特許第5971147号(P5971147)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 沖電気工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5971147-媒体処理装置 図000002
  • 特許5971147-媒体処理装置 図000003
  • 特許5971147-媒体処理装置 図000004
  • 特許5971147-媒体処理装置 図000005
  • 特許5971147-媒体処理装置 図000006
  • 特許5971147-媒体処理装置 図000007
  • 特許5971147-媒体処理装置 図000008
  • 特許5971147-媒体処理装置 図000009
  • 特許5971147-媒体処理装置 図000010
  • 特許5971147-媒体処理装置 図000011
  • 特許5971147-媒体処理装置 図000012
  • 特許5971147-媒体処理装置 図000013
  • 特許5971147-媒体処理装置 図000014
  • 特許5971147-媒体処理装置 図000015
  • 特許5971147-媒体処理装置 図000016
  • 特許5971147-媒体処理装置 図000017
  • 特許5971147-媒体処理装置 図000018
  • 特許5971147-媒体処理装置 図000019
  • 特許5971147-媒体処理装置 図000020
  • 特許5971147-媒体処理装置 図000021
  • 特許5971147-媒体処理装置 図000022
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5971147
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】媒体処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20160804BHJP
   G06Q 40/02 20120101ALI20160804BHJP
【FI】
   G07D9/00 416C
   G07D9/00 403H
   G06Q40/02
【請求項の数】7
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2013-26429(P2013-26429)
(22)【出願日】2013年2月14日
(65)【公開番号】特開2014-157387(P2014-157387A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2015年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082740
【弁理士】
【氏名又は名称】田辺 恵基
(72)【発明者】
【氏名】利谷 一
(72)【発明者】
【氏名】横手 貴元
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 悟
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−84065(JP,A)
【文献】 特開平1−217692(JP,A)
【文献】 特開2010−152722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00
G06Q 40/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容された複数の紙葉状の媒体を1枚ずつ分離して搬送部に繰り出すと共に、当該搬送部から搬送された上記媒体を集積する媒体収容部と、
上記搬送部上に設けられ、上記媒体が正常であるか異常であるかを鑑別する鑑別部と、
上記搬送部上に設けられ、上記媒体を一時的に保持する媒体保持部と、
上記媒体収容部から全ての上記媒体を繰り出して上記媒体の総数である投入媒体枚数を計数し、当該媒体を上記媒体収容部へ搬送する投入媒体計数部と、
上記媒体収容部から上記媒体を再び繰り出して上記鑑別部へ搬送し、当該鑑別部により正常と鑑別された正常媒体を上記媒体保持部へ搬送し保持させ、当該正常媒体の総数である正常媒体枚数を計数する正常媒体計数部と、
上記投入媒体枚数から上記正常媒体枚数を減算し、上記異常媒体の枚数である異常媒体枚数を算出する異常媒体枚数算出部と
を有する媒体処理装置。
【請求項2】
収容された複数の紙葉状の媒体を1枚ずつ分離して搬送部に繰り出すと共に、当該搬送部から搬送された上記媒体を集積する媒体収容部と、
上記搬送部上に設けられ、上記媒体が正常であるか異常であるかを鑑別する鑑別部と、
上記搬送部上に設けられ、上記媒体を一時的に保持する媒体保持部と、
上記媒体収容部から全ての上記媒体を繰り出して上記鑑別部へ搬送し、当該鑑別部において異常と鑑別された異常媒体を上記媒体収容部へ搬送する媒体分別搬送部と、
上記媒体収容部から全ての上記異常媒体を繰り出して当該異常媒体の総数である異常媒体枚数を計数し、当該異常媒体を上記媒体収容部へ搬送する異常媒体計数部と
を有する媒体処理装置。
【請求項3】
上記異常媒体計数部により計数された上記異常媒体を、先行する上記異常媒体が上記鑑別部により鑑別された後に後続の上記異常媒体を繰り出す間欠分離により上記媒体収容部から上記異常媒体枚数分だけ繰り出して上記鑑別部へ搬送し、当該鑑別部により正常と鑑別された間欠分離後正常媒体を上記媒体保持部へ搬送し保持させ、当該間欠分離後正常媒体の総数である間欠分離後正常媒体枚数を計数する間欠分離後正常媒体計数部と、
上記異常媒体枚数から上記間欠分離後正常媒体枚数を減算し、上記異常媒体の枚数である間欠分離後異常媒体枚数を算出する間欠分離後異常媒体枚数算出部と
をさらに有する請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
収容された複数の紙葉状の媒体を1枚ずつ分離して搬送部に繰り出すと共に、当該搬送部から搬送された上記媒体を集積する媒体収容部と、
上記搬送部上に設けられ、上記媒体が正常であるか異常であるかを鑑別する鑑別部と、
上記搬送部上に設けられ、上記媒体を一時的に保持する媒体保持部と、
上記媒体収容部から上記媒体を繰り出して上記鑑別部へ搬送し、当該鑑別部により正常と鑑別された正常媒体を上記媒体保持部へ搬送し保持させる一方、当該鑑別部において異常と鑑別された上記媒体を上記媒体収容部へ搬送して上記媒体収容部からの上記媒体の繰り出しを中止する正常媒体除去搬送部と、
上記正常媒体除去搬送部により上記正常媒体が除かれた全ての上記媒体を上記媒体収容部から繰り出して、当該媒体収容部から繰り出された上記媒体の総数である繰出媒体枚数を計数し、当該媒体を上記媒体収容部へ搬送する繰出媒体計数部と、
上記媒体収容部から上記媒体を上記繰出媒体枚数分だけ再び繰り出して上記鑑別部へ搬送し、当該鑑別部により正常と鑑別された正常媒体を上記媒体保持部へ搬送し保持させ、当該正常媒体の総数である正常媒体枚数を計数する正常媒体計数部と、
上記繰出媒体枚数から上記正常媒体枚数を減算し、上記異常媒体の枚数である異常媒体枚数を算出する異常媒体枚数算出部と
を有する媒体処理装置。
【請求項5】
上記異常媒体枚数算出部により計数された上記異常媒体を、先行する上記異常媒体が上記鑑別部により鑑別された後に後続の上記異常媒体を繰り出す間欠分離により上記媒体収容部から上記異常媒体枚数分だけ繰り出して上記鑑別部へ搬送し、当該鑑別部により正常と鑑別された間欠分離後正常媒体を上記媒体保持部へ搬送し保持させ、当該間欠分離後正常媒体の総数である間欠分離後正常媒体枚数を計数する間欠分離後正常媒体計数部と、
上記異常媒体枚数から上記間欠分離後正常媒体枚数を減算し、上記異常媒体の枚数である間欠分離後異常媒体枚数を算出する間欠分離後異常媒体枚数算出部と
をさらに有する請求項4に記載の媒体処理装置。
【請求項6】
収容された複数の紙葉状の媒体を1枚ずつ分離して搬送部に繰り出すと共に、当該搬送部から搬送された上記媒体を集積する媒体収容部と、
上記搬送部上に設けられ、上記媒体が正常であるか異常であるかを鑑別する鑑別部と、
上記搬送部上に設けられ、上記媒体を一時的に保持する媒体保持部と、
上記媒体収容部から全ての上記媒体を繰り出して上記鑑別部へ搬送し、当該鑑別部において異常と鑑別された異常媒体を上記媒体収容部へ搬送する媒体分別搬送部と、
上記媒体収容部から上記異常媒体を繰り出して当該異常媒体の記番号を読み取り当該異常媒体を上記媒体収容部へ搬送する記番号読取部と、
上記記番号読取部により読み取った上記記番号を記憶する記番号記憶部と、
上記記番号記憶部に記憶されている上記記番号と同一の記番号が上記記番号読取部により読み取られるまで、上記媒体収容部から繰り出された上記異常媒体の枚数を計数する異常媒体計数部と
を有する媒体処理装置。
【請求項7】
上記媒体収容部は、繰り出される上記媒体と集積される上記媒体とを分別せず収容する
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の媒体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は媒体処理装置に関し、例えば紙幣等の媒体を投入して所望の取引を行う現金自動取引装置(ATM)等に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金融機関や店舗等で使用される現金自動取引装置等においては、顧客との取引内容に応じて、例えば顧客に紙幣や硬貨等の現金を入金させ、また顧客へ現金を出金するようになされている。
