【実施例】
【0081】
以下、本発明を実施例及び比較例を示してより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。特に断らない限り、部は重量部、%は、重量%を表す。
【0082】
実施例及び比較例において記述のある物性、評価項目の測定方法について説明する。
【0083】
不揮発分:0.5g程度の試料を計量し、熱風オーブンにて乾燥条件150℃-20分で加熱し、減量分から不揮発分を測定した。
【0084】
残留単量体濃度の測定:GC-MS Agilent 6890N / 5973N を使用した。
GC-MSにて、各種単量体特有のピーク面積値から、検量線法によって、ビニル系重合体混合物中の残留単量体濃度を測定した。本技術適用後のビニル系重合体混合物をテトラヒドロフラン(THF)で希釈し、GC-MSで測定することで残留単量体濃度を測定した。この測定値に希釈倍率を乗じて、不揮発分で除して、ドライ換算残留単量体濃度ppmとした。
【0085】
残留開始剤濃度:LC-MS Waters ACQUITY UPLC / ZQ 2000 を使用した。
各種開始剤特有の質量電荷比ピーク面積値から、内部標準を併用した検量線法によって、ビニル系重合体混合物中の残留開始剤濃度を測定した。ビニル系重合体溶液とメタノールを十分に混合し、メタノール中に開始剤を抽出し、樹脂分を遠心分離後、上澄みメタノール液に内部標準物質を規定濃度添加し、LC-MSに導入して測定した。この測定値に希釈・抽出倍率を乗じて、不揮発分で除して、ドライ換算残留単量体濃度ppmとした。
【0086】
塗工適性:
厚さ50μmのPETフィルムに、乾燥後の粘着剤層厚みが25μmとなるようにナイフコーターを用いて、目開き10μmろ過材で予めろ過したビニル系重合体混合物を150mm/sで塗工した。評価は塗工直後の塗膜の外観を目視にて観察した。
◎:塗工スジ、ムラ、ヌケなど一切なく、非常に良好な塗膜
○:微かに塗工スジ、ムラはあるが、ヌケは一切なく、良好な塗膜
△:微かに塗工スジ、ムラ、ヌケなどがあるが、実用可能な塗膜
×:塗工スジ、ムラ、ヌケなどが多発しており、問題がある塗膜
【0087】
分子量分布:GPC 東ソー HLC8220 GPCを使用した。
分子量分布の測定はGPCにて行い、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)をポリスチレン換算で行った。
カラム:東ソー TSKgel Super HM-M ×4 直列
溶媒:THF 0.2mL/min. @40℃
サンプル:0.5μm PTFEフィルタ予備濾過 不揮発分0.2% 200μL
検出器:RI(屈折率)
【0088】
マイクロゲル:
ビニル系重合体溶液を目開き10μmフィルタで予備濾過した後、 固形分0.2% THF溶液として 2mLを、シリンジフィルター(東洋濾紙社製、DISMIC 13JP050AN細孔径0.5μm PTFEメンブレン)で濾過した際の濾過抵抗で評価した。30秒以内に2mL全て濾過通液すれば、マイクロゲルが十分に少ない事を示す。
○:速やかに抵抗なく2mL全て濾過通液できる
△:抵抗はあるが2mL全て濾過通液できる
×:抵抗があり2mL全てを濾過通液できない
【0089】
(合成例)(ビニル系重合体)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器(以下、単に「反応容器」と記述する。)に窒素雰囲気下、アクリル酸2−エチルヘキシル88部、メタクリル酸2−エチルヘキシル10部、アクリル酸2部、酢酸エチル55部、アセトン5部、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(以下「AIBN」と記述する。)0.03部を仕込んだ。撹拌しながら加熱を行い重合反応の開始を確認して還流温度で2時間反応した。次いで、AIBN 0.03部を反応溶液に添加し6時間反応を継続した。その後、反応容器を冷却し酢酸エチル65部を加え、重量平均分子量が67万の共重合体溶液を得た。
塗布乾燥工程において蒸発除去しづらい高沸点の単量体がドライ換算残留単量体濃度で6720ppmで残留した。
【0090】
(ビニル系重合体混合物A)
合成例で得られたビニル系重合体溶液に対し、重合開始剤として、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキサノエート(1時間半減期温度92.1℃、活性化エネルギーEa=120.6 kJ/mol、頻度因子A=1.23×10
