特許第5970946号(P5970946)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5970946
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】水中作業支援システム及び水中作業支援方法
(51)【国際特許分類】
   E02B 3/00 20060101AFI20160804BHJP
   E02D 15/08 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   E02B3/00
   E02D15/08
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-109965(P2012-109965)
(22)【出願日】2012年5月11日
(65)【公開番号】特開2013-238002(P2013-238002A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2015年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】金井 誠
(72)【発明者】
【氏名】阪本 公明
(72)【発明者】
【氏名】椎名 肖一
(72)【発明者】
【氏名】矢田 和也
【審査官】 越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−114944(JP,A)
【文献】 特開2008−304649(JP,A)
【文献】 特開平01−067097(JP,A)
【文献】 実開平01−078485(JP,U)
【文献】 特開平04−001321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 1/00− 3/14
E02F 5/00
E02D 15/06−15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中作業員によって操作される操作部と、該操作部が操作されると操作情報を可視光で送信する水中作業員側の可視光送信部とを備え、水中作業員によって所持される水中作業員用機器と、
水中で吊荷の旋回角度を調整する水中吊荷旋回装置に設けられ、前記水中作業員側の可視光送信部から可視光で送信された前記操作情報を受信する前記水中吊荷旋回装置側の可視光受信部と、
前記水中吊荷旋回装置に設けられ、前記水中吊荷旋回装置側の可視光受信部が受信した前記操作情報に基づいて前記水中吊荷旋回装置を制御する機械制御部と、
を備える水中作業支援システム。
【請求項2】
前記水中作業員用機器は、
可視光で送信された情報を受信する水中作業員側の可視光受信部と、
水中作業員が発した声を拾い音声情報を生成する防水マイクと、
前記水中作業員側の可視光受信部が可視光で受信した情報に基づいて骨伝導により水中作業員に音声を伝える骨伝導スピーカーと、
を備え、
前記水中作業員側の可視光送信部は、前記防水マイクが生成した前記音声情報を、他の前記水中作業員用機器が備える前記水中作業員側の可視光受信部へ可視光で送信する請求項1に記載の水中作業支援システム。
【請求項3】
前記水中吊荷旋回装置に設けられ、前記水中吊荷旋回装置の作動状態情報を可視光で送信する前記水中吊荷旋回装置側の可視光送信部を備え、
前記水中作業員用機器は、
前記水中吊荷旋回装置側の可視光送信部から可視光で送信された前記作動状態情報を受信する作業員側の可視光受信部と、
前記作業員側の可視光受信部が可視光で受信した前記作動状態情報を水中作業員に通知する通知部と、
を備える請求項1に記載の水中作業支援システム。
【請求項4】
水中作業員に、操作部と、該操作部が操作されると操作情報を可視光で送信する可視光送信部とを備える機器を所持させ、
水中で吊荷の旋回角度を調整する水中吊荷旋回装置に、前記可視光送信部から可視光で送信された前記操作情報を受信する可視光受信部を設置し、
前記水中吊荷旋回装置を、前記可視光受信部が受信した前記操作情報に基づいて制御する水中作業支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中作業支援システム及び水中作業支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
護岸工事等で行われる水中でのコンクリート製ブロックの設置作業やケーソン基礎部の張石作業では、水中での資材の搬送を船上のクレーンで行うが、その際、水中作業員(潜水士)が手作業で吊荷を設置場所まで誘導している(例えば、非特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「港湾工事安全施工指針」,昭和58年3月初版発行,監修 運輸省港湾局,編集 港湾工事安全施工指針編集委員会((社)日本埋立浚渫協会),発行所 社団法人日本埋立浚渫協会,248〜249頁