【0003】
現金自動取引装置としては、例えば顧客との間で紙幣の授受を行う紙幣入出金部と、投入された紙幣の金種及び真偽を鑑別する鑑別部と、投入された紙幣を一時的に保留する一時保留部と、紙幣を搬送する搬送部と、金種毎に紙幣を格納する紙幣カセットとを有するものがある。
【0004】
また現金自動取引装置には、鑑別部において正常と判定された正常紙幣を一時保留部に保留する一方、異常と判定された異常紙幣を、投入された紙幣との物理的な仕切りがない紙幣入出金部へ集積するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−152722公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような現金自動取引装置は、投入された紙幣と異常紙幣とが物理的に分離されることなく紙幣入出金部に集積されるため、返却時の異常紙幣の正確な枚数を把握できないおそれがあった。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、異常媒体枚数の確定の確度を高め得る媒体処理装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため本発明の媒体処理装置においては、収容された複数の紙葉状の媒体を1枚ずつ分離して搬送部に繰り出すと共に、当該搬送部から搬送された媒体を集積する媒体収容部と、搬送部上に設けられ、媒体が正常であるか異常であるかを鑑別する鑑別部と、搬送部上に設けられ、媒体を一時的に保持する媒体保持部と、媒体収容部から全ての媒体を繰り出して媒体の総数である投入媒体枚数を計数し、当該媒体を媒体収容部へ搬送する投入媒体計数部と、媒体収容部から媒体を再び繰り出して鑑別部へ搬送し、当該鑑別部により正常と鑑別された正常媒体を媒体保持部へ搬送し保持させ、当該正常媒体の総数である正常媒体枚数を計数する正常媒体計数部と、投入媒体枚数から正常媒体枚数を減算し、異常媒体の枚数である異常媒体枚数を算出する異常媒体枚数算出部とを設けるようにした。
【0009】
この媒体処理装置は、媒体の鑑別動作を行う前に、投入媒体枚数を計数するというシンプルな動作を行うだけで、その後の鑑別動作において正確に異常媒体枚数を算出できる。
【0010】
また本発明の媒体処理装置においては、収容された複数の紙葉状の媒体を1枚ずつ分離して搬送部に繰り出すと共に、当該搬送部から搬送された媒体を集積する媒体収容部と、搬送部上に設けられ、媒体が正常であるか異常であるかを鑑別する鑑別部と、搬送部上に設けられ、媒体を一時的に保持する媒体保持部と、媒体収容部から全ての媒体を繰り出して鑑別部へ搬送し、当該鑑別部において異常と鑑別された異常媒体を媒体収容部へ搬送する媒体分別搬送部と、媒体収容部から全ての異常媒体を繰り出して当該異常媒体の総数である異常媒体枚数を計数し、当該異常媒体を媒体収容部へ搬送する異常媒体計数部とを設けるようにした。
【0011】
この媒体処理装置は、短時間で正確に異常媒体枚数を算出できる。
【0012】
さらに本発明の媒体処理装置においては、収容された複数の紙葉状の媒体を1枚ずつ分離して搬送部に繰り出すと共に、当該搬送部から搬送された媒体を集積する媒体収容部と、搬送部上に設けられ、媒体が正常であるか異常であるかを鑑別する鑑別部と、搬送部上に設けられ、媒体を一時的に保持する媒体保持部と、媒体収容部から媒体を繰り出して鑑別部へ搬送し、当該鑑別部により正常と鑑別された正常媒体を媒体保持部へ搬送し保持させる一方、当該鑑別部において異常と鑑別された媒体を媒体収容部へ搬送して媒体収容部からの媒体の繰り出しを中止する正常媒体除去搬送部と、正常媒体除去搬送部により正常媒体が除かれた全ての媒体を媒体収容部から繰り出して、当該媒体収容部から繰り出された媒体の総数である繰出媒体枚数を計数し、当該媒体を媒体収容部へ搬送する繰出媒体計数部と、媒体収容部から媒体を繰出媒体枚数分だけ再び繰り出して鑑別部へ搬送し、当該鑑別部により正常と鑑別された正常媒体を媒体保持部へ搬送し保持させ、当該正常媒体の総数である正常媒体枚数を計数する正常媒体計数部と、繰出媒体枚数から正常媒体枚数を減算し、異常媒体の枚数である異常媒体枚数を算出する異常媒体枚数算出部とを設けるようにした。
【0013】
この媒体処理装置は、媒体の鑑別動作を行う前における繰出媒体枚数を計数する時間を短縮でき、短時間で正確に異常媒体枚数を算出できる。
【0014】
また本発明の媒体処理装置においては、収容された複数の紙葉状の媒体を1枚ずつ分離して搬送部に繰り出すと共に、当該搬送部から搬送された媒体を集積する媒体収容部と、搬送部上に設けられ、媒体が正常であるか異常であるかを鑑別する鑑別部と、搬送部上に設けられ、媒体を一時的に保持する媒体保持部と、媒体収容部から全ての媒体を繰り出して鑑別部へ搬送し、当該鑑別部において異常と鑑別された異常媒体を媒体収容部へ搬送する媒体分別搬送部と、媒体収容部から異常媒体を繰り出して当該異常媒体の記番号を読み取り当該異常媒体を媒体収容部へ搬送する記番号読取部と、記番号読取部により読み取った記番号を記憶する記番号記憶部と、記番号記憶部に記憶されている記番号と同一の記番号が記番号読取部により読み取られるまで、媒体収容部から繰り出された異常媒体の枚数を計数する異常媒体計数部とを設けるようにした。
【0015】
この媒体処理装置は、同一の記番号が検出されるまで鑑別動作を行い、異常媒体枚数をカウントするというシンプルな動作を行うだけで、正確に異常媒体枚数を算出できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、異常媒体の枚数を正確に把握できる。かくして本発明は、異常媒体枚数確定の確度を高め得る媒体処理装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】現金自動取引装置の構成を示す斜視図である。
図2】紙幣入出金機の構成を示す左側面図である。
図3】紙幣入出金機の制御構成を示すブロック図である。
図4】紙幣入出金部の構成を示す左側面図である。
図5】第1の実施の形態による入金処理手順(1)を示すフローチャートである。
図6】第1の実施の形態による入金処理手順(2)を示すフローチャートである。
図7】第1の実施の形態による紙幣の経路(1)を示す略線図である。
図8】第1の実施の形態による紙幣の経路(2)を示す略線図である。
図9】第2の実施の形態による入金処理手順(1)を示すフローチャートである。
図10】第2の実施の形態による入金処理手順(2)を示すフローチャートである。
図11】第2の実施の形態による紙幣の経路(1)を示す略線図である。
図12】第2の実施の形態による紙幣の経路(2)を示す略線図である。
図13】第3の実施の形態による入金処理手順(1)を示すフローチャートである。
図14】第3の実施の形態による入金処理手順(2)を示すフローチャートである。
図15】第3の実施の形態による紙幣の経路を示す略線図である。
図16】第4の実施の形態による入金処理手順を示すフローチャートである。
図17】第4の実施の形態による紙幣の経路を示す略線図である。
図18】第5の実施の形態による入金処理手順(1)を示すフローチャートである。
図19】第5の実施の形態による入金処理手順(2)を示すフローチャートである。
図20】第5の実施の形態による紙幣の経路(1)を示す略線図である。
図21】第5の実施の形態による紙幣の経路(2)を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0019】
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動取引装置の構成]
図1に外観を示すように、現金自動取引装置1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、顧客との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行うようになされている。
【0020】
筐体2は、その前側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所、すなわち前面の上部から上面に渡る部分が斜めに切り落とされたような形状となっており、この部分に接客部3が設けられている。
【0021】
接客部3は、カード入出口4、入出金口5、操作表示部6、テンキー7及びレシート発行口8が設けられており、顧客との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うようになされている。
【0022】
カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入又は排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。
【0023】
入出金口5は、顧客が入金する紙幣が投入されると共に、顧客へ出金する紙幣が排出される部分である。また入出金口5は、シャッタを駆動することにより開放又は閉塞するようになされている。