17 1/h)を0.3%添加し、室温、窒素雰囲気下で十分に混合した。
【0091】
(ビニル系重合体混合物B)
ビニル系重合体混合物Aに使用された重合開始剤t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキサノエートに替えて、t−ブチルパーオキシピバレート(1時間半減期温度72.7℃、活性化エネルギーEa=:119.1 kJ/mol、頻度因子A:6.93×10
17 1/h)を0.24%添加し、室温、窒素雰囲気下で十分に混合した。
【0092】
(ビニル系重合体混合物C)
ビニル系重合体混合物Aに使用された重合開始剤t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキサノエートに替えて、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(1時間半減期温度:119.3℃、活性化エネルギーEa:137.7 kJ/mol、頻度因子A:1.52×10
18 1/h)を0.34%添加し、室温、窒素雰囲気下で十分に混合した。
【0093】
(ビニル系重合体混合物D)
ビニル系重合体混合物Aに使用された重合開始剤t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキサノエートに替えて、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(1時間半減期温度:84.4℃、活性化エネルギーEa:121.3 kJ/mol、頻度因子A:3.69×10
18 1/h)を0.37%添加し、室温、窒素雰囲気下で十分に混合した。
【0094】
(ビニル系重合体混合物E)
合成例で得られたビニル系重合体溶液に、酢酸エチルを追加し、窒素雰囲気下で十分に混合し、不揮発分を20%とした後、重合開始剤として、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキサノエートを0.3%添加し、室温、窒素雰囲気下で十分に混合した。
【0095】
(ビニル系重合体混合物F)
合成例で得られたビニル系重合体溶液に、酢酸エチルを追加し、窒素雰囲気下で十分に混合し、不揮発分を44%とした後、重合開始剤として、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキサノエートを0.3%添加し、室温、窒素雰囲気下で十分に混合した。
【0096】
(ビニル系重合体混合物G)
合成例で得られたビニル系重合体溶液を、ロータリーエバポレーターで液温40℃で不揮発分を70%となるまで減圧濃縮後、重合開始剤として、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキサノエートを0.3%添加し、室温、窒素雰囲気下で十分に混合した。尚、減圧濃縮工程によってドライ換算残留単量体濃度に変化はなかった。
【0097】
(ビニル系重合体混合物H)
合成例で得られたビニル系重合体溶液に、酢酸エチルを追加し、窒素雰囲気下で十分に混合し、不揮発分を20%とした後、重合開始剤として、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキサノエートを0.8%添加し、室温、窒素雰囲気下で十分に混合した。
【0098】
(ビニル系重合体混合物I)
合成例で得られたビニル系重合体溶液に、酢酸エチルを追加し、窒素雰囲気下で十分に混合し、不揮発分を44%とした後、重合開始剤として、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキサノエートを0.1%添加し、室温、窒素雰囲気下で十分に混合した。
【0099】
(ビニル系重合体混合物J)
合成例で得られたビニル系重合体溶液に、酢酸エチルを追加し、窒素雰囲気下で十分に混合し、不揮発分を44%とした後、重合開始剤として、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキサノエートを0.65%添加し、室温、窒素雰囲気下で十分に混合した。
【0100】
(ビニル系重合体混合物K)
合成例で得られたビニル系重合体溶液に、アクリル酸2-エチルヘキシルを追加し、窒素雰囲気下で十分に混合し、残留単量体濃度を10000ppmとした後、重合開始剤として、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキサノエートを0.3%添加し、室温、窒素雰囲気下で十分に混合した。
