(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の一態様に係る顔料組成物は、各々が上記一般式(1)で表される少なくとも1種のモノアゾ顔料(以下、本態様のモノアゾ顔料と称する場合がある)と、各々が上記一般式(2)乃至(5)の何れかによって表される少なくとも1種の化合物(以下、異種骨格化合物と称する場合がある)とからなる。
【0029】
まず、上記一般式(1)で表されるモノアゾ顔料について説明する。
一般式(1)のX
1乃至X
10におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0030】
一般式(1)のX
1乃至X
10における炭素数1乃至5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。ただし、これらの例に限定されるものではない。
【0031】
一般式(1)のX
1乃至X
10における炭素数1乃至5のアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。
【0032】
一般式(1)のX
1乃至X
10における炭素数1乃至5のアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。
【0033】
X
1乃至X
10の隣り合った2つは、互いに結合して、それらが結合したベンゼン環の2つの炭素原子とともに複素環部位を形成していてもよい。
【0034】
各複素環部位の環の数は、1〜2が好ましく、1がより好ましい。各環の環原子の数は、5〜7が好ましく、5または6が好ましい。
【0035】
複素環部位が複数の環を含んでいる場合、それら環の1つが環原子の一部として炭素原子以外の原子を含んでいれば、残りの環は、環原子として炭素原子のみを含んでいてもよく、環原子として炭素原子と炭素原子以外の原子とを含んでいてもよい。炭素原子以外の原子は、例えば、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子である。環原子として炭素原子以外の原子を含んでいる環において、炭素原子以外の環原子の数は、例えば1乃至2である。複素環部位が複数の環を含んでいる場合、例えば、それら環のうち、上記ベンゼン環の2つの炭素原子を環原子として含んだ環は、残りの環原子の一部として炭素原子以外の原子を含んでいる。
【0036】
複素環部位の環原子のうち、上記ベンゼン環の2つの炭素原子以外の、隣り合った2つの環原子は、単結合によって互いに結合していてもよく、二重結合によって互いに結合していてもよい。
【0037】
複素環部位の環原子に結合している水素原子は、メチル基などのアルキル基で置換してもよい。1つの環原子に2つの水素原子が結合している場合、これら水素原子は、1つの酸素原子で置換してもよい。即ち、複素環部位は、カルボニル基を含んでいてもよい。
【0038】
X
1乃至X
5のうち、X
1及びX
2が互いに結合していてもよく、X
2及びX
3が互いに結合していてもよく、X
3及びX
4が互いに結合していてもよく、X
4及びX
5が互いに結合していてもよい。X
6乃至X
10のうち、X
6及びX
7が互いに結合していてもよく、X
7及びX
8が互いに結合していてもよく、X
8及びX
9が互いに結合していてもよく、X
9及びX
10が互いに結合していてもよい。好ましくは、X
2及びX
3又はX
3及びX
4が互いに結合するか、X
7及びX
8又はX
8及びX
9が互いに結合する。
【0039】
この複素環部位としては、例えば、インドール、ベンズイミダゾロン、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ピロール、イミダゾリジン、イミダゾリジノン、ベンズイミダゾリジン、ベンズイミダゾリジノン、ピペリジン、ピペラジン、ピペラジンジオン、キノキサリン、又はキノリンから2つ又は4つの水素原子を除いたものが挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。
【0040】
以下に、一般式(1)で表される化合物のうち、複素環部位を有しているものの例を示す。
【化6】
【化7】
【0041】
本態様のモノアゾ顔料は特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、同2、同3、同4、同5、同6、同9、同49、同61、同62、同65、同73、同74、同75、同97、同98、同105、同111、同116、同120、同130、同133、同151、同154、同167、同168、同169、同175、同181、同194、同203、同213、C.I.ピグメントオレンジ1、同36、同60、同62、同64などが挙げられる。これらのうち、C.I.ピグメントイエロー74が、色相、鮮明性及び透明性の点で特に好ましい。これらのモノアゾ顔料は、単独で使用してもよく、複数を組み合わせて使用してもよい。
【0042】
本態様のモノアゾ顔料の形態は特に限定されない。市販の顔料をそのまま使用してもよく、合成して使用してもよい。また、必要に応じて、アシッドペースティング、ソルベントソルトミリング及びドライミリングなどの方法により所望の粒子径に微細化してから使用してもよい。
【0043】
本態様のモノアゾ顔料は、公知の方法により合成することができる。代表的な合成法を以下に例示する。
【0044】
第1の例は、芳香族アミンのジアゾ化物を、アセトアセトアニリド化合物を含んだスラリー中に添加する方法である。まず、アセトアセトアニリド化合物をアルカリ性水溶液に溶解させ、それを予め調製した酢酸水溶液に注入して懸濁液を調製する。その一方で、芳香族アミンを酸性水溶液中に添加して懸濁液を調製し、それを5℃以下に冷却した後、亜硝酸ナトリウムを加えてジアゾ化を行う。ジアゾ化終了後、反応混合物にスルファミン酸を加えて過剰な亜硝酸を除去し、ジアゾ化物の水溶液を調製する。以上で調製したジアゾ化物の水溶液を、アセトアセトアニリド化合物のスラリー中に添加することでカップリング反応を行い、必要に応じて、得られたスラリーを加熱攪拌した後に、濾過、水洗、乾燥、粉砕してモノアゾ顔料を得る。
【0045】
第2の例は、アセトアセトアニリド化合物のアルカリ性水溶液を、芳香族アミンのジアゾ化物水溶液中に添加する方法である。まず、アセトアセトアニリド化合物をアルカリ性水溶液に溶解させる。その一方で、芳香族アミンを酸性水溶液中に添加して懸濁液を調製し、それを5℃以下に冷却した後、亜硝酸ナトリウムを加えてジアゾ化を行う。ジアゾ化終了後、反応混合物にスルファミン酸を加えて過剰な亜硝酸を除去し、さらに酢酸と水酸化ナトリウムとを含んだ水溶液を添加して、ジアゾ化物水溶液を調製する。以上で調製したアセトアセトアニリド化合物の水溶液を、ジアゾ化物水溶液に添加することでカップリング反応を行い、必要に応じて、得られたスラリーを加熱攪拌した後に、濾過、水洗、乾燥、粉砕してモノアゾ顔料を得る。
【0046】
第3の例は、予め酢酸などの酸と水酸化ナトリウムなどの塩基とを添加して調製した水溶液中に、芳香族アミンのジアゾ化物とアセトアセトアニリド化合物のアルカリ性水溶液とを同時に添加する方法である。まず、アセトアセトアニリド化合物をアルカリ性水溶液に溶解させる。その一方で、芳香族アミンを酸性水溶液中に添加して懸濁液を調製し、それを5℃以下に冷却した後、亜硝酸ナトリウムを加えてジアゾ化を行う。ジアゾ化終了後、反応混合物にスルファミン酸を加えて過剰な亜硝酸を除去し、ジアゾ化物の水溶液を調製する。また、反応槽中に、酢酸などの酸と水酸化ナトリウムなどの塩基とを添加して、緩衝水溶液を調製する。上記で調製したジアゾ化物の水溶液とアセトアセトアニリド化合物の水溶液とを、緩衝水溶液中に添加することでカップリング反応を行い、必要に応じて、得られたスラリーを加熱攪拌した後に、濾過、水洗、乾燥、粉砕してモノアゾ顔料を得る。
【0047】
本態様で使用する芳香族アミンとしては、例えば、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、2−(トリフルオロメチル)アニリン、3−(トリフルオロメチル)アニリン、4−(トリフルオロメチル)アニリン、o−アニシジン、m−アニシジン、p−アニシジン、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン、2−メトキシ−4−ニトロアニリン、2−メトキシ−5−ニトロアニリン、4−メトキシ−2−ニトロアニリン、2−メチル−3−ニトロアニリン、2−メチル−4−ニトロアニリン、2−メチル−5−ニトロアニリン、2−メチル−6−ニトロアニリン、3−メチル−4−ニトロアニリン、4−メチル−2−ニトロアニリン、4−メチル−3−ニトロアニリン、5−メチル−2−ニトロアニリン、2−クロロ−4−ニトロアニリン、2−クロロ−5−ニトロアニリン、4−クロロ−2−ニトロアニリン、4−クロロ−3−ニトロアニリン、5−クロロ−2−ニトロアニリン、2−アミノ−5−ニトロベンゼンスルホン酸、4−アミノ−2−ニトロベンゼンスルホン酸、4−アミノ−3−ニトロベンゼンスルホン酸、2−クロロ−4−メチルアニリン、2−クロロ−5−メチルアニリン、2−クロロ−6−メチルアニリン、3−クロロ−2−メチルアニリン、3−クロロ−4−メチルアニリン、4−クロロ−2−メチルアニリン、4−クロロ−3−メチルアニリン、5−クロロ−2−メチルアニリン、3−アミノ−4−クロロベンズアミド、4−アミノ−3−クロロベンズアミド、4−アミノ−3−メトキシ−N−フェニルベンゼンスルホンアミド、4−アミノ−N−(4−カルバモイルフェニル)ベンズアミド、アミノテレフタル酸ジメチル、5−アミノイソフタル酸ジメチル、6−アミノ−7−クロロ−4−メチルキノリン−2(1H)−オン、5−アミノイソインドリン−1,3−ジオン等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、複数を組み合わせて使用してもよい。
【0048】
本態様で使用するアセトアセトアニリド化合物としては、例えば、アセトアセトアニリド、o−アセトアセトアニシジド、p−アセトアセトアニシジド、2’−クロロアセトアセトアニリド、4’−クロロアセトアセトアニリド、N−アセトアセチル−o−トルイジン、N−アセトアセチル−p−トルイジン、o−アセトアセトアニシジド、p−アセトアセトアニシジド、p−アセトアセトフェネチジド、4’−アセチルアミノアセトアセトアニリド、2’,4’−ジメチルアセトアセトアニリド、4’−クロロ−2’−メチルアセトアセトアニリド、5’−クロロ−2’−メトキシアセトアセトアニリド、4’−クロロ−2’,5’−ジメトキシアセトアセトアニリド、5−アセトアセタミド−2−ベンズイミダゾリノン、N−(7−メトキシ−2,3−ジオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン−6−イル)−3−オキソブタンアミド等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、複数を組み合わせて使用してもよい。
【0049】
顔料をアシッドペースティングにより微細化する場合、モノアゾ顔料を濃硫酸に溶解させ、それを大過剰の水と混合することにより微細な顔料粒子を析出させる。その後、濾過及び水洗を繰り返し、乾燥させることにより微細化された顔料粒子を得ることができる。
【0050】
アシッドペースティングの方法は特に限定されないが、例えばモノアゾ顔料をその5乃至30重量倍の硫酸に溶解させ、得られた硫酸溶液をその5乃至30重量倍の水と混合する方法が挙げられる。その際、モノアゾ顔料を硫酸に溶解させる温度は、原料の分解やスルホン化などの反応を発生しない範囲であれば特に限定されないが、例えば3乃至40℃の範囲で行うことができる。また、モノアゾ顔料の硫酸溶液と水とを混合する方法や温度などの条件も特に限定されないが、多くの場合、高温で析出させた場合よりも低温の場合に粒子が微細となる傾向があるため、0℃乃至60℃の範囲で行うことが好ましい。その際に使用する水としては工業的に使用可能なものはいずれも使用することができるが、析出時の温度上昇を低減するためには、予め冷却した水を使用するのが好ましい。
【0051】
硫酸溶液と水との混合方法は特に限定されず、モノアゾ顔料を完全に析出させることができればどのような方法で混合しても良い。例えば、硫酸溶液を予め調製した氷水に注入する方法や、アスピレーターなどの装置を使用して流水中に硫酸溶液を連続的に注入するなどの方法で析出させることができる。
【0052】
以上の方法で得られたスラリーを濾過及び洗浄して酸性成分を除去し、その後、乾燥及び粉砕することで、本態様の顔料組成物を得ることができる。スラリーを濾過する際、硫酸溶液と水とを混合したスラリーをそのまま濾過してもよいが、スラリーの濾過性が悪い場合は濾過前に加熱攪拌してもよい。また、スラリーを塩基で中和した後に濾過してもよい。
【0053】
顔料をソルベントソルトミリングにより微細化する場合、モノアゾ顔料、水溶性無機塩及び水溶性溶剤の少なくとも三成分からなる混合物を粘土状にし、ニーダー等を使用して強力に混練する。混練後の混合物を水中に投入し、攪拌機で攪拌してスラリー状とする。これを濾過することにより、水溶性無機塩及び水溶性溶剤を除去する。以上のスラリー化と濾過及び水洗とを繰り返し、微細化された有機顔料を得ることができる。
【0054】
水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム等を使用することができる。これらの無機塩は、質量比で、有機顔料の1倍以上、好ましくは20倍以下の量で用いる。無機塩の質量が有機顔料の質量の1倍未満である場合、顔料を十分に微細化することが困難である。一方、無機塩の質量が有機顔料の質量の20倍よりも大きい場合、混練後に水溶性の無機塩及び水溶性溶剤を除去するために多大な労力を要すると同時に、一回に処理できる顔料の量が少なくなるため、生産性の点で好ましくない。
【0055】
上記の顔料の微細化方法では混練に伴って発熱することが多いため、安全性の点から、沸点が120乃至250℃程度の水溶性有機溶剤を使用することが好ましい。その例としては、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液体ポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、低分子量ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
【0056】