【0024】
操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチパネルとが一体化されている。
【0025】
テンキー7は、「0」〜「9」の数字等の入力を受け付ける物理キーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。
【0026】
レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。因みにレシート発行口8の奥側には、レシートに取引内容等を印字するレシート処理部(図示せず)が設けられている。
【0027】
筐体2内には、現金自動取引装置1全体を統括制御する主制御部9や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。
【0028】
以下では、現金自動取引装置1のうち顧客が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、当該前側に対峙した顧客から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
【0029】
[1−2.紙幣入出金機の内部構成]
紙幣入出金機10は、図3に示すように、制御部12が各部(記憶部14、取忘れ回収庫22、リジェクト庫28、紙幣カセット26、シャッタ30、紙幣入出金部16、鑑別部18、搬送部24及び一時保留部20)を統轄制御する。
【0030】
制御部12は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部14から所定のプログラムを読み出して実行することにより、各部を制御して入金取引や出金取引等の種々の処理を行う。また記憶部14は、鑑別部18が鑑別した結果や、紙幣を計数した枚数や、紙幣の記番号等を記憶する。
【0031】
紙幣入出金機10の内部には、図2に示すように上側に紙幣入出金部16、紙幣の金種や真偽を判定する鑑別部18、入金紙幣等を一時的に保留する一時保留部20及び取引時に顧客が紙幣入出金部16から取り忘れた紙幣を回収して格納する取忘れ回収庫22等が設けられている。
【0032】
搬送部24は、図示しないローラやベルト等により、図中太線で示す搬送路に沿って長方形の紙幣を短辺方向に搬送するようになされている。搬送部24は、鑑別部18を前後方向に挿通させるように紙幣を搬送し、当該鑑別部18の後側と一時保留部20、取忘れ回収庫22及び紙幣入出金部16とをそれぞれ接続している。また搬送部24は、鑑別部18の前側と紙幣入出金部16、紙幣カセット26及びリジェクト庫28とを接続している。
【0033】
図4に示すように、紙幣入出金部16は主に、シャッタ30、紙幣収容部32、ビルプレス34、プールガイド36、各種ローラ(ピッカローラ38、フィードローラ40、分離ローラ42及び集積ローラ44)及び支持板50により構成されている。
【0034】
プールガイド36は、紙幣入出金部16の前寄りにおいて前後方向に往復移動可能に配置されており、ピッカローラ38の外周面を突出させる開口が設けられている。ビルプレス34は、紙幣入出金部16の後寄りにおいて前後方向に往復移動可能にプールガイド36と対向して配置されている。
【0035】
ピッカローラ38は、紙幣収容部32の前側において図中反時計回りに回転することにより、紙幣BLを繰り出す。フィードローラ40及び分離ローラ42は、ピッカローラ38により繰り出された紙幣BLを1枚ずつ分離して繰出口46を介し搬送部24(図2)へ送り出す。
【0036】
集積ローラ44は、紙幣収容部32の後側において図中時計回りに回転することにより、搬送部24(図2)から搬送された紙幣を、集積口48を介して紙幣収容部32へ集積させる。
【0037】
集積ローラ44の回転軸には、ゴム等の弾性部材で形成された舌片52が設けられている。この舌片52は、集積ローラ44と共に時計回りに回転することにより、紙幣収容部32へ送り出された紙幣BLの下端部分を叩き、当該紙幣BLをプールガイド36側に沿わせる。
【0038】
顧客との間で紙幣BLの授受を行う場合、紙幣入出金部16は、図4(A)に示すようにプールガイド36とビルプレス34とを入出金口5のほぼ中央の下側に移動させてシャッタ30を開く。
【0039】
また、紙幣収容部32へ投入された紙幣BLを1枚ずつ分離して搬送部24(図2)へ繰り出す場合、紙幣入出金部16は、図4(B)に示すように、ビルプレス34を前方へ移動させてピッカローラ38に紙幣BLを押し付け(この状態を繰出状態とも呼ぶ)、ピッカローラ38、フィードローラ40及び分離ローラ42を回転させて紙幣BLを搬送部24へ繰り出す。
【0040】
紙幣入出金部16には、光学式センサ等で構成された紙幣検出センサ(図示せず)が設けられており、当該紙幣検出センサは、紙幣収容部32の紙幣BLの存否を確認することにより紙幣収容部32の全ての紙幣BLが分離して繰り出されたか否かを検出し、その検出結果を制御部12(図1)へ通知する。
【0041】
また、異常な紙幣BL若しくは出金する紙幣BLを搬送部24(図2)を介して紙幣収容部32に集積する場合、紙幣入出金部16は、図3(C)に示すように、ビルプレス34を後方へ移動させると共にプールガイド36を紙幣入出金部16のほぼ中央に移動させ(この状態を集積状態とも呼ぶ)、集積ローラ44を回転させて紙幣BLを紙幣収容部32へ取り込み、紙幣収容部32に既に収容されている他の紙幣BLに重ねて集積させる。
【0042】
このように紙幣入出金部16は、分離繰り出しする紙幣BLと集積する紙幣BLとを共に紙幣収容部32に収容しつつ、互いに物理的に分離する仕切板を紙幣収容部32に設けないことにより、部材を簡略化するようになされている。
【0043】
また紙幣入出金部16における集積口48の近傍には、光学式センサ等で構成され、通過する紙幣を検出する集積口センサ(図示せず)が設けられており、当該集積口センサは、その検出結果を制御部12(図1)へ通知する。制御部12は、当該検出結果に基づいて紙幣の枚数を計数する。
【0044】
鑑別部18(図2)は、その内部で紙幣を搬送しながら、光学素子や磁気検出素子等を用いて当該紙幣の金種及び真偽、並びに損傷の程度等(正損)を鑑別し、その鑑別結果を制御部12(図1)へ通知する。これに応じて制御部12は、取得した鑑別結果に基づいて当該紙幣の搬送先を決定する。
【0045】
また鑑別部18は、撮像した紙幣の画像データから、紙幣毎に付与されその紙幣の一面に予め印刷された英数字等で構成された紙幣識別情報である記番号を読み取ると共に、内部を搬送させた紙幣の枚数を計数し、計数結果を制御部12へ通知するようにもなされている。
【0046】
一時保留部20は、入金時に顧客が紙幣入出金部16へ投入した紙幣を一時的に保留し、鑑別部18で入金可能と鑑別された正常紙幣を入金が確定するまで一時的に保留する一方、入金不可と鑑別された異常紙幣を、所謂後入れ先出しで紙幣入出金部16へ排出する。
【0047】
一時保留部20における紙幣の出入口の近傍には、光学式センサ等で構成され、通過する紙幣を検出する保留部センサ(図示せず)が設けられており、当該保留部センサは、その検出結果を制御部12(図1)へ通知する。制御部12は、当該検出結果に基づいて紙幣の枚数を計数する。
【0048】
また紙幣入出金機10の内部には、下側に金種別の紙幣カセット26(26A〜26D)と、鑑別部18において破損した紙幣(いわゆる損券)と鑑別された紙幣及び5千券や2千券等の還流されない金種の紙幣を格納するリジェクト庫28とが設けられている。
【0049】
紙幣カセット26は、収納排出機構により、搬送部24から搬送されてきた紙幣を取り込んで収納すると共に、収納されている紙幣を排出して搬送部24へ供給するようになされている。
【0050】
[1−3.入金処理]
次に、現金自動取引装置1による入金処理の具体的な処理手順について、図5及び図6のフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0051】
紙幣入出金機10の制御部12は、顧客が紙幣を入金する入金取引を行う場合、操作表示部6を介して所定の操作入力を受け付けた後、入出金口5のシャッタ30を開いて紙幣収容部32内へ紙幣を投入させる。
【0052】
制御部12は、記憶部14から入金処理プログラムを読み出して実行することにより入金処理手順RT1を開始し、ステップSP1へ移る。
【0053】
ステップSP1において制御部12は、正常紙幣カウンタ及びリトライカウンタを"0"で初期化し、次のステップSP2へ移る。
【0054】
ここで正常紙幣カウンタは、鑑別部18で正常紙幣と鑑別された紙幣の枚数を示しており、リトライカウンタは、鑑別部18で異常紙幣が検出され、当該異常紙幣及び後続紙幣が一旦紙幣入出金部16に戻された後に、紙幣入出金部16から再び次の紙幣を繰り出した回数(すなわち鑑別動作をリトライした回数)を示している。
【0055】
ステップSP2において制御部12は、紙幣入出金部16を繰出状態に移行させ、当該紙幣入出金部16に投入された紙幣の全てである全投入紙幣BLaを、図7に示すように鑑別部18を経由して一時保留部20へ搬送する。
【0056】
