(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
【0012】
(1)本発明の実施の形態に係るフレキシブルプリント基板は、各々が、導電部と前記導電部を覆う絶縁部とを有する第1帯状部材および第2帯状部材と、導電部と前記導電部を覆う絶縁部とを有し、前記第1帯状部材の第1端部と前記第2帯状部材の第1端部とを連結する第1連結部材とを備え、前記第1帯状部材、前記第2帯状部材および前記第1連結部材の前記導電部は連続しており、前記第1連結部材が曲げられて前記第1帯状部材の前記第1端部と前記第2帯状部材の前記第1端部とが対向することにより、前記第1帯状部材および前記第2帯状部材を直線状に配置することが可能である。
【0013】
このように、たとえば略平行に形成された第1帯状部材および第2帯状部材を展開して直線状とする構成により、ハンダ付け等によってフレキシブルプリント基板同士を接続することなく、長尺のフレキシブルプリント基板を作成することができるため、長尺のフレキシブルプリント基板を製造する際のコストを抑え、また、品質低下を防ぐことができる。したがって、既存の生産設備により長尺配線を容易に実現することができる。
【0014】
また、たとえば、第1帯状部材および第2帯状部材の表側に第1連結部材を位置させることにより、第1帯状部材および第2帯状部材の裏面全体を筐体内部等と密着させて配置することができる。また、第1帯状部材および第2帯状部材を直線状としたまま第1帯状部材および第2帯状部材の距離を微調整することができるため、たとえば、第1帯状部材または第2帯状部材に実装した電子部品の位置合わせが容易となる。
【0015】
(2)好ましくは、前記フレキシブルプリント基板は、前記第1帯状部材、前記第2帯状部材および前記第1連結部材の組を複数備え、さらに、各前記第1帯状部材の第2端部同士を連結する接続部材を備え、前記接続部材は、各々が、導電部と前記導電部を覆う絶縁部とを有する第3帯状部材および第4帯状部材と、導電部と前記導電部を覆う絶縁部とを有し、前記第3帯状部材の第1端部と前記第4帯状部材の第1端部とを連結する第2連結部材とを含み、前記第3帯状部材、前記第4帯状部材、前記第2連結部材および前記第1帯状部材の導電部は連続しており、前記第2連結部材が曲げられて前記第3帯状部材の前記第1端部と前記第4帯状部材の前記第1端部とが対向することにより、前記第3帯状部材および前記第4帯状部材を直線状に配置することが可能である。
【0016】
このように、複数の第1帯状部材の第2端部同士を、これらと一体に形成した接続部材により連結する構成により、第1帯状部材の導電部同士を接続するために別途ハンダ付け作業を行う必要がなくなるため、フレキシブルプリント基板を製造する際のコストを抑え、品質低下を防ぐことができる。
【0017】
(3)より好ましくは、前記接続部材は、さらに、導電部と前記導電部を覆う絶縁部とを有し、前記第1帯状部材の第2端部と前記第3帯状部材の第2端部とを連結する第3連結部材を含み、前記第1帯状部材、前記第3連結部材および前記第3帯状部材の導電部は、この順番で連結されており、前記第3連結部材が曲げられることにより、前記第3帯状部材を前記第1帯状部材に対して略直角に配置することが可能である。
【0018】
このように、第3連結部材を用いる構成により、たとえば、第3帯状部材および第4帯状部材を直線状に配置した場合に生じる、FPCのねじれに基づく反り上がりを解消し、FPC全体を略同一平面上に安定させることができる。
【0019】
(4)より好ましくは、前記フレキシブルプリント基板は、さらに、導電部と前記導電部を覆う絶縁部とを有し、前記接続部材と他の装置とを連結するための出力用部材を備え、前記接続部材の導電部および前記出力用部材の導電部は連続している。
【0020】
このような構成により、別途リード線を接続することなくフレキシブルプリント基板を他の装置に接続することができるため、製造コストを抑え、品質低下を防ぐことができる。
【0021】
(5)本発明の実施の形態に係る太陽光発電モジュールは、フレキシブルプリント基板と、前記フレキシブルプリント基板に実装された複数の発電素子とを備え、前記フレキシブルプリント基板は、各々が、導電部と前記導電部を覆う絶縁部とを有する第1帯状部材および第2帯状部材と、導電部と前記導電部を覆う絶縁部とを有し、前記第1帯状部材の第1端部と前記第2帯状部材の第1端部とを連結する第1連結部材とを含み、前記第1帯状部材、前記第2帯状部材および前記第1連結部材の前記導電部は連続しており、前記第1連結部材が曲げられて前記第1帯状部材の前記第1端部と前記第2帯状部材の前記第1端部とが対向することにより、前記第1帯状部材および前記第2帯状部材を直線状に配置することが可能であり、前記第1帯状部材の前記導電部、前記第2帯状部材の前記導電部および前記第1連結部材の前記導電部は、各前記発電素子の電極を電気的に接続する。