【非特許文献2】「海洋工事安全施工KYTシート集」(刊018号改3),平成17念3月発行,編集 海洋開発工事安全公害対策本部,発行 海洋開発工事安全公害対策本部・社団法人日本土木工業協会・社団法人日本埋立浚渫協会・社団法人日本海洋開発建設協会・社団法人日本鉄道建設業協会,99〜100頁
【非特許文献3】「港湾空港技術研究所資料 No.1222」,2010年12月発行,編集兼発行人 独立行政法人港湾空港技術研究所,発行所 独立行政法人港湾空港技術研究所,5〜6頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水中作業員による水中での吊荷の誘導作業は、地上とは異なり浮力の影響で反力を取り難く、また、潮流の影響を受けることから難作業となっており、作業時間が増加し、施工効率が上がらない等の問題がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、水中作業員による水中作業を支援することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る水中作業支援システムは、水中作業員によって操作される操作部と、該操作部が操作されると操作情報を可視光で送信する水中作業員側の可視光送信部とを備え、水中作業員によって所持される水中作業員用機器と、水中で吊荷の旋回角度を調整する水中吊荷旋回装置に設けられ、前記水中作業員側の可視光送信部から可視光で送信された前記操作情報を受信する前記水中吊荷旋回装置側の可視光受信部と、前記水中吊荷旋回装置に設けられ、前記水中吊荷旋回装置側の可視光受信部が受信した前記操作情報に基づいて前記水中吊荷旋回装置を制御する機械制御部とを備える。
【0007】
前記水中作業支援システムにおいて、前記水中作業員用機器は、可視光で送信された情報を受信する水中作業員側の可視光受信部と、水中作業員が発した声を拾い音声情報を生成する防水マイクと、前記水中作業員側の可視光受信部が可視光で受信した情報に基づいて骨伝導により水中作業員に音声を伝える骨伝導スピーカーとを備えてもよく、前記水中作業員側の可視光送信部は、前記防水マイクが生成した前記音声情報を、他の前記水中作業員用機器が備える前記水中作業員側の可視光受信部へ可視光で送信してもよい。
【0008】
前記水中作業支援システムにおいて、前記水中吊荷旋回装置に設けられ、前記水中吊荷旋回装置の作動状態情報を可視光で送信する前記水中吊荷旋回装置側の可視光送信部を備えてもよく、前記水中作業員用機器は、前記水中吊荷旋回装置側の可視光送信部から可視光で送信された前記作動状態情報を受信する作業員側の可視光受信部と、前記作業員側の可視光受信部が可視光で受信した前記作動状態情報を水中作業員に通知する通知部と、を備えてもよい。
【0009】
また、本発明に係る水中作業支援方法は、水中作業員に、操作部と、該操作部が操作されると操作情報を可視光で送信する可視光送信部とを備える機器を所持させ、水中で吊荷の旋回角度を調整する水中吊荷旋回装置に、前記可視光送信部から可視光で送信された前記操作情報を受信する可視光受信部を設置し、前記水中吊荷旋回装置を、前記可視光受信部が受信した前記操作情報に基づいて制御するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、水中作業員による水中作業を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係る水中作業支援システムの概略を示す図である。
図2】水中作業員が所持する通信機器の構成を示す図である。
図3】水中作業員が所持する通信機器の構成を示すブロック図である。
図4】起重機船に設置される通信機器の構成を示すブロック図である。
図5】水中吊荷旋回装置に設置される通信機器の構成を示すブロック図である。
図6】水中吊荷旋回装置の内部構造を示す斜視図である。
図7】水中吊荷旋回装置の動作の原理を説明するための図である。
図8】水中吊荷旋回装置の動作の原理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、一実施形態に係る水中作業支援システム10の概略を示す図である。この図に示すように、水中作業支援システム10は、水中可視光通信によって、水中作業員1と水中吊荷旋回装置100との間、水中作業員1同士の間、及び水中作業員1と起重機船2の船員との間の双方向通信を可能にしたものであり、水中作業員1による水中吊荷旋回装置100の遠隔操作を可能にしたものである。
【0013】
水中吊荷旋回装置100は、起重機船2のクレーン3からワイヤー4で水中に吊り下げられ旋回して吊荷の水中での旋回角度を調整する機械である。本実施形態では、水中吊荷旋回装置100は、消波ブロックや被覆ブロック等のコンクリート製ブロック5の旋回角度を調整するのに用いられる。なお、対象制御物は前述の吊荷に限定されない。水中内の金属製構築物・機械装置・核燃料についても水中内での取付・撤去作業時における旋回角度の調整が可能である。
【0014】