ステップSP3において制御部12は、紙幣入出金部16を繰出状態から集積状態に移行させ、一時保留部20に保持した全投入紙幣BLaを図7に示すように紙幣入出金部16へ搬送する。このとき制御部12は、集積口センサから通知された検出結果に基づき紙幣の枚数の計数を行い、投入紙幣カウンタを設定し、次のステップSP4へ移る。ここで投入紙幣カウンタは、顧客が紙幣入出金部16に投入した投入紙幣の総数である投入紙幣枚数を示している。
【0057】
このように制御部12は、鑑別部18に紙幣を搬送し判定結果に基づき紙幣の搬送先を決定する鑑別動作を行う前に、全投入紙幣BLaの総数を計数し、投入紙幣枚数を得るようになされている。
【0058】
ステップSP4において制御部12は、紙幣入出金部16から1枚ずつ紙幣を連続分離により鑑別部18へ搬送して鑑別処理を行うことにより正常紙幣か異常紙幣かを判定し、次のステップSP5へ移る。
【0059】
ここで、連続分離とは、先行する紙幣が鑑別部18により鑑別される前に、紙幣収容部32に存在する紙幣を紙幣入出金部16が連続して1枚ずつ分離して搬送部24へ繰り出すことを示している。これにより紙幣入出金機10は、鑑別部18の鑑別処理時間や、搬送部24の分岐点に設けられた切替ブレード(図示せず)の動作時間等を考慮しつつ、入金処理を短い時間で完了させることができる。
【0060】
このため連続分離においては、紙幣入出金部16から繰り出された紙幣が鑑別部18により鑑別されたとき、鑑別部18と紙幣入出金部16との間の搬送部24上に、一又は複数の後続紙幣が存在することになる。
【0061】
ステップSP5において正常紙幣であると判定された場合、制御部12はステップSP6へ移り、図8に示すように当該正常紙幣BLbを鑑別部18から一時保留部20へ搬送して保持させ、次のステップSP7へ移る。
【0062】
ステップSP7において制御部12は、保留部センサから通知された検出結果に基づき紙幣の枚数の計数を行って正常紙幣カウンタを1だけ加算し、次のステップSP13へ移る。
【0063】
一方ステップSP5において異常紙幣であると判定された場合、制御部12はステップSP8へ移り、紙幣入出金部16からの紙幣の繰り出しを停止させ、次のステップSP9へ移る。
【0064】
ステップSP9において制御部12は、図8に示すように、鑑別部18において異常紙幣BLcと判定された紙幣と、搬送部24上に搬送されており当該鑑別部18において未だ鑑別されていない後続紙幣と(以下ではまとめて異常紙幣BLcとも呼ぶ)を一時保留部20へ搬送して保持させ、次のステップSP10へ移る。
【0065】
ステップSP10において制御部12は、紙幣入出金部16を繰出状態から集積状態に移行させ、図8に示すように、一時保留部20に保持した異常紙幣BLcを紙幣入出金部16へ搬送し、次のステップSP11へ移る。
【0066】
ステップSP11において制御部12は、リトライカウンタを1だけ加算し、次のステップSP12へ移る。
【0067】
ステップSP12において制御部12は、リトライカウンタがリトライ限度回数より小さいか否かを判定する。
【0068】
リトライ限度回数とは、予め設定された、鑑別部18において異常紙幣が検出された後に鑑別動作を再開する回数(リトライ回数)の最大値を示している。
【0069】
ステップSP12において肯定結果が得られると、このことはリトライカウンタがリトライ限度回数に達していないため、この後も引き続き鑑別動作を行うことを表し、このとき制御部12はステップSP13へ移る。
【0070】
ステップSP13において制御部12は、紙幣入出金部16から紙幣を投入紙幣カウンタ分だけ繰り出したか否かを判定する。
【0071】
ステップSP13において否定結果が得られると、このことはこの後も引き続き鑑別動作を行うことを表し、このとき制御部12はステップSP4へ戻り、紙幣入出金部16からの紙幣の繰り出しを続行する。
【0072】
一方ステップSP12において否定結果が得られると、このことはリトライカウンタがリトライ限度回数に達したため、これ以上は鑑別動作を行わないことを表し、このとき制御部12はステップSP14へ移る。
【0073】
また、ステップSP13において否定結果が得られると、このことは紙幣入出金部16から紙幣を投入紙幣カウンタ分だけ繰り出したため、紙幣入出金部16に投入された紙幣の全てを一通り鑑別したことを意味し、このとき制御部12はステップSP14へ移る。
【0074】
ステップSP14において制御部12は、投入紙幣カウンタから正常紙幣カウンタを減算することにより、異常紙幣の枚数を算出し、次のステップSP15へ移る。
【0075】
ステップSP15において制御部12は、今回の入金処理における正常紙幣及び異常紙幣の枚数を、操作表示部6を介して顧客へ報告し、次のステップSP16へ移る。
【0076】
制御部12は、ステップSP16において、紙幣入出金部16に集積された異常紙幣を顧客に返却して、ステップSP17において、一時保留部20に保持している正常紙幣を紙幣カセット26へ搬送し、ステップSP18へ移り、入金処理手順RT1を終了する。
【0077】
因みに投入紙幣が全て正常紙幣であった場合、制御部12は、ステップSP13において肯定結果を得て、ステップSP14において異常紙幣枚数として0枚を算出し、ステップSP15において正常紙幣の枚数のみを顧客へ報告し、ステップSP16において異常紙幣の返却を行わず、ステップSP17において正常紙幣の搬送を行い、ステップSP18へ移り入金処理手順RT1を終了する。
【0078】
[1−4.動作及び効果]
以上の構成において紙幣入出金機10は、まず鑑別を行わずに投入紙幣枚数を計数する。その後紙幣入出金機10は、鑑別部18により鑑別を行い、正常紙幣を一時保留部20へ搬送して枚数を計数すると共に、異常紙幣を一時保留部20を介して紙幣入出金部16へ搬送して集積させる。
【0079】
紙幣入出金部16に収容された投入紙幣の鑑別を一通り行った後、紙幣入出金機10は、投入紙幣枚数から正常紙幣枚数を減算することにより、異常紙幣枚数を算出する。
【0080】
ここで、異常紙幣は、複数枚が重なり重送してしまっている場合等があるため、鑑別部18により異常と判定された紙幣の枚数を単純に計数した場合、紙幣入出金機10は、正確に異常紙幣枚数を把握できない可能性がある。
【0081】
これに対し紙幣入出金機10においては、1枚ずつ正確に計数できる正常紙幣枚数を用いるため、正確に異常紙幣枚数を算出でき、顧客トラブルを防止できる。
【0082】
また紙幣入出金機10においては、紙幣の鑑別動作を行う前に、投入紙幣枚数を計数するというシンプルな動作を行うだけで、その後の鑑別動作において正確に異常紙幣枚数を算出できる。
【0083】
ここで、分離繰り出しする紙幣と集積する紙幣とを物理的に分離する仕切板が設けられた紙幣入出金部を有する紙幣入出金機の場合、投入紙幣枚数を計数することなく、投入紙幣を鑑別部により鑑別し、正常紙幣を一時保留部に保持させる一方、異常紙幣を紙幣入出金部へ集積する。
【0084】
紙幣入出金部において異常紙幣は、繰り出される紙幣とは仕切板で物理的に分離されているため、一体になることはない。このため紙幣入出金機10は、紙幣入出金部16から繰り出す紙幣と、当該紙幣入出金部16に集積する紙幣とを物理的に分離して管理できるため、異常紙幣枚数を正確に把握できる。
【0085】
これに対し本実施の形態による紙幣入出金部16は、分離繰り出しする紙幣と集積する紙幣とを物理的に分離する仕切板を設けないことにより、部材を簡略化しコストダウンができる。紙幣入出金部16では繰り出す紙幣の上に異常紙幣が接触して集積されるため、紙幣入出金機10は、紙幣入出金部16から繰り出す紙幣と、当該紙幣入出金部16に集積する紙幣とを物理的に分離して管理していない。このため紙幣入出金機10は、異常紙幣枚数を正確に把握できない可能性がある。
【0086】
これに対し本実施の形態による紙幣入出金機10は、まず投入紙幣枚数を確定し、その後1枚ずつ正確に計数できる正常紙幣を投入紙幣枚数から減算することにより、正確に異常紙幣枚数を算出することができる。
【0087】
以上の構成によれば紙幣入出金機10は、繰り出される紙幣と集積される紙幣とを分別せず収容する紙幣入出金部16から全ての紙幣を繰り出して鑑別部18を介し一時保留部20へ搬送した後に紙幣入出金部16へ搬送することにより、紙幣入出金部16から繰り出された紙幣の総数である投入紙幣枚数を計数する投入媒体計数部と、紙幣入出金部16から紙幣を再び投入紙幣枚数分だけ繰り出して鑑別部18へ搬送し、当該鑑別部18において異常と鑑別された異常紙幣を後続紙幣と共に紙幣入出金部16へ搬送する一方、当該鑑別部18により正常と鑑別された正常紙幣を一時保留部20へ搬送し保持させ、当該正常紙幣の総数である正常紙幣枚数を計数する正常媒体計数部と、投入紙幣枚数から正常紙幣枚数を減算し、異常紙幣の枚数である異常紙幣枚数を算出する異常媒体枚数算出部として制御部12を機能させるようにした。
【0088】
これにより紙幣入出金機10は、紙幣入出金部16において繰り出す紙幣と集積する紙幣とを分別せず収容する場合であっても、紙幣の鑑別動作を行う前に、投入紙幣枚数を計数するというシンプルな動作を行うだけで、その後の鑑別動作において正確に異常紙幣枚数を算出できる。
【0089】
[2.第2の実施の形態]
[2−1.紙幣入出金機の構成]
