(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記帯電用電圧設定のために交流電流を測定する際、2回目以降の測定時における前記放電前電圧及び前記放電後電圧それぞれにおける測定点が、初回測定時における測定点よりも少ないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
前記制御部が、前記環境検知部で検出した装置内環境に基づいて、前記放電前電圧及び前記放電後電圧それぞれにおける測定点を設定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本願発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明で必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば「左右」「上下」等)を用いる場合は、
図2で紙面に直交する方向を正面視とし、この方向を基準にしている。これらの用語は説明の便宜のために用いたものであり、本願発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0020】
<画像形成装置の構成>
まず、本願発明の実施形態における画像形成装置の全体構成について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の画像形成装置の外観斜視図であり、
図2は、当該画像形成装置の内部構成を示す概略図である。
【0021】
画像形成装置1は、
図1及び
図2に示すように、原稿P1から画像を読み取る画像読取部3と、画像が形成される記録紙P2を収納する給紙トレイ4と、給紙トレイ4から給紙された記録紙P2にトナー画像を転写する転写部5と、転写部5で転写されたトナー画像を記録紙P2に定着させる定着部6と、定着部6で定着されて画像が形成された記録紙P2が排紙される排紙トレイ7と、画像形成装置1への操作を受け付ける操作パネル9と、を備える。この画像形成装置1において、その装置本体2上部に画像読取部3が設けられるとともに、この画像読取部3の下側に転写部5が設けられる。
【0022】
そして、排紙トレイ7が、転写部5及び定着部6で画像記録されて排紙された記録紙P2を受けるために、装置本体2における転写部5の上側に設けられるとともに、給紙トレイ4が、装置本体2における転写部5の下側で挿抜可能に構成される。このように構成されることで、後述するように、給紙トレイ4に収納された記録紙P2が装置本体2内部に給紙された後、上昇搬送されることによって、給紙トレイ4の上部に配置された転写部5で画像が転写されて定着部6で定着された後、画像読取部3と転写部5との間の空間(凹みスペース)に設けられた排紙トレイ7に排紙される。
【0023】
装置本体2上部に設けられる画像読取部3は、原稿P1からの画像を読み取るスキャナー部31と、スキャナー部31の上部に設けられるとともにスキャナー部31に原稿P1を1枚ずつ搬送させる自動原稿搬送部(ADF:Auto Document Feeder)32とを備える。又、装置本体2の正面側(前面側)には、操作パネル9が設けられる。そして、ユーザーは、この操作パネル9の表示画面等を見ながらキー操作をすることで、画像形成装置1の各種機能の中から選択した機能について設定操作をしたり、画像形成装置1に作業実行を指示したりできる。
【0024】
次に、
図2を参照して、装置本体2の内部構造について説明する。装置本体2の上部にある画像読取部3のうちスキャナー部31は、上面側にプラテンガラス(不図示)を有する原稿台33と、原稿P1に対して光を照射する光源部34と、原稿P1からの反射光を画像データに光電変換するイメージセンサー35と、反射光をイメージセンサー35上に結像させる結像レンズ36と、原稿P1からの反射光を順次反射させて結像レンズ36に入射させるミラー群37とを備えている。光源部34、イメージセンサー35、結像レンズ36及びミラー群37は原稿台33の内部に設けられるともに、光源部34及びミラー群37は原稿台33に対して左右方向に移動可能に構成される。
【0025】
又、スキャナー部31の上面側には、ADF32が原稿台33に対して開閉可能に設けられている。ADF32は、原稿台33のプラテンガラス(不図示)上の原稿P1に覆い被さることによって原稿P1をプラテンガラス(不図示)に密着させる働きも有する。ADF32は、原稿載置トレイ38と原稿排出トレイ39とを備えている。
【0026】
このような構成の画像読取部3において、原稿台33のプラテンガラス(不図示)上の原稿P1を読み取る場合は、右方向(副走査方向)に移動する光源部34から原稿P1に光が照射される。原稿P1から反射した反射光は、光源部34と同じく右方向に移動するミラー群37で順次反射されて結像レンズ36に入射し、イメージセンサー35上に結像される。イメージセンサー35は、入射光の強さに応じて画素毎に光電変換を実行して、原稿P1の画像に対応した画像信号(RGB信号)を生成する。
【0027】
一方、原稿載置トレイ38に載置された原稿P1を読み取る場合、当該原稿P1は複数のローラー等で構成される原稿搬送機構40によって読取位置に搬送される。このとき、スキャナー部31の光源部34及びミラー群37は、原稿台33内部の所定位置に固定される。従って、光源部34により原稿P1の読取位置部分に光が照射され、その反射光がスキャナー部31のミラー群37及び結像レンズ36を介してイメージセンサー35上に結像される。そして、イメージセンサー35が原稿P1の画像に対応した画像信号(RGB信号)に変換する。その後、原稿P1は原稿排出トレイ39に排出される。
【0028】
トナー画像を記録紙P2に転写する転写部5は、Y(Yellow)、M(Magenta)、C(Cyan)、K(Kuro)各色のトナー画像を生成する作像部51と、作像部51それぞれの下方に設けられた露光部52と、水平方向に並んだ各色の作像部51と当接することで作像部51から各色のトナー画像が転写される中間転写ベルト53と、作像部51と中間転写ベルト53を挟持するように各色の作像部51それぞれに対して上側に対向する位置に設けられた一次転写ローラー54と、中間転写ベルト53を回動させる駆動ローラー55と、駆動ローラー55の回転が中間転写ベルト53を通じて伝達することで回転する従動ローラー56と、中間転写ベルト53を挟んで駆動ローラー55と対向する位置に設置される二次転写ローラー57と、中間転写ベルト53を挟んで従動ローラー56と対向する位置に設置されるクリーナー部58とを、備える。
【0029】
作像部51は、中間転写ベルト53の外周面と当接する感光体ドラム61と、感光体ドラム61の外周面帯電させる帯電器62と、攪拌して帯電させたトナーを感光体ドラム61の外周面に付着させる現像器63と、トナー画像を中間転写ベルト53に転写した後に感光体ドラム61の外周面に残留するトナーを除去するクリーナー部64と、を備える。このとき、感光体ドラム61は、中間転写ベルト53を挟んで、一次転写ローラー54と対向する位置に設置されるとともに、
図2における時計回りの方向に回転する。そして、感光体ドラム61の周囲には、一次転写ローラー54、クリーナー部64、帯電器62、及び現像器63が、感光体ドラム61の回転方向に沿って、順番に配置されている。
【0030】
又、中間転写ベルト53は、例えば導電性を有する無端状のベルト部材から構成され、駆動ローラー55及び従動ローラー56に緩みの無い状態で巻き掛けられることで、駆動ローラー55の回転に従って、
図2において反時計回りの方向に回動する。そして、中間転写ベルト53の周囲には、中間転写ベルト53の回転方向に沿って、二次転写ローラー57、クリーナー部58、YMCK各色の作像部51それぞれが順番に配置されている。
【0031】