顔料をドライミリングにより微細化する場合、モノアゾ顔料を粉砕機で乾式粉砕することにより微細化する。この方法において、粉砕は粉砕メディア同士の衝突や摩擦を通じて進行する。ドライミリングを行うために使用する装置は特に限定されないが、その例としてはビーズ等の粉砕メディアを内蔵した乾式粉砕装置であるボールミル、アトライター、振動ミルなどが挙げられる。これらの装置を使用した乾式粉砕は、必要に応じて、粉砕容器の内部を減圧したり、窒素ガスなどの不活性ガスを充填したりして行ってもよい。また、ドライミリングした後に、上記のソルベントソルトミリングや溶剤中での攪拌処理などを行ってもよい。
【0057】
上記の顔料の微細化方法において、モノアゾ顔料は、単独で使用してもよく、複数を組み合わせて使用してもよい。また、モノアゾ顔料は、乾燥及び粉砕して粉状とした後に使用してもよく、乾燥前の含水ケーキの形態で使用してもよい。
【0058】
次に、異種骨格化合物(各々が上記一般式(2)乃至(5)の何れかによって表される少なくとも1種の化合物)について説明する。
【0059】
異種骨格化合物は、モノアゾ顔料の結晶安定性を高め、さらに分散安定性を高める働きをする。
【0060】
一般式(2)のR
1、R
3、R
4、R
6及びR
7について、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、tert−オクチル基、ネオペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。
【0061】
一般式(2)のR
1、R
3、R
4、R
6及びR
7について、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソプロペニル基、イソブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、1−オクテニル基、1−オクタデセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、1,3−ブタジエニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロペンタジエニル基、トリフルオロエテニル基、1−クロロエテニル基、2,2−ジブロモエテニル基、4−ヒドロキシ−1−ブテニル基等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。
【0062】
一般式(2)のR
1、R
3、R
4、R
6及びR
7について、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、インデニル基、トリル基、キシリル基、p−シクロヘキシルフェニル基、p−クメニル基、m−カルボキシフェニル基等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。
【0063】
一般式(2)において、R
3とR
4とは又はR
6とR
7とは、互いに結合して、それらが結合した窒素原子とともに複素環部位を形成していてもよい。この複素環部位の環原子としての炭素原子の一部は、他の窒素原子、酸素原子又は硫黄原子で置換されていてもよく、この複素環部位の環原子に結合している水素原子は置換されていてもよい。この複素環部位としては、例えば、インドール、ベンズイミダゾロン、ピロールから1つの水素原子を除いたものが挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。
【0064】
一般式(2)のR
2、R
5及びR
8乃至R
11について、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、エチルメチレン基、クロロメチレン基、ジメチルメチレン基、ビス(トリフルオロメチル)メチレン基等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。
【0065】
一般式(2)のR
2、R
5及びR
8乃至R
11について、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアルケニレン基としては、ビニレン基、1−メチルビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。
【0066】
一般式(2)のR
2、R
5及びR
8乃至R
11について、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアリーレン基としては、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、4−メチル−1,2−フェニレン基、4−クロロ−1,2−フェニレン基、4−ヒドロキシ−1,2−フェニレン基、2−メチル−1,4−フェニレン基、p,p’−ビフェニリレン基等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。
【0067】
一般式(3)のR
12、R
15及びR
16について、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、エチルメチレン基、クロロメチレン基、ジメチルメチレン基、ビス(トリフルオロメチル)メチレン基等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。
【0068】
一般式(3)のR
12、R
15及びR
16について、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアルケニレン基としては、ビニレン基、1−メチルビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。
【0069】
一般式(3)のR
12、R
15及びR
16について、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアリーレン基としては、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、4−メチル−1,2−フェニレン基、4−クロロ−1,2−フェニレン基、4−ヒドロキシ−1,2−フェニレン基、2−メチル−1,4−フェニレン基、p,p’−ビフェニリレン基等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。
【0070】
一般式(3)のR
13及びR
14について、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、tert−オクチル基、ネオペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。
【0071】
一般式(3)のR
13及びR
14について、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソプロペニル基、イソブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、1−オクテニル基、1−オクタデセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、1,3−ブタジエニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロペンタジエニル基、トリフルオロエテニル基、1−クロロエテニル基、2,2−ジブロモエテニル基、4−ヒドロキシ−1−ブテニル基等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。
【0072】
一般式(3)のR
13及びR
14について、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、インデニル基、トリル基、キシリル基、p−シクロヘキシルフェニル基、p−クメニル基、m−カルボキシフェニル基等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。
【0073】
一般式(3)において、R
13とR
14とは、互いに結合して、それらが結合した窒素原子とともに複素環部位を形成していてもよい。この複素環部位の環原子としての炭素原子の一部は、他の窒素原子、酸素原子又は硫黄原子で置換されていてもよく、この複素環部位の環原子に結合している水素原子は置換されていてもよい。この複素環部位としては、例えば、インドール、ベンズイミダゾロン、ピロールから1つの水素原子を除いたものが挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。
【0074】
一般式(4)のR
17及びR
18について、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、エチルメチレン基、クロロメチレン基、ジメチルメチレン基、ビス(トリフルオロメチル)メチレン基等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。
【0075】
一般式(4)のR
17及びR
18について、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアルケニレン基としては、ビニレン基、1−メチルビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。
【0076】
一般式(4)のR
17及びR
18について、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアリーレン基としては、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、4−メチル−1,2−フェニレン基、4−クロロ−1,2−フェニレン基、4−ヒドロキシ−1,2−フェニレン基、2−メチル−1,4−フェニレン基、p,p’−ビフェニリレン基等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。
【0077】
一般式(5)において、R
19及びR
20は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアルキル基、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアルケニル基、及び置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアリール基のいずれかを表す。
【0078】
一般式(5)において、Y
6は、−SO
2NH−R
21−NR
22R
23、−CONH−R
24−NR
25R
26、−SO
2NH−R
27−SO
3H、−CONH−R
28−SO
3H、−SO
2NHR
29−COOH、及び−CONH−R
30−COOHのいずれかを表す。R
21、R
24及びR
27乃至R
30は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアルキレン基、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアルケニレン基、及び置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアリーレン基のいずれかを表す。R
22、R
23、R
25及びR
26は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアルキル基、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアルケニル基、及び置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアリール基のいずれかを表す。R
22とR
23とは又はR
25とR
26とは、互いに結合して、それらが結合した窒素原子とともに複素環部位を形成していてもよく、この複素環部位の環原子としての炭素原子の一部は、他の窒素原子、酸素原子又は硫黄原子で置換されていてもよく、この複素環部位の環原子に結合している水素原子は置換されていてもよい。
【0079】
本態様で使用する異種骨格化合物としては、以下に示す化合物が挙げられる。ただし、本発明はこれらの例に限定されるものではない。これらの異種骨格化合物は、単独で使用してもよく、複数を組み合わせて使用してもよい。
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【0080】
本態様の顔料組成物の製造において、モノアゾ顔料と異種骨格化合物とは任意の方法で混合することができる。混合方法としては、例えば予め合成したモノアゾ顔料と異種骨格化合物とを粉状のまま混合する方法、それらの水スラリーを混合する方法、予め合成したモノアゾ顔料の水スラリーに異種骨格化合物を粉末又は溶液の形態で添加する方法、異種骨格化合物の存在下でモノアゾ顔料を合成する方法、モノアゾ顔料と異種骨格化合物とからなる顔料組成物をソルベントソルトミリング法によって混練する方法などが挙げられる。これらいずれの方法によっても分散性及び結晶安定性の良好な顔料組成物を得ることができる。
【0081】
本態様の顔料組成物において、異種骨格化合物の含有量が、モノアゾ顔料と異種骨格化合物との合計量に占める割合は0.1乃至40モル%の範囲内にあることが好ましい。この割合は、より好ましくは0.3乃至30モル%であり、さらに好ましくは0.5乃至20モル%である。この割合が0.1モル%未満である場合、得られる顔料組成物の分散安定性及び結晶安定性が不十分になる可能性がある。一方、この割合が40モル%を超える場合、添加量の増加に伴った顕著な分散安定化効果や結晶安定化効果が得られず、加えて、モノアゾ顔料の含有量が低下するために着色力が低下する可能性がある。
【0082】
本態様の顔料組成物を製造する方法としては、上記で例示した方法のうち、異種骨格化合物の存在下でモノアゾ顔料を合成する方法、液相中でモノアゾ顔料を合成することによって得られたスラリーに異種骨格化合物を添加する方法、又はモノアゾ顔料と異種骨格化合物とからなる顔料組成物をソルベントソルトミリング法によって混練する方法が好ましい。これらの方法のうち、異種骨格化合物の存在下でモノアゾ顔料を合成する方法、及び、液相中でモノアゾ顔料を合成することによって得られたスラリーに異種骨格化合物を添加する方法が特に好ましい。これらの方法で顔料組成物を製造した場合、異種骨格化合物が均一に分布した顔料組成物を得ることができる。そのため、どのような用途に使用した場合であっても、優れた分散性及び結晶安定性を達成できるのに加え、高い着色力や透明性も達成できる。
【0083】
異種骨格化合物の存在下でモノアゾ顔料を合成する場合、例えば、異種骨格化合物を、ベース成分、カプラー成分、及びpH3乃至6の緩衝水溶液の一つ以上に添加すること以外は、上記に例示したモノアゾ顔料を合成する方法と同様にして顔料組成物を製造することができる。
