(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の冷媒配管と、電磁コイルと前記冷媒配管に接続される弁本体とを備える複数の電磁弁とから構成された冷媒配管ユニットと、前記冷媒配管ユニットを収容する箱状に形成された本体ケースと、前記電磁弁の開閉を制御する制御基板を収容する電装品箱とからなり、1または複数の室外機と複数の室内機との間に設けられる冷媒回路ユニットであって、
前記冷媒配管のうち、前記室内機から延びる配管に接続される冷媒配管は前記本体ケースの背面から導出され、
前記冷媒配管のうち、前記室外機から延びる配管に接続される冷媒配管は前記本体ケースの左側面および右側面から導出され、
前記弁本体に有するシリンダ部は前記本体ケースの前面から導出され、
前記本体ケースの前面部は前記電装品箱を支持する電装品箱支持部と前記電装品箱を配置する電装品箱配置部とを備え、
前記本体ケースの前面側には前記電装品箱配置部から前記本体ケースの背面側に段差を持たせて形成された前記電磁コイルを配置する電磁コイル配置部を備え、
前記電磁コイルは前記電磁コイル配置部から導出された前記シリンダ部に取付けられ、
前記電装品箱支持部には左右両端を開放するように形成された引掛け部を備え、
前記電装品箱配置部には複数の凹部を備え、
前記本体ケースの前面部に対向する前記電装品箱の面には前記本体ケースの前面部へ取付けられる時前記引掛け部に対向する位置に前記引掛け部に引掛けられる引掛け爪を備え、
前記凹部に対応する位置に前記本体ケースと前記電装品箱との間に確保する所定の間隔よりも延長した高さを有し前記凹部に嵌合される凸部を備え、
前記引掛け爪を前記引掛け部に引掛けるとともに、前記凸部のうち前記所定の間隔よりも延長した部分の全てを前記凹部に嵌め合わせた際に前記凹部に前記凸部を固定可能になっていることを特徴とする冷媒回路ユニット。
前記本体ケースの前面部には、前記電磁コイル配置部の下方近傍に前記電装品箱に備えられた前記引掛け爪を引掛けるためのメンテナンス用引掛け部を備えていることを特徴とする請求項1記載の冷媒回路ユニット。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。冷媒回路ユニットとして、1または複数の室外機と複数の室内機とが接続され、室内機毎に冷房運転と暖房運転とを選択できる、所謂冷暖房フリーの運転が行える多室形空気調和装置に用いられる切替ユニットを例に挙げて説明する。この切替ユニットは、室外機と室内機との間に設けられ、室外機に接続される2つの冷媒配管の一方を選択して室内機に接続することで、室内機の運転を冷房運転または暖房運転に切替える複数の冷媒配管組から構成されたものである。
【0014】
本実施形態における多室形空気調和装置の切替ユニットは、1または複数の室外機と複数の室内機とが、高圧ガス管と低圧ガス管と液管とからなる3つの冷媒配管により接続された多室形空気調和装置に用いられ、室外機と複数の室内機との間の高圧ガス管と低圧ガス管と液管に接続される。
図1乃至
図3に示すように、切替ユニット1は、前面11と背面12と上面13と下面14と左側面15と右側面16とからなる箱状に形成された本体ケース10を有している。切替ユニット1は、この本体ケース10に設けられた吊り金具20を建物に設けられた吊りボルトに固定することで天井裏や床下などのスラブ(据付対象物)に据付けられる。
【0015】
本体ケース10の室外機側の左側面15には、室外機から延びる高圧ガス管と低圧ガス管と液管とにそれぞれ接続される高圧ガス接続管30と低圧ガス接続管31と液接続管32が導出されている。本体ケース10の右側面16からも、高圧ガス接続管30と低圧ガス接続管31と液接続管32が導出され、別の切替ユニット1の対応する冷媒配管に接続することで、室内機の台数に応じて切替ユニット1を増設できるようになっている。切替ユニット1を増設しない場合は、高圧ガス接続管30と低圧ガス接続管31と液接続管32を図示しない蓋で塞いで使用される。なお、切替ユニット1の据付場所に応じて本体ケース10の右側面16を室外機側としてもよい。