(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
トナー像を記録材に記録する画像形成機構と、前記記録材に未記録のトナー像を除去して残留トナーを回収するとともに回収済みの回収トナーを前記画像形成機構に供給するトナー環流機構とを備える画像形成装置において、
前記画像形成機構は、無彩色のトナー像を作像する第1作像部と、有彩色のトナー像を作像する1つまたは複数の第2作像部とを有し、
前記トナー環流機構は、前記第1作像部で除去された第1残留トナーを回収する第1回収経路と、前記第2作像部で除去された第2残留トナーを回収する第2回収経路と、回収された前記第1残留トナーおよび前記第2残留トナーを収容する収容部と、前記収容部に収容済みの前記回収トナーを前記第1作像部に供給する供給経路とを有し、
前記収容部は、前記第1残留トナーを収容する第1収容部分と、前記第2残留トナーの収容する第2収容部分と、を含む揺動部材を有し、
前記トナー環流機構は、前記第2収容部分の貯溜量に対する前記第1収容部分の貯溜量の比率が所定値に達したとき、前記揺動部材が揺動して前記第1収容部分と前記第2収容部分とが傾倒することによって、前記回収トナーを前記収容部から前記第1作像部に供給する、
画像形成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記画像形成装置においては、混色の回収トナーの再使用に起因するブラック色の色味の悪化を抑制するために、回収トナーの混合比率や貯蔵残量を色毎に検出するための各種検出手段が設けられている。このため、混色の回収トナーを再使用しない構成の画像形成装置と比較して、製造コストが高くなる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、製造コストの抑制が可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、トナー像を記録材に記録する画像形成機構と、前記記録材に未記録のトナー像を除去して残留トナーを回収するとともに回収済みの回収トナーを前記画像形成機構に供給するトナー環流機構とを備える画像形成装置において、前記画像形成機構は、無彩色のトナー像を作像する第1作像部と、有彩色のトナー像を作像する1つまたは複数の第2作像部とを有し、前記トナー環流機構は、前記第1作像部で除去された第1残留トナーを回収する第1回収経路と、前記第2作像部で除去された第2残留トナーを回収する第2回収経路と、回収された前記第1残留トナーおよび前記第2残留トナーを収容する収容部と、前記収容部に収容済みの前記回収トナーを前記第1作像部に供給する供給経路とを有し、前記収容部は、前記第1残留トナーを収容する第1収容部分と、前記第2残留トナーの収容する第2収容部分と
、を含む揺動部材を有し、前記トナー環流機構は、前記第2収容部分の貯溜量に対する前記第1収容部分の貯溜量の比率が所定値に達したとき、
前記揺動部材が揺動して前記第1収容部分と前記第2収容部分とが傾倒することによって、前記回収トナーを前記収容部から前記第1作像部に供給することを要旨とする
。
【0008】
上記構成によれば、回収トナーの混合比率や貯蔵残量を色毎に検出するための検出手段を設けることなく、収容部から第1作像部に供給された混色の回収トナーに起因するブラック色の色味の悪化を抑制することができる。このため、製造コストの抑制が可能な画像形成装置を提供することができる。
【0009】
請求項
2に記載の発明は、請求項
1に記載の画像形成装置において、前記収容部は、軸部を中心に揺動可能な揺動部材と、基準位置に対する前記揺動部材の一端部の上昇および他端部の下降を規制する規制構造とを内部に有し、前記揺動部材は、前記軸部を挟んで前記一端部側に設けられた前記第1収容部分と、前記軸部を挟んで前記他端部側に設けられた前記第2収容部分とを有し、前記揺動部材は、前記第2収容部分の貯溜量に対する前記第1収容部分の貯溜量の比率が所定値に達したとき、前記一端部を前記基準位置より下降させて前記第1収容部分を傾倒させるとともに、前記他端部を前記基準位置より上昇させて前記第2収容部分を傾倒させ、前記トナー環流機構は、前記第1収容部分および前記第2収容部分の傾倒にともない各々の収容部分から流出する前記回収トナーを前記収容部から前記第1作像部に供給することを要旨とする。
