【文献】
大谷 未稚 Miwaka OHTANI,カフェテリアオペレーション技術によるネットワーク監視機能の実装 A Consideration of Process Granularities in Cafeteria Operation Technology,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.105 No.668 IEICE Technical Report,日本,社団法人電子情報通信学会 The Institute of Electronics,Information and Communication Engineers,第105巻
【文献】
木村 辰幸 TATSUYUKI KIMURA,マルチキャストサービス技術,NTT技術ジャーナル 第18巻 第10号,社団法人電気通信協会,第18巻
【文献】
廣森 聡仁 AKIHITO HIROMORI,IPマルチキャスト環境における複製動画像サーバ選択アルゴリズム A Selection Algorithm for Replicated Video Servers on IP Multicast,情報処理学会論文誌 第43巻 第2号 IPSJ Journal,日本,社団法人情報処理学会 Information Processing Society of Japan,第43巻
【文献】
廣森 聡仁 Akihito Hiromori,スループット監視に基づく複製サーバ選択方法のスケーラビリティ向上 Improving Scalability in Monitoring-based Multicast Server Selection,情報処理学会研究報告 Vol.2001 No.107 IPSJ SIG Notes,日本,社団法人情報処理学会 Information Processing Society of Japan,第2001巻
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1又は複数の配信サーバがそれぞれ、配信追跡調査実行手段を有する中継装置を介して、配信パケットを配信する1対多通信の転送状況を監視する通信監視プログラムにおいて、
コンピュータを、
上記1又は複数の配信サーバのそれぞれが配信するグループ毎の配信追跡調査を上記中継装置に指示する配信追跡調査指示手段、
上記配信追跡調査の実行した中継装置から配信追跡調査結果を収集して、配信追跡調査結果の集計を行う試験結果収集集計手段、
上記試験結果収集集計手段による集計結果を蓄積するデータ蓄積手段、
上記データ蓄積手段に蓄積されている集計結果を用いて、上記各グループの受信側の中継装置から送信側の中継装置までの経路上での転送状況情報を求める統計処理手段
として機能させ、
上記統計処理手段は、上記各グループの集計結果を用いて、各グループの経路における各ホップ間の平均遅延値を求め、今回の各ホップ間の遅延値と対応する各ホップ間の平均遅延値との差分値を求め、その差分値と閾値とに基づいて当該ホップ間の品質評価を行う
ことを特徴とする通信監視プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(A)主たる実施形態
以下では、本発明
の通信監視
システム、装置、プログラ
ム及び方法の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
この実施形態では、ツリー構造のマルチキャスト配信ネットワークにおいて、どのポイント(区間)で遅延及び又はパケットロス等の障害が起きているかをIGMP(Internet Group Management Protocol)の追跡調査機能(例えば、mtrace機能)を用いて監視するものである。
【0018】
(A−1)実施形態の構成
(Aー1−1)全体構成
図2は、この実施形態のマルチキャスト配信ネットワーク10の全体構成を示す全体構成図である。
図2において、マルチキャスト配信ネットワーク10は、配信サーバ2、ネットワーク5を構成する複数のネットワークノード(以下、NWノード)3(3−1〜3−4)、端末4、マルチキャスト通信監視サーバ1、配信事業者管理サーバ4を有する。
【0019】
配信サーバ2は、例えば配信事業者が運用管理するものであり、マルチキャスト通信(1対多通信)により、映像や音楽などのストリームデータをメディアコンテンツとして配信するものである。配信サーバ2は、特定のグループ(マルチキャストグループ)を示すマルチキャストアドレスを宛先としてパケット配信を行う。
【0020】
なお、1台の配信サーバ2は複数のマルチキャストグループを管理することができる。すなわち、1台の配信サーバは、複数のメディアコンテンツを配信することができる。また、