【0022】
このように、たとえば略平行に形成された第1帯状部材および第2帯状部材を展開して直線状とする構成により、ハンダ付け等によってフレキシブルプリント基板同士を接続することなく、長尺のフレキシブルプリント基板を作成することができるため、長尺のフレキシブルプリント基板を製造する際のコストを抑え、また、品質低下を防ぐことができる。したがって、既存の生産設備により長尺配線を容易に実現することができる。
【0023】
また、たとえば、第1帯状部材および第2帯状部材の表側に第1連結部材を位置させることにより、第1帯状部材および第2帯状部材の裏面全体を太陽光発電モジュールの筐体底部に接触させて設置することができるため、第1帯状部材および第2帯状部材の表側に実装された発電素子と、筐体底部に対して平行に設置されたフレネルレンズとの距離を一定に保つことができる。また、第1帯状部材および第2帯状部材の裏面全体を太陽光発電モジュールの筐体底部と接触させることにより、太陽光により発生した発電素子の熱を筐体に逃がすことができるため、太陽光から電力へのエネルギー変換効率を高い状態で維持することができる。
【0024】
また、第1帯状部材および第2帯状部材を直線状としたまま第1帯状部材および第2帯状部材の距離を微調整することができるため、たとえば、第1帯状部材および第2帯状部材に実装した各発電素子と、各発電素子の上方に設置された対応のフレネルレンズとの位置合わせを容易に行うことができる。
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0026】
<第1の実施の形態>
[比較例]
図1は、本発明の実施の形態に係る太陽光発電モジュールの比較例の構成を示す図である。
【0027】
図1を参照して、太陽光発電モジュール30は、たとえば、集光型の太陽光発電モジュールであり、複数のFPC13と、複数の発電素子15と、筐体19と、バスバー(bus bar)20と、2つの接続リード22と、ジャンクションボックス23と、集光部25とを備える。集光部25は、複数のフレネルレンズ26を含む。
【0028】
筐体19は、自己の縁部において集光部25を保持し、フレネルレンズ26を自己の底部に対して平行かつ所定距離に固定する。
【0029】
FPC13は、たとえば筐体19の底部に略平行に並んで配置される。各FPC13には複数の発電素子15が実装される。
【0030】
集光部25において、フレネルレンズ26は、マトリックス状に配置される。フレネルレンズ26は、発電素子15ごとに1つ設けられ、たとえば太陽光を発電素子15に収束させる。
【0031】
各発電素子15は、各フレネルレンズ26の光軸上に位置し、フレネルレンズ26によって収束された太陽光を受けて、受光量に応じた電力を発生する。
【0032】
フレネルレンズ26のサイズは、たとえば50mm×50mmである。また、発電素子15のサイズは、たとえば3.2mm×3.2mmである。
【0033】
各FPC13の端部は、バスバー20に接続される。バスバー20は、接続リード22を介して、ジャンクションボックス23の端子に接続される。ジャンクションボックス23は、たとえば、複数の太陽光発電モジュール30同士を接続する小型の中継ボックスである。
【0034】
太陽光発電モジュール30は、発電素子15において発生した電力を、ジャンクションボックス23を介して出力する。なお、バスバー20は、たとえば銅製であり、FPC13および接続リード22との接続箇所以外は樹脂等の絶縁材に覆われている。
【0035】
図2は、本発明の実施の形態に係る太陽光発電モジュールの比較例の断面を示す図である。
図3は、本発明の実施の形態に係る太陽光発電モジュールの比較例におけるFPCと当該FPCに実装された発電素子とを示す図である。
【0036】
図2および
図3を参照して、太陽光発電モジュール30は、FPC13と、補強板14と、複数の発電素子15と、筐体19と、集光部25とを備える。FPC13は、絶縁部11と、導電部12とを含む。集光部25は、フレネルレンズ26を含む。
【0037】
導電部12は、たとえば銅箔の配線パターンであり、FPC13に実装された各発電素子15を直列に接続する。絶縁部11は、たとえばポリイミド製の絶縁フィルムであり、導電部12を覆う。なお、導電部12は、各発電素子15を直列に接続する構成に限らず、並列に接続してもよい。
【0038】
補強板14は、FPC13の裏面に接着され、FPC13の柔軟性を失わせない程度に若干の固さを確保し、たとえば太陽光発電モジュール30の製造時におけるFPC13の取扱いを容易にする。
【0039】
筐体19および補強板14は、たとえばアルミニウム製である。なお、太陽光発電モジュール30は、補強板14を備えない構成であってもよい。
