特許第5971502号(P5971502)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5971502移動中継ノードのハンドオーバーのための方法、装置及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5971502
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】移動中継ノードのハンドオーバーのための方法、装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H04W 36/30 20090101AFI20160804BHJP
   H04W 36/32 20090101ALI20160804BHJP
   H04W 84/00 20090101ALI20160804BHJP
   H04J 11/00 20060101ALI20160804BHJP
   H04J 99/00 20090101ALI20160804BHJP
【FI】
   H04W36/30
   H04W36/32
   H04W84/00 110
   H04J11/00 Z
   H04J15/00
【請求項の数】14
【全頁数】42
(21)【出願番号】特願2014-561206(P2014-561206)
(86)(22)【出願日】2013年6月27日
(65)【公表番号】特表2015-526915(P2015-526915A)
(43)【公表日】2015年9月10日
(86)【国際出願番号】JP2013068310
(87)【国際公開番号】WO2014010493
(87)【国際公開日】20140116
【審査請求日】2014年12月19日
(31)【優先権主張番号】1212537.3
(32)【優先日】2012年7月13日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敬
(72)【発明者】
【氏名】ティーツ,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】パターソン,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ルイス,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】シャーマ,ヴィヴェック
【審査官】 松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−231467(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/041387(WO,A1)
【文献】 CATT,Key issues based on Alt1 relay,R3-120104,フランス,3GPP,2012年 1月31日,paragraph 2
【文献】 New Postcom,RN Initial Attachment Procedure,R3-102027,フランス,3GPP,2010年 8月15日,paragraph 2
【文献】 Huawei,Dual-Mobile Relay Solution Based on Alt-2 RN Architecture,R3-120853,フランス,3GPP,2012年 3月30日,paragraph 2
【文献】 LG Electronics Inc,Issues on the Handover Procedure for Mobile Relay,R3-112918,フランス,3GPP,2011年11月 5日,paragraph 2
【文献】 Potevio,DeNB identification in mobile relay handover procedure,R3-120195,フランス,3GPP,2012年 1月31日,paragraph 2
【文献】 Potevio,DeNB identification in mobile relay handover procedure,R3-120687,フランス,3GPP,2012年 3月30日,paragraph 2
【文献】 Potevio,DeNB identification in mobile relay handover procedure,R3-121104,フランス,3GPP,2012年 5月12日,paragraph 2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
H04J 11/00
H04J 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基地局を備える通信システムの基地局であって、該基地局によって現在サービングされている移動中継ノードのハンドオーバーを開始し、該基地局は、