【0010】
上記構成によれば、簡単な構成により、回収トナーを収容部から第1作像部に供給することができる。このため、画像形成装置の製造コストをより抑制できる。
【0011】
請求項
3に記載の発明は、請求項1
または2に記載の画像形成装置において、前記画像形成機構は、前記第1作像部および前記第2作像部で作像された前記トナー像の反転像が転写される中間転写部を有し、前記トナー環流機構は、前記転写部で除去された第3残留トナーを前記第2回収経路を通じて前記第2収容部分に収容することを要旨とする。
【0012】
上記構成によれば、第3残留トナーを回収するための回収経路を別途設ける必要がないため、組立て工数の低減にともなうコスト削減を図ることができる。
【0013】
請求項
4に記載の発明は、請求項1
または2に記載の画像形成装置において、前記画像形成機構は、前記第1作像部および前記第2作像部で作像された前記トナー像の反転像が転写される中間転写部を有し、前記トナー環流機構は、前記転写部で除去された第3残留トナーを回収する第3回収経路を有し、前記第2収容部分は、前記第3残留トナーを収容することを要旨とする。
【0014】
上記構成によれば、第3残留トナーを第2残留トナーの回収経路とは異なる経路で回収することができるため、残留トナーの回収速度を高めることができる。
【0015】
請求項
5に記載の発明は、請求項1〜
4のいずれか一項に記載の画像形成装置において、前記トナー環流機構は、前記第2収容部分に前記回収トナーを有する場合、前記第1収容部分に収容された前記回収トナーの重量が前記第2収容部分に収容された前記回収トナーの重量の20倍の重量に達したときに、前記第1作像部への前記回収トナーの供給を実行することが好ましい。
【0016】
請求項
6に記載の発明は、請求項1〜
5のいずれか一項に記載の画像形成装置において、前記第1作像部は、無彩色のトナーおよび前記回収トナーを一時的に保持する第1現像部を有し、前記第2作像部は、有彩色のトナーを一時的に保持する第2現像部を有し、前記第1現像部のトナー保持量は、前記第2現像部のトナー保持量の2倍以上に設定されることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、製造コストの抑制が可能な画像形成装置を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。以下の図では、同一部分または対応する部分に同一符号を付してある。
【0020】
図1および
図2を参照して、プリンター1の構成について説明する。プリンター1は、例えばタンデム方式のカラーデジタルプリンターである。なお、プリンター1は、「画像形成装置」に相当する。
【0021】
図1に示されるように、プリンター1は、筐体11、制御機構12、画像形成機構13、給紙機構14、および排紙機構15を備える。また、
図2に示されるように、プリンター1は、トナー環流機構16を備える。ここで、周知の通り、プリンター1は、その他種々の周辺機構(電源機構やネットワーク機構等)も備えているが、本発明には関係がないため、図示および説明を省略する。
【0022】
図1において、筐体11は、制御機構12、画像形成機構13、給紙機構14、排紙機構15、トナー環流機構16、およびその他種々の周辺機構を内部に収容する。
【0023】
制御機構12は、例えば、各種演算処理や制御を実行するCPU(Central Processing Unit)、制御プログラムなどを記憶するROM(Read Only Memory)、演算データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)などから構成される。
【0024】
画像形成機構13は、4つの作像部21、中間転写ベルト22、駆動ローラー23、従動ローラー24、二次転写ローラー25、4つのトナーカートリッジ26、および4つのカートリッジ収容部27を備える。