【0084】
液相中でモノアゾ顔料を合成してなるスラリーに異種骨格化合物を添加する場合、上記に例示したモノアゾ顔料を合成する方法を用いてモノアゾ顔料を含むスラリーを調製し、濾過の前に異種骨格化合物を添加することで、顔料組成物を製造することができる。
【0085】
本態様で得られる顔料組成物は、上記いずれか一つの方法で製造してもよく、複数の方法を組み合わせて製造してもよい。さらに、上記のいずれかの方法で調製した顔料組成物は、必要に応じてさらにアシッドペースティング、ソルベントソルトミリング、ドライミリングなどの方法により所望の粒子径に微細化してから使用してもよい。その際の方法は、上記モノアゾ顔料の場合と同様に行うことができる。
【0086】
また、本態様の顔料組成物は、上記いずれの方法においても、必要に応じて、樹脂や界面活性剤等を添加して製造することができる。これらの添加剤は、顔料組成物を調製するいずれの段階で使用してもよい。例えば、これら添加剤は、顔料組成物を合成する段階で、芳香族アミン又はアセトアセトアミド化合物とともに使用してもよく、アシッドペースティング、ソルベントソルトミリング、ドライミリングなどを行う際に使用してもよい。
【0087】
その際に使用する樹脂の種類は特に限定されないが、例えば、ロジン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、ビニルナフタレン−アクリル酸系樹脂、スチレン−マレイン酸系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で使用してもよく、複数を組み合わせて使用してもよい。また、これらは、顔料組成物に対して、例えば0.1乃至30重量%、好ましくは1乃至15重量%の範囲で使用することができる。
【0088】
顔料組成物を使用する際に使用する界面活性剤の種類は特に限定されないが、例えば、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルジアリールエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩、グリセロールボレイト脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、フッ素系非イオン性界面活性剤、シリコン系非イオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、四級アミン塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルイミダゾリウム塩等が挙げられる。これらの界面活性剤は、単独で使用してもよく、複数を組み合わせて使用してもよい。また、これらは、顔料組成物に対して、例えば0.1乃至30重量%、好ましくは1乃至15%の範囲で使用することができる。
【0089】
上述したいずれかの方法で調製した本態様の顔料組成物は、平均一次粒子径が200nm以下であることが好ましく、より好ましくは150nm以下、さらに好ましくは100nm以下である。平均一次粒子径が200nmを超える場合、何れかの用途に使用した際に着色力が劣る場合があり、さらに分散体やインキの保存中に沈降物を生じる場合があるため、好ましくない。
【0090】
本態様において、顔料組成物の平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡又は透過型電子顕微鏡を使用して測定することができる。本明細書での平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡又は透過型電子顕微鏡で顔料粒子の写真を撮影し、凝集体を構成する各一次粒子について、それぞれの径を測定する。その際、各粒子について、最大径をその粒子の一次粒子径とする。この測定を同一の視野内に含まれる100個の粒子について行い、得られた値の平均値を平均一次粒子径とする。
【0091】
本態様の顔料組成物において、顔料組成物をイオン交換水で煮沸抽出した水溶液の比電導度は、200μS/cm未満であることが好ましく、より好ましくは150μS/cm未満、さらに好ましくは100μS/cm未満である。比電導度は、顔料組成物に含まれるイオン性不純物含有量の指標として測定する。一般的に、顔料組成物に含まれるイオン性不純物は、分散安定性に影響することが知られており、できる限り少ないことが好ましい。
【0092】
顔料組成物に含まれるイオン性不純物を低減するための方法は、顔料組成物をイオン交換水で煮沸抽出した水溶液の比電導度が上記の範囲となるものであれば特に限定されないが、例えば、顔料組成物の調製後に濾過と洗浄を繰り返す方法が挙げられる。その際に使用する水の種類は特に限定されないが、蒸留水やイオン交換水など、イオン性不純物を含有しないものであることが好ましい。
【0093】
また、本態様の顔料組成物において、カルシウム、マグネシウム、及び鉄の含有量の合計は300ppm未満であることが好ましく、より好ましくは200ppm未満、さらに好ましくは150ppm未満である。また、上記の各金属元素の含有量はそれぞれ150ppm未満であることが好ましく、より好ましくは100ppm未満、さらに好ましくは80ppm未満である。カルシウム、マグネシウム、及び鉄の含有量の合計が300ppm以上、又はそれぞれの金属元素の含有量が150ppm以上である場合、顔料組成物をインクジェットインキに使用した際、プリンターのインキ流路やヘッドのノズル部において不溶物を発生し、ノズル詰まりの原因となる場合があるため、好ましくない。
【0094】
カルシウム、マグネシウム、及び鉄の含有量を測定するための方法としては様々なものが知られているが、例えば、顔料組成物に硝酸を加えてマイクロウェーブで分解処理した溶液を適当な濃度に希釈し、誘導結合プラズマ発光分析(ICP)を用いて測定する方法が挙げられる。
【0095】
顔料組成物に含まれるカルシウム、マグネシウム、及び鉄の含有量を低減するための方法は特に限定されないが、例えば顔料組成物を調製後に酸性の水溶液中でスラリー化し、濾過及び洗浄を繰り返す方法が挙げられる。その際に使用する酸の種類は特に限定されないが、例えば、硫酸、塩酸、酢酸等を挙げることができる。また、洗浄に使用する水の種類は特に限定されないが、蒸留水やイオン交換水など、イオン性不純物を含有しないものであることが好ましい。
【0096】
本態様の顔料分散体は、本態様の顔料組成物及び液状媒体を含有するものであり、本態様の顔料組成物を水性媒体に分散した水性顔料分散体、及び、本態様の顔料組成物を有機溶媒に分散した油性顔料分散体のいずれをも包含するものである。
【0097】
水性顔料分散体は、本態様の顔料組成物、水性媒体、樹脂、界面活性剤等の混合物を分散機で分散処理に供して調製することができる。また、必要に応じて、上記の原料のほかに添加剤を添加して分散処理を行ってもよい。水性顔料分散体を調製する際の、各原料の添加順序や添加方法については特に限定されない。
【0098】
水性顔料分散体において、顔料組成物の含有量は特に限定されないが、5乃至50重量%の範囲であることが好ましく、特に好ましくは10乃至40重量%である。
【0099】
水性顔料分散体の製造に使用する水性媒体の種類や含有量は特に限定されないが、金属イオン等を除去したイオン交換水又は蒸留水を使用することが好ましい。水性媒体の含有量は水性顔料分散体の30乃至95重量%であることが好ましい。
【0100】
また、水性媒体としては、必要に応じて水と水溶性溶媒を混合して使用することができる。水溶性溶媒は特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ケトンアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール、N−メチル−2−ピロリドン、置換ピロリドン、2,4,6−ヘキサントリオール、テトラフリルアルコール、4−メトキシ−4−メチルペンタノン等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、複数を組み合わせて使用してもよい。これらの水溶性溶媒を使用する場合、水溶性溶媒の含有量は、水性顔料分散体の1乃至50重量%であることが好ましい。
【0101】
水性顔料分散体の製造に使用する樹脂としては、水性媒体中で顔料組成物を分散させうるものであれば特に限定されないが、例えば顔料組成物を製造する際に使用可能な樹脂として例示したものを使用することができる。それらの樹脂は、単独で使用してもよく、複数を組み合わせて使用してもよい。また、それらの使用量は特に限定されないが、水性顔料分散体の0.5乃至30重量%であることが好ましく、さらに好ましくは1乃至20重量%である。
【0102】
また、水性顔料分散体の製造に使用するための界面活性剤としては、水性媒体中で顔料組成物を分散させうるものであれば特に限定されないが、例えば顔料組成物を製造する際に使用可能な界面活性剤として例示したものを使用することができる。それらの界面活性剤は、単独で使用してもよく、複数を組み合わせて使用してもよい。また、それらの使用量は特に限定されないが、水性顔料分散体の0.5乃至30重量%であることが好ましく、さらに好ましくは1乃至20重量%である。
【0103】
さらに、水性顔料分散体を製造する際、必要に応じて、防黴剤、pH調整剤、消泡剤等の添加物を使用することができる。
【0104】
防黴剤は、水性顔料分散体中での黴の発生を防止するために使用する。防黴剤の種類は特に限定されないが、例えばデヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ソジウムピリジンチオン−1−オキサイド、ジンクピリジンチオン−1−オキサイド、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、1−ベンズイソチアゾリン−3−オンのアミン塩等が挙げられる。これらは、水性顔料分散体の0.05乃至2重量%の範囲で使用するのが好ましい。
【0105】
pH調整剤は、水性顔料分散体のpHを所望の値に調整するために使用する。pH調整剤の種類は特に限定されないが、例えばアミン、無機アルカリ、アンモニア、緩衝液等が挙げられる。
【0106】
消泡剤は、水性顔料分散体の製造において泡の発生を防止するために使用する。消泡剤の種類は特に限定されず、市販のものをいずれも使用することができる。例えば、サーフィノール104A、サーフィノール104E、サーフィノール104H、サーフィノール104BC、サーフィノール104DPM、サーフィノール104PA、サーフィノール104PG−50、サーフィノール420、サーフィノール440、サーフィノール465、サーフィノール485、サーフィノールPSA−336(いずれもエアープロダクツ・アンド・ケミカルズ社製)等が挙げられる。
【0107】
油性顔料分散体は、本態様の顔料組成物、有機溶媒、分散剤等の混合物を分散機で分散処理に供して調製することができる。また、必要に応じて、上記の原料のほかに添加剤を添加して分散処理を行ってもよい。油性顔料分散体を調製する際の、各原料の添加順序や添加方法については特に限定されない。
【0108】
油性顔料分散体において、顔料組成物の含有量は特に限定されないが、5乃至50重量%の範囲であることが好ましく、特に好ましくは10乃至40重量%である。
【0109】
油性顔料分散体の製造に使用する有機溶媒の種類や含有量は特に限定されないが、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、メチルイソアミルケトン、ジエチルケトン、エチル−n−プロピルケトン、エチルイソプロピルケトン、エチル−n−ブチルケトン、エチルイソブチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ヘキシル、酢酸オクチル、乳酸メチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル等のエステル類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ノナン、イソノナン、ドデカン、イソドデカン等の飽和炭水素類、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等の不飽和炭化水素類、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、デカリン等の環状飽和炭化水素類、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、1,3,5,7−シクロオクタテトラエン、シクロドデセン等の環状不飽和炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。有機溶媒の含有量は、油性顔料分散体の30乃至95重量%であることが好ましい。これらは、単独で使用してもよく、複数を組み合わせて使用してもよい。
【0110】
油性顔料分散体の製造に使用する分散剤は特に限定されないが、例えば、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリアリルアミンと遊離のカルボン酸を有するポリエステルとの縮合物又は造塩物、ポリエーテルエステル型陰イオン性界面活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物の塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、複数を組み合わせて使用してもよい。これらの使用量は特に限定されないが、油性顔料分散体の0.5乃至30重量%であることが好ましく、さらに好ましくは1乃至20重量%である。
【0111】
本態様の顔料分散体を製造するために使用する分散機は特に限定されないが、例えば、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、アトライター、マイクロフルイタイザー、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシェーカー、ロールミル、石臼式ミル、超音波分散機等が挙げられ、分散体を製造するために通常に使用されるあらゆる分散機や混合機を使用することができる。
【0112】
また、分散機で分散を行う前に、ニーダー及び3本ロールミル等の練肉混合機を使用した前分散、又は2本ロールミル等による固形分散等の処理を行ってもよい。また、分散機で分散を行った後、30乃至80℃の加温状態にて数時間乃至1週間程度保存して後処理する工程や、超音波分散機や衝突型ビーズレス分散機を用いて後処理する工程は、顔料分散体に分散安定性を付与するために効果的である。さらに、分散機で分散を行った後に、遠心分離機による処理を施しても良い。この処理は、顔料分散体中に含まれる粗大粒子を除去するために効果的である。