前記移動中継ノードに前記通信システムへのアクセスを与えるように該基地局のサービングセルを前記移動中継ノードと関連付ける手段と、
少なくとも1つの更なる基地局を識別し、前記少なくとも1つの更なる基地局が、前記少なくとも1つの更なる基地局によって運用される少なくとも1つのセルを介して、前記移動中継ノードにドナーサービスを提供できることを指示する情報を得る手段と、
前記少なくとも1つの更なる基地局が前記移動中継ノードにドナーサービスを提供できることを指示する、前記得る手段によって得た前記情報に基づいて、前記移動中継ノードにドナーサービスを提供できる少なくとも1つのセルの測定を実行するように、前記移動中継ノードを構成する手段と、
前記移動中継ノードが前記サービングセルとは異なるセルにハンドオーバーする必要がある時点を判断する手段と、
前記移動中継ノードから前記測定の結果を受信する手段と、
受信した前記測定の結果に基づいて、前記得られた情報によって識別される前記少なくとも1つの更なる基地局の前記少なくとも1つのセルから、前記移動中継ノードの前記ハンドオーバーのためのターゲットセルを選択する手段と、
前記選択されたターゲットセルへの前記移動中継ノードのハンドオーバーを実行する手段と、
を備える、複数の基地局を備える通信システムの基地局。
【請求項2】
前記得る手段は、少なくとも1つのX2プロトコルメッセージを用いるように動作可能である請求項1に記載の基地局。
【請求項3】
前記少なくとも1つのX2プロトコルメッセージは、「X2設定要求」、「X2設定応答」及び「ENB構成更新」メッセージのうちの少なくとも1つを含む請求項2に記載の基地局。
【請求項4】
前記少なくとも1つのX2プロトコルメッセージは、前記移動中継ノードが動作することができる前記特定の基地局の各セルを識別する指示子(例えば、「MRNハンドオーバー許可」情報要素)を含む請求項2又は請求項3に記載の基地局。
【請求項5】
前記移動中継ノード構成手段は、ドナー対応セルの探索を構成するように動作可能である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基地局。
【請求項6】
前記移動中継ノード構成手段は、少なくとも1つのRRCプロトコルメッセージを用いて前記構成を実行するように動作可能である1〜5のいずれか一項に記載の基地局。
【請求項7】
前記少なくとも1つのRRCプロトコルメッセージは、接続再構成メッセージ(例えば、RRC接続再構成メッセージ)を含む、請求項6に記載の基地局。
【請求項8】
前記少なくとも1つのRRCプロトコルメッセージは、情報要素を含む、請求項6又は請求項7に記載の基地局。
【請求項9】
前記情報要素は、「MeasConfig」及び「近接指示」(例えば、「proximityIndicationEUTRA−RN」)情報要素の少なくとも1つを含む、請求項8に記載の基地局。
【請求項10】
複数の基地局を備える通信システムの移動中継ノードであって、該移動中継ノードをサービングする現在の基地局によってハンドオーバーターゲットセルを選択するための情報を与え、該移動中継ノードは、
ドナー基地局として動作する前記現在の基地局のサービングセルと協働する手段と、
前記移動中継ノードにドナーサービスを提供できる少なくとも1つの更なる基地局を識別する情報に基づく測定構成を、現在の基地局から受信する手段であって、前記測定構成に基づいて前記移動中継ノードにドナーサービスを提供できる少なくとも1つのセルの測定を実行するように前記移動中継ノードを構成する手段と、
前記現在の基地局に、前記測定の結果を含む少なくとも1つの測定報告を報告する手段と、
備える、複数の基地局を備える通信システムの移動中継ノード。
【請求項11】
請求項1〜のいずれか一項に記載の基地局と、請求項10に記載の移動中継ノードとを備えるシステム。
【請求項12】
複数の基地局を備える通信システム内の基地局によって、前記基地局によって現在サービングされている中継ノードのハンドオーバーを開始するように実行される方法であって、該方法は、
前記移動中継ノードに前記通信システムへのアクセスを与えるように前記基地局のサービングセルを前記移動中継ノードに関連付けることと、
少なくとも1つの更なる基地局を識別し、前記少なくとも1つの更なる基地局が、前記少なくとも1つの更なる基地局によって運用される少なくとも1つのセルを介して前記移動中継ノードにドナーサービスを提供することができることを指示する情報を得ることと、
前記移動中継ノードにドナーサービスを提供できる少なくとも1つの更なる基地局を示す、前記得る手段によって得た情報に基づいて、前記移動中継ノードにドナーサービスを提供できる少なくとも1つのセルの測定を実行するように前記移動中継ノードを構成することと、
