(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5971438
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】ボイラのダスト除去装置及びダスト除去方法
(51)【国際特許分類】
F23J 3/02 20060101AFI20160804BHJP
F28G 11/00 20060101ALI20160804BHJP
F22B 37/48 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
F23J3/02 Z
F28G11/00
F22B37/48 Z
【請求項の数】20
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-32492(P2016-32492)
(22)【出願日】2016年2月23日
【審査請求日】2016年3月31日
(31)【優先権主張番号】特願2015-136429(P2015-136429)
(32)【優先日】2015年7月7日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080458
【弁理士】
【氏名又は名称】高矢 諭
(74)【代理人】
【識別番号】100076129
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 圭佑
(74)【代理人】
【識別番号】100089015
【弁理士】
【氏名又は名称】牧野 剛博
(74)【代理人】
【識別番号】100144299
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100150223
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 修三
(72)【発明者】
【氏名】野田 達将
(72)【発明者】
【氏名】坪井 敏男
(72)【発明者】
【氏名】菅野 彰人
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩
【審査官】
渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−218458(JP,A)
【文献】
特開2005−249283(JP,A)
【文献】
特開2006−125759(JP,A)
【文献】
特開2004−278921(JP,A)
【文献】
特開2001−141391(JP,A)
【文献】
特公昭59−20959(JP,B2)
【文献】
特開昭63−91401(JP,A)
【文献】
特開2010−23035(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0180738(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23J 3/00− 3/06
F22B37/48
F22B11/00−11/04
F22B13/00−13/18
F28G11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスの流通路を屈曲せしめる2つの変向部により区分された、上流側から、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた第1、第2放射室、及び、排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する対流伝熱室を備え、該対流伝熱室が排ガス流れ方向で上流側からスクリーン管、2次過熱器、3次過熱器及び1次過熱器を有するボイラで、前記対流伝熱室の対流伝熱面に付着したダストを除去するためのボイラのダスト除去装置において、
燃料ガスと酸化剤ガスを高圧下で混合し燃焼して圧力波を発生させボイラ内へ圧力波を放出する圧力波発生装置を設けると共に、
該圧力波発生装置の圧力波放出ノズルを、前記スクリーン管と前記2次過熱器との間と、前記3次過熱器と前記1次過熱器との間に配設することを特徴とするボイラのダスト除去装置。
【請求項2】
廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスの流通路を屈曲せしめる2つの変向部により区分された、上流側から、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた第1、第2放射室、及び、排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する対流伝熱室を備え、該対流伝熱室が排ガス流れ方向で上流側からスクリーン管、3次過熱器、2次過熱器及び1次過熱器を有するボイラで、前記対流伝熱室の対流伝熱面に付着したダストを除去するためのボイラのダスト除去装置において、
燃料ガスと酸化剤ガスを高圧下で混合し燃焼して圧力波を発生させボイラ内へ圧力波を放出する圧力波発生装置を設けると共に、
該圧力波発生装置の圧力波放出ノズルを、前記スクリーン管と前記3次過熱器との間と、前記2次過熱器と前記1次過熱器との間に配設することを特徴とするボイラのダスト除去装置。
【請求項3】
廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスの流通路を屈曲せしめる2つの変向部により区分された、上流側から、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた第1、第2放射室、及び、排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する対流伝熱室を備え、該対流伝熱室が排ガス流れ方向で上流側からスクリーン管、水平蒸発管、2次過熱器、1次過熱器及びエコノマイザを有するボイラで、前記対流伝熱室の対流伝熱面に付着したダストを除去するためのボイラのダスト除去装置において、
燃料ガスと酸化剤ガスを高圧下で混合し燃焼して圧力波を発生させボイラ内へ圧力波を放出する圧力波発生装置を設けると共に、
該圧力波発生装置の圧力波放出ノズルを、前記水平蒸発管と前記2次過熱器との間と、前記1次過熱器と前記エコノマイザとの間に配設することを特徴とするボイラのダスト除去装置。
【請求項4】
廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスの流通路を屈曲せしめる2つの変向部により区分された、上流側から、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた第1、第2放射室、及び、排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する対流伝熱室を備え、該対流伝熱室が排ガス流れ方向で上流側からスクリーン管、2次過熱器、1次過熱器、水平蒸発管及びエコノマイザを有するボイラで、前記対流伝熱室の対流伝熱面に付着したダストを除去するためのボイラのダスト除去装置において、
燃料ガスと酸化剤ガスを高圧下で混合し燃焼して圧力波を発生させボイラ内へ圧力波を放出する圧力波発生装置を設けると共に、
該圧力波発生装置の圧力波放出ノズルを、前記スクリーン管と前記2次過熱器との間と、前記水平蒸発管と前記エコノマイザとの間に配設することを特徴とするボイラのダスト除去装置。
【請求項5】
廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスの流通路を屈曲せしめる2つの変向部により区分された、上流側から、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた第1、第2放射室、及び、排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する対流伝熱室を備え、該対流伝熱室が排ガス流れ方向で上流側からスクリーン管、過熱器、第1エコノマイザ及び第2エコノマイザを有するボイラで、前記対流伝熱室の対流伝熱面に付着したダストを除去するためのボイラのダスト除去装置において、