【0113】
本態様のインクジェットインキは、本態様の顔料分散体を含有するものであり、上記水性顔料分散体を使用した水性インクジェットインキ及び上記油性顔料分散体を使用した油性インクジェットインキのいずれをも包含するものである。
【0114】
本態様の水性インクジェットインキは、上記水性顔料分散体に、水性媒体、樹脂、界面活性剤、その他の添加剤等を加えて均一に混合することにより製造できる。
【0115】
本態様の水性インクジェットインキにおいて、顔料組成物の含有量は特に限定されないが、水性インクジェットインキの1乃至10重量%であることが好ましく、さらに好ましくは2乃至7重量%である。
【0116】
水性インクジェットインキの製造に使用する水性媒体の種類や含有量は特に限定されないが、金属イオン等を除去したイオン交換水ないし蒸留水を使用することが好ましい。水性媒体の含有量は水性インクジェットインキの60乃至99重量%であることが好ましい。
【0117】
また、水性媒体としては、プリンターヘッドのノズル部分におけるインキの乾燥及び固化を防止し、安定な吐出を行うために、必要に応じて水溶性溶媒を使用することができる。水溶性溶媒の種類は特に限定されないが、例えば、水性顔料分散体の製造で使用することのできる水溶性溶媒として例示したものが挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、複数を組み合わせて使用してもよい。これらの水溶性溶媒を使用する場合、水溶性溶媒の含有量は、水性インクジェットインキの1乃至50重量%の範囲であることが好ましい。
【0118】
本態様の水性インクジェットインキを調製する際、顔料組成物の被印刷物への定着性を付与するために樹脂を使用することができる。樹脂の種類は特に限定されないが、例えば、水性顔料分散体を製造する際に使用可能な樹脂として例示したもの、又はそれらの水中油滴型エマルションが挙げられる。これらのうち、水中油滴型エマルションは、これらを使用した場合に、低粘度の水性インクジェットインキ及び耐水性に優れた記録物が得られるため、好ましい。これらの樹脂は、単独で使用してもよく、複数を組み合わせて使用してもよい。これらの樹脂の含有量は、水性インクジェットインキの0.5乃至10重量%であることが好ましく、さらに好ましくは、1乃至5重量%である。含有量が0.5%よりも少ない場合、顔料組成物を定着する効果が不十分となり、15%よりも多い場合、インキの粘度が上昇する、又は吐出安定性が低下する等の不具合を生じる場合があり好ましくない。これらの樹脂は、必要に応じて、アンモニア、アミン、無機アルカリ等のpH調整剤により酸性官能基を中和して使用することができる。
【0119】
本態様の水性インクジェットインキを調製する際、インキ中における顔料組成物の分散安定性を付与するため、必要に応じて、界面活性剤を使用することができる。界面活性剤の種類は特に限定されないが、例えば、水性顔料分散体を製造する際に使用可能な界面活性剤として例示したものが挙げられる。これらの界面活性剤は、単独で使用してもよく、複数を組み合わせて使用してもよい。これらの界面活性剤の含有量は、水性インクジェットインキの0.5乃至10重量%であることが好ましく、さらに好ましくは1乃至5重量%である。
【0120】
本態様の水性インクジェットインキを製造する際、その他の添加剤としては乾燥促進剤、浸透剤、防黴剤、キレート剤、pH調整剤等を使用することができる。
【0121】
乾燥促進剤は、水性インクジェットインキを印字した際の乾燥を速めるために使用することができる。乾燥促進剤の種類は特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、複数を混合して使用してもよい。また、これらの含有量は、水性インクジェットインキの1乃至50重量%であることが好ましい。
【0122】
また、被印刷体が紙などの浸透性の基材である場合、基材へのインキの浸透を促進し、見掛けの乾燥を速くするために、浸透剤を使用することができる。浸透剤の例としては、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、アルキレングリコール及びアルキレンジオール等の水溶性溶媒、また、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム及びジ−(2−エチルヘキシル)−スルホコハク酸ナトリウム等の界面活性剤等が挙げられる。これらの使用量は、水性インクジェットインキの5重量%以下で十分な効果があり、これよりも多いとインキの粘度が上昇する、あるいはインキが滲みや紙抜けを起こすことがあるため、好ましくない。
【0123】
防黴剤は、水性インクジェットインキ中における黴の発生を防止するために使用することができる。防黴剤の種類は特に限定されないが、例えば、水性顔料分散体を製造する際に使用可能な防黴剤として例示したものを使用することができる。これらは、水性インクジェットインキの0.05乃至1.0重量%の範囲で使用するのが好ましい。
【0124】
キレート剤は、水性インクジェットインキ中に含まれる金属イオンを捕捉し、プリンターヘッドのノズル部やインキ中における不溶性物の析出を防止するために使用することができる。キレート剤の種類は特に限定されないが、例えばエチレンジアミンテトラアセティックアシド、エチレンジアミンテトラアセティックアシドのナトリウム塩,エチレンジアミンテトラアセティックアシドのジアンモニウム塩、エチレンジアミンテトラアセティックアシドのテトラアンモニウム塩等が挙げられる。これらは、水性インクジェットインクの0.005乃至0.5重量%の範囲で使用するのが好ましい。
【0125】
また、水性インクジェットインキのpHを所望の値に調整するため、pH調整剤を使用することができる。pH調整剤の種類は特に限定されないが、例えば、水性顔料分散体の製造で使用することのできるpH調整剤が挙げられる。
【0126】
本態様の油性インクジェットインキは、上記油性顔料分散体に、有機溶媒、樹脂、分散剤、その他の添加剤等を加えて均一に混合することにより製造できる。
【0127】
本態様の油性インクジェットインキにおいて、顔料組成物の含有量は特に限定されないが、油性インクジェットインキの1乃至10重量%であることが好ましく、さらに好ましくは2乃至7重量%である。
【0128】
油性インクジェットインキの製造に使用する有機溶媒の種類は特に限定されないが、例えば、油性顔料分散体を製造する際に使用可能な有機溶媒として例示したものを使用することができる。有機溶媒の含有量は特に限定されないが、油性インクジェットインキの80乃至97重量%であることが好ましい。これらの有機溶媒は、一種類のものを単独で使用してもよく、複数のものを組み合わせて使用してもよい。
【0129】
本態様の油性インキジェットインキを製造する際、顔料組成物の被印刷物への定着性を付与するために、樹脂を使用することができる。樹脂の種類は特に限定されないが、例えば、石油樹脂、カゼイン、セラック、ロジン系樹脂、ロジンエステル系樹脂、セルロース系樹脂、天然ゴム、合成ゴム、環化ゴム、塩化ゴム、酸化ゴム、塩酸ゴム、フェノール樹脂、テルペンフェノール系樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアリルアミン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニリデン樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、乾性油、合成乾性油、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ブチラール樹脂、クマロンインデン系樹脂、キシレン樹脂、フマル酸樹脂、ポリオレフィン、塩化ポリプロピレン、ワックス−ラテックス系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、スチレン−マレイン酸系樹脂等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、複数を組み合わせて使用してもよい。これらの使用量は特に限定されないが、油性インクジェットインキの1乃至15重量%であることが好ましく、さらに好ましくは3乃至8重量%である。
【0130】
本態様の油性インクジェットインキを調製する際、インキ中における顔料組成物の分散安定性を付与するため、必要に応じて分散剤を使用することができる。分散剤の種類は特に限定されないが、例えば、油性顔料分散体を製造する際に使用可能な分散剤として例示したものを使用することができる。これらは、単独で使用してもよく、複数を組み合わせて使用してもよい。これらの使用量は特に限定されないが、油性インクジェットインキの0.1乃至15重量%であることが好ましく、さらに好ましくは0.5乃至10重量%である。
【0131】
本態様の油性インクジェットインキには更なる添加物が含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、湿潤剤、脱ガス剤/脱泡剤、保存剤及び酸化防止剤等が挙げられる。
【0132】
上記の原料を混合してインクジェットインキを調製する際、原料を混合する方法は特に限定されず、通常の羽を用いた攪拌機のほか、高速の分散機、乳化機等を使用して行うことができる。その際、原料の添加順序や混合方法等は特に限定されない。
【0133】
また、各原料を混合し、調製したインクジェットインキを濾過機で濾過することにより、インキ中に含まれる粗大粒子を除去することができる。その際に使用するフィルターの孔径は1μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは、0.65μm以下である。
【0134】
本態様の着色樹脂組成物は、本態様の顔料組成物、結着樹脂、並びに、必要に応じて、後述の荷電制御剤及び離型剤等を含有するものであり、例えば電子写真用トナーとして用いることができる。本態様の着色樹脂組成物は、本態様の顔料組成物及び結着樹脂を混合機により充分混合した後、熱混練機を用いて溶融混練し、冷却固化させて調製することができる。
【0135】
電子写真用トナー(以下、電子写真用トナーを単にトナーと称する場合がある。)は、粉砕法及び重合法等、従来から公知の製造方法を用いて製造することができる。粉砕法による製造例としては、上記着色樹脂組成物を粉砕機で粗粉砕し、必要に応じて、後述の外添剤と混合した後、微粉砕、分級することで製造することができる。
【0136】
一方、重合法による製造例としては、本態様の顔料組成物、重合開始剤、及び必要に応じて添加剤を、モノマー中に溶解又は分散させ油相を調製する。この油相と分散剤等を含有する水相とを混合し、油滴を生成させ、ラジカル重合反応を進行させる、次いで洗浄、乾燥し、外添剤と混合することでトナーを製造することができる。本態様のトナーを重合法で製造する場合、懸濁重合法、乳化重合法、溶解懸濁法、エステル伸長重合法等、従来から公知の方法を用いて製造することができる。また、これらの重合法でトナーを製造する際に、上記着色樹脂組成物を原料として使用し、加工することも可能である。
【0137】
本態様の着色樹脂組成物及びトナーを製造するために使用する結着樹脂は特に限定されないが、例えば、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂などがあげられる。中でもポリエステル樹脂、スチレン系共重合体が好ましく用いられる。本態様の顔料組成物は、上記結着樹脂の中でもポリエステル樹脂に対する適性が特に優れ、顔料組成物が結着樹脂中に均一且つ微細に分散され、好適である。
【0138】
ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、下記一般式(9)で示されるビスフェノール誘導体等のジオール類、グリセロール、ジグリセロール、ソルビット、ソルビタン、ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール等の多価アルコール類が挙げられ、これらは単独で或いは2種以上の組み合わせで使用される。
【0140】
(式中、R
Aはエチレン又はプロピレン基であり、x、yはそれぞれ1以上の整数であり、x+yは2乃至10である。)
ポリエステル樹脂を構成する酸成分としては、二価のカルボン酸として、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸等の芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸類又はその無水物;また更に炭素数16乃至18のアルキル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の脂肪族不飽和ジカルボン酸又はその無水物等が挙げられる。架橋成分として有効な三価以上のカルボン酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ブタントリカルボン酸、ヘキサントリカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、オクタンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、複数を組み合わせて使用してもよい。
【0141】
ポリエステル樹脂としては、上記アルコール成分及び酸成分から合成されたホモポリエステル或いはコポリエステルを単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0142】
また、ポリエステル樹脂は、耐オフセット性及び低温定着性の点から、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)で測定される分子量において、重量平均分子量(Mw)が5,000以上のものが好ましく、10,000乃至1,000,000のものがより好ましい。より好ましくは、重量平均分子量(Mw)が20,000乃至100,000の範囲である。ポリエステル樹脂の重量平均分子量が小さくなると、トナーの耐オフセット性が低下する傾向にあり、また、重量平均分子量が大きくなると定着性が低下する傾向を示すため、好ましくない。
【0143】
また、ポリエステル樹脂の酸価は10乃至60mgKOH/gであることが好ましく、更に好ましくは15乃至55mgKOH/gである。酸価が10mgKOH/g未満の場合、離型剤が遊離する場合があり好ましくない。これに対し、酸価が60mgKOH/gを超える場合、樹脂の親水性が大きくなることにより高湿環境において画像濃度が低下するため、好ましくない。