水中作業支援システム10は、水中作業員1が所持する通信機器20と、起重機船2に設置される通信機器30と、水中吊荷旋回装置100に設置される通信機器40と、クレーン3のブームの先端に設置されるGPS受信機50とを備えている。起重機船2に設置される通信機器40とGPS受信機50とは有線で接続されており、クレーン3のブームの先端の位置情報すなわちブームの先端から吊り下げられた水中吊荷旋回装置100の位置情報や時刻情報等が通信機器40に受信される。
【0015】
図2は、水中作業員1が所持する通信機器20の構成を示す図であり、図3は、該通信機器20の構成を示すブロック図である。これらの図に示すように、通信機器20は、水中作業員1が手で持つ端末201に設けられた送信機21、受信機22、光波−音声信号変換装置23、機械操作リモコン24と、水中作業員1が装着するフルフェイス型水中マスク202に設けられた防水マイク26及び骨伝導スピーカー27と、バッテリー25とを備えている。端末201と防水マイク26と骨伝導スピーカー27とは電力ケーブル28で接続されており、端末201、防水マイク26、及び骨伝導スピーカー27は、バッテリー25から電源を供給されて駆動される。
【0016】
防水マイク26は、水中作業員1の口の近傍に配されており、水中作業員1が発した音声を拾い、電気信号に変換して光波−音声信号変換装置23へ出力する。また、骨伝導スピーカー27は、水中作業員1の頭部の近傍に配されており、光波−音声信号変換装置23から送信された音声信号に基づいて骨伝導を発生させ、水中作業員1に音声を伝える。
【0017】
送信機21は、発行ダイオード(LED)を備えており、光波−音声信号変換装置23又は機械操作リモコン24から受信した光波信号又は操作信号に応じてLEDの点滅を制御し、4値パルス位置変調(4PPM)方式、サブキャリア(副搬送波)方式等の公知の変調方式を用いて光信号の生成・送信を行う。受信機22は、フォトダイオード(PD)を備えており、他の水中作業員1が所持する通信機器20の送信機21等から送信されPDが受信した光信号を電気信号に変換し、光波−音声信号変換装置23へ送信する。
【0018】
機械操作リモコン24は、水中吊荷旋回装置100を遠隔操作するための操作ボタンとして、吊荷の旋回を指示するための旋回ボタン、吊荷の旋回を停止させるためのストップボタン等を備えている。この機械操作リモコン24は、旋回ボタンやストップボタンが操作されると、操作信号を送信機21へ出力する。
【0019】
光波−音声信号変換装置23は、防水マイク26から送信された音声信号を光波信号に変換して送信機21へ出力し、受信機22から送信された電気信号(光波信号)を音声信号に変換して骨伝導スピーカー27へ出力する。
【0020】
図4は、起重機船2に設置される通信機器30の構成を示すブロック図である。この図に示すように、通信機器30は、起重機船2の船体に設置される端末301と、端末301に有線で接続され船上に設置される端末302とを備えている。端末301には、送信機31、受信機32、及び光波−音声信号変換装置33が備えられ、端末302には、マイク34及びスピーカー35とが備えられている。端末301、302は、これらに搭載されたバッテリー又は起重機船2に搭載された電源装置から電源を供給されて駆動される。
【0021】
送信機31は、水中作業員1が所持する通信機器20の受信機22のPDとの間で水中可視光通信を行うためのLEDを備え、受信機32は、通信機器20の送信機21のLDとの間で水中可視光通信を行うためのPDを備えている。送信機31は、GPS受信機50から受信した水中吊荷旋回装置100の位置情報や時刻情報、又は、光波−音声信号変換装置33から送信された光波信号を通信機器20の受信機22へ送信する。受信機32は、通信機器20の送信機21から受信した光波信号を光波−音声信号変換装置33へ送信する。
【0022】
光波−音声信号変換装置33は、マイク34から受信した音声信号を光波信号に変換して送信機31へ送信し、受信機32から受信した光波信号を音声信号に変換してスピーカー35へ送信する。
【0023】
図5は、水中吊荷旋回装置100に設置される通信機器40の構成を示すブロック図である。この図に示すように、通信機器40は、水中吊荷旋回装置100の機体に設置されており、送信機41、受信機42、光波−制御信号変換装置43、及び機械制御回路44が備えられている。
【0024】
送信機41は、水中作業員1が所持する通信機器20の受信機22のPDとの間で可視光通信を行うためのLEDを備え、受信機42は、通信機器20の送信機21のLDとの間で可視光通信を行うためのPDを備えている。送信機41は、光波−制御信号変換装置43から受信した光波信号を通信機器20の送信機21へ送信する。また、受信機42は、通信機器20の送信機21から受信した光波信号を光波−制御信号変換装置43へ送信する。
【0025】
光波−制御信号変換装置43は、受信機42から受信した光波信号を制御信号に変換して機械制御回路44へ送信し、機械制御回路44から受信した信号を光波信号に変換して送信機41へ送信する。そして、機械制御回路44は、光波−制御信号変換装置43から受信した制御信号に基づいて水中吊荷旋回装置100の旋回及び旋回停止を制御する。また、機械制御回路44は、水中吊荷旋回装置100の旋回角度を示す信号を光波−制御信号変換装置43へ送信する。
