(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
折り加工された複数の用紙を背部が同一平面に並ぶように揃え、揃えた複数の用紙を両側から押さえ板で押さえ、背部の前方斜めより光を照射して背間の凹部に影部、背部に非影部を生じさせ、前記の両側の押さえ板と、前記の揃えた複数の用紙の背部を前方よりアナログ方式のカラーテレビカメラで、前記の凹部の影部が、前記アナログ方式のカラーテレビカメラから得られるカラー画像信号の水平走査線と直角になるように撮像し、得られたアナログカラー画像信号の背部撮像部の水平走査線1本分のアナログ信号の赤・緑・青の色の強さを、一方端から他方端までカラーアナログ−デジタル変換回路によって、前記のアナログカラーテレビカメラの最小解像単位ごとに多値化した値に変換し、変換された赤・緑・青の色の強さの値を、一方端から他方端まで、前記のアナログカラーテレビカメラの解像度の数の構成されるデジタル信号の各構成点に対応させて順次記憶させ、一方端から他方端まで前記水平走査線1本分の構成点の色の強さの測定信号を順次それぞれの構成点ごとに、構成点の値とあらかじめ設定された用紙基準線の値と比較して、初回は初めて用紙基準線の値より色が強くなり、用紙基準線の値より色が弱くなった場合に非影部と判定し、次回以降は用紙基準線の値より色が弱くなった状態から、用紙基準線の値より色が強くなり、用紙基準線の値より色が弱くなった場合に非影部と判定し、判定された非影部を用紙の背部とし、背部の数を積算して用紙の枚数を計数するとともに、用紙間の色の強さの最も低い構成点位置を用紙の境目として算出するとともにその位置の色の強さを算出し、算出された色の強さの最小の値を下限基準線と設定し、初めて色の強さが用紙基準線の値より色が強くなった構成点から開始点に戻る方向に、構成点の色の強さを下限基準線の値と比較し、下限基準線の値より色が弱くなった構成点位置を1枚目の用紙の開始点とし、最後に色の強さが用紙基準線の値より色が弱くなった構成点から他端に進む方向に、構成点の色の強さを下限基準線の値と比較し、下限基準線の値より色が弱くなった構成点位置を最後の用紙の終了点とし、最初の用紙の厚さは1枚目と2枚目の用紙の境目の構成点位置と最初の用紙の開始点の構成点位置の差の値とし、2枚目以降最終の用紙の1枚前までの用紙の厚さはそれぞれの前後の境目の構成点位置の差の値とし、最終の用紙の厚さは最終の用紙の終了点の位置と、最後の用紙と最終の用紙の1枚前の用紙の境目の構成点位置の差の値とし、各用紙の厚さを用紙の平均の厚さまたは正常な用紙の厚さと比較することにより、異常厚さを検出することを特徴とする折り加工された用紙の高精度異常厚検出方法。
折り加工された複数の用紙を背部が同一平面に並ぶように揃え、揃えた複数の用紙を両側から押さえ板で押さえ、背部の前方斜めより光を照射して背間の凹部に影部、背部に非影部を生じさせ、前記の両側の押さえ板と、前記の揃えた複数の用紙の背部を前方よりアナログ方式のモノクロテレビカメラで、前記の凹部の影部が、前記アナログ方式のモノクロテレビカメラから得られるモノクロ画像信号の水平走査線と直角になるように撮像し、得られたアナログモノクロ画像信号の背部撮像部の水平走査線1本分のアナログ信号の輝度の強さを、一方端から他方端までモノクロアナログ−デジタル変換回路によって、前記のアナログモノクロテレビカメラの最小解像単位ごとに多値化した値に変換し、変換された輝度の強さの値を、一方端から他方端まで、前記のアナログモノクロテレビカメラの解像度の数の構成されるデジタル信号の各構成点に対応させて順次記憶させ、一方端から他方端まで前記水平走査線1本分の構成点の輝度の強さの測定信号を順次それぞれの構成点ごとに、構成点の値とあらかじめ設定された用紙基準線の値と比較して、初回は初めて用紙基準線の値より輝度が強くなり、用紙基準線の値より輝度が弱くなった場合に非影部と判定し、次回以降は用紙基準線の値より輝度が弱くなった状態から、用紙基準線の値より