本体ケース10の室内機側の背面12には、複数の室内機から延びる複数のガス管と液管とにそれぞれ接続される複数のガス接続管33、33、・・・と液接続管34、34、・・・が導出されている。本体ケース10の高圧ガス接続管30、低圧ガス接続管31、液接続管32、ガス接続管33および液接続管34のそれぞれの導出部分には、本体ケース10と高圧ガス接続管30、低圧ガス接続管31、液接続管32、ガス接続管33および液接続管34との間の隙間を塞ぎ、本体ケース10と外部を遮断する筒形状のシール部材S30、S31、S32、S33、S34がそれぞれ配置されている。
【0016】
高圧ガス接続管30と低圧ガス接続管31と液接続管32は、本体ケース10の背面12側から高圧ガス接続管30、液接続管32、低圧ガス接続管31の順に本体ケース10の前後方向に並んでいる。複数のガス接続管33、33、・・・は、本体ケース10の上側に配置され、複数の液接続管34、34、・・・は、本体ケース10の下側に配置され、本体ケース10の左右方向にそれぞれ並んでいる。上下一対のガス接続管33と液接続管34が室内機毎に接続される。高圧ガス接続管30と低圧ガス接続管31と液接続管32のそれぞれの管軸は、本体ケース10の左右方向に延び、複数のガス接続管33、33、・・・と液接続管34、34、・・・のそれぞれの管軸は、本体ケース10の前後方向に延びている。高圧ガス接続管30と低圧ガス接続管31と液接続管32とガス接続管33と液接続管34のそれぞれは、室内機と室外機との間に接続される冷媒配管の一部を構成している。
【0017】
本体ケース10の上面13には、発泡断熱材の原液を注入する複数の注入口131、131、・・・が形成されている。本体ケース10の内部には、後述する冷媒配管ユニットを構成している複数の電磁コイル401、411、421、431、・・・、高圧ガス接続管30、低圧ガス接続管31、液接続管32、ガス接続管33、液接続管34などに結露が生じないように、複数の注入口131、131、・・・から注入して本体ケース10の内部で発泡させた図示しない発泡断熱材が充填されている。
図3に示すように、本体ケース10の前面11には、本体ケース10から取外し可能な板金製の電装品箱50が配置されており、電装品箱50を取外すことにより、複数の電磁コイル401、411、421、431、・・・が露出され、これらの電磁コイル401、411、421、431、・・・の点検や交換などのメンテナンスが可能になっている。なお、本体ケース10が天井裏や床下などに設置されるので、メンテナンスを行わないときは複数の電磁コイル401、411、421、431、・・・を電装品箱50により覆うことで、複数の電磁コイル401、411、421、431、・・・を外気や埃などから保護するようにしている。
【0018】
次に、本体ケース10の内部に部分的に収容される冷媒配管ユニットの構成について、
図4および
図5を用いて具体的に説明する。冷媒配管ユニットU1は、
図4および
図5に示すように、ガス冷媒配管組PGと液冷媒配管組PLとから構成されている。ガス冷媒配管組PGは、高圧ガス接続管30、低圧ガス接続管31、複数のガス冷媒配管群PG1〜PG4からなっている。なお、複数のガス冷媒配管群PG1〜PG4は室内機毎に設けられることから、それぞれが同一の構成になっているため、以下ではガス冷媒配管群PG1のみを説明する。
【0019】
ガス冷媒配管群PG1は、ガス接続管33、上側開閉弁群V1および下側開閉弁群V2などから構成されている。本体ケース10の内部において、ガス接続管33は、上側開閉弁群V1および下側開閉弁群V2を介して高圧ガス接続管30および低圧ガス接続管31と接続されている。
【0020】
上側開閉弁群V1は、本体ケース10の上側に配置される複数の開閉弁40、41から構成され、開閉弁40が室内機を暖房運転に切替え、開閉弁41が室内機を冷房運転に切替える用途で動作する。なお、開閉弁40、41は、接続される室内機の種類や用途などによって電子膨張弁などの電磁弁が接続されていてもよい。開閉弁40は、ガス接続管33と高圧ガス接続管30の間に接続されており、開閉弁41は、ガス接続管33と低圧ガス接続管31の間に接続されている。それぞれの開閉弁40、41には、弁本体400、410と、電磁コイル401、411とを備えている。