【0101】
(ビニル系重合体混合物L)
合成例で得られたビニル系重合体溶液に対し、重合開始剤として、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキサノエート(1時間半減期温度92.1℃、活性化エネルギーEa=120.6 kJ/mol、頻度因子A=1.23×10
17 1/h)を0.65%添加し、室温、窒素雰囲気下で十分に混合した。
【0102】
(ビニル系重合体混合物M)
合成例で得られたビニル系重合体溶液を、ロータリーエバポレーターで液温40℃で不揮発分を70%となるまで減圧濃縮後、重合開始剤として、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキサノエートを0.65%添加し、室温、窒素雰囲気下で十分に混合した。尚、減圧濃縮工程によってドライ換算残留単量体濃度に変化はなかった。
【0103】
(ビニル系重合体混合物N)
合成例で得られたビニル系重合体溶液を、ロータリーエバポレーターで液温40℃で不揮発分を83%となるまで減圧濃縮後、重合開始剤として、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキサノエートを0.5%添加し、室温、窒素雰囲気下で十分に混合した。
【0104】
(ビニル系重合体混合物O)
合成例で得られたビニル系重合体溶液に、酢酸エチルを追加し、窒素雰囲気下で十分に混合し、不揮発分を44%とした後、重合開始剤として、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキサノエートを0.8%添加し、室温、窒素雰囲気下で十分に混合した。
【0105】
(ビニル系重合体混合物P)
合成例で得られたビニル系重合体溶液に、酢酸エチルを追加し、窒素雰囲気下で十分に混合し、不揮発分を30%とした後、重合開始剤として、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキサノエートを0.85%添加し、室温、窒素雰囲気下で十分に混合した。
【0106】
(ビニル系重合体混合物Q)
合成例で得られたビニル系重合体溶液に対し、重合開始剤として、AIBN(1時間半減期温度82.7℃、活性化エネルギーEa=128.9 kJ/mol、頻度因子A=5.69.23×10
18 1/h)を0.6%添加し、室温、窒素雰囲気下で十分に混合した。
【0107】
以下に試験装置を説明する。各装置には加熱部出口等に温度センサーと、適宜圧力計が設置されている。
【0108】
(装置1)
50mLシリンジポンプと、オイルバスに没した内径3mm長さ0.5mのSUS304製の管と、水中に没した冷却部と、背圧弁と、受液容器とから成るSUS316製試験装置。
【0109】
(装置2)
装置1の、オイルバスに没した管の内径を3.68mm長さ0.5mとした試験装置。
【0110】
(装置3)
窒素導入管が接続された容器と、ギアポンプと、逆止弁と、内径7.4mm長さ300mm×7穴であって、シェル側にスチームを導入出来るシェル&チューブ式熱交換器と、冷却用水冷二重管と、圧力調整弁と、受液容器とから成るSUS304製試験装置。
【0111】
(装置4)
シリンジポンプと、オイルバスに没した内径7.5mm長さ0.15mのSUS304製の管と、内径14mm長さ500mmのスチーム二重管保温部と、水中に没した冷却部と、背圧弁と、受液容器とから成る試験装置。
【0112】
(装置5)
窒素導入管が接続された200L容器と、ギアポンプと、SUS316製スチーム加熱プレート式熱交換器(等価直径De=4.4mm,被加熱流体容積8L)と、内容積20L保温滞留部と、冷却用熱交換器と、背圧弁と、循環ラインと、受液容器とから成る試験装置。
【0113】
(装置6)
窒素導入管が接続された容器と、ギアポンプと、逆止弁と、加熱用の被加熱流体側内径14mm長さ500mmスチーム二重管と、冷却用水冷二重管と、圧力調整弁と、循環ラインと、受液容器とから成るSUS304製試験装置。
【0114】
(装置7)
窒素導入管が接続された容器と、ギアポンプと、逆止弁と、加熱用の被加熱流体側内径23mm長さ1000mmスチーム二重管と、冷却用水冷二重管と、圧力調整弁と、循環ラインと、受液容器とから成るSUS304製試験装置。
【0115】
(装置8)
窒素導入管が接続された容器と、ギアポンプと、逆止弁と、加熱用の被加熱流体側内径28.4mm長さ1000mmスチーム二重管と、冷却用水冷二重管と、圧力調整弁と、循環ラインと、受液容器とから成るSUS304製試験装置。