図1に示すように、第2の実施の形態による現金自動取引装置101は、第1の実施の形態による現金自動取引装置1と比べて、紙幣入出金機110が紙幣入出金機10と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
【0090】
図3に示すように、紙幣入出金機110は紙幣入出金機10と比べて制御部112が制御部12と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
【0091】
[2−2.入金処理]
紙幣入出金機110の制御部112は、顧客が紙幣を入金する入金取引を行う場合、操作表示部6を介して所定の操作入力を受け付けた後、入出金口5のシャッタ30を開いて紙幣収容部32内へ紙幣を投入させる。
【0092】
制御部112は、記憶部14から入金処理プログラムを読み出して実行することにより、図9及び図10に示す入金処理手順RT2を開始し、ステップSP21へ移る。
【0093】
ステップSP21において制御部112は、異常紙幣カウンタ及びリトライカウンタを"0"で初期化し、次のステップSP22へ移る。ここで異常紙幣カウンタは、鑑別部18で異常紙幣と鑑別された紙幣の枚数を示している。
【0094】
ステップSP22において制御部112は、紙幣入出金部16から1枚ずつ紙幣を連続分離により鑑別部18へ搬送して鑑別処理を行うことにより正常紙幣か異常紙幣かを判定し、次のステップSP23へ移る。
【0095】
ステップSP23において正常紙幣であると判定された場合、制御部112はステップSP24へ移り、図11に示すように当該正常紙幣BLbを鑑別部18から一時保留部20へ搬送して保持させ、次のステップSP30へ移る。
【0096】
一方ステップSP23において異常紙幣であると判定された場合、制御部112はステップSP25へ移る。ステップSP25からステップSP29まで、制御部112は上述した第1の実施の形態による入金処理手順RT1(図6)におけるステップSP8からステップSP12までと同様の処理を行う。
【0097】
これにより制御部112は、図11に示すように、鑑別部18において異常紙幣BLcと判定された紙幣と、搬送部24上に搬送されており当該鑑別部18において未だ鑑別されていない後続紙幣と(以下ではまとめて異常紙幣BLcとも呼ぶ)を一時保留部20へ搬送して保持させた後、紙幣入出金部16へ搬送し、次のステップSP30へ移る。
【0098】
ステップSP30において制御部112は、紙幣入出金部16の紙幣検出センサから通知された検出結果に基づき、当該紙幣入出金部16の紙幣全てを繰り出したか否かを判定する。
【0099】
ステップSP30において否定結果が得られると、このことはこの後も引き続き鑑別動作を行うことを表し、このとき制御部112はステップSP22へ戻り、紙幣入出金部16からの紙幣の繰り出しを続行する。
【0100】
一方ステップSP30において肯定結果が得られると、このことは紙幣入出金部16から紙幣を全て繰り出したため、紙幣入出金部16に投入された紙幣の全てを一通り鑑別したことを意味し、このとき制御部112はステップSP31へ移る。
【0101】
この状態において、正常紙幣は一時保留部20に保持され、異常紙幣は紙幣入出金部16に集積されている。このため制御部112は後述する処理を行い、紙幣入出金部16に集積された異常紙幣を計数する。
【0102】
ステップSP31において制御部112は、紙幣入出金部16を繰出状態に移行させ、当該紙幣入出金部16に集積された異常紙幣BLcの全てを、図12に示すように鑑別部18を経由して一時保留部20へ搬送する。
【0103】
ステップSP32において制御部112は、紙幣入出金部16を繰出状態から集積状態に移行させ、一時保留部20に保持した全ての異常紙幣BLcを図12に示すように紙幣入出金部16へ搬送する。このとき制御部112は、集積口センサから通知された検出結果に基づき紙幣の枚数の計数を行い、異常紙幣カウンタを設定し、次のステップSP33へ移る。
【0104】
ステップSP33からステップSP36まで、制御部112は第1の実施の形態による入金処理手順RT1(図6)におけるステップSP15からステップSP18までと同様の処理を行い、入金処理手順RT2を終了する。
【0105】
因みに投入紙幣が全て正常紙幣であった場合、制御部112は、ステップSP30において肯定結果を得て、ステップSP31及びSP32の処理は行わず、ステップSP33において正常紙幣の枚数のみを顧客へ報告し、ステップSP34において異常紙幣の返却を行わず、ステップSP35において正常紙幣の搬送を行い、ステップSP36へ移り入金処理手順RT2を終了する。
【0106】
[2−3.動作及び効果]
以上の構成において紙幣入出金機110は、紙幣入出金部16に投入された紙幣を鑑別部18により鑑別を行い、正常紙幣を一時保留部20へ搬送すると共に、異常紙幣を一時保留部20を介して紙幣入出金部16へ搬送して集積させる。
【0107】
投入紙幣の鑑別を一通り行った後、紙幣入出金機110は、紙幣入出金部16に集積された異常紙幣を、一時保留部20を介して紙幣入出金部16へ搬送して集積させ、異常紙幣枚数を計数する。
【0108】
このように、上述した第1の実施の形態による紙幣入出金機10では、まず投入紙幣全てを計数し、さらに正常紙幣を計数する必要があったが、本実施の形態による紙幣入出金機110では、正常紙幣が除かれ紙幣入出金部16に集積された異常紙幣の枚数のみを計数するようにした。
【0109】
これにより紙幣入出金機110は、紙幣入出金機10と比べて、紙幣入出金部16に集積された異常紙幣の枚数が、投入紙幣の枚数よりも減っている可能性が高いため、異常紙幣枚数を確定する動作の処理に要する時間を短縮できる。
【0110】
以上の構成によれば紙幣入出金機110は、繰り出される紙幣と集積される紙幣とを分別せず収容する紙幣入出金部16から全ての紙幣を繰り出して鑑別部18へ搬送し、当該鑑別部18において異常と鑑別された異常紙幣を後続紙幣と共に紙幣入出金部16へ搬送する一方、当該鑑別部18により正常と鑑別された正常紙幣を一時保留部20へ搬送し保持させる媒体分別搬送部と、紙幣入出金部16から全ての異常紙幣を繰り出して一時保留部20へ搬送した後に紙幣入出金部16へ搬送し、当該異常紙幣の総数である異常紙幣枚数を計数する異常媒体計数部として制御部112を機能させるようにした。
【0111】
これにより紙幣入出金機110は、紙幣入出金部16において繰り出す紙幣と集積する紙幣とを分別せず収容する場合であっても、短時間で正確に異常紙幣枚数を算出できる。
【0112】
[3.第3の実施の形態]
[3−1.紙幣入出金機の構成]
図1に示すように、第3の実施の形態による現金自動取引装置201は、第1の実施の形態による現金自動取引装置1と比べて、紙幣入出金機210が紙幣入出金機10と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
【0113】
図3に示すように、紙幣入出金機210は紙幣入出金機10と比べて制御部212が制御部12と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
【0114】
[3−2.入金処理]
制御部212は、入金処理手順RT2(図9及び図10)におけるステップSP21からステップSP32までと同様の処理を行った後、図13及び図14に示す入金処理手順RT3を開始し、ステップSP41へ移る。
【0115】
ここで、制御部212が入金処理手順RT2におけるステップSP32までの処理を行った際、異常紙幣として紙幣入出金部16に集積した紙幣に、実際には正常な紙幣が含まれている可能性あるため、制御部212は以下の処理を行うことにより、異常紙幣として紙幣入出金部16に集積した紙幣から、実際には正常である紙幣を取り除く。
【0116】
ステップSP41において制御部212は、正常紙幣カウンタ及びリトライカウンタを"0"で初期化し、次のステップSP42へ移る。
【0117】
ステップSP42において制御部212は、紙幣入出金部16から1枚ずつ紙幣を間欠分離により鑑別部18へ搬送して鑑別処理を行うことにより正常紙幣か異常紙幣かを判定し、次のステップSP43へ移る。
【0118】
ここで、間欠分離とは、先行する紙幣が鑑別部18により鑑別された後に、紙幣収容部32に存在する紙幣を紙幣入出金部16が1枚ずつ分離して搬送部24へ繰り出すことを示している。
【0119】
このため間欠分離においては、紙幣入出金部16から繰り出された紙幣が鑑別部18により鑑別されたとき、鑑別部18と紙幣入出金部16との間の搬送部24上には後続紙幣が存在しないことになる。
【0120】
ステップSP43からステップSP46まで、制御部212は第1の実施の形態による入金処理手順RT1(図5及び図6)におけるステップSP5からステップSP8までと同様の処理を行い、図15に示すように正常紙幣BLbを一時保留部20へ搬送してステップSP47へ移る。
【0121】
ステップSP47において制御部212は、図15に示すように、紙幣入出金部16を繰出状態から集積状態に移行させて、一時保留部20へ搬送することなく異常紙幣BLcを紙幣入出金部16へ搬送し、次のステップSP48へ移る。
【0122】
ステップSP48とステップSP49において、制御部212は入金処理手順RT1(図6)におけるステップSP11及びステップSP12までと同様の処理を行い、ステップSP50へ移る。