図2では、1台の配信サーバのみを図示するが、複数台の配信サーバ2が接続可能であってもよい。すなわち、1配信事業者が複数の配信サーバ2を管理する場合や、複数の配信事業者が1又は複数の配信サーバを複数の配信サーバを管理する場合であってもよい。
【0021】
NWノード3(3−1〜3−4)は、配信サーバ2から配信される配信パケットをマルチキャストグループに存在するホスト(受信側の端末4)に転送するもので通信装置である。
【0022】
NWノード3は、マルチキャストアドレスが付与されたパケット(マルチキャストパケット)を受信すると、対応するマルチキャストグループに参加するホストがある場合には、当該マルチキャストパケットをコピーして、マルチキャストグループに参加するホストに向けて転送するものである。
【0023】
例えば、
図2の矢印は、あるマルチキャストグループに参加する端末4(ホスト)に向けて配信されるパケットの流れを示す。
図2の場合、配信サーバ2が送信したパケットは、NWノード3−1→NWノード3−2→NWノード3−3→NWノード3−4を経由して端末4に配信される。このように、マルチキャスト通信は、配信サーバ2からツリー構造のネットワーク構成でパケット配信される。
【0024】
ここで、NWノード3−2はツリー構造の中心的なノードであり、特にランデブーポイント(RP)という。
【0025】
また、NWノード3は、受信側のホストである端末4がマルチキャストグループに参加するために、例えば、IGMPやMLD(Multicast Listener Discovery)等のプロトコルに基づくグループ管理機能を有する。
【0026】
さらに、NWノード3は、マルチキャスト配信追跡調査機能を有する。ここで、マルチキャスト配信追跡調査機能は、receicerからsoueceへの逆経路に沿ったホップ毎にトレースの問い合わせを行い、マルチホップの経路、マルチホップの経路上のホップのアドレス、パケット数、ルーティングのエラー状況の転送状況情報を収集し、要求者へ応答を返信する機能である。例えば、マルチキャスト配信追跡調査機能は、IGMPの拡張機能としてmtrace機能を用いることで実現できる。
【0027】
端末4は、マルチキャスト配信される受信側の通信端末であり、例えば、通信機能を有する、パーソナルコンピュータ、携帯端末、ゲーム端末、電子書籍端末等である。端末4は、例えばIGMPやMLD等のプロトコルに基づいて、ゲートウェイ等のNWノード3を介してマルチキャストグループへの参加又は離脱等を行う。
【0028】
マルチキャスト通信監視サーバ1は、複数のNWノード3のうち、端末4側に近い位置に存在する1又は複数のNWノード3に対して、マルチキャスト配信追跡調査を指示し、当該各NWノード3から調査結果を収集、集計するものである。
【0029】
ここで、マルチキャスト通信監視サーバ1は、配信サーバ2、マルチキャスト配信追跡調査を行うNWノード3、マルチキャストアドレスを指定して、定期的にマルチキャスト配信追跡調査を指示する。これにより、調査依時刻に対応づけた、配信サーバ2毎及び又はマルチキャストアドレス毎の経路や転送状況情報(例えば、マルチホップの経路上のホップのアドレス、パケット数、ルーティングのエラー状況等)を収集して集計することができる。
【0030】
また、マルチキャスト通信監視サーバ1は、集計したマルチキャスト配信追跡調査結果に基づいて、統計的な処理を行い、その統計結果を配信事業者管理サーバ4に与えるものである。
【0031】
配信事業者管理サーバ4は、配信サーバ2を管理する配信事業者の管理サーバである。配信事業者管理サーバ4は、マルチキャスト通信監視サーバ1から、マルチキャスト配信に係る転送状況情報の統計結果を取得するものである。これにより、配信事業者は、マルチキャストグループに参加する端末4(ホスト)までの転送状況を把握し、取得した統計的な処理結果を利用して適宜マルチキャスト配信制御を行うことができる。
【0032】
(A−1−2)マルチキャスト通信監視サーバの内部構成
図1は、実施形態のマルチキャスト通信監視サーバ1及びNWノード3の間の構成と、マルチキャスト通信監視サーバ1の内部構成とを示す構成図である。
【0033】
マルチキャスト通信監視サーバ1は、上述したように、ゲートウェイ等のようなネットワークのエッジに位置する1又は複数のNWノード3に対して、マルチキャスト配信追跡調査を定期的に指示するものである。
【0034】
マルチキャスト通信監視サーバ1は、既存のサーバ装置と同様に、例えば、CPU、ROM、RAM、EEPROM、入出力インタフェース部等からなる制御装置や通信装置等を有して構成されるものである。そして、例えば、CPUが、ROMに格納される処理プログラム(マルチキャスト通信監視プログラム等)を実行することにより、
図1の機能ブロックを実現する。
【0035】