更に、記録紙P2に転写されたトナー画像を定着させる定着部6は、記録紙P2上のトナー画像を定着させるべく加熱するハロゲンランプなどを備えた加熱ローラー59と、記録紙P2を加熱ローラー59と共に挟持して記録紙P2を加圧する加圧ローラー60とを備える。尚、加熱ローラー59は、電磁誘導によりその表面に渦電流を生じさせることによって、加熱ローラー59表面が加熱されるものであってもよい。
【0032】
複数の給紙トレイ4を備える給紙部8は、給紙トレイ4に収納された記録紙P2を最上層から搬送路R1に繰り出す繰り出しローラー81を備える。主搬送路R0は画像形成(印刷)の工程を経る記録紙P2の主たる通り道である。又、給紙路R1は給紙トレイ4毎に設けられるとともに、各給紙路R1は主搬送路R0に合流している。各給紙トレイ4内の記録紙P2は、対応する繰り出しローラー81の回転駆動によって、最上層のものから1枚ずつ、給紙路R1に送り出された後、主搬送路R0に向けて送り出される。
【0033】
装置本体2における左右方向の一側部(実施形態では右側部)には、外部から所定サイズの記録紙P2を給紙可能な手差しトレイ93が設けられている。手差しトレイ93は、装置本体2内にある通常の給紙トレイ4とは別に補助的に設けられたものであり、装置本体2における左右方向の一側部に対して開閉回動可能に取り付けられている。手差しトレイ93上の記録紙P2は、繰り出しローラー等の回転駆動によって、最上層のものから1枚ずつ、手差し給紙路R2経由で主搬送路R0に向けて送り出される。更に、主搬送路R0の最下流となる終端部分には、印刷済の記録紙P2を排出する排紙ローラー対91が配置される。印刷済の記録紙P2は、排紙ローラー対91の回転駆動によって排紙トレイ7に排出される。
【0034】
<印刷動作>
次に、画像形成装置1による印刷動作について、以下に説明する。画像形成装置1は、操作パネル9又は外部端末によって、印刷動作を行うように指示を受けると、印刷動作のための制御動作を開始する。まず、給紙部8が、繰り出しローラー81を駆動させて、給紙トレイ4から最上層の記録紙P2を繰り出して、搬送路R1へ送り出す。給紙トレイ4から搬送路R1へ給紙された記録紙P2は、縦搬送ローラー対84によって、主搬送路R0から縦搬送路R1へ送り出される。
【0035】
又、Y、M、C、K各色の画像データに基づいて、露光部52内の発光素子(不図示)が駆動することで、Y、M、C、K各色の感光体ドラム61に静電潜像を形成する。即ち、Y、M、C、K各色の作像部51において、帯電器62によって帯電させた感光体ドラム61の表面に露光部52からレーザー光が照射され、Y、M、C、K各色の画像に対応した静電潜像が形成される。
【0036】
この静電潜像が形成された感光体ドラム61の表面に、現像器63で帯電したトナーが移り、第1の像担持体となる感光体ドラム61にトナー画像が形成される(現像)。そして、感光体ドラム61の表面に担持されて顕像化されたトナー画像が、中間転写ベルト53と接触する際、一次転写ローラー54に印加した転写電流もしくは転写電圧によって、中間転写ベルト53に転写されるため、第2の像担持体となる中間転写ベルト53の表面に、Y、M、C、K各色が重なったトナー画像が形成される(一次転写)。一方、トナー画像を中間転写ベルト53に転写した感光体ドラム61に残った未転写トナーは、クリーナー部64にて掻き取られ、感光体ドラム61上から取り除かれる。
【0037】
又、主搬送路R0に搬送された記録紙P2は、タイミングローラー対87に到達すると、中間転写ベルト53にトナー画像が転写されるタイミングに合わせて、タイミングローラー対87が動作して、転写部5に搬送される。このとき、中間転写ベルト53に転写されたトナー画像は、駆動ローラー55及び従動ローラー56によって中間転写ベルト53が回転することで、二次転写ローラー57と当接する転写ニップ領域まで移動し、主搬送路R0上の転写ニップ領域に搬送される記録紙P2に転写される(二次転写)。トナー画像を記録紙P2に転写した中間点転写ベルト53に残った未転写トナーは、クリーナー部58にて掻き取られ、中間点転写ベルト53上から取り除かれる。
【0038】
そして、二次転写ローラー57との当接位置でトナー画像が転写された記録紙P2は、加熱ローラー59及び加圧ローラー60による定着部6に搬送される。このとき、加熱ローラー59及び加圧ローラー60が回転すると同時に、加熱ローラー59が記録紙P2wo加熱する。これにより、未定着トナー像を載せた記録紙P2は、定着部6の定着ニップ部を通過する際に、加熱ローラー59による加熱及び加圧ローラー60による加圧が施されて、未定着トナー像が紙面に定着される。そして、トナー像定着後(片面印刷後)の記録紙P2は、排紙ローラー対91まで搬送されると、排紙ローラー対91により排紙トレイ7に排出される。
【0039】
<作像部の構成>
作像部51における各部の詳細な構成について、以下に説明する。
図3に示すように、帯電器62は、帯電ローラー621及びクリーニングローラー622を有しており、クリーニングローラー622は感光体ドラム61と反対側の位置から帯電ローラー621に当接している。この帯電機62は、感光体ドラム61及びクリーナー部64とドラムハウジング611にまとめられて感光体ユニットを構成しており、感光体ユニット610が装置本体2(機枠)に対し着脱自在になっている。もとより、帯電器62及びクリーナー部64により一つの着脱式のユニット構造にするなど、具体的な構造は任意に選択できる。
【0040】
帯電ローラー621は、シャフトに導電性ゴム弾性層が設けられた構成を有しており、感光体ドラム61との当接部にはニップが形成される。又、帯電ローラー621の導電性ゴム弾性層表面には、粗さを有する表面層が設けられている。帯電ローラー621の導電性ゴム弾性層は、例えば、エピクロルヒドリンゴム(ECO、CO等)、ニトリルゴム(NBR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)や天然ゴム(NR)等といった弾性材料で構成されており、特に、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、エピクロルヒドリンゴムやニトリルゴム等が好適に用いられる。
【0041】
又、導電性ゴム弾性層を構成する弾性材料に混入される導電剤としては、ケッチェンブラックやアセチレンブラック等のカーボンブラック、グラファイト、金属粉、導電性金属酸化物、更には各種イオン導電剤、例えば、テトラメチルアンモニウムパークロレート、トリメチルオクタデシルアンモニウムパークロレート、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩等が用いられる。更に、導電性ゴム弾性層表面に形成される表面層は、粗さを有するべく、粗さ付与粒子を添加したコーティング樹脂を導電性ゴム弾性層表面に塗布することで形成される。粗さ付与粒子は、数μm〜数十μmの平均粒子径となる有機微粒子又は無機微粒子であり、その粒子サイズと添加量、塗布厚みによって、表面層の粗さ調整が可能である。
【0042】
クリーニングローラー622は、金属製軸体に導電性の弾性体を巻いた構造になっており、所定の圧力で帯電ローラー621に当接させている。従って、帯電ローラー621との当接部にはニップが形成される。クリーニングローラー622は、帯電ローラー621の軸心を挟んで感光体ドラム61と反対側に配置している。換言すると、クリーニングローラー622は感光体ドラム61から最も遠い部位において帯電ローラー621の外周面に当接している。
【0043】
