置変更を可能にする手段として、共通の床パンを設置し、そこに全ての水回り設備を集約するという工法が開示されている(特許文献1参照)。この工法によれば元の場所に捉われずに水回り設備を配置できるようになるため、改修工事の際の空間設計の自由度が高まるという利点がある。
【0007】
洗い場を確保する等の水回り設備室の各機能の使い勝手を低下させることなく省スペース化を図り、省かれたスペースを住居内の他の用途に振り向けて居住スペースを拡大することができる水回り設備室を提供するために、浴槽及び洗い場を有する浴室スペースと、便器を有するトイレスペースと、上記浴室スペースと上記トイレスペースとを離隔する位置に配置され、上記浴室スペース及び上記トイレスペースの何れからも使用可能な洗面化粧台とを備えることを提案されている(特許文献2参照)。
【0008】
水回り設備と収納設備を集約させた水回り設備付き多機能家具であって、前記水回り設備は複数のパネルに囲まれた空間に配置され、前記収納設備は、前記パネルの外壁面に背面が対面するように配置された家具からなる水回り設備付き多機能家具が提案されている(特許文献3参照)。
【0009】
一方住空間およびオフィス空間に水回り設備に限らず、子供部屋、部屋の間仕切り、プライベート空間などに設置するパネルで囲った仕切り部屋で、屋内仕切り空間を自立させることができる箱型パネル構造体が望まれている。また水回り設備付き多機能家具では、浴槽及び洗い場を有する浴室ユニットと、便器を有するトイレユニットとを備える水回り設備室と、その周囲に本棚、クロゼット、電気器具デッキ、収納具、食器棚、キッチンの家具を密着的に嵌着していることが難しく、水回り設備室の形状によって安定的に密着して置くことができていない。とくに家具類をイビツな配置になっているので、箱型パネル構造体の囲いが望まれている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−54663号公報
【特許文献2】特開2007−331431号公報
【特許文献3】特開2011−47261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
住宅において、可能な限り柱や間仕切壁を取り除き、間取りが固定化されないオープンスペースとすることが理想的である。しかしこれらについても元の位置に分散させたままというのではなく、機能を集約させるなどの手立てによりオープンスペースの利点が十分に生かされるようにして、オープンスペースの内部に容易に仕切り空間をもつことが期待されている。
【0012】
本発明では、住空間およびオフィス空間に水回り設備に限らず、子供部屋、部屋の間仕切り、プライベート空間などに設置するパネルで囲った仕切り部屋で、屋内仕切り区間を自立させることができる箱型パネル構造体が、既存の旧態化した住居を世帯形態の変化やライフスタイルの多様化に柔軟に対応できる住空間としてオープンスペースを仕切り空間部屋にして再生させるとともに、優良な建築ストック、自立した空間部屋として活用できるようにすることを解決すべき課題としている。
【0013】
住空間で、家具の使い勝手を低下させることなく、自立した空間部屋を合わせて、省かれたスペースを住居内の他の用途に振り向けて居住スペースを拡大することができる独立的設備室と家具の設置において、家具類を密着、整列させることができる箱型パネル構造体を提供することを目的とするものである。他の目的は、機能的な水回り設備室の周囲に囲いを設けるパネルの部屋である箱型パネル構造体を提供することにある。新しいライフスタイルに適合した、プライベート尊重できる自由度をもたらす区切り空間を設けることと、水回り設備と家具とを有効に設置できる空間における部材を提供することにある。
【0014】