【0123】
ステップSP50において制御部212は、紙幣入出金部16から紙幣をステップSP32(図10)において設定した異常紙幣カウンタ分だけ繰り出したか否かを判定する。
【0124】
ステップSP50において否定結果が得られると、このことはこの後も引き続き鑑別動作を行うことを表し、このとき制御部212はステップSP42へ戻り、紙幣入出金部16からの紙幣の繰り出しを続行する。
【0125】
一方ステップSP50において肯定結果が得られると、このことは紙幣入出金部16から紙幣を全て繰り出したため紙幣入出金部16に集積された異常紙幣の全てを一通り鑑別したとみなし、このとき制御部212はステップSP51へ移る。
【0126】
ステップSP51において制御部212は、ステップSP32(図10)において設定した異常紙幣カウンタからステップSP45において設定した正常紙幣カウンタを減算することにより、間欠分離により鑑別動作を行った際の異常紙幣の枚数を示す間欠分離後異常紙幣の枚数を算出し、次のステップSP52へ移る。
【0127】
ステップSP52からステップSP55まで、制御部212は第1の実施の形態による入金処理手順RT1(図6)におけるステップSP15からステップSP18までと同様の処理を行い、入金処理手順RT3を終了する。
【0128】
ここで制御部212は、ステップSP52において、今回の入金処理における正常紙幣及び間欠分離後異常紙幣の枚数を顧客へ報告し、ステップSP53において、紙幣入出金部16に集積された間欠分離後異常紙幣を顧客に返却する。
【0129】
またステップSP54において制御部212は、第2の実施の形態による入金処理手順RT2(図10)におけるステップSP32において異常紙幣として紙幣入出金部16に搬送された紙幣であっても、その後の入金処理手順RT3のステップSP43においては正常紙幣と判定され一時保留部20に保持された紙幣は、実際には正常紙幣であったと判断し、当該正常紙幣を紙幣カセット26へ搬送する。
【0130】
[3−3.動作及び効果]
以上の構成において紙幣入出金機210は、紙幣入出金部16に投入された紙幣を鑑別部18により鑑別を行い、正常紙幣を一時保留部20へ搬送して枚数を計数すると共に、後続紙幣を含む異常紙幣を一時保留部20を介して紙幣入出金部16へ搬送して集積させる。
【0131】
投入紙幣の鑑別を一通り行った後、紙幣入出金機210は、紙幣入出金部16に集積された異常紙幣を、一時保留部20を介して紙幣入出金部16へ搬送して集積させ、異常紙幣枚数を計数する。
【0132】
ここで、鑑別動作を行う際、異常紙幣と鑑別された紙幣の後続紙幣も異常紙幣とみなし、紙幣入出金部16へ搬送するため、当該後続紙幣が実際には正常紙幣である場合であっても、異常紙幣として紙幣入出金部16へ搬送されてしまう可能性があった。
【0133】
これに対し紙幣入出金機210は、紙幣入出金部16に集積された、正常紙幣を含む可能性がある異常紙幣を、間欠分離により1枚ずつ搬送し、鑑別動作を行うようにした。
【0134】
間欠分離においては、紙幣入出金部16から繰り出された紙幣が鑑別部18により鑑別されたとき、鑑別部18と紙幣入出金部16との間の搬送部24上には後続紙幣が存在しないため、鑑別部18で異常紙幣が検出された場合、正常紙幣の可能性がある後続紙幣を異常紙幣と共に紙幣入出金部16に戻してしまうことを防ぐことができる。
【0135】
このため紙幣入出金機210は、鑑別動作を行った結果紙幣入出金部16に集積された紙幣に、正常紙幣が含まれてしまっている場合であっても、当該正常紙幣を異常紙幣から取り除くことができるため、異常紙幣の枚数をさらに正確に把握することができる。
【0136】
以上の構成によれば紙幣入出金機210は、繰り出される紙幣と集積される紙幣とを分別せず収容する紙幣入出金部16から全ての紙幣を繰り出して鑑別部18へ搬送し、当該鑑別部18において異常と鑑別された異常紙幣を後続紙幣と共に紙幣入出金部16へ搬送する一方、当該鑑別部18により正常と鑑別された正常紙幣を一時保留部20へ搬送し保持させる媒体分別搬送部と、紙幣入出金部16から全ての異常紙幣を繰り出して一時保留部20へ搬送した後に紙幣入出金部16へ搬送し、当該異常紙幣の総数である異常紙幣枚数を計数する異常媒体計数部として制御部212を機能させる。
【0137】
また紙幣入出金機210は、異常媒体計数部により計数された異常紙幣を、先行する異常紙幣が鑑別部18により鑑別された後に後続の異常紙幣を繰り出す間欠分離により紙幣入出金部16から異常紙幣枚数分だけ繰り出して鑑別部18へ搬送し、当該鑑別部18において異常と鑑別された間欠分離後異常紙幣を紙幣入出金部16へ搬送する一方、当該鑑別部18により正常と鑑別された間欠分離後正常紙幣を一時保留部20へ搬送し保持させ、当該間欠分離後正常紙幣の総数である間欠分離後正常紙幣枚数を計数する間欠分離後正常媒体計数部と、異常紙幣枚数から間欠分離後正常紙幣枚数を減算し、間欠分離後異常紙幣枚数を算出する間欠分離後異常媒体枚数算出部として制御部212を機能させるようにした。
【0138】
これにより紙幣入出金機210は、紙幣入出金部16において繰り出す紙幣と集積する紙幣とを分別せず収容する場合であっても、より正確に異常紙幣枚数を算出できる。
【0139】
[4.第4の実施の形態]
[4−1.紙幣入出金機の構成]
図1に示すように、第4の実施の形態による現金自動取引装置301は、第1の実施の形態による現金自動取引装置1と比べて、紙幣入出金機310が紙幣入出金機10と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
【0140】
図3に示すように、紙幣入出金機310は、紙幣入出金機10と比べて、制御部312が制御部12と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
【0141】
[4−2.入金処理]
紙幣入出金機310の制御部312は、顧客が紙幣を入金する入金取引を行う場合、操作表示部6を介して所定の操作入力を受け付けた後、入出金口5のシャッタ30を開いて紙幣収容部32内へ紙幣を投入させる。
【0142】
制御部312は、記憶部14から入金処理プログラムを読み出して実行することにより、図16に示す入金処理手順RT4を開始し、ステップSP61へ移る。
【0143】
ステップSP61において制御部312は、紙幣入出金部16から1枚ずつ紙幣を連続分離により鑑別部18へ搬送して鑑別処理を行うことにより正常紙幣か異常紙幣かを判定し、次のステップSP62へ移る。
【0144】
ステップSP62において正常紙幣であると判定された場合、制御部312はステップSP63へ移り、図17に示すように当該正常紙幣BLbを鑑別部18から一時保留部20へ搬送して保持させ、次のステップSP64へ移る。
【0145】
ステップSP64において制御部312は、紙幣入出金部16の紙幣検出センサから通知された検出結果に基づき、当該紙幣入出金部16の紙幣全てを繰り出したか否かを判定する。
【0146】
ステップSP64において否定結果が得られると、このことはこの後も引き続き鑑別動作を行うことを表し、このとき制御部312はステップSP61へ戻り、紙幣入出金部16からの紙幣の繰り出しを続行する。
【0147】
一方ステップSP64において肯定結果が得られると、このことは、紙幣入出金部16から紙幣を全て繰り出し、且つ投入紙幣は全て正常紙幣であったことを表しているため、制御部312はステップSP65へ移り、今回の入金処理における正常紙幣の枚数を操作表示部6を介して顧客へ報告し、次のステップSP66へ移り一時保留部20に保持している正常紙幣を紙幣カセット26へ搬送し、ステップSP67へ移り、入金処理手順RT4を終了する。
【0148】
一方ステップSP62において異常紙幣であると判定された場合、制御部412はステップSP68へ移り紙幣入出金部16からの紙幣の繰り出しを停止させ、次のステップSP69へ移り、紙幣入出金部16を繰出状態から集積状態に移行させて、一時保留部20へ搬送することなく異常紙幣BLc1を紙幣入出金部16へ搬送し、次のステップSP70へ移り、第1の実施の形態による入金処理手順RT1(図5)におけるステップSP1に入る。
【0149】
[4−3.動作及び効果]
以上の構成において紙幣入出金機310は、鑑別部18により鑑別を行い、異常紙幣を検出するまでは、正常紙幣を一時保留部20へ搬送する。
【0150】
最初の(1枚目の)異常紙幣BLc1を検出すると、紙幣入出金機310は当該異常紙幣BLc1を紙幣入出金部16へ戻して入金処理手順RT1へ移り、ステップSP2において、投入紙幣の内、最初の異常紙幣BLc1が検出されるまでの正常紙幣の枚数が除かれた紙幣入出金部16内の紙幣を計数し、以降の処理を行う。
【0151】
このためステップSP2において設定される投入紙幣カウンタは、紙幣入出金部16に投入された紙幣から、最初の異常紙幣が検出されるまでの正常紙幣を除いた枚数となる。
【0152】
これにより紙幣入出金機310は、紙幣入出金部16の紙幣の総数を計数する際の紙幣枚数を減らすことができると共に、その後の処理において正常紙幣と異常紙幣を鑑別する際の正常枚数の計数枚数を減らすことができ、処理を簡略化させることができる。
【0153】