燃料ガスと酸化剤ガスを高圧下で混合し燃焼して圧力波を発生させボイラ内へ圧力波を放出する圧力波発生装置を設けると共に、
該圧力波発生装置の圧力波放出ノズルを、前記スクリーン管と前記過熱器との間と、前記第1エコノマイザと前記第2エコノマイザとの間に配設することを特徴とするボイラのダスト除去装置。
【請求項6】
前記対流伝熱室の高さが10m以上20m以下であって、前記圧力波発生装置の圧力波放出ノズルを、高さ方向配設間隔が3m以上7m以下で2個以上6個以下配設することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のボイラのダスト除去装置。
【請求項7】
廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスの流通路を屈曲せしめる2つの変向部により区分された、上流側から、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた第1、第2放射室、及び、排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する対流伝熱室を備え、該対流伝熱室の高さが10m以上20m以下であるボイラで、前記対流伝熱室の対流伝熱面に付着したダストを除去するためのボイラのダスト除去装置において、
燃料ガスと酸化剤ガスを高圧下で混合し燃焼して圧力波を発生させボイラ内へ圧力波を放出する圧力波発生装置を設けると共に、
該圧力波発生装置の圧力波放出ノズルを、前記対流伝熱室に高さ方向配設間隔が3m以上7m以下で2個以上6個以下配設することを特徴とするボイラのダスト除去装置。
【請求項8】
廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスの流通路を屈曲せしめる2つの変向部により区分された、上流側から、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた第1、第2放射室、及び、排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する対流伝熱室を備え、前記第2放射室の高さが10m以上20m以下であり前記対流伝熱室の高さが10m以上20m以下であるボイラで、前記放射室の放射伝熱面と前記対流伝熱室の対流伝熱面に付着したダストを除去するためのボイラのダスト除去装置において、
燃料ガスと酸化剤ガスを高圧下で混合し燃焼して圧力波を発生させボイラ内へ圧力波を放出する圧力波発生装置を設けると共に、
該圧力波発生装置の圧力波放出ノズルを、前記第2放射室に1個以上6個以下配設し、前記対流伝熱室に高さ方向配設間隔が3m以上7m以下で2個以上6個以下配設することを特徴とするボイラのダスト除去装置。
【請求項9】
前記ボイラの下流側に連設された、ボイラに供給する水を加熱するための別置エコノマイザにも、前記圧力波放出ノズルを配設することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のボイラのダスト除去装置。
【請求項10】
前記圧力波放出ノズルをマンホール位置に配設することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のボイラのダスト除去装置。
【請求項11】
廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスの流通路を屈曲せしめる2つの変向部により区分された、上流側から、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた第1、第2放射室、及び、排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する対流伝熱室を備え、該対流伝熱室が排ガス流れ方向で上流側からスクリーン管、2次過熱器、3次過熱器及び1次過熱器を有するボイラで、前記対流伝熱室の対流伝熱面に付着したダストを除去する際に、
燃料ガスと酸化剤ガスを高圧下で混合し燃焼して圧力波を発生させボイラ内へ圧力波を放出する圧力波発生装置を用いて、
前記スクリーン管と前記2次過熱器との間と、前記3次過熱器と前記1次過熱器との間に配設された圧力波放出ノズルから、前記対流伝熱室内に圧力波を放出することを特徴とするボイラのダスト除去方法。
【請求項12】
廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスの流通路を屈曲せしめる2つの変向部により区分された、上流側から、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた第1、第2放射室、及び、排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する対流伝熱室を備え、該対流伝熱室が排ガス流れ方向で上流側からスクリーン管、3次過熱器、2次過熱器及び1次過熱器を有するボイラで、前記対流伝熱室の対流伝熱面に付着したダストを除去する際に、
燃料ガスと酸化剤ガスを高圧下で混合し燃焼して圧力波を発生させボイラ内へ圧力波を放出する圧力波発生装置を用いて、
前記スクリーン管と前記3次過熱器との間と、前記2次過熱器と前記1次過熱器との間に配設された圧力波放出ノズルから、前記対流伝熱室内に圧力波を放出することを特徴とするボイラのダスト除去方法。
【請求項13】
廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスの流通路を屈曲せしめる2つの変向部により区分された、上流側から、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた第1、第2放射室、及び、排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する対流伝熱室を備え、該対流伝熱室が排ガス流れ方向で上流側からスクリーン管、水平蒸発管、2次過熱器、1次過熱器及びエコノマイザを有するボイラで、前記対流伝熱室の対流伝熱面に付着したダストを除去する際に、
燃料ガスと酸化剤ガスを高圧下で混合し燃焼して圧力波を発生させボイラ内へ圧力波を放出する圧力波発生装置を用いて、
前記水平蒸発管と前記2次過熱器との間と、前記1次過熱器と前記エコノマイザとの間に配設された圧力波放出ノズルから、前記対流伝熱室内に圧力波を放出することを特徴とするボイラのダスト除去方法。
【請求項14】
廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスの流通路を屈曲せしめる2つの変向部により区分された、上流側から、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた第1、第2放射室、及び、排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する対流伝熱室を備え、該対流伝熱室が排ガス流れ方向で上流側からスクリーン管、2次過熱器、1次過熱器、水平蒸発管及びエコノマイザを有するボイラで、前記対流伝熱室の対流伝熱面に付着したダストを除去する際に、
燃料ガスと酸化剤ガスを高圧下で混合し燃焼して圧力波を発生させボイラ内へ圧力波を放出する圧力波発生装置を用いて、
前記スクリーン管と前記2次過熱器との間と、前記水平蒸発管と前記エコノマイザとの間に配設された圧力波放出ノズルから、前記対流伝熱室内に圧力波を放出することを特徴とするボイラのダスト除去方法。
【請求項15】
廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスの流通路を屈曲せしめる2つの変向部により区分された、上流側から、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた第1、第2放射室、及び、排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する対流伝熱室を備え、該対流伝熱室が排ガス流れ方向で上流側からスクリーン管、過熱器、第1エコノマイザ及び第2エコノマイザを有するボイラで、前記対流伝熱室の対流伝熱面に付着したダストを除去する際に、
燃料ガスと酸化剤ガスを高圧下で混合し燃焼して圧力波を発生させボイラ内へ圧力波を放出する圧力波発生装置を用いて、
前記スクリーン管と前記過熱器との間と、前記第1エコノマイザと前記第2エコノマイザとの間にとの間に配設された圧力波放出ノズルから、前記対流伝熱室内に圧力波を放出することを特徴とするボイラのダスト除去方法。
【請求項16】
前記対流伝熱室の高さが10m以上20m以下であって、前記対流伝熱室に高さ方向配設間隔が3m以上7m以下で2個以上6個以下配設された圧力波放出ノズルから、該対流伝熱室内に圧力波を放出することを特徴とする請求項11乃至15のいずれかに記載のボイラのダスト除去方法。
【請求項17】
廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスの流通路を屈曲せしめる2つの変向部により区分された、上流側から、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた第1、第2放射室、及び、排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する対流伝熱室を備え、該対流伝熱室の高さが10m以上20m以下であるボイラで、前記対流伝熱室の対流伝熱面に付着したダストを除去する際に、
燃料ガスと酸化剤ガスを高圧下で混合し燃焼して圧力波を発生させボイラ内へ圧力波を放出する圧力波発生装置を用いて、
前記対流伝熱室に高さ方向配設間隔が3m以上7m以下で2個以上6個以下配設された圧力波放出ノズルから、該対流伝熱室内に圧力波を放出することを特徴とするボイラのダスト除去方法。
【請求項18】
廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスの流通路を屈曲せしめる2つの変向部により区分された、上流側から、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた第1、第2放射室、及び、排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する対流伝熱室を備え、前記第2放射室の高さが10m以上20m以下であり前記対流伝熱室の高さが10m以上20m以下であるボイラで、前記放射室の放射伝熱面と前記対流伝熱室の対流伝熱面に付着したダストを除去する際に、
燃料ガスと酸化剤ガスを高圧下で混合し燃焼して圧力波を発生させボイラ内へ圧力波を放出する圧力波発生装置を用いて、
前記第2放射室に1個以上6個以下配設され前記対流伝熱室に高さ方向配設間隔が3m以上7m以下で2個以上6個以下配設された圧力波放出ノズルから、該第2放射室及び対流伝熱室内に圧力波を放出することを特徴とするボイラのダスト除去方法。
【請求項19】
前記ボイラの下流側に連設された、ボイラに供給する水を加熱するための別置エコノマイザ内にも、圧力波を放出することを特徴とする請求項11乃至18のいずれかに記載のボイラのダスト除去方法。
【請求項20】
マンホール位置に配設された圧力波放出ノズルから圧力波を放出することを特徴とする請求項11乃至19のいずれかに記載のボイラのダスト除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラのダスト除去装置及びダスト除去方法に係り、特に、発電設備を有するごみ焼却施設に用いるのに好適な、ボイラのダスト除去装置及びダスト除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発電設備を有するごみ焼却施設の運営において、発電量・売電量の維持と向上は、ごみの安定処理に次ぐ最重要項目のひとつである。
【0003】
ごみ焼却施設における発電は、焼却炉でのごみの燃焼から得られる高温の排ガスからボイラにて熱回収を行い、所定の温度・圧力の蒸気を発生させてタービン発電機に導入することにより行われている。
【0004】
ボイラは、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備える放射室、排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生し更に過熱する対流伝熱室とを備えている。
【0005】
放射室には、排ガス流路を囲む鋼製側壁の外側に加温水を流通させ放射加熱により蒸気を発生させる放射伝熱管が放射伝熱面として配設されている。
【0006】
対流伝熱室には、排ガス流路内に排ガスと接触して対流伝熱により蒸気を発生させ更に過熱する伝熱管(過熱器とも称する)が対流伝熱面として配設されている。対流伝熱面は水平方向に伝熱管が複数配設された伝熱管群が高さ方向に複数段配設されて構成されている。
【0007】
対流伝熱室には、排ガス流路内に水を加熱して加温水とする伝熱管を有するエコノマイザが配設されることがある。
【0008】
ごみ焼却において発生する排ガス中には、塩素・硫黄・重金属類等を含む小粒径のダストが含まれるが、これらがボイラの放射伝熱面、対流伝熱面に付着すると、その付着ダストが断熱材の役割をするので伝熱効率が低下する。それにより、熱回収効率も低下する。その結果、蒸気発生量が低下し、タービン発電機の発電量が減少する。その他にも、伝熱管同士の間隙が付着ダストにより閉塞し、排ガスの流通に支障が生じることもある。
【0009】
このため、付着したダストを定期的に除去する設備が必要となる。対流伝熱面に付着するダストを除去する技術として、石炭ボイラや多くのボイラでの実績のある装置として蒸気式スートブロワ(SB)が挙げられる。蒸気式スートブロワは複数のノズルから水蒸気を伝熱管に向けて噴射し、伝熱管表面に付着したダストを剥離し除去するもので、定期的なタイミングで噴射される。
【0010】
蒸気式スートブロワは、伝熱管上に付着したダストの除去には効果的であるが、以下に示す問題がある。
【0011】
(1)水蒸気の噴射と共にスートブロワ装置の配管内に凝縮・残留していた水滴を共に噴射してしまうことがあり、その場合は伝熱管に対して「ドレンアタック」と呼ばれる損傷を与えることがある。それに加えてボイラ内に設置されたスートブロワ本体のガイドの役割を担うエレメントパイプにおいて、噴射された蒸気及び水滴により、付着ダスト中の塩素及び硫黄が溶解してエレメントパイプに付着しこれを腐食させることが生じ、交換のためのコストがかかっている。このドレンアタックを防止するためのプロテクタを設置する場合もあるが、これの設置及び交換にもコストがかかっている。
【0012】
(2)ダストが堆積して長時間経過するとダスト堆積層の厚みが増す。そうすると、排ガス温度より低い伝熱管表面温度でのダスト冷却を行えなくなり、ダスト堆積層表面温度が上昇する。ダスト堆積層表面温度が上昇して溶融し、固着すると、スートブロワでも除去できなくなり、ボイラ閉塞につながる。
【0013】
(3)焼却炉から排出される排ガスを煙突へ導くために誘引送風機を運転し、焼却炉内圧を負圧に維持するようにしているが、スートブロワを運転すると、噴射した蒸気により排ガス量が増大して焼却炉内圧が大きく変動し、負圧から正圧になり、焼却炉内ガス・ダストが噴出する危険がある。
【0014】