【0116】
(装置9)
二重管内に、幅28.4 長さ41mmの流れ方向を軸として180度捩じりを加えたリボン状スタティックミキサーエレメントを、捻り方向左右交互に、各90度位相で10個連結したものを設置した他は、装置8ど同様の試験装置。
【0117】
(装置10)
50mLシリンジポンプと、オイルバスに没した内径2.18mm長さ0.5mのSUS304製の管と、水中に没した冷却部と、背圧弁と、受液容器とから成るSUS316製試験装置。
【0118】
(装置11)
窒素導入管が接続された容器と、ギアポンプと、逆止弁と、加熱用の被加熱流体側内径37mm長さ1000mmスチーム二重管と、冷却用水冷二重管と、圧力調整弁と、循環ラインと、受液容器とから成るSUS304製試験装置。
【0119】
(実施例1)
装置1を使用した。シリンジポンプにビニル系重合体混合物Aを充填し、オイルバスの温度を150℃として、オイルバスに没したSUS管部分を、混合物Aが2分かけて通過するように送液し、サンプルを得た。
【0120】
本条件における混合物A中の重合開始剤1時間半減期温度92.1℃から122.1℃までの、予め実験的に求めた昇温速度は450℃/分であった。本条件では、熱交換器内における2分間の滞留で、該重合開始剤の90%以上が分解する時点まで、混合物Aを保持することが出来た。
以下、実施例の主要な条件と実験解析・評価結果とを表1〜4にまとめる。
【0121】
(実施例2)
装置2を使用した他は、実施例1と同様にして、サンプルを得た。
【0122】
(実施例3)
装置3を使用した。装置内を窒素置換した後、容器にビニル系重合体混合物Aを仕込み、ポンプを作動させ、装置内を混合物Aで満たした。次に、ポンプ吐出量を、混合物Aが加熱用熱交換器を9分かけて通過する流量に設定した。その後、加熱用熱交換器のスチーム圧力を、伝熱面温度150℃となるように調節し、液温149℃とした。熱交換器入口から装置出口まで、混合物Aが計算上全て入れ替わった時点で、サンプリングを行ない、サンプルを得た。
【0123】
(実施例4)
装置7を使用した。装置内を窒素置換した後、容器にビニル系重合体混合物Aを仕込み、ポンプを作動させ、装置内を混合物Aで満たした。次に、ポンプ吐出量を、混合物Aがスチーム二重管を16分かけて通過する流量に設定した。その後、スチーム二重管のスチーム圧力を、伝熱面温度150℃となるように調節し、液温146℃とした。スチーム二重管入口から装置出口まで、混合物Aが計算上全て入れ替わった時点で、サンプリングを行ない、サンプルを得た。
【0124】
(実施例5)
装置8を使用した。装置内を窒素置換した後、容器にビニル系重合体混合物Aを仕込み、ポンプを作動させ、装置内を混合物Aで満たした。次に、ポンプ吐出量を、混合物Aがスチーム二重管を22分かけて通過する流量に設定した。その後、スチーム二重管のスチーム圧力を、伝熱面温度150℃となるように調節し、液温146℃とした。スチーム二重管入口から装置出口まで、混合物Aが計算上全て入れ替わった時点で、サンプリングを行ない、サンプルを得た。
【0125】
(実施例6)
装置9を使用した他は、実施例5と同様にして、サンプルを得た。
【0126】
(実施例7)
装置3を使用した。ポンプ吐出量を、混合物Aが加熱用熱交換器を9分かけて通過する流量に設定し、加熱用熱交換器のスチーム圧力を、伝熱面温度124℃となるように調節し、液温123℃とした他は、実施例3と同様にして、サンプルを得た。
【0127】
(実施例8)
装置1を使用した。オイルバスの温度を200℃とした他は、実施例1と同様にして、サンプルを得た。
【0128】
(実施例9)
装置3を使用した。ポンプ吐出量を、混合物Aが加熱用熱交換器を9分かけて通過する流量に設定し、加熱用熱交換器のスチーム圧力を、伝熱面温度135℃となるように調節し、液温134℃とした他は、実施例3と同様にして、サンプルを得た。
【0129】
(実施例10)
装置6を使用した。装置内を窒素置換した後、容器にビニル系重合体混合物Aを仕込み、ポンプを作動させ、装置内を混合物Aで満たした。次に、ポンプ吐出量を、混合物Aがスチーム二重管を10分かけて通過する流量に設定した。その後、スチーム二重管のスチーム圧力を、伝熱面温度135℃となるように調節し、液温134℃とした。スチーム二重管入口から装置出口まで、混合物Aが計算上全て入れ替わった時点で、サンプリングを行ない、サンプルを得た。
【0130】
(実施例11)