図1において、マルチキャスト通信監視サーバ1は、GUI制御部110、試験部120、ノードIF制御部130、試験結果収集部140、試験結果集計部150、データ蓄積部160、統計処理部170、情報通信部180を有する。
【0036】
GUI制御部110は、ユーザインタフェース部であるGUI部100との間で情報を授受するユーザインタフェース制御部である。GUI制御部110は、GUI部100からマルチキャスト配信追跡調査に関する試験設定情報を受けると、その試験設定情報を試験部120に与えたり、試験結果の収集に係る収集周期指示を試験結果収集部140にしたり、又は統計処理部170からの統計結果をGUI部100に与えたりするものである。
【0037】
ここで、試験設定情報は、例えば、配信サーバ2の配信元IPアドレスの設定や、マルチキャスト配信追跡調査のトレースを行うNWノード3のトレース開始元IPアドレスの設定や、マルチキャストアドレスの設定や、試験のスケジュール情報の設定等がある。
【0038】
例えば、NWノード3が実行するマルチキャスト配信追跡調査(mtrace)は、例えば、1分毎又は数分程度毎に行なうようにする。また、複数のNWノード3に対してmtraceを実行させるときには、複数のNWノード3に対してコマンド指示する順序等を設定したり、複数の配信サーバ2や複数のマルチキャストアドレスについてmtraceを実行させるときには調査対象とする配信サーバ2やマルチキャストアドレスの組み合わせや順序等を設定したりする。
【0039】
また例えば、収集周期指示は、NWノード3によるmtrace結果を収集する周期であり、各NWノード3のmtraceの実行周期よりも長い時間とすることができる。例えば、収集周期指示としては5分又は数十分程度とすることができる。これにより、収集周期の間にNWノード3が試験したmtrace結果をまとめて収集することができる。
【0040】
なお、GUI部100は、例えば、Webを通じてグラフィック表示で、ユーザが情報設定をしたり、又は統計結果をグラフィック表示したりするWeb−GUIとしてもよい。GUI部100は、例えば、パーソナルコンピュータに実装されるソフトウェア処理によるグラフィック処理により実現される。また、GUI部100は、API等によりGUI制御部110から取得した統計結果を配信事業者管理サーバ4に与えるようにしてもよい。
【0041】
試験部120は、GUI制御部110からマルチキャスト配信追跡調査に関する試験設定情報を受け取り、ノードIF制御部130を介して、NWノード3に対して試験指示を行うものである。
【0042】
ノードIF制御部130は、NWノード3との間で情報を授受するインタフェース制御部である。ノードIF制御部130は、例えば、telnetやCLI(コマンドラインインタフェース)等により、試験部120からの試験指示に基づいてNWノード3に対してコマンド指示を行ったり、また試験結果収集部140からの収集指示に基づいてNWノード3に対して収集指示のコマンド指示をしたりするものである。
【0043】
ここで、NWノード3に対するmtraceを用いた試験指示は、「配信元IPアドレス」、「トレース開始元IPアドレス」、「マルチキャストアドレス」を指定して行なわれる。すなわち、マルチキャスト通信監視サーバ1は、mtraceを実行させるNWノード3を指定し、トレース対象の配信サーバ2とマルチキャストアドレスとを指定して、mtraceを実施するようにする。これにより、マルチキャスト配信の端末4(ホスト)までの転送状況情報を、マルチキャストアドレス毎及び配信サーバ毎に取得することができる。
【0044】
また、ノードIF制御部130は、NWノード3から受け取った試験結果を試験結果収集部140に与えたりするものである。
【0045】
試験結果収集部140は、GUI制御部110からの収集周期指示に基づいて、ノードIF制御部130に対して試験結果の収集指示を行うものである。また、試験結果収集部140は、ノードIF制御部130から試験結果を受け取ると、その受け取った試験結果を試験結果集計部150に与えるものである。
【0046】
試験結果集計部150は、試験結果収集部140により収集されたマルチキャスト配信追跡調査の試験結果を日時情報(例えば、年月日、曜日、時刻等の情報)と対応付けて、試験結果を用いた集計処理を行うものである。
【0047】
試験結果集計部150は、日時情報を付与した試験結果を一時的にデータ蓄積部160に蓄積したり、又は、試験結果収集部140から取得した今回の集計結果を統計処理部170に与えたりする。
【0048】
その集計結果をデータ蓄積部160に蓄積するものである。
【0049】
データ蓄積部160は、試験結果集計部150により集計処理された集計結果を蓄積したり、又は統計処理部170により統計処理された統計結果を蓄積したりするものである。
【0050】