【0040】
図4は、本発明の実施の形態に係る太陽光発電モジュールの比較例における各部の接続を示す図である。
【0041】
図4を参照して、太陽光発電モジュール30は、たとえば12本のFPC13と、バスバー20Eと、バスバー20Fと、接続リード22Eと、接続リード22Fと、ジャンクションボックス23とを備える。
【0042】
各FPC13は、FPC13Lと、FPC13Mとを含む。各FPC13Lおよび各FPC13Mは、たとえばハンダ付けにより、Aの箇所において接続されている。
【0043】
一般に、FPCのサイズは、露光装置等、生産設備の仕様によって制限される。したがって、長尺のFPC13を用いる場合には、複数のFPCを接続して作成する必要がある。
【0044】
各FPC13とバスバー20Eとは、たとえばハンダ付けにより、B1の箇所において接続されている。また、各FPC13とバスバー20Fとは、たとえばハンダ付けにより、B2の箇所において接続されている。各FPC13は、2つのバスバー20を介して並列に接続されている。
【0045】
また、接続リード22Eとバスバー20Eとは、たとえばハンダ付けにより、D1の箇所において接続されている。接続リード22Fとバスバー20Fとは、たとえばハンダ付けにより、D2の箇所において接続されている。
【0046】
太陽光発電モジュール30における2つのバスバー20は、対応の接続リード22を介してジャンクションボックス23に接続されている。
【0047】
A、B1、B2、D1およびD2の箇所におけるハンダ付けは、たとえばハンダゴテを用いて行われる。また、ハンダ付けを行った箇所は導電部が露出しているため、樹脂等を用いて露出個所に対してポッティングを行う必要がある。
【0048】
しかしながら、ハンダゴテを用いたハンダ付けおよびポッティング作業は、仕上がりを均質にすることが困難であるため、製品の品質低下の原因となりやすく、また、作業に時間を要する場合があるため、コスト増大の原因となりやすい。
【0049】
そこで、本発明の実施の形態に係る太陽光発電モジュールでは、ハンダゴテを用いたハンダ付けおよびポッティング作業を行う箇所を極力減らすことにより、製品の品質を向上させ、コストを抑制する。
【0050】
たとえば、FPC13に関しては、通常の生産設備において作成したコの字状のFPCを折り返して直線状に展開することにより、ハンダ付けを要することなく長尺とすることができる。この場合、たとえば、
図4に示すAの個所は、FPCの折り返し部に相当する。
【0051】
また、たとえば、バスバー20および接続リード22も、FPC13と一体に形成することによりハンダ付の箇所を無くすことができる。
【0052】
本発明の実施の形態に係る太陽光発電モジュールでは、複数のFPC13、2つのバスバー20および2つの接続リード22の代わりに、一体として形成された1つのFPCを用いる。
【0053】
[FPCの構成]
図5は、本発明の実施の形態に係るFPCの形状を示す上面図である。
図6は、
図5に示すFPCを展開した形状を示す上面図である。
【0054】
図5および
図6を参照して、FPC24は、複数の帯状部材が一体として形成されている。FPC24において、
図5に示す部分P1〜P3、部分Q1,Q2および部分R1,R2は、
図6に示す部分P1〜P3、部分Q1,Q2および部分R1,R2とそれぞれ対応している。
【0055】
FPC24は、
図1に示す3つのFPC13に相当する部材、2つのバスバー20に相当する部材および2つの接続リード22に相当する部材を含む。
【0056】
具体的には、FPC24において、部分P1〜P3の各々は、たとえば
図1に示すFPC13に相当する。また、部分Q1,Q2の各々は、たとえば
図1に示すバスバー20に相当する。また、部分R1,R2の各々は、たとえば
図1に示す接続リード22に相当する。
【0057】
部分P1〜P3、部分Q1,Q2および部分R1,R2の各々は、導電部12と、当該導電部12を覆う絶縁部11とを有している。また、これらの部分が接続している箇所において、各導電部12は連続している。
【0058】
図7は、
図5に示すFPCにおける各部の展開の内容を説明するための図である。
【0059】
図6および
図7を参照して、FPC24のうち、部分C1〜C16は、各々展開されて直線状となる。また、部分H1〜H10は、各々展開されて直線状となる。
【0060】
図8は、本発明の実施の形態に係るFPCの構成を説明するための図である。
図8では、FPC24のうち、代表的な部分に符号を付している。
【0061】
図8を参照して、FPC24は、帯状部材(第1帯状部材)51と、帯状部材(第2帯状部材)52と、帯状部材(第1帯状部材)55と、帯状部材(第2帯状部材)56と、連結部材(第1連結部材)61と、連結部材(第1連結部材)64と、接続部材68と、出力用部材69と、出力用部材70とを備える。
