(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態における撮像装置1000について、図に基づいて説明する。
【0013】
図1は、撮像装置1000の構成を模式的に示す上面図である。
図2は、撮像装置1000の構成を模式的に示す側面図である。
【0014】
図1および
図2に示されるように、撮像装置1000は、赤外線検知器100と、レンズ部200と、シャッタ300と、シャッタ駆動部400と、画像処理部500とを含んで構成されている。なお、シャッタ駆動部400と画像処理部500の間は、配線600により接続されている。
【0015】
赤外線検知器100は、被写体からの赤外線入射光を受光する複数の赤外線検知素子(不図示)を有している。赤外線検知器100は、撮像した被写体の赤外線入射光を光電変換により電気信号に変換する。複数の赤外線検知素子は、例えば、マトリクス状に配列されており、パッケージ(不図示)により、保護されている。
【0016】
図1および
図2に示されるように、レンズ部200は、赤外線検知器100の前面側に設けられている。レンズ部200は、被写体からの入射光を赤外線検知器100の受光面に収束する。
図2に示されるように、レンズ部200は、例えば、第1のレンズ210と、第2のレンズ220と、レンズ収容部230とを含んで構成される。なお、ここでは、あくまでレンズ部200の一例を例示しており、レンズが1枚または3枚以上であってもよい。
図1では、第1のレンズ210および第2のレンズ220は凸レンズの例を示す。ただし、第1のレンズ210および第2のレンズ220のいずれか一方または双方が、凹レンズであってもよい。第1のレンズ210および第2のレンズ220は、それぞれの光軸が互いに一致するように、設けられている。
【0017】
図1および
図2に示されるように、シャッタ300は、板状に形成されている。
シャッタ300は、後述のシャッタ駆動部400の駆動により、レンズ200の前面に対向する位置に移動できるように設けられている。
【0018】
シャッタ300は、基材310と、第1の輻射面320と、第2の輻射面330と、シャフト340とを含んで構成される。なお、このシャッタ300は、固定パターンノイズを補正するためにも用いられる。
【0019】
基材310は、例えばアルミニウムなどの金属板である。基材310の表面には、第1の輻射面320と、第2の輻射面330が形成される。
【0020】
第1の輻射面320は、シャッタ300のうち、レンズ部200側の面上であって、レンズ部200に対応する領域内に設けられている。より具体的には、第1の輻射面320は、レンズ部200の第2のレンズ220の口径以上の領域に設けられている。第1の輻射面320は、基材310に表面処理を施すことにより、形成される。また、第1の輻射面320は、第1の輻射率が設定されている。第1の輻射面320は、
図1に示されるように、例えば黒体により形成される。これにより、第1の輻射面320の輻射率を大きくすることができる。
【0021】
第2の輻射面330は、第1の輻射面320と同様に、シャッタ300のうち、レンズ部200側の面上であって、レンズ部200に対応する領域内に設けられている。より具体的には、第2の輻射面330は、レンズ部200の第2のレンズ220の口径以上の領域に設けられている。第2の輻射面330は、基材310に表面処理を施すことにより、形成される。また、第2の輻射面330は、第1の輻射率と異なる第2の輻射率が設定されている。第2の輻射面330は、
図1に示されるように、例えば白色にする。これにより、第2の輻射面330の輻射率を第1の輻射率と比較して小さくすることができる。
【0022】
図1に示されるように、シャフト340は、基材310とシャッタ駆動部400とを連結する。シャフト340の材料には、例えばアルミニウムなどの金属が用いられる。
【0023】
シャッタ駆動部400は、シャッタ300に接続される。すなわち、シャッタ300とシャッタ駆動部400とは、シャフト340を介して、連結されている。シャッタ駆動部400は、例えば電動モータ(不図示)を含んで構成される。シャッタ駆動部400は、
図1に示されるように、中心点Mを中心に矢印Rの方向にシャッタ300を移動させる。
【0024】
図1に示されるように、画像処理部500は、シャッタ駆動制御部510と、演算処理部520と、判定部530と、記録部540とを備えている。画像処理部500は、赤外線検知器100に接続されている。画像処理部500は、シャッタ駆動制御部510、演算処理部520、判定部530および記録部540を制御する。また、画像処理部500は、赤外線検知器100により撮像された撮像データを記録部540に記録するなどの処理も行う。
【0025】
シャッタ駆動制御部510は、シャッタ駆動部400を制御する。具体的には、シャッタ駆動制御部510は、シャッタ駆動部510に対して、シャッタ300を矢印Rの方向に移動させる制御をする。
