(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5970929
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】鋳型の汎用解枠装置及びこれを用いた鋳型の汎用解枠方法
(51)【国際特許分類】
B22D 29/04 20060101AFI20160804BHJP
B22D 29/00 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
B22D29/04 B
B22D29/00 A
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-90030(P2012-90030)
(22)【出願日】2012年4月11日
(65)【公開番号】特開2013-215789(P2013-215789A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2015年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(72)【発明者】
【氏名】大野 泰嗣
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 康仁
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 眞二
(72)【発明者】
【氏名】堀江 泰輔
【審査官】
川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−020307(JP,A)
【文献】
特開2008−006481(JP,A)
【文献】
特開2005−334889(JP,A)
【文献】
特開平11−333557(JP,A)
【文献】
特開平11−138252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注湯済みの鋳型を鋳物砂と素材に分離して回収する鋳型の汎用解枠装置であって、
1台または複数台の上流シェイクアウトマシンと下流シェイクアウトマシンとを直列に配置するとともに、その下流に下流シェイクアウトマシン上から素材を取り出すためのマニピュレータを1台または複数台配置し、
上流シェイクアウトマシンの搬送面の上流部を素材への打痕発生および素材の引っ掛かりを防止する平滑面とし、
上流シェイクアウトマシンの搬送面の下流部を格子状又はパンチング穴付きとするとともに、素材に応じて平滑面の面積を調整するためのものであって、前記素材の引っ掛かりのない平滑面を有する調整用鉄板を着脱可能とし、
下流シェイクアウトマシンの搬送面を格子状又はパンチング穴付きとし、下流シェイクアウトマシンをマニピュレータの作動範囲内に納めたことを特徴とする鋳型の汎用解枠装置。
【請求項2】
上流シェイクアウトマシンと下流シェイクアウトマシンとの間に、搬送装置を配置したことを特徴とする請求項1記載の鋳型の汎用解枠装置。
【請求項3】
下流シェイクアウトマシンの搬送面上先端にシリンダゲートを設け、シリンダゲート閉で該搬送面から鋳物砂を抜き出し、シリンダゲート開で鋳バリ及び方案を後工程に排出可能としたことを特徴とする請求項1記載の鋳型の汎用解枠装置。
【請求項4】
上流シェイクアウトマシンの下流部及び下流シェイクアウトマシン搬送面に、中央側と側板側とを分離する衝立を立設したうえに、中央側の搬送面を素材の引っ掛かりのない平滑面を有する鉄板貼りとし、側板側の搬送面を格子状又はパンチング穴付きとしたことを特徴とする請求項1記載の鋳型の汎用解枠装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の鋳型の汎用解枠装置を用いた鋳型の汎用解枠方法であって、
搬送面を平滑面とした上流シェイクアウトマシンの上流部において、素材への打痕発生および素材の搬送面への引っ掛かりを防止しながら注湯済みの鋳型を鋳物砂と素材に分離したうえ、
搬送面を格子状又はパンチング穴付きとした上流シェイクアウトマシンの下流部及び下流シェイクアウトマシンにおいて鋳物砂を排出し、
下流シェイクアウトマシン上から素材をマニピュレータにより取り出すことを特徴とする鋳型の汎用解枠方法。
【請求項6】
マニピュレータを素材を取り出す際には、下流シェイクアウトマシンの振動を停止することを特徴とする請求項5に記載の鋳型の汎用解枠方法。
【請求項7】
シェイクアウトマシンをインバータ制御として、インバータ制御の周波数変更及び下流シェイクアウトマシンの起動停止を、マニピュレータ内部で操作することを特徴とする請求項5に記載の鋳型の汎用解枠方法。