統計処理部170は、試験結果集計部150からの集計結果やデータ蓄積部160に蓄積される集計結果を用いて、所定の統計処理を行うものである。また、統計処理部170は、統計処理を行った統計結果を、GUI制御部110を介してGUI部100に与えたり、又は、情報通信部180を介して配信事業者管理サーバ180に与えたりする。なお、統計結果は、GUI部100、情報通信部180のいずれ又は双方から、配信事業者管理サーバ4に与えるようにすることができる。
【0051】
図1において、統計処理部170は、各NWノード3間の遅延時間情報(例えば、RTT(Round Trip Time)情報等)に基づいて、NWノード3間の遅延について統計処理を行う遅延平均値処理部171及び遅延計測部172と、マルチキャスト配信の経路上の転送状況について統計処理を行う転送状況統計処理部173とを有する。
【0052】
遅延平均値処理部171は、データ蓄積部160に蓄積される過去のNWノード3間の遅延情報(例えば、RTT情報)に基づいて、各NWノード間の統計的な遅延値を求めるものである。遅延平均値処理部171は、例えば、標準偏差や所定の関数式を用いて、各NWノード間の統計的な遅延値を求める。遅延平均値処理部171は、配信サーバ別、マルチキャストグループ別、チャネル別、時間帯別等の各NWノード3間の統計的な遅延値を求める。
【0053】
遅延計測部172は、今回取得された試験結果に含まれるNWノード3間の遅延値と、遅延平均値処理部171により求められた対応するNWノード3間の統計的な遅延値とを比較して、今回の遅延値と統計的な遅延値との差分に基づく乖離情報を求めるものである。
【0054】
転送状況統計処理部173は、例えば、マルチキャスト配信される端末4(ホスト)までの統計的な転送状況情報を、配信サーバ別、マルチキャストグループ別(例えば、映像等の番組別)、チャネル別(例えば、番組表のチャネル別等)で求めることができる。
【0055】
すなわち、転送状況統計処理部173は、「配信元IPアドレス」をキー情報として蓄積データをソートすることで配信サーバ別の転送状況情報を集計することができ、「マルチキャストアドレス」をキー情報として蓄積データをソートすることでマルチキャスト別の転送状況情報を集計できる。また、一般的に配信元IPアドレスにチャネルを識別するプロセス識別情報が対応付けられているので、転送状況統計処理部173は、配信元IPアドレスに対応付けられたプロセス識別情報をキー情報としてチャネル別の転送状況情報を集計できる。
【0056】
また例えば、転送状況統計処理部173は、統計的な転送状況情報として、例えば、月別、週別、曜日別、時間帯別(AM12時からPM12時までの統計的な情報)等の転送状況を求めることができる。つまり、データ蓄積部160に蓄積される集計結果は、日時情報(例えば、年月日、曜日、時刻等の情報)と対応付けられているため、統計処理部170は、日時情報をキーとしてソートすることにより、月別、週別、曜日別、時間帯別の転送状況を求めることができる。
【0057】
情報通信部180は、統計処理部170により求められた統計結果、又は、データ蓄積部160に蓄積される統計結果を、配信事業者管理サーバ4に与えるものである。なお、統計結果は、GUI部100、情報通信部180のいずれ又は双方から、配信事業者管理サーバ4に与えるようにすることができる。
【0058】
(A−1−3)NWノード3の内部構成
図1において、NWノード3は、マルチキャスト配信追跡調査実行部31、試験結果転送部32を有する。
【0059】
NWノード3は、既存の通信装置と同様に、例えば、CPU、ROM、RAM、EEPROM、入出力インタフェース部等からなる制御装置や通信装置等を有して構成されるものである。そして、例えば、CPUが、ROMに格納される処理プログラムを実行することにより、
図2の機能ブロックを実現する。
【0060】
マルチキャスト配信追跡調査実行部31は、マルチキャスト通信監視サーバ1から試験指示のコマンドを受け取ると、マルチキャスト配信追跡調査機能を実行するものである。
【0061】
ここで、マルチキャスト配信追跡調査実行部31は、例えば、IGMPのmtraceを実行する。マルチキャスト配信追跡調査実行部31は、マルチキャスト通信監視サーバ1からの試験指示に従って、例えば、1分程度毎に、マルチキャストグループ毎に行なう。
【0062】
以下では、IGMPのmtraceの仕組みを、
図3を参照して説明する。
図3において、マルチキャスト配信追跡調査の試験指示を受けたNWノード3は、マルチキャスト通信監視サーバ1から「配信元IPアドレス」、「トレース開始元IPアドレス」、「マルチキャストアドレス」を指定される。
【0063】