【0026】
演算処理部520は、第1の輻射面320を赤外線検知器100により撮像した第1の撮像データの値と、第2の輻射面330を赤外線検知器100により撮像した第2の撮像データの値の差分を感度データとして、画素毎に算出する。
【0027】
判定部530は、演算処理部520により算出された差分に対して、赤外線検知器100の感度の判定を行う。具体的には、判定部530は、演算処理部520により画素毎に算出された差分と、予め設定された閾値とを比較する。
【0028】
記録部540には、各種データが記録される。例えば、判定部530が赤外線検知器100の感度劣化の判定をする際に使用する閾値や、前記の第1、第2の撮像データや、演算処理部520で算出された感度データや、後述する固定パターンノイズの補正データなどが、記録部540に記録される。
【0029】
次に、本発明の第1の実施の形態における撮像装置1000の動作について、図に基づいて説明する。
【0030】
図3は、撮像装置1000の使用例を示す図であって、第1の輻射面320をレンズ部200に対向する位置に配置した状態を透過的に示す図である。
図4は、撮像装置1000の使用例を示す図であって、第2の輻射面330をレンズ部200に対向する位置に配置した状態を透過的に示す図である。
【0031】
以下、通常の撮像時と赤外線検知器100の感度の自己診断時とに分けて、撮像装置1000の使用例を、説明する。
【0032】
まず、通常の撮像時について説明する。このとき、
図1に示されるように、撮像装置1000では、シャッタ駆動部400の動力により、シャッタ300がレンズ部200に対向しない位置(本発明の第3の位置に相当する。)に、シャッタ300を配置する。このとき、レンズ部200の前面には、障害物はない。したがって、赤外線検知器100は、レンズ部200に入射する被写体(例えば、人物や物などの被写体)の赤外線入射光を、撮像することができる。また、撮像装置の起動時や動作中に時々、シャッタ駆動部400の動力により、第1の輻射面320がレンズ部200に対向する位置(本発明の第1の位置に相当する。)に、シャッタ300を移動させた後、第1の輻射面320を撮像して、撮像データを取得する。この撮像データを用いて赤外線検知器100の固定パターンノイズの補正データを算出し、記録部540に記録する。
【0033】
次に、赤外線検知器100の感度の自己診断時について、説明する。赤外線検知器100の感度データは、前述の通り、演算処理部520により、第1の輻射面320を赤外線検知器100により撮像した第1の撮像データと、第2の輻射面330を赤外線検知器100により撮像した第2の撮像データと値の差分を、画素毎に算出して生成される。
【0034】
したがって、
図3に示されるように、撮像装置1000では、まず、シャッタ駆動部400の動力により、第1の輻射面320がレンズ部200に対向する位置(本発明の第1の位置に相当する。)に、シャッタ300を移動させる。すなわち、シャッタ駆動部400の動力でシャッタ300を移動させることにより、第1の輻射面320とレンズ部200の第2のレンズ220を対向させる。また、赤外線検知器100は、第1の輻射面320を撮像して、第1の撮像データを取得する。画像処理部500は、第1の撮像データを記録部540に記録する。また、画像処理部500は、赤外線による撮像データの固定パターンノイズの補正データを作成する際にも第1の撮像データを記録部540に記録する。
【0035】
つぎに、
図4に示されるように、撮像装置1000では、シャッタ駆動部400の動力により、第2の輻射面330がレンズ部200に対向する位置(本発明の第2の位置に相当する。)に、シャッタ300を配置する。すなわち、シャッタ駆動部400の動力でシャッタ300を移動させることにより、第2の輻射面330とレンズ部200の第2のレンズ220を対向させる。また、赤外線検知器100は、第2の輻射面330を撮像して、第2の撮像データを取得する。画像処理部500は、第2の撮像データを記録部540に記録する。
【0036】
そして、演算処理部520は、記録部540に記録されている第1の撮像データと第2の撮像データの値の差分を、画素毎に算出する。ここでは、第1の撮像データと第2の撮像データの差分を感度データと呼ぶ。
【0037】
次に、判定部530が、演算処理部520により算出された差分に対して、赤外線検知器100の感度の判定を行う。具体的には、判定部530は、演算処理部520により画素毎に算出された差分と、予め設定された閾値とを比較する。そして、例えば、演算処理部520により画素毎に算出された差分(感度データ)が、予め設定された閾値より大きい場合、判定部530は、赤外線検知器100の感度が劣化していないと判定する。一方、例えば、例えば、演算処理部520により画素毎に算出された差分(感度データ)が、予め設定された閾値より小さい場合、判定部530は、赤外線検知器100の感度が劣化したと判定する。