装置7を使用した。ポンプ吐出量を、混合物Aがスチーム二重管を23分かけて通過する流量に設定し、スチーム二重管のスチーム圧力を、伝熱面温度135℃となるように調節し、液温134℃とした他は、実施例4はと同様にして、サンプルを得た。
【0131】
(実施例12)
装置5を使用した。装置内を窒素置換した後、容器にビニル系重合体混合物Aを仕込み、ポンプを作動させ、ラインを循環側に切り替えて送液し、装置内を混合物Aで満たした。次に、ポンプ吐出量を、混合物Aが、加熱用熱交換器入口から冷却用熱交換器入口まで、10分かけて通過する流量に設定した。その後、加熱用熱交換器のスチーム圧力を、伝熱面温度を140℃となるように調節し、液温140℃とした。熱交換器内と保温管の内容物が、計算上全て入れ替わった時点で、ラインを循環側から取り出し側に切り替え、サンプルを得た。
【0132】
(実施例13)
装置4を使用した。装置内を窒素置換した後、容器にビニル系重合体混合物Aを仕込み、ポンプを作動させ、装置内を混合物Aで満たした。保温用内径14mmのスチーム二重管のスチーム圧力を、伝熱面温度を134℃となるように調節した。ポンプ吐出量を、混合物Aが、164℃のオイルバスに没した内径7.5mm管を、40秒かけて通過する流量に設定し、液温134℃とした。オイルバスに没した部分から、装置出口まで、内容物が計算上全て入れ替わった時点で、サンプリングを行ない、サンプルを得た。
【0133】
(実施例14)
装置3を使用した。容器に仕込むビニル系重合体混合物を、ビニル系重合体混合物Bとし、加熱用熱交換器のスチーム圧力を、伝熱面温度110℃となるように調節し、液温109℃とした他は、実施例3と同様に行ない、サンプルを得た。
【0134】
(実施例15)
装置3を使用した。容器に仕込むビニル系重合体混合物を、ビニル系重合体混合物Cとし、加熱用熱交換器のスチーム圧力を、伝熱面温度164℃となるように調節し、液温161℃とした他は、実施例3と同様に行ない、サンプルを得た。
【0135】
(実施例16)
装置4を使用した。オイルバス温度を220℃とし、液温178℃となった他は、実施例13と同様にして、サンプルを得た。
【0136】
(実施例17)
装置3を使用した。容器に仕込むビニル系重合体混合物を、ビニル系重合体混合物Qとした他は、実施例3と同様に行ない、サンプルを得た。
残留開始剤は検出されなかったが、毒性の非常に高い2,2,3,3-テトラメチルブタンジニトリルが高濃度に検出された。
【0137】
(実施例18)
装置3を使用した。容器に仕込むビニル系重合体混合物を、ビニル系重合体混合物Dとした他は、実施例3と同様に行ない、サンプルを得た。
【0138】
(実施例19)
装置3を使用した。容器に仕込むビニル系重合体混合物を、ビニル系重合体混合物Eとした他は、実施例3と同様に行ない、サンプルを得た。
【0139】
(実施例20)
装置3を使用した。容器に仕込むビニル系重合体混合物を、ビニル系重合体混合物Fとした他は、実施例3と同様に行ない、サンプルを得た。
【0140】
(実施例21)
装置3を使用した。容器に仕込むビニル系重合体混合物を、ビニル系重合体混合物Gとした他は、実施例3と同様に行ない、サンプルを得た。
【0141】
(実施例22)
装置3を使用した。容器に仕込むビニル系重合体混合物を、ビニル系重合体混合物Hとした他は、実施例3と同様に行ない、サンプルを得た。
【0142】
(実施例23)
装置3を使用した。容器に仕込むビニル系重合体混合物を、ビニル系重合体混合物Iとした他は、実施例3と同様に行ない、サンプルを得た。
【0143】
(実施例24)
装置3を使用した。容器に仕込むビニル系重合体混合物を、ビニル系重合体混合物Jとした他は、実施例3と同様に行ない、サンプルを得た。
【0144】
(実施例25)
装置3を使用した。容器に仕込むビニル系重合体混合物を、ビニル系重合体混合物Kとした他は、実施例3と同様に行ない、サンプルを得た。
【0145】
(実施例26)
装置3を使用した。容器に仕込むビニル系重合体混合物を、ビニル系重合体混合物Lとした他は、実施例3と同様に行ない、サンプルを得た。
【0146】
(実施例27)
装置3を使用した。容器に仕込むビニル系重合体混合物を、ビニル系重合体混合物Mとした他は、実施例3と同様に行ない、サンプルを得た。
【0147】
(実施例28)
装置3を使用した。容器に仕込むビニル系重合体混合物を、ビニル系重合体混合物Nとした他は、実施例3と同様に行ない、サンプルを得た。
【0148】
(実施例29)
装置3を使用した。容器に仕込むビニル系重合体混合物を、ビニル系重合体混合物Oとした他は、実施例3と同様に行ない、サンプルを得た。