【0026】
図6は、水中吊荷旋回装置100の内部構造を示す斜視図である。この図に示すように、水中吊荷旋回装置100は、直方体状のフレーム112と、フレーム112内に設置されたジンバルユニット120及びフライホイルユニット130とを備えている。ジンバルユニット120は、ジンバル122とジンバル用モータ124とを備える。ジンバル122は、長方形状のフレームであり、水平に設定された回転軸121の周りに回転可能にフレーム112に支持されている。また、ジンバル用モータ124は、フレーム112に支持され、ジンバル122を回転軸121の周りに回転させる。
【0027】
また、フライホイルユニット130は、フライホイル132とフライホイル用モータ134とを備える。フライホイル132は、回転軸121と直交するように設定された回転軸131の周りに回転可能にジンバル122に支持されている。また、フライホイル用モータ134は、ジンバル122に支持され、フライホイル132を回転軸131の周りに高速で回転させる。
【0028】
図7及び図8は、水中吊荷旋回装置100の動作の原理を説明するための図である。図7に示すように、水中吊荷旋回装置100では、フライホイル132が、回転軸131の周りに高速で回転し、ジンバル122が、回転軸131と直交する回転軸121を支点としてフライホイル132を傾動させることにより、回転軸121及び回転軸131と直交するモーメント軸111の周りにジャイロモーメントMが発生する。水中吊荷旋回装置100は、フライホイル132とジンバル122とにより発生されたジャイロモーメントMを受けて鉛直軸の周りに回転し、吊荷としてのコンクリート製ブロック5(図1参照)を鉛直軸の周りに旋回させる。
【0029】
そして、図8に示すように、水中吊荷旋回装置100では、ジンバル122を回転させてフライホイル132の回転軸131を鉛直に、モーメント軸111を水平にすることにより、コンクリート製ブロック5に作用する鉛直軸の周りのトルクが消失する。これにより、旋回していたコンクリート製ブロック5が停止する。
【0030】
ここで、コンクリート製ブロック5を旋回させるトルクTは、下記(1)式で示すように、フライホイル132の慣性モーメントIf、フライホイル132の角速度ωf、ジンバル122の角速度ωgに比例する。なお、θは、フライホイル132の傾斜角度である。
T=If×ωf×ωg×cosθ ・・・(1)
【0031】
以下、水中作業支援システム10を用いた水中でのコンクリート製ブロック5の設置作業について説明する。図1に示すように、水中作業員1は、自身が所持する通信機器20の機械操作リモコン24(図2及び図3参照)を操作して水中可視光通信により水中吊荷旋回装置100を遠隔操作する。ここで、水中作業員1により機械操作リモコン24が操作されると、通信機器20の送信機21から、水中吊荷旋回装置100に設置された通信機器40の受信機42へ可視光による光波信号が送信され、該光波信号が光波−制御信号変換装置43で制御信号に変換される(図3参照)。そして、該制御信号を受信した機械制御回路44によって、水中吊荷旋回装置100が旋回されたり旋回が停止されたりする。
【0032】
また、図1に示すように、水中吊荷旋回装置100が遠隔操作されている際には、水中吊荷旋回装置100の旋回角度や旋回方向などの作動状態情報が、水中可視光通信により水中作業員1に音声で伝えられる。ここで、水中吊荷旋回装置100が遠隔操作されている際には、水中吊荷旋回装置100の作動状態情報を示す信号が、機械制御回路44から光波−制御信号変換装置43に送信され、該信号が、光波−制御信号変換装置43で光波信号に変換されて、可視光による該光波信号が、送信機41から通信機器20の受信機22へ送信される(図3及び図5参照)。そして、該光波信号が、光波−音声信号変換装置23で音声信号に変換されて骨伝導スピーカー27に送信され、骨伝導スピーカー27が、受信した音声信号を振動に変換し、骨伝導により水中作業員1の聴覚器官に伝える。
【0033】
また、図1に示すように、起重機船2の船員と水中作業員1との間で水中可視光通信が行われる。ここで、起重機船2の船員が発した声は、起重機船2に設置された通信機器30のマイク34で拾われ、マイク34から光波−音声信号変換装置33に音声信号が送信され、該音声信号が、光波−音声信号変換装置33により光波信号に変換される(図4参照)。そして、可視光による該光波信号が、送信機31から通信機器20の受信機22へ送信され、該光波信号が、光波−音声信号変換装置23で音声信号に変換されて骨伝導スピーカー27に送信され、骨伝導スピーカー27が、受信した音声信号を振動に変換し、骨伝導により水中作業員1に伝える。
【0034】