試験指示を受けたNWノード3は、IGMPのTraceroute Requestを、隣接するNWノード3(neighbor)に転送する。なお、IGMPのTraceroute Requestは、試験指示を受けたNWノード3から、当該マルチキャストグループのランデブーポイント(RP)であるNWノード3までの経路で転送する。すなわち、mtraceはマルチキャストの逆経路に沿ったホップ毎にトレースの問い合せを行う。
【0064】
各NWノード3は、経路上のホップのアドレス、パケット数、ルーティングのエラー状況等の情報を収集し、これらを レポートブロック(Data Block)として、Traceroute Requestに付与する。
【0065】
このとき、各NWノード3は、Traceroute Requestに付与されているレポートブロック(Data Block)をそのまま残し、自身が収集したレポートブロック(Data Block)を新たに付与して、次のneighborであるNWノード3に転送する。
【0066】
ここで、
図4は、IGMPのTraceroute Response Daraのフォーマットを示す構成図である。なお、
図4は、IPv6 マルチキャストTraceroute Responseのフォーマット例である。
【0067】
各NWノード3は、
図4のTraceroute Response Data内の「Forwarding Code」に、8ビットのNeighborへの転送結果が示される。
【0068】
例えば、「Forwarding Code」には、Neighborの転送結果として、
図5に例示する内容が記載される。例えば、エラーが無いことを示すNO_ERROR(0x00)、ネクストホップが無いことを示すNO_ROUTE(0x05)、RPに到達したことを示すREACHED_RP(0x08)等が「Forwarding Code」記載される。
【0069】
そして、RPであるNWノード3は、到着したTraceroute Requestに付与されている全てのレポートブロックを、Traceroute Responseに付与して、要求元のNWノード3に返信する。なお、Traceroute Responseの返信は、例えば、ユニキャストにより行うようにしてもよい。
【0070】
このようにして、試験指示されたNWノード3は、試験指示で指定される「配信元IPアドレス」、「マルチキャストアドレス」についてmtraceを行う。
【0071】
試験結果転送部32は、マルチキャスト通信監視サーバ1から収集指示を受けると、それまでに取得したmtrace結果をマルチキャスト通信監視サーバ1に転送するものである。
【0072】
(A−2)実施形態の動作
次に、この実施形態のマルチキャスト通信監視サーバ1によるマルチキャスト通信監視処理の動作を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0073】
図6は、この実施形態のマルチキャスト通信監視処理の動作を示すシーケンス図である。
【0074】
まず、GUI制御部101がGUI部100から試験設定情報を取得すると(S101)、GUI制御部101は、取得した試験設定情報に基づく試験指示を試験部120に行ない(S102)、さらに、試験部120は、ノードIF制御部130に試験指示を行う。これを受けて、ノードIF制御部130は、例えばtelnet等によるコマンド指示をNWノード3に対して行う(S103)。
【0075】
ここで、試験設定情報は、例えば、「配信元IPアドレス」、「トレース開始元IPアドレス」、「マルチキャストアドレス」を指定してなされる。また、試験設定情報は、試験の実行周期(例えば、1分程度)等も指定される。これにより、ノードIF制御部130は、所定の試験の実行周期毎に、「トレース開始元IPアドレス」を有するNWノード3に対してマルチキャスト配信追跡調査の試験指示を行う。
【0076】
試験指示を受けたNWノード3は、例えば、IGMPのmtaraceを実行して、マルチキャストグループのトレース処理を行う。なお、NWノード3は、マルチキャストの最終ホップのNWノード3とする。
【0077】
試験指示を受けたNWノード3は、コマンド指示で指定された「配信元IPアドレス」、「トレース開始元IPアドレス」、「マルチキャストアドレス」を含むIGMPのTraceroute RequestをneighborであるNWノード3に転送する。
【0078】
NWノード3によるIGMPのmtaraceの仕組みは、
図3〜
図5を用いて説明した通りである。すなわち、mtaraceは、NWノード3がIGMPのTraceroute Requestを用いて、マルチキャストの逆経路に沿ったホップ毎にトレースの問い合せを行う。
【0079】
そして、各NWノード3は、Traceroute Requestにレポートデータを追加して、次のNWノード3に転送する。そして、各NWノード3は、それ以前に追加されたレポートデータが全て付与されたまま、Traceroute Requestをマルチキャストの最初のホップのRPまで転送する。
