(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記コンテナ用冷凍装置では、排気通路の入口の位置によっては、吸気通路を介して取り込まれた外気が、庫内空気と充分に混ざらないまま排気通路から庫外空間へ排出されるおそれがあった。そのため、庫内空気の組成を所望の状態に精度良く調節することができない場合があった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、外気を庫内に取り込む吸気と庫内空気を庫外空間へ排出する排気とを行ってコンテナの庫内空気の組成を調節するコンテナ用冷凍装置において、庫内に取り込まれた外気が庫内を循環することなく排気されないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、呼吸を行う植物(15)が収納されるコンテナ(11)に取り付けられ、圧縮機(21)と凝縮器(22)と膨張機構(23)と蒸発器(24)とが接続されて冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)と、上記コンテナ(11)の開口端に設けられ、上記蒸発器(24)が収納されて上記コンテナ(11)の庫内に繋がる庫内収納空間(S2)を形成するケーシング(12)と、上記庫内収納空間(S2)に設けられ、上記コンテナ(11)の庫内と上記庫内収納空間(S2)との間において空気を循環させる庫内ファン(26)とを備えたコンテナ用冷凍装置であって、外気よりも窒素濃度の高い窒素濃縮空気を上記庫内収納空間(S2)に供給するガス供給装置(30)と、上記庫内収納空間(S2)における上記庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)と上記コンテナ(11)の庫外空間とを連通して外気を上記1次空間(S21)に導く吸気通路(47a)と、上記庫内収納空間(S2)における上記庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)と上記コンテナ(11)の庫外空間とを連通して上記2次空間(S22)の空気を上記コンテナ(11)の庫外空間へ導く排気通路(46a)とを有し、上記コンテナ(11)の庫内の空気の組成を調節する庫内空気調節装置(60)と、上記2次空間(S22)に上記庫内ファン(26)から吹き出される空気の流通が遮断される領域を形成する板状部材(27c)とを備え、上記排気通路(46a)の入口は、上記板状部材(27c)によって上記庫内ファン(26)から吹き出される空気の流通が遮断される位置に設けられている。
【0009】
第1の発明では、庫内ファン(26)の回転により、コンテナ(11)の庫内において庫内空気が循環し、蒸発器(24)を通過する際に冷却される。また、ガス供給装置(30)によって窒素濃縮空気が庫内へ供給され、吸気通路(47a)を介して外気がコンテナ(11)の庫内へ取り込まれ、排気通路(46a)を介してコンテナ(11)の庫内空気が庫外空間に排気されることにより、コンテナの庫内空気の組成が所望の状態に調節される。
【0010】
ところで、庫内ファン(26)の稼働中には、庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)の圧力が、庫外空間の圧力(大気圧)よりも低くなり、庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)の圧力が、庫外空間の圧力(大気圧)よりも高くなる。
【0011】
第1の発明では、庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)と庫外空間とを連通する吸気通路(47a)が設けられている。そのため、庫内ファン(26)の回転によって吸気通路(47a)の入口(庫外側の開口)と出口(庫内側の開口)との間に生じる圧力差によって、他の搬送手段を用いることなく外気がコンテナ(11)の庫内に取り込まれる。
【0012】
また、第1の発明では、庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)と庫外空間とを連通する排気通路(46a)が設けられている。そのため、庫内ファン(26)の回転によって排気通路(46a)の入口(庫内側の開口)と出口(庫外側の開口)との間に生じる圧力差によって、他の搬送手段を用いることなくコンテナ(11)の庫内空気が庫外空間に排出される。
【0013】
さらに、第1の発明では、排気通路(46a)の入口が、庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)に設けられた板状部材(27c)によって庫内ファン(26)から吹き出される空気の流通が遮断される位置に設けられている。そのため、庫内ファン(26)から吹き出された空気が庫内を循環することなく排気通路(46a)に流入することがない。よって、庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)に取り込まれた外気が、庫内空気と充分に混ざらないまま排気通路(46a)から庫外空間へ排出されることがない。
【0014】
第2の発明は、第1の発明において、上記庫内ファン(26)は、回転軸周りに回転駆動される回転翼(27a)と、該回転翼(27a)を取り囲むファンハウジング(27c)とを有し、上記板状部材(27c)は、上記ファンハウジング(27c)によって構成されている。
【0015】
第3の発明は、第2の発明において、上記庫内ファン(26)は軸流ファンである。
【0016】
第2及び第3の発明では、庫内ファン(26)の回転翼(27a)を取り囲むファンハウジング(27c)が、庫内ファン(26)から吹き出される空気の流通を遮断する板状部材(27c)を兼ねている。
【0017】
第4の発明は、第2又は第3の発明において、上記ケーシング(12)には、上記庫内ファン(26)の側方に開閉自在な点検用扉(16A)が取り付けられ、上記排気通路(46a)は、上記点検用扉(16A)に形成されている。
【0018】
第4の発明では、点検用扉(16A)が庫内ファン(26)の側方に設けられ、この点検用扉(16A)に排気通路(46a)が設けられている。そのため、点検用扉(16A)を設置するだけで、排気通路(46a)の入口が、板状部材(27c)によって庫内ファン(26)から吹き出される空気の流通が遮断される位置に配置される。
【0019】
第5の発明は、第4の発明において、上記点検用扉(16A)は、上記1次空間(S21)及び上記2次空間(S22)の両方に面するように設けられ、上記吸気通路(47a)は、上記点検用扉(16A)に形成されている。
【0020】
第5の発明では、点検用扉(16A)が1次空間(S21)及び上記2次空間(S22)の両方に面するように設けられ、この点検用扉(16A)に吸気通路(47a)と排気通路(46a)とが設けられている。
【0021】
第6の発明は、第1乃至第5のいずれか1つの発明において、上記ガス供給装置(30)は、上記窒素濃縮空気を上記2次空間(S22)に供給する供給通路(44)を有している。
【0022】
第6の発明では、ガス供給装置(30)によって、窒素濃縮空気が庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)に供給される。2次空間(S22)には、排気通路(46a)の入口が設けられているが、排気通路(46a)の入口は、庫内ファン(26)の側方に設けられた板状部材(27c)によって庫内ファン(26)から吹き出される空気の流通が遮断される位置に設けられている。そのため、庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)に供給された窒素濃縮空気は、庫内を循環することなく排気通路(46a)に流入してしまうことがなく、必ず、庫内へ供給される。
【0023】
第7の発明は、第1乃至第5のいずれか1つの発明において、上記ガス供給装置(30)は、上記窒素濃縮空気を上記1次空間(S21)に供給する供給通路(44)を有している。
【0024】
第7の発明では、ガス供給装置(30)によって、窒素濃縮空気が庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)に供給される。1次空間(S21)に供給された窒素濃縮空気は、庫内ファン(26)に吸い込まれて2次空間(S22)に吹き出される。2次空間(S22)には、排気通路(46a)入口が設けられているが、排気通路(46a)の入口は、庫内ファン(26)の側方に設けられた板状部材(27c)によって庫内ファン(26)から吹き出される空気の流通が遮断される位置に設けられている。そのため、庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)に供給された窒素濃縮空気が、庫内空気と充分に混ざらないまま排気通路(46a)から庫外空間へ排出されることがない。
【0025】
第1の発明は、
上記構成に加え、上記コンテナ(11)の庫内の空気の酸素濃度を測定する酸素センサ(51)と、上記コンテナ(11)の庫内の空気の二酸化炭素濃度を測定する二酸化炭素センサ(52)と、上記1次空間(S21)と上記2次空間(S22)とを連通して上記庫内ファン(26)の回転によって上記2次空間(S22)から上記1次空間(S21)へ空気を導くと共に、該空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度とを測定するように上記酸素センサ(51)と上記二酸化炭素センサ(52)とが接続された空気通路(58)と、上記2次空間(S22)に上記庫内ファン(26)から吹き出される空気の流通が遮断された領域を形成する遮断部材(53)とを備え、上記空気通路(58)の入口(54)は、上記遮断部材(53)によって上記庫内ファン(26)から吹き出される空気の流通が遮断される位置に設けられている。