【0021】
それぞれの弁本体400、410は、
図3に示す本体ケース10の前面11の一部を形成する後述のシリンダ部導出板P2に沿うように本体ケース10の内部に配置され、弁の開閉を駆動するシリンダ部402、412を備えている。それぞれのシリンダ部402、412は、本体ケース10の前後方向に延び、かつ、本体ケース10の背面12から導出されるガス接続管33の方向とは反対の方向である本体ケース10の前面11、すなわち、後述のシリンダ部導出板P2から導出される。それぞれの電磁コイル401、411は、シリンダ部402、412に挿入するための図示しない孔を備えており、シリンダ部402、412に挿入されることで弁本体400、410に取付けられている。
【0022】
下側開閉弁群V2は、上側開閉弁群V1よりも下側であって低圧ガス接続管31よりも上側に配置される複数の開閉弁42、43から構成され、開閉弁42、43は、室内機の運転の際に冷媒の圧力を均圧にする用途で動作する。開閉弁42と開閉弁43とは直列に接続されており、開閉弁42が高圧ガス接続管30に接続され、開閉弁43が低圧ガス接続管31に接続されている。それぞれの開閉弁42、43には、弁本体420、430と、電磁コイル421、431とを備えている。
【0023】
それぞれの弁本体420、430は、
図3に示す本体ケース10の前面11の一部を形成する後述のシリンダ部導出板P2に沿うように本体ケース10の内部に配置され、弁の開閉を駆動するシリンダ部422、432を備えている。それぞれのシリンダ部422、432は、シリンダ部402、412と同様に、後述のシリンダ部導出板P2から導出される。それぞれの電磁コイル421、431は、シリンダ部422、432に挿入するための図示しない孔を備えており、シリンダ部422、432に挿入されることで弁本体420、430に取付けられている。
【0024】
上側開閉弁群V1を構成する開閉弁40、41および下側開閉弁群V2を構成する開閉弁42、43は、
図3に示すように、後述のシリンダ部導出板P2から導出されるシリンダ部402、412、422、432に取付けられた複数の電磁コイル401、411、421、431のそれぞれの側面が揃うように、それぞれのシリンダ部402、412、422、432が本体ケース10の左右方向に所定の間隔をもって互い違いに配置されている。
【0025】
液冷媒配管組PLは、液接続管32、複数の液接続管34、34、・・・から構成されている。本体ケース10の内部において、複数の液接続管34は、液接続管32にそれぞれ接続されており、室内機毎に接続できるようになっている。
【0026】
以上説明してきた切替ユニット1では、シリンダ部402、412、422、432が、本体ケース10の前後方向に延び、かつ、ガス接続管33の導出方向とは反対の方向に後述のシリンダ部導出板P2から導出されるため、本体ケース10の上下方向に複数の電磁弁が立設される従来の冷媒回路ユニットと比べ、本体ケース10の上下方向の寸法を小さくすることができ、切替ユニット1を小型化することができる。また、シリンダ部402、412、422、432が、本体ケース10の左右方向に所定の間隔もって互い違いに配置されているため、さらに、切替ユニット1を本体ケース10の上下方向に小型化することができる。
【0027】
また、切替ユニット1は天井裏や床下などに設置されるので、冷媒配管ユニットU1が部分的に収容された本体ケース10の内部に発泡断熱材が充填されている。電磁コイル401、411、421、431、・・・も発泡断熱材で充填させる方がよいが、収容される他の部品と比べて壊れる可能性が高いため、電磁コイル401、411、421、431、・・・のみを後述のシリンダ部導出板P2から露出させ、メンテナンスを行えるようにしている。
【0028】