【請求項8】
インバータ制御の周波数を、解枠される鋳型の造型機に設定する造型条件に対応させて設定することを特徴とする請求項7に記載の鋳型の汎用解枠方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、素材を製造する鋳造ラインにおいて、注湯済みの鋳型から鋳物砂を分離して素材を取り出すための、鋳型の汎用解枠装置とこれを用いた鋳型の汎用解枠方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
素材(鋳造品)を鋳込んだ鋳型は、素材を取り出すためにシェイクアウトマシンを備えた解枠装置に搬送される。シェイクアウトマシンは鋳物砂を分離して素材を取り出すための格子を備えたものであり、特許文献1には、複数の縦格子を素材送り方向に対して末広がり状に間隔を設けて配列したシェイクアウトマシンが開示されている。
【0003】
特許文献2には、反転取出装置と、搬送手段により取出位置に搬送した下枠をクランプするクランプ装置と、クランプした下枠の上方を覆って位置する開閉ゲート装置と、クランプ装置および開閉ゲート装置を支持して上下面を反転する反転機と、反転機を支持して昇降移動する昇降装置と、昇降装置を支持して取出位置とシェーカー(シェイクアウトマシン)上の排出位置とにわたって往復移動する移載装置とを備えた鋳造ラインにおける解枠装置が開示されている。
【0004】
特許文献3には、シェイクアウトマシンとマニピュレータとを備えた解枠装置が開示されている。この解枠装置においては、鋳型抜き出し機により注湯済み鋳物砂鋳型が型枠からシェイクアウトマシンの上部に抜き出される。シェイクアウトマシン上に抜き出された注湯済み鋳物砂鋳型は、強い振動作用を受けて鋳物砂と素材に分離されて振動コンベヤに送出される。振動コンベヤにおいては、素材の周りに付着している鋳物砂が振動作用を受けて素材から払い落される。その後振動コンベヤ上の素材はマニピュレータにより鋳物砂から取り出される。一方、鋳物砂は振動コンベヤの先端まで移送されて砂出し口からバケット容器の中に投入される。
【0005】
上記のように、解枠装置には、格子上で素材を振動させながら鋳物砂を分離して落下させるシェイクアウトマシンが使用されている。しかし、格子の振動が緩やかであると鋳物砂の分離不足により後工程への鋳物砂の持ち出しが発生し易くなり、逆に格子の振動を激しくすると鋳物砂の分離が過剰となる為、素材に打痕が発生しやすくなったり、素材が格子上で引っ掛かり易くなる。このように、後工程への鋳物砂の持ち出しと、素材への打痕発生及び格子への素材の引っ掛かりとは相反する現象であって、両方の問題を同時に解決することは困難であった。特にシェイクアウトマシンを様々な素材に対する汎用解枠に使用した場合には、素材形状、素材重量、サンドメタル比等の変動が大きいため、さらに困難性が増大するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭61−117356号公報
【特許文献2】特許第3236252号公報
【特許文献3】特開2002−103020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、素材形状、素材重量、サンドメタル比の変動が大きい汎用解枠を行なう場合にも、後工程への鋳物砂の持ち出しがなく、しかも素材への打痕発生及びシェイクアウトマシンの格子への素材の引っ掛かりも解消することができる鋳型の汎用解枠装置及びこれを用いた鋳型の汎用解枠方法を提供することである。
【0008】
上記の課題を解決するためになされた本発明の鋳型の汎用解枠装置は、注湯済みの鋳型を鋳物砂と素材に分離して回収する鋳型の汎用解枠装置であって、1台または複数台の上流シェイクアウトマシンと下流シェイクアウトマシンとを直列に配置するとともに、その下流に下流シェイクアウトマシン上から素材を取り出すためのマニピュレータを1台または複数台配置し、上流シェイクアウトマシンの搬送面の上流部を素材への打痕発生及び素材の引っ掛かりを防止する平滑面とし、上流シェイクアウトマシンの搬送面の下流部を格子状又はパンチング穴付きとするとともに、
素材に応じて平滑面の面積を調整するためのものであって、前記素材の引っ掛かりのない平滑面を有する調整用鉄板を着脱可能とし、下流シェイクアウトマシンの搬送面を格子状又はパンチング穴付きとし、下流シェイクアウトマシンをマニピュレータの作動範囲に納めたことを特徴とするものである。
【0009】