【0038】
また、ここでは、判定部530は、演算処理部520により算出された差分を、予め設定された閾値と画素毎に比較すると説明したが、前記の全画素の差分の平均値を、閾値と比較して、赤外線検知器100の感度の判定を行ってもよい。
【0039】
以上、撮像装置1000の動作を説明した。
【0040】
以上の通り、本発明の第1の実施の形態における撮像装置1000は、赤外線検知器100と、レンズ部200と、シャッタ300と、第1の輻射面320と、第2の輻射面330と、演算処理部520と、判定部530とを含んで構成される。赤外線検知器100は、被写体からの赤外線入射光を撮像する複数の赤外線検知素子を有する。レンズ部200は、赤外線検知器100の前面側に設けられ、被写体からの入射光を赤外線検知器100に収束する。シャッタ300は、レンズ部200の前面側(より詳細にはレンズ部200の前面に対向する位置)に移動可能に設けられている。第1の輻射面320は、シャッタ300のうち、レンズ部200側の面上であって、レンズ部200の口径以上の領域に形成され、第1の輻射率に設定されている。第2の輻射面330は、シャッタ300のうち、レンズ部200側の面上であって、レンズ部200の口径以上の領域に形成され、第1の輻射率と異なる第2の輻射率に設定されている。演算処理部529は、第1の輻射面320を赤外線検知器100により撮像した第1の撮像データの値と、第2の輻射面330を赤外線検知器100により撮像した第2の撮像データの値の差分を、画素毎に算出する。判定部530は、演算処理部520により算出された差分に対して、赤外線検知器100の感度の判定を行う。
【0041】
このように、撮像装置1000では、第1の輻射率に設定された第1の輻射面320と、第1の輻射率と異なる第2の輻射率に設定された第2の輻射面330が、シャッタ300上に形成されている。また、演算処理部520が、第1の輻射面320を撮像した第1の撮像データの値と、第2の輻射面330を撮像した第2の撮像データの値の差分を、画素毎に算出する。これにより、簡単な構成で、互いに異なる2種類の輻射面を撮像した撮像データを取得し、これら互いに異なる2種類の撮像データ間の値の差分を赤外線検知器100の感度の判定用に取得できる。そして、判定部530は、演算処理部520により算出された差分に基づいて、赤外線検知器100の感度の判定を行う。これにより、簡単かつ小型な構成で、赤外線検知器の感度劣化を自己診断することができる。
【0042】
ここで、前述の通り、特許文献1および特許文献2に記載の技術では、互いに異なる複数の温度に設定された諸部品を撮像することにより、互いに入射パワーの異なる複数の撮像データを、赤外線検知器の感度の判定用に取得していた。このため、ペルチェ素子やヒータなどの熱源部品や、これら熱源部品に赤外線検知器の赤外線検知素子の受光面を合わせるための複雑な駆動機構や、駆動機構専用の制御回路などを、撮像装置内に搭載する必要であった。
【0043】
これに対して、本発明の撮像装置1000では、シャッタ300に互いに異なる輻射率に設定された輻射面320、330を設けるだけで、赤外線検知器100の感度の判定に必要な入射パワーの異なる2種類の撮像データをより簡単な構成で取得でき、これらを用いて赤外線検知器100の感度の判定用の値の差分を取得できる。したがって、本発明の撮像装置1000によれば、赤外線検知器の感度を撮像装置単体で検出するために、特許文献1および特許文献2のような複雑な機構や回路などの構成を必要とすることなく、簡単かつ小型な構成で感度を検出でき、赤外線検知器100の感度劣化の自己診断を実現することができる。さらに、本発明のシャッタ300およびシャッタ駆動部400は、一般的なの撮像装置に設けられている、赤外線検知器100により撮像された撮像データの固定パターンノイズを補正するためのものを転用することができる。このことからも、本発明の撮像装置1000では、特許文献1および特許文献2に記載の撮像装置と比較して、部品点数の増加を低減でき、構成が簡単になった結果、小型でかつ低価格を実現でき、さらに低い消費電力をも実現できる。
【0044】
また、本発明の第1の実施の形態における撮像装置1000において、判定部530は、差分の画素毎または全画素の平均値と、予め設定された閾値とを比較し、この比較結果に基づいて、赤外線検知器100の感度の判定を行うことにより、簡単に赤外線検知器の感度の劣化を検出できる。また、閾値は撮像装置外部からデータ入力することで、赤外線検知器の感度の判定基準を容易に調整できる。
【0045】
また、本発明の第1の実施の形態における撮像装置1000は、シャッタ300を移動させるシャッタ駆動部400を有する。このシャッタ駆動部400は、第1の輻射面320がレンズ部200に対向する第1の位置と、第2の輻射面330がレンズ部200に対向する第2の位置と、シャッタ300がレンズ部200に対向しない第3の位置のいずれかの位置に、シャッタ300を移動させる。