【0062】
接続部材68は、帯状部材(第3帯状部材)53と、帯状部材(第4帯状部材)54と、連結部材(第2連結部材)62と、連結部材(第3連結部材)63とを含む。出力用部材69は、連結部材75と、帯状部材76とを含む。
【0063】
接続部材68は、
図5における部分Q1に対応する部材である。また、出力用部材69および出力用部材70は、それぞれ、
図5における部分R1および部分R2に対応する部材である。
【0064】
帯状部材51は、連結部材61に接続された第1端部と、接続部材68に接続された第2端部とを有する。帯状部材52は、連結部材61に接続された第1端部と、他方の端部である第2端部とを有する。
【0065】
帯状部材55は、連結部材64に接続された第1端部と、接続部材68に接続された第2端部とを有する。帯状部材56は、連結部材64に接続された第1端部と、他方の端部である第2端部とを有する。接続部材68は、帯状部材51および帯状部材55の第2端部同士を連結している。
【0066】
帯状部材53は、連結部材62に接続された第1端部と、連結部材63に接続された第2端部とを有する。帯状部材54は、連結部材62に接続された第1端部と、他方の端部である第2端部とを有する。
【0067】
図9は、本発明の実施の形態に係るFPCにおける第1帯状部材および第2帯状部材を直線状に展開する過程を示す図である。
【0068】
図9(a)は、帯状部材51および帯状部材52を直線状に展開する前の状態を示す。
図9(b)は、帯状部材51および帯状部材52を直線状に展開する途中の状態を示す。
図9(c)は、帯状部材51および帯状部材52を直線状に展開した状態を示す。
【0069】
図9(a)を参照して、連結部材61は、帯状部材51の第1端部および帯状部材52の第1端部を連結している。帯状部材51、帯状部材52および連結部材61の各々は、導電部12と、当該導電部12を覆う絶縁部11とを有している。
【0070】
また、帯状部材51、帯状部材52および連結部材61の各導電部12は、連続している。具体的には、たとえば、帯状部材51および連結部材61の境界付近において、各導電部12は連続している。また、帯状部材52および連結部材61の境界付近において、各導電部12は連続している。
【0071】
また、帯状部材51および帯状部材52の各々には、発電素子15が実装されている。帯状部材51、帯状部材52および連結部材61の導電部12は、発電素子15の電極同士を接続している。
【0072】
展開前の状態において、帯状部材51および帯状部材52は、略平行に位置している。ここで、略平行とは、180±5°以内であることが好ましい。
【0073】
図9(b)を参照して、連結部材61は、たとえば帯状部材51および帯状部材52との境界付近において、帯状部材51および帯状部材52への方向、すなわち矢印1の方向へ曲げられる。
【0074】
図9(c)を参照して、連結部材61は、たとえば帯状部材52が帯状部材51から離れるように回転する方向、すなわち矢印2の方向へ曲げられる。そして、帯状部材51および帯状部材52は直線状となる。なお、この状態において、連結部材61は、湾曲してもよいし、折れ曲がってもよい。
【0075】
つまり、連結部材61が曲げられることにより、帯状部材51の第1端部と帯状部材52の第1端部とが連結部材61を挟んで対向し、帯状部材51および帯状部材52が直線状に配置される。
【0076】
なお、帯状部材51および帯状部材52は、直線状に配置される構成に限られない。具体的には、たとえば、帯状部材51および帯状部材52は、互いのなす角が、
図9(b)に示す状態から
図9(c)に示す状態への過程における所定の角度となるように配置されてもよい。
【0077】
また、
図7に示す部分C2〜C12の各々において連結される部材の組は、部分C1において連結される部材の組、すなわち、
図8に示す帯状部材51、帯状部材52および連結部材61の組と同様に展開される。たとえば、部分C5において連結される帯状部材55、帯状部材56および連結部材64の組は、部分C1において連結される帯状部材51、帯状部材52および連結部材61の組と同様に展開され、帯状部材55および帯状部材56は、直線状に配置される。
【0078】
再び
図9(a)を参照して、帯状部材51、帯状部材52および連結部材61で構成される部分は、帯状部材51および帯状部材52の間に切込み80が設けられた1つの帯状部材(以下、切込み帯状部材とも称する。)とも表現することができる。
【0079】
この場合、切込み帯状部材には、切込み80を囲むように導電部12が設けられている。
【0080】
再び