現像器63は、現像ハウジング631、現像ローラー632、供給ローラー633、攪拌ローラー634、現像室635などを備えている。現像室635内には現像剤としてキャリアとトナーとが収容されている。現像ローラー632には直流電圧に交流電圧が重畳された現像バイアスが印加されている。そして、感光体ドラム61の表面に形成された静電潜像が現像バイアスの作用によってトナーで現像され、これにより、感光体ドラム61の表面にトナー像が形成される。尚、トナーは、バインダー樹脂中に着色剤を含有させて外添材を処理したものであり、そのトナー粒径としてはこれに限定されるものではないが、3〜15μm程度が望ましい。又、バインダー樹脂中には、必要であれば荷電制御材や離型材等が含有されている。
【0044】
現像剤におけるトナーを製造するにあたっては、一般に使用されている公知の方法で製造することができ、例えば、粉砕法、乳化重合法、懸濁重合法等を用いて製造することができる。又、トナーに使用するバインダー樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)やポリエステル樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。そして、これらの樹脂単体もしくは複合体によるバインダー樹脂は、軟化温度が80〜160℃の範囲のもの、又はガラス転移点が50〜75℃の範囲のものであることが好ましい。
【0045】
着色剤としては、一般に使用されている公知のものを用いることができ、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、活性炭、マグネタイト、ベンジンイエロー、パーマネントイエロー、ナフトールイエロー、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、ウルトラマリンブルー、ローズベンガル、レーキーレッド等が挙げられる。そして、上記したバインダー樹脂100重量部に対して2〜20重量部の割合で着色剤を用いることが好ましい。
【0046】
又、バインダー樹脂に含有される荷電制御材は、正帯電性トナー用の場合は、例えばニグロシン系染料、4級アンモニウム塩系化合物、トリフェニルメタン系化合物、イミダゾール系化合物、ポリアミン樹脂などが使用され、負帯電性トナー用荷電制御材の場合は、クロム、コバルト、アルミニウム、鉄等の金属含有アゾ系染料、サリチル酸金属化合物、アルキルサリチル酸金属化合物、カーリックスアレン化合物などが使用される。この荷電制御材は、バインダー樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部の割合で用いることが好ましい。更に、バインダー樹脂に含有される離型材については、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、カルナバワックス、サゾールワックス等が単独あるいは2種類以上組合せて使用されており、バインダー樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部の割合で用いることが好ましい。
【0047】
又、トナーに外添する粒子(外添剤)は、流動性改善を目的とするものであり、例えば、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム等が使用され、特にシランカップリング剤やチタンカップリング剤やシリコンオイル等で撥水化したものが好ましい。そして、この外添剤となる流動化剤は、トナー100重量部に対して0.1〜5重量部の割合で添加されることが好ましく、外添剤の個数平均一次粒径は10〜100nmであることが好ましい。
【0048】
キャリアは、バインダー型キャリアやコート型キャリア等が使用され、そのキャリア粒径としては、限定されるものではないが、15〜100μmが好ましい。そして、トナーとキャリアの混合比は、所望のトナー帯電量が得られるように調整されれば良く、トナーとキャリアの合計量に対するトナー比を、3〜30重量%とすることで、好適に調整される。又、トナー比は、4〜20重量%とすることが更に好ましい。
【0049】
ところで、バインダー型キャリアは、磁性体微粒子をバインダー樹脂中に分散させたものであり、キャリア表面に正または負帯電性の帯電性微粒子を固着させたり、表面コーティング層を設けることでも構成される。バインダー型キャリアの帯電特性は、バインダー樹脂の材質、帯電性微粒子、表面コーティング層の種類によって制御される。そして、バインダー樹脂は、ポリスチレン系樹脂に代表されるビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂等が使用される。
【0050】
バインダー型キャリアに分散される磁性体微粒子として、例えば、マグネタイト、ガンマ酸化鉄等のスピネルフェライトや、鉄以外の金属(マンガン、ニッケル,マグネシウム,銅等)を一種または二種以上含有するスピネルフェライトや、バリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライトや、表面に酸化鉄を有する鉄や合金の粒子等が用いられる。このとき、高磁化を要する場合、鉄系の強磁性微粒子を用いることが好ましい。一方、化学的な安定性を考慮する場合は、スピネルフェライトやマグネトプランバイト型フェライトといった強磁性微粒子を用いることが好ましい。そして、強磁性微粒子の種類及び含有量を適宜選択することで、所望の磁化を有するキャリアを得ることができる。又、磁性体微粒子の形状は、粒状、球状、針状のいずれであってもよい。更に、磁性体微粒子は、キャリア中に50〜90重量%の量で添加することが適当である。
【0051】
表面に帯電性微粒子又は導電性微粒子を固着させたバインダー型キャリアの場合、例えば、キャリア表面において磁性樹脂キャリアに上記微粒子を均一に混合して付着させた後に、機械的・熱的な衝撃力を与えることで、キャリア表面の磁性樹脂キャリア中に上記微粒子を打ち込むようにして固定させる。このとき、微粒子は磁性樹脂キャリア中に完全に埋設されるのではなく、その一部を磁性樹脂キャリア表面から突き出すようにして固定される。
【0052】
そして、微粒子に帯電性微粒子を使用する場合、有機系又は無機系の絶縁性材料が用いられる。具体的には、例えば、ポリスチレン、スチレン系共重合物、アクリル樹脂、各種アクリル共重合物、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂及びこれらの架橋物などの有機絶縁性微粒子を用い、その素材、重合触媒、表面処理等を適宜選択することで、キャリアの帯電レベルおよび極性を希望するものに設定できる。又、無機系微粒子としては、例えば、シリカ、二酸化チタン等といった負帯電性の無機微粒子や、チタン酸ストロンチウム、アルミナ等といった正帯電性の無機微粒子が用いられる。
【0053】
又、表面コーティング層を設けたバインダー型キャリアの場合、表面コーティング層を形成する表面コート材として、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂等が用いられる。このように、樹脂材を表面にコートして硬化させた表面コーティング層を形成することで、帯電付与能力を向上できる。
【0054】
一方、コート型キャリアは、磁性体からなるキャリアコア粒子をコート樹脂で被覆して構成するキャリアであり、コート型キャリアにおいてもバインダー型キャリア同様、キャリア表面に正または負帯電性の帯電性微粒子を固着させることができる。そして、コート型キャリアの極性等の帯電特性は、表面コーティング層の種類や帯電性微粒子の種類により制御され、その材料として、バインダー型キャリアと同様の材料を用いることができる。又、キャリアコア粒子を被覆するコート樹脂については、バインダー型キャリアのバインダー樹脂と同様の樹脂が使用される。
【0055】
感光体ドラム61は、