次に、本体ケース10の構成について
図3および
図4を用いて具体的に説明する。本体ケース10は、
図3および
図4に示すように、上ケースC1と下ケースC2と冷媒配管導出板P1とシリンダ部導出板P2とから構成されている。上ケースC1は、板金を折り曲げて形成された前面部110、前面部111、背面部120、上面部130、左側面部150および右側面部160と、スポット溶接やネジ止めなどによって上面部130に対して垂直に取付けられた複数の上仕切板17、17、・・・とを備えている。下ケースC2は、板金を折り曲げて形成された背面部121、下面部140、左側面部151および右側面部161と、スポット溶接やネジ止めなどによって下面部140に対して垂直に取付けられた複数の下仕切板18、18、・・・とを備えている。
【0029】
上ケースC1に備えられた前面部110は、
図3(b)に示す本体ケース10の前面11の一部であって、上面部130から下方に折り曲げられて形成された、電装品箱50を支持する電装品箱支持部1100を備えている。電装品箱支持部1100には、
図3(b)および
図7に示すように、左右両端を開放するように形成された複数の引掛け部1100a、1100aと、複数の引掛け部1100a、1100aから見て中央寄りにそれぞれネジ孔1100b、1100bとを備えている。上ケースC1に備えられた前面部111は、
図3(b)に示す本体ケース10の前面11の一部であって、左側面部150および右側面部160から右方および左方にそれぞれ折り曲げられて形成された、複数の電磁コイル401、411、421、431をメンテナンスする際に用いられる複数のメンテナンス用引掛け部1110、1110を備えている。複数のメンテナンス用引掛け部1110、1110は、メンテナンスの際に、電装品箱50で覆われている複数の電磁コイル401、411、421、431の全てが現れるとともに、電装品箱50が邪魔にならないようにするため、後述の電磁コイル配置部113の下方近傍の位置に形成されている。
【0030】
上ケースC1に備えられた左側面部150には、背面部120の側に高圧ガス接続管30を導出する切欠部150aと、前面部110、111の側に低圧ガス接続管31を導出する切欠部150bと、切欠部150aと切欠部150bとの間に液接続管32を導出する切欠部150cとがそれぞれ形成されている。上ケースC1に備えられた右側面部160にも同様に、高圧ガス接続管30、低圧ガス接続管31および液接続管32を導出する図示しない切欠部がそれぞれ形成されている。上ケースC1に備えられた背面部120には、本体ケース10の左右方向に所定の間隔をもって複数のガス接続管33、33、・・・を導出する図示しない複数の切欠部がそれぞれ形成されている。また、上ケースC1に備えられた左側面部150および右側面部160には、前面部110、111の側の端部に、後述のシリンダ部導出板P2に当接するフランジ部150d、160dがそれぞれ形成されている。
【0031】
下ケースC2に備えられた左側面部151には、背面部121の側に高圧ガス接続管30を導出する切欠部151aと、
図3(b)に示す前面11の側に低圧ガス接続管31を導出する切欠部151bと、切欠部151aと切欠部151bとの間に液接続管32を導出する切欠部151cとがそれぞれ形成されている。下ケースC2に備えられた右側面部161にも同様に、高圧ガス接続管30、低圧ガス接続管31および液接続管32を導出する切欠部161a、161b、161cがそれぞれ形成されている。下ケースC2に備えられた背面部121には、本体ケース10の左右方向に所定の間隔をもって複数の液接続管34、34、・・・を導出する図示しない複数の切欠部がそれぞれ形成されている。また、下ケースC2に備えられた左側面部151および右側面161には、
図3(b)に示す前面11の側の端部に、後述のシリンダ部導出板P2に当接するフランジ部151d、161dがそれぞれ形成されている。
【0032】
