特許第5970711号(P5970711)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5970711
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】車両用エアガイド構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/04 20060101AFI20160804BHJP
   B60R 19/04 20060101ALI20160804BHJP
   B60R 19/48 20060101ALI20160804BHJP
   B62D 25/08 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   B60K11/04 K
   B60R19/04 M
   B60R19/48 M
   B62D25/08 D
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-183837(P2012-183837)
(22)【出願日】2012年8月23日
(65)【公開番号】特開2014-40197(P2014-40197A)
(43)【公開日】2014年3月6日
【審査請求日】2015年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176811
【氏名又は名称】三菱自動車エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078499
【弁理士】
【氏名又は名称】光石 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】230112449
【弁護士】
【氏名又は名称】光石 春平
(74)【代理人】
【識別番号】100102945
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 康幸
(74)【代理人】
【識別番号】100120673
【弁理士】
【氏名又は名称】松元 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100182224
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲三
(72)【発明者】
【氏名】鏡味 信幸
(72)【発明者】
【氏名】兼原 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】生島 伸弥
【審査官】 田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/065954(WO,A1)
【文献】 特表2014−511295(JP,A)
【文献】 特開2010−254112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/04
B62D 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前端部に配置されるバンパーと、当該バンパーに形成される通風口の車両後方側に配置される熱交換器との間に設けられ、前記通風口から導入された外気を、前記熱交換器に案内する枠状のエアガイドと、
前記熱交換器の前方を横切るように車幅方向に延設されるバンパービームとを備え、
前記エアガイドは、
前記バンパービームに支持されるフレーム部材と、
弾性材料によって形成され、前記フレーム部材の前面に設けられる前側シール部材と、
弾性材料によって形成され、前記フレーム部材の後面に設けられる後側シール部材とを有し、
前記前側シール部材は、前記フレーム部材の前面から車両前方側に向けて延設され、その前端縁が前記バンパーの後面と密着し、
前記後側シール部材は、前記フレーム部材の後面から車両後方側に向けて延設され、その後端縁が前記熱交換器の前面と密着し、
前記前側シール部材における車幅方向両側において上下方向に延びる縦辺部のうち、車幅方向内側に配置される縦辺部は、上下方向において断続的に形成される
ことを特徴とする車両用エアガイド構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用エアガイド構造において、
前記フレーム部材は、
車幅方向に延設される上枠部と、
前記上枠部の下方に配置され、車幅方向に延設される下枠部と、
前記上枠部の端部と前記下枠部の端部とを連結すると共に、前記バンパービームに固定される左右一対の縦枠部とを有して、
枠状に形成される
ことを特徴とする車両用エアガイド構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バンパーの通風口から導入された外気を、エアガイドを用いて、空調用コンデンサやラジエータ等の熱交換器に案内する車両用エアガイド構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車体構造の中には、バンパーと、空調用コンデンサやラジエータ等の熱交換器との間に、シール部材等のエアガイドを介在させて、そのバンパーの通風口から導入された外気を、熱交換器に案内するようにしたものが提供されている。このような、エアガイド構造を採用することにより、取り込んだ外気を熱交換器に効率良く案内することができるので、外気と熱交換器の冷媒との間における熱交換を促進させることができる。
【0003】
そして、上述したような、従来の車両用エアガイド構造は、例えば、特許文献1乃至3に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2502184号公報
【特許文献2】特開2003−306047号公報
【特許文献3】特開2008−120369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記従来の車両用エアガイド構造においては、導入された外気に対するシール性の向上を図るため、エアガイドを弾性材料によって形成し、そのエアガイドの前端部を通風口の縁部に密着させると共に、そのエアガイドの後端部を熱交換器の縁部やその周囲に密着させるようにしている。