【0144】
ポリエステル樹脂の水酸基価は20mgKOH/g以下であることが好ましく、更に好ましくは15mgKOH/g以下である。水酸基価が20mgKOH/gを超える場合には、親水性が大きくなり高湿環境において画像濃度が低下するため、好ましくない。
【0145】
また、トナーの凝集防止の点からは、ポリエステル樹脂の示差走査熱量計(装置:DSC−6、島津製作所製)によって測定されるガラス転移温度(Tg)は50乃至70℃であることが好ましく、更に好ましくは50乃至65℃である。
【0146】
本態様のトナーには、必要に応じて荷電制御剤を添加することができる。荷電制御剤の使用により帯電量の安定したトナーを得ることができる。本態様のトナーにおいては、荷電制御剤として従来知られた正又は負の荷電制御剤のいずれも使用可能である。
【0147】
本態様のトナーが正帯電性トナーである場合に使用する正の荷電制御剤の例としてはニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、有機錫オキサイド、四級アンモニウム塩化合物、四級アンモニウム塩を官能基としてスチレン・アクリル樹脂に共重合したスチレン・アクリル系ポリマー等が挙げられるが、中でも四級アンモニウム塩化合物が好ましい。
【0148】
本態様において使用できる四級アンモニウム塩化合物としては、四級アンモニウム塩と有機スルホン酸あるいはモリブデン酸とからなる造塩化合物が挙げられる。有機スルホン酸としてはナフタレンスルホン酸を用いることが好ましい。
【0149】
一方、負帯電性トナーである場合に使用する負の荷電制御剤の例としてはモノアゾ染料の金属錯体、スルホン酸を官能基としてスチレン・アクリル樹脂に共重合したスチレン・アクリル系ポリマー、芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属塩化合物、芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属錯体、フェノール系縮合物、ホスホニウム系化合物等が挙げられる。芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、サリチル酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−フェニルサリチル酸が好ましい。また、金属塩化合物に用いられる金属としては、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、クロム、アルミニウム等が挙げられる。
【0150】
また、本態様のトナーにおいては、離型剤を用いることができる。離型剤の例としては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィーシャートロプシュワックス等の炭化水素系ワックス類、合成エステルワックス類、カルナバワックス、ライスワックス等の天然エステル系ワックス類等が挙げられる。
【0151】
本態様のトナーにおいては、必要に応じて滑剤、流動化剤、研磨剤、導電性付与剤、画像剥離防止剤等の外添剤を使用することができる。これら外添剤は、従来トナーの製造にあたり使用されている公知の外添剤のいずれのものでも使用することができる。これら外添剤の例として以下のものが挙げられる。滑剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ステアリン酸亜鉛等が、流動化剤としては、乾式法あるいは湿式法で製造したシリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、珪素アルミニウム共酸化物、珪素チタン共酸化物及びこれらを疎水性化処理したもの等が挙げられる。また研磨剤としては窒化珪素、酸化セリウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム、タングステンカーバイド、炭酸カルシウム及びこれらを疎水化処理したもの等が、導電性付与剤としては酸化錫等が挙げられる。
【0152】
本態様のトナーにおいて使用する流動化剤としては、上記で例示したもののうち、疎水化処理されたシリカ、珪素アルミニウム共酸化物、珪素チタン共酸化物微粉体を使用することが好ましい。これら微粉体の疎水化処理方法としては、シリコンオイルやテトラメチルジシラザン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジメトキシシラン等のシランカップリング剤による処理等が挙げられる。
【0153】
本態様のトナーは一成分系現像剤として使用してもよく、キャリアと混合して二成分系現像剤として使用してもよい。二成分系現像剤に用いるキャリアとしては、従来公知のいずれのものを使用してもよい。その例としては、鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉のような磁性粉体等、あるいはこれらの表面を樹脂等で処理したもの等が挙げられる。キャリア表面を被覆する樹脂としては、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、フッ素含有樹脂、シリコーン含有樹脂、ポリアミド樹脂、アイオノマー樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。これらのなかでは、スペントトナーの形成が少ないためシリコーン含有樹脂が特に好ましい。これらキャリアの重量平均粒径は30乃至100μmの範囲であることが好ましい。
【0154】
本態様の着色樹脂組成物を製造する際に、原料を混合するために使用するための混合機としては、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等従来公知のいずれの混合機を用いてもよい。また、これらを溶融混練するために使用する混練機としては、加熱ニーダー、バンバリーミキサー等のバッチ式混練機を使用してもよく、1軸あるいは2軸のエクストルーダー等の連続式混練機を使用してもよい。
【0155】
着色樹脂組成物を製造する際に原料を溶融混練する温度は100乃至200℃が好ましく、より好ましくは120乃至180℃である。100℃未満の場合顔料及び/又は顔料組成物の分散が不十分であり、200℃を超える場合、結着樹脂が熱劣化するため好ましくない。
【0156】
荷電制御剤は、上記溶融混練の工程で原料と混合して使用してもよく、着色樹脂組成物を調製した後に混合、又は混合後、再度溶融混練して使用してもよい。このうち溶融混練の工程で使用した場合、荷電制御剤を着色樹脂組成物中に均一に分散することができるため、より好ましい。
【0157】
また、離型剤も同様に、上記溶融混練の工程で原料と混合して使用してもよく、着色樹脂組成物を調製した後に混合、又は混合後、再度溶融混練して使用してもよい。このうち溶融混練の工程で使用した場合、耐久性の高いトナーを得ることができるため、より好ましい。
【0158】
以下、実施例によって本発明の詳細を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、実施例79乃至90及び比較例15乃至18中で用いられる結着樹脂は次のものである。
【0159】
<結着樹脂>
熱可塑性ポリエステル樹脂
テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA、エチレングリコールから構成されるポリエステル樹脂。
【0160】
酸価:10mgKOH/g、水酸基価:43mgKOH/g、Tg:58℃
分子量 Mw:28200、Mn:2500
<モノアゾ顔料及び顔料組成物の調製>
製造例1<モノアゾ顔料A−01(C.I.Pigment Yellow 74)の調製>
ジアゾ成分として2−メトキシ−4−ニトロアニリン67.3gを水500gに添加、攪拌して懸濁液を調製し、さらに氷を加えて温度を5℃以下に調整した。その中に35%塩酸を105g添加し、5℃以下を維持したまま1時間攪拌した。その後、亜硝酸ナトリウム28.0gを水72.0gに溶解させた水溶液を添加し、1時間攪拌することによりジアゾ化を行った。反応混合物にスルファミン酸0.5gを加えて亜硝酸を消失させ、ジアゾニウム水溶液を調製した。
【0161】
一方、カプラー成分としてo−アセトアセトアニシジド84.5g及び25%水酸化ナトリウム水溶液164gを水140g中に添加し、攪拌して完全に溶解させた。それを、80%酢酸82.0gと水420gを混合した水溶液に注入し、カプラースラリーを調製した。
【0162】
上記で調製したカプラースラリーを40℃に加熱し、その中にジアゾニウム水溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、そのままの温度で1時間攪拌し、反応を完結させた。反応終了後、スラリーを90℃に加熱し、1時間攪拌した。その後に直径285mmのブフナー漏斗で濾過し、イオン交換水25リットルを振りかけて洗浄し、乾燥、粉砕してモノアゾ顔料A−01(C.I.Pigment Yellow 74)147gを得た。
【0163】
製造例2<モノアゾ顔料A−02(C.I.Pigment Yellow 3)の調製>
製造例1において、ジアゾ成分として使用した2−メトキシ−4−ニトロアニリン67.3gを4−クロロ−2−ニトロアニリン69.0gに、カプラー成分として使用したo−アセトアセトアニシジド84.5gをo−クロロアセトアセトアニリド86.3gにそれぞれ変更し、それ以外は製造例1と同様にして、モノアゾ顔料A−02(C.I.Pigment Yellow )150gを得た。
【0164】
製造例3<モノアゾ顔料A−03(C.I.Pigment Yellow 49)の調製>
製造例1において、ジアゾ成分として使用した2−メトキシ−4−ニトロアニリン67.3gを4−クロロ−2−メチルアニリン56.6gに、カプラー成分として使用したo−アセトアセトアニシジド84.5gを4’−クロロ−2’,5’−ジメトキアセトアセトアニリド110.9gにそれぞれ変更し、それ以外は製造例1と同様にして、モノアゾ顔料A−03(C.I.Pigment Yellow 49)161gを得た。
【0165】
製造例4<モノアゾ顔料A−04(C.I.Pigment Yellow 111)の調製>
製造例1において、カプラー成分として使用したo−アセトアセトアニシジド84.5gを5’−クロロ−2’−メトキシアセトアセトアニリド98.6gに変更し、それ以外は製造例1と同様にして、モノアゾ顔料A−04(C.I.Pigment Yellow 111) 160gを得た。
【0166】
製造例5<モノアゾ顔料A−05(C.I.Pigment Yellow 120)の調製>
製造例1において、ジアゾ成分として使用した2−メトキシ−4−ニトロアニリン67.3gを5−アミノイソフタル酸ジメチル83.7gに、カプラー成分として使用したo−アセトアセトアニシジド84.5gを5−アセトアセタミド−2−ベンズイミダゾリノン95.1gにそれぞれ変更し、それ以外は製造例1と同様にして、モノアゾ顔料A−05(C.I.Pigment Yellow 120)172gを得た。
【0167】
製造例6<異種骨格化合物D−02の調製>
p−アミノアセトアニライドと塩化シアヌルを等モルで反応させ、次いで、等モルのN,N−ジブチルアミノプロピルアミンを反応後、加水分解し、下記式で表わされる化合物D−01を得た。
【0169】
次に、アントラキノン−2−カルボン酸を常法に従って、塩化チオニルで塩素化して得たアントラキノン−2−カルボクロリド27.0g、製造例6で得られた化合物D−01 38.0g、メタノール300gを混合し、3時間加熱還流する。
【0170】
反応終了後、水1500gと水酸化ナトリウム8gを加え、濾過、水洗、乾燥し、下記式で表わされる化合物D−02 58.0gを得た。
【0172】
実施例1<顔料組成物P−01の調製>
ジアゾ成分として、2−メトキシ−4−ニトロアニリン63.9gを水500gに添加、攪拌して懸濁液を調製し、さらに氷を加えて温度を5℃以下に調整した。その中に35%塩酸を105g添加し、5℃以下を維持したまま1時間攪拌した。その後、亜硝酸ナトリウム28.0gを水72.0gに加えて調製した水溶液を添加し、1時間攪拌することによりジアゾ化を行った。反応混合物にスルファミン酸を加えて過剰の亜硝酸を消失させ、ジアゾニウム水溶液を調製した。
【0173】
一方、カプラー成分としてo−アセトアセトアニシジド80.4g及び25%水酸化ナトリウム水溶液164gを水140g中に添加し、攪拌して完全に溶解させた。また80%酢酸82.0gと水420gを混合した水溶液を調製し、この水溶液に上記式で表される化合物D−02 12.4gを添加し、化合物D−02を含有する懸濁液を得た。その中に、上記で調製したカプラー溶液を注入し、化合物D−02を含有するカプラースラリーを調製した。
【0174】
化合物D−02を含有するカプラースラリーを40℃に加熱し、その中に上記で調整したジアゾニウム水溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、そのままの温度で1時間攪拌し、反応を完結させた。反応終了後、スラリーを90℃に加熱し、1時間攪拌した。
【0175】
その後に直径285mmのブフナー漏斗で濾過し、イオン交換水25リットルを振りかけて洗浄した。次いで乾燥、粉砕して顔料組成物P−01を147g得た。顔料組成物P−01に含まれる成分はモノアゾ顔料A−01(C.I.Pigment Yellow 74)及び化合物D−02であり、化合物D−02の含有量は、5.0mol%であった。
【0176】
実施例2<顔料組成物P−02の調製>
実施例1において、2−メトキシ−4−ニトロアニリン63.9gを2−ニトロ4−クロロアニリン65.6gに、o−アセトアセトアニシジド80.4gをアセトアセトアニリド68.8gに、化合物D−02 12.4gを、下記式で表される化合物D−03 6.4gに変更し、それ以外は実施例1と同様にして、顔料組成物P−02 136gを得た。顔料組成物P−02に含まれる成分はC.I.Pigment Yellow 6及び化合物D−03であり、化合物D−03の含有量は、5.0mol%であった。
【0178】
実施例3<顔料組成物P−03の調製>
実施例1において2−メトキシ−4−ニトロアニリン63.9gを6−アミノ−7−クロロ−4−メチルキノリン−2(1H)−オン 79.3gに、化合物D−02 12.4gを、下記式で表される化合物D−04 7.3gにそれぞれ変更し、それ以外は実施例1と同様にして、顔料組成物P−03 166gを得た。顔料組成物P−03に含まれる成分はC.I.Pigment Yellow 105及び化合物D−04であり、化合物D−04の含有量は、5.0mol%であった。
【0180】