上ケースC1に備えられた上仕切板17と、下ケースC2に備えられた下仕切板18は、それぞれ同数、すなわち、3つずつ設けられており、それぞれの上仕切板17、17、・・・と下仕切板18、18、・・・は、本体ケース10が組立てられた際に、互いに重なり合うことで、本体ケース10の内部を本体ケース10の左右方向に複数の空間を形成するように仕切るものである。本体ケース10の内部には、複数の空間毎に形成されている複数の注入口131、131、・・・から発泡断熱材の原液が注入され、複数の空間毎に発泡させた発泡断熱材が充填される。なお、3つの上仕切板17、17、・・・および3つの下仕切板18、18、・・・によって、4つのガス冷媒配管群PG1〜PG4に対応して4つの空間を形成するように仕切っているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、中央の上仕切板17および中央の下仕切板18によって、ガス冷媒配管群PG1およびPG2と、ガス冷媒配管群PG3およびPG4とに対応して2つの空間を形成するように仕切ってもよい。
【0033】
上ケースC1に備えられた3つの上仕切板17、17、・・・には、背面部120の側に高圧ガス接続管30を導出する図示しない切欠部と、前面部110、111の側に低圧ガス接続管31を導出する切欠部17b、17b、・・・と、これらの切欠部の間に液接続管32を導出する図示しない切欠部とがそれぞれ形成されている。
【0034】
下ケースC2に備えられた3つの下仕切板18、18、・・・には、背面部121の側に高圧ガス接続管30を導出する切欠部18a、18a、・・・と、
図3(b)に示す前面11の側に低圧ガス接続管31を導出する切欠部18b、18b、・・・と、切欠部18a、18a、・・・と切欠部18b、18b、・・・との間に液接続管32を導出する切欠部18c、18c、・・・とがそれぞれ形成されている。
【0035】
冷媒配管導出板P1は、本体ケース10の背面12の一部を形成する背面部122を備えている。冷媒配管導出板P1に備えられた背面部122には、上ケースC1に備えられた背面部120に当接する側に本体ケース10の左右方向に所定の間隔をもって複数のガス接続管33、33、・・・を導出する複数の切欠部122a、122a、・・・がそれぞれ形成され、下ケースC2に備えられた背面部121に当接する側に本体ケース10の左右方向に所定の間隔をもって複数の液接続管34、34、・・・を導出する複数の切欠部122b、122b、・・・がそれぞれ形成されている。
【0036】
シリンダ部導出板P2は、
図3および
図4に示すように、本体ケース10の前面11の一部を形成する前面部112を備えている。シリンダ部導出板P2に備えられた前面部112には、電装品箱50を配置する電装品箱配置部1120を備えている。また、シリンダ部導出板P2は、電装品箱配置部1120から折り曲げられて本体ケース10の背面側に段差を持たせて形成された、電磁コイル401、411、421、431を配置する電磁コイル配置部113を備えている。電装品箱配置部1120には、本体ケース10の左側面15に近い左側と本体ケース10の右側面16に近い右側に絞り加工やプレス加工などによって形成された複数の凹部1120a、1120aを備えている。複数の凹部1120a、1120aは、その底面にそれぞれネジ孔1120b、1120bが形成されている。
【0037】
電装品箱配置部1120から電磁コイル配置部113までの距離は、電磁コイル401、411、421、431の高さよりも大きくなっており、電磁コイル401、411、421、431が電装品箱50に接触しないようになっている。また、電装品箱配置部1120の周縁は、上ケースC1に形成されたフランジ部150d、160dと、下ケースC2に形成されたフランジ部151d、161dにそれぞれ当接されるようになっている。また、電装品箱配置部1120の折り曲げ部分には、シリンダ部導出板P2を上ケースC1の前面側に配置するために、上ケースC1に備えられた左側面部150と右側面部60の内面側にそれぞれ当接するフランジ部1120c、1120cが形成されている。
【0038】
