(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記操作受付部は、前記押し込み操作および前記位置が検出されたとき、各位置の距離方向の変化量および回転方向の変化量を算出し、前記回転方向の変化量が前記距離方向の変化量に比べて大きい場合、前記ローテート操作を受け付け、前記距離方向の変化量が前記回転方向の変化量に比べて大きい場合、前記ピンチ操作を受け付ける、請求項1に記載のタッチ式入力装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像の回転および拡大縮小が同時に行われる場合、画像の回転および拡大縮小を1回の操作で行うことができる。しかし、この場合、画像を回転させようとする際、指の位置がずれることにより、画像の回転とともに画像の拡大縮小が意図せず行われることがある。一方、画像の回転のみが行われる場合または拡大縮小のみが行われる場合、画像の回転または拡大縮小を誤操作なく行うことができるものの、画像の回転および拡大縮小を同時に行うことができない。そこで、画像の回転および拡大縮小を意図通りに行うためには、画像の回転のみが行われるモード、拡大縮小のみが行われるモード、ならびに、回転および拡大縮小が同時に行われるモードを操作性良く切り換えることが必要である。
【0006】
特許文献1に記載の画像編集装置では、画像の回転のみが行われるモードと拡大縮小のみが行われるモードとを操作性良く切り換えることができる。しかし、この画像編集装置では、画像の回転のみが行われるモードまたは拡大縮小のみが行われるモードから、回転および拡大縮小が同時に行われるモードに、操作性良く切り換えることができないと考えられる。
【0007】
本発明の目的は、画像の回転のみが行われるモード、拡大縮小のみが行われるモード、ならびに、回転および拡大縮小が同時に行われるモードを操作性良く切り換えることができるタッチ式入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の
第1のタッチ式入力装置は、操作面、押込検出部、位置検出部および操作受付部を備える。押込検出部は、操作面に対する押し込み操作を検出する。位置検出部は、操作面上でタッチ操作が行われた位置を複数検出する。操作受付部は、前記位置の変化および押し込み操作に基づいて、ローテート操作およびピンチ操作のうち少なくとも一方を受け付ける。
操作受付部は、押し込み操作が検出され、かつ、前記位置が変化したとき、ローテート操作およびピンチ操作のいずれか一方を受け付ける。操作受付部は、押し込み操作が検出されず、かつ、前記位置が変化したとき、ローテート操作およびピンチ操作の両方を受け付ける。
【0009】
この構成では、位置の変化および押し込み量に基づいて、画像の回転のみが行われるモード、拡大縮小のみが行われるモード、ならびに、回転および拡大縮小が同時に行われるモードを切り換えることができる。また、各モードを切り換える際、ローテート操作またはピンチ操作を行う前に、各モードを切り換えるための切り換え操作を行う必要がない。また、各モードに割り当てられる操作は複雑にならない。このため、各モードを操作性良く切り換えることができる。
また、押し込み操作が検出されたとき、画像の回転のみが行われるモード、または、拡大縮小のみが行われるモードが選択される。押し込み操作が検出されなかったとき、回転および拡大縮小が同時に行われるモードが選択される。これにより、押し込み操作に基づいて、モードを適切に切り換えることができる。
【0010】
(2)
本発明の第2のタッチ式入力装置は、操作面、押込検出部、位置検出部および操作受付部を備える。押込検出部は、操作面に対する押し込み操作を検出する。位置検出部は、操作面上でタッチ操作が行われた位置を複数検出する。操作受付部は、前記位置の変化および押し込み操作に基づいて、ローテート操作およびピンチ操作のうち少なくとも一方を受け付ける。操作受付部は、押し込み操作が検出され、かつ、前記位置が変化したとき、ローテート操作およびピンチ操作の両方を受け付ける。押し込み操作が検出されず、かつ、前記位置が変化したとき、ローテート操作およびピンチ操作のいずれか一方を受け付ける。
【0012】
(3)本発明の