また住空間およびオフィス空間に水回り設備に限らず、子供部屋、部屋の間仕切り、プライベート空間などに設置するパネルで囲った仕切り部屋を、屋内仕切り自立させることができる箱型パネル構造体と、そのパネル材と接合具を提案するものであり、特に水回り設備室付き家具おける、家具類を安定に、しかも家具同志を密着にして、隙間のないようにして整列した家具類にできるように水回り設備室の周りにパネル材の囲いとその接合方法、器具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明における一つの仕切り部の存在しないフロアーにおいて、浴室ユニット、及びトイレユニット、及び洗面化粧台ユニットとから選ばれた1種類、又は2種類以上を備える水回り設備部屋、又は子供部屋、又はプライベート空間部屋、又は特殊部屋などをパネルで囲った仕切り部屋に、一定の寸法の数枚のパネル材と特殊接続金具とを使用して簡単に脱着可能に組み立てられるようになっていることを特徴とする屋内仕切り自立させる箱型パネル構造体である。
【0016】
前記パネルで囲った仕切り部屋を覆う、枠体と外板により構成されているパネル材は、フラッシュ材、MDF材、無垢材、化粧パネル材の厚さ20〜60mmであって、高さ1500〜2500mmの範囲で、横幅の種類として2〜10種類にして、基本サイズとして100mm〜1250mmのサイズにして、パネルを直角的に接合の場合に、各パネル材の各端辺部に50〜300mm範囲の一定の間隔で押し込み接合具を挿入できる5〜50mmの大きさの穴部を、またパネルを並行的に接合する場合に化粧パネル材の厚さ方向にすべて幅、及び深さにそれぞれ5〜45mm溝部を、設けている。
【0017】
パネル材の接合に使用される押し込み接合具は、金属製、又は樹脂製のカムとシャフトからなるものであって、パネルを直角的に接合の場合に、シャフトとして3〜10mmφ、長さ10〜100mmと、シャフトの先端を固定する5〜50mmφ回転式円形カムをそれぞれのパネルに嵌め込みによって各々のパネル材を接合できるような構造に、またパネルを並行的に接合する場合に一つのパネルの溝部内に、接合カム中心部にシャフトの先端の冠を挿入できる開口部となった逆コの字型固定具を取り付けて、もう一つのパネルに冠付きシャフトを取り付けて嵌め込みによって接合できるような構造になっている。
【0018】
前記パネルで囲った仕切り部屋において、その周囲に本棚、クロゼット、電気器具デッキ、収納具、食器棚、キッチンから選ばれた1種類、又は2種類以上のリビング、及びダイニングの生活家具を設置できるようになっており、
前記パネルで囲った仕切り部屋の全体をパネル材によって覆い、部屋に出入りを可能にした1〜4箇所の出入り口を設けて、その面ではパネル材が引き戸や開き戸になるような構造で開閉を可能に行えるように、吊車具とレールまたは丁番を付帯したパネルを使用している。
【0019】
パネル材によって覆った部屋部は、大きさとして3〜30m2であって、天井と出入り口の戸付きであって、3〜5種類の規格パネルを3〜25枚を使用して構成されている。好ましくは大きさとして5〜30m2で、規格パネルを5〜25枚である。
【0020】
浴室ユニット、及びトイレユニット、及び洗面化粧台ユニットとから選ばれた1種類、又は2種類以上を備える水回り設備部屋においては、その周囲に本棚、クロゼット、電気器具デッキ、収納具、食器棚、キッチンから選ばれた1種類、又は2種類以上のリビング、及びダイニングの生活家具を密着的に嵌着している家具類の設置で、前記家具類を安定に設置すること、および保温性と防音性を高めるために、水回り設備室の全体を軽量、保温性の優れたパネル材によって覆い、当該パネル材の各部材の接合に二種類の押し込み接合具を使用している。
【0021】
前記浴室スペース及びトイレ・洗面スペースである前記水回り設備室を中心にして、トイレ・洗面スペース側に相面してキッチンと食器棚の家具を取り付け、浴室スペースの三面には、本棚、クロゼット、電気器具デッキ、収納具から選ばれた3〜4種の家具を並べて、当スペースと家具類の接合、寸法を略一致させて、隙間を2cm以内になっているようにしている。食器棚、キッチンの家具のキッチン設備が、ユーティリテー関係の配管をトイレ・洗面スペースのものと同一になるようにして、前記浴室スペースの外周面にはリビング、および寝室、および勉強部屋等を設置されるように配置されている。