電磁コイル配置部113には、複数のシリンダ部402、412、422、432をそれぞれ導出する複数の孔113a、113a、・・・が形成されている。複数の電磁コイル401、411、421、431は、複数の孔113a、113a、・・・から導出された複数のシリンダ部402、412、422、432に取付けられている。また、電磁コイル配置部113の周縁には、シリンダ部導出板P2を上ケースC1の前面側に配置するために、上ケースC1に備えられた上面部130と左側面部150と右側面部160の内面側にそれぞれ当接するフランジ部113b、113b、113bが形成されている。
【0039】
ガス冷媒配管組PGを構成している高圧ガス接続管30、低圧ガス接続管31には、
図5に示すように、上仕切板17および下仕切板18と、高圧ガス接続管30および低圧ガス接続管31との間の隙間を塞ぎ、本体ケース10の内部の空間同士を遮断する筒形状のシール部材S300、S310、・・・がそれぞれ配置されている。シール部材S300の位置は、上仕切板17に形成した図示しない切欠部および下仕切板18に形成した切欠部18aと当接する位置になっている。シール部材S310の位置は、上仕切板17に形成した図示しない切欠部および下仕切板18に形成した切欠部18bと当接する位置になっている。液冷媒配管組PLを構成している液接続管32には、
図4に示すように、上仕切板17および下仕切板18と、液接続管32との間の隙間を塞ぎ、本体ケース10の内部の空間同士を遮断する筒形状のシール部材S320、S320、・・・がそれぞれ配置されている。シール部材S320の位置は、上仕切板17に形成した図示しない切欠部および下仕切板18に形成した切欠部18cと当接する位置になっている。
【0040】
次に、本体ケース10の前面11に配置される電装品箱50の構成について、
図1、
図2および
図3を用いて具体的に説明する。この電装品箱50には、板金製で前方および上方を開放する形状に形成された電装品箱底板51と、板金製でL字形状に形成された電装品箱カバー52と、複数の開閉弁40、41、42、43の開閉を制御する複数の制御基板53、53、・・・とを備えている。電装品箱底板51は、外面510(電装品箱50の面)が本体ケース10の前面11である電装品箱支持部1100および電装品箱配置部1120に取付けられるとともに、内面に複数の制御基板53、53、・・・が搭載されている。複数の制御基板53、53、・・・は、複数の電磁コイル401、411、421、431の4つの群に対応して4つ配置されている。電装品箱カバー52は、複数の制御基板53、53、・・・を覆うように電装品箱底板51に取付けられている。電装品箱カバー52は、電装品箱底板51から取外し可能になっており、複数の制御基板53、53、・・・の点検や交換ができるようになっている。
【0041】
電装品箱50に備えられた電装品箱底板51には、本体ケース10の前面11へ取付けられる時、電装品箱支持部1100に備えられた複数の引掛け部1100a、1100aに対向する位置に、複数の引掛け部1100a、1100aに引掛けられる複数の引掛け爪511、511を備え、電装品箱支持部1100に備えられた複数のネジ孔1100b、1100bに対向する位置に、複数のネジ挿通孔513、513を備えている。複数の引掛け爪511、511は、
図6(c)に示すように、外面510側から延長して折り曲げられ下方に延長したフック形状に形成されている。また、電装品箱底板51には、本体ケース10の前面11へ取付けられる時、電装品箱配置部1120に備えられた複数の凹部1120a、1120aに対応する位置に、複数の凹部1120a、1120aに嵌合される複数の凸部512、512を備えている。複数の凸部512、512は、絞り加工やプレス加工などによって形成されている。複数の凸部512、512は、その底面にそれぞれネジ挿通孔512a、512aが形成されており、外面510側から突出するように設けられている。
【0042】
次に、本体ケース10の前面11に電装品箱50に備えられた電装品箱底板51を取付けた状態について
図6を用いて説明する。電装品箱底板51は、