輝度が強くなり、用紙基準線の値より輝度が弱くなった場合に非影部と判定し、判定された非影部を用紙の背部とし、背部の数を積算して用紙の枚数を計数するとともに、用紙間の輝度の強さの最も低い構成点位置を用紙の境目として算出するとともにその位置の輝度の強さを算出し、算出された色の強さの最小の値を下限基準線と設定し、初めて輝度の強さが用紙基準線の値より色が強くなった構成点から開始点に戻る方向に、構成点の輝度の強さを下限基準線の値と比較し、下限基準線の値より輝度が弱くなった構成点位置を1枚目の用紙の開始点とし、最後に輝度の強さが用紙基準線の値より輝度が弱くなった構成点から他端に進む方向に、構成点の輝度の強さを下限基準線の値と比較し、下限基準線の値より輝度が弱くなった構成点位置を最後の用紙の終了点とし、最初の用紙の厚さは1枚目と2枚目の用紙の境目の構成点位置と最初の用紙の開始点の構成点位置の差の値とし、2枚目以降最終の用紙の1枚前までの用紙の厚さはそれぞれの前後の境目の構成点位置の差の値とし、最終の用紙の厚さは最終の用紙の終了点の位置と、最後の用紙と最終の用紙の1枚前の用紙の境目の構成点位置の差の値とし、各用紙の厚さを用紙の平均の厚さまたは正常な用紙の厚さと比較することにより、異常厚さを検出することを特徴とする折り加工された用紙の高精度異常厚検出方法。
折り加工された複数の用紙を背部が同一平面に並ぶように揃え、揃えた複数の用紙を両側から押さえ板で押さえ、背部の前方斜めより光を照射して背間の凹部に影部、背部に非影部を生じさせ、前記の両側の押さえ板と、前記の揃えた複数の用紙の背部を前方よりデジタル方式のテレビカメラで、前記の凹部の影部が、前記デジタル方式のテレビカメラから得られる画像信号の水平走査線と直角になるように撮像し、得られた画像信号の背部撮像部の水平走査線1本分の信号の強さを、一方端から他方端まで前記のデジタルテレビカメラの解像度の数の構成されるデジタル信号の各構成点に対応させて順次記憶させ、一方端から他方端まで前記水平走査線1本分の構成点の信号の強さの測定信号を順次それぞれの構成点ごとに、構成点の値とあらかじめ設定された用紙基準線の値と比較して、初回は初めて用紙基準線の値より信号が強くなり、用紙基準線の値より信号が弱くなった場合に非影部と判定し、次回以降は用紙基準線の値より色が弱くなった状態から、用紙基準線の値より信号が強くなり、用紙基準線の値より信号が弱くなった場合に非影部と判定し、判定された非影部を用紙の背部とし、背部の数を積算して用紙の枚数を計数するとともに、用紙間の信号の強さの最も低い構成点位置を用紙の境目として算出するとともにその位置の信号の強さを算出し、算出された信号の強さの最小の値を下限基準線と設定し、初めて信号の強さが用紙基準線の値より信号が強くなった構成点から開始点に戻る方向に、構成点の信号の強さを下限基準線の値と比較し、下限基準線の値より信号が弱くなった構成点位置を1枚目の用紙の開始点とし、最後に信号の強さが用紙基準線の値より信号が弱くなった構成点から他端に進む方向に、構成点の信号の強さを下限基準線の値と比較し、下限基準線の値より信号が弱くなった構成点位置を最後の用紙の終了点とし、最初の用紙の厚さは1枚目と2枚目の用紙の境目の構成点位置と最初の用紙の開始点の構成点位置の差の値とし、2枚目以降最終の用紙の1枚前までの用紙の厚さはそれぞれの前後の境目の構成点位置の差の値とし、最終の用紙の厚さは最終の用紙の終了点の位置と、最後の用紙と最終の用紙の1枚前の用紙の境目の構成点位置の差の値とし、各用紙の厚さを用紙の平均の厚さまたは正常な用紙の厚さと比較することにより、異常厚さを検出することを特徴とする折り加工された用紙の高精度異常厚検出方法。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】 正常に折り加工された用紙の一例を示す断面図である。
【
図2】 2枚の用紙を同時に折り加工された用紙の一例を示す断面図である。
【