前記移動中継ノードが前記サービングセルとは異なるセルへのハンドオーバーを必要とする時点を判断することと、
前記移動中継ノードから、前記測定の結果を受信することと、
受信した前記測定の結果に基づいて、前記移動中継ノードの前記ハンドオーバーのためのターゲットセルを選択することと、
前記選択されたターゲットセルへの前記移動中継ノードのハンドオーバーを実行することと、
を含む、複数の基地局を備える通信システム内の基地局によって、前記基地局によって現在サービングされている中継ノードのハンドオーバーを開始するように実行される方法。
【請求項13】
複数の基地局を備える通信システム内の移動中継ノードによって、前記移動中継ノードをサービングする現在の基地局によるハンドオーバーターゲットセル選択のための情報を与えるように実行される方法であって、該方法は、
ドナー基地局として動作している前記現在の基地局のサービングセルと協働することと、
前記移動中継ノードにドナーサービスを提供できる少なくとも1つの更なる基地局を識別する情報に基づく測定構成を、現在の基地局から受信して、前記測定構成に基づいて前記移動中継ノードにドナーサービスを提供できる少なくとも1つのセルの測定を実行するように、前記移動中継ノードを構成することと、
前記現在の基地局に、前記測定の結果を含む少なくとも1つの測定報告を報告することと、
を含方法。
【請求項14】
コンピュータープログラムであって、請求項1〜のいずれか一項に記載の基地局、又は請求項10に記載の移動中継ノードとしてプログラマブルコンピューターデバイスを構成させるコンピューター実施可能命令を含む、コンピュータープログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信デバイス又は固定通信デバイスに中継サービスを提供する通信システム及びその構成要素に関する。本発明は、限定はしないが、関連付けられる第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)標準規格の文書作成において現在定義されているような長期発展型(LTE)アドバンストシステムにおいて移動中継器のためのハンドオーバートリガー及び測定を提供することに特に関連する。
【背景技術】
【0002】
中継は、LTEアドバンストに関して、例えばユーザー機器(UE:User Equipment)のための高データレートのカバレッジ、一時的なネットワーク展開、セルエッジスループットを改善し、及び/又は新たなセルエリア内のカバレッジを提供するツールとみなされる。LTEアドバンストは、基地局(eNB)(ドナーeNB(DeNB:Donor eNB)と呼ばれる)に無線接続される中継ノード(RN:Relay Node)を有することによって中継をサポートする。自らの「ドナー」セルをサービングすることに加えて、ドナーeNBは発展型ユニバーサル陸上無線アクセス(E−UTRA:Evolved Universal Terrestrial Radio Access)無線インターフェースの修正版によって、RNをサービングする。修正されたインターフェースは「Un」インターフェースと呼ばれる。
【0003】
各RNは、基地局の機能の数多くの態様を与えられ、それゆえ、自らの「中継」セルをサービングする基地局としての役割を果たすことができる。それゆえ、中継セル内のユーザー機器(例えば移動電話等)の視点で見ると、RNは基本的に従来のLTE基地局であるように見える。しかしながら、基地局機能に加えて、RNは、ドナーeNBに無線接続できるようにするために、例えば、物理レイヤ機能、媒体アクセス制御(MAC:Medium Access Control)機能、無線リソース制御(RRC:Radio Resource Control)機能及び非アクセス層(NAS:Non Access Stratum)機能の数多くの態様を含む、UE機能のサブセットもサポートする。それゆえ、ドナーeNBの視点で見ると、RNは基本的に移動(セルラー)電話のようなユーザー機器のアイテムであるように見える。
【0004】
移動電話が通信システムによってカバーされるエリアの中を動き回るとき、信号状態と、要求されるサービスの品質レベル、用いられるサービスのタイプ、全体的なシステム負荷等の他の要件とに応じて、移動電話はセル(すなわち、基地局)間でハンドオーバーする。移動電話を新たなセルにハンドオーバーするためのトリガーは、個々の移動電話によって実行される隣接セルの測定に基づくことができる。トリガーのタイプ、及び移動電話によって実行されることになる関連する測定は、3GPP TS 36.331 v10.5.0標準規格のセクション5.5.4において詳述されている。詳細には、上記の標準規格は、基地局がそのセル(複数の場合もある)内のユーザー機器に対して構成することができる8つの異なるイベントタイプ(イベントA1〜A6、B1及びB2)に関連する測定報告トリガー処理を定義する。要するに、そのようなトリガーは、一般的に、移動電話のサービングセル(又は隣接するセル)があらかじめ定義された閾値又は所定のオフセット値より良くなる(又は悪くなる)ときのイベントに関連する場合がある。