図4の一部断面に示すように、導電性支持体613の外周表面に、接着性を有する中間層614と、静電潜像を形成する感光層615とを順に積層した構成を有する。このうち、導電性支持体613は、導電性材料で構成されており、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレスなどの金属をドラムまたはシート状に成形したものや、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたものや、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したものや、導電性物質を単独またはバインダー樹脂と共に塗布して導電層を設けたものなどが挙げられる。
【0056】
中間層614は、感光層615を導電性支持体613に接着させる接着機能以外に、バリア機能を有している。この中間層614は、カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリウレタン及びゼラチン等のバインダー樹脂を溶媒に溶解させて導電性支持体613に浸漬塗布させる等して形成される。このとき、バインダー樹脂の中でもアルコール可溶性のポリアミド樹脂が好ましい。中間層の形成に使用可能な溶媒としては、前述した導電性微粒子や金属酸化物粒子等の無機微粒子を良好に分散させ、ポリアミド樹脂をはじめとするバインダー樹脂を溶解するものが好ましい。具体的には、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール等の炭素数2〜4のアルコール類が好ましく、ポリアミド樹脂に対して良好な溶解性と塗布性能を発現させる。又、保存性や無機微粒子の分散性を向上させるために、前記溶媒に対して助溶剤を併用するものとしてもよい。この助溶媒としては、例えば、メタノール、ベンジルアルコール、トルエン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0057】
塗布液形成時におけるバインダー樹脂の濃度は、中間層614の膜厚や塗布方式に合わせて適宜選択される。又、バインダー樹脂中に無機微粒子等を分散させる場合、バインダー樹脂に対する無機微粒子の混合割合は、バインダー樹脂100質量部に対して無機微粒子を20〜400質量部とすることが好ましく、50〜200質量部とすることがより好ましい。無機微粒子の分散手段は、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー、及び、ホモミキサー等が挙げられる。又、上記バインダー樹脂を導電性支持体613の外周表面に塗布した後に、熱乾燥を代表とする各種乾燥方法が適宜選択される乾燥工程を経て、中間層614が形成される。中間層614の膜厚は、0.1〜15μmとすることが好ましく、0.3〜10μmであることがより好ましい。
【0058】
感光体ドラム61表面の感光層615は、電荷発生機能を有する電荷発生層(CGL)615aと、電荷輸送機能を有する電荷輸送層(CTL)615bとを積層した機能分離型の層構成を備える。感光層615を機能分離型の層構成とすることで、連続使用に伴う残留電位の上昇を小さく制御できる他、各種の電子写真特性を目的に合わせて制御し易くなる。感光体ドラム61が負帯電性である場合、
図3に示すように、中間層614の上に電荷発生層615aを積層した上に、更に電荷輸送層615bを積層する構成となる。一方、感光体ドラム61が正帯電性である場合、中間層614の上に電荷輸送層615bを積層した上に、電荷発生層615aを積層する構成となる。尚、感光層615は、機能分離構造を有する負帯電感光体とすることが好ましいが、電荷発生機能と電荷輸送機能を1つの層に付与した単層構造としても構わない。
【0059】
感光層615のうちの電荷発生層615aは、電荷発生物質とバインダー樹脂を含有している。電荷発生物質としては、例えば、スーダンレッドやダイアンブルー等のアゾ原料、ピレンキノンやアントアントロン等のキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴ及びチオインジゴ等のインジゴ顔料、フタロシアニン顔料等が挙げられる。又、バインダー樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、並びにこれらの樹脂の内2つ以上を含む共重合体樹脂(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂)及びポリビニルカルバゾール樹脂等が挙げられる。
【0060】
電荷発生層615aは、例えば、バインダー樹脂を溶剤で溶解した溶液中に分散機を用いて電荷発生物質を分散して塗布液を調製し、塗布液を塗布機で一定の膜厚に塗布し、塗布膜を乾燥し、感光層615の一部として形成される。このとき、電荷発生層615a形成のための溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン及びジエチルアミン等を挙げられる。
【0061】
又、バインダー樹脂への電荷発生物質の分散手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー及びホモミキサー等が使用できる。このとき、バインダー樹脂に対する電荷発生物質の混合割合は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質1〜600質量部が好ましく、50〜500部がより好ましい。電荷発生層615aの層厚は、0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜3μmであることがより好ましい。尚、電荷発生層615a用の塗布液は塗布前に異物や凝集物を濾過することで画像欠陥の発生を防ぐことができる。又、電荷発生物質となる顔料を真空蒸着することによっても、電荷発生層615aを形成できる。
【0062】
一方、電荷輸送層615bは、電荷輸送物質とバインダー樹脂を含有している。電荷輸送物質としては、例えば、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン及びポリ−9−ビニルアントラセン等の化合物を単独あるいは2種類以上混合したものが挙げられる。
【0063】
又、電荷輸送層用のバインダー樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂等が挙げられる。これらの樹脂材料のうち、ポリカーボネート樹脂が好ましく、耐クラック性、耐磨耗性、帯電特性の観点から、ビスフェノールA(BPA)、ビスフェノールZ(BPZ)、ジメチルBPA、BPA−ジメチルBPA共重合体等のタイプのポリカーボネート樹脂が更に好ましい。
【0064】
電荷輸送層615bは、電荷発生層615aと同様、上述した溶媒を用いた塗布方法で形成できる。このとき、バインダー樹脂と電荷輸送物質の混合比率は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷輸送物質を10〜500質量部とすることが好ましく、20〜100質量部とすることがより好ましい。電荷輸送層615bの層厚は、5〜60μmであることが好ましく、10〜40μmであることがより好ましい。又、電荷輸送層615b中には、酸化防止剤を添加することが可能で、例えば、特開2000−305291号公報記載の酸化防止剤が使用できる。
【0065】
上述したように、感光体ドラム61を構成する中間層614、電荷発生層615a、及び電荷輸送層615b等の各層は、公知の塗布方法により導電性支持体613の外周面に形成できる。この塗布方法としては、具体的に、浸漬塗布法、スプレー塗布法、スピンナー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ビーム塗布法、円形量規制型塗布法等が挙げられる。感光体ドラム61における各層形成のための塗布方法は、1種類に限定されるものでなく、複数種類の方法又は複数回の塗布を組み合わせるものであってもよい。
【0066】
<帯電用制御ブロック>