図3】 折り加工された複数の用紙1の異常を検出する手段を示す説明図である。
【
図4】 正常に折り加工された用紙12枚を揃え置いた状態の断面図である。
【
図5】
図4の用紙を撮像して得られた水平走査線一本分の開始端から終了端まで信号の強さを表示したグラフで、用紙基準線とグラフの交点及び算出された下限基準線を示した模式的なグラフである。
【
図6】 正常に折り加工された用紙11枚と厚さが異なる用紙1枚を揃え置いた状態の断面図である。
【
図7】 厚さの異なる折り加工された用紙の一例を示す断面図である。
【
図8】
図6の用紙を撮像して得られた水平走査線一本分の開始端から終了端まで信号の強さを表示したグラフで、用紙基準線とグラフの交点及び算出された下限基準線を示した模式的なグラフである。
【
図9】 揃え置いた正常な用紙25枚を撮像して水平走査線一本分の開始端から終了端まで信号の強さを表示したグラフであって、用紙基準線とグラフの交点及び算出された下限基準線を示した実際の具体的なデータに基づくグラフである。
【
図10】 揃え置いた正常な用紙24枚と右端の幅の厚い用紙を1枚を撮像し水平走査線一本分の開始端から終了端まで信号の強さを表示したグラフであって、用紙基準線とグラフの交点及び算出された下限基準線を示した実際の具体的なデータに基づくグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施態様を詳細に説明する。
図1は、所望の大きさに折り加工された用紙の一例であって、1は二つ折りされた用紙、2は二つ折りされた用紙1の背部であり、背部2は図のように半円形状になる。
【0011】
図2は、2枚の用紙を重ねて折り加工された用紙の一例であって、1は二つ折りされた用紙、2は二つ折りされた用紙1の背部であり、背部2は図のように大きな半円形状になる。
【0012】
図3は、折り加工された複数の用紙1の厚さ計測する手段を示すものであって、折り加工された複数の用紙1を背部2が同一平面に並ぶように揃え、両側から押さえ板3で押さえ、背部2の前方の斜め方向から照明装置4で光を照射して背部の凸部に非影部(輝部)5を、背間の凹部に影部6を生じさせる。照明装置4は、右方又は左方のいずれか一方に配置してあれば良いが、右方と左方の両斜め方向に配置して、両斜め方向から照射すると、均一な照明が可能である。揃えた複数の用紙1の背部2と両側の押さえ板3とを、その前方に固定配置したテレビカメラ7で、すべての影部6が撮像されるように影部6とテレビカメラ信号の水平走査線と直角となるように撮像する。テレビカメラ7の位置は左右が均一に撮像することができるように複数の用紙1の中央であることが望ましい。得られた画像は画像モニター8で画像の状態を確認し、良好な画像を得るようにする。
【0013】
次に、テレビカメラ7がアナログ方式のカラーテレビカメラの場合には、カラーテレビカメラから得られたアナログカラー画像信号をカラーアナログーデジタル変換回路9によって、赤、緑、青の色の強さを多値化したデジタル信号に変換し、コンピュータ10に送り、多値化したデジタル化信号のそれぞれの色の強さを、水平走査線を構成する各構成点に対応する多値化した色信号に変換する。カメラがデジタル方式の場合にはデジタル信号を直接、コンピュータ10に送り、演算に使用してもよい。また、得られたデジタル信号の三色すべてを計数に使用することもできるし、用紙の色に応じてもっとも強く現れる最適の色信号を選び、代表する信号とすることもできる。特に、用紙の色が紺色・青色系統の場合には、青色信号だけが鮮明にあらわれ、赤・緑色の色の強さは不鮮明になるので、誤計数を防止するために計数に使用しない方がよい場合が多い。紺色・青色系統の用紙色の場合には、モノクロカメラを使用すると、計数が難しくなるので、これらの色の用紙の計数には、カラーテレビカメラを使用することが望ましい。
【0014】
テレビカメラ7がモノクロテレビカメラの場合には、得られた画像信号をカラーアナログーデジタル変換回路9をモノクロアナログーデジタル回路に変更し、前記モノクロアナログーデジタル回路に送り、アナログ輝度信号を多値化した輝度信号に変換し、