【0006】
ところで、従来の車両用エアガイド構造においては、軽量化、コスト低減、及び、バンパーとの密着性向上等を図ることを目的として、エアガイドの材質を、スポンジ材のような、軽量で、且つ、比較的柔軟な材料とする場合がある。
【0007】
しかしながら、上述したような材料をエアガイドの材質として採用すると、エアガイドを、固定部材等を用いて、熱交換器に固定することができないため、当該エアガイドの後端部を、両面テープ等を用いて、熱交換器に固定するしかなかった。これにより、エアガイドの取付作業が煩雑となる上、その取付作業工数が大幅に増大するという問題が生じてしまう。
【0008】
また、従来の車両用エアガイド構造においては、バンパーの通風口と熱交換器との間の距離が長くなると、その分、エアガイドの長さも長くしなくてはならないが、上述した柔軟な材料を用いてエアガイドを形成した場合には、エアガイド自体の剛性を確保することが困難となってしまう。これにより、上述した取付作業が更に煩雑になるだけでなく、外気の風圧の大きさによっては、エアガイドに、倒れ、めくれ、剥がれ等が生じてしまい、そのシール性が低下してしまう。この結果、車両用エアガイド構造としての導風性を低下させるおそれがある。
【0009】
従って、本発明は上記課題を解決するものであって、エアガイドを高精度に取り付けることができると共に、エアガイドのシール性の低下を防止することができる車両用エアガイド構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する第1の発明に係る車両用エアガイド構造は、
車両前端部に配置されるバンパーと、当該バンパーに形成される通風口の車両後方側に配置される熱交換器との間に設けられ、前記通風口から導入された外気を、前記熱交換器に案内する枠状のエアガイドと、
前記熱交換器の前方を横切るように車幅方向に延設されるバンパービームとを備え、
前記エアガイドは、
前記バンパービームに支持されるフレーム部材と、
弾性材料によって形成され、前記フレーム部材の前面に設けられる前側シール部材と、
弾性材料によって形成され、前記フレーム部材の後面に設けられる後側シール部材とを有し、
前記前側シール部材は、前記フレーム部材の前面から車両前方側に向けて延設され、その前端縁が前記バンパーの後面と密着し、
前記後側シール部材は、前記フレーム部材の後面から車両後方側に向けて延設され、その後端縁が前記熱交換器の前面と密着し、
前記前側シール部材における車幅方向両側において上下方向に延びる縦辺部のうち、車幅方向内側に配置される縦辺部は、上下方向において断続的に形成される
ことを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決する第2の発明に係る車両用エアガイド構造は、
前記フレーム部材は、
車幅方向に延設される上枠部と、
前記上枠部の下方に配置され、車幅方向に延設される下枠部と、
前記上枠部の端部と前記下枠部の端部とを連結すると共に、前記バンパービームに固定される左右一対の縦枠部とを有して、
枠状に形成される
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
従って、本発明に係る車両用エアガイド構造によれば、エアガイドを、バンパービームに支持されるフレーム部材、当該フレーム部材の前面に取り付けられる前側シール部材、及び、そのフレーム部材の後面に取り付けられる後側シール部材から構成することにより、当該エアガイドを、簡単に、且つ、高精度に取り付けることができると共に、そのエアガイドのシール性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施例に係る車両用エアガイド構造を示した図である。
図2図1のII-II矢視断面図である。
図3】エアガイドの構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る車両用エアガイド構造について、図面を用いて詳細に説明する。
【実施例】
【0015】
図1に示すように、車両1の前端部には、フロントバンパー11が車幅方向に延設されており、このフロントバンパー11の上部及び下部には、複数の上部通風口11a及び下部通風口11bが形成されている。
【0016】
また、フロントバンパー11の後方には、枠状のラジエータサポートメンバ12が設けられている。このラジエータサポートメンバ12は、上辺部をなすラジエータサポートアッパ12aと、下辺部をなすラジエータサポートロア12bと、縦辺部をなす左右一対のラジエータサポートサイド12cとから構成されている。なお、図1においては、左右一対のラジエータサポートサイド12cのうち、車幅方向左側に配置されるラジエータサポートサイド12cのみを図示している。
【0017】
ラジエータサポートアッパ12aは、車幅方向に延設されており、ラジエータサポートロア12bは、そのラジエータサポートアッパ12aの下方に配置されると共に、車幅方向に延設されている。そして、ラジエータサポートサイド12cは、ラジエータサポートアッパ12aとラジエータサポートロア12bとの端部同士を上下方向に連結している。
【0018】
更に、ラジエータサポートメンバ12の枠内部(開口部)、即ち、ラジエータサポートアッパ12aとラジエータサポートロア12bとラジエータサポートサイド12cとにより囲まれた部分には、熱交換器20が設けられている。この熱交換器20は、その上部及び下部が、ラジエータサポートアッパ12a及びラジエータサポートロア12bに、それぞれ支持されることにより、車両前後方向において、フロントバンパー11の上部通風口11a及び下部通風口11bと対向するように配置されている。
【0019】
なお、上述した熱交換器20は、空調装置のコンデンサ21と、エンジンの冷却水を冷却するためのラジエータ22とを一体化したものであって、コンデンサ21と、このコンデンサ21の後方に配置されるラジエータ22とを、車両前後方向で重ね合わせた構成となっている。
【0020】