【0025】
ここで、プリンター1における各方向を以下の通り定義する。
(1)従動ローラー24から駆動ローラー23に向かう中間転写ベルト22の移動方向および当該移動方向と同一の方向をD1方向とし、D1方向の反対方向をD2方向とする。
(2)駆動ローラー23の駆動時における回転方向および当該回転方向と同一の方向をD3方向とし、D3方向の反対方向をD4方向とする。
【0026】
作像部21は、感光体61、帯電器62、露光器63、現像器64、および一次転写ローラー65を備える。4つの作像部21は、具体的には、図中において21Y、21M、21C、21Kの各符号で示される作像部である。各作像部21は、D1方向において作像部21Y、作像部21M、作像部21C、作像部21Kの順に配置される。なお、作像部21Kは、「第1作像部」に相当する。作像部21Y、作像部21M、作像部21Cは、「第2作像部」に相当する。
【0027】
感光体61は、例えば円筒状のローラー部材から構成される。感光体61は、筐体11内に回転可能に設けられている。感光体61は、中間転写ベルト22の外周面に接触している。帯電器62は、例えばコロナワイヤーから構成される。露光器63は、例えばレーザー光線を照射するレーザー装置から構成される。現像器64は、トナーを一時的に収容するハウジング、ハウジング内のトナーを攪拌するスクリュー、ハウジング内のトナーを感光体61に供給する現像ローラーなどから構成される。一次転写ローラー65は、筐体11内に回転可能に設けられている。一次転写ローラー65は、中間転写ベルト22の内周面に接触している。一次転写ローラー65は、中間転写ベルト22を挟んで感光体61と対向する。なお、作像部21Kの有する現像器64は、「第1現像部」に相当する。作像部21Y、作像部21M、作像部21Cの各々の有する現像器64は、「第2現像部」に相当する。
【0028】
中間転写ベルト22は、例えば導電性を有する無端状のベルト部材から構成される。中間転写ベルト22は、駆動ローラー23および従動ローラー24に緩みの無い状態で巻き掛けられる。中間転写ベルト22は、感光体61と一次転写ローラー65との間に位置する第1ベルト部分22Aと、第1ベルト部分22Aと対向する第2ベルト部分22Bとを有する。なお、中間転写ベルト22は、「中間転写部」に相当する。
【0029】
駆動ローラー23は、モーターの出力軸(図示略)に回転可能に設けられている。従動ローラー24は、筐体11内に回転可能に設けられている。二次転写ローラー25は、筐体11内に回転可能に設けられている。二次転写ローラー25は、中間転写ベルト22を挟んで駆動ローラー23の外周面に押し付けられた状態で配置される。
【0030】
4つのトナーカートリッジ26は、具体的には、図中において26Y、26M、26C、26Kの各符号で示されるトナーカートリッジである。各トナーカートリッジ26は、D1方向においてトナーカートリッジ26Y、トナーカートリッジ26M、トナーカートリッジ26C、トナーカートリッジ26Kの順に配置される。トナーカートリッジ26Yは、イエロー色の未現像トナーを有する。トナーカートリッジ26Mは、マゼンダ色の未現像トナーを有する。トナーカートリッジ26Cは、シアン色の未現像トナーを有する。トナーカートリッジ26Kは、ブラック色の未現像トナーを有する。なお、未現像トナーは、例えばトナーとキャリアから構成される2成分現像剤である。カートリッジ収容部27は、トナーカートリッジ26を各々収容する。
【0031】
給紙機構14は、給紙カセット31、第1給紙ローラー32、第2給紙ローラー33、およびレジストローラー対34を備える。給紙カセット31は、記録材Pを収容する。
【0032】
第1給紙ローラー32は、筐体11内に回転可能に設けられている。第1給紙ローラー32は、給紙カセット31内の記録材Pに接触可能な状態で配置される。第2給紙ローラー33は、筐体11内に回転可能に設けられている。第2給紙ローラー33の外周面は、第1給紙ローラー32の外周面と接触する。
【0033】