図2のコンピュータ10に送り、画像信号の輝度を水平走査線を構成する各構成点に対する多値化した信号に変換する。
【0015】
変換された赤・緑・青の色の強さの値を、一方端から他方端まで、前記のアナログカラーテレビカメラの解像度の数の構成されるデジタル信号の各構成点に対応させて順次記憶させ、揃えた複数の用紙1の計数にさいしては、一方の押さえ板3から複数の用紙1を経て他方の押さえ板3に至るまでの水平走査線を構成する各構成点の信号の強さを、影部6と直交する方向に水平走査線1本分検出し、コンピュータモニター11で、
図9などに示すようにX軸に水平走査線構成点をとり、Y軸に信号の強さをとって表示し、水平走査線構成点の各点に対する信号の強さを示す点を直線で結ぶグラフを表示する。このグラフでは、輝部5と影部6が山部と谷部を形成して振幅するように現れ、輝部5と影部6をその信号の強さの差として知ることができる。
【0016】
図5は、
図4に示すように正常な用紙12枚を押さえ板間に整列させ、これを撮像してデジタル信号の各構成点の色の強さを直線で結んだ説明のための模式的なグラフであって、Y軸に信号の強さ、X軸に水平走査線構成点をとって示すものである。
あらかじめ設定した用紙基準線とグラフが交差する点を右端よりA、B・・・Xまでの24点の点で示し、A点でグラフは用紙基準線を上方向に越え、B点で用紙基準線を下方向に越え、さらにC点で用紙基準線を上方向に越え、D点で用紙基準線を下方向に越え、そして同様にX点まで繰り返す。
最初は用紙基準線を上方向に越えた後、下方向に越えることで、用紙1枚と判定し、その後は用紙基準線を下に越えた状態から、用紙基準線を上方向に越えた後、用紙基準線を下方向に越えることで、用紙1枚と新たに判定し、この判定ごとに用紙の枚数を積算する。
【0017】
本例の場合では、A−B間で用紙1枚、C−D間で用紙1枚、そしてこれを順次繰り返して、最後にW−X間で用紙1枚と判定し、用紙の枚数を12枚と積算する。
右端から左端までそれぞれの用紙の判定が終わった後、それぞれの用紙間の信号の強さがもっとも低い値のX軸の値を算出して、この構成点位置を用紙の境目とするとともに、用紙間の信号の強さがもっとも低い値の最小値を求めて下限基準線を設定し、この下限基準線とグラフ両端との交差点のX軸の値をそれぞれ算出する。
【0018】
本例の場合では、B−C間ではa点が信号の強さがもっとも低い点となり、D−E間ではb点が信号の強さがもっとも低い点となり、最終のV−W間ではk点が信号の強さがもっとも低い点となり、それぞれのX軸の値を算出する。用紙間の信号の強さがもっとも低い値の最小値はf点となり、ここで、f点の信号の強さを基準とする下限基準線を設定する。次に、この下限基準線と左端側でA点から下がるグラフとの交点はY点となり、そのX軸の値を算出し、右端側でX点から下がるグラフとの交点はZ点となり、そのX軸の値を算出する。
【0019】
次に、用紙の厚さについて説明するに、先ず、1枚目の用紙の厚さは、算出された1枚目と2枚目の用紙間の信号の強さがもっとも低い値のX軸の値と、下限基準線(算出された用紙間の信号の強さが最も低い値の最小値による)と最初に用紙基準線とグラフが交差する点より低くなる方向のグラフと交差するX軸の値とを算出して、両者を減算した値とする。
本例の場合では、(a点のX軸の値−Y点のX軸の値)であって、
図5に示すように13となる。
【0020】
2枚目以降であって最終の用紙の1枚前までの用紙の厚さは、算出されたその用紙と次の用紙の間の信号の強さが最も低い点のX軸の値から、その用紙の1枚前とその用紙の間の信号の強さが最も低い点のX軸の値を減算した値として算出する。
本例の場合では、(b点のX軸の値−a点のX軸の値)であって、
図5に示すように14であり、以下同様にしてc−b=14・・・k−j=14となる。
【0021】