【0022】
水回り設備ユニットは目的や間取り、規模に応じ数多くの種類が設備機器メーカー各社から提供されており、浴室専用を始めとして、浴室と洗面台のみ、浴室と洗面台と洋式トイレ、様式トイレ専用ユニット、シャワー専用ユニット等がある。また床や壁仕上げや水廻り関連の備品等にも各種グレードなどを兼ねる水回り設備ユニットもあり、これを囲む箱型パネル構造体であって、パネル材と特殊接合具によってなされている。
【発明の効果】
【0023】
本発明において、住空間およびオフィス空間に水回り設備に限らず、子供部屋、部屋の間仕切り、プライベート空間などに設置するパネルで囲った仕切り部屋を、屋内仕切り自立させることができる箱型パネル構造体によって、簡単に、しかも安価に独立できる部屋がパネル体と接合具で短期化に製作できるようになった。
【0024】
箱型パネル構造体は、子供部屋、部屋の間仕切りに限らず、水回り設備において浴室ユニットスペース及び上記トイレユニットスペースの何れからも使用可能な洗面化粧台ユニットスペースとを備えた設備を箱型パネル構造体で囲み、その構造体の周囲に本棚、クロゼット、電気器具デッキ、収納具、食器棚、キッチンの家具を密着的に嵌着している家具類を安定に設置を可能にすることが可能になって、その部屋、設備で保温性と防音性を高められた。
【0025】
屋内仕切り自立させた箱型パネル構造体は、上記によってアパートマンションなどの改築、或はワンルームにおいて、各機能の使い勝手を低下させることなく省スペース化を図り、省かれたスペースをルーム内の他の用途に振り向けて居住スペースを拡大することができる。また浴室及びトイレの同時使用も可能な機能的な水回り設備室において、箱型パネル構造体によって新しいワンルーム式ライフスタイルに適合した水回り設備対応家具設置用部材によって多機能家具を得ることができた。さらに独自に箱型パネル構造体を部屋内に設置して、子供部屋、あるいはプライベート部屋にすることができた。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1-A】屋内仕切り空間に自立させる箱型パネル構造体を設置した住空間の平面取り図
図1-B】屋内仕切り空間に自立させる箱型パネル構造体の斜視図
図1-C】屋内仕切り空間に自立させる箱型パネル構造体の接合詳細図
図2】屋内仕切り空間に自立させる箱型パネル構造体の平面図
図3】屋内仕切り空間に自立させる箱型パネル構造体の側面図 A:平面図、B:い側面図 C:ろ側面図、D:は側面図、E:に側面図
図4】屋内仕切り空間に自立させる箱型パネル構造体用部材図 21:ドアパネル小 22:ドアパネル中 23:ドアパネル大 24:天井パネル小 25:天井パネル中 26:天井パネル大 27:壁パネル小 28:壁パネル中 29:壁パネル大
図5-A】屋内仕切り空間に自立させる箱型パネル構造体の床と直角接合の実例図(床との接合工程図)
図5-B】屋内仕切り空間に自立させる箱型パネル構造体の床と直角接合の実例図(床との接合工程図)
図6】屋内仕切り空間に自立させる箱型パネル構造体の接合における接合具の図 A:パネルを直角的に雄雌接合具の場合 41:冠付きピン 42:逆コの字型固定具 45:固定用ピン B:パネルを並列的に雄雌接合具の場合 43:シャフト 44:接合カム
図7-A】屋内仕切り空間に自立させる箱型パネル構造体での組み立て工程の図 パネルを直角的に接合の場合の段階組み立て工程図
図7-B】屋内仕切り空間に自立させる箱型パネル構造体での組み立て工程の図 パネルを並列的に接合する場合の段階組み立て工程図