【0080】
そして、RPであるNWノード3は、全てのレポートデータが付与したTraceroute Responseを、例えばユニキャストで、トレース開始元のNWノード3に送信する。これにより、トレース開始元のNWノード3は、mtrace結果を取得することができる。
【0081】
なお、各NWノード3が付与するレポートデータとしては、例えば、経路上のホップのアドレス、パケット数、ルーティングのエラー状況の情報等が付与される。
【0082】
また、mtraceは、タイムアウト時間を設けて、タイムアウト時間までに応答がない場合には、その旨を示す情報を付与するようにしてもよい。また、mtaraceは所定回数の試みを行うようにしてもよく、応答がいないNWノード3を超えて、更に先のNWノード3に対して問合せができるようにしてもよい。
【0083】
また、
図6に示すように、GUI制御部101がGUI部100から収集周期(例えば、5分程度)の指示を取得すると(S104)、GUI制御部101は、取得した収集周期情報を試験結果収集部140に与える。
【0084】
試験結果収集部140は、例えばマルチキャスト通信監視サーバ1内のタイマ部等により収集周期を管理し、収集周期になると、ノードIF制御部130に収集指示を行う(S105)。これを受けて、ノードIF制御部130は、例えばtelnet等によるコマンド指示をNWノード3に対して行う(S106)。
【0085】
収集指示を受けたNWノード3は、それまでに取得した試験結果(mtarace結果)を、マルチキャスト通信監視サーバ1に転送する。この試験結果の転送について、NWノード3が、収集周期の期間内に取得した試験結果を送信することができればよい。転送プロトコルは特に限定されるものではなく、例えば、FTP(File Transfer Protocol)等を用いることができる。
【0086】
マルチキャスト通信監視サーバ1において、NWノード3からの試験結果が転送されると(S107)、試験結果は、ノードIF制御部130を介して、試験結果収集部140に与えられる(S108)。また、試験結果収集部140は、収集した試験結果を試験結果集計部150に与える(S109)。
【0087】
ここで、
図7は、NWノード3から取得される試験結果(mtrace結果)を説明する説明図である。
図7は、「配信元IPアドレス」が「128.0.0.0」であり、「マルチキャストアドレス」が「224.2.0.0」である場合を例示する。
【0088】
図7において「ホップのノードIPアドレス:128.1.1.6」は、トレース開始元IPアドレスであり、「ホップのノードIPアドレス:128.1.1.0」は、RPのIPアドレスである。
【0089】
図7の「ホップ数」は、RPであるNWノード3からのホップ数(すなわち、マルチキャストのホップ数)を示す。mtraceはマルチキャストの逆経路でホップされるため、「ホップのノードIPアドレス:128.1.1.6」が「ホップ数:6」となり、RPの「ホップのノードIPアドレス:128.1.1.0」が「ホップ数:0」となる。
【0090】
図7に示すとおり、試験結果は、「ホップ数」と共に「ホップのノードIPアドレス」が併記される。そのため、マルチキャスト通信監視サーバ1は、マルチキャストの受信ホストから送信ホストまでの到達性を認識することができる。
【0091】
また、
図7に示すように、例えば、「ホップのIPアドレス:128.1.1.6」と「ホップのIPアドレス:128.1.1.5」の間の転送状況情報は、RTT値、エラー状況情報、パケット数等が付与される。
【0092】
エラー状況情報は、
図4のTraceroute Response Data内の「Forwarding Code」に記載される8ビットのNeighborの転送結果が示される。また、パケット数については、単位時間当たりのパケットレートとしてもよいし、又は、各ホップでの全てのトラフィックについて、例えば、送信したパケット数と、消失したロスパケット数、更にパケットのロス率等を付与するようにしてもよい。
【0093】
試験結果収集部150が
図7に示すような試験結果を取得すると、試験結果集計部150は、取得した試験結果に試験時刻を付与してデータ蓄積部160に集計結果を蓄積する(S109)。
【0094】
図8は、実施形態のデータ蓄積部160に蓄積される集計結果を説明する説明図である。
図8に示す集計結果も、「配信元IPアドレス」が「128.0.0.0」であり、「マルチキャストアドレス」が「224.2.0.0」である場合を例示する。
【0095】