また、水中作業員1が発した声は、水中作業員1が所持した通信機器20の防水マイク26により拾われ、防水マイク26から光波−音声信号変換装置23に音声信号が送信され、該音声信号が、光波−音声信号変換装置23により光波信号に変換される。そして、可視光による該光波信号が、送信機21から通信機器30の受信機32へ送信され、該光波信号が、光波−音声信号変換装置33で音声信号に変換されてスピーカー35に送信され、スピーカー35が、受信した音声信号を振動に変換し、船員に伝える。
【0035】
また、起重機船2に設置された通信機器30と水中作業員1が所持した通信機器20との間では、通信機器30がGPS受信機50から送信された水中吊荷旋回装置100の位置情報や時刻情報についての水中可視光通信が行われる。ここで、通信機器30の送信機31は、所定時間間隔おきに、GPS受信機50から受信した情報を可視光による光波信号として通信機器20の受信機22へ送信する。受信機22に送信された光波信号は、光波−音声信号変換装置23で音声信号に変換されて骨伝導スピーカー27に送信され、骨伝導スピーカー27が、受信した音声信号を振動に変換し、骨伝導により水中作業員1に伝える。
【0036】
また、図1に示すように、水中作業員1と水中作業員1との間で音声情報の水中可視光通信が行われる。ここで、水中作業員1が発した声は、通信機器20の防水マイク26で拾われ、防水マイク26から光波−音声信号変換装置23に音声信号が送信され、該音声信号が、光波−音声信号変換装置23により光波信号に変換される(図3参照)。そして、可視光による該光波信号が、発声した水中作業員1の通信機器20の送信機21から他の水中作業員1の通信機器20の受信機22へ送信され、該光波信号が、光波−音声信号変換装置23で音声信号に変換されて骨伝導スピーカー27に送信され、骨伝導スピーカー27が、受信した音声信号を振動に変換し、骨伝導により他の水中作業員1に伝える。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係る水中作業支援システム10では、護岸工事におけるコンクリート製ブロック5の設置作業を、水中作業員1が可視光通信により水中吊荷旋回装置100を遠隔操作することによって行う。これによって、水中作業員1による水中でのコンクリート製ブロック5の誘導作業を容易化することができ、作業時間を短縮でき、施工効率を向上させることができる。
【0038】
また、本実施形態に係る水中作業支援システム10では、防水マイク26により作業員1が発した声が拾われ、防水マイク26が拾得した音声情報が、可視光通信により他の作業員1が所持する通信機器20に送信され、他の水中作業員1の通信機器20において骨伝導スピーカー27により他の水中作業員1に伝えられる。これにより、水中作業員1間での連絡が可能となり、水中作業員1による作業の効率をより一層向上させることができる。
【0039】
また、本実施形態に係る水中作業支援システム10では、水中吊荷旋回装置100の動作状態が可視光通信により水中作業員1が所持する通信機器20に送信され、骨伝導スピーカー27により水中作業員1に伝えられる。これにより、水中作業員1は水中吊荷旋回装置100を、その動作状態を確認しながら操作することができるため、水中作業員1による水中吊荷旋回装置100の操作性を向上させることができる。
【0040】
なお、上述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0041】
例えば、上述の各実施形態では、水中で建設作業を行う機械として、水中吊荷旋回装置100を例に挙げて本発明を説明したが、水中バックホー等の他の水中で建設作業を行う機械を用いる場合にも本発明を適用できる。また、骨伝導スピーカー27により水中作業員1に情報を伝えるようにしたが、表示装置に情報を表示させることにより水中作業員1に情報を伝えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 水中作業員、2 起重機船、3 クレーン、4 ワイヤー、5 コンクリート製ブロック(吊荷)、10 水中作業支援システム、20 通信機器(水中作業員用機器、機器)、21 送信機(水中作業員側の可視光送信部)、22 受信機(水中作業員側の可視光受信部)、23 光波−音声信号変換装置、24 機械操作リモコン(操作部)、25 バッテリー、26 防水マイク、27 骨伝導スピーカー、28 電力ケーブル、201 端末、202 フルフェイス型水中マスク、30 通信機器、31 送信機、32 受信機、33 光波−音声信号変換装置、34 マイク34 スピーカー、301、302 端末、40 通信機器、41 送信機(機械側の可視光送信部)、42 受信機(機械側の可視光受信部)、43 光波−制御信号変換装置、44 機械制御回路(機械制御部)、50 GPS受信機、100 水中吊荷旋回装置(水中で建設作業を行う機械)、111 モーメント軸、112 フレーム、120 ジンバルユニット、121 回転軸、122 ジンバル、124 ジンバル用モータ、130 フライホイルユニット、131 回転軸、132 フライホイル、134 フライホイル用モータ
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図1