【0026】
第1の発明では、庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)と吸込側の1次空間(S21)とを連通する空気通路(58)が設けられている。そのため、庫内ファン(26)の回転によって空気通路(58)の2次空間(S22)側の一端と1次空間(S21)側の他端との間に生じる圧力差によって、他の搬送手段を用いることなく空気通路(58)において一端から他端へ庫内空気が搬送される。
【0027】
また、
第1の発明では、空気通路(58)の入口が、庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)に設けられた遮断部材(53)によって庫内ファン(26)から吹き出される空気の流通が遮断される位置に設けられている。そのため、庫内ファン(26)から吹き出された空気が庫内を循環することなく空気通路(58)に流入することがない。よって、庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)に取り込まれた外気が、庫内空気と充分に混ざらないまま空気通路(58)に流入することがない。
【発明の効果】
【0028】
第1の発明によれば、排気通路(46a)の入口を、庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)に設けられた板状部材(27c)によって庫内ファン(26)から吹き出される空気の流通が遮断される位置に設けることとした。そのため、排気通路(46a)の入口付近では、動圧が低く静圧が高くなる。よって、庫内ファン(26)から吹き出された空気が庫内を循環することなく排気通路(46a)に流入することがない。このような構成により、庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)に取り込まれた外気が、庫内空気と充分に混ざらないまま排気通路(46a)から庫外空間へ排出されるのを抑制することができる。従って、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度及び二酸化炭素濃度の調節を精度良く行うことができる。
【0029】
また、第2及び第3の発明では、庫内ファン(26)の回転翼(27a)を取り囲むファンハウジング(27c)が、庫内ファン(26)から吹き出される空気の流通を遮断する板状部材(27c)を兼ねている。そのため、第2及び第3の発明によれば、別途、板状部材を設けて部品点数を増加させることなく、庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)に取り込まれた外気が、庫内空気と充分に混ざらないまま排気通路(46a)から庫外空間へ排出されるのを抑制することができる。
【0030】
また、第4の発明によれば、庫内ファン(26)の側方に設けられた点検用扉(16A)に排気通路(46a)を設けることとした。そのため、点検用扉(16A)を設置するだけで、排気通路(46a)の入口を、板状部材(27c)によって庫内ファン(26)から吹き出される空気の流通が遮断される位置に容易に配置することができる。
【0031】
また、第5の発明によれば、点検用扉(16A)を1次空間(S21)及び上記2次空間(S22)の両方に面するように設け、該点検用扉(16A)に吸気通路(47a)と排気通路(46a)とを設けることとした。そのため、点検用扉(16A)に内外を貫通する通路を形成するだけで1次空間(S21)に開口する吸気通路(47a)と2次空間(S22)に開口する排気通路(46a)とを容易に形成することができる。
【0032】
また、第6の発明では、ガス供給装置(30)によって、窒素濃縮空気を庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)に供給することとしている。このような構成では、2次空間(S22)に供給された窒素濃縮空気が、庫内を循環することなく排気通路(46a)に流入するおそれがある。しかしながら、第6の発明では、排気通路(46a)の入口が、庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)に設けられた板状部材(27c)によって庫内ファン(26)から吹き出される空気の流通が遮断される位置に設けられている。そのため、ガス供給装置(30)によって、窒素濃縮空気を庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)に供給することとしても、2次空間(S22)に供給された窒素濃縮空気が、庫内空気と充分に混ざらないまま排気通路(46a)から庫外空間へ排出されるのを抑制することができる。従って、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度及び二酸化炭素濃度の調節を精度良く行うことができる。
【0033】
また、第7の発明では、ガス供給装置(30)によって、窒素濃縮空気を庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)に供給することとしている。このような構成では、1次空間(S21)に供給された窒素濃縮空気が、庫内を循環することなく排気通路(46a)に流入するおそれがある。しかしながら、第7の発明では、排気通路(46a)の入口が、庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)に設けられた板状部材(27c)によって庫内ファン(26)から吹き出される空気の流通が遮断される位置に設けられている。そのため、ガス供給装置(30)によって、窒素濃縮空気を庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)に供給することとしても、1次空間(S21)に供給された窒素濃縮空気が、庫内空気と充分に混ざらないまま排気通路(46a)から庫外空間へ排出されるのを抑制することができる。従って、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度及び二酸化炭素濃度の調節を精度良く行うことができる。
【0034】
第1の発明によれば、空気通路(58)の入口を、庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)に設けられた遮断部材(53)によって庫内ファン(26)から吹き出される空気の流通が遮断される位置に設けることとした。そのため、空気通路(58)の入口付近では、動圧が低く静圧が高くなる。よって、庫内ファン(26)から吹き出された空気が庫内を循環することなく空気通路(58)に流入することがない。このような構成により、庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)に取り込まれた外気が、庫内空気と充分に混ざらないまま空気通路(58)から酸素センサ(51)及び二酸化炭素センサ(52)に導かれるのを抑制することができる。従って、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度及び二酸化炭素濃度を精度良く測定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0037】
《本発明の実施形態1》
図1及び
図2に示すように、コンテナ用冷凍装置(10)は、海上輸送等に用いられるコンテナ(11)に設けられ、該コンテナ(11)の庫内空気を冷却するものである。コンテナ(11)の庫内には、植物(15)が箱詰めされた状態で収納されている。植物(15)は、空気中の酸素(O
2)を取り込んで二酸化炭素(CO
2)を放出する呼吸を行うものであり、例えば、バナナやアボカド等の青果物、野菜、穀物、球根、生花等である。
【0038】
コンテナ(11)は、一方の端面が開口する細長い箱状に形成されている。コンテナ用冷凍装置(10)は、ケーシング(12)と、冷媒回路(20)と、CA装置(Controlled Atmosphere System)(60)とを備え、コンテナ(11)の開口端を塞ぐように取り付けられている。
【0039】
〈ケーシング〉
図2に示すように、ケーシング(12)は、コンテナ(11)の庫外側に位置する庫外壁(12a)と、コンテナ(11)の庫内側に位置する庫内壁(12b)とを備えている。庫外壁(12a)及び庫内壁(12b)は、例えば、アルミニウム合金によって構成されている。
【0040】
庫外壁(12a)は、コンテナ(11)の開口端を塞ぐようにコンテナ(11)の開口の周縁部に取り付けられている。庫外壁(12a)は、下部がコンテナ(11)の庫内側へ膨出するように形成されている。
【0041】
庫内壁(12b)は、庫外壁(12a)と対向して配置されている。庫内壁(12b)は、庫外壁(12a)の下部に対応して庫内側へ膨出している。庫内壁(12b)と庫外壁(12a)との間の空間には、断熱材(12c)が設けられている。
【0042】