第1のタッチ式入力装置は、次のように構成されることが好ましい。操作受付部は、押し込み操作および前記位置が検出されたとき、各位置の距離方向の変化量および回転方向の変化量を算出する。操作受付部は、回転方向の変化量が距離方向の変化量に比べて大きい場合、ローテート操作を受け付け、距離方向の変化量が回転方向の変化量に比べて大きい場合、ピンチ操作を受け付ける。
【0013】
この構成では、距離方向の変化量および回転方向の変化量に基づいて、画像の回転のみが行われるモードおよび拡大縮小のみが行われるモードを適切に切り換えることができる。
【0014】
(4)押込検出部は、操作面を押し込む際の押し込み量を検出することが好ましい。
【0015】
この構成では、押し込み量を検出することで、押し込み操作を検出することができる。
【0016】
(5)本発明の
第1または第2のタッチ式入力装置は画面に画像を表示する画像表示部を備え、画面が操作面であることが好ましい。
【0017】
この構成では、タッチ式入力装置を画面上で操作することができるので、操作性を向上させることができる。
【0018】
(6)押込検出部は、キラル高分子から形成される圧電フィルムを有することが好ましい。
【0019】
(7)キラル高分子はポリ乳酸であることが好ましい。
【0020】
(8)ポリ乳酸はL型ポリ乳酸であることが好ましい。
【0021】
例えば、圧電フィルムにPVDF(ポリフッ化ビニリデン)を用いた場合、ユーザの指の体温が圧電フィルムに伝わって、圧電フィルムによる検出に影響を及ぼすおそれがある。しかし、この構成では、ポリ乳酸には焦電性がないので、圧電フィルムによる押圧量の検出を精度よく行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、画像の回転のみが行われるモード、拡大縮小のみが行われるモード、ならびに、回転および拡大縮小が同時に行われるモードを操作性良く切り換えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態に係るタッチ式入力装置10について説明する。タッチ式入力装置10は、例えば、多機能携帯端末、音楽プレーヤ、デジタルカメラ等である。
図1はタッチ式入力装置10の外観斜視図である。タッチ式入力装置10は、タッチパネル11および略直方体状の筐体50を備える。タッチパネル11は略矩形状の画面(操作面)S1を有する。画面S1はタッチ式入力装置10の主面(表面)の一部を形成している。画面S1は、画像を表示する表示部であるとともに、ユーザの操作を受け付ける入力部である。タッチパネル11は、画面S1上に対するタッチ位置および押し込み量を検出することにより、ユーザの操作を受け付ける。
【0025】
ここで、指、専用のペン等により操作面を触れる操作、さらに、指、専用のペン等を操作面に接触させながら移動させる操作をタッチ操作と称し、タッチ操作により触れた位置をタッチ位置と称する。また、指、専用のペン等により操作面がどの程度押し込まれたかを示す量を押し込み量と称する。
【0026】
図2はタッチ式入力装置10のA−A断面図である。以下では、タッチ式入力装置10の幅方向(横方向)をX方向とし、長さ方向(縦方向)をY方向とし、厚み方向をZ方向として説明する。本実施形態の説明では、タッチ式入力装置10のX方向の長さが、タッチ式入力装置10のY方向の長さよりも短い場合を示している。
【0027】
タッチ式入力装置10は、押込センサ部20、位置センサ部30、表示パネル部40および演算回路モジュール60を備える。押込センサ部20、位置センサ部30および表示パネル部40は、平板状形状であり、その主面が画面S1に平行になるように、筐体50内に配置されている。演算回路モジュール60は、略平板状形状であり、筐体50内に配置されている。タッチ式入力装置10の主面(表面)には、保護カバー51が設けられている。画面S1は保護カバー51の一方の主面に相当する。
【0028】
表示パネル部40は、平板状の液晶パネル401、表面偏光板402、裏面偏光板403及びバックライト404を備える。液晶パネル401では、外部から駆動電極が印加されることで、所定の画像パターンを形成するように液晶の配向状態が変化する。表面偏光板402と裏面偏光板403とは、液晶パネル401を挟むように配置されている。バックライト404は、裏面偏光板403を挟んで、液晶パネル401と反対側に配置されている。
【0029】