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態を添付した図面に基づいて説明する。図1に示す住空間は在来木軸工法による3DK(約65平米)の住居を改修したものである。元のダイニングキッチン、3つの和室、押入れ、水回り設備(浴室、洗面台およびトイレ)を区画していた柱と間仕切壁は全て取り除かれ、床面はフローリングに張り替えられている。床面の張り替えの際には床下の給排水管(図示せず)も新しいものに交換され、水回り設備付き多様性家具(以下、多様性家具という)の真下まで延長されている。玄関ホールは改修工事により取り除かれたトイレの部分まで拡張され、改修前より広い空間が確保されている。
【0027】
多機能家具は改修工事によって取り除かれた水回り設備、ダイニング設備およびリビング設備の各機能を全体的、部分的に集約させた、複数の機能を併せ持つ多機能の家具であり、住空間に設置されている。多機能家具は平面視して矩形の箱型構造物であり、側辺が住空間の側壁と平行となるような向きで設置されている。多機能家具の周囲の平面視してロ字型の空間は、リビングやベッドルーム、ダイニングルームなど居住者の望む用途に使用できる居住空間である。
【0029】
この空間は途中に間仕切りのない連続した空間であり、居住者の世帯形態やワンルームでライフスタイルに応じて自由にアレンジして使用することができる。このように多機能家具が設置された住空間は、用途が限定されない自由な空間を有する優良な建築ストックとなり得るものとして再生されている。
【実施例1】
【0030】
図1,2,3に示すように、一つの仕切り部の存在しないフロアーにおいて、子供部屋をパネルで囲った仕切り部屋に、一定の寸法の数枚のパネル材と特殊接続金具とを使用して簡単に脱着可能に組み立てられるようになっていることを特徴とする屋内仕切り自立させる箱型パネル構造体を製作した。フラッシュパネル材によって覆い、当該フラッシュパネル材の各部材の接合に押し込み接合具を使用した。図5に示すように床に固定する場合には、屋内仕切り自立させた箱型パネル構造体の床と直角接合を行った。
【0031】
前記子供部屋、枠体と外板により構成されているフラッシュパネル材は、図4に示すように、厚さ30mmであって、高さ2000mmの範囲で、横幅の種類として4種類にして、基本サイズとして900mm、450mm、300mm、150mmにして、各フラッシュパネル材の各端辺部の枠体に100mm範囲の一定の間隔で押し込み接合具を挿入できる30mmの大きさの穴部を設けた。図7−Aに示すように、パネルを直角的に接合の場合には、図6のAに示す直角的に雄雌接合具を、またパネルを並列的に接合の場合には、図6のBに示す並列的に雄雌接合具を使用した。
【0032】
子供部屋において、その周囲に本棚、収納具、食器棚、キッチンから選ばれた1種類、又は2種類以上のリビング、及びダイニングの生活家具を設置できるように、部屋の全体をフラッシュパネル材によって覆い、子供部屋に出入りを可能にした2箇所の出入り口を設けて、その面ではフラッシュパネル材が引き戸になるような構造で開閉を可能に行えるように、吊車具とレールを付帯したフラッシュパネルを使用した。
【0033】
フラッシュパネル材の接合に使用される押し込み接合具は、金属製、又は樹脂製のカムとシャフトからなるものであって、カムとして30mm、シャフトとして5mmφ、長さ50mmの嵌め込み式によって各々のフラッシュパネル材の枠体で固定できるような構造になった。
【0034】
子供部屋の全体をフラッシュパネル材によって覆ったフラッシュパネル部屋部は、大きさとして3〜30m2であって、天井と出入り口の戸付きで、必要に応じて窓を取り付けるものであって、4種類の規格フラッシュパネルを35枚を使用して構成された。
【実施例2】
【0030】
浴室ユニット、及びトイレユニット、及び洗面化粧台ユニットとから選ばれた1種類、又は2種類以上を備える水回り設備室において、その周囲に本棚、クロゼット、電気器具デッキ、収納具、食器棚、キッチンから選ばれた1種類、又は2種類以上のリビング、及びダイニングの生活家具を密着的に嵌着している家具類の設置で、水回り設備室の全体をフラッシュパネル材によって覆い、当該フラッシュパネル材の各部材の接合に押し込み接合具を使用した。図5に示すように床に固定する場合には、屋内仕切り自立させた箱型パネル構造体の床と直角接合を行った。