(4)スートブロワを運転すると、噴射した蒸気により排ガス温度変動も大きくなり、ボイラより下流側の減温塔入口温度も変動して、冷却噴霧水量制御が対応できなくなり、排ガス温度を所定内に維持することが難しくなることがある。
【0015】
(5)スートブロワが噴射する過熱蒸気は、ボイラが発生した過熱蒸気の一部を用いるため、スートブロワ運転時は蒸気タービンに供給する過熱蒸気量が減少して発電量が低下することになり、好ましくない。
【0016】
また、放射伝熱面に付着したダストは、蒸気式スートブロワにより除去することは困難であり、廃棄物焼却施設の運転休止時に放射室内で足場を組み、手作業で除去することが行われており、そのため、メンテナンス費用は高く、多くの時間も必要となる。
【0017】
さらに、ごみ焼却施設の運転中に放射伝熱面に付着するダストの影響で、放射伝熱面の伝熱効率が低下し熱回収率が低下して、下流側の伝熱管群入口ガス温度が上昇することとなり、伝熱管に付着するダストが融着し固着して、スートブロワを行っても効率的なダスト除去が困難になることもある。
【0018】
これらの問題を解決するため、蒸気式スートブロワを使用しないボイラのダスト除去方法が検討されており、衝撃波によるダスト除去装置(特許文献1参照)や圧力波によるダスト除去装置(特許文献2参照)が知られている。
【0019】
特許文献1に記載の装置では、排ガス熱交換器内に、加圧エアを10秒間隔で0.5秒間噴射する衝撃波発射管を設け、伝熱管に向けて衝撃波を間欠的に発射し、衝撃波の衝撃で伝熱管表面に付着するダストを吹き飛ばし除去する。
【0020】
特許文献2に記載の装置では、プロパンガスと空気を混合して点火プラグにより着火する爆轟管、又は、排気ガスを供給するディーゼルエンジンで構成される圧力波発生器により、ボイラ内の排ガス流路空間内に外部から気体を周期的な間隔で間欠的に噴射して当該排ガス流路空間内に圧力波を送り圧力変動を生じさせ、ボイラ構成部材を損傷させることなく、効果的にダストの付着を抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2001−141391号公報
【特許文献2】特開2004−278921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかしながら、衝撃波もしくは圧力波を用いてボイラ内の付着ダスト除去を行う場合、その効果の及ぶ範囲は限定的であり、複数の衝撃波発射管や圧力波発生器を設置する必要がある。その設置台数が不足すると付着ダストを除去する効果が低下する。また、過剰に設置すると設備コスト及びランニングコストが増加し、好ましくない。このように衝撃波発射管あるいは圧力波発生装置の適切な設置条件について特許文献1、2には明確にされていない。
【0023】
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたもので、廃棄物焼却施設等のボイラの放射伝熱面と対流伝熱面のダストを圧力波を用いて除去する際に、圧力波発生装置を適切に配設することができ、効率よくかつ低い設備費、運転費で行うことができるボイラのダスト除去装置及びダスト除去方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスの流通路を屈曲せしめる2つの変向部により区分された、上流側から、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた第1、第2放射室、及び、排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する対流伝熱室を備え、該対流伝熱室が排ガス流れ方向で上流側からスクリーン管、2次過熱器、3次過熱器及び1次過熱器を有するボイラで、前記対流伝熱室の対流伝熱面に付着したダストを除去するためのボイラのダスト除去装置において、燃料ガスと酸化剤ガスを高圧下で混合し燃焼して圧力波を発生させボイラ内へ圧力波を放出する圧力波発生装置を設けると共に、該圧力波発生装置の圧力波放出ノズルを、前記スクリーン管と前記2次過熱器との間と、前記3次過熱器と前記1次過熱器との間に配設することにより、前記課題を解決したものである。
【0025】
ここで、圧力波発生装置の圧力波放出ノズルを、対流伝熱室において、スクリーン管と2次過熱器との間と、3次過熱器と1次過熱器との間に配設するのは、圧力波放出ノズルを対流伝熱室のそれぞれの位置に配設することにより、圧力波放出ノズルから放出する圧力波によりスクリーン管と2次過熱器の対流伝熱面、及び3次過熱器と1次過熱器の対流伝熱面に振動と風圧を受けさせ付着ダストを剥離除去することができるためである。この二つの位置に圧力波放出ノズルを配設することにより、対流伝熱室の構成機器のそれぞれに隙間なく圧力波を放射させ、圧力波による付着ダストの剥離除去作用効果を確実に奏することができるからである。
【0026】
本発明は、又、廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスの流通路を屈曲せしめる2つの変向部により区分された、上流側から、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた第1、第2放射室、及び、排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する対流伝熱室を備え、該対流伝熱室が排ガス流れ方向で上流側からスクリーン管、3次過熱器、2次過熱器及び1次過熱器を有するボイラで、前記対流伝熱室の対流伝熱面に付着したダストを除去するためのボイラのダスト除去装置において、燃料ガスと酸化剤ガスを高圧下で混合し燃焼して圧力波を発生させボイラ内へ圧力波を放出する圧力波発生装置を設けると共に、該圧力波発生装置の圧力波放出ノズルを、前記スクリーン管と前記3次過熱器との間と、前記2次過熱器と前記1次過熱器との間に配設することにより、同様に前記課題を解決したものである。
【0027】
本発明は、又、廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスの流通路を屈曲せしめる2つの変向部により区分された、上流側から、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた第1、第2放射室、及び、排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する対流伝熱室を備え、該対流伝熱室が排ガス流れ方向で上流側からスクリーン管、水平蒸発管、2次過熱器、1次過熱器及びエコノマイザを有するボイラで、前記対流伝熱室の対流伝熱面に付着したダストを除去するためのボイラのダスト除去装置において、燃料ガスと酸化剤ガスを高圧下で混合し燃焼して圧力波を発生させボイラ内へ圧力波を放出する圧力波発生装置を設けると共に、該圧力波発生装置の圧力波放出ノズルを、前記水平蒸発管と前記2次過熱器との間と、前記1次過熱器と前記エコノマイザとの間に配設することにより、同様に前記課題を解決したものである。
【0028】
本発明は、又、廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスの流通路を屈曲せしめる2つの変向部により区分された、上流側から、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた第1、第2放射室、及び、排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する対流伝熱室を備え、該対流伝熱室が排ガス流れ方向で上流側からスクリーン管、2次過熱器、1次過熱器、水平蒸発管及びエコノマイザを有するボイラで、前記対流伝熱室の対流伝熱面に付着したダストを除去するためのボイラのダスト除去装置において、燃料ガスと酸化剤ガスを高圧下で混合し燃焼して圧力波を発生させボイラ内へ圧力波を放出する圧力波発生装置を設けると共に、該圧力波発生装置の圧力波放出ノズルを、前記スクリーン管と前記2次過熱器との間と、前記水平蒸発管と前記エコノマイザとの間に配設することにより、同様に前記課題を解決したものである。