図6に示すように、外面510側が本体ケース10の上ケースC1に備えられた電装品箱支持部1100とシリンダ部導出板P2に備えられた電装品箱配置部1120に当接した状態に取付けられている。具体的には、電装品箱底板51に備えられた引掛け爪511よりも内側の外面510が電装品箱支持部1100に当接した状態になっているとともに、電装品箱底板51に備えられた引掛け爪511が電装品箱支持部1100に備えられた引掛け部1100aに引掛けられた状態になっている。
【0043】
また、電装品箱底板51には、制御基板53を固定するための基板固定用スペーサ531を内面側に備えており、基板固定用スペーサ531を電装品箱底板51に係止するための基板固定用スペーサ531に形成された係止部531aが外面510の側に突出した構造になっている。このため、本体ケース10と電装品箱50との間には、基板固定用スペーサ531に形成された係止部531aが本体ケース10の電装品箱配置部1120に当たらないように、所定の間隔Sが確保されている。したがって、電装品箱配置部1120に備えられた凹部1120aに嵌合される、電装品箱底板51に備えられた凸部512の高さHは、所定の間隔Sを確保した状態で本体ケース10に電装品箱50を取付けるため、所定の間隔Sよりも延長した高さを有している。すなわち、凸部512の高さHは、所定の間隔Sに凹部1120aの深さαを足した高さに設定されている。この結果、凸部512のうち、所定の間隔Sよりも延長した部分の全てが凹部1120aに嵌合されている。
【0044】
次に、電装品箱50を本体ケース10の前面11に取付ける手順について
図3を用いて説明する。なお、複数の制御基板53,53、・・・は予め電装品箱底板51に取付けられているものとする。電装品箱底板51は、
図3(b)に示すように、複数の引掛け爪511、511を、本体ケース10の前面11に備えられた複数の引掛け部1100a、1100aに引掛けた後、複数の凸部512、512を、本体ケース10の前面11に備えられた複数の凹部1120a、1120aに嵌め合わせることで電装品箱底板51を本体ケース10に支持させる。すると、複数の凸部512、512に形成された複数のネジ挿通孔512a、512aと、複数の凹部1120a、1120aに形成された複数のネジ孔1120bとの位置合わせも行われる。さらに、左側の凸部512とネジ挿通孔513、右側の凸部512とネジ挿通孔513がそれぞれ左右対称の位置関係にあり、左側の凹部1120aとネジ孔1100b、右側の凹部1120aとネジ孔1100bがそれぞれ左右対称の位置関係になることから、複数のネジ挿入孔513、513と複数のネジ孔1100b、1100bとの位置合わせも行われる。なお、本実施形態では、左側の凸部512とネジ挿通孔513、右側の凸部512とネジ挿通孔513がそれぞれ左右対称の位置関係にあり、左側の凹部1120aとネジ孔1100b、右側の凹部1120aとネジ孔1100bがそれぞれ左右対称の位置関係になっているが、複数のネジ挿入孔513、513と複数のネジ孔1100b、1100bとの位置合わせができれば、左右対称の位置関係でなくてもよい。
【0045】
この結果、背景技術の欄に示すように、電装品箱50を本体ケース10に支持させた後、本体ケース10に電装品箱50を位置合わせする際、複数の引掛け部1100a、1100a自体に電装品箱50を位置合わせする構造を備える必要がない。また、電装品箱50は、本体ケース10の前面11に備えられた複数の引掛け部1100a、1100aと複数の凹部1120a、1120aとで支持された状態になっており、電装品箱50の重量が複数の引掛け部1100a、1100aのみに加わらないため、複数の引掛け部1100a、1100aの変形のおそれや、複数の引掛け部1100a、1100aを丈夫にする必要もがない。さらに、本体ケース10と電装品箱50との間にスペーサや台を配置する必要がなく、本体ケース10と電装品箱50との位置合わせが簡単になる。
【0046】