図8に示すように、集計結果は、「配信元IPアドレス」、「マルチキャストアドレス」、「日時情報」、「ホップ情報」、「RTT値」、「パケット数」、「エラー状況情報」を項目として有する。
【0096】
試験結果集計部150は、
図7に示す試験結果に対して、試験を実行した日時情報(例えば、年月日、曜日、時刻)を付与して、
図8のような情報としてデータ蓄積部160に蓄積する。
【0097】
次に、マルチキャスト通信監視サーバ1において、統計処理部170は、データ蓄積部160に蓄積されている集計結果や試験結果集計部150が求めた集計結果を用いて、所定の統計処理を行う(S110、S111)。
【0098】
統計処理部170は、例えば、マルチキャストの各ホップ間の遅延時間の統計的な判断を行う。
【0099】
図9は、実施形態の統計処理部170によるマルチキャストの各ホップ間の遅延時間についての統計的な判断方法を示すフローチャートである。
【0100】
図9において、統計処理部170は、データ蓄積部160に蓄積されている集計結果から、マルチキャストグループの各ホップ間の過去のRTT値を読み出す(S201)。
【0101】
そして、統計処理部170は、各ホップ間の過去のRTT値を用いて、各ホップ間の統計的なRTT値を求める(S202)。ここで、各ホップ間の統計的なRTT値の求める方法は、特に限定されるものではなく、例えば標準偏差や所定の関数式等を用いて求める方法など種々の方法を広く適用することができる。
【0102】
次に、統計処理部170は、今回の各ホップ間のRTT値と、対応する各ホップ間の統計的なRTT値との差分を求め(S203)、その差分に基づいて各ホップ間の接続品質を判断する(S204)。
【0103】
例えば、統計処理部170は、今回の各ホップ間のRTT値と、対応する各ホップ間の統計的なRTT値との差分値と、予め設定した閾値とを比較し、差分値が閾値よりも大きい場合には、統計的に当該ホップ間の遅延は大きいと判断することができる。つまり、差分値が大きいということは、当該ホップ間の統計的な遅延時間に比べても、今回のホップ間の遅延時間は大きいことが分かる。
【0104】
また例えば、統計処理部170は、差分値と比較する閾値を複数個備えるようにしてもよい。例えば、2個の閾値を備えるようにしておき、差分値を3段階評価することができる。
【0105】
なお、差分値と比較する閾値は、マルチキャストグループ毎、チャンネル毎、配信サーバ毎に異なるものであってもよい。例えば、配信映像の視聴ユーザは、配信されるコンテンツの種類(ジャンル)やチャンネルによって世代や趣向が異なり、また配信される映像の品質にこだわる者もいればそうでない者といる。そこで、すなわち、マルチキャストグループ毎、チャンネル毎、配信サーバ毎に応じて、1又は複数の閾値を変えることで、視聴ユーザの属性に応じた接続品質を判断することができる。
【0106】
また、統計処理部170は、例えば、マルチキャスト配信される端末4(ホスト)までの統計的な転送状況情報を、配信サーバ別、マルチキャストグループ別(例えば、映像等の番組別)、チャネル別(例えば、番組表のチャネル別等)で求める。
【0107】
図10は、実施形態の統計処理部170による統計的な転送状況情報を説明する説明図である。
図10は、配信サーバ2の配信元IPアドレスが128.0.0.0である場合を示す。
【0108】
図10の統計的な転送状況情報は、「チャンネル」、「マルチキャストグループ」、「曜日」、「時間帯」、「ホップ情報」、「RTT値」、「パケット数」、「エラー状況情報」を項目とする。
【0109】
「チャンネル」は、マルチキャスト通信監視サーバ1が提供するチャンネルを示す。一般的に配信元IPアドレスにチャネルを識別するプロセス識別情報が対応付けられているので、統計処理部170は、配信元IPアドレスに対応付けられたプロセス識別情報をキー情報としてチャネル別の転送状況情報を集計できる。
【0110】
図10に示すように、統計処理部170は、「チャンネル」、「マルチキャストグループ」、「曜日」、「時間帯」等をキー情報として、各ホップ間の転送状況情報の統計処理を行う。
【0111】
これにより、統計処理部170は、「配信元IPアドレス」をキー情報として蓄積データをソートすることで配信サーバ別の転送状況情報を集計することができ、「マルチキャストアドレス」をキー情報として蓄積データをソートすることでマルチキャスト別の転送状況情報を集計できる。
【0112】
また例えば、統計処理部170は、統計的な転送状況情報として、例えば、月別、週別、曜日別、時間帯別(AM12時からPM12時までの統計的な情報)等の転送状況を求めることができる。
【0113】
つまり、データ蓄積部160に蓄積される集計結果は、日時情報(例えば、年月日、曜日、時刻等の情報)と対応付けられているため、統計処理部170は、日時情報をキーとしてソートすることにより、月別、週別、曜日別、時間帯別の転送状況を求めることができる。