【0029】
本発明は、又、廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスの流通路を屈曲せしめる2つの変向部により区分された、上流側から、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた第1、第2放射室、及び、排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する対流伝熱室を備え、該対流伝熱室が排ガス流れ方向で上流側からスクリーン管、過熱器、第1エコノマイザ及び第2エコノマイザを有するボイラで、前記対流伝熱室の対流伝熱面に付着したダストを除去するためのボイラのダスト除去装置において、燃料ガスと酸化剤ガスを高圧下で混合し燃焼して圧力波を発生させボイラ内へ圧力波を放出する圧力波発生装置を設けると共に、該圧力波発生装置の圧力波放出ノズルを、前記スクリーン管と前記過熱器との間と、前記第1エコノマイザと前記第2エコノマイザとの間に配設することにより、同様に前記課題を解決したものである。
【0030】
ここで、前記対流伝熱室の高さが10m以上20m以下である場合、前記圧力波発生装置の圧力波放出ノズルを、高さ方向配設間隔が3m以上7m以下で2個以上6個以下配設することができる。
【0031】
これは、圧力波放出ノズルの高さ方向配設間隔を3m以上7m以下とすることにより、圧力波放出ノズルから放出する圧力波により対流伝熱室の構成機器の対流伝熱面に振動と風圧を受けさせ付着ダストを剥離除去する作用が及ぶ範囲を、隣接する範囲との間に隙間が生じることなく設けることができるためである。圧力波放出ノズルの高さ方向配設間隔を3m未満とすると、隣接する圧力波放出ノズルから放出する圧力波同士が干渉して圧力波の作用効果が低下することが生じたり、圧力波放出ノズルの高さ方向配設間隔を7mより広くすると、圧力波の作用効果が及ぶ範囲を、隣接する範囲との間に隙間が生じることなく設けることができなくなる不具合が生じるので好ましくない。
【0032】
また、圧力波発生装置の圧力波放出ノズルを対流伝熱室に少なくとも2個配設することにより、圧力波の作用効果が及ばない個所が生じることなく、対流伝熱室の構成機器の対流伝熱面に振動と風圧を受けさせ付着ダストを剥離除去することができる。対流伝熱室の幅が大きい場合には圧力波放出ノズルを同じ高さ位置で複数配設することが好ましい。一方、圧力波放出ノズルを7個より多く配設すると隣接する圧力波放出ノズルから放出する圧力波同士が干渉して圧力波の作用効果が低下することが生じたり、7個より多く配設しても付着ダストを剥離除去する作用効果が増大することなく、かえって装置コストや運転コストが増大するという不具合が生じるので好ましくない。
【0033】
本発明は、又、廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスの流通路を屈曲せしめる2つの変向部により区分された、上流側から、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた第1、第2放射室、及び、排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する対流伝熱室を備え、該対流伝熱室の高さが10m以上20m以下であるボイラで、前記対流伝熱室の対流伝熱面に付着したダストを除去するためのボイラのダスト除去装置において、燃料ガスと酸化剤ガスを高圧下で混合し燃焼して圧力波を発生させボイラ内へ圧力波を放出する圧力波発生装置を設けると共に、該圧力波発生装置の圧力波放出ノズルを、前記対流伝熱室に高さ方向配設間隔が3m以上7m以下で2個以上6個以下配設することにより、同様に前記課題を解決したものである。
【0034】
本発明は、又、廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスの流通路を屈曲せしめる2つの変向部により区分された、上流側から、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた第1、第2放射室、及び、排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する対流伝熱室を備え、前記第2放射室の高さが10m以上20m以下であり前記対流伝熱室の高さが10m以上20m以下であるボイラで、前記第2放射室の放射伝熱面と前記対流伝熱室の対流伝熱面に付着したダストを除去するためのボイラのダスト除去装置において、燃料ガスと酸化剤ガスを高圧下で混合し燃焼して圧力波を発生させボイラ内へ圧力波を放出する圧力波発生装置を設けると共に、該圧力波発生装置の圧力波放出ノズルを、前記第2放射室に1個以上6個以下配設し、前記対流伝熱室に高さ方向配設間隔が3m以上7m以下で2個以上6個以下配設することにより、同様に前記課題を解決したものである。
【0035】
ここで、圧力波発生装置の圧力波放出ノズルを、前記対流伝熱室に高さ方向配設間隔が3m以上7m以下で2個以上6個以下配設する、又は前記第2放射室に1個以上6個以下配設し、前記対流伝熱室に高さ方向配設間隔が3m以上7m以下で2個以上6個以下配設するのは、下記の根拠に基づく。
【0036】
即ち、対流伝熱室に配設する圧力波放出ノズルの高さ方向配設間隔を3m以上7m以下とすることにより、圧力波放出ノズルから放出する圧力波により対流伝熱室の構成機器の対流伝熱面に振動と風圧を受けさせ付着ダストを剥離除去する作用が及ぶ範囲を、隣接する範囲との間に隙間が生じることなく設けることができるためである。圧力波放出ノズルの高さ方向配設間隔を3m未満とすると、隣接する圧力波放出ノズルから放出する圧力波同士が干渉して圧力波の作用効果が低下することが生じたり、圧力波放出ノズルの高さ方向配設間隔を7mより広くすると、圧力波の作用効果が及ぶ範囲を、隣接する範囲との間に隙間が生じることなく設けることができなくなる不具合が生じるので好ましくない。
【0037】
圧力波放出ノズルを下限の個数以上配設することにより、圧力波放出ノズルから放出する圧力波により放射伝熱面又は対流伝熱面に振動と風圧を受けさせ付着ダストを剥離除去する作用が及ぶ範囲を、隣接する範囲との間に隙間が生じることなく設けることができるためである。一方、上限の個数より多く配設すると隣接する圧力波放出ノズルから放出する圧力波同士が干渉して圧力波の作用効果が低下することが生じたり、上限の個数より多く配設しても付着ダストを剥離除去する作用効果が増大することなく、かえって装置コストや運転コストが増大するという不具合が生じるため好ましくない。
【0038】
更に、前記ボイラの下流側に連設された、ボイラに供給する水を加熱するための別置エコノマイザにも、前記圧力波放出ノズルを配設することができる。
【0039】
この別置エコノマイザに配設した圧力波放出ノズルにより圧力波を放出することにより別置エコノマイザ内の複数段のエコノマイザの付着ダストを剥離除去することができる。
【0040】
更に、圧力波放出ノズルをマンホール位置に配設することができる。圧力波放出ノズルをマンホール位置に配設するようにして、圧力波放出ノズルをマンホール蓋に取り付けることにより、圧力波発生装置を容易に配設することができ、配設費用やメンテナンス費用を低減することができる。
【0041】