表面偏光板402と保護カバー51との間には、押込センサ部20及び位置センサ部30が設けられている。位置センサ部30が保護カバー51側に位置し、押込センサ部20が表面偏光板402側に位置している。押込センサ部20、位置センサ部30および表示パネル部40は、接着剤501により接着されている。
【0030】
位置センサ部30は平板状の絶縁性基板301を備える。絶縁性基板301は、透光性を有し、複屈折性を有さない材料からなる。絶縁性基板301の一方の平面には、複数の電極302が形成されている。他方の平面には、複数の電極303が形成されている。複数の電極302はY方向に長い長尺状であり、X方向に沿って間隔を空けて配置されている。複数の電極303はX方向に長い長尺状であり、Y方向に沿って間隔を空けて配置されている。すなわち、複数の電極302,303は、Z方向から視た場合に、略90°に交差するよう配置されている。これら複数の電極302,303は、透光性を有する材料からなる。
【0031】
位置センサ部30の電極302,303それぞれは組をなしており、ユーザの指が画面S1に近接した際に静電容量変化を検出する。静電容量変化を検出した電極302,303の組は、電極302,303の一方を基準電位とし、静電容量変化に応じた静電容量検出信号を出力する。出力された静電容量検出信号は、図示しない配線を介して演算回路モジュール60に入力される。このように、静電容量変化を検出した電極302,303の組合せから、タッチ位置を検出することができる。
【0032】
押込センサ部20は平膜状の圧電フィルム201を備える。圧電フィルム201の両平板面には、電極202,203が形成されている。電極202,203は、圧電フィルム201の平板面の略全面に形成されている。
【0033】
圧電フィルム201は、キラル高分子から形成されるフィルムである。キラル高分子として、本実施形態では、ポリ乳酸(PLA)、特にL型ポリ乳酸(PLLA)を用いている。PLLAは、一軸延伸されている。キラル高分子はPVDFと比べて透明度が高いため、圧電フィルム201をキラル高分子から形成することで、表示パネル部40に表示される画像が視認しやすい。
【0034】
キラル高分子からなるPLLAは、主鎖が螺旋構造を有する。PLLAは、一軸延伸されて分子が配向すると圧電性を有する。そして、一軸延伸されたPLLAは、圧電フィルム201の平板面が押圧されることにより、電荷を発生する。この際、発生する電荷量は、押圧により平板面が当該平板面に直交する方向へ変位する際の変位量に依存する。すなわち、発生する電荷量は押し込み量に依存する。
【0035】
PLLAは、延伸等による分子の配向処理で圧電性を生じるため、PVDF等の他のポリマーや圧電セラミックスのように、ポーリング処理を行う必要がない。すなわち、強誘電体に属さないPLLAの圧電性は、PVDFやPZT等の強誘電体のようにイオンの分極によって発現するものではなく、分子の特徴的な構造である螺旋構造に由来するものである。このため、PLLAには、他の強誘電性の圧電体で生じる焦電性が生じない。さらに、PVDF等では経時的に圧電定数の変動が見られ、場合によっては圧電定数が著しく低下する場合があるが、PLLAの圧電定数は経時的に極めて安定している。したがって、周囲環境に影響されることなく、押圧による変位を高感度に検出することができる。
【0036】
電極202,203として、ITO、ZnO、銀ナノワイヤ、カーボンナノチューブ、グラフェン等の無機系の電極、ポリチオフェン、ポリアニリン等を主成分とする有機系の電極のいずれかを用いるのが好ましい。これらの材料を用いることで、透光性の高い導体パターンを形成できる。このような電極202,203を設けることで、圧電フィルム201が発生する電荷を電位差として取得でき、押し込み量に応じた電圧値の押込量検出信号を外部へ出力することができる。押込量検出信号は、図示しない配線を介して演算回路モジュール60に出力される。
【0037】
演算回路モジュール60は表示パネル部40の裏面側に配置されている。具体的には、筐体50内における表示パネル部40の裏面側の空間には、実装基板(図示せず)が配置されており、演算回路モジュール60は、その実装基板上に実装されている。
【0038】
図3、
図4は、タッチ式入力装置10の操作例を示す図である。
図3(A)は、ローテート操作を示す図である。ローテート操作では、まず、画面S1を親指および人差し指で触れる。次に、親指を軸にして、人差し指を、画面S1上で円周(回転)方向に移動させる。すなわち、ローテート操作では、第1のタッチ位置を中心として第2のタッチ位置が円周方向に移動する。ローテート操作により画像を回転させることができる。