最終の用紙の厚さは、算出された用紙間の信号の強さが最も低い値の最小値による下限基準線と最後に用紙基準線とグラフが交差する点より低くなる方向のグラフと交差するX軸の値から11枚目と12枚目の用紙間の信号の強さがもっとも低い値のX軸の値を減算した値とする。
本例の場合では、(Z点のX軸の値−k点のX軸の値)であって、
図5に示すように13となる。
【0022】
図8は、押さえ板の位置を
図4の場合と同じ位置に設置して押さえ板間の距離を同じにし、
図7に示す厚さが異なる用紙を右端に、
図6に示すように正常な用紙11枚とともに押さえ板間に整列させ、これを撮像しデジタル信号の各構成点の色の強さを直線で結んだ異常な用紙を含む場合の説明のための模式的なグラフであって、Y軸に信号の強さ、X軸に水平走査線構成点をとって示したものである。
この場合も、
図5と同様にして、最初に用紙基準線を上方向に越えた後、下方向に越えることで用紙1枚と判定し、その後は用紙基準線を下に越えた状態から、用紙基準線を上方向に越えた後、用紙基準線を下後方に越えることで用紙1枚と新たに判定してこれを積算し、本例の場合では、用紙の枚数を12枚とする。
次に、
図5と同様に、それぞれの用紙間の信号の強さがもっとも低い値のX軸の値を算出するとともに、用紙間の信号の強さがもっとも低い値の最小値を求めて下限基準線を設定し、この下限基準線とグラフ両端との交差点のX軸の値をそれぞれ算出する。
【0023】
本例の場合では、B−C間ではa点が、D−E間ではb点が、最終のV−W間ではk点が、それぞれ信号の強さがもっとも低い点となり、それぞれのX軸の値を算出する。用紙間の信号の強さがもっとも低い値の最小値はf点となり、ここで、f点の信号の強さを基準とする下限基準線を設定する。次に、この下限基準線と左端側でA点から下がるグラフとの交点はY点となり、そのX軸の値を算出し、右端側でX点から下がるグラフとの交点はZ点となり、そのX軸の値を算出する。
【0024】
次に、用紙の厚さについて説明するに、先ず、1枚目の用紙の厚さは、算出された1枚目と2枚目の用紙間の信号の強さがもっとも低い値のX軸の値と、下限基準線(算出された用紙間の信号の強さが最も低い値の最小値による)と最初に用紙基準線とグラフが交差する点より低くなる方向のグラフと交差するX軸の値とを算出して、両者を減算した値とする。
本例の場合では、(a点のX軸の値−Y点のX軸の値)であって、
図8に示すように13となる。
【0025】
2枚目以降で最終の用紙の1枚前までの用紙の幅は、算出されたその用紙と次の用紙の間の信号の強さが最も低い点のX軸の値よりその用紙の1枚前とその用紙の間の信号の強さが最も低い点のX軸の値を減算した値とし、本例の場合では、(b点のX軸の値−a点のX軸の値)で13、以下同様にc−b=13、d−c=14・・・h−g=14、i−h=13、j−i=13、k−j=13となる。この場合において、13と14の現れる頻度が
図5と
図8では、異なるが、これは同一の押さえ板間に総厚さが異なる用紙を揃え置いたため、一部の用紙の厚さが縮んだことによるものである。
【0026】
最終の用紙の厚さは、算出された用紙間の信号の強さが最も低い値の最小値による下限基準線と最後に用紙基準線とグラフが交差する点より低くなる方向のグラフと交差するX軸の値から11枚目と12枚目の用紙間の信号の強さがもっとも低い値のX軸の値を減算した値とする。
本例の場合では、(Z点のX軸の値−k点のX軸の値)であって、
図8に示すように18となる。
【0027】
次に、用紙の厚さの検出方法について説明する。算出されたY点のX軸位置からX点のX軸位置を減算し、算出された用紙枚数で除算し、用紙の平均厚さを求め、それぞれの用紙の厚さと比較して、この許容値を越える厚さの場合には、異常用紙厚と検出する。本例の場合では、用紙の平均値は、(173−7)÷12=13.83となり、右端の用紙厚さが18であるので、18÷13.83=1.30となり、右端の用紙は平均値より30%厚いことになり、許容値を25%とした場合には、異常に厚い用紙と検出され、右端の用紙のほかは正常となる。