上述のように構成される作像部51において、帯電器62が感光体ドラム61表面に均一に帯電させるべく、
図5に示すように、帯電ローラー621は、直流電圧に交流電圧を重畳させた電圧が電源部100により印加される。電源部100は、感光体ドラム61を帯電させる帯電電圧となる直流電圧Vgを印加する直流電源部101と、直流電源回路101の直流電圧Vgに交流電圧を重畳させる交流電源部102と、帯電ローラー621を流れる電流値を測定する電流測定部103とを備える。
【0067】
制御部110は、装置本体2の各部を制御するものであり、帯電器62への印加電圧を設定するべく、電源部100へも制御信号を与えている。この帯電器62への印加電圧を設定するために、制御部110は、直流電源部101による直流電圧Vgと、交流電源部102による交流電圧のピーク間電圧Vppとを設定する。制御部110は、所定のタイミングで、感光体ドラム61及び帯電ローラー621間で放電させるピーク間電圧Vppの最低値Vth(以下、「放電開始電圧」と呼ぶ)を検出し、交流電源部102による帯電器62への印加する交流電圧のピーク間電圧(以下、「帯電用電圧」と呼ぶ)を設定する。
【0068】
制御部110は、放電開始電圧を検出する際、装置本体2内の温湿度環境を測定する温度センサー112及び湿度センサー113(環境検知部)の測定値に基づき、放電開始電圧測定用の印加電圧(以下、「測定用電圧」と呼ぶ)を設定する。そして、制御部110は、メモリ111に記憶されているデータテーブル等を参照して、交流電源部102による交流電圧のピーク間電圧を低電圧から高電圧に段階的に変化させるとともに、電流測定部103で測定された電流値を受け、感光体ドラム51及び帯電ローラー621を流れる交流電流の電流値を検出する。
【0069】
これにより、制御部110は、交流電源部102による交流電圧が放電開始電圧より低い場合は、帯電ローラー621と感光体ドラム61の接触抵抗に基づくニップ電流による電流値を検出する。一方、制御部110は、交流電源部102による交流電圧が放電開始電圧より高い場合は、感光体ドラム51及び帯電ローラー621間のニップ電流に感光体ドラム51及び帯電ローラー621間の放電電流を加えた電流値を検出する。そして、制御部110は、交流電源部102による交流電圧を変化させて上記のように測定した電流値に基づいて、放電開始電圧Vthを算出し、メモリ111に記憶させる。
【0070】
制御部110は、上記画像形成装置1の印刷動作を実行する際、メモリ111に記憶された放電開始電圧Vthと、温度センサー112及び湿度センサー113により測定された装置本体2内の温湿度環境に基づいて、交流電源部102による帯電用電圧Vacを設定する。従って、制御部110は、設定した帯電用電圧Vacによる交流電圧(振幅Vac/2の交流電圧)を交流電源部102から出力すると同時に、直流電源部101から直流電圧Vgを出力するように、電源部100に対して制御信号を与える。これにより、電源部100からは、直流電源部101の直流電圧Vgを中心電圧として、Vac/2を振幅とする交流電圧(Vg±Vac/2の交流電圧)が出力され、帯電ローラー621に印加される。
【0071】
尚、制御部110は、Y、M、C、K各色の帯電ローラー621に印加させる帯電電圧について、上記した帯電用電圧設定動作を行うものとしてもよい。これにより、Y、M、C、K各色の帯電ローラー621に対して、対応する感光体ドラム61それぞれの状態に応じた帯電電圧を設定できる。又、以下の各実施形態では、上記構成及び動作を共通とし、放電開始電圧の検出動作を特徴とするものである。従って、以下の各実施形態では、制御部110による放電開始電圧の検出動作を中心に説明する。
【0072】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態の画像形成装置について、図面を参照して以下に説明する。
図6は、本実施形態の画像形成装置におけるメモリに記憶させるテーブルの構成を示す図である。
図7及び
図8は、放電開始電圧算出のための電流値測定における測定用電圧の遷移タイミングを表すタイミングチャートである。
図9は、放電開始電圧の算出方法を説明するための測定用電圧と測定電流値との関係を示すグラフである。
【0073】
本実施形態の画像形成装置1は、
図6に示すように、メモリ111に、装置本体2における環境値(装置内温度や装置内湿度等)に応じた測定用電圧Vppを記憶している測定用電圧設定テーブル(第1設定テーブル)DT1と、制御部110で算出した放電開始電圧Vthを補正するための放電開始電圧用補正値(第1補正値)Vxを記憶している放電開始電圧補正テーブル(第1補正テーブル)DT2と、2回目以降の測定用電圧Vppの基準値Vpp0を設定するための基準電圧用補正値(第2補正値)Vyを記憶している測定用電圧補正テーブル(第2補正テーブル)DT3と、2回目以降の測定用電圧Vppを設定するための測定用電圧設定テーブル(第2設定テーブル)DT4とを格納している。
【0074】
メモリ111は、上記テーブルDT1〜DT4を格納しているテーブル記憶領域とは別に、制御部110で得られた放電開始電圧Vthや帯電用電圧Vacを記憶するための設定値記憶領域や、制御部110で放電開始電圧Vth及び帯電用電圧Vacを算出するための演算領域等を有する。尚、メモリ111は、テーブル記憶領域、設定値記憶領域、及び演算領域全てを備えるものであってもよいし、それぞれの領域に対応させて別体とするものであってもよい。
【0075】
上記メモリ111を備える画像形成装置1は、例えば、装置本体2の電源をONとしたときや、所定の印字枚数を超えたとき(例えば、連続起動中に500枚以上を印字したとき)や、装置本体2の環境値の変化量が閾値を超えたとき等といった所定タイミングにより、制御部110による放電開始電圧Vthの測定動作を開始する。制御部110は、測定動作が初回であることを確認すると、温度センサー112及び湿度センサー113それぞれにより測定された環境値(装置内温度及び装置内湿度)を受けるとともに、環境値に対応した測定用電圧Vpp1〜Vpp8を、第1設定テーブルDT1より読み出す。即ち、測定用電圧Vpp1〜Vpp8は、環境値Snに応じたVpp1に対して、Vpp2=Vpp1+ΔV1、Vpp3=Vpp2+ΔV1、Vpp4=Vpp3+ΔV1、Vpp5=Vpp4+ΔV2(ΔV2>ΔV1)、Vpp6=Vpp5+ΔV1、Vpp7=Vpp6+ΔV1、Vpp8=Vpp7+ΔV1のように設定される。
【0076】
尚、
図6に示す例においては、ΔV1=100V、ΔV2=300Vとするとともに、環境値S1〜S4それぞれに対して、Vpp1が、1300V、1200V、1100V、1100Vに設定されている。又、測定用電圧Vpp1〜Vpp8は、装置内温度又は装置内湿度が最低となる場合は、環境値S1対応の値に設定され、装置内温度又は装置内湿度が最高となる場合は、環境値S4対応の値に設定される。そして、測定用電圧Vpp1〜Vpp8は、装置内温度及び装置内湿度が通常の温湿度環境である場合は、環境値S3対応の値に設定される。又、環境値S1〜S4はそれぞれ、数値が小さい方が、帯電ローラー621の抵抗が高くなる装置内環境を表し、数値が大きい方が、帯電ローラー621の抵抗が低くなる装置内環境を表す。
【0077】
このようにして、制御部110は、測定用電圧Vpp1〜Vpp8を設定すると、電源部100へ制御信号を与えて、交流電源部102より供給させる交流電圧のピーク間電圧を、最小値となる測定用電圧Vpp1から最大値となる測定用電圧Vpp8まで、段階的に変化させ、直流電源部101による直流電圧Vgに重畳させる。即ち、
図7に示すように、制御部110が測定動作を開始すると、交流電源部102からの交流電圧を測定用電圧Vpp1に設定する。そして、交流電源部102からの交流電圧を測定用電圧Vpp1としてから所定時間T1(例えば、100m秒)経過した後に、制御部110は、電流測定部103で測定された電流値を取得する。制御部110は、