【0005】
全体的なモビリティシーケンスの更なる詳細が、3GPP TS 36.300標準規格のセクション10.1.2に記述されており、そのセクションは、基地局による測定の設定と、その後のハンドオーバートリガー処理とを記述している。
【0006】
技術的問題
状況によっては、RNは、列車、バス、船舶、航空機上等の移動している乗り物内に設置されることになる。それゆえ、そのようなモバイルRN(MRN)は、乗り物が移動するにつれて、そのアタッチメントをドナーeNB間で変更することになる。しかしながら、移動中継ノードが、ネットワークへのそのアタッチメントポイントを変更するときであっても、移動電話は移動中継ノードの同じセル(複数の場合もある)によってサービングされ続けるので、移動電話の観点から、ハンドオーバーは生じない。
【0007】
中継ノードはドナー基地局にとって任意の他のユーザー機器と同じように見えるので、ドナー基地局は、上記の標準規格においてユーザー機器に関して定義される測定報告及びハンドオーバー機構を再利用しようと試みる。しかしながら、移動中継ノードは高速の列車又は航空機上に設置される場合があるので、これらの既存の測定は、従来の移動電話の場合よりも、移動中継ノードの場合に精度が低下するおそれがある。さらに、そのような測定は実行するのに時間がかかり、そのような高速環境において移動中継ノードが基地局間でハンドオーバーに成功するのを妨げるおそれがある。
【0008】
さらに、移動電話はそのサービング/ターゲット基地局によるドナーサービスの提供を必要としないので、既存のUE測定は、DeNBセルと、非DeNBセル(すなわち、中継ノードに対してドナーとしての役割を果たすことができないeNB)とを区別することができない。非DeNBセル(すなわち、ドナー基地局サービスが提供されない基地局のセル)によって、MRNにおいて測定イベントがトリガーされる場合には、その測定イベントは、MRNハンドオーバーの目的から外れていることになる。測定イベントによっては、隣接セルのいずれかによってトリガーされる場合もある。しかしながら、イベントをトリガーする隣接セルが、許可されたDeNBセルでない場合には、そのイベントはMRNハンドオーバーの実行を成功させるのに有用なトリガーではない。それゆえ、そのような測定を実行することは、MRN及び基地局のリソースの無駄遣いである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の問題のうちの1つ又は複数を克服するか、又は少なくとも軽減する改善された通信システム、及び通信システムの改善された構成要素を提供することを目的とする。詳細には、本発明は、必要とされる測定及び/又は関連するシグナリングを最小化しながら、MRNの速い速度によって、又は許可されないDeNBセルである幾つかの隣接セルによって引き起こされるハンドオーバー失敗を低減する移動中継ノードのためのロバストなハンドオーバー機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの態様は、複数の基地局を備える通信システムの基地局であって、該基地局によって現在サービングされている移動中継ノードのハンドオーバーを開始し、該基地局は、
前記移動中継ノードに前記通信システムへのアクセスを与えるように該基地局のサービングセルを前記移動中継ノードと関連付ける手段と、
少なくとも1つの更なる基地局を識別し、前記少なくとも1つの更なる基地局が、前記少なくとも1つの更なる基地局によって運用される少なくとも1つのセルを介して、前記移動中継ノードにドナーサービスを提供できることを指示する情報を得る手段と、
前記移動中継ノードが前記サービングセルとは異なるセルにハンドオーバーする必要がある時点を判断する手段と、
前記得られた情報によって識別される前記少なくとも1つの更なる基地局の前記少なくとも1つのセルから、前記移動中継ノードの前記ハンドオーバーのためのターゲットセルを選択する手段と、
前記選択されたターゲットセルへの前記移動中継ノードのハンドオーバーを実行する手段と、
を備える、複数の基地局を備える通信システムの基地局を提供する。
【0011】
本発明の別の態様は、複数の基地局を備える通信システムの移動中継ノードであって、該移動中継ノードをサービングする現在の基地局によってハンドオーバーターゲットセルを選択するための情報を与え、該移動中継ノードは、
ドナー基地局として動作する前記現在の基地局のサービングセルと協働する手段と、
少なくとも1つの更なる基地局を識別し、前記少なくとも1つの更なる基地局が、前記少なくとも1つの更なる基地局によって運用される少なくとも1つのセルを介して、前記中継ノードにドナーサービスを提供できることを指示する情報を得る手段と、
