特許第5971196号(P5971196)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5971196
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】参拝設備
(51)【国際特許分類】
   E04H 13/00 20060101AFI20160804BHJP
【FI】
   E04H13/00 A
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-116029(P2013-116029)
(22)【出願日】2013年5月31日
(65)【公開番号】特開2014-234617(P2014-234617A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2015年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120352
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149331
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 昌人
(72)【発明者】
【氏名】新中 秀信
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 英紀
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−320190(JP,A)
【文献】 特開2012−013775(JP,A)
【文献】 特開2001−222674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 13/00
G06Q 30/00 − 30/08
G06Q 50/00 − 50/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
参拝対象体を収納する収納部を上下及び左右に複数並べて備える収納棚と、
前記収納部と参拝者が前記参拝対象体を参拝する際に当該参拝対象体を保持する参拝用箇所との間で前記参拝対象体を搬送自在な搬送装置と、
前記搬送装置の作動を制御する制御装置と、を備えて構成されている参拝設備であって、
前記制御装置が、前記参拝対象体と、その参拝対象体を参拝対象とする参拝者の識別情報とを対応付けて記憶するように構成され、
前記制御装置に、前記収納部の属性に基づいて設定された収納部順位を複数の前記収納部の夫々について記憶する収納部順位記憶部と、前記参拝者の参拝行動に基づいて当該参拝者の参拝スコアを算出するスコア算出部とが設けられ、
複数の前記収納部の上下並び方向に関して、上方の収納部ほど前記収納部順位が高く設定されており、
前記制御装置が、前記参拝用箇所から前記収納部へ前記参拝対象体を入庫するための入庫指令が指令されると、当該参拝対象体についての前記参拝者の前記参拝スコアに基づいて、当該参拝対象体についての収納部順位を決定し、決定した前記収納部順位に属する前記収納部に当該参拝対象体を収納すべく前記搬送装置を作動させる参拝設備。
【請求項2】
参拝対象体を収納する収納部を上下及び左右に複数並べて備える収納棚と、
前記収納部と参拝者が前記参拝対象体を参拝する際に当該参拝対象体を保持する参拝用箇所との間で前記参拝対象体を搬送自在な搬送装置と、
前記搬送装置の作動を制御する制御装置と、を備えて構成されている参拝設備であって、
前記制御装置が、前記参拝対象体と、その参拝対象体を参拝対象とする参拝者の識別情報とを対応付けて記憶するように構成され、
前記制御装置に、前記収納部の属性に基づいて設定された収納部順位を複数の前記収納部の夫々について記憶する収納部順位記憶部と、前記参拝者の参拝行動に基づいて当該参拝者の参拝スコアを算出するスコア算出部とが設けられ、
複数の前記収納部の左右並び方向に関して、西方向の収納部ほど前記収納部順位が高く設定されており、
前記制御装置が、前記参拝用箇所から前記収納部へ前記参拝対象体を入庫するための入庫指令が指令されると、当該参拝対象体についての前記参拝者の前記参拝スコアに基づいて、当該参拝対象体についての収納部順位を決定し、決定した前記収納部順位に属する前記収納部に当該参拝対象体を収納すべく前記搬送装置を作動させる参拝設備。
【請求項3】
前記スコア算出部が、前記参拝スコアを、前記参拝対象体に対応する前記参拝者の参拝回数に基づいて算出するように構成されている請求項1又は2に記載の参拝設備。
【請求項4】