図7及び
図8に示すように、測定電流値の取得を開始すると、所定時間T2(例えば、5m秒)間隔で、N回(例えば、120回)連続して、電流測定部103より測定電流値を受ける。
【0078】
制御部110は、測定用電圧Vpp1でN回分の測定電流値を取得すると、取得した測定電流値の平均値Iac1を算出する。このとき同時に、制御部110は、
図7に示すように、交流電源部102より供給させる交流電圧のピーク間電圧を、測定用電圧Vpp2に切り換える。制御部110は、
図7及び
図8に示すように測定用電圧Vpp2に切り換えてから所定時間T1の経過後に、所定時間T2間隔でN回連続して、電流測定部103より測定電流値を受ける。そして、制御部110は、取得したN回分の測定電流値の平均値Iac2を算出するとともに、交流電源部102からの交流電圧のピーク間電圧を、測定用電圧Vpp3に切り換える。
【0079】
その後、制御部110は、時間T1+T2×N毎に、交流電源部102より供給させる交流電圧のピーク間電圧を、測定用電圧Vpp3から測定用電圧Vpp8まで段階的に切り換え、測定用電圧Vpp3〜Vpp8としたときのN回分の測定電流値の平均値Iac3〜Iac8を算出する。尚、測定電流値の取得間隔T2は、測定電流値の分解能に基づいて設定される値であり、取得回数Nは、帯電ローラー621が時間T2×Nで1回転以上回転できる値に設定される。
【0080】
制御部110は、上述のようにして、測定用電圧Vpp1〜Vpp8それぞれにおける測定電流値の平均値Iac1〜Iac8を算出すると、
図9に示すような測定用電圧Vpp1〜Vpp8と平均測定電流値Iac1〜Iac8との関係に基づいて、放電開始電圧Vthを算出する。即ち、測定用電圧Vpp1〜Vpp4を放電開始前電圧として、平均測定電流値Iac1〜Iac4との関係により、帯電電圧とニップ電流との関係を表す直線L1を最小二乗法を用いて求める。又、測定用電圧Vpp5〜Vpp8を放電開始後電圧として、平均測定電流値Iac5〜Iac8との関係により、帯電電圧とニップ電流及び放電電流との関係を表す直線L2を最小二乗法を用いて求める。
【0081】
制御部110は、上述のようにして、測定用電圧Vpp1〜Vpp8と平均測定電流値Iac1〜Iac8に基づいて、
図9のグラフにおける直線L1,L2を求めると、求めた直線L1,L2の交点位置X1の帯電電圧を算出する。そして、制御部110は、算出した交点位置X1の帯電電圧を、放電開始電圧Vthとする。又、制御部110は、放電開始電圧Vthを算出した後、第1補正テーブルDT2を参照して、環境値Snに基づく第1補正値Vxを読み出して、放電開始電圧Vthを第1補正値Vxにより補正した値Vth+Vxを環境補正放電開始電圧Vth1[1]として、メモリ111に記憶させる。尚、
図6の例における第1補正テーブルDT2においては、環境値S1に対して第1補正値Vxを−200Vとし、環境値S2に対して第1補正値Vxを−100Vとし、環境値S3,S4に対して第1補正値Vxを0Vとする。
【0082】
更に、制御部110は、算出した環境補正放電開始電圧Vth1[1]に基づいて、交流電源部102による交流電圧のピーク間電圧である帯電用電圧Vacを設定する。この帯電用電圧Vacは、感光体ドラム61と帯電ローラー621間で放電を発生させる電圧値であり、環境補正放電開始電圧Vth1[1]に対して所定電圧ΔVを加算した電圧値Vth1[1]+ΔVとされるものであっても構わないし、環境補正放電開始電圧Vth1に対して所定係数K(K>1)を乗じた電圧値K×Vth1[1]とされるものであっても構わない。制御部110は、設定した帯電用電圧Vacをメモリ111に記憶するとともに、設定した帯電用電圧Vacをピーク間電圧とする交流電圧を帯電ローラー621に印加するように、交流電源部102を制御する。
【0083】
上記のようにして、制御部110は、初回の測定動作においては、第1設定テーブルDT1及び第1補正テーブルDT2を参照することで、環境値Snに応じた環境補正放電開始電圧Vth1[1]を算出するとともに、帯電用電圧Vacを設定する。これに対して、2回目以降の測定動作となる場合、第2補正テーブルDT3及び第2設定テーブルDT4を参照するとともに、前回の測定動作で得られた環境補正放電開始電圧Vth1[n−1]と環境値Snを活用して、環境補正放電開始電圧Vth1[n]を算出するとともに、帯電用電圧Vacを設定する。
【0084】
2回目以降の測定動作となるとき、制御部110は、メモリ111に記憶した前回の環境補正放電開始電圧Vth1[n−1]を読み出し、前回測定電圧Vth2[n]とする。そして、制御部110は、温度センサー112及び湿度センサー113それぞれにより測定された環境値Snを受け、メモリ111の第2補正テーブルDT3を参照して、環境値Snに対応する第2補正値Vyを読み出し、前回測定電圧Vth2[n]に加算し、測定用電圧Vppの基準値Vpp0(=Vth2[n]+Vy)を算出する。尚、
図6の例における第2補正テーブルDT3においては、環境値S1に対して第2補正値Vyを+200Vとし、環境値S2に対して第1補正値Vxを+100Vとし、環境値S3,S4に対して第2補正値Vyを0Vとする。
【0085】
制御部110は、測定用電圧基準値Vpp0を算出すると、第2設定テーブルT4を参照して、Vpp1a<Vpp2a<Vpp0<Vpp3a<Vpp4aの関係を有する測定用電圧Vpp1a〜Vpp4aを取得する。このとき、測定用電圧Vpp1aが、基準値Vpp0より電圧ΔV1aだけ減じた値Vpp0−ΔV1aに、測定用電圧Vpp2aが、基準値Vpp0より電圧ΔV2aだけ減じた値Vpp0−ΔV2a(ΔV1a>ΔV2a)に、測定用電圧Vpp3aが、基準値Vpp0に電圧ΔV3aだけ加算した値Vpp0+ΔV3aに、測定用電圧Vpp4aが、基準値Vpp0に電圧ΔV4aだけ加算した値Vpp0+ΔV4a(ΔV4a>ΔV3a)に、それぞれ設定される。尚、
図6の例では、測定用電圧基準値Vpp0を中心値とし、ΔV1a=ΔV4a=200V、ΔV2a=ΔV3a=100Vとしている。
【0086】
制御部110は、2つの放電開始前電圧となる測定用電圧Vpp1a,Vpp2aと、2つの放電開始後電圧となる測定用電圧Vpp3a,Vpp4aとを設定すると、
図10に示すように、測定用電圧Vpp1aから順に、交流電源部102より供給させる交流電圧のピーク間電圧を切り換える。このとき、制御部110は、測定用電圧を切り換える毎に、初回の測定動作と同様、切換直後から所定時間T1経過後に、時間T2間隔でN回連続して、電流測定部103による測定電流値を取得する。又、制御部110は、初回の測定動作と同様、測定用電圧Vpp1〜Vpp4それぞれについて、取得したN回分の測定電流値の平均値Iac1a〜Iac4aを算出する。
【0087】
制御部110は、上述のようにして、測定用電圧Vpp1a〜Vpp4aそれぞれにおける測定電流値の平均値Iac1a〜Iac4aを算出すると、
図11に示す関係に基づいて、放電開始電圧Vthを算出する。即ち、放電開始前電圧となる測定用電圧Vpp1a,Vpp2aと、平均測定電流値Iac1a,Iac2aとの関係により、帯電電圧とニップ電流との関係を表す直線L1aを最小二乗法を用いて求める。又、放電開始後電圧となる測定用電圧Vpp3a,Vpp4aと、平均測定電流値Iac3a,Iac4aとの関係により、帯電電圧とニップ電流及び放電電流との関係を表す直線L2aを最小二乗法を用いて求める。
【0088】
その後、制御部110は、
図11のグラフにおける直線L1a,L2aの交点位置X1aの帯電電圧を算出し、放電開始電圧Vthとする。制御部110は、放電開始電圧Vthを算出した後、第1補正テーブルDT2を参照して、環境値Snに基づく第1補正値Vxを読み出して、放電開始電圧Vthを第1補正値Vxにより補正した値Vth+Vxを環境補正放電開始電圧Vth1[n]として、メモリ111に記憶させる。更に、制御部110は、算出した環境補正放電開始電圧Vth1[n]に基づいて、交流電源部102による交流電圧のピーク間電圧である帯電用電圧Vacを設定し、電源部100による印加動作を制御する。