図9(b)を参照して、切込み帯状部材は、切込み80の先端付近から、帯状部材51および帯状部材52への方向、すなわち矢印1の方向へ曲げられる。
【0081】
再び
図9(c)を参照して、切込み80の両側に位置している部材である帯状部材51および帯状部材52は、切込み80の先端を中心に互いに反対方向へ、直線状となるまで回転する。これにより、切込み帯状部材は、帯状部材51および帯状部材52が回転する前の状態、すなわち
図9(a)および
図9(b)に示す状態よりも長尺となる。
【0082】
図10は、本発明の実施の形態に係るFPCにおける第3帯状部材および第4帯状部材を直線状に展開する過程を示す図である。
【0083】
図10(a)は、帯状部材53および帯状部材54を直線状に展開する前の状態を示す。
図10(b)は、帯状部材53および帯状部材54を直線状に展開する途中の状態を示す。
図10(c)は、帯状部材53および帯状部材54を直線状に展開した状態を示す。
【0084】
図10(a)を参照して、連結部材62は、帯状部材53の第1端部と帯状部材54の第1端部とを連結している。
【0085】
帯状部材53、帯状部材54および連結部材62の各々は、導電部12と、当該導電部12を覆う絶縁部11とを有する。
【0086】
また、帯状部材53、帯状部材54、連結部材62および
図8に示す帯状部材51の各導電部12は連続している。展開前の状態において、帯状部材53および帯状部材54は、略平行に位置している。
【0087】
図10(b)を参照して、連結部材62は、たとえば帯状部材53および帯状部材54との境界付近において、帯状部材53および帯状部材54への方向、すなわち矢印3の方向へ曲げられる。
【0088】
図10(c)を参照して、連結部材62は、たとえば帯状部材54が帯状部材53から離れるように回転する方向、すなわち矢印4の方向へ曲げられる。そして、帯状部材53および帯状部材54は直線状となる。なお、この状態において、連結部材62は、湾曲してもよいし、折れ曲がってもよい。
【0089】
つまり、連結部材62が曲げられることにより、帯状部材53の第1端部と帯状部材54の第1端部とが連結部材62を挟んで対向し、帯状部材53および帯状部材54が直線状に配置される。
【0090】
なお、帯状部材53および帯状部材54は、直線状に配置される構成に限られない。具体的には、たとえば、帯状部材53および帯状部材54は、互いのなす角が、
図10(b)に示す状態から
図10(c)に示す状態への過程における所定の角度となるように配置されてもよい。
【0091】
たとえば、帯状部材53および帯状部材54は、
図10(b)に示すように帯状部材53および帯状部材54のなす角が約0°の状態において配置されてもよいし、帯状部材53および帯状部材54のなす角が約90°の状態において配置されてもよい。
【0092】
帯状部材53および帯状部材54のなす角は、たとえば、
図8に示す帯状部材51の第2端部および帯状部材55の第2端部の距離に応じて定められる。
【0093】
また、
図7に示す部分C14〜C16において連結される部材の組は、部分C13において連結される部材の組、すなわち、
図8に示す帯状部材53、帯状部材54および連結部材62の組と同様に展開される。
【0094】
図11は、本発明の実施の形態に係るFPCにおける第1帯状部材および第3帯状部材を略直角に展開する過程の一例を示す図である。
【0095】
図11(a)は、帯状部材51および帯状部材53を略直角に展開する前の状態を示す。
図11(b)は、帯状部材51および帯状部材53を略直角に展開する途中の状態を示す。
図11(c)は、帯状部材51および帯状部材53を略直角に展開した状態を示す。ここで、略直角とは、90±5°以内であることが好ましい。
【0096】
図11(a)を参照して、連結部材63は、帯状部材51の第2端部と帯状部材53の第2端部とを連結している。
【0097】
連結部材63は、導電部12と、当該導電部12を覆う絶縁部11とを有している。また、帯状部材51の導電部12、連結部材63の導電部12および帯状部材53の導電部12は、この順番で連結されている。展開前の状態において、帯状部材51および帯状部材53は、略平行に位置している。
【0098】
図11(b)を参照して、連結部材63は、帯状部材53が連結部材63に対して帯状部材51の反対側に移動する方向、すなわち矢印5の方向へ曲げられる。
【0099】
図11(c)を参照して、連結部材63は、帯状部材53が帯状部材51に対して略直角に位置する方向、すなわち矢印6の方向へ曲げられる。つまり、連結部材63が曲げられることにより、帯状部材53が帯状部材51に対して略直角に配置される。
【0100】
なお、帯状部材51および帯状部材53は、互いのなす角が略直角となるように配置される構成に限られない。具体的には、連結部材63は、帯状部材51および帯状部材53のなす角がたとえば45°となるように曲げられてもよい。