実施例4<顔料組成物P−04の調製>
ジアゾ成分として、2−メトキシ−4−ニトロアニリン63.9gを水500gに添加、攪拌して懸濁液を調製し、さらに氷を加えて温度を5℃以下に調整した。その中に35%塩酸を105g添加し、5℃以下を維持したまま1時間攪拌した。その後、亜硝酸ナトリウム28.0gを水72.0gに加えて調製した水溶液を添加し、1時間攪拌することによりジアゾ化を行った。反応混合物にスルファミン酸を加えて過剰な亜硝酸を消失させ、ジアゾニウム水溶液を調製した。このジアゾニウム水溶液に下記式で表される化合物D−05 5.0gを添加、均一に撹拌して懸濁液とし、化合物D−05を含むジアゾニウム水溶液を得た。
【0182】
一方、カプラー成分としてo−アセトアセトアニシジド80.4g及び25%水酸化ナトリウム水溶液164gを水140g中に添加し、攪拌して完全に溶解させた。それを、80%酢酸82.0gと水420gを混合した水溶液に注入し、カプラースラリーを調製した。
【0183】
上記で調製したカプラースラリーを40℃に加熱し、その中に、化合物D−05を含むジアゾニウム水溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、そのままの温度で1時間攪拌し、反応を完結させた。反応終了後、スラリーを90℃に加熱し、1時間攪拌した。その後に直径285mmのブフナー漏斗で濾過し、イオン交換水25リットルを振りかけて洗浄した。次いで乾燥、粉砕して顔料組成物P−04 144gを得た。顔料組成物P−04に含まれる成分はモノアゾ顔料A(C.I.Pigment Yellow 74)及び化合物D−05であり、化合物D−05の含有量は、5.0mol%であった。
【0184】
実施例5<顔料組成物P−05の調製>
実施例4において、ジアゾ成分として使用した2−メトキシ−4−ニトロアニリン63.9gを2−ニトロ−4−クロロアニリン65.6gに、化合物D−05 5.0gを、下記式で表される化合物D−06 6.4gにそれぞれ変更し、それ以外は実施例4と同様にして、顔料組成物P−05 147gを得た。顔料組成物P−05に含まれる成分はC.I.Pigment Yellow 73及び化合物D−06であり、化合物D−06の含有量は、5.0mol%であった。
【0186】
実施例6<顔料組成物P−06の調製>
ジアゾ成分として、2−メトキシ−4−ニトロアニリン67.2gを水500gに添加、攪拌して懸濁液を調製し、さらに氷を加えて温度を5℃以下に調整した。その中に35%塩酸を105g添加し、5℃以下を維持したまま1時間攪拌した。その後、亜硝酸ナトリウム28.0gを水72.0gに加えて調製した水溶液を添加し、1時間攪拌することによりジアゾ化を行った。反応混合物にスルファミン酸を適量加えて過剰な亜硝酸を消失させ、ジアゾニウム水溶液を調製した。
【0187】
一方、カプラー成分としてo−アセトアセトアニシジド84.5g及び25%水酸化ナトリウム水溶液164gを水140g中に添加し、攪拌して完全に溶解させた。また80%酢酸82.0gと水420gを混合した水溶液を調製した。次いでこの水溶液に塩基性水溶液を注入し、カプラースラリーを調製した。このカプラースラリーに下記式で表される化合物D−07 0.097gを添加し、化合物D−07を含有するカプラースラリーを調製した。
【0189】
化合物D−07を含有するカプラースラリーを40℃に加熱し、その中に上記で調整したジアゾニウム水溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、そのままの温度で1時間攪拌し、反応を完結させた。反応終了後、スラリーを90℃に加熱し、1時間攪拌した。
【0190】
その後に直径285mmのブフナー漏斗で濾過し、イオン交換水25リットルを振りかけて洗浄した。次いで乾燥、粉砕して顔料組成物P−06 152gを得た。顔料組成物P−06に含まれる成分はモノアゾ顔料A−01(C.I.Pigment Yellow 74)及び化合物D−07であり、化合物D−07の含有量は、0.05mol%であった。
【0191】
実施例7<顔料組成物P−07の調製>
実施例6において、ジアゾ成分として使用した2−メトキシ−4−ニトロアニリン67.2gを66.9gに、カプラー成分として使用したo−アセトアセトアニシジド84.5gを84.1gに、さらに化合物D−07 0.097gを0.97gにそれぞれ変更し、それ以外は実施例6と同様にして、顔料組成物P−07 147gを得た。顔料組成物P−07に含まれる成分はモノアゾ顔料A−01(C.I.Pigment Yellow 74)及び化合物D−07であり、化合物D−07の含有量は、0.5mol%であった。
【0192】
実施例8<顔料組成物P−08の調製>
実施例6において、ジアゾ成分として使用した2−メトキシ−4−ニトロアニリン67.2gを65.3gに、カプラー成分として使用したo−アセトアセトアニシジド84.5gを82.1gに、さらに化合物D−07 0.097gを5.8gにそれぞれ変更し、それ以外は実施例6と同様にして、顔料組成物P−08 148gを得た。顔料組成物P−08に含まれる成分はモノアゾ顔料A−01(C.I.Pigment Yellow 74)及び化合物D−07であり、化合物D−07の含有量は、3.0mol%であった。
【0193】
実施例9<顔料組成物P−09の調製>
実施例6において、ジアゾ成分として使用した2−メトキシ−4−ニトロアニリン67.2gを57.2gに、カプラー成分として使用したo−アセトアセトアニシジド84.5gを72.1gに、さらに化合物D−07 0.097gを29.0gにそれぞれ変更し、それ以外は実施例6と同様にして、顔料組成物P−09 152gを得た。顔料組成物P−09に含まれる成分はモノアゾ顔料A−01(C.I.Pigment Yellow 74)及び化合物D−07であり、化合物D−07の含有量は、15.0mol%であった。
【0194】
実施例10<顔料組成物P−10の調製>
実施例6において、ジアゾ成分として使用した2−メトキシ−4−ニトロアニリン67.2gを47.1gに、カプラー成分として使用したo−アセトアセトアニシジド84.5gを59.7gに、さらに化合物D−07 0.097gを58.0gにそれぞれ変更し、それ以外は実施例6と同様にして、顔料組成物P−10 153gを得た。顔料組成物P−10に含まれる成分はモノアゾ顔料A−01(C.I.Pigment Yellow 74)及び化合物D−07であり、化合物D−07の含有量は、30.0mol%であった。
【0195】
実施例11<顔料組成物P−11の調製>
実施例6において、ジアゾ成分として使用した2−メトキシ−4−ニトロアニリン67.2gを33.6gに、カプラー成分として使用したo−アセトアセトアニシジド84.5gを43.1gに、さらに化合物D−07 0.097gを96.7gにそれぞれ変更し、それ以外は実施例6と同様にして、顔料組成物P−11 157gを得た。顔料組成物P−11に含まれる成分はモノアゾ顔料A−01(C.I.Pigment Yellow 74)及び化合物D−07であり、化合物D−07の含有量は、50.0mol%であった。
【0196】
実施例12<顔料組成物P−12の調製>
ジアゾ成分として、2−メトキシ−4−ニトロアニリン67.2gを水500gに添加、攪拌して懸濁液を調製し、さらに氷を加えて温度を5℃以下に調整した。その中に35%塩酸を105g添加し、5℃以下を維持したまま1時間攪拌した。その後、亜硝酸ナトリウム28.0gを水72.0gに加えて調製した水溶液を添加し、1時間攪拌することによりジアゾ化を行った。反応混合物にスルファミン酸を適量加えて過剰な亜硝酸を消失させ、ジアゾニウム水溶液を調製した。
【0197】
一方、カプラー成分としてo−アセトアセトアニシジド84.5g及び25%水酸化ナトリウム水溶液164gを水140g中に添加し、攪拌して完全に溶解させた。この塩基性水溶液に下記式で表される化合物D−08 0.05gを添加し、化合物D−08を含む懸濁液を調製した。また80%酢酸82.0gと水420gを混合した水溶液を調製した。この水溶液の中に、上記で調製した化合物D−08を含む懸濁液を注入し化合物D−08を含有するカプラースラリーを調製した。
【0199】
化合物D−08を含有するカプラースラリーを40℃に加熱し、その中に上記で調整したジアゾニウム水溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、そのままの温度で1時間攪拌し、反応を完結させた。反応終了後、スラリーを90℃に加熱し、1時間攪拌した。
【0200】
その後に直径285mmのブフナー漏斗で濾過し、イオン交換水25リットルを振りかけて洗浄した。次いで乾燥、粉砕して顔料組成物P−12 151gを得た。顔料組成物P−12に含まれる成分はモノアゾ顔料A−01(C.I.Pigment Yellow 74)及び化合物D−08であり、化合物D−08の含有量は、0.05mol%であった。
【0201】
実施例13<顔料組成物P−13の調製>
実施例12において、ジアゾ成分として使用した2−メトキシ−4−ニトロアニリン67.2gを66.9gに、カプラー成分として使用したo−アセトアセトアニシジド84.5gを84.1gに、さらに化合物D−08 0.05gを0.50gにそれぞれ変更し、それ以外は実施例12と同様にして、顔料組成物P−13 147gを得た。顔料組成物P−13に含まれる成分はモノアゾ顔料A−01(C.I.Pigment Yellow 74)及び化合物D−08であり、化合物D−08の含有量は、0.5mol%であった。
【0202】
実施例14<顔料組成物P−14の調製>
実施例12において、ジアゾ成分として使用した2−メトキシ−4−ニトロアニリン67.2gを65.3gに、カプラー成分として使用したo−アセトアセトアニシジド84.5gを82.1gに、さらに化合物D−08 0.05gを3.0gにそれぞれ変更し、それ以外は実施例12と同様にして、顔料組成物P−14 145gを得た。顔料組成物P−14に含まれる成分はモノアゾ顔料A−01(C.I.Pigment Yellow 74)及び化合物D−08であり、化合物D−08の含有量は、3.0mol%であった。
【0203】
実施例15<顔料組成物P−15の調製>
実施例12において、ジアゾ成分として使用した2−メトキシ−4−ニトロアニリン67.2gを57.2gに、カプラー成分として使用したo−アセトアセトアニシジド84.5gを72.1gに、さらに化合物D−08 0.05gを15.0gにそれぞれ変更し、それ以外は実施例12と同様にして、顔料組成物P−15 139gを得た。顔料組成物P−15に含まれる成分はモノアゾ顔料A−01(C.I.Pigment Yellow 74)及び化合物D−08であり、化合物D−08の含有量は、15.0mol%であった。
【0204】
実施例16<顔料組成物P−16の調製>
実施例12において、ジアゾ成分として使用した2−メトキシ−4−ニトロアニリン67.2gを47.1gに、カプラー成分として使用したo−アセトアセトアニシジド84.5gを59.7gに、さらに化合物D−08 0.05gを29.9gにそれぞれ変更し、それ以外は実施例12と同様にして、顔料組成物P−16 127gを得た。顔料組成物P−16に含まれる成分はモノアゾ顔料A−01(C.I.Pigment Yellow 74)及び化合物D−08であり、化合物D−08の含有量は、30.0mol%であった。
【0205】
実施例17<顔料組成物P−17の調製>
実施例12において、ジアゾ成分として使用した2−メトキシ−4−ニトロアニリン67.2gを33.6gに、カプラー成分として使用したo−アセトアセトアニシジド84.5gを43.1gに、さらに化合物D−08 0.05gを49.9gにそれぞれ変更し、それ以外は実施例12と同様にして、顔料組成物P−17 114gを得た。顔料組成物P−17に含まれる成分はモノアゾ顔料A−01(C.I.Pigment Yellow 74)及び化合物D−08であり、化合物D−08の含有量は、50.0mol%であった。
【0206】
実施例18<顔料組成物P−18の調製>
ジアゾ成分として、2−(トリフルオロメチル)アニリン63.2gを水500gに添加、攪拌して懸濁液を調製し、さらに氷を加えて温度を5℃以下に調整した。その中に35%塩酸を105g添加し、5℃以下を維持したまま1時間攪拌した。その後、亜硝酸ナトリウム28.0gを水72.0gに加えて調製した水溶液を添加し、1時間攪拌することによりジアゾ化を行った。反応混合物にスルファミン酸を適量加えて過剰な亜硝酸を消失させた。次いでこの水溶液中に、下記式で表される化合物D−09 4.0gを添加して撹拌し、混合した。さらに水を添加して液量を1000gに調製し、化合物D−09を含有するジアゾニウム水溶液を調製した。
【0208】
一方、カプラー成分として5−アセトアセタミド−2−ベンズイミダゾリノン93.3g、及び25%水酸化ナトリウム水溶液164gを水140g中に添加、攪拌して完全に溶解し、さらに水を添加して液量を400gに調整し、カプラー水溶液を調製した。
【0209】
水365gと80%酢酸64.0g、25%水酸化ナトリウム水溶液71.2gを均一に混合して反応槽水溶液を調製した。それを40℃に加熱し、その温度を維持したまま化合物D−09を含有するジアゾニウム水溶液、及びカプラー水溶液を同時に、それぞれ1時間かけて、反応槽のpHを6.0以下に保ちながら滴下した。滴下終了後、40℃で1時間攪拌し、反応を完結させた。反応終了後、スラリーを90℃に加熱し、1時間攪拌した。その後に直径285mmのブフナー漏斗で濾過し、イオン交換水25リットルを振りかけて洗浄した。次いで乾燥、粉砕して顔料組成物P−18 155gを得た。顔料組成物P−18に含まれる成分はC.I.Pigment Yellow 154及び化合物D−09であり、化合物D−09の含有量は、2.0mol%であった。
【0210】
実施例19<顔料組成物P−19の調製>
ジアゾ成分として、2−メトキシ−4−ニトロアニリン66.6gを水500gに添加、攪拌して懸濁液を調製し、さらに氷を加えて温度を5℃以下に調整した。その中に35%塩酸を105g添加し、5℃以下を維持したまま1時間攪拌した。その後、亜硝酸ナトリウム28.0gを水72.0gに加えて調製した水溶液を添加し、1時間攪拌することによりジアゾ化を行った。反応混合物にスルファミン酸を適量加えて過剰な亜硝酸を消失させた。さらに水を添加して液量を1000gに調製した。
【0211】
一方、カプラー成分としてo−アセトアセトアニシジド83.7g、及び25%水酸化ナトリウム水溶液164gを水140g中に添加、攪拌して完全に溶解させた。次いでこのカプラー水溶液に、下記式で表される化合物D−10 2.1gを添加して撹拌した。さらに水を添加して液量を400gに調整し、化合物D−10を含有するカプラー液を調製した。