つぎに、電装品箱底板51は、複数のネジ挿通孔513、513と複数のネジ孔1100b、1100b、および、複数のネジ挿通孔512a、512aと複数のネジ孔1120b、1120bを通じて、複数のネジ514、514、・・・で本体ケース10に備えられた電装品箱支持部1100およびシリンダ部導出板P2に備えられた電装品箱配置部1120に取付けられる。電装品箱カバー52は、
図3(a)に示すように、複数のネジ520、520、・・・で電装品箱支持部1100および電装品箱配置部1120に取付けられた電装品箱底板51に取付けられる。
【0047】
なお、本実施形態では、電装品箱50は、本体ケース10の前面11に取付けられるが、本発明はこれに限らない。本体ケース10の前面11ではなく、本体ケース10の背面12に取付けられるように、本体ケース10の背面12に、電装品箱支持部と電装品箱配置部とメンテナンス用引掛け部とをそれぞれ備え、電装品箱配置部から本体ケース10の前面側に段差を持たせた電磁コイル配置部を備え、電磁コイルを電磁コイル配置部から導出させたシリンダ部に取付けてもよい。
【0048】
以上説明してきた本実施形態による切替ユニット1によれば、電装品箱50の外面510に備えられた引掛け爪511を電装品箱支持部1100に備えられた引掛け部1100aに引掛けるとともに、凸部512のうち、所定の間隔Sよりも延長した部分(凹部1120aの深さαに相当)の全てを凹部1120aに嵌め合わせた際に、凹部1120aに凸部512を固定可能になっている。この結果、大型かつ重量のある電装品箱50を本体ケース10に引掛けた後、本体ケース10に対して電装品箱50を位置合わせする際の本体ケース10の支持強度を補足することができる。さらに、簡単な構造によって本体ケース10と電装品箱50との間に所定の間隔Sを確保した状態で本体ケース10と電装品箱50とを位置合わせすることができる。なお、電装品箱支持部1100に備えられた引掛け部1100aを左右両端を開放するように形成するようにしたが、本発明はこれに限らず、電装品箱支持部1100の左右両端から見て中央寄り近傍に形成した複数の孔からなる引掛け部であってもよい。
【0049】
次に、複数の電磁コイル401、411、421、431をメンテナンスする際に本体ケース10に電装品箱50を支持させる状態について
図7および
図8を用いて説明する。電装品箱底板51は、
図7および
図8に示すように、複数の引掛け爪511、511を、本体ケース10の上ケースC1に備えられた前面部111であって、電磁コイル配置部113の下方近傍に備えられた複数のメンテナンス用引掛け部1110、1110に引掛けることで、電装品箱底板51を本体ケース10に支持させる。すると、電装品箱底板51を本体ケース10に支持させた状態で電磁コイル配置部113に配置された複数の電磁コイル401、411、421、431が露出した状態になり、複数の電磁コイル401、411、421、431のメンテナンスが可能になる。
【0050】
以上説明してきた本実施形態による切替ユニット1によれば、本体ケース10の前面部111には、電磁コイル401、411、421、431をメンテナンスする際、電装品箱50の外面510に備えられた複数の引掛け爪511、511を引掛けるための複数のメンテナンス用引掛け部1110、1110を備えている。この結果、本体ケース10から取外した電装品箱50を離れた場所に置く必要がなく、複数のメンテナンス用引掛け部1110、1110に複数の引掛け爪511、511を引掛けた状態で複数の電磁コイル401、411、421、431のメンテナンスを行え、メンテナンスの際のサービス性を向上することができる。
【0051】
なお、本実施形態では冷媒回路ユニットとして、冷暖房フリーの運転が行える多室形空気調和装置に用いられる切替ユニット1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、多室形空気調和装置に用いられ、室外機に接続される冷媒配管を各室内機に接続される複数の冷媒配管に分岐する分岐ユニットなど、複数の冷媒配管と複数の電磁弁を組み合わせて構成した冷媒回路ユニットにおいて適用可能である。