【0031】
図1,2,3に示すように、前記水回り設備室の全体を覆う、枠体と外板により構成されているフラッシュパネル材は、厚さ30mmであって、高さ2200mmの範囲で、横幅の種類として4種類にして、基本サイズとして900mm、450mm、300mm、150mmにして、各フラッシュパネル材の各端辺部の枠体に100mm範囲の一定の間隔で押し込み接合具を挿入できる30mmの大きさの穴部を設けた。図7に示すように、パネルを直角的に接合の場合には、図6Aに示す直角的に雄雌接合具を、またパネルを並列的に接合の場合には、図6Bに示す並列的に雄雌接合具を使用した。
【0032】
浴室ユニット、及びトイレユニット、及び洗面化粧台ユニットとから選ばれた1種類、又は2種類以上を備える水回り設備室において、その周囲に本棚、クロゼット、電気器具デッキ、収納具、食器棚、キッチンから選ばれた1種類、又は2種類以上のリビング、及びダイニングの生活家具を設置できるように、水回り設備室の全体をフラッシュパネル材によって覆い、水回り設備室に出入りを可能にした2箇所の出入り口を設けて、その面ではフラッシュパネル材が引き戸になるような構造で開閉を可能に行えるように、吊車具とレールを付帯したフラッシュパネルを使用した。
【0033】
フラッシュパネル材の接合に使用される押し込み接合具は、金属製、又は樹脂製のカムとシャフトからなるものであって、カムとして30mmφ、シャフトとして5mmφ、長さ50mmの嵌め込み式によって各々のフラッシュパネル材の枠体で固定できるような構造になった。
【0034】
水回り設備室の全体をフラッシュパネル材によって覆ったフラッシュパネル部屋部は、大きさとして30m2であって、天井と出入り口の戸付きであって、3〜5種類の規格フラッシュパネルを40枚を使用して構成された。
【0035】
水回り設備部は複数のパネルによって囲まれた空間と設備ユニットを備えている。パネルは空間を仕切る天井、側壁および床壁を構成されている。空間にはトイレ、洗面台および濯機置き場が配備されている。トイレの側方には窓が配備されており、これを開閉することで、設備部の空間内への自然通風および自然採光の調整が可能である。設備部への出入口には扉が設けられている。さらに水回り設備ユニットへの出入口には別の扉が設けられている。
【0036】
キッチン設備部にはシステムキッチンが配備されている。システムキッチンは背面がパネルの外壁面と対面するような向きで配置されている。システムキッチンの側方には収納スペースが設けられている。収納スペースはパネルと、パネルと連結されたパネルにより三方を囲まれた空間に形成されている。収納スペースの幅はシステムキッチンの横幅に応じてパネルの位置を変えることで自在に変更することができる。収納スペースには炊事に関するもの、例えば冷蔵庫や食器棚などを設置することができる。システムキッチンの他の側方には引き違い窓が配備されており、これを開閉することで、キッチン設備部への自然通風および自然採光が可能になっている。
【0037】
収納部は独立した4体の収納家具で構成されている。これらの収納家具は、各背面が衛生設備ユニットの3方の側壁を構成するパネルの外壁面にそれぞれ対面するような向きで配置され、平面視してコ字型になるように配列されている。収納家具は家具工場で製作されたものであり、住空間に搬入し、所定の位置に自立させるだけで設置は完了する。
【0038】
設置後は地震の際などに転倒したりずれたりしないように家具同士は木ねじなどの締結具で連結され、家具と家具はそれぞれパネルと連結される。家具と家具の側面であって多機能家具の外壁面となる部分には面取り加工を施した化粧板を取り付け、高級感を演出するとともに居住者の安全性を確保している。家具の隙間は水回り設備ユニットの横幅に応じて幅を自在に変更することができる。
【0039】