【0089】
このように、2回目以降の測定動作においては、放電開始前電圧及び放電開始後電圧による測定点を、それぞれ2点に設定するため、初回の測定動作よりも短時間で、交流電源部102による交流電圧のピーク間電圧である帯電用電圧Vacを設定できる。尚、2回目以降の測定動作における、放電開始前電圧及び放電開始後電圧による測定点は、初回の測定動作における測定点よりも少なければよく、例えば、初回の測定動作の測定点がY1点となる場合、2回目以降の測定動作における測定点は2点以上(Y1−1)点以下であればよい。
【0090】
又、本実施形態において、2回目以降の測定動作を行う際、環境値Snに対応する第2補正値Vyを読み出し、前回測定電圧Vth2[n](=Vth1[n−1])に加算して、測定用電圧基準値Vpp0を算出するものとしたが、3回目以降の測定動作を行う場合は、前回測定電圧Vth2[n]だけでなく、前々回測定電圧Vth3[n](=Vth1[n−2])をも演算に利用するものとしても構わない。即ち、3回目以降の測定動作において、例えば、前回測定電圧Vth2[n]に第2補正値Vyを加算した第1基準値Vpp0a(=Vth2[n]+Vy)と、前々回測定電圧Vth3[n]に第2補正値Vyを加算した第2基準値Vpp0b(=Vth3[n]+Vy)とを算出する。その後、第1及び第2基準値Vpp0a,Vpp0bの平均値を、測定用電圧基準値Vpp0とするものとしても構わないし、第1及び第2基準値Vpp0a,Vpp0bを加重平均した値を、測定用電圧基準値Vpp0とするものとしても構わない。
【0091】
更に、上述のように、3回目以降の測定動作においては、前回2回分の環境補正放電開始電圧を利用して測定用電圧基準値Vpp0を算出するように、測定動作毎に履歴として記憶させた複数の環境補正放電開始電圧を利用して、測定用電圧基準値Vpp0を算出するものとしても構わない。このとき、測定用電圧基準値Vpp0を算出するために、メモリ111に記憶した環境補正放電開始電圧の履歴分全てを読み出すものとしても構わないし、例えば、前回3回分のように所定数の環境補正放電開始電圧を読み出すものとしても構わない。
【0092】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態の画像形成装置について、図面を参照して以下に説明する。
図12は、本実施形態の画像形成装置におけるメモリに記憶させるテーブルの構成を示す図である。尚、本実施形態において、第1の実施形態と同一の構成部分や動作については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0093】
本実施形態の画像形成装置1は、
図12に示すように、第1の実施形態(
図6参照)と同様、メモリ111に、測定用電圧設定テーブル(第1設定テーブル)DT1、放電開始電圧補正テーブル(第1補正テーブル)DT2、測定用電圧補正テーブル(第2補正テーブル)DT3、及び、測定用電圧設定テーブル(第2設定テーブル)DT4を格納するとともに、感光体ドラム61の回転数に応じて帯電用電圧Vacを補正する帯電電圧用補正値(第3補正値)Vzを記憶している帯電用電圧補正テーブル(第3補正テーブル)DT5を更に格納している。
【0094】
本実施形態の画像形成装置1は、第1の実施形態と同様にして、所定タイミング毎に、制御部110により、直流電圧Vgに重畳させる交流電圧のピーク間電圧を変化させて、放電開始電圧Vthの測定動作を行う。そして、初回の測定動作において、制御部110は、第1設定テーブルDT1を参照して電源部100を動作させた際の測定結果に基づき、放電開始電圧Vthを算出する(
図9参照)。一方、2回目以降の測定動作において、制御部110は、第2補正テーブルDT3及び第2設定テーブルDT4を参照して電源部100を動作させた際の測定結果に基づき、放電開始電圧Vthを算出する(
図11参照)。
【0095】
その後、制御部110は、第1の実施形態と同様、第1補正テーブルDT2を参照して、取得した放電開始電圧Vthを環境値Snに応じて補正した環境補正開始電圧Vth1[n]を算出する。そして、制御部110は、得られた環境補正開始電圧Vth1[n]をメモリ111に記憶させるとともに、環境補正放電開始電圧Vth1[n]に基づいて、交流電源部102による交流電圧のピーク間電圧である帯電用電圧Vacを設定する。
【0096】
ところで、感光体ドラム61は、
図13のグラフにおける実線に示すように、初期状態では感光層615の膜厚が、厚さM1μmで感光体ドラム61の軸方向に沿ってほぼ均一となっている。しかしながら、画像形成装置1における印刷動作等により、感光体ドラム61が回転すると、感光体ドラム61表面が摩耗するため、感光体ドラム61の回転回数が多くなるにつれ、感光層615の膜厚は薄くなる。一方、感光体ドラム61表面の各位置において、形成される画像に応じて堆積されるトナー量が異なる等の理由から、
図13のグラフにおける一点鎖線に示すように、感光層615の平均膜厚が厚さM2(M2<M1)μmと薄くなったとき、感光体ドラム61の軸方向に沿って、感光層615の膜厚が不均一となる。
【0097】
即ち、感光体ドラム61の回転数が多くなることにより、感光層615の膜厚が薄くなると同時に、感光体ドラム61の軸方向に沿ってバラツキが生じる。この感光体ドラム61における感光層615の膜厚のバラツキ(偏差)により、画像形成時(印刷処理時)において、上記のように設定した帯電用電圧Vacで帯電ローラー621に印加させた場合、感光層615の膜厚が厚くなる箇所で帯電不良が生じることがある。
【0098】
本実施形態では、画像形成時(印刷処理時)において、制御部110は、感光体ドラム61の回転数から感光層615の膜厚偏差を予測し、画像形成時(印刷処理時)における帯電用電圧Vacを感光体ドラム61における感光層615の最大膜厚に合わせた値に補正する。従って、画像形成時に、感光体ドラムの膜厚偏差に応じて補正された帯電用電圧Vac1が、制御部110から電源部100に通知されることとなる。これにより、電源部100により帯電ローラー621に印加される交流電圧が、感光体ドラム61における感光層615の最大膜厚箇所においても放電可能な振幅Vac1/2となる。
【0099】
この画像形成時における帯電用電圧Vacの補正処理について、以下に説明する。印刷処理(画像形成)が開始されると、制御部110は、感光体ドラム61の回転数を確認する。このとき、制御部110は、例えば、感光体ドラム61に回転動力を与えるモーター(不図示)の動作時間を計時するとともに、該モーターの回転数を計数し、該モーターの動作軸間及び回転数と感光体ドラム61のドラム径とによる演算を行い、感光体ドラム61の回転数を取得する。この感光体ドラム61の回転数は、制御部110で演算する度にメモリ111に記憶されるものとしてもよい。
【0100】
制御部110は、メモリ111における第3補正テーブルDT5を参照して、取得した感光体ドラム61の回転数に基づき、第3補正値Vzを取得するとともに、メモリ111に記憶している帯電用電圧Vacを読み出す。尚、
図12の例における第3補正テーブルDT5においては、感光体ドラム61の回転数が400,000回転(400krot)未満では、第3補正値Vzを0Vとするとともに、感光体ドラム61の回転数が400,000回転以上となると、第3補正値Vzを15Vとし、更に、感光体ドラム61の回転数が100,000回転分増える毎に、第3補正値Vzを5Vずつ高い値とし、感光体ドラム61の回転数が800,000回転以上となると、第3補正値Vzを35Vとする。
【0101】