本発明は、又、廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスの流通路を屈曲せしめる2つの変向部により区分された、上流側から、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた第1、第2放射室、及び、排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する対流伝熱室を備え、該対流伝熱室が排ガス流れ方向で上流側からスクリーン管、2次過熱器、3次過熱器及び1次過熱器を有するボイラで、前記対流伝熱室の対流伝熱面に付着したダストを除去する際に、燃料ガスと酸化剤ガスを高圧下で混合し燃焼して圧力波を発生させボイラ内へ圧力波を放出する圧力波発生装置を用いて、前記スクリーン管と前記2次過熱器との間と、前記3次過熱器と前記1次過熱器との間に配設された圧力波放出ノズルから、前記対流伝熱室内に圧力波を放出することを特徴とするボイラのダスト除去方法を提供するものである。
【0042】
本発明は、又、廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスの流通路を屈曲せしめる2つの変向部により区分された、上流側から、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた第1、第2放射室、及び、排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する対流伝熱室を備え、該対流伝熱室が排ガス流れ方向で上流側からスクリーン管、3次過熱器、2次過熱器及び1次過熱器を有するボイラで、前記対流伝熱室の対流伝熱面に付着したダストを除去する際に、燃料ガスと酸化剤ガスを高圧下で混合し燃焼して圧力波を発生させボイラ内へ圧力波を放出する圧力波発生装置を用いて、前記スクリーン管と前記3次過熱器との間と、前記2次過熱器と前記1次過熱器との間に配設された圧力波放出ノズルから、前記対流伝熱室内に圧力波を放出することを特徴とするボイラのダスト除去方法を提供するものである。
【0043】
本発明は、又、廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスの流通路を屈曲せしめる2つの変向部により区分された、上流側から、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた第1、第2放射室、及び、排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する対流伝熱室を備え、該対流伝熱室が排ガス流れ方向で上流側からスクリーン管、水平蒸発管、2次過熱器、1次過熱器及びエコノマイザを有するボイラで、前記対流伝熱室の対流伝熱面に付着したダストを除去する際に、燃料ガスと酸化剤ガスを高圧下で混合し燃焼して圧力波を発生させボイラ内へ圧力波を放出する圧力波発生装置を用いて、前記水平蒸発管と前記2次過熱器との間と、前記1次過熱器と前記エコノマイザとの間に配設された圧力波放出ノズルから、前記対流伝熱室内に圧力波を放出することを特徴とするボイラのダスト除去方法を提供するものである。
【0044】
本発明は、又、廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスの流通路を屈曲せしめる2つの変向部により区分された、上流側から、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた第1、第2放射室、及び、排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する対流伝熱室を備え、該対流伝熱室が排ガス流れ方向で上流側からスクリーン管、2次過熱器、1次過熱器、水平蒸発管及びエコノマイザを有するボイラで、前記対流伝熱室の対流伝熱面に付着したダストを除去する際に、燃料ガスと酸化剤ガスを高圧下で混合し燃焼して圧力波を発生させボイラ内へ圧力波を放出する圧力波発生装置を用いて、前記スクリーン管と前記2次過熱器との間と、前記水平蒸発管と前記エコノマイザとの間に配設された圧力波放出ノズルから、前記対流伝熱室内に圧力波を放出することを特徴とするボイラのダスト除去方法を提供するものである。
【0045】
本発明は、又、廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスの流通路を屈曲せしめる2つの変向部により区分された、上流側から、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた第1、第2放射室、及び、排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する対流伝熱室を備え、該対流伝熱室が排ガス流れ方向で上流側からスクリーン管、過熱器、第1エコノマイザ及び第2エコノマイザを有するボイラで、前記対流伝熱室の対流伝熱面に付着したダストを除去する際に、燃料ガスと酸化剤ガスを高圧下で混合し燃焼して圧力波を発生させボイラ内へ圧力波を放出する圧力波発生装置を用いて、前記スクリーン管と前記過熱器との間と、前記第1エコノマイザと前記第2エコノマイザとの間にとの間に配設された圧力波放出ノズルから、前記対流伝熱室内に圧力波を放出することを特徴とするボイラのダスト除去方法を提供するものである。
【0046】
ここで、前記対流伝熱室の高さが10m以上20m以下である場合、前記対流伝熱室に高さ方向配設間隔が3m以上7m以下で2個以上6個以下配設された圧力波放出ノズルから、該対流伝熱室内に圧力波を放出することができる。
【0047】
本発明は、又、廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスの流通路を屈曲せしめる2つの変向部により区分された、上流側から、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた第1、第2放射室、及び、排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する対流伝熱室を備え、該対流伝熱室の高さが10m以上20m以下であるボイラで、前記対流伝熱室の対流伝熱面に付着したダストを除去する際に、燃料ガスと酸化剤ガスを高圧下で混合し燃焼して圧力波を発生させボイラ内へ圧力波を放出する圧力波発生装置を用いて、前記対流伝熱室に高さ方向配設間隔が3m以上7m以下で2個以上6個以下配設された圧力波放出ノズルから、該対流伝熱室内に圧力波を放出することを特徴とするボイラのダスト除去方法を提供するものである。
【0048】
本発明は、又、廃棄物焼却炉に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスの流通路を屈曲せしめる2つの変向部により区分された、上流側から、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた第1、第2放射室、及び、排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する対流伝熱室を備え、前記第2放射室の高さが10m以上20m以下であり前記対流伝熱室の高さが10m以上20m以下であるボイラで、前記放射室の放射伝熱面と前記対流伝熱室の対流伝熱面に付着したダストを除去する際に、燃料ガスと酸化剤ガスを高圧下で混合し燃焼して圧力波を発生させボイラ内へ圧力波を放出する圧力波発生装置を用いて、前記第2放射室に1個以上6個以下配設され前記対流伝熱室に高さ方向配設間隔が3m以上7m以下で2個以上6個以下配設された圧力波放出ノズルから、該第2放射室及び対流伝熱室内に圧力波を放出することを特徴とするボイラのダスト除去方法を提供するものである。
【0049】
ここで、前記ボイラの下流側に連設された、ボイラに供給する水を加熱するための別置エコノマイザ内にも、圧力波を放出することができる。
【0050】
又、マンホール位置に配設された圧力波放出ノズルから圧力波を放出することができる。
【発明の効果】
【0051】