多機能家具の給排水は床面の天井の間を通る排気管を通じて行われる。排気管はキッチン設備部に設けられた換気設備と連結され、空間および衛生設備ユニットと連結された排気管とは別系統になっている。これは炊事の際の臭いや煙が衛生設備ユニット等に進入しないようにするためである。
【0040】
収納家具は専門の家具職人が工場で製作したものを使用しているので、現場施工による収納設備に比べ特に品質とデザイン性において優れたものになっている。収納家具はそれぞれ単体でも使用可能であるため、転居の際には多機能家具から分離して持ち出すことも可能である。また収納家具は入れ替えが可能であるので、居住者の世帯形態や使用目的の変化に合わせて機能やサイズを自由に選択することもできる。
【実施例3】
【0041】
浴槽及び洗い場を有する浴室ユニットスペースと、便器を有するトイレユニットスペースと、上記浴室ユニットスペースと上記トイレユニットスペースとを中心位置に配置して、上記浴室ユニットスペース及び上記トイレユニットスペースの何れからも使用可能な洗面化粧台ユニットスペースとを備える衛生設備室と、その周囲に本棚、クロゼット、電気器具デッキ、収納具、食器棚、キッチンの家具を密着的に嵌着している家具類において、家具類を安定に設置すること、および保温性と防音性を高めるために、衛生設備室の全体をフラッシュパネル材によって覆い、当該フラッシュパネル材の各部材の接合に押し込み接合具を使用した。図5に示すように床に固定する場合には、屋内仕切り自立させた箱型パネル構造体の床と直角接合を行った。
【0042】
衛生設備室の全体を覆う、枠体と外板により構成されているフラッシュパネル材は、厚さ30mmであって、高さ2300mmの範囲で、横幅の種類として3種類にして、基本サイズとして900mm、450mm、300mm、にして、各フラッシュパネル材の各端辺部の枠体に200mm範囲の一定の間隔で押し込み接合具を挿入できる30mmの大きさの穴部を設けた。図7に示すように、パネルを直角的に接合の場合には、図6Aに示す直角的に雄雌接合具を、またパネルを並列的に接合の場合には、図6Bに示す並列的に雄雌接合具を使用した。
【0043】
前記浴室ユニットスペース及びトイレ・洗面ユニットスペースである前記衛生設備室を中心にして、トイレ・洗面ユニットスペース側に相面してキッチンと食器棚の家具を取り付け、浴室ユニットスペースの三面には、本棚、クロゼット、電気器具デッキ、収納具から選ばれた3〜4種の家具を並べられるように、衛生設備室の全体をフラッシュパネル材によって覆い、トイレ・洗面ユニットスペース側の相対面に出入り口なるように、両面でフラッシュパネル材が引き戸になるような構造で開閉を可能に行えるように、吊車具とレールを付帯したフラッシュパネルを使用している。
【0044】
フラッシュパネル材の接合に使用される押し込み接合具は、金属製、又は樹脂製であって、ピンの摺動によって各々のフラッシュパネル材の枠体で固定できるような構造になっている。
【0045】
衛生設備室の全体をフラッシュパネル材によって覆ったフラッシュパネル部屋部は、大きさとして16m2であって、天井と出入り口の戸付きであって、3〜5種類の規格フラッシュパネルを25枚を使用して構成されている。
ワンルーム式ライフサイクル対応家具用部材が、衛生室を囲って、それに家具類を並べると、衛生室付き家具が整然と配列されて、一つの家具の形態を呈した。
【符号の説明】
【0046】
1 住空間
3 食器棚
4 レンジ台
5 TVボード
6 服吊
7 整理タンス
8 本棚
9 浴室ユニット
10 洗面台ユニット
11 洗濯機置場
12 パネルユニット部
13 窓設備
14 三方枠付き出入口
21 ドアパネル小
22 ドアパネル中
23 ドアパネル大
24 天井パネル小
25 天井パネル中
26 天井パネル大
27 壁パネル小
28 壁パネル中
29 壁パネル大
30 床
41 冠付きピン
42 逆コの字型固定具
43 シャフト
44 接合カム
45 固定用ピン
図1-A】
図1-B】
図1-C】
図2
図3
図4
図5-A】
図5-B】
図6
図7-A】
図7-B】