このように、ケーシング(12)の下部は、コンテナ(11)の庫内側に向かって膨出するように形成されている。これにより、ケーシング(12)の下部におけるコンテナ(11)の庫外側には庫外収納空間(S1)が形成され、ケーシング(12)の上部におけるコンテナ(11)の庫内側には庫内収納空間(S2)が形成されている。
【0043】
図1に示すように、ケーシング(12)には、メンテナンス用の2つのサービス用開口(14)が幅方向に並んで形成されている。2つのサービス用開口(14)は、それぞれ開閉自在な第1及び第2サービス扉(16A,16B)によって閉塞されている。第1及び第2サービス扉(16A,16B)は、いずれもケーシング(12)と同様に、庫外壁(16a)と庫内壁(16b)と断熱材(16c)とを備えている(
図5参照)。詳細は後述するが、
図1において右側のサービス用開口(14)を閉塞する第1サービス扉(16A)は、後述する吸気部(47)及び排気部(46)と共にサービス扉ユニット(40)を構成している。
【0044】
図2に示すように、コンテナ(11)の庫内には、仕切板(18)が配置されている。この仕切板(18)は、略矩形状の板部材に構成され、ケーシング(12)のコンテナ(11)の庫内側の面と対向する姿勢で立設されている。この仕切板(18)によって、コンテナ(11)の庫内と庫内収納空間(S2)とが区画されている。
【0045】
仕切板(18)の上端とコンテナ(11)内の天井面との間には吸込口(18a)が形成されている。コンテナ(11)の庫内の空気(庫内空気)は、吸込口(18a)を介して庫内収納空間(S2)に取り込まれる。
【0046】
また、庫内収納空間(S2)には、水平方向に延びる区画壁(13)が設けられている。区画壁(13)は、仕切板(18)の上端部に取り付けられ、後述する庫内ファン(26)が設置される開口が形成されている。区画壁(13)は、庫内収納空間(S2)を、庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)と、庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)とに区画する。なお、本実施形態では、庫内収納空間(S2)は、区画壁(13)によって上下に区画され、吸込側の1次空間(S21)が上側、吹出側の2次空間(S22)が下側に形成されている。
【0047】
コンテナ(11)内には、コンテナ(11)の底面との間に隙間を存して床板(19)が設けられている。床板(19)上には、箱詰めされた植物(15)が載置されている。コンテナ(11)内の底面と床板(19)との間には、床下流路(19a)が形成されている。仕切板(18)の下端とコンテナ(11)内の底面との間には隙間が設けられ、床下流路(19a)に連通している。
【0048】
床板(19)におけるコンテナ(11)の奥側(
図2で右側)には、コンテナ用冷凍装置(10)によって冷却された空気をコンテナ(11)の庫内へ吹き出す吹出口(18b)が形成されている。
【0049】
〈冷媒回路〉
図3に示すように、冷媒回路(20)は、圧縮機(21)と、凝縮器(22)と、膨張弁(23)と、蒸発器(24)とを、冷媒配管(20a)によって順に接続することによって構成された閉回路である。
【0050】
凝縮器(22)の近傍には、庫外ファンモータ(25a)によって回転駆動され、コンテナ(11)の庫外空間の空気(外気)を庫外収納空間(S1)内へ誘引して凝縮器(22)へ送る庫外ファン(25)が設けられている。凝縮器(22)では、圧縮機(21)で圧縮されて凝縮器(22)の内部を流れる冷媒と庫外ファン(25)によって凝縮器(22)に送られた外気との間で熱交換が行われる。本実施形態では、庫外ファン(25)は、プロペラファンによって構成されている。
【0051】
蒸発器(24)の近傍には、庫内ファンモータ(26a)によって回転駆動され、コンテナ(11)の庫内空気を吸込口(18a)から誘引して蒸発器(24)へ吹き出す庫内ファン(26)が2つ設けられている。蒸発器(24)では、膨張弁(23)によって減圧されて蒸発器(24)の内部を流れる冷媒と庫内ファン(26)によって蒸発器(24)に送られた庫内空気との間で熱交換が行われる。
【0052】
図2に示すように、庫内ファン(26)は、プロペラファン(回転翼)(27a)と、複数の静翼(27b)と、ファンハウジング(27c)とを有している。プロペラファン(27a)は、庫内ファンモータ(26a)に連結され、庫内ファンモータ(26a)によって回転軸周りに回転駆動されて軸方向に送風する。複数の静翼(27b)は、プロペラファン(27a)の吹出側に設けられて該プロペラファン(27a)から吹き出されて旋回する空気流れを整流する。ファンハウジング(27c)は、複数の静翼(27b)が内周面に取り付けられた円筒部材によって構成され、プロペラファン(27a)の外周まで延び、プロペラファン(27a)の外周を取り囲んでいる(
図5参照)。
【0053】
図1に示すように、圧縮機(21)及び凝縮器(22)は、庫外収納空間(S1)に収納されている。凝縮器(22)の上方位置には、庫外ファン(25)が設けられている。庫外収納空間(S1)において、庫外ファン(25)と隣接する位置には、電装品ボックス(17)が設けられ、該電装品ボックス(17)の下方には、圧縮機(21)を可変速で駆動するための駆動回路が収納されたインバータボックス(29)が設けられている。
【0054】
一方、
図2に示すように、蒸発器(24)は、庫内収納空間(S2)に収納されている。庫内収納空間(S2)における蒸発器(24)の上方位置には、ケーシング(12)の幅方向に並んで2つの庫内ファン(26)が設けられている。
【0055】
〈CA装置〉
図4に示すように、CA装置(60)は、ガス供給装置(30)と、サービス扉ユニット(40)と、センサユニット(50)と、測定ユニット(80)と、濃度制御部(55)とを備え、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度とを調節するものである。なお、以下の説明で用いる「濃度」は、全て「体積濃度」を指す。
【0056】
[ガス供給装置]
ガス供給装置(30)は、コンテナ(11)の庫内に供給するための低酸素濃度の窒素濃縮空気を生成する装置である。本実施形態では、ガス供給装置(30)は、VPSA(Vacuum Pressure Swing Adsorption)によって構成されている。また、ガス供給装置(30)は、
図1に示すように、庫外収納空間(S1)の左下のコーナー部に配置されている。
【0057】
図4に示すように、ガス供給装置(30)は、エアポンプ(31)と、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)と、空気中の窒素を吸着するための吸着剤が設けられた第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)と、パージ弁(36)と、第1逆止弁(37)及び第2逆止弁(38)と、酸素タンク(39)と、これらの構成部品が収納されたユニットケース(70)とを有している。このようにガス供給装置(30)は、構成部品がユニットケース(70)の内部に収納されることによって1つのユニットとして構成され、コンテナ用冷凍装置(10)に後付けすることができるように構成されている。
【0058】
エアポンプ(31)は、ユニットケース(70)内に設けられ、該ユニットケース(70)に形成された空気流入口(75)を介してユニットケース(70)の外から中へ流入した外気を吸い込んで圧縮する。エアポンプ(31)は、流出通路(42)を介して第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)に圧縮した空気を供給して加圧することで、空気中の窒素を吸着剤に吸着させる吸着動作を行う加圧部(31a)を有している。ユニットケース(70)の空気流入口(75)には、通気性と防水性を有するメンブレンフィルタ(76)が設けられている。
【0059】
さらに、エアポンプ(31)は、吸引通路(43)を介して第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)から空気を吸引して減圧することで、吸着剤に吸着された窒素を脱着させる脱着動作を行う減圧部(31b)を有している。なお、脱着動作の際には、負圧(即ち、大気圧よりも低い圧力)にまで下げて減圧するように構成するのが好ましい。
【0060】
エアポンプ(31)の加圧部(31a)及び減圧部(31b)は、潤滑用のオイルを使用しないオイルレスのポンプで構成されている。具体的に、加圧部(31a)のポンプにおいてオイルを使用した場合には、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)に圧縮した空気を供給して加圧する際に、圧縮空気に含まれるオイルが吸着剤に吸着され、吸着剤の吸着性能が低下してしまう。
【0061】
また、減圧部(31b)のポンプにおいてオイルを使用した場合には、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)から脱着された窒素を含む窒素濃縮空気と共にオイルがコンテナ(11)の庫内に供給されてしまう。つまり、この場合には、植物(15)が積み込まれたコンテナ(11)の庫内に対してオイル臭のする窒素濃縮空気が供給されてしまう。
【0062】
そのため、本実施形態では、エアポンプ(31)の加圧部(31a)及び減圧部(31b)をオイルレスのポンプで構成することで、上述した不具合を解消できるようにしている。
【0063】