前記スコア算出部が、前記参拝スコアを、前記参拝対象体に対応する前記参拝者が支払った料金の金額に基づいて算出するように構成されている請求項1又は2に記載の参拝設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、参拝対象体を収納する収納部を上下及び左右に複数並べて備える収納棚と、前記収納部と参拝者が前記当該参拝対象体を参拝する際に当該参拝対象体を保持する参拝用箇所との間で前記参拝対象体を搬送自在な搬送装置と、前記搬送装置の作動を制御する制御装置と、を備えて構成されている参拝設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような参拝設備の従来例として、参拝の開始が指令されると、所定の収納部から取り出した参拝対象体を参拝用箇所に搬送し、参拝が終了して参拝対象体の入庫が指令されると、その参拝対象体を、参拝前に収納していた所定の収納部に戻すべく、搬送装置を作動させるように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−137635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のような構成では、参拝対象体は常に最初に決定された収納部に収納されるようになっている。このため、最初に決定された収納部が適切な条件の収納部ではなかった場合、または、最初に決定された時点では適切な条件の収納部であったものの、その後適切な条件の収納部ではなくなった場合であっても、その収納部に収納され続けるので、参拝対象体に対する参拝者の思いを反映できなかった。
【0005】
そこで、参拝対象体についての参拝者の思いを、当該参拝対象体の収納状態に反映することが可能な参拝設備の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る参拝設備は、参拝対象体を収納する収納部を上下及び左右に複数並べて備える収納棚と、前記収納部と参拝者が前記参拝対象体を参拝する際に当該参拝対象体を保持する参拝用箇所との間で前記参拝対象体を搬送自在な搬送装置と、前記搬送装置の作動を制御する制御装置と、を備えて構成されている参拝設備であって、
前記制御装置が、前記参拝対象体と、その参拝対象体を参拝対象とする参拝者の識別情報とを対応付けて記憶するように構成され、前記制御装置に、前記収納部の属性に基づいて設定された収納部順位を複数の前記収納部の夫々について記憶する収納部順位記憶部と、前記参拝者の参拝行動に基づいて当該参拝者の参拝スコアを算出するスコア算出部とが設けられ、複数の前記収納部の上下並び方向に関して、上方の収納部ほど前記収納部順位が高く設定されており、前記制御装置が、前記参拝用箇所から前記収納部へ前記参拝対象体を入庫するための入庫指令が指令されると、当該参拝対象体についての前記参拝者の前記参拝スコアに基づいて、当該参拝対象体についての収納部順位を決定し、決定した前記収納部順位に属する前記収納部に当該参拝対象体を収納すべく前記搬送装置を作動させる点を特徴とする。
この構成によれば、参拝用箇所から収納部へ参拝対象体を入庫するための入庫指令が指令されると、参拝者の参拝行動に基づいて算出された参拝者の参拝スコアに基づいて、参拝対象体についての収納部順位が決定され、その収納部順位に属する収納部に参拝対象体が収納される。
したがって、例えば、参拝者の参拝行動を条件として、その参拝行動に基づいて算出された参拝者の参拝スコアが設定基準を満たしたときに、参拝対象体をより順位の高い収納部順位に属する収納部に収納することができる。このため、参拝者は、自己の参拝行動によって、自己に対応する参拝対象体をより順位の高い収納部順位に属する収納部に収納させることができる。
このように、参拝対象体についての参拝者の思いを、当該参拝対象体の収納状態に反映することが可能な参拝設備を提供できる。
【0007】
本発明に係る参拝設備は、参拝対象体を収納する収納部を上下及び左右に複数並べて備える収納棚と、前記収納部と参拝者が前記参拝対象体を参拝する際に当該参拝対象体を保持する参拝用箇所との間で前記参拝対象体を搬送自在な搬送装置と、前記搬送装置の作動を制御する制御装置と、を備えて構成されている参拝設備であって、