以上の構成によれば紙幣入出金機310は、繰り出される紙幣と集積される紙幣とを分別せず収容する紙幣入出金部16から媒体を繰り出して鑑別部18へ搬送し、当該鑑別部18により正常と鑑別された正常媒体を一時保留部20へ搬送し保持させる一方、当該鑑別部18において異常と鑑別された紙幣を紙幣入出金部16へ搬送して紙幣入出金部16からの紙幣の繰り出しを中止する正常媒体除去搬送部と、正常媒体除去搬送部により投入紙幣から正常紙幣が除かれた全ての紙幣を紙幣入出金部16から繰り出して鑑別部18を介し一時保留部20へ搬送した後に紙幣入出金部16へ搬送することにより、紙幣入出金部16から繰り出された紙幣の総数である繰出紙幣枚数を計数する繰出媒体計数部と、紙幣入出金部16から紙幣を再び繰出紙幣枚数分だけ繰り出して鑑別部18へ搬送し、当該鑑別部18において異常と鑑別された異常紙幣を後続紙幣と共に紙幣入出金部16へ搬送する一方、当該鑑別部18により正常と鑑別された正常紙幣を一時保留部20へ搬送し保持させ、当該正常紙幣の総数である正常紙幣枚数を計数する正常媒体計数部と、繰出紙幣枚数から正常紙幣枚数を減算し、異常紙幣の枚数である異常紙幣枚数を算出する異常媒体枚数算出部として制御部312を機能させるようにした。
【0154】
これにより紙幣入出金機310は、紙幣入出金部16において繰り出す紙幣と集積する紙幣とを分別せず収容する場合であっても、紙幣の鑑別動作を行う前における繰出紙幣枚数を計数する時間を短縮でき、短時間で正確に異常紙幣枚数を算出できる。
【0155】
[5.第5の実施の形態]
[5−1.紙幣入出金機の構成]
図1に示すように、第5の実施の形態による現金自動取引装置401は、第1の実施の形態による現金自動取引装置1と比べて、紙幣入出金機410が紙幣入出金機10と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
【0156】
図3に示すように、紙幣入出金機410は、紙幣入出金機10と比べて、制御部412が制御部12と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
【0157】
[5−2.入金処理]
紙幣入出金機410の制御部412は、顧客が紙幣を入金する入金取引を行う場合、操作表示部6を介して所定の操作入力を受け付けた後、入出金口5のシャッタ30を開いて紙幣収容部32内へ紙幣を投入させる。
【0158】
制御部412は、記憶部14から入金処理プログラムを読み出して実行することにより、図18及び図19に示す入金処理手順RT5を開始し、ステップSP71へ移る。
【0159】
ステップSP71からステップSP80まで、制御部412は第2の実施の形態による入金処理手順RT2(図9及び図10)におけるステップSP21からステップSP30までと同様の処理を行い、ステップSP81へ移る。
【0160】
この状態において、正常紙幣は一時保留部20に保持され、異常紙幣は紙幣入出金部16に集積されている。このため制御部412は後述する処理を行い、紙幣入出金部16に集積された異常紙幣を計数する。
【0161】
ステップSP81において制御部412は、紙幣入出金部16から紙幣を連続分離により鑑別部18へ例えば3枚搬送し、次のステップSP82へ移る。
【0162】
ステップSP82において制御部412は、紙幣に印刷された記番号を鑑別部18において読み取り、記憶部14に記憶させ、次のステップSP83へ移り、読み取った記番号が既に記憶部14に記憶されているか否かを判定する。因みに、3枚の異常紙幣の内の先頭の異常紙幣が鑑別部18を通過する際、後続の2枚の異常紙幣は、鑑別部18と紙幣入出金部16との間の搬送部24上に存在している。
【0163】
ステップSP83において否定結果が得られると、このことは、読み取った記番号はまだ記憶部14には記憶されていないものであること(すなわち、異常紙幣枚数の計数を開始してから、その紙幣が初めて鑑別部18を通過したこと)を表しており、このとき制御部412はステップSP84へ戻り、読み取った記番号を記憶部14に追加して記憶させ、次のステップSP85へ移る。
【0164】
ステップSP85において制御部412は、異常紙幣カウンタを1だけ加算し、次のステップSP86へ移る。これにより、3枚の異常紙幣が鑑別部18を通過すると、異常紙幣カウンタは3だけ加算されることとなる。
【0165】
ステップSP86において制御部412は、紙幣入出金部16を繰出状態から集積状態に移行させ、一時保留部20を介さずに、3枚の異常紙幣を紙幣入出金部16へ搬送し、ステップSP81へ戻り、紙幣入出金部16からの異常紙幣の繰り出しを3枚ずつ続行する。
【0166】
一方ステップSP83において肯定結果が得られると、このことは、読み取った記番号が既に記憶部14に記憶されているため、異常紙幣の全てを一通り計数したことを意味し、このとき制御部412はステップSP87へ移る。
【0167】
ステップSP87において制御部412は、既に記憶部14に記憶された記番号と同一の記番号を有する異常紙幣を含む、搬送部24上の3枚の異常紙幣全てを、一時保留部20を介さずに紙幣入出金部16へ戻す。
【0168】
ステップSP88において制御部412は、今回の入金処理における正常紙幣及び異常紙幣(異常紙幣カウンタに設定された数値)の枚数を、操作表示部6を介して顧客へ報告し、次のステップSP89へ移る。
【0169】
制御部412は、ステップSP89において紙幣入出金部16に集積された異常紙幣を顧客に返却して、ステップSP90において一時保留部20に保持している正常紙幣を紙幣カセット26へ搬送し、ステップSP91へ移り、入金処理手順RT4を終了する。
【0170】
[5−3.動作及び効果]
以上の構成において紙幣入出金機410は、紙幣入出金部16に投入された紙幣を鑑別部18により鑑別を行い、正常紙幣を一時保留部20へ搬送すると共に、異常紙幣を一時保留部20を介して紙幣入出金部16へ搬送して集積させる。
【0171】
投入紙幣の鑑別を一通り行った後、紙幣入出金機410は、紙幣入出金部16に集積された異常紙幣を、鑑別部18により記番号を読み取りながら一時保留部20を介さずに紙幣入出金部16へ戻す。
【0172】
紙幣入出金機410は、鑑別部18により、既に記番号を読み取った紙幣(すなわち異常紙幣として既にカウントした紙幣)を検出した場合、紙幣入出金部16の全ての異常紙幣を計数したとみなし、異常紙幣カウンタを異常紙幣枚数として設定する。
【0173】
これにより紙幣入出金機410は、鑑別部18により記番号を読み取るという処理を行うだけで、一時保留部20に異常紙幣を一旦保留することなく、異常紙幣の枚数を確定できる。
【0174】
以上の構成によれば紙幣入出金機410は、繰り出される紙幣と集積される紙幣とを分別せず収容する紙幣入出金部16から全ての紙幣を繰り出して鑑別部18へ搬送し、当該鑑別部18において異常と鑑別された異常紙幣を後続紙幣と共に紙幣入出金部16へ搬送する一方、当該鑑別部18により正常と鑑別された正常媒体を一時保留部20へ搬送し保持させる媒体分別搬送部として制御部412を機能させ、紙幣入出金部16から異常紙幣を繰り返し繰り出して当該異常紙幣の記番号を読み取り当該異常紙幣を紙幣入出金部16へ搬送する記番号読取部として制御部412及び鑑別部18を機能させ、記番号読取部により読み取った記番号を記憶する記番号記憶部として制御部412及び記憶部14を機能させ、記番号記憶部に記憶されている記番号と同一の記番号が記番号読取部により読み取られるまで、記番号読取部により紙幣の記番号を読み取る度に異常紙幣枚数を1ずつカウントする異常媒体計数部として制御部412を機能させるようにした。
【0175】
これにより紙幣入出金機410は、紙幣入出金部16において繰り出す紙幣と集積する紙幣とを分別せず収容する場合であっても、同一の記番号が検出されるまで鑑別動作を行い、異常紙幣枚数をカウントするというシンプルな動作を行うだけで、正確に異常紙幣枚数を算出できる。
【0176】
[6.他の実施の形態]
なお本発明においては、上述した紙幣入出金部16の構成に限らず、要は、分離繰り出しする紙幣と集積する紙幣とが分別されていない紙幣入出金部であれば良い。
【0177】
また上述した実施の形態においては、繰り出す紙幣と集積する紙幣とを分別せず収容する紙幣入出金部16を有する紙幣入出金機について述べたが、本発明はこれに限らず、繰り出す紙幣と集積する紙幣とを分別して収容する紙幣入出金部を有する紙幣入出金機において本発明を適用しても良い。
【0178】
また、上述した第1乃至第5の実施の形態の入金処理を適宜繰り返したり、組み合わせたりしても良い。例えば、入金処理手順RT4を行った後に、入金処理手順RT1を行い、連続分離により鑑別処理を複数回繰り返し、さらにその後、入金処理手順RT3における間欠分離で鑑別処理を行うことにより、異常紙幣枚数を確定しても良い。この場合、より正確に異常紙幣枚数を計数できる。
【0179】
さらに上述した実施の形態においては、搬送部24により搬送される紙幣を鑑別部18、集積口センサ及び保留部センサの検出結果に基づき計数する場合について述べた。
【0180】
本発明はこれに限らず、搬送時に紙幣が通過する箇所に当該紙幣を検出するセンサを設け、当該センサの検出結果を基に紙幣の枚数を計数しても良い。
【0181】
さらに上述した第5の実施の形態においては、同一の記番号が印刷された紙幣を検知した場合、紙幣入出金部16内の全ての異常紙幣を繰り出したと判定する場合について述べた。