【0046】
通常の撮像をする場合は、シャッタ300を第3の位置に移動させると、赤外線検知器100はレンズ部200に入射する被写体(人物や物などの被写体)からの入射光を撮像できる。シャッタ300を第1の位置に移動させると、赤外線検知器100の感度の判定に用いる第1の撮像データを取得できる。すなわち、この場合、赤外線検知器100は第1の輻射面320を撮像して第1の撮像データを取得することができる。同様に、シャッタ300を第2の位置に移動させると、赤外線検知器100の感度の判定に用いる第2の撮像データを取得できる。すなわち、この場合、赤外線検知器100は第2の輻射面330を撮像して第2の撮像データを取得できる。以上のように、シャッタ駆動部400により、第1、第2または第3の位置にシャッタ300を簡単に移動することによって、赤外線検知器100は、第1、第2または第3の位置にシャッタ300の移動に応じて、通常の撮像時または赤外線検知器100の感度の自己診断時に合わせた撮像データを切り替えながら取得することができる。
【0047】
また、前記のように通常の撮像時において、赤外線検知器100の固定パターンノイズの補正データを算出する場合にも、シャッタ300を第1の位置に移動後、第1の輻射面320を撮像して撮像データを取得する。通常、この時のシャッタの輻射面は黒体を使用するため、本発明の第1の実施の形態における撮像装置1000において、第1の輻射面320は、好ましくは、黒体である。
【0048】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態における撮像装置1000Aの構成について、図に基づいて説明する。
【0049】
図5は、撮像装置1000Aの構成を模式的に示す上面図である。
図6は、撮像装置1000Aの構成を模式的に示す側面図である。なお、
図5および
図6では、
図1〜
図4で示した各構成要素と同等の構成要素には、
図1〜
図4に示した符号と同等の符号を付している。
【0050】
図5および
図6に示されるように、撮像装置1000は、赤外線検知器100と、レンズ部200と、シャッタ300と、シャッタ駆動部400と、画像処理部500Aと、温度センサ700とを含んで構成されている。また、画像処理部500Aは、シャッタ駆動部510と、演算処理部520と、判定部530Aと、記録部540とを含んで構成される。なお、シャッタ駆動部400と画像処理部500の間は、配線600により接続されている。
【0051】
ここで、
図1および
図2に示された撮像装置1000と、
図5および
図6に示された撮像装置1000Aとを対比する。
図5および
図6に示されるように、撮像装置1000Aでは、温度センサ700がシャッタ300上に設けられている。これに対して、
図1および
図2に示されるように、撮像装置1000では、温度センサを有さない。この点で、撮像装置1000Aおよび撮像装置1000は互いに相違する。
【0052】
図5および
図6に示されるように、温度センサ700は、シャッタ300上に取り付けられ、レンズ部200側のシャッタ300の表面温度を測定する。
【0053】
一般的に赤外線検知器の感度は被写体の絶対温度により、大きく変わる。本発明ではシャッタ300の絶対温度により、赤外線検知器100の差分データは大きく変わるため、判定部530Aは、温度センサ700により測定された温度とに基づいて、赤外線検知器100の感度の閾値を設定し、演算処理部520により算出された感度データを判定する。具体的には、判定部530Aは、演算処理部520により画素毎に算出された差分と、温度毎に予め設定された閾値、またはシャッタ温度を変数とした式により同部で計算した閾値とを比較し、この比較結果に基づいて赤外線検知器100の感度の劣化判定を行う。すなわち、判定部530Aは、温度毎に温度センサ部700により測定された温度に基づいて、赤外線検知器100の感度の判定を行う。なお、前記温度毎に予め設定された閾値データは、例えば記録部540に記録されている。
【0054】
図7は、演算処理部520により算出された差分の閾値を温度毎に設定した例を示す図である。
【0055】
図7に示されるように、演算処理部520により算出された差分の閾値が温度毎に設定されている。
図7の例では、差分の閾値を5℃毎にP1〜P6まで変更している。なお、
図7に示す閾値や設定温度は、あくまで例示であって、これに限定されない。また、シャッタ温度を変数とした式により閾値を計算する場合は、その計算式の各係数の値を、記録部540に記録してもよい。
【0056】
次に、本発明の第2の実施の形態における撮像装置1000Aの動作について、図に基づいて説明する。
【0057】