本発明によれば、例えば廃棄物焼却施設ボイラの放射伝熱面と対流伝熱面のダストを圧力波を用いて除去する際に圧力波発生装置を適切に配設することができ、ダスト除去を効率よくかつ低い設備費、運転費で行うことができる。
【0052】
また、本発明により、ボイラの運転中にスートブロワを運転しなくてもボイラ内壁に付着したダストを効率的に除去することが可能になり、ボイラの収熱量を維持することができる。スートブロワの運転がなくなるので、前述したドレンアタックに起因する腐食・減肉トラブルがなくなり、経済的である。また、スートブロワを用いる場合に生じる前述の問題を防ぐことができる。
【0053】
また、スートブロワの運転は一般的に一日あたり1回あるいは2回であるのに対し、圧力波発生装置は1時間から6時間の間に1回以上運転する。つまり、短時間の間にダストを除去することになる。そうすると、付着するダスト量を低減することが可能になるので、付着したダスト中に含まれる重金属類、塩類などによるボイラ内壁面、伝熱管表面の腐食進行を防止することができ、メンテナンス費を下げ、運転管理も容易な廃棄物焼却施設ボイラ操業が可能になる。加えて必要最低限の圧力波発生装置の設置により、経済面にも有利な装置運用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図2】本発明の実施形態である対流伝熱室の圧力波放出ノズルの配設位置を示す図
【
図3】本発明の(A)実施例と(B)比較例の運転状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態及び実施例に記載した内容により限定されるものではない。又、以下に記載した実施形態及び実施例における構成要件には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。更に、以下に記載した実施形態及び実施例で開示した構成要素は適宜組み合わせてもよいし、適宜選択して用いてもよい。
【0056】
本発明が適用される、
図1に示す如く、焼却炉10に連設され、排ガスから熱回収するためのボイラ20は、排ガスの流通路を屈曲せしめる2つの変向部21、22により区分され、排ガス流れ方向の上流側から、第1放射室26、第2放射室28、及び対流伝熱室30を備えている。焼却炉10から排ガスを受け入れる第1放射室26の入口近傍はガス混合室24となっている。焼却炉10から導入される排ガスは、第1放射室26の下方から上方へ、第2放射室28の上方から下方へ、対流伝熱室30の下方から上方へ流通される。
【0057】
前記第1放射室26及び第2放射室28は、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面をそれぞれ備えている。
【0058】
前記対流伝熱室30は、排ガス流れ方向の上流側から、スクリーン管32、2次過熱器34、3次過熱器36、1次過熱器38、及び第2エコノマイザ42を備えている。2次過熱器34、3次過熱器36、1次過熱器38は、それぞれ、水平方向に配列した複数の伝熱管を高さ方向に多段に設けた伝熱管群を備えており、伝熱管が対流伝熱面を構成しており、排ガスとの熱交換により蒸気を発生して更に過熱するようにされている。スクリーン管32は伝熱管が旗形に備えられ対流伝熱室30に導入される排ガスを冷却するようにされている。
【0059】
ボイラ20の下流側には別置エコノマイザ50が接続されている。別置エコノマイザ50内には第1エコノマイザ51が配設され、別置エコノマイザ50の第1エコノマイザ51と対流伝熱室30の第2エコノマイザ42には伝熱管が配設され、排ガスとの熱交換により水が加熱され加温水が生成され、ボイラ20に供給される。
【0060】
本実施形態においては、前記第2放射室28の放射伝熱面と前記対流伝熱室30の対流伝熱面及び第1エコノマイザ51の伝熱面に付着したダストを除去するための、燃料ガス(例えばメタンガス)と酸化剤ガス(例えば酸素ガス)を混合ガスホルダ内で高圧下で混合し、例えば点火プラグで着火し爆発燃焼させて圧力波を発生させ圧力波放出ノズル(図示省略)からボイラ内部に圧力波を放出させる4台の圧力波発生装置61〜64が設けられている。
【0062】
ここで、圧力波発生装置61の圧力波放出ノズルは、前記第2放射室28の放射伝熱面近傍に配設され、圧力波発生装置62、63の圧力波放出ノズルは、前記対流伝熱室30の対流伝熱面近傍に配設され、更に圧力波発生装置64の圧力波放出ノズルは、前記第1エコノマイザ51の最上段の上部に配設されている。
【0063】
前記対流伝熱室30に設ける圧力波発生装置62、63の圧力波放出ノズルは、それぞれ、スクリーン管32と2次過熱器34との間、及び、3次過熱器36と1次過熱器38との間に設けることができる。また、これらの位置に設けられたマンホール(図示省略)に圧力波放出ノズルを取り付けることができる。
【0064】
ここで、対流伝熱室30の高さが10m以上20m以下であるとき、該対流伝熱室30に設ける圧力波発生装置62、63の圧力波放出ノズルの高さ方向配設間隔は、3m以上7m以下とすることができる。
【0065】
前記制御盤70から与えられる指示により、前記圧力波発生装置61〜64は、混合ガスを点火プラグで点火して圧力波を発生させる。
【0066】
具体的には、圧力波発生装置の混合ガスホルダにメタンガスと酸素ガスを充填・混合し、点火プラグで着火し、爆発燃焼させる。爆発燃焼時の混合ガスホルダ内の圧力は例えば最高53.2barに達する。これにより、ボイラ20内の圧力波放出ノズル先端からボイラ20内部に圧力波が放出される。その際、放射伝熱面及び対流伝熱面に振動及び風圧を与え、付着ダストを剥離し除去する。圧力波放出ノズルから放出される圧力波が、放射伝熱面及び対流伝熱面に付着ダストを剥離させる程度の振動及び風圧を与える範囲は、圧力波放出ノズルから上方及び下方へそれぞれ3.5m程度の範囲である。そのため、放射伝熱室及び対流伝熱室における圧力波放出ノズルの高さ方向配設間隔を7m以下とすることが好ましく、付着ダストを剥離させる作用が及ぶ範囲を、隣接する範囲との間に隙間が生じることなく設けることができる。さらに、圧力波放出ノズルの高さ方向配設間隔を3m以上とすることが好ましく、隣接する圧力波放出ノズルから放出する圧力波同士が干渉して圧力波の作用効果が低下することなく、付着ダストを確実に剥離させることができる。このように、対流伝熱室の伝熱管群に十分な振動と風圧を与えるためには、圧力波放出ノズルの高さ方向配設間隔を3m以上7m以下とすることが好ましい。
【0067】
図2に、本発明の実施形態である対流伝熱室30内の圧力波放出ノズルの配設位置を示す。実施形態Aは、対流伝熱室30が排ガス流れ方向で上流側からスクリーン管32、2次過熱器34、3次過熱器36及び1次過熱器38を有するボイラで、前記対流伝熱室30の対流伝熱面に付着したダストを除去するためのボイラのダスト除去装置において、燃料ガスと酸化剤ガスを高圧下で混合し燃焼して圧力波を発生させボイラ内へ圧力波を放出する圧力波発生装置を設けると共に、該圧力波発生装置の圧力波放出ノズルを、前記スクリーン管32と前記2次過熱器34との間と、前記3次過熱器36と前記1次過熱器38との間に配設している。
【0068】
なお、実施形態A’のように、前記1次過熱器38の下流側(即ち最下流側)に第2エコノマイザ42が設けられていたり、実施形態A”のように、同じく前記1次過熱器38の下流側(即ち最下流側)に水平蒸発管44が設けられていても良い。
【0069】
ここで、前記水平蒸発管44は、エコノマイザにより加温された水を加熱し、蒸気を発生させる伝熱管である。
【0070】
実施形態A'''は、対流伝熱室30が排ガス流れ方向で上流側からスクリーン管32、3次過熱器36、2次過熱器34及び1次過熱器38を有するボイラ20で、圧力波発生装置の圧力波放出ノズルを、前記スクリーン管32と前記3次過熱器36との間と、前記2次過熱器34と前記1次過熱器38との間に配設している。さらに、前記1次過熱器38の下流側(即ち最下流側)に第2エコノマイザ42が設けられていたり、同じく前記1次過熱器38の下流側(即ち最下流側)に水平蒸発管44が設けられていても良い。