エアポンプ(31)の側方には、エアポンプ(31)に向かって送風することでエアポンプ(31)を冷却するための送風ファン(48)が2つ設けられている。
【0064】
第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)は、吸着動作及び脱着動作の対象となる第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)を交互に切り換えるためのものである。
【0065】
第1方向制御弁(32)は、加圧部(31a)の吐出口と、減圧部(31b)の吸込口と、第1吸着筒(34)の頂部とに接続される。この第1方向制御弁(32)は、第1吸着筒(34)を加圧部(31a)に連通させて減圧部(31b)から遮断する状態(
図4に示す状態)と、第1吸着筒(34)を減圧部(31b)に連通させて加圧部(31a)から遮断する状態とに切り換わる。
【0066】
第2方向制御弁(33)は、加圧部(31a)の吐出口と、減圧部(31b)の吸込口と、第2吸着筒(35)の頂部とに接続される。この第2方向制御弁(33)は、第2吸着筒(35)を加圧部(31a)に連通させて減圧部(31b)から遮断する状態と、第2吸着筒(35)を減圧部(31b)に連通させて加圧部(31a)から遮断する状態(
図4に示す状態)とに切り換わる。
【0067】
図4に示す状態では、加圧部(31a)が第1吸着筒(34)を対象とする吸着動作を行い、減圧部(31b)が第2吸着筒(35)を対象とする脱着動作を行う。また、図示は省略するが、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)の切換位置が
図4と反対側の場合には、加圧部(31a)が第2吸着筒(35)を対象とする吸着動作を行い、減圧部(31b)が第1吸着筒(34)を対象とする脱着動作を行う。そして、吸着動作及び脱着動作の対象となる第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)を交互に切り換えながら上述した工程を繰り返すことにより、連続して安定した窒素濃縮空気の生成を行う。この切り換え動作は、濃度制御部(55)によって制御される。
【0068】
第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)は、内部に吸着剤が充填された円筒状の部材であり、起立した姿勢(即ち、それぞれの軸方向が上下方向となる姿勢)で設置されている。第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)は、エアポンプ(31)から供給された圧縮空気中の窒素を吸着して酸素濃縮空気を生成する。第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)に充填された吸着剤は、加圧下で窒素を吸着して、減圧下で吸着した窒素を脱着させる性質を有している。
【0069】
第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)に充填された吸着剤は、例えば、窒素分子の分子径(3.0オングストローム)よりも小さく且つ酸素分子の分子径(2.8オングストローム)よりも大きな孔径の細孔を有する多孔体のゼオライトで構成されている。このような孔径のゼオライトで吸着剤を構成すれば、空気中の窒素を吸着することができる。
【0070】
また、ゼオライトの細孔内には、陽イオンが存在しているために電場が存在し極性を生じているので、水分子などの極性分子を吸着する性質を有している。そのため、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)に充填されたゼオライトからなる吸着剤には、空気中の窒素だけでなく、空気中の水分(水蒸気)も吸着される。そして、吸着剤に吸着された水分は、脱着動作によって窒素と共に吸着剤から脱着される。そのため、水分を含んだ窒素濃縮空気がコンテナ(11)の庫内に供給されることとなり、庫内の湿度を上げることができる。さらに、吸着剤が再生されるので、吸着剤の長寿命化を図ることができる。
【0071】
また、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)は、エアポンプ(31)によって減圧されると、吸着剤に吸着されていた窒素が脱着する。その結果、外気よりも窒素を多く含むことで酸素濃度が低くなった窒素濃縮空気が生成される。本実施形態では、例えば、窒素濃度90%、酸素濃度10%の成分比率の窒素濃縮空気が生成される。
【0072】
ここで、メンブレンセパレータを用いて窒素濃度が99%を超える高純度の窒素ガスを生成する従来の装置では、エアポンプの加圧圧力が比較的高い値(827.6kPa程度)に設定されている。
【0073】
これに対し、本実施形態では、窒素濃度90%、酸素濃度10%の窒素濃縮空気を生成すればよいため、エアポンプ(31)の加圧圧力を比較的低い値(150kPa程度)に設定すれば充分である。従って、本実施形態のガス供給装置(30)では、エアポンプ(31)の加圧圧力を従来のような高圧に設定する必要はなく、その結果、加圧部(31a)を小型化することができる。
【0074】
また、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の下端部(加圧時の流出口、減圧時の流入口)は、パージ弁(36)を介して互いに連通している。第1吸着筒(34)の下端部とパージ弁(36)との間の配管、及び第2吸着筒(35)の下端部とパージ弁(36)との間の配管には、オリフィス(62)がそれぞれ取り付けられている。
【0075】
パージ弁(36)は、加圧側の吸着筒(
図4では、第1吸着筒(34))から減圧側の吸着筒(
図4では、第2吸着筒(35))に所定量の酸素濃縮空気を導いて、減圧側の吸着筒(35,34)の吸着剤から窒素を放出させるのを補助するために用いられる。パージ弁(36)の開閉動作は、濃度制御部(55)によって制御される。
【0076】
酸素タンク(39)は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)で生成された酸素濃縮空気を一時的に貯留するものである。酸素タンク(39)の流入口は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の下端部に配管を介して接続されている。第1吸着筒(34)と酸素タンク(39)とを接続する配管には、酸素タンク(39)から第1吸着筒(34)への空気の逆流を防止するための第1逆止弁(37)が設けられている。第2吸着筒(35)と酸素タンク(39)とを接続する配管には、酸素タンク(39)から第2吸着筒(35)への空気の逆流を防止するための第2逆止弁(38)が設けられている。第1逆止弁(37)及び第2逆止弁(38)と酸素タンク(39)との間には、オリフィス(61)が設けられている。第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)で生成された酸素濃縮空気は、オリフィス(61)で減圧された後、酸素タンク(39)に一時的に貯留される。
【0077】
また、ガス供給装置(30)は、エアポンプ(31)の減圧部(31b)に吸引された窒素濃縮空気をコンテナ(11)の庫内に供給するための供給通路(44)と、酸素タンク(39)に貯留された酸素濃縮空気をコンテナ(11)の庫外空間に排出するための酸素排出通路(45)とを有している。
【0078】
供給通路(44)は、一端がエアポンプ(31)の減圧部(31b)に接続され、他端がコンテナ(11)の庫内収納空間(S2)における庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)において開口している。供給通路(44)には、逆流防止用の電磁弁(44a)が設けられている。エアポンプ(31)の減圧部(31b)に吸引された窒素濃縮空気は、供給通路(44)を通ってコンテナ(11)の庫内に供給される。
【0079】
酸素排出通路(45)は、一端が酸素タンク(39)の流出口に接続され、他端が庫外空間において開口している。酸素タンク(39)に貯留された酸素濃縮空気は、酸素排出通路(45)を通ってコンテナ(11)の庫外空間に排出される。
【0080】
[サービス扉ユニット]
上述したように、サービス扉ユニット(40)は、第1サービス扉(16A)と、外気をコンテナ(11)の庫内に導入するための吸気部(47)と、コンテナ(11)の庫内空気を外部に排気するための排気部(46)とを備えている。
【0081】
図5及び
図6に示すように、第1サービス扉(16A)は、上述したように、庫外壁(16a)と、庫内壁(16b)と、断熱材(16c)とを有している。庫外壁(16a)は、第1サービス扉(16A)が取り付けられるサービス用開口(14)よりも大きく、コンテナ(11)の庫外側に位置し、サービス用開口(14)を庫外側から塞ぐように構成されている。庫内壁(16b)は、庫外壁(16a)の内面に取り付けられ、外縁部以外の内側部分が庫内側へ膨出している。庫内壁(16b)の膨出部分は、サービス用開口(14)に嵌まり込むように、該サービス用開口(14)よりも小さい外形に形成されている。断熱材(16c)は、庫外壁(16a)と庫内壁(16b)との間の空間に設けられている。
【0082】