なお、上流シェイクアウトマシンと下流シェイクアウトマシンとの間に、搬送装置を配置することができる。また、下流シェイクアウトマシンの搬送面上先端にシリンダゲートを設け、シリンダゲート閉で該搬送面から鋳物砂を抜き出し、シリンダゲート開で鋳バリ及び方案を後工程に排出可能とすることができる。また、上流シェイクアウトマシンの下流部及び下流シェイクアウトマシン搬送面に、中央側と側板側とを分離する衝立を立設したうえに、中央側の搬送面を
素材の引っ掛かりのない平滑面を有する鉄板貼りとし、側板側の搬送面を格子状又はパンチング穴付きとすることができる。
【0010】
また上記の課題を解決するためになされた本発明の鋳型の汎用解枠方法は、搬送面を平滑面とした上流シェイクアウトマシンの上流部において、素材への打痕発生及び素材の搬送面への引っ掛かりを防止しながら注湯済みの鋳型を鋳物砂と素材に分離したうえ、搬送面を格子状又はパンチング穴付きとした上流シェイクアウトマシンの下流部及び下流シェイクアウトマシンにおいて鋳物砂を排出し、下流シェイクアウトマシン上から素材をマニピュレータにより取り出すことを特徴とするものである。
【0011】
なお、マニピュレータが素材を取り出す際には、下流シェイクアウトマシンの振動を停止することが好ましい。また、シェイクアウトマシンをインバータ制御として、インバータ制御の周波数変更及び下流シェイクアウトマシンの起動停止を、マニピュレータ内部で操作することができる。さらに、インバータ制御の周波数を、解枠される鋳型の造型機に設定する造型条件に対応させて設定することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、上流シェイクアウトマシンの搬送面の上流部を素材への打痕発生及び素材の引っ掛かりを防止する平滑面としたので、素材への打痕発生及び素材の引っ掛かりを防止しながら鋳物砂と素材とを分離することができる。分離した鋳物砂は上流シェイクアウトマシンの下流部及び下流シェイクアウトマシンの格子状又はパンチング穴付きの搬送面から落下させ、分離することができる。素材は下流シェイクアウトマシン上からマニピュレータにより取り出される。もし素材が下流シェイクアウトマシンの格子に引っ掛かった場合にも、マニピュレータにより取り出されるので問題はない。さらに上流シェイクアウトマシンの搬送面の下流部を調整用鉄板を着脱可能な構造としたので、素材の搬送面への引っ掛かり頻度を調節して鋳物砂を排出することができる。
【0013】
また、マニピュレータが素材を取り出す際には、下流シェイクアウトマシンの振動を停止するようにしておけば、素材やマニピュレータを保護することができる。
【0014】
また、シェイクアウトマシンをインバータ制御として、インバータ制御の周波数変更及び下流シェイクアウトマシンの起動停止を、マニピュレータ内部で操作することにより、作業性を高めることができる。さらにインバータ制御の周波数を、解枠される鋳型の造型機に設定する造型条件に対応させて設定することにより、造型条件に対応させて素材に対応した解枠が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】2台のシェイクアウトマシンと1台のマニピュレータを備えた汎用解枠装置の平面図である。
【
図3】2台のシェイクアウトマシンと1台のマニピュレータと搬送台車を備えた汎用解枠装置の平面図である。
【
図5】3台のシェイクアウトマシンと2台のマニピュレータを備えた汎用解枠装置の平面図である。
【
図8a】格子状に形成したシェイクアウトマシンの搬送面の平面図である。
【
図8b】格子状に形成したシェイクアウトマシンの搬送面の断面図である。
【
図9】パンチング穴を設けたシェイクアウトマシンの搬送面の平面図である。
【
図10】格子状の搬送面に鉄板を貼り付けた構造を示す断面図である。
【
図11a】衝立が取付けられたシェイクアウトマシンの平面図である。
【
図11b】衝立が取付けられたシェイクアウトマシンの断面図である。
【
図12a】衝立からの鋳物砂の排出状況を説明する断面図である。
【
図12b】衝立からの鋳物砂の排出状況を説明する断面図である。
【
図13a】シリンダゲートが閉鎖されているシェイクアウトマシンの詳細図である。
【
図13b】シリンダゲートが開放されているシェイクアウトマシンの詳細図である。
【
図13c】シリンダゲートが開放されているシェイクアウトマシンの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施形態を説明する。