【0071】
実施形態Bは、前記対流伝熱室30が排ガス流れ方向で上流側からスクリーン管32、水平蒸発管44、2次過熱器34、1次過熱器38及び第2エコノマイザ42を有するボイラで、前記対流伝熱室30の対流伝熱面に付着したダストを除去するためのボイラ20のダスト除去装置において、燃料ガスと酸化剤ガスを高圧下で混合し燃焼して圧力波を発生させボイラ内へ圧力波を放出する圧力波発生装置を設けると共に、該圧力波発生装置の圧力波放出ノズルを、前記水平蒸発管44と前記2次過熱器34との間と、前記1次過熱器38と前記第2エコノマイザ42との間に配設している。
【0072】
なお、上記実施形態A、A’、A”、A'''、Bでは、いずれも
図1に示した別置エコノマイザ50が設けられ、その中に第1エコノマイザ51が設けられている。
【0073】
次に、別置エコノマイザ50を設けず、対流伝熱室30内に第1エコノマイザ51及び第2エコノマイザ42を設けた実施形態B’、C、Dについて説明する。
【0074】
実施形態B’では、実施形態Bと同様の構成において、対流伝熱室30内の第2エコノマイザ42の下流側(即ち最下流側)に第1エコノマイザ51が設けられており、実施形態Bと同様に、圧力波発生装置の圧力波放出ノズルを、前記水平蒸発管44と前記2次過熱器34との間と、前記1次過熱器38と前記第2エコノマイザ42との間に配設している。
【0075】
又、実施形態Cは、前記対流伝熱室30が排ガス流れ方向で上流側からスクリーン管32、2次過熱器34、1次過熱器38、水平蒸発管44及び第1、第2エコノマイザ51、42を有するボイラで、前記対流伝熱室30の対流伝熱面に付着したダストを除去するためのボイラのダスト除去装置において、燃料ガスと酸化剤ガスを高圧下で混合し燃焼して圧力波を発生させボイラ内へ圧力波を放出する圧力波発生装置を設けると共に、該圧力波発生装置の圧力波放出ノズルを、前記スクリーン管32と前記2次過熱器34との間と、前記水平蒸発管44と前記第1エコノマイザ51との間に配設している。
【0076】
又、実施形態Dは、前記対流伝熱室30が排ガス流れ方向で上流側からスクリーン管32、過熱器46、第1エコノマイザ51及び第2エコノマイザ42を有するボイラで、前記対流伝熱室30の対流伝熱面に付着したダストを除去するためのボイラのダスト除去装置において、燃料ガスと酸化剤ガスを高圧下で混合し燃焼して圧力波を発生させボイラ内へ圧力波を放出する圧力波発生装置を設けると共に、該圧力波発生装置の圧力波放出ノズルを、前記スクリーン管32と前記過熱器46との間と、前記第1エコノマイザ51と前記第2エコノマイザ42との間に配設している。
【0077】
実施形態A、A’、A”、A'''、Dでは、前記対流伝熱室30の過熱器へ、放射室の放射伝熱面で加熱され発生した蒸気を供給し、蒸気を加熱して加熱蒸気とするが、実施形態B、B’、Cのように、水平蒸発管44を設ける場合は、これに加えて対流伝熱室30でも蒸気を発生させる。
【0078】
なお、前記対流伝熱室30の高さは10m以上20m以下とし、前記圧力波放出ノズルの高さ方向配設間隔は3m以上7m以下とすることができる。
【0079】
ここで、実施形態A、A’、A”が請求項1に対応し、実施形態A'''が請求項2に対応し、実施形態B、B’ が請求項3に対応し、実施形態Cが請求項4に対応し、実施形態Dが請求項5に対応している。
【実施例】
【0080】
図1のように都市ごみ焼却炉10に連設された、実施形態A’に対応するボイラ20に、4台の圧力波発生装置61〜64を配設した。焼却炉は連続操業である。
【0081】
圧力波発生装置61〜64による圧力波放出を2時間に1回の頻度で70日間行い、第1エコノマイザ51出口の排ガス温度の経時変化を計測したところ、
図3(A)に示すような結果が得られた。横軸は運転時間である。
【0082】
一方、比較例としてスートブロワによるダスト除去を行った際の第1エコノマイザ51出口の排ガス温度の経時変化を計測したところ、
図3(B)に示すような結果が得られた。比較例では、第1エコノマイザ51出口の排ガス温度測定値が設定値以上に上昇した際に、スートブロワを稼働させた。
【0083】
図3から明らかなように、第1エコノマイザ51出口の排ガス温度の平均値は、実施例では224℃であり、比較例では219℃であり、大きな差が無く、伝熱面に付着したダストが除去されていて伝熱効率が低下することを抑制していることを意味し、本発明により伝熱面に付着したダストを除去する効果は、スートブロワによるダスト除去と同等の効果であることが確認できた。
【0084】
実施例では、圧力波放出ダスト除去運転を2時間に1回の間隔で実施したところ、ダストを除去する間隔が短く伝熱効率の低下が小さいので、第1エコノマイザ51出口温度の変動は少なくなり、ボイラ20内での収熱量の変動が小さいことを示しており、蒸気発生量の安定化につながることが確認できた。
【0085】
一方、比較例では、第1エコノマイザ51出口の排ガス温度測定値が設定値以上に上昇した際に、スートブロワが稼働するため、12〜24時間に1回程度の頻度でダスト除去することとなり、付着ダスト量が多く伝熱効率の低下が大きいため、第1エコノマイザ51出口の温度の変動が大きく、ボイラ20内での収熱量の変動が大きいことを示している。
【0086】
圧力波放出ダスト除去運転を1〜6時間に1回の間隔で実施することが、伝熱面へのダスト付着が軽微なうちに除去できるため好ましく、2〜3時間に1回の間隔で実施することが、より短時間の間にダストを除去でき、ダスト付着による問題の発生を確実に抑制することができるので、より好ましい。
【0087】
このようにして、本発明により、スートブロワを用いずにボイラ20内部のダストを効果的に除去することが可能であり、ボイラ20の収熱量を維持して、スートブロワを用いる場合に生じる問題を防ぐことができる。
【0088】
なお、前記実施例では、圧力波放出ノズルを第2放射室28に1個、対流伝熱室30に2個、第1エコノマイザ51に1個配設していたが、圧力波放出ノズルの配設位置及び個数はこれに限定されず、第2放射室28や第1エコノマイザ51の圧力波放出ノズルを省略したり、対流伝熱室30に圧力波放出ノズルを1個配設することもできる。
【0089】
また、前記実施例では、本発明を都市ごみ焼却炉に連設されたボイラに適用していたが、本発明の適用対象はこれに限定されない。
【符号の説明】
【0090】
10…焼却炉
20…ボイラ
21、22…変向部
26…第1放射室
28…第2放射室
30…対流伝熱室
32…スクリーン管
34…2次過熱器
36…3次過熱器
38…1次過熱器
42…第2エコノマイザ
44…水平蒸発管
46…過熱器
50…別置エコノマイザ
51…第1エコノマイザ
61〜64…圧力波発生装置
70…制御盤
【要約】
【課題】スートブロワを用いずにボイラ内部のダストを効率的に除去して、ボイラの収熱量を維持する。
【解決手段】廃棄物焼却炉10に連設され排ガスから熱回収するための、排ガスの流通路を屈曲せしめる2つの変向部21、22により区分された、上流側から、排ガスからの放射熱を受けて蒸気を発生させる放射伝熱面を備えた第1放射室26、第2放射室28、及び、排ガスと伝熱管の対流伝熱面との熱交換により蒸気を発生して更に過熱する対流伝熱室30を備えたボイラ20で、第2放射室28の放射伝熱面と対流伝熱室30の対流伝熱面に付着したダストを除去するために、燃料ガスと酸化剤ガスを高圧下で混合し燃焼して圧力波を発生させボイラ20内へ圧力波を放出する圧力波発生装置61〜64を設けると共に、圧力波発生装置61〜64の圧力波放出ノズルを、第2放射室28に1個以上6個以下配設し、対流伝熱室30に2個以上6個以下配設する。
【選択図】
図1