【0039】
図3(B)は、ピンチ操作を示す図である。ピンチ操作では、まず、画面S1を親指および人差し指で触れる。次に、親指と人差し指との間隔を変化させるように、これらの指を画面S1上で移動させる。すなわち、ピンチ操作では、第1のタッチ位置と第2のタッチ位置との間隔が変化する。ピンチ操作により画像を拡大縮小させることができる。
【0040】
図4(A)は、複合操作を示す図である。複合操作では、ローテート操作およびピンチ操作が同時に行われる。具体的には、まず、画面S1を親指および人差し指で触れる。次に、親指を軸にして、人差し指を円周方向に移動させると同時に、人差し指を半径(距離)方向に移動させる。すなわち、複合操作では、第1のタッチ位置を中心として、第2のタッチ位置が円周方向および半径方向に移動する。所定のモードにおいて、複合操作により画像の回転および拡大縮小を同時に行うことができる。詳細については後述する。
【0041】
図4(B)は、押し込み操作を示す図である。画面に触れている指のうち少なくとも1本で画面を押す。すなわち、タッチ位置の少なくとも1つを押し込む。押し込み操作により表示変更のモードを切り替えることができる。詳細については後述する。
【0042】
図5は、タッチ式入力装置10の構成を示すブロック図である。タッチ式入力装置10は、上述のように、押込センサ部20、位置センサ部30、表示パネル部40および演算回路モジュール60を備える。
【0043】
押込センサ部20は、上述のように、押込量検出信号を出力する。位置センサ部30は、上述のように、静電容量検出信号を出力する。表示パネル部40は、上述のように、画面S1(
図1参照)に画像を表示する。演算回路モジュール60は、押込センサ部20、位置センサ部30および表示パネル部40を制御し、ユーザの操作に基づいて画像の表示を変更する。
【0044】
演算回路モジュール60は、押込処理部61、位置処理部62、動作算出部63および表示処理部64を備える。なお、物理的には、演算回路モジュール60は、CPU、RAM、ROM、それらを結ぶバス等から構成されている。
【0045】
押込処理部61は、押込センサ部20を制御するとともに、押し込み操作の有無を検出する。具体的には次のような処理が行われる。押込センサ部20から押込量検出信号が取得される。押込量検出信号が閾値以上であるとき、押し込み操作が行われたと判定される。押込量検出信号が閾値未満であるとき、押し込み操作が行われなかったと判定される。動作算出部63の要求に応じて、動作算出部63に押し込み操作の有無が送信される。押込センサ部20および押込処理部61は本発明の押込検出部を構成する。
【0046】
位置処理部62は、位置センサ部30を制御し、タッチ位置を検出する。具体的には次のような処理が行われる。位置センサ部30から静電容量検出信号が取得される。静電容量検出信号からタッチ位置が算出される。動作算出部63の要求に応じて、動作算出部63にタッチ位置が送信される。位置センサ部30および位置処理部62は本発明の位置検出部を構成する。
【0047】
動作算出部63は、押し込み操作およびタッチ位置の変化に基づいて、ローテート操作およびピンチ操作のうち少なくとも一方が行われたと判定する。そして、動作算出部63は、判定に基づいて画像の表示を変更するように、表示処理部64に指示する。すなわち、動作算出部63は、押し込み操作およびタッチ位置の変化に基づいて、ローテート操作およびピンチ操作のうち少なくとも一方を受け付ける。動作算出部63は本発明の操作受付部に相当する。具体的には、動作算出部63は、例えば、
図6に示す処理を行う。
図6は、動作算出部63が行う処理を示すフローチャートである。
【0048】
まず、位置処理部62からタッチ位置が取得される(S101)。タッチ位置が2箇所である場合(S102:Yes)、そのタッチ位置が記憶される(S103)。タッチ位置が2箇所でない場合(S102:No)、単位時間後に、位置センサ部30からタッチ位置が再び取得される(S101)。
【0049】