前記制御装置が、前記参拝対象体と、その参拝対象体を参拝対象とする参拝者の識別情報とを対応付けて記憶するように構成され、前記制御装置に、前記収納部の属性に基づいて設定された収納部順位を複数の前記収納部の夫々について記憶する収納部順位記憶部と、前記参拝者の参拝行動に基づいて当該参拝者の参拝スコアを算出するスコア算出部とが設けられ、複数の前記収納部の左右並び方向に関して、西方向の収納部ほど前記収納部順位が高く設定されており、前記制御装置が、前記参拝用箇所から前記収納部へ前記参拝対象体を入庫するための入庫指令が指令されると、当該参拝対象体についての前記参拝者の前記参拝スコアに基づいて、当該参拝対象体についての収納部順位を決定し、決定した前記収納部順位に属する前記収納部に当該参拝対象体を収納すべく前記搬送装置を作動させる点を特徴とする。
この構成によれば、参拝用箇所から収納部へ参拝対象体を入庫するための入庫指令が指令されると、参拝者の参拝行動に基づいて算出された参拝者の参拝スコアに基づいて、参拝対象体についての収納部順位が決定され、その収納部順位に属する収納部に参拝対象体が収納される。
したがって、例えば、参拝者の参拝行動を条件として、その参拝行動に基づいて算出された参拝者の参拝スコアが設定基準を満たしたときに、参拝対象体をより順位の高い収納部順位に属する収納部に収納することができる。このため、参拝者は、自己の参拝行動によって、自己に対応する参拝対象体をより順位の高い収納部順位に属する収納部に収納させることができる。
このように、参拝対象体についての参拝者の思いを、当該参拝対象体の収納状態に反映することが可能な参拝設備を提供できる。
【0008】
本発明に係る参拝設備の実施形態においては、前記スコア算出部が、前記参拝スコアを、前記参拝対象体に対応する前記参拝者の参拝回数に基づいて算出するように構成されていることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、例えば、参拝対象体に対する参拝者の参拝回数に基づいて、当該参拝対象体についての収納部順位を変更することになる。
したがって、例えば、参拝者の参拝回数が多いほど、その参拝者に対応する参拝対象体を収納する収納部として収納部順位が高い収納部を設定することができる。具体的には、参拝者の設定期間内の参拝回数や累積参拝回数が設定回数を超えた場合には、収納部順位が上位側の収納部に変更し、参拝者の設定期間内の参拝回数や累積参拝回数が設定回数を超えない場合には、収納部順位を従前通り維持することができる。
このように、参拝対象体を、参拝者の参拝回数に応じた収納部順位の収納部に収納することができる。
そのため、参拝対象体についての参拝者の思いを、当該参拝対象体の収納状態に適切に反映することが可能な参拝設備を提供できる。
【0010】
本発明に係る参拝設備の実施形態においては、前記スコア算出部が、前記参拝スコアを、前記参拝対象体に対応する前記参拝者が支払った料金の金額に基づいて算出するように構成されていることが望ましい。
【0011】
この構成によれば、例えば、参拝対象体に対応する参拝者が支払った料金の金額に基づいて、当該参拝対象体についての収納部順位を変更することになる。
したがって、例えば、参拝者が支払った料金の金額(例えばお布施等)が多いほど、その参拝者に対応する参拝対象体を収納する収納部として収納部順位が高い収納部を設定することができる。具体的には、参拝者が設定期間内に支払った料金の金額や参拝者が支払った料金の累積金額が設定金額を超えた場合には、収納部順位が上位側の収納部に変更し、参拝者が設定期間内に支払った料金の金額や参拝者が支払った料金の累積金額が設定金額を超えない場合には、収納部順位を従前通り維持することができる。
このように、参拝対象体を、参拝者が支払った料金の金額に応じた収納部順位の収納部に収納することができる。
そのため、参拝対象体についての参拝者の思いを、当該参拝対象体の収納状態に適切に反映することが可能な参拝設備を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】参拝設備の平面図
図2】収納棚の構成を示す一部切欠き斜視図
図3】参拝設備の制御ブロック図
図4】参拝者識別情報入力装置を示す図
図5】遠隔参拝用端末に表示される画面の例を示す図
図6】収納棚における収納部順位を表す概念図
図7】データベースに記憶される内容の一部を示す模式図
図8】制御装置の制御を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて実施形態に係る参拝設備について説明する。
図1に示すように、参拝設備は、遺骨が収納される骨壺や位牌等を収めた厨子B(参拝対象体に相当)を各別に収納保管自在な複数の収納部10が上下方向並びに横方向の夫々に並列配置された収納棚1と、厨子Bを保持する被参拝部N11と当該被参拝部N11に隣接する参拝部N12とを備えた現地参拝用箇所N1と、厨子Bを保持する被参拝部N21と当該被参拝部N21に隣接する参拝部N22とを備えた遠隔参拝用箇所N2とが設けられている。現地参拝用箇所N1の参拝部N12は、参拝者を収容自在な参拝者収容空間を備えている。また、遠隔参拝用箇所N2の参拝部N22には、遠隔参拝用箇所N2の被参拝部N21を撮像する遠隔参拝用撮像装置C2が設置されている。