【0213】
水365gと80%酢酸64.0g、25%水酸化ナトリウム水溶液71.2gを均一に混合して反応槽水溶液を調製した。それを40℃に加熱し、その温度を維持したままジアゾニウム水溶液、及び化合物D−10を含有するカプラー液を同時に、それぞれ1時間かけて、反応槽のpHを6.0以下に保ちながら滴下した。滴下終了後、40℃で1時間攪拌し、反応を完結させた。反応終了後、スラリーを90℃に加熱し、1時間攪拌した。その後に直径285mmのブフナー漏斗で濾過し、イオン交換水25リットルを振りかけて洗浄した。次いで乾燥、粉砕して顔料組成物P−19 147gを得た。顔料組成物P−19に含まれる成分はモノアゾ顔料A−01(C.I.Pigment Yellow 74)及び化合物D−10であり、化合物D−10の含有量は、1.0mol%であった。
【0214】
実施例20<顔料組成物P−20の調製>
ジアゾ成分として、2−メトキシ−4−ニトロアニリン63.9gを水500gに添加、攪拌して懸濁液を調製し、さらに氷を加えて温度を5℃以下に調整した。その中に35%塩酸を105g添加し、5℃以下を維持したまま1時間攪拌した。その後、亜硝酸ナトリウム28.0gを水72.0gに加えて調製した水溶液を添加し、1時間攪拌することによりジアゾ化を行った。反応混合物にスルファミン酸を適量加えて亜硝酸を消失させ、さらに水を添加して液量を1000gに調製し、ジアゾニウム水溶液を調製した。
【0215】
一方、カプラー成分としてo−アセトアセトアニシジド80.4g及び25%水酸化ナトリウム水溶液164gを水140g中に添加、攪拌して完全に溶解し、さらに水を添加して液量を400gに調整し、カプラー水溶液を調製した。
【0216】
水365gと80%酢酸64.0g、25%水酸化ナトリウム水溶液71.2gを均一に混合して反応槽水溶液を調製した。その中に下記式で表される化合物D−11 9.1gを添加して均一に攪拌し、懸濁液とした。この懸濁液を40℃に加熱し、その温度を維持したままジアゾニウム水溶液及びカプラー水溶液を同時に、それぞれ1時間かけて、反応槽のpHを6.0以下に保ちながら滴下した。滴下終了後、40℃で1時間攪拌し、反応を完結させた。反応終了後、スラリーを90℃に加熱し、1時間攪拌した。その後に直径285mmのブフナー漏斗で濾過し、イオン交換水25リットルを振りかけて洗浄した。次いで乾燥、粉砕して顔料組成物P−20 148gを得た。顔料組成物P−20に含まれる成分はモノアゾ顔料A−01(C.I.Pigment Yellow 74)及び化合物D−11であり、化合物D−11の含有量は、5.0mol%であった。
【0218】
実施例21<顔料組成物P−21の調整>
ジアゾ成分として2−メトキシ−4−ニトロアニリン63.9gを水500gに添加、攪拌して懸濁液を調製し、さらに氷を加えて温度を5℃以下に調整した。その中に35%塩酸を105g添加し、5℃以下を維持したまま1時間攪拌した。その後、亜硝酸ナトリウム28.0gを水72.0gに溶解させた水溶液を添加し、1時間攪拌することによりジアゾ化を行った。反応混合物にスルファミン酸を適量加えて過剰な亜硝酸を消失させ、ジアゾニウム水溶液を調製した。
【0219】
一方、カプラー成分としてo−アセトアセトアニシジド80.4g及び25%水酸化ナトリウム水溶液164gを水140g中に添加し、攪拌して完全に溶解させた。それを、80%酢酸82.0gと水420gを混合した水溶液に注入し、カプラースラリーを調製した。
【0220】
上記で調製したカプラースラリーを40℃に加熱し、その中にジアゾニウム水溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、40℃で1時間攪拌し、反応を完結させた。反応終了後のスラリーに下記式で表される化合物D−12 8.1gを添加し、次いでスラリーを90℃に加熱し、1時間攪拌した。その後に直径285mmのブフナー漏斗で濾過し、イオン交換水25リットルを振りかけて洗浄した。次いで乾燥、粉砕して顔料組成物P−21 147gを得た。顔料組成物P−21に含まれる成分はモノアゾ顔料A−01(C.I.Pigment Yellow 74)及び化合物D−12であり、化合物D−12の含有量は5.0mol%であった。
【0222】
実施例22<顔料組成物P−22の調製>
実施例21において、ジアゾ成分として使用した2−メトキシ−4−ニトロアニリン63.9gを2−ニトロ−4−メチルアニリン57.8gに、また化合物D−12 8.1gを下記式で表される化合物D−13 7.9gにそれぞれ変更し、それ以外は実施例21と同様にして、顔料組成物P−22 141gを得た。顔料組成物P−22に含まれる成分はC.I.Pigment Yellow 203及び化合物D−13であり、化合物D−13の含有量は、5.0mol%であった。
【0224】
実施例23<顔料組成物P−23の調製>
製造例4で調製したモノアゾ顔料A−04(C.I.Pigment Yellow 111)273.9g、下記式で表される化合物D−14 27.5g、塩化ナトリウム1500g、及びジエチレングリコール250gの混合物を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)を使用し、60℃で6時間混練して、粘土状の混練物を得た。この混練物を15リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とした。スラリーを3等分に分割し、それぞれを直径285mmのブフナー漏斗で濾過し、50℃の温水をそれぞれ15リットル振りかけて洗浄し、乾燥、粉砕して顔料組成物P−23 274gを得た。顔料組成物P−23の化合物D−14含有量は、7.0mol%であった。
【0226】
実施例24<顔料組成物P−24の調製>
実施例23において、モノアゾ顔料A−04(C.I.Pigment Yellow 111)273.9gをモノアゾ顔料A−05(C.I.Pigment Yellow 120)295.2gに、化合物D−14 27.5gを下記式で表される化合物D−15 20.6gに変更し、それ以外は実施例23と同様にして顔料組成物P−24 262gを得た。顔料組成物P−24の化合物D−15含有量は、7.0mol%であった。
【0228】
実施例25<顔料組成物P−25の調製>
製造例1で調製したモノアゾ顔料A−01(C.I.Pigment Yellow 74)61.8gと下記式で表される化合物D−16の粉末27.7gを均一に混合し、顔料組成物P−25 81gを得た。顔料組成物P−25の化合物D−16含有量は、20.0mol%であった。
【0230】
実施例26<顔料組成物P−26の調製>
実施例25において、モノアゾ顔料A−01 61.8gをモノアゾ顔料A−02(C.I.Pigment Yellow 3)63.2gに変更し、化合物D−16 15.8gを下記式で表わされる化合物D−17 11.5gに変更し、それ以外は実施例25と同様にして、顔料組成物P−26 67gを得た。顔料組成物P−26の化合物D−17含有量は、20.0mol%であった。
【0232】
<モノアゾ顔料及び顔料組成物の評価>
製造例1乃至5で調製したモノアゾ顔料及び実施例1乃至26で調製した顔料組成物について、平均一次粒子径を測定し、結果を表1にまとめた。平均一次粒子径について以下の方法で測定を行った。
【0233】
(平均一次粒子径)
平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡によって撮影した顔料粒子径の写真から測定した。金属製の試料台に導電性両面テープを張り、顔料又は顔料組成物を付着させ、スパッタリングを用いて試料表面に白金を蒸着させたものを試料として、走査型電子顕微鏡(日本電子データム株式会社製、JSM−6700F型走査型電子顕微鏡)で粒子を撮影し、同一の視野中に撮影された顔料の一次粒子100個につき、最大となる径を各々測定した。それらを平均した値を算出し、その値を平均一次粒子径とした。
【表1】
【0234】
<顔料分散体の調製>
(水性顔料分散体の調製)
実施例27乃至40及び比較例1乃至3
顔料組成物又はモノアゾ顔料1000g、ジョンクリルHPD−96J(BASF社製、スチレン−アクリル樹脂、有効成分 34.0%)735g、サーフィノール104E(エアープロダクツ・アンド・ケミカルズ社製、消泡剤、有効成分 50%)50g、レバナックスBX−150(昌栄化学株式会社製、防腐剤)50g、プロピレングリコール250g、イオン交換水415gを混合し、均一になるまでハイスピードミキサーで攪拌した。それを横型湿式分散機(DYNO−MILL TYPE KDL−PILOT)で2時間分散し、その後イオン交換水2500gを添加してさらに1時間分散し、水性顔料分散体WD−01乃至WD−17をそれぞれ得た。各水性顔料分散体に使用した顔料組成物又はモノアゾ顔料を表2にまとめた。
【0235】
比較例4(水性顔料分散体WD−18の調製)
顔料組成物又はモノアゾ顔料をHansa Brilliant Yellow 5GX(Clariant社製、C.I.Pigment Yellow 74)に変更し、それ以外は実施例27乃至40及び比較例1乃至3と同様にして水性顔料分散体WD−18を得た。
【0236】
(油性顔料分散体の調製)
実施例41乃至52並びに比較例5及び6
顔料組成物又はモノアゾ顔料1000g、Disperbyk130(BYK Chemie社製、顔料分散剤)325g、ジョンクリル586(BASFジャパン株式会社製、スチレン−アクリル樹脂)250g、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート925gを混合し、均一になるまでハイスピードミキサーで攪拌した。それを横型湿式分散機(DYNO−MILL TYPE KDL−PILOT)で2時間分散し、その後エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート2500gを添加してさらに1時間分散し、油性顔料分散体SD−01乃至SD−14を得た。各油性顔料分散体に使用した顔料組成物又はモノアゾ顔料を表3にまとめた。
【0237】
比較例7(油性顔料分散体SD−15の調製)
顔料組成物又はモノアゾ顔料をHansa Brilliant Yellow 5GX(Clariant社製、C.I.Pigment Yellow 74)に変更し、それ以外は実施例41乃至52比較例5及び6と同様にして油性顔料分散体SD−15を得た。
【0238】
<顔料分散体の評価>
顔料分散体について、以下の方法で分散粒径、粘度、結晶安定性及び分散安定性を評価した。結果を表2及び表3にまとめた。各評価項目については、以下の方法で測定を行った。
【0239】
(分散粒径)
マイクロトラックUPA−150(日機装株式会社製)で測定したD50値を分散粒径とした。
【0240】
(粘度)
粘度はB型粘度計VISCOMETER(東機産業株式会社製)で測定し、60rpmの値により評価した。
【0241】
(結晶安定性)
結晶安定性の指標として、顔料分散体中における顔料又は顔料組成物粒子の写真を透過型電子顕微鏡により撮影した。
【0242】
支持膜を張ったメッシュ上に顔料分散体を滴下、乾燥したものを試料として、透過型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、H−7650型透過型電子顕微鏡)で粒子を撮影し、同一の視野中に撮影された顔料又は顔料組成物の一次粒子100個につき、最大となる径を各々測定した。それらを平均した値を算出し、その値を平均一次粒子径とした。
【0243】
顔料分散体をねじ口瓶中に密閉し、70℃で2週間保存した後に同様の測定を行った。保存前後の平均一次粒子径の変化により、結晶安定性を評価した。保存の前後で平均一次粒子径の変化率が0乃至15%のものを「○」、15%を超え30%以下のものを「△」、30%を超えるものを「×」と判定した。
【0244】
(分散安定性)
顔料分散体をねじ口瓶中に密閉し、70℃で2週間保存した後に分散粒径及び粘度を測定した。保存前後における分散粒径及び粘度の変化と、保存後の沈降物の有無により、分散安定性を評価した。
【表2】
【0245】
表2に示したように、本発明の実施例で得られた顔料組成物を用いて調製した水性顔料分散体は、その他のものよりも低粘度で、良好な分散性を示した。これらの水性顔料分散体は結晶安定性と分散安定性の両方において優れていることがわかった。
【表3】
【0246】
表3に示したように、本発明の実施例で得られた顔料組成物を用いて調製した油性顔料分散体は、その他のものよりも低粘度で、良好な分散性を示した。これらの油性顔料分散体は結晶安定性と分散安定性の両方において優れていることがわかった。
【0247】
<インクジェットインキの調製>
(水性インクジェットインキの調製)
実施例53乃至66及び比較例8乃至11
実施例27乃至40及び比較例1乃至4で調製した水性顔料分散体15.0g、アクリル樹脂エマルションW−215(日本ポリマー工業株式会社製、固形分30%)1.5g、エチレングリコール15.0g、イオン交換水68.5gを混合し、1時間攪拌した後、孔径1.0μmのPTFE製メンブランフィルターで濾過して水性インクジェットインキWI−01乃至WI−18を得た。
【0248】
(油性インクジェットインキの調製)
実施例67乃至78及び比較例12乃至14
実施例41乃至52及び比較例5乃至7で調製した油性顔料分散体25.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10.0g、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート55.0g、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート10.0gを混合し、1時間攪拌した後、孔径1.0μmのPTFE製メンブランフィルターで濾過して油性インクジェットインキSI−01乃至SI−15を得た。
【0249】
<インクジェットインキの評価>
(水性インクジェットインキの評価)
水性インクジェットインキの、プリンターによる吐出性と、得られた印字物の着色力を評価した。結果を表4にまとめた。吐出性及び着色力については、以下の方法で評価を行った。
【0250】
吐出性の評価においては、水性インクジェットインキをインクジェットプリンターHG−5130(セイコーエプソン株式会社製)のカートリッジに充填し、写真用紙・光沢ゴールド(キヤノン株式会社製)に印字した。印字物におけるドット抜け(印字されなかった部分)の有無を目視で観察し、吐出性の指標とした。ドット抜けを発生したプリンターヘッドのノズルが、全ノズルの1%未満であった場合を「○」、1%以上5%未満の場合を「△」、5%を上回った場合を「×」と判定した。
【0251】