【0182】
本発明はこれに限らず、例えば紙幣の破れや汚損等の特徴を鑑別部18で読み取り、同一の特徴を有する紙幣を検知すると紙幣入出金部16内の全ての異常紙幣を繰り出したと判定しても良い。
【0183】
さらに本発明においては、異常紙幣を顧客に返却することなく、リジェクト庫28に搬送して格納させても良い。
【0184】
さらに上述した第1の実施の形態による入金処理手順RT1のステップSP3において、集積口センサに限らず、鑑別部18又は保留部センサにより投入紙幣を検出しても良い。
【0185】
さらに上述した第1の実施の形態による入金処理手順RT1のステップSP7において、保留部センサに限らず、鑑別部18により正常紙幣を検出しても良い。
【0186】
さらに上述した第3の実施の形態による入金処理手順RT3のステップSP47において、一時保留部20を介して異常紙幣を紙幣入出金部16へ搬送しても良い。
【0187】
さらに上述した第4の実施の形態による入金処理手順RT4においては、1枚目の異常紙幣が検出されるまで鑑別処理を行うようにしたが、本発明はこれに限らず、例えば2枚目等、任意の枚数だけ異常紙幣が検出されるまで鑑別処理を行なっても良い。
【0188】
さらに上述した第5の実施の形態による入金処理手順RT5のステップSP72において、異常紙幣の記番号を読み取って記憶し、ステップSP83において、読み取った記番号が既に記憶されているか判定しても良い。
【0189】
さらに上述した第5の実施の形態による入金処理手順RT5のステップSP81において、3枚ずつ連続分離で繰り出す場合に限らず、例えば1枚ずつや4枚以上ずつ等、任意の枚数ずつ繰り出して良い。
【0190】
さらに上述した第5の実施の形態による入金処理手順RT5のステップSP86において、一時保留部20を介して異常紙幣を紙幣入出金部16へ搬送しても良い。
【0191】
さらに上述した入金処理においては、鑑別部18において異常紙幣を検出し紙幣の繰り出しを停止させた際、紙幣入出金部16において、特開2000−152722号公報の段落[0035]に記載されているような紙幣分離戻しを行っても良い。
【0192】
さらに上述した入金処理手順RT1のステップSP9及びSP10、入金処理手順RT2のステップSP26及びSP27、並びに入金処理手順RT5のステップSP76及びSP77においては、一時保留部20へ異常紙幣を一旦搬送した後に紙幣入出金部16へ搬送するようにした。
【0193】
本発明はこれに限らず、入金処理手順RT3のステップSP47のように、搬送路24上に異常紙幣を停止させ、一時保留部20へ搬送することなく紙幣入出金部16へ搬送しても良い。
【0194】
さらに上述した入金処理手順RT1のステップSP2及びSP3、並びに入金処理手順RT2のステップSP31及びSP32においては、鑑別部18及び一時保留部20を介し紙幣入出金部16へ紙幣を戻すことにより、紙幣入出金部16内部の紙幣の枚数を計数するようにした。
【0195】
本発明はこれに限らず、例えば紙幣入出金部16内部に紙幣束の厚みを計測するセンサを設け、当該センサの厚み検出結果を基に紙幣の枚数を算出しても良く、又は紙幣入出金部16内部に紙幣束の重量を計測するセンサを設け、当該センサの重量検出結果を基に紙幣の枚数を算出しても良い。
【0196】
さらに上述した実施の形態においては、制御部12により入金処理手順RT1を、制御部112により入金処理手順RT2を、制御部212により入金処理手順RT3を、制御部312により入金処理手順RT4を、制御部412により入金処理手順RT5をそれぞれ実行する場合について述べた。
【0197】
本発明はこれに限らず、例えば主制御部9により、或いは主制御部9と制御部12、116、216、316及び416との協働により入金処理手順RT1、RT2、RT3、RT4及びRT5を実行しても良い。
【0198】
さらに上述した実施の形態においては、記憶部14に予め記憶させておいた入金処理プログラムを読み出して実行する場合について述べた。
【0199】
本発明はこれに限らず、例えばUSB(Universal Serial Bus)等のインタフェースやIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.3ab等のネットワーク、或いはCD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)等の外部記憶媒体を介して、外部から入金処理プログラムを取得して実行しても良い。
【0200】
さらに上述した実施の形態においては、現金を取引する現金自動取引装置1乃至401において、媒体としての紙幣を内部で搬送し、鑑別部18により鑑別し、一時保留部20又は紙幣入出金部16に搬送する場合について述べた。
【0201】
本発明はこれに限らず、例えば商品券や金券、入場券等のような薄い紙状の媒体を搬送し、その当該媒体を鑑別部18により鑑別し、一時保留部20又は紙幣入出金部16に搬送する種々の装置に適用しても良い。
【0202】
また、例えば紙幣を入出する紙幣入出金機や紙幣を所定枚数毎に施封する施封小束支払機等、紙幣や硬貨の取引に関する種々の処理を行う複数種類の装置の組み合わせにより構成された現金処理装置に本発明を適用してもよい。
【0203】
さらに上述した実施の形態においては、入金取引及び出金取引を行う現金自動取引装置に本発明を適用する場合について述べたが、入金取引のみを行う装置に本発明を適用しても良い。
【0204】
さらに上述した第1の実施の形態においては、媒体収容部としての紙幣入出金部16と、鑑別部としての鑑別部18と、媒体保持部としての一時保留部20と、投入媒体計数部としての制御部12と、正常媒体計数部としての制御部12と、異常媒体枚数算出部としての制御部12とによって、媒体処理装置としての紙幣入出金機10を構成する場合について述べた。
【0205】
本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる媒体収容部と、鑑別部と、媒体保持部と、投入媒体計数部と、正常媒体計数部と、異常媒体枚数算出部とによって媒体処理装置を構成しても良い。
【0206】
さらに上述した第2の実施の形態においては、媒体収容部としての紙幣入出金部16と、鑑別部としての鑑別部18と、媒体保持部としての一時保留部20と、媒体分別搬送部としての制御部112と、異常媒体計数部としての制御部112とによって、媒体処理装置としての紙幣入出金機110を構成する場合について述べた。
【0207】
本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる媒体収容部と、鑑別部と、媒体保持部と、媒体分別搬送部と、異常媒体計数部とによって媒体処理装置を構成しても良い。
【0208】
さらに上述した第4の実施の形態においては、媒体収容部としての紙幣入出金部16と、鑑別部としての鑑別部18と、媒体保持部としての一時保留部20と、正常媒体除去搬送部としての制御部312と、媒体分別搬送部としての制御部312と、異常媒体計数部としての制御部312とによって、媒体処理装置としての紙幣入出金機310を構成する場合について述べた。
【0209】
本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる媒体収容部と、鑑別部と、媒体保持部と、正常媒体除去搬送部と、媒体分別搬送部と、異常媒体計数部とによって媒体処理装置を構成しても良い。
【0210】
さらに上述した第5の実施の形態においては、媒体収容部としての紙幣入出金部16と、鑑別部としての鑑別部18と、媒体保持部としての一時保留部20と、媒体分別搬送部としての制御部412と、記番号読取部としての制御部412及び鑑別部18と、記番号記憶部としての制御部412及び記憶部14と、異常媒体計数部としての制御部412とによって、媒体処理装置としての紙幣入出金機410を構成する場合について述べた。
【0211】
本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる媒体収容部と、鑑別部と、媒体保持部と、媒体分別搬送部と、記番号読取部と、記番号記憶部と、異常媒体計数部とによって媒体処理装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0212】
本発明は、正常な媒体と異常な媒体とを鑑別する種々の装置でも利用できる。
【符号の説明】
【0213】
1、101、201、301、401……現金自動取引装置、2……筐体、3……接客部、4……カード入出口、5……入出金口、6……操作表示部、7……テンキー、8……レシート発行口、9……主制御部、10、110、210、310、410……紙幣入出金機、12、112、212、312、412……制御部、14……記憶部、16……紙幣入出金部、18……鑑別部、20……一時保留部、22……取忘れ回収庫、24……搬送部、26……紙幣カセット、28……リジェクト庫、30……シャッタ、32……紙幣収容部、34……ビルプレス、36……プールガイド、38……ピッカローラ、40……フィードローラ、42……分離ローラ、44……集積ローラ、46……繰出口、48……集積口、50……支持板、52……舌片。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21