また、広角のレンズを使用するなど、中央部と周辺部の撮像状態の違いにより、正常な用紙の厚さを算出した場合に、中央部と周辺部で用紙の厚さが大きく異なる場合には、正常な用紙の撮像結果より得られる用紙の位置毎の用紙の厚さのデータと、算出したデータを比較する方法でも異常用紙の厚さの検出が可能である。
本例の場合では、右端の用紙の厚さは18であり、
図4の用紙を撮像した場合を正常な状態として比較対照するならば、右端の用紙の正常な状態での厚さは13であり、18÷13=1.38となり、右端の用紙は平均値より38%厚いことになり、許容値を30%とした場合には、異常に厚い用紙と検出され、右端の用紙のほかは正常となる。
【0028】
ここまでの説明は、
図5と
図8を用いた模式的で理想的なグラフを用いて説明をしてきたが、実際に得られる具体的なグラフでは、このように表示されないので、以下、実際の具体的データに基づくグラフを用いてさらに詳細に説明することとする。
図9は実際に25枚の正常な用紙を揃え置いて撮像し、デジタル信号の各構成点の色の強さを直線で結んだ具体的データに基づくグラフである。即ち、正常な用紙を用いた正常な具体的グラフなのである。
【0029】
一方、
図10は実際に24枚の正常な用紙と右端に厚い用紙を揃え置いて撮像し、デジタル信号の各構成点の色の強さを直線で結んだ実際に具体的データに基づくグラフである。即ち、正常でない用紙を含む異常な具体的グラフなのである。
【0030】
図5と
図8では、12枚の用紙が実際の厚さとほぼ比例的な厚さとして表現されているが、現実のグラフでは、
図9と
図10に示すように用紙の厚さがグラフ上に現れにくいのが実際なのである。そして、従来、本発明者は、用紙の厚さの算出において、用紙基準線の150の位置で実施していたのであるが、この場合には、
図9のA部と
図10のC部の用紙の幅はほとんど同じであったのである。
【0031】
そこで、本発明においては、用紙基準線における用紙の厚さに代えて最も低い信号の強さの位置における用紙の厚さを算出することにしたのである。
図9のB部と
図10のD部の長さは、両図において明らかに異なるように表示されるのであり、従って
図10において異常厚さがはっきりと検出可能なのである。なお、異常厚さを検出するためには、許容値を設定しておき、これを越えるときには、異常厚さであると、判定することが望ましい。許容値は、用紙の相違や測定の精度などの設定によって変化するが、10〜30%であることが望ましい。
【0032】
用紙を2枚重ねて折った場合や用紙が挟まった場合などは、その用紙形状が条件により大きく異り、撮像状況も異なることが多いが、本例の場合のようにB部、D部で用紙厚さを検出する場合には影響を受けることなく、用紙厚さの検出が可能である。
【0033】
本発明の実施においては、次のようにして実施することも可能である。
即ち、算出した個々の用紙の厚さを右端からの用紙にそれぞれに対応して、枚数とともに記憶するとともに用紙厚さの平均値を算出して記憶しておき、次回以降の検査時にも用紙の厚さを算出して記憶したそれぞれの用紙の厚さと比較し、許容値を越えて厚い場合に異常用紙厚として検出し、モニター画面に用紙位置とともに異常を表示することが可能である。
【0034】
なお、次回以降の検査時の枚数が記憶した枚数と異なる場合には、算出された用紙厚さと、記憶された用紙厚さの平均値を記憶枚数と算出枚数により補正して比較を行うことができる。たとえば、次回検査時の用紙枚数が11枚の場合には、幅の平均値に11を積算し、12で除算して平均値を補正することができる。本例の場合には14×11(枚)÷12(枚)=13となるのである。
【0035】
以上のように、用紙間の最も低い信号の強さを用いて用紙の厚さを算出し、適切な許容値の設定によって比較することにより異常な用紙を検出することで、異常な厚さの用紙の形状に関わりなく高精度な異常用紙検出が可能である。