レジストローラー対34の一方は、モーターの出力軸(図示略)に設けられている。レジストローラー対34の他方は、筐体11内に回転可能に設けられている。レジストローラー対34は、互いに押し付けられた状態で配置される。
【0034】
排紙機構15は、定着ローラー41、加圧ローラー42、排紙ローラー対43、および排紙トレイ44を備える。
【0035】
定着ローラー41は、モーターの出力軸(図示略)に設けられている。定着ローラー41は、例えば熱源としてのハロゲンランプを内部に有する。加圧ローラー42は、筐体11内に回転可能に設けられている。加圧ローラー42は、定着ローラー41に押し付けられた状態で配置される。
【0036】
排紙ローラー対43は、筐体11内に回転可能に設けられている。排紙ローラー対43は、搬送経路35の搬送終了位置近傍に配置される。排紙トレイ44は、筐体11の外側上面に形成される。
【0037】
図2において、トナー環流機構16は、4つの第1クリーナー51、第2クリーナー52、第1回収経路53、第2回収経路54、収容部55、および供給経路56を備える。
【0038】
第1クリーナー51は、例えば感光体61に接触した状態で配置される板状部材と、ホッパーとを備える。第2クリーナー52は、例えば中間転写ベルト22に接触した状態で配置される板状部材と、ホッパーとを備える。
【0039】
第1回収経路53は、作像部21Kに対応する第1クリーナー51のホッパーに連結された一端部と、収容部55に連結された他端部とを有する配管から構成される。
【0040】
第2回収経路54は、作像部21Y、作像部21M、作像部21Cの各々に対応する第1クリーナー51のホッパーにそれぞれ連結された一端部と、収容部55に連結された他端部とを有する配管から構成される。
【0041】
収容部55は、箱状の容器から構成される。供給経路56は、収容部55に連結された一端部と、トナーカートリッジ26Kに連通する他端部とを有する配管から構成される。
【0042】
図1および
図2を参照して、プリンター1の動作について説明する。
ネットワーク機構などを通じてプリンター1に文字や画像などのデータが入力されたとき、制御機構12は、プリンター1の各機構を制御する。給紙機構14は、搬送経路35に沿って記録材Pを画像形成機構13に供給する。画像形成機構13は、トナー像を記録材Pに記録する。排紙機構15は、トナー像が記録された記録材Pを筐体11の外部に排出する。トナー環流機構16は、記録材Pに未記録のトナー像を除去して残留トナーを回収するとともに回収済みの回収トナーを画像形成機構13に供給する。
【0043】
具体的には、給紙機構14において、第1給紙ローラー32は、給紙カセット31内の記録材Pを最上層から1枚ずつ繰り出す。第2給紙ローラー33は、第1給紙ローラー32との接触領域において記録材Pを挟持するとともに、記録材Pをレジストローラー対34に搬送する。レジストローラー対34は、記録材Pを挟持するとともに、所定のタイミングで記録材Pを画像形成機構13に搬送する。
【0044】
画像形成機構13の各作像部21において、帯電器62は、感光体61の外周面を均一に帯電させる。露光器63は、帯電した感光体61にレーザー光を照射して、感光体61の外周面に静電潜像を形成する。現像器64は、感光体61にトナーを供給して、感光体61の外周面にトナー像を形成する。一次転写ローラー65は、第1ベルト部分22Aの外周面を感光体61の外周面に押し付ける。感光体61は、一次転写ローラー65の押し付けにより、外周面に形成されたトナー像を第1ベルト部分22Aに転写(一次転写)する。なお、上述の作像部21Yは、イエロー(Y)色のトナー像を作像する。作像部21Mは、マゼンダ(M)色のトナー像を作像する。作像部21Cは、シアン(C)色のトナー像を作像する。作像部21Kは、ブラック(K)色のトナー像を作像する。
【0045】