また、車幅方向両側部には、車体骨格部材である左右一対のフロントサイドメンバ13が車両前後方向に延設されている。なお、図1においては、左右一対のフロントサイドメンバ13のうち、車幅方向左側に配置されるフロントサイドメンバ13のみを図示している。
【0021】
更に、フロントサイドメンバ13の各前端部側には、ラジエータサポートアッパ12aの左右両下端部と、ラジエータサポートサイド12cの各上端部とが、それぞれ接続されている。また、フロントサイドメンバ13の前端部間には、バンパービーム14が接続されている。このバンパービーム14は、ラジエータサポートメンバ12に固定された熱交換器20の前方を横切るように、車幅方向に延設されるものであって、その左右両端部が、フロントフロントサイドメンバ13の各前端部に、それぞれ支持されている。
【0022】
そして、バンパービーム14の前面には、枠状のエアガイド30が、熱交換器20と対向するように支持されている。即ち、エアガイド30は、車両前後方向において、フロントバンパー11と熱交換器20との間に設けられており、その上部通風口11a及び下部通風口11bから導入された外気(走行風)を、当該上部通風口11a及び下部通風口11bから熱交換器20まで案内する通風路を形成するものとなっている。これにより、上部通風口11a及び下部通風口11bから導入された外気は、効率良く熱交換器20に案内されるため、その外気と熱交換器20の各冷媒との間においては、熱交換の促進が図られるようになっている。
【0023】
ここで、図1乃至図3に示すように、エアガイド30は、エアガイド本体となるフレーム部材31と、このフレーム部材31の前面及び後面に接着剤等によって取り付けられる前側シール部材32及び後側シール部材33とから構成されている。つまり、エアガイド30は、フロントバンパー11と熱交換器20との間に通風路を形成するためのシール部材32,33が、バンパービーム14の前後において、分割された構成となっており、それらシール部材32,33をフレーム部材31を介して連結するこことにより、エアガイド30内に通風路が形成されることになる。
【0024】
フレーム部材31は、樹脂材料を用いて枠状に成形されたものであって、車幅方向に延設される上枠部31a及び下枠部31bと、上枠部31aの左右両端部と下枠部31bの左右両端部とをそれぞれ連結する左右一対の縦枠部31cとから構成されている。更に、縦枠部31cの上下方向中間部には、取付部31dが車幅方向外側に向けて拡幅するように形成されている。即ち、フレーム部材31における左右一対の取付部31dは、クリップやねじ等を用いることにより、バンパービーム14の前面に対して、着脱可能となっている。そして、取付部31dをバンパービーム14に固定することにより、フレーム部材31がバンパービーム14に支持されることになる。
【0025】
なお、フレーム部材31の前面は、上枠部31a、下枠部31b、及び、縦枠部31cの各前面によって形成される面であって、フレーム部材31の後面は、上枠部31a、下枠部31b、及び、縦枠部31cの各後面によって形成される面となっている。
【0026】
また、前側シール部材32及び後側シール部材33は、弾性材料から形成されている。そして、前側シール部材32は、フレーム部材31の前面の形状、上部通風口11a及び下部通風口11bの形状及び開口位置等に対応するように構成されており、その前端縁32aが、フロントバンパー11の後面に対して圧接されて、これに隙間無く密着している。一方、後側シール部材33は、フレーム部材31の後面の形状、バンパービーム14の横断面形状及び延設位置、熱交換器20の形状等に対応するように構成されており、その後端縁33aが、熱交換器20の前面に対して圧接されて、これに隙間なく密着している。
【0027】
従って、本発明に係る車両用エアガイド構造によれば、エアガイド30を、バンパービーム14に装着可能な枠状のフレーム部材31と、このフレーム部材31の前面及び後面に取り付けられる前側シール部材32及び後側シール部材33とから構成することにより、前側シール部材32及び後側シール部材33をフレーム部材31に予め取り付けることができるので、フレーム部材31をバンパービーム14に装着するだけで、エアガイド30を、フロントバンパー11及び熱交換器20に対して、高精度に取り付けることができる。即ち、エアガイド30をバンパービーム14に装着し、更に、フロントバンパー11を車体側に取り付けるだけで、前側シール部材32をフロントバンパー11の後面に容易に密着させることができると共に、後側シール部材33を熱交換器20の前面に容易に密着させることができる。
【0028】
また、本発明に係る車両用エアガイド構造では、フレーム部材31を、前側シール部材32及び後側シール部材33によって、車両前後方向両側から挟み込むような、2分割シール構造を採用することにより、前側シール部材32及び後側シール部材33における車両前後方向の長さを短くすることができる。これにより、フロントバンパー11の上部通風口11a及び下部通風口11bから導入された外気の風圧が大きかったり、浸入した洗車水の水圧が大きかったりした場合でも、前側シール部材32及び後側シール部材33における車両前後方向の長さを短くすることができた分、当該前側シール部材32及び後側シール部材33に、倒れ、めくれ、剥がれが生じることがなくなるため、エアガイド30のシール性の低下を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、エアガイドの取付剛性を向上させることを目的とした車両用エアガイド構造に適用可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 車両
11 フロントバンパー
11a 上部通風口
11b 下部通風口
12 ラジエータサポートメンバ
12a ラジエータサポートアッパ
12b ラジエータサポートロア
12c ラジエータサポートサイド
13 フロントサイドメンバ
14 バンパービーム
20 熱交換器
21 コンデンサ
22 ラジエータ
30 エアガイド
31 フレーム部材
31a 上枠部
31b 下枠部
31c 縦枠部
31d 取付部
32 前側シール部材
32a 前端縁
33 後側シール部材
33a 後端縁
図1
図2
図3