図1、2は、本発明の第1の実施形態の解枠装置を示す図であって、この解枠装置は、直列に配置された上流シェイクアウトマシン5aと、下流シェイクアウトマシン5bと、その下流側に配置された1台のマニピュレータ6を備えている。上流シェイクアウトマシン5aの上流部の搬送面は鉄板7貼りとし、素材の引っ掛かりのない平滑面としてある。また上流シェイクアウトマシン5aの下流部を格子8a状又はパンチング穴8b付きの搬送面に形成してある。この下流部の搬送面には、素材に応じて平滑面の面積を調整するための調整用鉄板9を貼り付け可能な構造としてある。さらに、下流シェイクアウトマシン5bの搬送面を、同様に格子8a状又はパンチング穴8b付きとしてある。
【0017】
図8a、8bに、格子8a状に形成した搬送面を示し、
図9には鉄板にパンチング穴8bを付けた搬送面を示す。搬送面の両サイドには、素材、鋳物砂の脱落を防止するための側板30が立設されている。
図10に、上流シェイクアウトマシン5aの下流部への調整用鉄板9の貼り付け構造の実施例を示す。
図10では、調整用鉄板9を格子8a上に皿ボルト18で固定しているが、点溶接で接合することもできる。調整用鉄板9は、素材の引っ掛かり、素材への打痕発生及び後工程への鋳物砂の持ち出し等の状況により取付量を調整する。
【0018】
図1、2において、1は注湯済みの鋳型であって、鋳物砂2と素材3とからなる。鋳型1は鋳型コンベア21上を下流に流れ、鋳型搬送台車22を介して上流シェイクアウトマシン5aに搬送される。ここで、上方の鋳型抜き出し機23により型枠から鋳物砂2と素材(鋳造品)3が一体に抜き出される。上流シェイクアウトマシン5aは振動しながら鋳物砂2と素材3を分離する。上流部は鉄板7貼りの平滑面としてあるので素材3の引っ掛かりがなく、また振動を激しくしても素材3への打痕発生はなく、鋳物砂2は下流に流れる。下流部は格子8a状又はパンチング穴8b付きとしたうえに調整用鉄板9を着脱可能としてあるので、素材3の引っ掛かりを最小にして分離した鋳物砂2をホッパー24からコンベア25上に投入し、鋳物砂2搬送の後工程4aに回収する。素材3は、さらに下流シェイクアウトマシン5bに搬送されて、さらに鋳物砂2が篩い落とされて、鋳物砂2は下流シェイクアウトマシン5bの搬送面の格子8a状又はパンチング穴8bを介してコンベア25上に投入される。
【0019】
マニピュレータ6は、素材3を下流シェイクアウトマシン5bの搬送面からピックアップして素材コンベア26に搬送するとともに、鋳バリや方案12が残っていれば、これらを受け箱13に投入する。素材3のピックアップ時には、マニピュレータ6の保護のために、下流シェイクアウトマシン5bを停止することが好ましい。この操作はマニピュレータ6の内部から行えるようにしておくことが好ましい。素材コンベア26に載置された素材3は順次搬送され、後工程4bに送られる。
【0020】
図3、4は、本発明の第2の実施形態の解枠装置を示す図であって、直列に配設された上流シェイクアウトマシン5aと、下流シェイクアウトマシン5bと、1台のマニピュレータ6と、搬送台車27とを備えている。搬送面の構成は第1の実施形態と変わるところはない。この第2の実施形態においては、マニピュレータ6でピックアップされた素材3は、搬送台車27に載置されて素材コンベア26まで搬送される。
【0021】
下流シェイクアウトマシン5bの先端にはシリンダゲート10を設け、シリンダゲート10閉で、シリンダゲート10とシェイクアウトマシン5b先端のスキマ29から滞留鋳物砂をコンベア25上に抜き出すことができるし、シリンダゲート10開で、
図1、2レイアウトの場合、鋳バリ、方案12をコンベア25上又は受け箱13に排出することができる。
図3、4のレイアウトを採用することにより搬送台車27の台車カエリ端をシリンダゲート10の直下にすることにより鋳バリ、方案12の排出先を、素材3を搬送する後工程4bとすることが出来る。
【0022】
図13a、13b、13cにシリンダゲート10の詳細を示す。シリンダゲート10は、シリンダ19でゲート20を開閉する構造である。
図13aは、ゲート20を閉じた状態である。この状態にてマニピュレータ6により素材3を搬出しながら、鋳物砂2をせきとめて、格子8a又はパンチング穴8bから鋳物砂2を後工程4aに搬出する。ゲート20は、閉じた状態で下流シェイクアウトマシン5bの先端との間に隙間29を設けて、この隙間29からも鋳物砂2を後工程4aに排出することができる。素材3から外れた鋳バリ、方案12は格子8a又はパンチング穴8b上に滞留する。滞留した鋳バリ、方案12は、マニピュレータ6で受箱13又は後工程4bに搬出することもできる。
【0023】
図13bは、素材3用の後工程4bを有する状態で、ゲート20を開いた状態を示す。この例では鋳物砂を後工程4aに搬出した後に、搬送台車27の台車カエリ端をシリンダゲート10の直下に配置した状態でゲート20を開き、滞留した鋳バリ、方案12を後工程4bに搬出することが出来る。
【0024】