【0014】
収納棚1は、厨子Bを出し入れする開口を対向させる状態で一対設けられている。そして、一対の収納棚1の間に、収納部10の横並び方向に沿って設けられた走行レール2上を移動自在なスタッカークレーン20が設けられている。また、上記スタッカークレーン20の入出庫口としての入出庫台31Sと上記現地参拝用箇所N1又は遠隔参拝用箇所N2との間で厨子Bを搬送する第1コンベヤ31、第2コンベヤ32、第3コンベヤ33、及び第4コンベヤ34、分岐コンベヤ35、及び、分岐コンベヤ36が設けられている。
【0015】
本実施形態では、上記スタッカークレーン20、第1コンベヤ31、第2コンベヤ32、第3コンベヤ33、及び第4コンベヤ34、分岐コンベヤ35、及び、分岐コンベヤ36等によって搬送装置Fが構成されている。
また、参拝設備には、上記搬送装置Fの作動を制御する制御装置Hが設けられている。
このように、参拝設備には、厨子Bを収納する収納部10を上下及び左右に複数並べて備える収納棚1と、厨子Bを収納部10と参拝用箇所Nとの間で搬送自在な搬送装置Fと、搬送装置Fの作動を制御する制御装置Hと、が設けられている。
【0016】
スタッカークレーン20は、図2に示すように、走行レール2上を走行自在な走行台車21と、走行前後方向に離間して上記走行台車21に立設される一対の昇降案内マスト22と、一対の昇降案内マスト22の上端を接続する上部枠23と、一対の昇降案内マスト22に案内されて昇降移動する昇降台24と、昇降台24に設けられて厨子Bを収納部10と昇降台24との間で移載するスライドフォーク式の移載装置25とを備えている。
図示は省略するが、スタッカークレーン20には、走行レール2上を転動する走行車輪を駆動する走行モータ、昇降台24を昇降駆動する昇降モータ、走行台車21の走行位置を検出する走行位置検出部、及び、昇降台24の昇降位置を検出する昇降位置検出部を備えており、上記制御装置Hは、目標走行位置に走行台車21を位置させるべく走行モータの作動を制御し、かつ、目標昇降位置に昇降台24を位置させるべく昇降モータの作動を制御するようになっている。
【0017】
第1コンベヤ31は、収納棚1の横側部に隣接して設けられ、収納棚1側の端部である第1端部に入出庫台31Sを備え、他方側の端部である第2端部が第2コンベヤ32との分岐合流部32Bに接続されている。上記第1端部と第2端部との間に、厨子Bを転回自在な転回装置31Rが設けられている。
なお、厨子Bは、収納棚1の収納部10に対して、厨子Bの前面がスタッカークレーン20の走行経路側を向く姿勢で収納される。このため、例えば図1の一対の収納棚1のうち、現地参拝用箇所N1側の収納棚1から取り出した厨子Bを、そのままの姿勢で現地参拝用箇所N1の被参拝部N11に搬送した場合、又は、一対の収納棚1のうち、遠隔参拝用箇所N2側の収納棚1から取り出した厨子Bを、そのままの姿勢で遠隔参拝用箇所N2の被参拝部N21に搬送した場合には、厨子Bが被参拝部N11又は被参拝部N21において背面を向いてしまう。転回装置31Rは、このような事態を回避するため、一対の収納棚1のうち、現地参拝用箇所N1側の収納棚1から取り出した厨子Bを現地参拝用箇所N1の被参拝部N11に搬送する場合、又は、遠隔参拝用箇所N2側の収納棚1から取り出した厨子Bを遠隔参拝用箇所N2の被参拝部N21に搬送する場合に、厨子Bを平面視で180度転回させるために用いられる。
【0018】
第2コンベヤ32は、上記第1コンベヤ31の搬送方向と直交する向きに厨子Bを搬送自在に設けられ、一方側の端部である第1端部に第3コンベヤ33が接続され、他方側の端部である第2端部に第4コンベヤ34が接続されている。また、上述の分岐合流部32Bが、第1端部と第2端部との間に設定されている。
【0019】
第3コンベヤ33は、収納棚1における収納部10の横並び方向に沿って厨子Bを搬送自在に設けられ、一方側の端部である第1端部に第2コンベヤ32が接続されている。また、第3コンベヤ33に沿って遠隔参拝用箇所N2が複数並べて設けられており、第3コンベヤ33には、これら遠隔参拝用箇所N2の被参拝部N21に厨子Bを搬送する分岐コンベヤ35との分岐又は合流を行う分岐合流部33Bが、遠隔参拝用箇所N2に対応して複数設けられている。また、分岐コンベヤ35における分岐合流部33Bと逆側の端部が被参拝部N21となる。
【0020】