中間転写ベルト22は、駆動ローラー23および従動ローラー24の回転にともない回転する。詳しくは、第1ベルト部分22Aは、駆動ローラー23の回転にともないD1方向へ移動する。第2ベルト部分22Bは、駆動ローラー23の回転にともないD2方向に移動する。このとき、第1ベルト部分22Aの外周面には、各作像部21で作像されたトナー像の反転像が、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順で、転写(一次転写)されて重ねられる。二次転写ローラー25は、駆動ローラー23との接触領域において記録材Pを中間転写ベルト22に押し付けることで、第1ベルト部分22Aの外周面に形成されたトナー像を記録材Pに転写(二次転写)する。
【0046】
排紙機構15において、定着ローラー41は、加圧ローラー42との接触領域おいて記録材Pを加熱および加圧することで、トナー像を記録材Pに定着させる。また、定着ローラー41および加圧ローラー42は、トナー像が記録された記録材Pを排紙ローラー対43に搬送する。排紙ローラー対43は、記録材Pを筐体11の外部に排出する。排紙トレイ44は、筐体11内から排出された記録材Pを保持する。
【0047】
トナー環流機構16において、第1クリーナー51は、感光体61上のトナー像を除去して残留トナーを回収する。第2クリーナー52は、中間転写ベルト22上のトナー像を除去して残留トナーを回収する。第1回収経路53は、作像部21Kで除去された残留トナーを回収する。第2回収経路54は、作像部21Y、作像部21M、作像部21Cの各々で除去された残留トナーを回収する。収容部55は、第1回収経路53および第2回収経路54を通じて回収された残留トナーを収容する。供給経路56は、収容部55に収容済みの回収トナーをトナーカートリッジ26Kに供給する。なお、作像部21Kで除去された残留トナーは、「第1残留トナー」に相当する。作像部21Y、作像部21M、作像部21Cの各々で除去された残留トナーは、「第2残留トナー」に相当する。
【0048】
図3および
図4を参照して、収容部55の構造について説明する。
収容部55は、シーソー部材71、ストッパー72、第1回収口73、第2回収口74、および供給口75を備える。シーソー部材71は、黒トナー貯溜部分76と、カラートナー貯溜部分77とを有する。シーソー部材71は、収容部55内において軸部78を中心に揺動可能に設けられている。なお、シーソー部材71は、「揺動部材」に相当する。
【0049】
黒トナー貯溜部分76は、軸部78を挟んで一端部71A側に設けられている。カラートナー貯溜部分77は、軸部78を挟んで他端部71B側に設けられている。軸部78から一端部71Aまでの長さLAは、軸部78から他端部71Bまでの長さLBよりも短く設定されている(LA<LB)。ストッパー72は、他端部71B側に位置する収容部55の内側面に設けられている。なお、黒トナー貯溜部分76は、「第1収容部分」に相当する。カラートナー貯溜部分77は、「第2収容部分」に相当する。ストッパー72は、「規制構造」に相当する。
【0050】
第1回収口73は、収容部55の上面に形成されている。第1回収口73は、黒トナー貯溜部分76の真上に位置する。第1回収口73は、第1回収経路53に連結されている。第2回収口74は、収容部55の上面に形成されている。第2回収口74は、カラートナー貯溜部分77の真上に位置する。第2回収口74は、第2回収経路54に連結されている。供給口75は、収容部55の底面に形成されている。供給口75は、黒トナー貯溜部分76の真下に位置する。供給口75は、供給経路56に連結されている。
【0051】
図3および
図4を参照して、収容部55の動作について説明する。
図3(a)および
図4(a)に示すように、収容部55内に残留トナーがないとき、シーソー部材71の一端部71Aに作用するD4方向の回転モーメントは、他端部71Bに作用するD3方向の回転モーメントよりも小さい。この状態において、カラートナー貯溜部分77の下面は、ストッパー72により支持される。このため、シーソー部材71は、基準位置RPに静止する。
【0052】
図3(b)に示すように、作像部21K(
図2)で除去されて収容部55に回収されたブラック色の残留トナーは、黒トナー貯溜部分76に貯溜される。
図4(b)に示すように、作像部21Y、作像部21M、作像部21Cの少なくとも1つで除去されて収容部55に回収された単色カラーまたは混色カラーの残留トナーは、カラートナー貯溜部分77に貯溜される。