第1サービス扉(16A)は、ボルトによって、ケーシング(12)に形成されたサービス用開口(14)の周辺部に取り付けられている。つまり、第1サービス扉(16A)は、ボルトによってケーシング(12)に着脱自在に取り付けられている。また、サービス用開口(14)は、ケーシング(12)において庫内ファン(26)の側方に形成されている。そのため、第1サービス扉(16A)は、ケーシング(12)において庫内ファン(26)の側方の位置に取り付けられている。さらに、第1サービス扉(16A)は、庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)及び吹出側の2次空間(S22)の両方に面するように設けられている。
【0083】
図5に示すように、吸気部(47)は、庫内収納空間(S2)と庫外空間とを繋ぐ吸気ダクト(吸気通路)(47a)と、吸気ダクト(47a)に接続された吸気弁(47b)とを有している。
【0084】
吸気ダクト(47a)は、第1サービス扉(16A)の内部に形成されている。具体的には、吸気ダクト(47a)は、第1サービス扉(16A)の庫外壁(16a)と庫内壁(16b)とに形成された開口を繋ぐダクト部材によって構成されている。吸気ダクト(47a)は、入口(庫外側の開口)が、第1サービス扉(16A)の内部において、庫外壁(16a)の内面に沿うように形成されている。吸気ダクト(47a)は、入口(庫外側の開口)が、庫外壁(16a)の下部において開口し、出口(庫内側の開口)が、庫内壁(16b)の上部であって庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)に面する部分において開口している。
【0085】
吸気弁(47b)は、吸気ダクト(47a)の中途部に設けられ、吸気ダクト(47a)における空気の流通を許容する開状態と、吸気ダクト(47a)における空気の流通を遮断する閉状態とに切り換わる電磁弁によって構成されている。吸気弁(47b)の開閉動作は、濃度制御部(55)によって制御される。
【0086】
一方、
図6に示すように、排気部(46)は、庫内収納空間(S2)と庫外空間とを繋ぐ排気ダクト(排気通路)(46a)と、排気ダクト(46a)に接続された排気弁(46b)とを有している。
【0087】
排気ダクト(46a)は、第1サービス扉(16A)の内部に形成されている。具体的には、排気ダクト(46a)は、第1サービス扉(16A)の庫外壁(16a)と庫内壁(16b)とに形成された開口を繋ぐダクト部材によって構成されている。排気ダクト(46a)は、入口(庫外側の開口)が、第1サービス扉(16A)の内部において、庫外壁(16a)の内面に沿うように形成されている。排気ダクト(46a)は、入口(庫内側の開口)が、庫内壁(16b)の上下方向の中央よりも上方寄りの位置において開口し、出口(庫外側の開口)が、庫外壁(16a)の下部において開口している。
【0088】
排気弁(46b)は、排気ダクト(46a)の中途部に設けられ、排気ダクト(46a)における空気の流通を許容する開状態と、排気ダクト(46a)における空気の流通を遮断する閉状態とに切り換わる電磁弁によって構成されている。排気弁(46b)の開閉動作は、濃度制御部(55)によって制御される。
【0089】
このような構成により、吸気部(47)では、庫内ファン(26)の回転によって、庫外空間から庫内収納空間(S2)に外気が取り込まれ、排気部(46)では、庫内ファン(26)の回転によって、庫内に繋がる庫内収納空間(S2)の空気、即ち、庫内空気が庫外へ排出される。
【0090】
具体的には、庫内ファン(26)が回転すると、吸込側の1次空間(S21)の圧力が、庫外空間の圧力(大気圧)よりも低くなる。これにより、吸気弁(47b)が開状態であるときには、吸気ダクト(47a)の両端部の間で生じる圧力差(庫外空間と1次空間(S21)との間の圧力差)により、外気が吸気ダクト(47a)を介して庫内収納空間(S2)に吸い込まれる。一方、庫内ファン(26)が回転すると、吹出側の2次空間(S21)の圧力が、庫外空間の圧力(大気圧)よりも低くなる。これにより、排気弁(46b)が開状態であるときには、排気ダクト(46a)の両端部の間で生じる圧力差(庫外空間と2次空間(S22)との間の圧力差)により、庫内に繋がる庫内収納空間(S2)の空気(庫内空気)が排気ダクト(46a)を介して庫外空間へ排出される。
【0091】
[センサユニット]
図2に示すように、センサユニット(50)は、庫内収納空間(S2)における庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)に設けられている。
図1に示すように、センサユニット(50)は、ケーシング(12)の内面であって第1サービス扉(16A)が取り付けられるサービス用開口(14)の側方に取り付けられている。
【0092】
図7に示すように、センサユニット(50)は、酸素センサ(51)と、二酸化炭素センサ(52)と、固定プレート(53)と、メンブレンフィルタ(54)と、連絡管(56)と、排気管(57)とを有している。
【0093】
酸素センサ(51)は、内部にガルバニ電池式センサが収容された酸素センサボックス(51a)を有している。酸素センサ(51)は、ガルバニ電池式センサの電解液に流れる電流値を計測することによって、酸素センサボックス(51a)内の気体中の酸素濃度を測定する。酸素センサボックス(51a)の外面は、固定プレート(53)に固定されている。酸素センサボックス(51a)の外面であって固定プレート(53)への固定面とは反対側の面には、開口が形成され、該開口には、メンブレンフィルタ(54)が取り付けられている。
【0094】
メンブレンフィルタ(54)は、通気性と防水性を有するフィルタであり、庫内収納空間(S2)の2次空間(S22)と酸素センサボックス(51a)の内部空間とを連通させる一方、2次空間(S22)から酸素センサボックス(51a)の内部空間へ庫内空気が通過する際に、該空気中の水分の内部空間への侵入を阻止する。
【0095】
また、酸素センサボックス(51a)の下面には、コネクタ(管継手)を介して後述する測定ユニット(80)の分岐管(81)が連結されている。さらに、酸素センサボックス(51a)の一方の側面には、コネクタを介して連絡管(56)が連結されている。
【0096】
二酸化炭素センサ(52)は、二酸化炭素センサボックス(52a)を有し、二酸化炭素センサボックス(52a)内の気体に赤外線を放射し、二酸化炭素に固有の波長の赤外線の吸収量を計測することによって気体中の二酸化炭素濃度を測定する非分散型赤外線方式(NDIR:non dispersive infrared)のセンサである。二酸化炭素センサボックス(52a)の一方の側面には、コネクタを介して連絡管(56)が連結されている。また、二酸化炭素センサボックス(52a)の他方の側面には、コネクタを介して排気管(57)が連結されている。
【0097】
固定プレート(53)は、箱状に形成されて1面が開口する本体部(53a)と、該本体部(53a)の外縁から開口面に沿って外方に延び、ボルトによってケーシング(12)に固定される固定部(53b)とを有している。本体部(53a)の開口面を取り囲む側面には、本体部(53a)の内外において空気を流通させる複数の切り欠き部(53c)が形成されている。本体部(53a)の開口面の対向面に、酸素センサボックス(51a)と二酸化炭素センサボックス(52a)とが固定されている。固定プレート(53)は、酸素センサ(51)と二酸化炭素センサ(52)とが取り付けられた状態で、ケーシング(12)に固定される。
【0098】
このような構成により、固定プレート(53)の内部の空間は、複数の切り欠き部(53c)を介して庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)と連通するが、庫内ファン(26)から吹き出される空気の流通が遮断された遮断領域となる。言い換えると、固定プレート(53)は、2次空間(S22)に、庫内ファン(26)から吹き出される空気の流通が遮断された遮断領域を形成する遮断部材を構成している。
【0099】
連絡管(56)は、上述のように、酸素センサボックス(51a)の側面と二酸化炭素センサボックス(52a)の側面とに連結され、酸素センサボックス(51a)の内部空間と二酸化炭素センサボックス(52a)の内部空間とを連通させている。
【0100】
排気管(57)は、上述のように、一端が、二酸化炭素センサボックス(52a)の他方の側面に連結され、他端が庫内ファン(26)の吸込口の近傍において開口している。つまり、排気管(57)は、二酸化炭素センサボックス(52a)の内部空間と庫内収納空間(S2)の1次空間(S21)とを連通させている。
【0101】
このように、酸素センサボックス(51a)の内部空間と二酸化炭素センサボックス(52a)の内部空間とが連絡管(56)を介して連通し、酸素センサボックス(51a)の内部空間は、メンブレンフィルタ(54)を介して庫内収納空間(S2)の2次空間(S22)と連通し、二酸化炭素センサボックス(52a)の内部空間は、排気管(57)を介して庫内収納空間(S2)の1次空間(S21)と連通している。つまり、庫内収納空間(S2)の2次空間(S22)と1次空間(S21)とは、メンブレンフィルタ(54)、酸素センサボックス(51a)の内部空間、連絡管(56)、二酸化炭素センサボックス(52a)の内部空間、及び排気管(57))によって形成される空気通路(58)を介して連通している。言い換えると、庫内収納空間(S2)の1次空間(S21)と2次空間(S22)とを連通させる空気通路(58)に、酸素センサ(51)と二酸化炭素センサ(52)とが接続されている。そのため、センサユニット(50)では、庫内ファン(26)が回転すると、庫内空気が空気通路(58)の入口(メンブレンフィルタ(54))から出口(排気管(57)の流出端)へ流れ、酸素濃度と二酸化炭素濃度とが測定される。