撮像装置1000Aについても、第1の実施の形態における撮像装置1000と同様に、通常の撮像時と赤外線検知器100の感度の自己診断時の2つの使用例がある。
【0058】
通常の撮像時については、撮像装置1000の説明と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0059】
赤外線検知器100の感度の自己診断時について、説明する。まず、演算処理部520は、第1の輻射面320を赤外線検知器100により撮像した第1の撮像データと、第2の輻射面330を赤外線検知器100により撮像した第2の撮像データを取得し、それらの差分を感度データとして画素毎に算出する。具体的な処理内容については、第1の実施の形態の説明と同様であるので、詳細な説明は省略する。温度センサ700により測定される温度データは前記第1もしくは前記第2の撮像データの取得と同時に、または第1の撮像データ取得から第2の撮像データ取得までの期間中に取得する。
【0060】
次に、判定部530Aが、演算処理部520により算出された差分を、温度センサ700により測定された温度に基づいて、赤外線検知器100の感度の判定を行う。具体的には、判定部530Aは、演算処理部520により画素毎に算出された差分と、温度毎に予め設定された閾値とを比較する。
図7を参照して、例えば、温度センサ700により測定された温度が13℃であったとする。この場合、判定部530Aは、10℃〜15℃に設定された閾値P3と、演算処理部520により画素毎に算出された差分とを比較する。例えば、演算処理部520により画素毎に算出された差分が、閾値P3より大きい場合、判定部530Aは、赤外線検知器100の感度が劣化していないと判定する。逆に、演算処理部520により画素毎に算出された差分が、閾値P3より小さい場合、判定部530Aは、赤外線検知器100の感度が劣化したと判定する。
【0061】
また、ここでは、判定部530Aは、演算処理部520により算出された差分と、温度毎に予め設定された閾値とを画素毎に比較すると説明したが、前記の全画素の差分の平均値と、温度毎に予め設定された閾値とを比較して、赤外線検知器100の感度の劣化判定を行ってもよい。
【0062】
以上、撮像装置1000Aの動作を説明した。
【0063】
以上の通り、本発明の第2の実施の形態における撮像装置1000Aは、温度センサ700を備える。この温度センサ700は、シャッタ300上に取り付けられ、シャッタ300のレンズ部200側の温度を測定する。また、判定部530Aは、演算処理部520により算出された差分と、温度センサ部700により測定された温度とに基づいて、赤外線検知器100の感度の劣化判定を行う。
【0064】
このように、撮像装置1000Aでは、温度センサ700が、シャッタ300上に取り付けられ、レンズ部200側のシャッタ300の表面温度を測定する。撮像装置1000Aでは、判定部530Aは、演算処理部520により算出された差分値と、温度センサ部700により測定された温度とに基づいて、赤外線検知器100の感度の判定を行う。したがって、撮像装置1000Aによれば、第1の実施の形態で示した効果に加えて、シャッタ300の温度が変化することによって、赤外線検知器100の感度データが変化するのに合わせて、適切に赤外線検知器100の感度の判定を行うことができる。
【0065】
本発明の第2の実施の形態における撮像装置1000Aにおいて、判定部530Aは、画素毎の差分または全画素の差分の平均値と、温度毎に温度センサ700により測定されたシャッタ温度に基づいて温度毎に予め設定された閾値とを比較し、この比較結果に基づいて、赤外線検知器100の感度の劣化判定を行う。これにより、第1の実施の形態よりも適切に赤外線検知器の感度の自己診断を実現できる。また、温度毎の閾値は撮像装置外部からデータ入力することで、赤外線検知器の感度の判定基準を容易に調整できる。
【0066】
なお、第1および第2の実施の形態では、シャッタ駆動部400は、第1の位置(第1の輻射面320がレンズ部200に対向する位置)、第2の位置(第2の輻射面330がレンズ部200に対向する位置)および第3の位置(シャッタ300がレンズ部200に対向しない位置)のいずれかの位置に、シャッタ300を回転させて移動させていた。しかしながら、シャッタ300の移動は、回転に限られない。すなわち、例えば、シャッタ駆動部400は、第1の位置、第2の位置および第3の位置のいずれかの位置に、シャッタ300をスライドさせて移動させてもよい。
【0067】
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。実施の形態は例示であり、本発明の主旨から逸脱しない限り、上述各実施の形態に対して、さまざまな変更、増減、組合せを加えてもよい。これらの変更、増減、組合せが加えられた変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。