【0101】
また、帯状部材51および帯状部材53のなす角は、たとえば、
図8に示す帯状部材53および帯状部材54のなす角に応じて定められる。帯状部材51および帯状部材55を平行に配置した状態において、帯状部材53および帯状部材54を直線状に配置した場合、たとえば帯状部材51から帯状部材53にかけてねじれが生じることにより、当該ねじれの生じた部分が反り上がる。連結部材63は、自己が曲げられることにより、この反り上がりを解消し、FPC24全体を略同一平面上に安定させる。
【0102】
また、連結部材63は、帯状部材51と帯状部材53とを連結し、かつ曲げられる部材であれば、
図8および
図11に示すようなL字状に限らず、たとえば
図8および
図10に示す連結部材62と同様の形状であってもよい。この場合、連結部材63は、連結部材62と同様に曲げられてもよい。
【0103】
なお、
図7に示す部分H2〜H8の各々において連結される部材の組は、部分H1において連結される部材の組、すなわち、
図8に示す帯状部材51、帯状部材53および連結部材63の組と同様に展開される。
【0104】
図12は、本発明の実施の形態に係るFPCにおける出力用部材を直線状に展開する過程を示す図である。
【0105】
図12(a)は、出力用部材69を直線状に展開する前の状態を示す。
図12(b)は、出力用部材69を直線状に展開する途中の状態を示す。
図12(c)は、出力用部材69を直線状に展開した状態を示す。なお、
図8に示す出力用部材70も出力用部材69と同様に展開される。
【0106】
図12(a)を参照して、連結部材75は、接続部材68と帯状部材76とを連結している。つまり、出力用部材69は、接続部材68と接続されている。
【0107】
出力用部材69は、導電部12と、当該導電部12を覆う絶縁部11とを有する。接続部材68の導電部12および出力用部材69の導電部12は連続している。
【0108】
接続部材68の導電部12、連結部材75の導電部12および帯状部材76の導電部12は、この順番で連結されている。
【0109】
図12(b)を参照して、連結部材75は、帯状部材76が連結部材75に対して反対側に移動する方向、すなわち矢印7の方向に曲げられる。
【0110】
図12(c)を参照して、連結部材75は、自己と帯状部材76とが直線状に配置される方向、すなわち矢印8の方向に曲げられる。
【0111】
なお、連結部材75および帯状部材76は、直線状に配置される構成に限られない。具体的には、たとえば、連結部材75は、自己と帯状部材76のなす角が45°となるように曲げられてもよい。
【0112】
また、出力用部材69および出力用部材70は、より短尺となるように構成されてもよいし、より長尺となるように構成されてもよい。たとえば、出力用部材69を、接続部材68と同様の構成にすることにより、展開してより長尺とすることができる。
【0113】
[太陽光発電モジュールの構成]
図13は、本発明の実施の形態に係る太陽光発電モジュールの構成を示す図である。
【0114】
図13を参照して、太陽光発電モジュール31は、
図1に示す比較例と比べて、複数のFPC13、2つのバスバー20および2つの接続リード22の代わりに、FPC24を備える。
【0115】
具体的には、太陽光発電モジュール31は、FPC24と、複数の発電素子15と、筐体19と、ジャンクションボックス23と、集光部25とを備える。集光部25は、複数のフレネルレンズ26を含む。
【0116】
複数の発電素子15は、
図2および
図3に示す構成と同様に、FPC24に実装される。具体的には、たとえば、各発電素子15は、
図5に示す部分P1〜P3のうち、曲げられない部分、すなわち
図8に示す帯状部材51,52,55,56等に実装される。
【0117】
発電素子15が実装されたFPC24は、筐体19のたとえば底部に設置される。FPC24の主表面のうち、一方の面に実装された各発電素子15は、対応のフレネルレンズ26の光軸上に位置する。
【0118】
FPC24の導電部12は、各発電素子15の電極同士を接続する。具体的には、
図5に示す部分P1〜P3の導電部12は、各発電素子15の電極同士を接続する。より具体的には、たとえば、帯状部材51の導電部12、帯状部材52の導電部12および連結部材61の導電部12は、各発電素子15の電極同士を接続する。
【0119】
また、
図5に示す部分Q1,Q2における導電部12は、部分P1〜P3の各々における導電部12によって接続された複数の発電素子15の組をさらに接続する。具体的には、たとえば、部分Q1,Q2の導電部12は、部分P1〜P3の各々において直列に接続された複数の発電素子15の組を並列に接続する。
【0120】