第4コンベヤ34は、収納棚1における収納部10の横並び方向に沿って厨子Bを搬送自在に設けられ、一方側の端部である第1端部に第2コンベヤ32が接続されている。また、第4コンベヤ34に沿って現地参拝用箇所N1が複数並べて設けられており、第4コンベヤ34には、これら現地参拝用箇所N1の被参拝部N11に厨子Bを搬送する分岐コンベヤ36との分岐又は合流を行う分岐合流部34Bが、現地参拝用箇所N1に対応して複数設けられている。また、分岐コンベヤ36における分岐合流部34Bと逆側の端部が被参拝部N11となる。
【0021】
現地参拝用箇所N1は、図1に示すように、厨子Bを保持自在な被参拝部N11と、被参拝部N11に隣接して参拝者を収容する参拝者収容空間を備える参拝部N12とを備えている。参拝部N12は、被参拝部N11に保持された厨子Bと参拝者が直接対面可能な空間である。
被参拝部N11の後背部には、開閉自在な遮蔽物(緞帳やカーテン等)が設けられている。遮蔽物は、厨子Bが通過するときのみ開状態とされ、後背部に存在する分岐コンベヤ36が参拝者の目に触れないように遮蔽する。
【0022】
また、参拝部N12には、参拝者が自己の識別情報(参拝者ID)を入力する参拝者識別情報入力装置Ntが備えられている。参拝者識別情報入力装置Ntは、図4に示すように、情報表示用のディスプレイNt1と、非接触式ICカードに記録された情報を読み取るカードリーダNt2とを備えて構成されている。参拝者識別情報入力装置Ntは、制御装置Hと通信自在に構成されており、カードリーダNt2にて読み取られた参拝者IDを制御装置Hに送信するように構成されている。なお、本実施形態では、厨子Bの識別情報と参拝者IDとは1:1に対応している。つまり、1つの厨子Bに対応する参拝者が複数存在する場合には、それらの参拝者には同一の参拝者IDが付与される。
【0023】
ディスプレイNt1は、タッチパネル式に構成されており、非接触式ICカードを所持していない参拝者に対応すべく、参拝者ID及びパスワードを入力可能となっている。参拝者識別情報入力装置Ntは、入力された参拝者ID及びパスワードを制御装置Hに送信するように構成されている。
また、現地参拝用箇所N1における被参拝部N11近傍にはディスプレイ装置Dsが設けられている。ディスプレイ装置Dsは制御装置Hと通信自在に接続され、制御装置Hにて指令された映像を表示自在となっている。
【0024】
さらに、現地参拝用箇所N1における被参拝部N11には、被参拝部N11(特に、当該被参拝部N11に保持されている厨子B)を撮像自在な第1撮像装置C11と、参拝部N12(特に、当該参拝部N12に参集している参拝者)を撮像自在な第2撮像装置C12とが設けられている。
第1撮像装置C11及び第2撮像装置C12は、制御装置Hに撮像した映像を送信自在に構成されている。
本実施形態において、第1撮像装置C11及び第2撮像装置C12が現地参拝用箇所撮像装置C1に相当する。
【0025】
遠隔参拝用箇所N2は、図1に示すように、厨子Bを保持自在な被参拝部N21と、被参拝部N21に隣接して遠隔参拝用撮像装置C2が設置される参拝部N22とを備えている。参拝部N22には、被参拝部N21に保持された厨子Bを撮像するための遠隔参拝用撮像装置C2が設置されている。
被参拝部N21の後背部には、開閉自在な遮蔽物(緞帳やカーテン等)が設けられている。遮蔽物は、厨子Bが通過するときのみ開状態とされ、後背部に存在する分岐コンベヤ35が遠隔参拝用撮像装置C2の撮像範囲に入らないように遮蔽する。
【0026】
遠隔参拝用端末50は、図3及び図5に示すように、ディスプレイ部50Dと、そのディスプレイ部50Dに対面する方向を撮像範囲とする遠隔端末用撮像装置50Cとを備えたタブレット端末にて構成されている。
また、遠隔参拝用端末50は、制御装置Hと通信回線を通じて相互に通信可能に構成されている。ここで、「通信回線」には、有線回線、無線回線、及びそれらを複合的に用いるものを含むものとし、以降「通信回線」と称した場合にはこの定義に基づくものとする。
【0027】
遠隔参拝用端末50のディスプレイ部50Dはタッチパネル式に構成されている。図5(a)〜図5(c)に示すように、ディスプレイ部50Dには入力用シンボル(ボタン等を表す図形情報)が表示可能となっている。遠隔参拝を行う参拝者は、図5(a)にて示す参拝者識別情報入力部50Lにより、自己の参拝者ID、及び、暗証番号を入力する。遠隔参拝用端末50は、ログイン情報として入力された参拝者ID及び暗証番号を、通信回線を通じて制御装置Hに送信するようになっている。
【0028】