【0053】
図3(b)および
図4(b)に示すように、カラートナー貯溜部分77の貯溜量に対する黒トナー貯溜部分76の貯溜量の比率が所定値に達していないとき、シーソー部材71の一端部71Aに作用するD4方向の回転モーメントは、他端部71Bに作用するD3方向の回転モーメントよりも小さい。この状態において、カラートナー貯溜部分77の下面は、ストッパー72により支持される。このため、シーソー部材71は、基準位置RPに静止する。
【0054】
なお、シーソー部材71の一端部71Aに作用する回転モーメントは、軸部78から一端部71Aまでの長さLAと、軸部78から一端部71Aまでのシーソー部材71の質量と、黒トナー貯溜部分76の貯溜量(質量)とにより算出される。
また、シーソー部材71の他端部71Bに作用する回転モーメントは、軸部78から他端部71Bまでの長さLBと、軸部78から他端部71Bまでのシーソー部材71の質量と、カラートナー貯溜部分77の貯溜量(質量)とにより算出される。
【0055】
図3(c)および
図4(c)に示すように、プリンター1の使用にともない、カラートナー貯溜部分77の貯溜量に対する黒トナー貯溜部分76の貯溜量の比率が所定値に達する。このとき、シーソー部材71の一端部71Aに作用するD4方向の回転モーメントは、他端部71Bに作用するD3方向の回転モーメントよりも大きくなる。
【0056】
図3(d)および
図4(d)に示すように、カラートナー貯溜部分77の貯溜量に対する黒トナー貯溜部分76の貯溜量の比率が所定値に達したとき、シーソー部材71はD4方向に回転する。具体的には、シーソー部材71の他端部71Bが基準位置RPから上昇するとともに、一端部71Aが下降する。これにより、黒トナー貯溜部分76およびカラートナー貯溜部分77は、D4方向に所定角度傾く。そして、黒トナー貯溜部分76およびカラートナー貯溜部分77の傾倒にともない、各々の貯溜部分から回収トナーが流出する。各貯溜部分から流出した回収トナー(貯溜済みの残留トナー)は、供給口75より供給経路56を通じて、作像部21Kの現像器64に供給される。各貯溜部分から回収トナーが流出した後、シーソー部材71は、
図3(a)または
図4(a)に示される状態に復帰する。なお、シーソー部材71がD4方向に回転するとき、他端部71Bは、収容部55の上面内側に接触して揺動規制される。
【0057】
図5を参照して、各色のトナーの混色率と色差の度合いとの関係について説明する。
図5に示されるように、ブラック色のトナーに対し、1つまたは複数のカラー色のトナーを混ぜあわせたとき、混色率が大きくなるに連れて、色差の度合いが大きくなる。すなわち、ブラック色のトナーに混ぜ合わされるカラー色のトナーの量が増えるに連れて、ブラック色の色味が徐々に変化していく。そして、ブラック色とカラー色との混色トナーにおいて、色差の度合いがΔE>Xとなったとき、ブラック色の色味に視覚的変化が生じる(ブラック色の色味の悪化を許容できない)。
【0058】
図6を参照して、各貯溜部分から回収トナーが流出する条件について説明する。
カラー色の回収トナーの溜まり量に対するブラック色の回収トナーの溜まり量が、グラフ中の斜線で示される領域Y内にあるとき、現像器64に供給される回収トナーにおいて、色差の度合いがΔE≦X(
図5)となる。つまり、回収トナーは、ブラック色の色味に視覚的変化を生じない(ブラック色の色味の悪化を許容できる)。カラー色の回収トナーの溜まり量に対するブラック色の回収トナーの溜まり量が、領域Y内にないとき、現像器64に供給される回収トナーにおいて、色差の度合いがΔE>Xとなる。つまり、回収トナーは、ブラック色の色味に視覚的変化を生じる。このため、プリンター1においては、カラートナー貯溜部分77の貯溜量に対する黒トナー貯溜部分76の貯溜量が領域Yの範囲にあるときに、
図3(d)または
図4(d)に示される状態までシーソー部材71を回転させる。
【0059】
(実施形態の効果)
本実施形態のプリンター1は、以下の効果を奏する。