【0102】
具体的には、庫内ファン(26)が回転すると、吸込側の1次空間(S21)の圧力が、吹出側の2次空間(S22)の圧力よりも低くなる。そのため、庫内ファン(26)が回転すると、1次空間(S21)と2次空間(S22)との圧力差によって、酸素センサ(51)と二酸化炭素センサ(52)とが接続された空気通路(58)において、2次空間(S22)側から1次空間(S21)側へ庫内空気が流れる。具体的には、まず、2次空間(S22)の庫内空気が、メンブレンフィルタ(54)を介して酸素センサボックス(51a)の内部空間に流入し、連絡管(56)、二酸化炭素センサボックス(52a)の内部空間、排気管(57)の順に流れて2次空間(S22)に排出される。このようにして、庫内空気が酸素センサ(51)と二酸化炭素センサ(52)とを順に通過し、酸素センサ(51)において庫内空気の酸素濃度が測定され、二酸化炭素センサ(52)において庫内空気の二酸化炭素濃度が測定される。
【0103】
なお、上述のように、酸素センサ(51)と二酸化炭素センサ(52)とは、庫内ファン(26)から吹き出される空気の流通が遮断された遮断領域である固定プレート(53)の内部に収容され、酸素センサ(51)と二酸化炭素センサ(52)とが接続された空気通路(58)の入口(メンブレンフィルタ(54))も固定プレート(53)の内部に収容されている。このような構成により、空気通路(58)の入口が、固定プレート(53)によって庫内ファン(26)から吹き出される空気の流通が遮断される位置に設けられることとなる。よって、庫内ファン(26)から吹き出された空気がそのまま空気通路(58)に流入することがない。つまり、吸気ダクト(47a)を介して庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)に取り込まれた外気が、庫内空気と充分に混ざらないまま空気通路(58)に流入することがない。よって、酸素センサ(51)及び二酸化炭素センサ(52)により、庫内空気の正確な酸素濃度及び二酸化炭素濃度が測定される。
【0104】
ところで、コンテナ用冷凍装置(10)のメンテナンスの際に、庫内収納空間(S2)の2次空間(S22)に設けられた蒸発器(24)等を高圧洗浄水で洗浄する場合がある。このような高圧洗浄時に、2次空間(S22)に入口が設けられた空気通路(58)に洗浄水が入るおそれがある。
【0105】
しかしながら、本実施形態では、空気通路(58)の入口を構成するメンブレンフィルタ(54)が、酸素センサボックス(51a)の外面であって庫外側の面に設けられている。なお、本実施形態では、酸素センサボックス(51a)は、庫外側の面が、ケーシング(12)の庫内壁(12b)と僅かな間隔を空けて対向するように設けられている。そのため、高圧洗浄時に、高圧洗浄水の空気通路(58)への流入を防止することができる。また、このような配置により、高圧洗浄水だけでなく、ゴミ等の空気通路(58)への侵入も防止することができる。
【0106】
また、上述のように、酸素センサボックス(51a)及び二酸化炭素センサボックス(52a)は、板金からなる固定プレート(53)によって覆われている。また、酸素センサボックス(51a)及び二酸化炭素センサボックス(52a)に取り付けられたコネクタも固定プレート(53)によって覆われている。そのため、上述のような、高圧洗浄時には、高圧洗浄水のコネクタへの直撃を防止することができる。コネクタに高圧洗浄水が直撃すると、コネクタに差し込まれた分岐管(81)、連絡管(56)及び排気管(57)を構成するチューブがコネクタから外れるおそれがあるが、上述のように、高圧洗浄水のコネクタへの直撃を防止することができるため、上記チューブがコネクタから外れるおそれがない。
【0107】
[測定ユニット]
測定ユニット(80)は、分岐管(81)と測定用開閉弁(82)とを備え、ガス供給装置(30)において生成されて供給通路(44)を流れる窒素濃縮空気の一部を分岐させて酸素センサ(51)に導くように構成されている。
【0108】
具体的には、分岐管(81)は、一端が供給通路(44)に接続され、他端が酸素センサ(51)の酸素センサボックス(51a)に連結されている。このような構成により、分岐管(81)は、供給通路(44)と酸素センサボックス(51a)の内部空間とを連通させる。なお、本実施形態では、分岐管(81)は、ユニットケース(70)内において供給通路(44)から分岐し、ユニットケース(70)の内外に亘るように設けられている。
【0109】
測定用開閉弁(82)は、分岐管(81)のユニットケース(70)の内部に設けられている。測定用開閉弁(82)は、分岐管(81)における窒素濃縮空気の流通を許容する開状態と、分岐管(81)における窒素濃縮空気の流通を遮断する閉状態とに切り換わる電磁弁によって構成されている。測定用開閉弁(82)の開閉動作は、濃度制御部(55)によって制御される。詳細については後述するが、測定用開閉弁(82)は、後述する給気測定運転が実行される際にのみ開状態となり、その他のモードでは閉状態となる。
【0110】
[濃度制御部]
濃度制御部(55)は、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度及び二酸化炭素濃度を所望の濃度にする濃度調節運転を実行するように構成されている。具体的には、濃度制御部(55)は、酸素センサ(51)及び二酸化炭素センサ(52)の測定結果に基づいて、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度及び二酸化炭素濃度が所望の目標濃度(例えば、酸素濃度5%、二酸化炭素濃度5%)になるように、ガス供給装置(30)、吸気部(47)及び排気部(46)の動作を制御する。
【0111】
以上のような構成により、CA装置(60)のガス供給装置(30)、サービス扉ユニット(40)及びセンサユニット(50)は、それぞれ1つのユニットとして構成されている。つまり、CA装置(60)は、既存のコンテナ用冷凍装置(10)に容易に後付けすることができるように、各構成要素がそれぞれ1つのユニットとして構成されている。
【0112】
なお、本実施形態では、測定ユニット(80)は、ガス供給装置(30)と1つのユニットに構成されている。また、本実施形態では、CA装置(60)に測定ユニット(80)を設けているが、CA装置(60)は、測定ユニット(80)が設けられないものであってもよい。
【0113】
−運転動作−
〈冷却運転〉
本実施形態では、
図3に示す温度制御部(100)によって、コンテナ(11)の庫内空気を冷却する冷却運転が実行される。
【0114】
冷却運転では、温度制御部(100)によって、圧縮機(21)、膨張弁(23)、庫外ファン(25)及び庫内ファン(26)の動作が、図示しない温度センサの測定結果(現状の庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度)に基づいて庫内空気の温度が所望の目標温度になるように制御される。このとき、冷媒回路(20)では、冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。そして、庫内ファン(26)によって庫内収納空間(S2)へ導かれたコンテナ(11)の庫内空気が、蒸発器(24)を通過する際に該蒸発器(24)の内部を流れる冷媒によって冷却される。蒸発器(24)において冷却された庫内空気は、床下流路(19a)を通って吹出口(18b)から再びコンテナ(11)の庫内へ吹き出される。これにより、コンテナ(11)の庫内空気が冷却される。
【0115】
〈濃度調節運転〉
また、本実施形態では、
図4に示す濃度制御部(55)によって、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度及び二酸化炭素濃度を、所定の目標濃度(例えば、酸素濃度5%、二酸化炭素濃度5%)に調節する濃度調節運転が実行される。濃度調節運転では、濃度制御部(55)は、酸素センサ(51)及び二酸化炭素センサ(52)の測定結果に基づいて、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度及び二酸化炭素濃度が所望の目標濃度になるように、ガス供給装置(30)、吸気部(47)、排気部(46)の動作を制御する。また、濃度制御部(55)は、測定用開閉弁(82)を閉状態に制御する。これにより、酸素センサ(51)及び二酸化炭素センサ(52)には、庫内ファン(26)によって庫内空気が供給され、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度とが測定される。以下、酸素濃度の調節動作と二酸化炭素濃度の調節動作とについて詳述する。
【0116】
[酸素濃度の調節動作]
まず、濃度制御部(55)は、酸素センサ(51)で測定された庫内空気の酸素濃度が窒素濃縮空気の酸素濃度(酸素濃度10%)よりも高いか否かを判定する。そして、濃度制御部(55)は、庫内空気の酸素濃度が窒素濃縮空気の酸素濃度よりも高いと判定すると、ガス供給装置(30)の運転を開始する。これにより、ガス供給装置(30)において、窒素濃縮空気(窒素濃度90%、酸素濃度10%)が生成され、生成された窒素濃縮空気がコンテナ(11)の庫内に供給される。つまり、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度を下げる操作が行われる。