遠隔参拝用端末50では、図5(b)に示すように、「厨子の映像の表示」、「ご先祖様(故人)の写真を表示」、又は、「厨子の映像と、ご先祖様(故人)の写真の双方を表示」の何れかの表示形態を、表示されたボタン画像に指等で触れることで選択できるようになっている。また、ボタン画像に隣接する情報表示領域には、次回の法要の案内等の情報を表示できるようになっている。
【0029】
図5(c)は、「厨子の映像の表示」のボタン画像を選択した場合に表示される厨子の映像であり、仏花や線香等の画像がオーバーレイ表示されることによって、墓参の雰囲気を強調できるようになっている。
また、「ご先祖様の写真」への切換えも随時可能に構成されるとともに、「読経」のボタン画像を選択した場合には、僧侶の読経を記録した音声ファイルが再生されるように構成されている。
【0030】
図3に示すように、制御装置Hは、例えば中央処理装置とハードディスク等の記憶装置とを備えたパーソナルコンピュータやPCサーバ等の汎用コンピュータにて構成されている。制御装置Hを構成するコンピュータにはデータベースプログラムが実装されている。
また、制御装置Hには、収納部10の属性に基づいて設定された収納部順位(図6(a)に示すa,b,c)を複数の収納部10の夫々について記憶する収納部順位記憶部H1と、参拝者の参拝回数に基づいて当該参拝者の参拝スコアを算出するスコア算出部H2とが、プログラムモジュールとして実装されている。
【0031】
本実施形態では、参拝スコアを参拝回数と同じ値としている。すなわち、スコア算出部H2が、参拝スコアを、厨子Bに対応する参拝者の累積参拝回数に基づいて算出するように構成されている。
また、本実施形態では、収納部順位を、図6(a)に示すように収納棚1における収納部10の高さ方向の位置(段)に基づいて設定するように構成している。すなわち、天に近い上部収納部群(ランクa)、天から遠い下部収納部群(ランクc)、及び、それらの中間に位置する中央収納部群(ランクb)の3つに区分するように設定している。
【0032】
上記データベースプログラムは、厨子Bの識別情報(本実施形態においては参拝者IDと同一である)、参拝者IDに対応する参拝者の累積参拝回数、及び、厨子Bを収納すべき収納部10とを対応付けて記憶するデータベースDB(図7(a)参照)を備えている。厨子Bを収納すべき収納部10は、収納部順位ごとに管理されており、ランクaに対応する収納部10の識別番号がa001、a002、・・・というように連番として付与される。ランクb、ランクcに対応する収納部10の識別番号も同様に付与されている。
上記データベースプログラムは、参拝者IDからその参拝者IDに対応する厨子Bが収納されている収納部10の識別番号を検索可能に構成されるとともに、参拝者IDからその参拝者IDに対応する参拝者の累積参拝回数を検索可能に構成されている。
【0033】
制御装置Hは、収納棚1に収納されている全ての厨子Bについて、遠隔参拝用箇所N2の被参拝部N21に当該厨子Bが保持されている状態で予め遠隔参拝用撮像装置C2にて撮像した事前記録映像を例えばハードディスク等の記憶装置に記憶するとともに、前記データベースDBに、当該事前記録映像の識別情報と当該厨子Bに対応する参拝者IDとを対応付けて記憶するようになっている。
【0034】
制御装置Hには、現地参拝用箇所N1における現地参拝用箇所撮像装置C1が接続され、当該現地参拝用箇所撮像装置C1に撮像の開始、終了を指令するとともに当該現地参拝用箇所撮像装置C1が撮像した映像を受信可能に構成されている。なお、現地参拝用箇所撮像装置C1にて映像を撮像する処理を、以後、撮像処理と称する。
さらに、制御装置Hには、現地参拝用箇所N1におけるディスプレイ装置Dsが接続され、ディスプレイ装置Dsは、制御装置Hから指令された文字情報、画像情報、もしくは映像を表示自在に構成されている。
【0035】
また、制御装置Hには、現地参拝用箇所N1における参拝者識別情報入力装置Ntが接続されている。参拝者識別情報入力装置NtのディスプレイNt1は、制御装置Hから指令された文字情報や画像情報を表示自在に構成される。また、指等でディスプレイNt1のタッチパネル機能にて入力された内容が制御装置Hに送信されるようにされている。また、参拝者識別情報入力装置NtのカードリーダNt2にて読み取られた参拝者IDは、制御装置Hに送信されるようになっている。
【0036】
さらに、制御装置Hは、遠隔参拝用端末50から送信されてきた参拝者ID及び暗証番号を、自己が記憶している参拝者ID、及びその参拝者IDに対応する暗証番号と照合し、正規の参拝者であるか否かを判別するようになっている。制御装置Hは、送信されてきたログイン情報に基づいて、遠隔参拝用端末50からログイン情報を送信した参拝者が正規の参拝者であると識別した場合において、その参拝者IDに対応する厨子Bが、現地参拝用箇所N1にて参拝者が参拝を行うために現地参拝用箇所N1の被参拝部N11に保持されている場合には、当該現地参拝用箇所N1での参拝に参加したいという要請があったものと判別するように構成されている。