(1)収容部55は、ブラック色の残留トナーを収容する黒トナー貯溜部分76と、カラー色の残留トナーの収容するカラートナー貯溜部分77とを有し、トナー環流機構16は、カラートナー貯溜部分77の貯溜量に対する黒トナー貯溜部分76の貯溜量が所定量に達したとき、回収トナーを収容部55から作像部21Kに供給する。このため、回収トナーの混合比率や貯蔵残量を色毎に検出するための検出手段をプリンター1に設けることなく、収容部55から作像部21Kに供給された回収トナーに起因するブラック色の色味の悪化を抑制することができる。このため、製造コストの抑制が可能なプリンター1を提供することができる。また、回収トナーをブラック色のトナーとして再使用することができるため、トナーのリサイクル性を高めて、資源の節約や環境負荷の軽減などを図ることができる。
【0060】
(2)シーソー部材71は、一端部71Aと軸部78との間にまたがる黒トナー貯溜部分76と、他端部71Bと軸部78との間にまたがるカラートナー貯溜部分77とを有する。カラートナー貯溜部分77の貯溜量に対する黒トナー貯溜部分76の貯溜量が所定量に達したとき、シーソー部材71の他端部71Bは基準位置RPから上昇するとともに、一端部71Aは下降する。これにより、黒トナー貯溜部分76およびカラートナー貯溜部分77は、D4方向に所定角度傾く。そして、黒トナー貯溜部分76およびカラートナー貯溜部分77の傾倒にともない、各々の貯溜部分から回収トナーが流出する。各貯溜部分から流出した回収トナーは、供給口75より供給経路56を通じて、作像部21Kの現像器64に供給される。この構成によれば、簡単な構成により、回収トナーを収容部55から作像部21Kに供給することができる。このため、プリンター1の製造コストをより抑制できる。
【0061】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態以外の実施形態を含む。以下、本発明のその他の実施形態としての実施形態の変形例を示す。なお、以下の各変形例は、互いに組み合わせることもできる。
【0062】
・上記実施形態のトナー環流機構16は、第2クリーナー52で除去された残留トナー(第3残留トナー)を第2回収経路54を通じて収容部55に回収する構成にしてもよい(
図7参照)。このようにすれば、第2回収経路54を第3残留トナー回収用の経路として兼用できる。これにより、残留トナーの回収効率を高めて、トナーのリサイクル率を高めることができる。なお、第2クリーナー52と収容部55とを直結する経路を別途設けて、第2クリーナー52で除去された残留トナーを収容部55に回収してもよい。
【0063】
・上記実施形態のプリンター1において、トナー環流機構16は、カラートナー貯溜部分77に回収トナーを有する場合、黒トナー貯溜部分76に収容された回収トナーの重量がカラートナー貯溜部分77に収容された回収トナーの重量の20倍の重量に達したときに、作像部21Kへの回収トナーの供給を実行してもよい。
【0064】
・上記実施形態のプリンター1において、画像形成機構13が例えば作像部21Yのみを有する場合、作像部21Kの有する現像器64のトナー保持量は、作像部21Yの有する現像器64のトナー保持量の2倍以上に設定されることが好ましい。また、画像形成機構13が、作像部21Y、作像部21M、作像部21Cを有する場合、作像部21Kの有する現像器64のトナー保持量は、作像部21Y、作像部21M、作像部21Cの各々が有する現像器64のトナー保持量の総和の2倍以上に設定されることが好ましい。
【0065】
・上記実施形態のプリンター1において、収容部55に収容済みの回収トナーは、トナーカートリッジ26Kに供給されるが、収容部55と作像部21Kに対応する現像器64とを直結する経路を供給経路56の代わりに設けて、収容部55内の回収トナーを作像部21Kに対応する現像器64に供給してもよい。
【0066】
・上記実施形態のプリンター1は、タンデム方式のカラーデジタルプリンターであるが、プリンター1の方式はこれに限定されない。例えば、本発明は、中間転写ベルト方式や転写ドラム方式のプリンターにおいても採用することができる。また、各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。