単位時間前のタッチ位置が2箇所記憶されている場合(S104:Yes)、処理S105が行われる。単位時間前のタッチ位置が2箇所記憶されていない場合(S104:No)、単位時間後に、位置センサ部30からタッチ位置が再び取得される(S101)。処理S101〜S104では、単位時間前の2箇所のタッチ位置A0,B0および現在の2箇所のタッチ位置A1,B1が取得される。ここで、タッチ位置A0は単位時間後にタッチ位置A1に移動し、タッチ位置B0は単位時間後にタッチ位置B1に移動したとする。
【0050】
処理S105では、押込処理部61から押し込み操作の有無が取得される。押し込み操作が検出された場合(S106:Yes)、処理S107が行われ、押し込み操作が検出されなかった場合(S106:No)、処理S113が行われる。処理S107〜S112では、後述のように、ローテート操作およびピンチ操作のいずれか一方が受け付けられる。処理S113,S114では、後述のように、ローテート操作およびピンチ操作の両方が受け付けられる。
【0051】
ここで、ローテート操作の移動量η
rおよびピンチ操作の移動量η
pについて説明する。移動量η
rは、一方のタッチ位置を中心として他方のタッチ位置が円周方向に移動する際の移動距離に関連づけられる。同様に、移動量η
pはタッチ位置間の距離の変化量に関連づけられる。そして、移動量η
pが移動量η
rに比べて大きい場合、ピンチ操作のみが行われたと判定される。移動量η
rがη
pに比べて大きい場合、ローテート操作のみが行われたと判定される。移動量η
pと移動量η
rとが等しい場合、ローテート操作およびピンチ操作は共に行われなかったと判定される。移動量η
r,η
pは、タッチ式入力装置に求める動作に応じて、任意に設定される。また、移動量η
rの設定に応じて、画像を回転させる際の角度θおよび基準点が設定される。移動量η
pの設定に応じて、画像を拡大縮小させる際の倍率αおよび基準点が設定される。移動量η
rは本発明の「回転方向の変化量」に相当し、移動量η
pは本発明の「距離方向の変化量」に相当する。
【0052】
例えば、次のように移動量η
r,η
pを設定してもよい。距離r
A0B0と距離r
A1B1との差分を移動量η
pとする。ここで、距離r
ijは、
図7に示すように、タッチ位置iとタッチ位置jとの間の距離を表す。
図7は、各タッチ位置の間の距離を示す図である。また、距離r
A0B0と距離r
A1B1との比率を、拡大縮小の倍率αとする。タッチ位置A0またはB0を基準点とする。
【0053】
タッチ位置A0とタッチ位置B0とを結ぶ線分と、タッチ位置A1とタッチ位置B1とを結ぶ線分とがなす角度をφとして、移動量η
r=r
A0B0φとする。また、角度φを、画像を回転させる際の角度θとする。タッチ位置A0またはB0を基準点とする。
【0054】
なお、基準点としてタッチ位置B0を選択してr
B1B0≠0である場合、画像を回転または拡大縮小させた後、タッチ位置B0からタッチ位置B1に向かう方向に距離r
B1B0だけ画像を平行移動させる。基準点としてタッチ位置A0を選択してr
A1A0≠0である場合も、同様である。これにより、タッチ位置の移動に画像を追随させることができる。
【0055】
処理S107では、タッチ位置A0,B0,A1,B1に基づいて移動量η
r,η
pが算出される。移動量η
pが移動量η
rに比べて大きい場合(S107:Yes)、上述のように、ピンチ操作のみが行われたと判定される。この場合、拡大縮小の倍率αおよび基準点が算出される(S109)。そして、動作算出部63は、画像を拡大または縮小させることを表示処理部64に指示するとともに、倍率αおよび基準点を表示処理部64に送る(S110)。すなわち、押し込み操作が検出され、かつ、移動量η
pが移動量η
rに比べて大きい場合、ピンチ操作のみが受け付けられる。
【0056】
移動量η
rが移動量η
pに比べて大きい場合(S107:No,S108:Yes)、上述のように、ローテート操作のみが行われたと判定される。この場合、画像を回転させる際の角度θおよび基準点が算出される(S111)。そして、動作算出部63は、画像を回転させることを表示処理部64に指示するとともに、角度θおよび基準点を表示処理部64に送る(S112)。すなわち、押し込み操作が検出され、かつ、移動量η
rが移動量η
pに比べて大きい場合、ローテート操作のみが受け付けられる。
【0057】
移動量η
pと移動量η
rとが等しい場合(S108:No)、動作算出部63は、ピンチ操作およびローテート操作が共に行われなかったと判定し、処理を終了する。
【0058】