着色力の評価においては、各印字物について、ドット抜けを発生していない部分の反射濃度を、反射濃度計D19C(Gretag Machbeth社製)で測定した。比較例10で調製した水性インクジェットインキWI−18を基準とし、反射濃度の比が95%より大きく、105%未満であったものを「△」、反射濃度の比が105%以上のものを「○」、反射濃度の比が95%未満のものを「×」と判定した。
【0252】
(油性インクジェットインキの評価)
油性インクジェットインキのプリンターによる吐出性と、得られた印字物の着色力を評価した。結果を表5にまとめた。吐出性及び着色力については、以下の方法で評価を行った。
【0253】
吐出性の評価においては、油性インクジェットインキをインクジェットプリンターIP−6500(株式会社セイコーアイ・インフォテック製)のカートリッジに充填し、光沢塩ビシートMD5(メタマーク社製)に印字した。印字物におけるドット抜け(印字されなかった部分)の有無を目視で観察し、吐出性の指標とした。ドット抜けを発生したプリンターヘッドのノズルが、全ノズルの1%未満であった場合を「○」、1%以上5%未満の場合を「△」、5%を上回った場合を「×」と判定した。
【0254】
着色力の評価においては、各印字物について、ドット抜けを発生していない部分の反射濃度を反射濃度計D19C(Gretag Machbeth社製)で測定した。比較例14で調製した油性インクジェットインキSI−15を基準とし、反射濃度の比が90%より大きく、105%未満であったものを△、反射濃度の比が105%以上のものを「○」、反射濃度の比が90%未満のものを「×」と判定した。
【表4】
【0255】
表4の結果に示したように、本発明の実施例で得られた顔料組成物を用いて調製した水性性インクジェットインキは、その他のものと比較して吐出性、着色力が良好であった。
【表5】
【0256】
表5の結果に示したように、本発明の実施例で得られた顔料組成物を用いて調製した油性インクジェットインキは、その他のものと比較して吐出性、着色力が良好であった。
【0257】
<着色樹脂組成物の調製>
実施例79乃至90及び比較例15乃至17
顔料組成物又はモノアゾ顔料2500g、熱可塑性ポリエステル樹脂2500gを加圧ニーダー中で設定温度120℃、15分の条件で混合、混練を行い取り出した。更にロール温度95℃の3本ロールにて混練を行い、冷却後10mm以下に粗粉砕し、着色樹脂組成物M−01乃至M−15を得た。
【0258】
<トナーの調製>
熱可塑性ポリエステル樹脂4375g、着色樹脂組成物500g、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸のカルシウム塩化合物(荷電制御剤)50g、エチレンホモポリマー(離型剤、分子量850、Mw/Mn=1.08、融点107℃)75gを20Lの容積を有するヘンシェルミキサーで混合(3000rpm、3分)し、二軸混練押出機を用い吐出温度120℃にて溶融混練を行った。その後、混練物を冷却固化した後ハンマーミルで粗粉砕し、次いでI式ジェットミル(IDS−2型)で微粉砕後、分級してトナー母粒子を得た。次いで、上記で得られたトナー母粒子2500gと疎水性酸化チタン(チタン工業社製STT−30A)12.5gを10Lのヘンシェルミキサーで混合し、負帯電トナーを得た。
【0259】
比較例18
顔料組成物又はモノアゾ顔料をHansa Brilliant Yellow 5GX(Clariant社製、C.I.Pigment Yellow 74)に変更し、それ以外は実施例79乃至90及び比較例15乃至17と同様にして着色樹脂組成物M−16及びトナーを得た。
【0260】
<着色樹脂組成物及びトナーの評価>
着色樹脂組成物及びトナーの分散性ついて、以下の方法で評価した。さらにトナーについては画像濃度、耐久性及び透明性について、以下の方法で評価した。結果を表6にまとめた。
【0261】
(分散性)
得られた着色樹脂組成物及びトナーをミクロトームにて厚さ0.9μmにスライス形成し、透過型電子顕微鏡により顔料の分散状態を観察した。顔料が着色樹脂組成物中に均一に分配されているものを「○」、顔料凝集物が存在し、均一に分配されていないものを「△」、顔料凝集物が多数あり均一に分配されていないものを「×」とした。
【0262】
(画像濃度及び耐久性)
トナー及びキャリアとして平均粒径が60μmのシリコーンレジンでコーティングされたフェライトキャリア(DFC−350C同和鉄粉社製)を用いて、トナー濃度6%に設定してカラー現像剤を調製した。
【0263】
キヤノン社製フルカラー複写機 CLC−730を使用し、コピー用紙として富士ゼロックス社製カラーアプリケーション用紙 Ncolor127(A4サイズ、127.9g/m
2)に、各トナーを使用した単色画像を出力した。初期及び10,000枚出力後の画像濃度を測定し、トナーの耐久性を評価した。画像濃度は反射濃度計D19C(Gretag Machbeth社製)で印字物の反射濃度を測定した。
【0264】
(透明性)
上記で得られた現像剤を用いてOHPフィルム上にベタ画像を形成した後、このベタ画像が形成されたOHPフィルムを、再度、複写機の定着部に通して、画像の表面をフラットにした試料を作製し、透過性を目視判断で確認した。目視判断結果を「1」、「2」及び「3」の3段階で評価し、数字が大きいものほど良好な透明性とした。
【表6】
【0265】
表6の結果に示したように、本発明の実施例で得られた顔料組成物を用いて調製した着色樹脂組成物は、その他のものと比較して良好な分散性を示した。また、本発明の実施例で得られたトナーはその他のものと比較して良好な分散性を示し、画像濃度及び透明性も良好であった。さらに、耐久性においても本態様のトナーはその他のものと比較して良好であったことから、結晶安定性と分散安定性を両立したトナーが得られた。
【0266】
本発明の実施例によって得られたモノアゾ顔料を含む顔料組成物により、これまでのモノアゾ顔料の課題であった結晶安定性が改善され、さらに分散安定性有する微細な顔料組成物の提供が可能となった。
【0267】
更なる利益及び変形は、当業者には容易である。それ故、本発明は、そのより広い側面において、ここに記載された特定の記載や代表的な態様に限定されるべきではない。従って、添付の請求の範囲及びその等価物によって規定される本発明の包括的概念の真意又は範囲から逸脱しない範囲内で、様々な変形が可能である。
以下に、当初の特許請求の範囲に記載していた発明を付記する。
[1]
各々が下記一般式(1)によって表される少なくとも1種のモノアゾ顔料と、各々が下記一般式(2)乃至(5)の何れかによって表される少なくとも1種の化合物とからなる顔料組成物。
一般式(1):
【化1A】
(式中、X1乃至X5は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1乃至5のアルキル基、炭素数1乃至5のアルコキシル基、炭素数1乃至5のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ニトロ基、スルホ基、カルバモイル基、スルファモイル基、及びトリフルオロメチル基のいずれかを表す。X1乃至X5の隣り合った2つは、互いに結合して、それらが結合したベンゼン環の2つの炭素原子とともに複素環部位を形成していてもよく、この複素環部位の環原子に結合している水素原子は置換されていてもよい。
X6乃至X10は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1乃至5のアルキル基、炭素数1乃至5のアルコキシル基、アセチルアミノ基、カルボキシル基、及びスルホ基のいずれかを表す。X6乃至X10の隣り合った2つは、互いに結合して、それらが結合したベンゼン環の2つの炭素原子とともに複素環部位を形成していてもよく、この複素環部位の環原子に結合している水素原子は置換されていてもよい。)
一般式(2):
【化2A】
(式中、Aは−CO−及び−SO2−のいずれかを表す。R1は、水素原子、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアルキル基、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアルケニル基、及び置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアリール基のいずれかを表す。
Y1は、−SO2NH−R2−NR3R4、−CONH−R5−NR6R7、−SO2NH−R8−SO3H、−CONH−R9−SO3H、−SO2NH−R10−COOH、−CONH−R11−COOH、及び下記一般式(3)で表される基のいずれかを表す。ただし、R2、R5及びR8乃至R11は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアルキレン基、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアルケニレン基、及び置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアリーレン基のいずれかを表す。R3、R4、R6及びR7は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアルキル基、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアルケニル基、及び置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアリール基のいずれかを表す。R3とR4とは又はR6とR7とは、互いに結合して、それらが結合した窒素原子とともに複素環部位を形成していてもよく、この複素環部位の環原子としての炭素原子の一部は、他の窒素原子、酸素原子又は硫黄原子で置換されていてもよく、この複素環部位の環原子に結合している水素原子は置換されていてもよい。)
一般式(3):
【化3A】
(式中、Y2及びY3は、それぞれ独立に、−OH、−NH−R12−NR13R14、−NH−R15−SO3H、及び−NH−R16−COOHのいずれかを表す。ただし、R12、R15及びR16は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアルキレン基、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアルケニレン基、及び置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアリーレン基のいずれかを表す。R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアルキル基、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアルケニル基、及び置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアリール基のいずれかを表す。また、R13とR14とは、互いに結合して、それらが結合した窒素原子とともに複素環部位を形成していてもよく、この複素環部位の環原子としての炭素原子の一部は、他の窒素原子、酸素原子又は硫黄原子で置換されていてもよく、この複素環部位の環原子に結合している水素原子は置換されていてもよい。)
一般式(4):
【化4A】
(式中、Y4は、単結合、−CONH−R17−、及び−SO2NH−R18−のいずれかを表す。R17及びR18は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアルキレン基、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアルケニレン基、及び置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアリーレン基のいずれかを表す。
Y5は、−SO3H及び−COOHのいずれかを表す。)
一般式(5):
【化5A】
(式中、R19及びR20は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアルキル基、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアルケニル基、及び置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアリール基のいずれかを表す。
Y6は、−SO2NH−R21−NR22R23、−CONH−R24−NR25R26、−SO2NH−R27−SO3H、−CONH−R28−SO3H、−SO2NHR29−COOH、及び−CONH−R30−COOHのいずれかを表す。R21、R24及びR27乃至R30は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアルキレン基、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアルケニレン基、及び置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアリーレン基のいずれかを表す。R22、R23、R25及びR26は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアルキル基、置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアルケニル基、及び置換基を有していてもよい、炭素数が20以下のアリール基のいずれかを表す。R22とR23とは又はR25とR26とは、互いに結合して、それらが結合した窒素原子とともに複素環部位を形成していてもよく、この複素環部位の環原子としての炭素原子の一部は、他の窒素原子、酸素原子又は硫黄原子で置換されていてもよく、この複素環部位の環原子に結合している水素原子は置換されていてもよい。)
[2]
各々が前記一般式(2)乃至(5)の何れかによって表される前記少なくとも1種の化合物の含有量の合計が、各々が前記一般式(1)によって表される前記少なくとも1種のモノアゾ顔料の含有量と、各々が前記一般式(2)乃至(5)の何れかによって表される前記少なくとも1種の化合物の含有量との合計に占める割合は0.1乃至40モル%である[1]記載の顔料組成物。
[3]
平均一次粒子径が200nm以下である[1]又は[2]記載の顔料組成物。
[4]
[1]乃至[3]のいずれか記載の顔料組成物及び液状媒体を含有した顔料分散体。
[5]
[4]に記載の顔料分散体を含有したインクジェットインキ。
[6]
[1]乃至[3]のいずれか記載の顔料組成物及び結着樹脂を含有した着色樹脂組成物。
[7]
[6]に記載の着色樹脂組成物を含有した電子写真用トナー。