そして、制御部110は、帯電用電圧Vacを第3補正値Vzを加算して補正した値Vac+Vzを、膜厚補正帯電用電圧Vac1として、電源部100に通知する。従って、交流電源部102は、ピーク間電圧を膜厚補正帯電用電圧Vac1とする交流電圧を出力する。即ち、電源部100からは、直流電源部101の直流電圧Vgを中心電圧として、Vac1/2を振幅とする交流電圧(Vg±Vac1/2の交流電圧)が出力され、帯電ローラー621に印加される。
【0102】
尚、本実施形態では、制御部110が、感光層615の膜厚の偏差を感光体ドラム61の回転数から予測するものとし、メモリ111が
図12に示す第3補正テーブルDT5を格納するものとしたが、算出した放電開始電圧Vthに基づき、感光層615の膜厚の偏差を予測するものとしても構わない。即ち、感光層615の膜厚が薄くなると、放電開始電圧Vthは低くなるため、放電開始電圧Vthが低いと、感光層615の膜厚の偏差が大きくなるものと予測する。
【0103】
このとき、例えば、
図14のように、メモリ111が、上述の第3補正テーブルDT5の代わりに、第3補正テーブルDT5aを格納する。そして、制御部110は、初回測定時の放電開始電圧Vth0を基準とするとともに、2回目以降の測定で取得した放電開始電圧Vthを取得したとき、第3補正テーブルDT5aを参照することで、放電開始電圧Vthにおける基準電圧Vth0からの低下量に基づき、第3補正値Vzを取得するものとしてもよい。
【0104】
図14の例では、放電開始電圧Vthにおける基準電圧Vth0からの低下量が150V未満のとき、第3補正値Vzを0Vとするとともに、放電開始電圧Vthにおける基準電圧Vth0からの低下量が150V以上となると、第3補正値Vzを15Vとし、更に、放電開始電圧Vthにおける基準電圧Vth0からの低下量が50V増える毎に、第3補正値Vzを5Vずつ高い値とし、放電開始電圧Vthにおける基準電圧Vth0からの低下量が400V以上となると、第3補正値Vzを35Vとする。又、
図15の第3補正テーブルDT5bのように、放電開始電圧Vthにおける基準電圧Vth0を固定値(
図15の例では1800V)とするものであってもよい。
【0105】
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態の画像形成装置について、図面を参照して以下に説明する。
図16は、本実施形態の画像形成装置におけるメモリに記憶させるテーブルの構成を示す図である。尚、本実施形態において、第1の実施形態と同一の構成部分や動作については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0106】
本実施形態の画像形成装置1は、
図16に示すように、第1の実施形態(
図6参照)と同様、メモリ111に、測定用電圧設定テーブル(第1設定テーブル)DT1、放電開始電圧補正テーブル(第1補正テーブル)DT2、測定用電圧補正テーブル(第2補正テーブル)DT3、及び、測定用電圧設定テーブル(第2設定テーブル)DT4を格納するとともに、感光体ドラム61の回転数に応じて測定時の直流電圧Vg1を設定する測定用電圧設定テーブル(第3設定テーブル)DT6を更に格納している。
【0107】
本実施形態では、第1及び第2の実施形態と異なり、放電開始電圧Vthの測定動作時において、感光体ドラム61における感光層615の膜厚に基づき、直流電源部102からの直流電圧を変化させる。即ち、制御部110は、所定タイミング毎に、放電開始電圧Vthの測定動作を行うとき、感光体ドラム61の回転数を確認し、第3設定テーブルDT6を参照して、直流電源部102からの直流電圧(測定用直流電圧)の絶対値|Vg1|を設定する。この測定用直流電圧(絶対値)|Vg1|は、画像形成時(印刷処理時)において一定とされる直流電圧(印刷用直流電圧)の絶対値|Vg|を基準値として設定されるものであり、感光体ドラム61の回転数が増加するに従って絶対値が小さくなる値に設定される。
【0108】
尚、
図16の例における第3設定テーブルDT6においては、感光体ドラム61の回転数が400,000回転(400krot)未満では、測定用直流電圧(絶対値)|Vg1|を印刷用直流電圧(絶対値)|Vg|と同等とするとともに、感光体ドラム61の回転数が400,000回転以上となると、測定用直流電圧(絶対値)|Vg1|を電圧値(|Vg|−50)Vとし、更に、感光体ドラム61の回転数が100,000回転分増える毎に、測定用直流電圧Vg1を50Vずつ小さい値とし、感光体ドラム61の回転数が800,000回転以上となると、測定用直流電圧(絶対値)|Vg1|を(|Vg|−250)Vとする。
【0109】
本実施形態では、制御部110が、放電開始電圧Vthの測定動作を行うとき、感光体ドラム61の回転数が多くなるほど、測定用直流電圧(絶対値)|Vg1|を小さい値に設定する。このため、感光層615の膜厚が薄い場合に、放電開始電圧Vthの測定動作を行う際に、帯電用電圧Vacよりも大きいピーク電圧による交流電圧を交流電源部101から印加したとしても、感光体ドラム61と帯電ローラー621との電位差を下げることができる。従って、上記測定時に帯電用電圧Vacよりも大きいピーク電圧による交流電圧を交流電源部101から印加したとき、感光層615の膜厚が薄い場合であっても、感光体ドラム61に対するリーク電流の発生を抑制し、感光体ドラム61を傷つけることがなくなる。
【0110】
尚、本実施形態において、制御部110が、感光層615の膜厚を感光体ドラム61の回転数から予測するものとし、メモリ111が
図16に示す第3設定テーブルDT6を格納するものとしたが、算出した放電開始電圧Vthに基づき、感光層615の膜厚を予測するものとしても構わない。このとき、例えば、
図17のように、メモリ111が、上述の第3設定テーブルDT6の代わりに、第3設定テーブルDT6aを格納する。
【0111】
図17の例では、放電開始電圧Vthにおける基準電圧Vth0からの低下量が150V未満のとき、測定用直流電圧Vg1を−500Vとするとともに、放電開始電圧Vthにおける基準電圧Vth0からの低下量が150V以上となると、測定用直流電圧Vg1を−450Vとし、更に、放電開始電圧Vthにおける基準電圧Vth0からの低下量が50V増える毎に、測定用直流電圧Vg1を−50Vずつ高い値とし、放電開始電圧Vthにおける基準電圧Vth0からの低下量が400V以上となると、測定用直流電圧Vg1を−250Vとする。
【0112】
又、本実施形態では、感光体ドラム61における感光層615の膜厚に基づき、測定用直流電圧を段階的に変化させるものとしたが、感光層615の膜厚に関わらず、測定用直流電圧Vg1を、印刷用直流電圧Vgに対して、その絶対値が一定分だけ小さい値に設定されるものとしても構わない。例えば、測定用直流電圧(絶対値)|Vg1|が、印刷用直流電圧(絶対値)|Vg|に対して、常に200V程度小さい値に設定される。
【0113】
更に、本実施形態において、第2の実施形態と同様、メモリ111に帯電用電圧補正テーブル(第3補正テーブル)DT5を格納するものとし、画像形成時(印刷処理時)において、予測した感光層615の膜厚偏差に基づき、帯電用電圧Vacの値を補正するものとしてもよい。これにより、電源部100により帯電ローラー621に印加される交流電圧を、感光体ドラム61における感光層615の最大膜厚箇所においても放電可能な振幅Vac1/2とすることができる。
【0114】
又、本願発明における画像形成装置として、コピー機能、スキャナー機能、プリンター機能、ファックス機能を有するMFP(Multifunction Peripheral)であっても構わないし、プリンター、コピー機、ファクシミリ等であっても構わない。その他、各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。