処理113では、倍率α、角度θおよび基準点が算出される。動作算出部63は、画像を拡大縮小および回転させることを表示処理部64に指示するとともに、倍率α,角度θおよび基準点を表示処理部64に送る(S114)。すなわち、押し込み操作が検出されなかった場合、ローテート操作およびピンチ操作の両方が受け付けられる。なお、倍率α=1である場合、動作算出部63は、画像を拡大または縮小させることを表示処理部64に指示しなくてもよい。角度θ=0である場合、動作算出部63は、画像を回転させることを表示処理部64に指示しなくてもよい。
【0059】
動作算出部63は、以上の処理を終了すると、割り込みを受ける場合等を除いて、単位時間後に再び処理S101を始める。これにより、ユーザの操作に応じて、画像の表示を連続的に変更することができる。
【0060】
表示処理部64は、表示パネル部40を制御し、表示パネル部40、すなわち、画面S1に画像を表示する。また、表示処理部64は、動作算出部63の指示に基づいて、画像の表示を変更する。表示処理部64は、画像を回転させるように指示された場合、基準点を中心として角度θだけ回転させた画像を表示パネル部40に表示する。表示処理部64は、画像を拡大または縮小させるように指示された場合、基準点を中心として倍率αだけ拡大縮小させた画像を表示パネル部40に表示する。表示パネル部40および表示処理部64は本発明の画像表示部に相当する。
【0061】
タッチ式入力装置10の動作について例示する。第1の動作例では、まず、ユーザが、2本の指の少なくとも一方で画面S1(
図1参照)を押しながら、この2本の指でローテート操作を行う。この際、軸となっている指が円弧の中心からずれること等により、この2本の指の間隔が多少変化する。この場合、画像を回転させる処理のみ行われ、回転した画像が画面S1に表示される。なお、軸となっている指で画面S1を押すことが好ましい。これにより、指を円周方向に移動させることが容易となる。
【0062】
第2の動作例では、まず、ユーザが、2本の指の少なくとも一方で画面S1を押しながら、この2本の指でピンチ操作を行う。この際、一方の指を軸にして、他方の指が多少円周方向に動く。この場合、画像を拡大縮小させる処理のみ行われ、拡大または縮小された画像が画面S1に表示される。
【0063】
第3の動作例では、まず、ユーザが、画面S1を押さずに、複合操作を行う。この場合、画像の回転および拡大縮小が共に行われ、回転および拡大縮小された画像が画面S1に表示される。なお、ユーザが画面S1を押しながら複合操作を行った場合、上述のように、移動量に応じて、画像の回転または拡大縮小のいずれか一方の処理のみが行われる。
【0064】
本実施形態では、押し込み操作およびタッチ操作により、画像の回転のみが行われるモード、画像の拡大縮小のみが行われるモード、ならびに、回転および拡大縮小が同時に行われるモードを切り換えることができる。
【0065】
各モードには、押し込み操作とタッチ操作の組合せが割り当てられる。そして、各モードに割り当てられた操作を行うことにより、各モードが切り換えられる。このため、モードを切り換える際、ローテート操作またはピンチ操作を行う前に、モードを切り換えるための切り換え操作を行う必要がない。また、ローテート操作およびピンチ操作と異なるタッチ操作を各モードに割り当てる必要がないので、各モードに割り当てられる操作が複雑になることがない。
【0066】
このため、本実施形態では、回転のみが行われるモード、拡大縮小のみが行われるモード、ならびに、回転および拡大縮小が同時に行われるモードを操作性良く切り換えることができる。この結果、画像の表示を変更する際の操作性を向上させることができる。
【0067】
なお、本実施形態では、タッチ式入力装置は入出力部としてタッチパネルを備えていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明のタッチ式入力装置は、ディスプレイおよびタッチパッドのように、入力部と出力部とが別々となっている構成を備えてもよい。
【0068】
また、本実施形態では、押し込み操作が行われた場合、画像の回転および拡大縮小のうち一方のみが行われるモードが選択されるが、本発明はこれに限定されない。押し込み操作が行われた場合、回転および拡大縮小が同時に行われるモードが選択され、押し込み操作が行われなかった場合、回転および拡大縮小のうち一方のみが行われるモードが選択されてもよい。