出力用部材69は、接続部材68と他の装置とを接続するために用いられる。つまり、
図5に示す部分R1の導電部12は、部分Q1の導電部12と連続しており、Q1の導電部12がジャンクションボックス23における一方の端子に接続される。
【0121】
また、部分R2の導電部12は、部分Q2の導電部12と連続しており、Q2の導電部12がジャンクションボックス23に置ける他方の端子に接続される。
【0122】
各発電素子15において発生した電力は、ジャンクションボックス23を介して太陽光発電モジュール31の外部へ出力される。
【0123】
なお、FPC24は、太陽光発電モジュール31に限らず、他の装置に用いることが可能である。
【0124】
ところで、FPCのサイズは、露光装置等、生産設備の仕様によって制限される場合が多い。このため、長尺のFPCを用いる場合、複数のFPCをたとえばハンダ付けにより接続し、所要の長さのFPCを製造する必要がある。しかしながら、ハンダ付けによるFPCの接続は、製品の品質低下および製造コストの増大の原因になりやすい。
【0125】
ハンダ付けを行うことなく長尺のFPCを製造する方法の一例として、たとえば、特開2006−5134号公報(特許文献2)には、以下のような技術が開示されている。すなわち、フレキシブルプリント配線板は、可撓性を有する電気絶縁層間に導電材よりなる連続した配線パターンを備えるフレキシブルプリント配線板であって、この配線パターン以外の領域に切込みをそなえ、この切込みの先端部近傍でフレキシブルプリント配線板が折り返されて、折り返し前よりも長尺のフレキシブルプリント配線板を形成する。
【0126】
太陽光発電モジュール31では、FPC24に実装された発電素子15と太陽光を収束させるフレネルレンズ26との距離は一定に固定される必要がある。
【0127】
しかしながら、たとえば、太陽光発電モジュール30において、FPC13の代わりに特許文献2に記載のFPCを用いた場合、折り返し部分が当該FPCの下部に位置することとなるため、当該FPCに実装された発電素子15とフレネルレンズ26との距離を一定に固定することができない。
【0128】
これに対して、本発明の実施の形態に係るFPCでは、帯状部材51および帯状部材52の各々は、導電部12と、当該導電部12を覆う絶縁部11とを有する。連結部材61は、導電部12と、当該導電部12を覆う絶縁部11とを有し、帯状部材51の第1端部と帯状部材52の第1端部とを連結する。帯状部材51、帯状部材52および連結部材61の導電部12は連続している。連結部材61が曲げられて帯状部材51の第1端部と帯状部材52の第1端部とが対向することにより、帯状部材51および帯状部材52を直線状に配置することが可能である。
【0129】
また、本発明の実施の形態に係る太陽光発電モジュールでは、複数の発電素子15は、FPC24に実装される。帯状部材51および帯状部材52の各々は、導電部12と、当該導電部12を覆う絶縁部11とを有する。連結部材61は、導電部12と、当該導電部12を覆う絶縁部11とを有し、帯状部材51の第1端部と帯状部材52の第1端部とを連結する。帯状部材51、帯状部材52および連結部材61の導電部12は連続している。連結部材61が曲げられて帯状部材51の第1端部と帯状部材52の第1端部とが対向することにより、帯状部材51および帯状部材52を直線状に配置することが可能である。帯状部材51の導電部12、帯状部材52の導電部12および連結部材61の導電部12は、各発電素子の電極同士を電気的に接続する。
【0130】
このように、たとえば略平行に形成された帯状部材51および帯状部材52を展開して直線状とする構成により、ハンダ付け等によってFPC同士を接続することなく、長尺のFPCを作成することができるため、長尺のFPCを製造する際のコストを抑え、また、品質低下を防ぐことができる。したがって、既存の生産設備により長尺配線を容易に実現することができる。
【0131】
また、たとえば、帯状部材51および帯状部材52の表側に連結部材61を位置させることにより、帯状部材51および帯状部材52の裏面全体を太陽光発電モジュールの筐体底部に接触させて設置することができるため、帯状部材51および帯状部材52の表側に実装された発電素子と、筐体19の底部に対して平行に設置されたフレネルレンズとの距離を一定に保つことができる。また、帯状部材51および帯状部材52の裏面全体を太陽光発電モジュールの筐体底部と接触させることにより、太陽光により発生した発電素子の熱を筐体に逃がすことができるため、太陽光から電力へのエネルギー変換効率を高い状態で維持することができる。
【0132】
また、帯状部材51および帯状部材52を直線状としたまま帯状部材51および帯状部材52の距離を微調整することができるため、たとえば、帯状部材51および帯状部材52に実装した各発電素子と、各発電素子の上方に設置された各フレネルレンズとの位置合わせを容易に行うことができる。