【0149】
(実施例30)
装置3を使用した。容器に仕込むビニル系重合体混合物を、ビニル系重合体混合物Pとした他は、実施例3と同様に行ない、サンプルを得た。
【0150】
(比較例1)
装置10を使用した。シリンジポンプにビニル系重合体混合物Aを充填し、オイルバスの温度を150℃として、オイルバスに没したSUS管部分を、混合物Aが2分かけて通過するように送液し、サンプルを得た。
【0151】
(比較例2)
装置11を使用した。装置内を窒素置換した後、容器にビニル系重合体混合物Aを仕込み、ポンプを作動させ、装置内を混合物Aで満たした。次に、ポンプ吐出量を、混合物Aがスチーム二重管を37分かけて通過する流量に設定した。その後、スチーム二重管のスチーム圧力を、伝熱面温度150℃となるように調節し、液温145℃とした。スチーム二重管入口から装置出口まで、混合物Aが計算上全て入れ替わった時点で、サンプリングを実施し、サンプルを得た。
【0152】
(比較例3)
装置1を使用した。オイルバスの温度を220℃とした他は、実施例1と同様にして、サンプルを得た。
【0153】
(比較例4)
装置3を使用した。加熱用熱交換器を18分かけて通過する流量に設定し、加熱用熱交換器に温水を循環し、伝熱面温度98℃となるように調節し、液温97℃とした他は、実施例14と同様にして、サンプルを得た。
【0154】
以下表1、表2の通り、本技術を用いることで、残留単量体、残留開始剤共が低減され、かつ、塗工適正良好で、マイクロゲルの含有が少ない流体を得られる。
【0155】
【表1】
【0156】
【表2】
【0157】
以下、表3、表4の通り、数1を満たすことで、特に、塗工適性とマイクロゲル含有量に好適な結果をもたらす。
【0158】
【表3】
【0159】
【表4】
【0160】
(粘着物性)
(1)粘着力
得られた粘着シートを幅25mm・縦150mmの大きさに準備した。23℃、相対湿度50%雰囲気下、前記粘着シートから剥離性シートを剥がしてSUS304ステンレス板に貼り付け、2kgロールで1往復圧着した24時間放置した後に引張試験機を用いて180度方向に300mm/分の速度で引き剥がす180°ピール試験において粘着力を測定した。
【0161】
(2)保持力
得られた粘着シートを幅25mm・縦150mmの大きさに準備した。前記粘着シートから剥離性シートを剥がして研磨した幅30mm・縦150mmのステンレス板の下端部幅25mm・横25mmの部分に粘着剤層を貼着し、2kgロールで1往復圧着した後、40℃雰囲気で1kgの荷重をかけ、7万秒放置することで保持力を測定した。評価は、粘着シート貼付面上端部が下にずれた長さを測定した。
【0162】
(本技術適用前粘着剤)
合成例で得られた共重合体溶液に酢酸エチルを添加し、不揮発分を44%に調整し、本技術適用前粘着剤とした。粘着剤100部に対して、硬化剤としてコロネートL(キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、東ソー社製)2部(不揮発分換算)を配合し、更に溶剤として酢酸エチルを加えて不揮発分を35%に調整した。
【0163】
(本技術適用後粘着剤)
実施例18で得られた本技術適用後サンプルに対しても同様に、サンプル100部に対して、硬化剤としてコロネートL(キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、東ソー社製)2部(不揮発分換算)を配合し、更に溶剤として酢酸エチルを加えて不揮発分を35%に調整した。
【0164】
前記の粘着剤を、厚さ38μmの剥離性シート(ポリエチレンテレフタレート製)上に、乾燥後の厚さが25μmになるようにナイフコーターで塗工を行い、150℃で2分間乾燥することで粘着剤層を形成した。次いで、この粘着剤層に、厚さ50μmの基材(ポリエチレンテレフタレート製、以下、PETシートという)を貼り合せ、温度23℃相対湿度50%の条件で1週間熟成することで「剥離性シート/粘着剤層/PETシート」という構成の粘着シートを得た。以下表5のとおり、本技術適用前後で粘着物性に変化はなかった。
【0165】
【表5】
【0166】
(特定領域分子量分布の調整)
分子量分布測定における分子量400万におけるピーク高さを、分子量1000以上400万未満の範囲での最高ピーク高さで除した数値を、表5における高分子量成分ピーク高さとした。
図2に、高分子量分変化を説明する。本技術適用前後で高分子量成分ピーク高さが小さくなることは、高分子量成分が特異的に減少していることを示している。