【0117】
その後、濃度制御部(55)は、酸素センサ(51)で測定された酸素濃度が窒素濃縮空気の酸素濃度(酸素濃度10%)以下に下がったか否かを判定する。そして、濃度制御部(55)は、庫内空気の酸素濃度が窒素濃縮空気の酸素濃度以下に下がったと判定すると、ガス供給装置(30)の運転を停止する。つまり、コンテナ(11)の庫内への窒素濃縮空気の供給動作を停止する。
【0118】
なお、コンテナ(11)の庫内に収納された植物(15)の呼吸作用により、コンテナ(11)の庫内では、常時、植物(15)によって酸素が取り込まれて二酸化炭素が放出される。そのため、コンテナ(11)の庫内への窒素濃縮空気の供給動作を停止しても、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度は低下し続ける。
【0119】
次に、濃度制御部(55)は、酸素センサ(51)で測定された庫内空気の酸素濃度が目標濃度(酸素濃度5%)よりも低くなったか否かを判定する。そして、濃度制御部(55)は、庫内空気の酸素濃度が目標濃度よりも低くなったと判定すると、ガス供給装置(30)の運転を再開するか、吸気部(47)の吸気弁(47b)を開いて吸気ダクト(47a)を介して窒素濃縮空気よりも酸素濃度の高い外気をコンテナ(11)の庫内に取り込む。つまり、コンテナ(11)の庫内への窒素濃縮空気の供給動作を再開する、又は外気をコンテナ(11)の庫内に取り込む吸気動作を行うことにより、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度を上昇させる操作を行う。なお、コンテナ(11)の庫内への窒素濃縮空気の供給動作と吸気動作とを同時に行うようにしてもよい。また、窒素濃縮空気の供給動作又は吸気動作と共に、排気部(46)の排気弁(46b)を開いて排気ダクト(46a)を介して庫内空気を庫外空間へ排出する排気動作を行うようにしてもよい。
【0120】
その後、上述した動作を最初から繰り返す。このような動作により、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度が目標濃度の5%とガス供給装置(30)によって生成される窒素濃縮空気の酸素濃度である10%との間の濃度に調節される。
【0121】
なお、本実施形態では、植物(15)がバナナである場合について説明するために酸素濃度の目標濃度を5%としているが、植物(15)がアボカドである場合には、目標濃度を3%とするのが好ましい。
【0122】
[二酸化炭素濃度の調節動作]
まず、濃度制御部(55)は、二酸化炭素センサ(52)で測定された庫内空気の二酸化炭素濃度が所定の目標濃度(二酸化炭素濃度5%)よりも高いか否かを判定する。そして、濃度制御部(55)は、庫内空気の二酸化炭素濃度が目標濃度よりも高いと判定すると、ガス供給装置(30)の運転を開始して窒素濃縮空気(窒素濃度90%、酸素濃度10%)をコンテナ(11)の庫内に供給する、又は排気部(46)の排気弁(46b)を開いて排気ダクト(46a)を介して庫内空気を庫外空間へ排出する。つまり、コンテナ(11)の庫内への窒素濃縮空気の供給動作を開始する、又は庫内空気をコンテナ(11)の庫外空間へ排出する排気動作を行うことにより、コンテナ(11)の庫内空気の二酸化炭素濃度を下げる操作を行う。このとき、窒素濃縮空気の供給動作と排気動作とを同時に行うようにしてもよい。また、窒素濃縮空気の供給動作又は排気動作と共に、吸気部(47)の吸気弁(47b)を開いて吸気ダクト(47a)を介して庫内空気よりも二酸化炭素濃度の低い外気(二酸化炭素濃度0.03%)を庫内へ取り込む吸気動作を行うようにしてもよい。
【0123】
次に、濃度制御部(55)は、二酸化炭素センサ(52)で測定された庫内空気の二酸化炭素濃度が目標濃度以下に下がったか否かを判定する。そして、濃度制御部(55)は、庫内空気の二酸化炭素濃度が目標濃度以下に下がったと判定すると、行っていたガス供給装置(30)の運転又は排気動作を停止する。
【0124】
その後、上述した動作を最初から繰り返す。このような動作により、コンテナ(11)の庫内空気の二酸化炭素濃度が目標濃度の5%に調節される。
【0125】
なお、本実施形態では、植物(15)がバナナである場合について説明するために二酸化炭素濃度の目標濃度を5%としているが、植物(15)がアボカドである場合には、目標濃度を10%とするのが好ましい。
【0126】
〈給気測定運転〉
また、濃度制御部(55)は、ユーザからの指令により又は定期的(例えば、10日毎)に、ガス供給装置(30)において生成された窒素濃縮空気の酸素濃度を測定する給気測定運転を実行する。なお、給気測定運転は、上述の濃度調節運転や試運転等、ガス供給装置(30)の運転中に庫内ファン(26)が停止した際に実行される。
【0127】
給気測定運転では、濃度制御部(55)は、濃度調節運転と同様に、ガス供給装置(30)、吸気部(47)、排気部(46)の動作を制御する。一方、給気測定運転では、濃度制御部(55)は、測定用開閉弁(82)を開状態に制御する。
【0128】
ガス供給装置(30)の運転中に測定用開閉弁(82)が開かれると、ガス供給装置(30)において生成されて供給通路(44)を流れる窒素濃縮空気の一部が分岐管(81)に流入する。分岐管(81)に流入した窒素濃縮空気は、酸素センサ(51)の酸素センサボックス(51a)内に流入し、酸素濃度が測定される。このように、給気測定運転では、供給通路(44)を流れる窒素濃縮空気の一部を、分岐管(81)を介して酸素センサ(51)に導くこととしている。これにより、ガス供給装置(30)において生成された窒素濃縮空気の酸素濃度が、庫内空気の酸素濃度を測定するために設けられた酸素センサ(51)によって測定されることとなる。
【0129】
このように、ガス供給装置(30)において生成された窒素濃縮空気の酸素濃度を測定することにより、ガス供給装置(30)において生成された窒素濃縮空気の組成(酸素濃度、窒素濃度)が所望の状態(例えば、窒素濃度90%、酸素濃度10%)であるかを確認することができる。
【0130】
なお、このとき、酸素センサ(51)を通過した窒素濃縮空気は、二酸化炭素センサ(52)を通過する。そのため、給気測定運転の際に、二酸化炭素センサ(52)において窒素濃縮空気の二酸化炭素濃度を測定し、二酸化炭素センサ(52)の校正を行うこととしてもよい。つまり、窒素濃縮空気は、外気(二酸化炭素濃度0.03%)中の酸素の一部を窒素に置き換えて生成されるものであるため、二酸化炭素濃度は、外気とほぼ同様である。そのため、二酸化炭素センサ(52)で測定した窒素濃縮空気の二酸化炭素濃度が0.03%となるように設定を補正することで二酸化炭素センサ(52)を校正することができる。
【0131】
−排気ダクトの入口の位置−
本実施形態では、
図6に示すように、排気通路を構成する排気ダクト(46a)は、入口(庫内側の開口)が、庫内壁(16b)の庫内ファン(26)の側方の位置、即ち、ファンハウジング(27c)に面する部分において開口するように設けられている。具体的には、排気ダクト(46a)の入口は、ファンハウジング(27c)の外周(側方)において、ファンハウジング(27c)に向かって開口している。
【0132】
本実施形態のような円筒部材からなるファンハウジング(27c)を有する庫内ファン(26)では、吹出空気がファンハウジング(27c)の延伸方向(本実施形態では回転軸方向)に沿って流れる。そのため、ファンハウジング(27c)の外周領域では、該ファンハウジング(27c)によって庫内ファン(26)から吹き出される庫内空気の流通が遮断される。つまり、ファンハウジング(27c)の外周領域は、庫内ファン(26)から吹き出される庫内空気の流通が遮断される遮断領域となる。そのため、ファンハウジング(27c)の外周領域では、動圧が低くなり、静圧が高くなる。
【0133】
本実施形態では、ファンハウジング(27c)の外周領域に排気ダクト(46a)の入口と設けることとした。そのため、庫内ファン(26)から吹き出された空気が庫内を循環することなく排気ダクト(46a)に流入することがない。つまり、吸気ダクト(47a)を介して庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)に取り込まれた外気が、庫内空気と充分に混ざらないまま排気ダクト(46a)から庫外空間へ排出されることがない。
【0134】
−実施形態1の効果−
以上のように、本コンテナ用冷凍装置(10)によれば、排気ダクト(46a)の入口を、庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)に設けられた板状部材(ファンハウジング(27c))によって庫内ファン(26)から吹き出される空気の流通が遮断される位置に設けることとした。そのため、排気ダクト(46a)の入口付近では、動圧が低く静圧が高くなる。よって、庫内ファン(26)から吹き出された空気が庫内を循環することなく排気ダクト(46a)に流入することがない。このような構成により、庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)に取り込まれた外気が、庫内空気と充分に混ざらないまま排気ダクト(46a)から庫外空間へ排出されるのを抑制することができる。従って、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度及び二酸化炭素濃度の調節を精度良く行うことができる。
【0135】