【0133】
また、本発明の実施の形態に係るFPCでは、接続部材68は、帯状部材51の第2端部および帯状部材55の第2端部を接続する。接続部材68は、帯状部材53と、帯状部材54と、連結部材62とを含む。帯状部材53および帯状部材54の各々は、導電部12と、当該導電部12を覆う絶縁部11とを有する。連結部材62は、導電部12と、当該導電部12を覆う絶縁部とを有し、帯状部材53の第1端部と帯状部材54の第1端部とを連結する。帯状部材53、帯状部材54、連結部材62および帯状部材51の導電部12は連続している。連結部材62が曲げられて帯状部材53の第1端部と帯状部材54の第1端部とが対向することにより、帯状部材53および帯状部材54を直線状に配置することが可能である。
【0134】
このように、複数の帯状部材51の第2端部同士を、これらと一体に形成した接続部材により連結する構成により、帯状部材51の導電部12同士を接続するために別途ハンダ付け作業を行う必要がなくなるため、FPCを製造する際のコストを抑え、品質低下を防ぐことができる。
【0135】
また、本発明の実施の形態に係るFPCでは、接続部材68は、連結部材63を含む。連結部材63は、導電部12と、当該導電部12を覆う絶縁部11とを有し、帯状部材51の第2端部と帯状部材53の第2端部とを連結する。帯状部材51、連結部材63および帯状部材53の導電部12は、この順番で連結されている。連結部材63が曲げられることにより、帯状部材53を帯状部材51に対して略直角に配置することが可能である。
【0136】
このように、連結部材63を用いる構成により、たとえば、帯状部材53および帯状部材54を直線状に配置した場合に生じる、FPC24のねじれに基づく反り上がりを解消し、FPC24全体を略同一平面上に安定させることができる。
【0137】
また、本発明の実施の形態に係るFPCでは、出力用部材69は、導電部12と、当該導電部12を覆う絶縁部11とを有する。出力用部材69は、接続部材68と他の装置とを連結するための部材である。接続部材68の導電部12および出力用部材69の導電部12は連続している。
【0138】
このような構成により、別途リード線を接続することなくFPC24を他の装置に接続することができるため、製造コストを抑え、品質低下を防ぐことができる。
【0139】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0140】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
【0141】
[付記1]
フレキシブルプリント基板であって、
各々が、導電部と前記導電部を覆う絶縁部とを有する第1帯状部材および第2帯状部材と、
導電部と前記導電部を覆う絶縁部とを有し、前記第1帯状部材の第1端部と前記第2帯状部材の第1端部とを連結する第1連結部材とを備え、
前記第1帯状部材、前記第2帯状部材および前記第1連結部材の前記導電部は連続しており、
前記第1連結部材が曲げられて前記第1帯状部材の前記第1端部と前記第2帯状部材の前記第1端部とが対向することにより、前記第1帯状部材および前記第2帯状部材を直線状に配置することが可能であり、
前記フレキシブルプリント基板は、前記第1帯状部材、前記第2帯状部材および前記第1連結部材の組を複数備え、
さらに、各前記第1帯状部材の第2端部同士を連結する接続部材を備え、
前記第1帯状部材および前記第2帯状部材に1または複数の発電素子が実装される、フレキシブルプリント基板。
【0142】
[付記2]
フレキシブルプリント基板と、
前記フレキシブルプリント基板に実装された複数の発電素子とを備え、
前記フレキシブルプリント基板は、
各々が、導電部と前記導電部を覆う絶縁部とを有する第1帯状部材および第2帯状部材と、
導電部と前記導電部を覆う絶縁部とを有し、前記第1帯状部材の第1端部と前記第2帯状部材の第1端部とを連結する第1連結部材とを備え、
前記第1帯状部材、前記第2帯状部材および前記第1連結部材の前記導電部は連続しており、
前記第1連結部材が曲げられて前記第1帯状部材の前記第1端部と前記第2帯状部材の前記第1端部とが対向することにより、前記第1帯状部材および前記第2帯状部材を直線状に配置することが可能であり、
前記フレキシブルプリント基板は、前記第1帯状部材、前記第2帯状部材および前記第1連結部材の組を複数備え、
さらに、各前記第1帯状部材の第2端部同士を連結する接続部材を備え、
前記第1帯状部材および前記第2帯状部材に1または複数の前記発電素子が実装され、
前記第1帯状部材の前記導電部、前記第2帯状部材の前記導電部および前記第1連結部材の前記導電部は、前記発電素子の電極を電気的に接続する、太陽光発電モジュール。