【0114】
統計処理部170は、統計処理を行った統計結果を、GUI制御部110を介してGUI部100に与えたり、又は、情報通信部180を介して配信事業者管理サーバ180に与えたりする(S112)。
【0115】
ここで、GUI制御部110は、統計処理部170により統計処理された統計結果に基づいて、所定のグラフィック表示処理を行うようにしてもよい。
【0116】
GUI制御部110によるGUI制御方法は、様々な方法を広く適用することができる。
【0117】
図11は、GUI制御部110によるグラフィック表示例を示す図である。GUI制御部110は、例えば、あるマルチキャストグループの統計情報に基づいて、配信サーバから端末4に最も近いエッジルータ(NWノード3)までの経路を表示し、各ホップ間の遅延や転送状況情報を表示する。
【0118】
例えば、
図11に示すように、マルチキャストグループの各ホップ間の遅延時間については、GUI制御部110が、統計結果に基づいて、各ホップ間の現在の遅延時間を「遅延時間○○ms」等のように表示するようにしてもよい。
【0119】
また例えば、
図11に示すように、各ホップ間の転送状況情報については、GUI制御部110が、統計結果に基づいて、何らエラーが生じていない場合には「晴れマーク(例えば太陽マーク)」、又何かしらエラー状況が発生していない場合には「雨マーク(例えば傘マーク)」等の抽象表示を表示する。
【0120】
なお、
図11の例の他に、例えば、GUI制御部110は、各ホップ間の遅延時間について、各ホップ間のRTT値の差分値を表示するようにしてもよいし、各ホップ間のRTT値と共に、統計的なRTT値も一緒に表示するようにしてもよい。
【0121】
また例えば、GUI制御部110は、各ホップ間の遅延時間についても抽象表示を行うようにしてもよい。この場合、GUI制御部110が、1又は複数の閾値を有し、統計結果として求められた各ホップ間のRTT値の差分値と各閾値とを比較し、その比較結果に基づいて抽象表示するようにしてもよい。より具体的には、GUI制御部110は、各ホップ間の遅延としての許容範囲を示す閾値を有する。そして、各ホップ間のRTT値の差分値が閾値を超えた場合には、「曇りマーク(例えば雲マーク)」等で表示し、閾値以下の場合には、「晴れマーク(例えば太陽マーク)」等で表示するようにしてもよい。
【0122】
配信事業者管理サーバ4への統計情報の送信は、上述したように、GUI部100と情報通信部180のいずれ又は双方が行うようにしてもよい。このとき、GUI部100、情報通信部180は、GUI制御部110によりGUI制御された情報を送信するようにしてもよいし、又は、統計処理部170により求められた統計結果を送信するようにしてもよいし、又は、GUI制御された情報及び統計結果を送信するようにしてもよい。
【0123】
(A−3)実施形態の効果
以上のように、この実施形態によれば、マルチキャスト配信に係るツリー構造をマルチキャスト毎に体系的に把握することができる。
【0124】
また、この実施形態によれば、各マルチキャストの各ホップ間の統計的な遅延情報を求めることができ、現在の各ホップ間の遅延情報が、上記各ホップ間の統計的な遅延情報に比べてどの程度乖離しているかを把握することができる。
【0125】
つまり、各ホップ間の時計的な遅延情報を通常時の遅延情報とみなすならば、現在の各ホップ間の遅延情報が通常時の遅延情報と異なる状態か否かを把握することができる。
【0126】
さらに、この実施形態によれば、マルチキャスト配信追跡調査により、マルチキャストの受信ホストから送信ホストまでの到達性、経路上のホップのアドレス、パケット数、ルーティングのエラー状況の情報を体系的に把握することが可能となる。
【0127】
(B)他の実施形態
上述した実施形態において、本発明の種々の変形実施形態を説明したが、本発明は、その他にも以下のような変形実施形態を適用することができる。
【0128】
(B−1)上述した実施形態では、配信サーバが映像パケットを配信することを想定して説明したが、配信サーバが、映像以外の音楽、音声等のメディアデータを配信する場合にも本発明を適用することができる。
【0129】
(B−2)上述した実施形態において統計結果の一例として
図10を例示したが、マルチキャストグループ等の集計結果を用いた統計の方法は、種々の方法を適用することができ、
図10に限定されるものではない。
【0130】
(B−3)上述した実施形態で説明したマルチキャスト通信監視サーバの実行処理の一部を、例えばエッジルータ等のNWノードが実行できるようにしてもよい。つまり、エッジルータであるNWノードが、mtraceにより収集した試験結果を用いて、試験結果集計部150や統計処理部170の処理の一部又は全部を実行できるようにしてもよい。