【0037】
制御装置Hには、遠隔参拝用箇所N2における遠隔参拝用撮像装置C2が接続され、当該遠隔参拝用撮像装置C2に撮像の開始、終了を指令するとともに当該遠隔参拝用撮像装置C2が撮像した映像を受信可能に構成されている。なお、遠隔参拝用撮像装置C2にて映像を撮像する処理を、以後、撮像処理と称する。
【0038】
制御装置Hには、スタッカークレーン20、第1コンベヤ31、第2コンベヤ32、第3コンベヤ33、第4コンベヤ34、分岐コンベヤ35、分岐コンベヤ36、並びに、転回装置31Rのコントローラ(図示省略)が接続され、制御装置Hは、これらスタッカークレーン20、第1コンベヤ31、第2コンベヤ32、第3コンベヤ33、第4コンベヤ34、分岐コンベヤ35、分岐コンベヤ36、並びに、転回装置31Rの作動を制御する。
【0039】
次に、図8のフローチャートに基づいて、制御装置Hの制御動作を説明する。
制御装置Hは、まず、送信されてきた参拝者IDを取得すると(ステップ#1)、その参拝者IDに対応する厨子Bが収納されている収納部10の位置情報をデータベースDBから検索する(ステップ#2)。続いて、制御装置Hは、その参拝者IDに対応する参拝用箇所Nに厨子Bを搬送すべく、第1コンベヤ31、転回装置31R、第2コンベヤ32、第4コンベヤ34、及び、分岐コンベヤ36等の作動を制御する(ステップ#3)。
なお、このとき、現地参拝用箇所N1の参拝者識別情報入力装置Ntから参拝者IDが入力されたときは、その参拝者識別情報入力装置Ntが設けられている現地参拝用箇所N1の被参拝部N11に厨子Bを搬送し、遠隔参拝用端末50から参拝者IDが入力されたときは、使用していない遠隔参拝用箇所N2のうち搬送距離の最も短い遠隔参拝用箇所N2の被参拝部N21に厨子Bを搬送するようになっている。
【0040】
続いて、制御装置Hは、参拝回数Kをインクリメント(すでに記憶されている数に1を加算)する(ステップ#4)。なお、参拝回数Kは、最初に参拝対象体が収納されてからの累積数とする。
引き続き、制御装置Hは、参拝回数Kが、設定第1回数K1を超えるか否かを判別する(ステップ#5)。そして、参拝回数Kが設定第1回数K1を超えると判別すると(ステップ#5:Yes)、次回収納部(参拝用箇所Nから収納棚1へ厨子Bを入庫するための入庫指令が指令されたときに、その厨子Bを収納する収納部10)をランクaの収納部群に属する収納部10に設定する(ステップ#6)。
【0041】
制御装置Hは、参拝回数Kが設定第1回数K1を超えないと判別すると(ステップ#5:No)、引き続き、参拝回数Kが設定第2回数K2以上かつ設定第1回数K1以下であるか否かを判別する(ステップ#7)。そして、参拝回数Kが設定第2回数K2以上かつ設定第1回数K1以下であると判別すると(ステップ#7:Yes)、次回収納部をランクbの収納部群に属する収納部10に設定する(ステップ#8)。
【0042】
制御装置Hは、参拝回数Kが設定第2回数K2以上かつ設定第1回数K1以下でないと判別すると(ステップ#7:No)、引き続き、参拝回数Kが設定第2回数K2未満であるか否かを判別する(ステップ#9)。そして、参拝回数Kが設定第2回数K2未満であると判別すると(ステップ#9:Yes)、次回収納部をランクcの収納部群に属する収納部10に設定する(ステップ#10)。
【0043】
続いて、制御装置Hは、参拝者識別情報入力装置Nt又は遠隔参拝用端末50から参拝終了が指令されたか否かを判別する(ステップ#11)。ステップ#11において、参拝終了が指令されていないと判別した場合には(ステップ#11:No)、参拝終了が指令されるまで入力待ちとなる。ステップ#11において、参拝終了が指令されたと判別した場合には(ステップ#11:Yes)、続いて、データベースDBにおいて当該処理の対象の厨子Bに対応する収納部10をステップ#5〜ステップ#10にて設定された次回収納部に書き換え(ステップ#12)、かつ、設定された次回収納部に厨子Bを収納すべく、搬送装置Fの作動を制御する(ステップ#13)。
ここで、次回収納部は、設定されたランクに属する収納部10のうち、空き状態である収納部10に設定される。また、空き状態の収納部10が複数あるときには、制御装置Hは、そのうちの何れか1つを選択して次回収納部に設定するようになっている。
【0044】