また、本コンテナ用冷凍装置(10)では、庫内ファン(26)のプロペラファン(27a)を取り囲むファンハウジング(27c)が、庫内ファン(26)から吹き出される空気の流通を遮断する板状部材(27c)を兼ねている。そのため、本コンテナ用冷凍装置(10)によれば、別途、板状部材を設けて部品点数を増加させることなく、庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)に取り込まれた外気が、庫内空気と充分に混ざらないまま排気ダクト(46a)から庫外空間へ排出されるのを抑制することができる。
【0136】
また、本コンテナ用冷凍装置(10)によれば、庫内ファン(26)の側方に設けられた第1サービス扉(16A)に排気ダクト(46a)を設けることとした。そのため、第1サービス扉(16A)を設置するだけで、排気ダクト(46a)の入口を、2次空間(S22)に設けられた板状部材(ファンハウジング(27c))によって庫内ファン(26)から吹き出される空気の流通が遮断される位置に容易に配置することができる。
【0137】
また、本コンテナ用冷凍装置(10)によれば、第1サービス扉(16A)を1次空間(S21)及び2次空間(S22)の両方に面するように設け、該第1サービス扉(16A)に排気ダクト(46a)と吸気ダクト(47a)とを設けることとした。そのため、第1サービス扉(16A)に内外を貫通する通路を形成するだけで、2次空間(S22)に開口する排気ダクト(46a)と1次空間(S21)に開口する吸気ダクト(47a)とを容易に形成することができる。
【0138】
また、本コンテナ用冷凍装置(10)では、ガス供給装置(30)によって、窒素濃縮空気を庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)に供給することとしている。このような構成では、1次空間(S21)に供給された窒素濃縮空気が、庫内を循環することなく排気ダクト(46a)に流入するおそれがある。しかしながら、本コンテナ用冷凍装置(10)では、排気ダクト(46a)の入口が、庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)に設けられた板状部材(ファンハウジング(27c))によって庫内ファン(26)から吹き出される空気の流通が遮断される位置に設けられている。そのため、ガス供給装置(30)によって、窒素濃縮空気を庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)に供給することとしても、1次空間(S21)に供給された窒素濃縮空気が、庫内空気と充分に混ざらないまま排気ダクト(46a)から庫外空間へ排出されるのを抑制することができる。従って、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度及び二酸化炭素濃度の調節を精度良く行うことができる。
【0139】
また、本コンテナ用冷凍装置(10)では、排気ダクト(46a)の入口を、庫内ファン(26)の側方に設けることとした。つまり、排気ダクト(46a)の入口を、比較的庫内ファン(26)に近い位置に設けることとした。そのため、庫内ファン(26)の稼働中に、排気ダクト(46a)の入口と出口との圧力差が比較的大きくなって排気量が多くなるため、庫内空気の酸素濃度及び二酸化炭素濃度を迅速に所望の濃度に調節することができる。
【0140】
また、本コンテナ用冷凍装置(10)では、庫内収納空間(S2)に窒素濃縮空気を供給する供給通路(44)の流出端が、庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)に設けられている。一方、ガス供給装置(30)は、庫外収納空間(S1)に設けられている。ここで、庫内ファン(26)の稼働中には、庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)の圧力が、庫外空間の圧力(大気圧)よりも低くなる。そのため、供給通路(44)の流出端を、庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)に設けると、庫内ファン(26)の稼働中に1次空間(S21)と2次空間(S22)との間に生じる圧力差によって、ガス供給装置(30)による窒素濃縮空気の搬送力が増大することとなる。これにより、庫内ファン(26)の稼働中には、ガス供給装置(30)による窒素濃縮空気の供給量が多くなるため、庫内空気の酸素濃度及び二酸化炭素濃度を迅速に所望の濃度に調節することができる。
【0141】
《本発明の実施形態2》
実施形態2のコンテナ用冷凍装置(10)は、実施形態1において、ガス供給装置(30)の供給通路(44)の構成を変更したものである。具体的には、
図8に示すように、実施形態2では、供給通路(44)は、流出端が、庫内収納空間(S2)の庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)に位置するように設けられている。より具体的には、供給通路(44)の流出端は、庫内ファン(26)から下方へ向かって空気が吹き出される2次空間(S22)において、排気ダクト(46a)の入口よりも下方に位置している。その他の構成は、実施形態1と同様である。
【0142】
実施形態2のコンテナ用冷凍装置(10)によれば、供給通路(44)の流出端が、庫内ファン(26)から下方へ向かって空気が吹き出される2次空間(S22)において排気ダクト(46a)の入口よりも下方に位置している。そのため、供給通路(44)を介して庫内収納空間(S2)に供給された窒素濃縮空気が、庫内を循環することなく排気ダクト(46a)に流入してしまうことがなく、必ず、庫内へ供給される。よって、庫内収納空間(S2)に供給された窒素濃縮空気が、庫内空気と充分に混ざらないまま排気ダクト(46a)から庫外空間へ排出されるのを抑制することができる。従って、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度及び二酸化炭素濃度の調節を精度良く行うことができる。
【0143】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0144】
上記各実施形態では、庫内ファン(26)から吹き出される空気の流通が遮断される領域を形成する板状部材(27c)を、ファンハウジング(27c)によって構成していた。しかしながら、本発明に係る板状部材(27c)は、ファンハウジング(27c)に限られない。ファンハウジング(27c)とは別に板状部材を設けることとしてももちろんよい。また、庫内ファン(26)がファンハウジング(27c)を有していない場合に、別途、板状部材を設けることとしてもよい。
【0145】
また、上記各実施形態では、庫内ファン(26)がプロペラファン(27a)を有する軸流ファンによって構成されていたが、庫内ファン(26)は、軸流ファンに限られない。また、庫内ファン(26)は、ファンハウジング(27c)を有さないものであってもよい。
【0146】
上記各実施形態では、排気部(46)の排気ダクト(46a)と吸気部(47)の吸気ダクト(47a)とを第1サービス扉(16A)の内部に形成し、第1サービス扉(16A)と排気部(46)と吸気部(47)とを1つのサービス扉ユニット(40)として構成していた。しかしながら、排気部(46)と吸気部(47)とを第1サービス扉(16A)とは異なる部分に設けることとしてもよい。
【0147】
上記各実施形態では、庫内ファン(26)から吹き出される空気の流通が遮断される領域を形成する遮断部材(53)を、酸素センサ(51)及び二酸化炭素センサ(52)を覆う固定プレート(53)によって構成していた。しかしながら、本発明に係る遮断部材は、固定プレート(53)に限られない。例えば、固定プレート(53)を設けずに、遮断部材をファンハウジング(27c)によって構成することとしてもよい。具体的には、空気通路(58)の入口(メンブレンフィルタ(54))を、庫内ファン(26)から吹き出される庫内空気の流通が遮断されるファンハウジング(27c)の外周領域に配置することで、ファンハウジング(27c)を遮断部材として用いることとしてもよい。
【0148】
濃度制御部(55)によって、定期的に給気測定運転を実行し、測定した窒素濃縮空気の酸素濃度を濃度制御部(55)に記憶させることとしてもよい。このような場合には、窒素濃縮空気の酸素濃度の時間的変化からガス供給装置(30)の不具合を判断することができる。
【0149】
本実施形態では、エアポンプ(31)が加圧部(31a)と減圧部(31b)とを有する構成とし、エアポンプ(31)の減圧部(31b)によって窒素濃縮空気を吸引しているが、例えば、窒素濃縮空気を吸い込むための吸引ポンプを別途設けるようにしてもよい。
【0150】
また、本実施形態では、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の2本の吸着筒を用いて窒素の吸着及び脱着を行うようにしたが、吸着筒の本数は特に限定するものではない。例えば、6本の吸着筒を用いた構成であってもよい。
【0151】
また、本実施形態では、窒素濃縮空気をコンテナ(11)の庫内に供給して、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度を窒素濃縮空気の酸素濃度(酸素濃度10%)まで下げるようにしているが、窒素濃縮空気の酸素濃度近傍(例えば、酸素濃度12%)まで下げた後で窒素濃縮空気の供給を停止するようにしてもよい。