図13cは素材3用の後工程4bを有しない状態でゲート20を開いた状態を示す。この例では格子8a又はパンチング穴8bから鋳物砂2を排出しきれない場合に、搬送台車27の台車カエリ端をシリンダゲート10の直下に配置しない状態でゲート20を開き滞留した鋳物砂2をコンベア25を介し、後工程4aに搬出することが出来る。
【0025】
下流シェイクアウトマシン5bの先端にシリンダゲート10を設けることに代えて、固定堰31を設けた例を、
図5に示す。せき止められて滞留した鋳バリ、方案12をマニピュレータ6で受け箱13又は後工程4bに排出する構造とすることができる。
【0026】
図5〜7は、本発明の第3の実施形態の解枠装置を示す図であって、直列に配設された2台の上流シェイクアウトマシン5a1及び5a2と、下流シェイクアウトマシン5bと、上流シェイクアウトマシン5a2と下流シェイクアウトマシン5bとの間に配設された搬送装置としての搬送コンベア14と、この搬送コンベア14の側部に配設された2台のマニピュレータ6とを備えている。
【0027】
すなわち、マニピュレータ6の保護及び交互のメンテナンスのため、及び作業スペース確保のため、3台で構成されるシェイクアウトマシン5a1、5a2、5bの間にエプロンコンベア等の搬送装置14を設け、スペースを確保してマニピュレータ6を2台設けてある。マニピュレータ6は1台でもよいが、複数台としたほうが、作業者の負担が軽減されるので好ましいといえる。
【0028】
シェイクアウトマシン5a、5a1、5a2、5bをインバータ制御として、インバータ制御の周波数変更を行う設定器、下流シェイクアウトマシン5bの起動停止を行うスイッチボックスをマニピュレータ6内部に設置することができる。ここで、インバータ制御の周波数を、解枠する素材3の切り替えに連動させるために、鋳型1を造型するための図示しない造型機に設定する造型条件に予め設定しておくことができる。なお、インバータ制御の周波数の設定や変更は、必ずしもマニピュレータ内部で行う必要はない。
【0029】
上流のシェイクアウトマシン5a1、5a2の下流部の一部及び下流シェイクアウトマシン5bの格子8a又はパンチング穴8bに素材3が引っ掛かる場合、シェイクアウトマシン5a1、5a2、5bのトラフに中央側15と側板側16とを分離する衝立17を立てたうえに、中央側15を調整用鉄板9貼りとして、側板側16を格子8a又はパンチング穴8bのままとすることができる。
図11a、bに、衝立17を立設し、格子8a上の一部に調整用鉄板9を貼り付けた構造の実施例を示す。衝立17の上流部は、素材3をトラフの中央側に案内するガイドの役目も果たす。
【0030】
図12a、bに、衝立17取付構造から鋳物砂2を排出する状況を説明する断面図を示す。
図12aに示すように、素材3は中央側15の調整鉄板9の上に搬入されるため、素材3の引っ掛かり、素材3への打痕の発生を防止できる。調整鉄板9上に搬入される滞留鋳物砂11が多い場合には、
図12bに示すように、衝立17を乗り越えて側板側16にあふれ出すため、格子8a又はパンチング穴8bから後工程4aに搬出することができる。素材3が乗り越えない程度に衝立17の高さを調整することにより、側板側16にあふれ出す鋳物砂2の量を調整することができる。
【0031】
以上に説明したように、本発明によれば、搬送面を平滑面とした上流シェイクアウトマシンの上流部において、素材への打痕発生および素材の搬送面への引っ掛かりを防止しながら注湯済みの鋳型を鋳物砂と素材に分離したうえ、搬送面を格子状又はパンチング穴付きとした上流シェイクアウトマシンの下流部及び下流シェイクアウトマシンにおいて鋳物砂を排出し、下流シェイクアウトマシン上から素材をマニピュレータにより取り出すようにしたので、サンドメタル比の変動が大きい汎用解枠を行った場合にも、鋳物砂と素材とを確実に分離し、後工程に搬出することができる。またこの際に発生する素材の打痕発生、格子への素材の引っ掛かりと後工程への鋳物砂の持ち出しという相反する現象を解消することができる。このため鋳造設備の稼働率の向上を図ることができ、鋳造工場の中で最も過酷な作業である解枠装置不具合の復旧作業から作業員を開放することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 鋳型
2 鋳物砂
3 素材
4a 後工程
4b 後工程
5a 上流シェイクアウトマシン
5b 下流シェイクアウトマシン
6 マニピュレータ
7 鉄板
8a 格子
8b パンチング穴
9 調整用鉄板
10 シリンダゲート
11 滞留鋳物砂
12 鋳バリ、方案
13 受け箱
14 搬送装置(搬送コンベア)
15 中央側
16 側板側
17 衝立
18 皿ボルト
19 シリンダ
20 ゲート
29 隙間
31 固定堰