すなわち、制御装置Hが、参拝用箇所Nから収納棚1へ厨子Bを入庫するための入庫指令が指令されると、当該厨子Bについての参拝者の参拝スコアに基づいて、当該厨子Bを収納すべき収納部10の収納部順位を決定し、決定した収納部順位に属する収納部10に当該厨子Bを収納すべく搬送装置Fを作動させるように構成されている。
【0045】
以上のようにして、本参拝設備では、参拝者が、自己の参拝行動に基づいて算出された参拝者の参拝スコアに基づいて、対応する厨子Bをより順位の高い収納部順位に属する収納部に収納させることができるので、参拝対象体が収納される収納部に関して満足感を得ることができる。
【0046】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、スコア算出部H2が、参拝スコアを参拝回数と同じ値として算出する構成を説明したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、現地参拝と遠隔参拝とで参拝スコアを異ならせる等の重みづけを行ってもよい。
また、上記実施形態では、スコア算出部H2が、参拝スコアを参拝回数に基づいて算出する構成を例示したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、参拝スコアを、厨子Bに対応する参拝者が支払った料金(例えばお布施等)の金額に基づいて算出するように構成してもよい。この場合においては、データベースDBは、図7(b)に示すように、厨子Bの識別情報(本実施形態においては参拝者IDと同一である)、参拝者IDに対応する参拝者が納付したお布施の累積額、及び、厨子Bを収納すべき収納部10とを対応付けて記憶するように構成される。また、参拝スコアを、厨子Bに対応する参拝者が支払った料金(例えばお布施等)の金額に基づいて算出する場合において、参拝スコアを、参拝者IDに対応する参拝者が支払った料金の累積額ではなく、直前に支払った料金のみに基づいて算出するようにしてもよい。
加えて、参拝者が支払った料金と参拝者の参拝回数との双方に基づいて参拝スコアを算出するように構成することも可能である。さらに、上記のような、参拝者の参拝回数又は、参拝者が支払った料金以外の参拝者の参拝行動(例えば、法話を聞いた回数等)に基づいて参拝スコアを算出することも可能である。
【0047】
(2)上記実施形態では、図6(a)に示すように、収納部順位を、収納棚1における収納部10の上下方向の位置(高さ)に基づいて設定するように構成したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、図6(b)に示すように、収納部順位を、収納棚1における収納部10の横並び方向の位置に基づいて設定するように構成してもよい。すなわち、例えば西方浄土に近い西部収納部群(ランクa)、西方浄土から遠い東部収納部群(ランクc)、及びそれらの中間に位置する中央収納部群(ランクb)の3つに区分するように構成してもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、収納部順位(ランク)の区分を3つ(ランクa、ランクb、ランクc)としたが、収納部順位の区分は3つに限定されるものではなく、2つ又は4つ以上でもよい。さらに上記実施形態では、収納棚1において互いに隣接する一群の収納部10に対して1つの収納部順位を設定する構成を説明したが、このような構成に限定されるものではなく、夫々の収納部10に対して独立して収納部順位を設定してもよい。
【0049】
(3)上記実施形態では、厨子Bと参拝者IDとを1:1に対応づけて、厨子Bに対応する参拝者が複数存在する場合には、それらの参拝者に同一の参拝者IDを付与する形態を説明したが、このような構成に限定されるものではなく、参拝者ごとに異なる参拝者IDを付与する形態としてもよい。この場合、データベースDBは、厨子Bと参拝者IDとを対応付けたものと、参拝者ごとの参拝スコアを記憶するものとを含んだリレーショナルデータベースとする。
【0050】
(4)上記実施形態では、収納部順位記憶部H1が記憶する収納部順位を、収納棚1における収納部10の位置に基づいて設定するように構成したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、収納部順位を、収納部10の装飾の豪華さに基づいて設定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 収納棚
10 収納部
B 参拝対象体
F 搬送装置
H 制御装置
H1 収納部ランク記憶部
H2 スコア算出部
K 参拝回数
N 参拝用箇所
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8