前記移動中継ノードが位置するカバレッジエリアを有する少なくとも1つのセルの通信特性の測定を構成し、実行する手段と、
前記現在の基地局に、前記測定の結果を含む少なくとも1つの測定報告を報告する手段と、
を備え、該移動中継ノードは、
前記少なくとも1つの測定報告において、前記得られた情報によって識別された前記少なくとも1つの更なる基地局の少なくとも1つのセルに関連する測定の結果を与え、
前記少なくとも1つの測定報告において、前記移動中継ノードが位置するが、前記得られた情報によって識別された前記少なくとも1つの更なる基地局によって運用されないカバレッジエリアを有するセルに関連する測定の結果を与えないように動作可能である、複数の基地局を備える通信システムの移動中継ノードを提供する。
【0012】
本発明の別の態様は、上記のような基地局及び上記のような移動中継ノードを備えるシステムを提供する。
【0013】
本発明の別の態様は、複数の基地局を備える通信システム内の基地局によって、前記基地局によって現在サービングされている中継ノードのハンドオーバーを開始するように実行される方法であって、該方法は、
前記移動中継ノードに前記通信システムへのアクセスを与えるように前記基地局のサービングセルを前記移動中継ノードに関連付けることと、
少なくとも1つの更なる基地局を識別し、前記少なくとも1つの更なる基地局が、前記少なくとも1つの更なる基地局によって運用される少なくとも1つのセルを介して前記移動中継ノードにドナーサービスを提供することができることを指示する情報を得ることと、
前記移動中継ノードが前記サービングセルとは異なるセルへのハンドオーバーを必要とする時点を判断することと、
前記得られた情報によって識別された前記少なくとも1つの更なる基地局の前記少なくとも1つのセルから、前記移動中継ノードの前記ハンドオーバーのためのターゲットセルを選択することと、
前記選択されたターゲットセルへの前記移動中継ノードのハンドオーバーを実行することと、
を含む、複数の基地局を備える通信システム内の基地局によって、前記基地局によって現在サービングされている中継ノードのハンドオーバーを開始するように実行される方法を提供する。
【0014】
本発明の別の態様は、複数の基地局を備える通信システム内の移動中継ノードによって、前記移動中継ノードをサービングする現在の基地局によるハンドオーバーターゲットセル選択のための情報を与えるように実行される方法であって、該方法は、
ドナー基地局として動作している前記現在の基地局のサービングセルと協働することと、
少なくとも1つの更なる基地局を識別し、前記少なくとも1つの更なる基地局が、前記少なくとも1つの更なる基地局によって運用される少なくとも1つのセルを介して前記移動中継ノードにドナーサービスを提供することができることを指示する情報を得ることと、
前記移動中継ノードが位置するカバレッジエリアを有する少なくとも1つのセルの通信特性の測定を構成し、実行することと、
前記現在の基地局に、前記測定の結果を含む少なくとも1つの測定報告を報告することと、
を含み、前記報告するステップにおいて、前記移動中継は、
前記少なくとも1つの測定報告において、前記得られた情報によって識別された前記少なくとも1つの更なる基地局の少なくとも1つのセルに関連する測定の結果を与え、
前記少なくとも1つの測定報告において、前記移動中継ノードが位置するが、前記得られた情報によって識別された前記少なくとも1つの更なる基地局によって運用されないカバレッジエリアを有するセルに関連する測定の結果を与えない、複数の基地局を備える通信システム内の移動中継ノードによって、前記移動中継ノードをサービングする現在の基地局によるハンドオーバーターゲットセル選択のための情報を与えるように実行される方法を提供する。
【0015】
本発明の別の態様は、プログラマブルコンピューターデバイスが上記のような基地局として、又は上記のような移動中継ノードとして構成されるようにするコンピューター実施可能命令を含むコンピュータープログラム製品を提供する。
【0016】
また、本発明は、対応する方法、及びキャリア信号において、又は記録媒体において提供することができるコンピューターソフトウェア製品も提供する。
【0017】
次に、本発明の実施形態を、単に例として、添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】列車に搭載された移動中継ノードを有する移動電気通信システムを概略的に示す図である。
図2図1に示すシステムの一部を成す移動中継ノードの主な構成要素を示すブロック図である。
図3図1に示すシステムの一部を成すドナー基地局の主な構成要素を示すブロック図である。
図4】許可可能なドナー基地局のリストを用いて、ハンドオーバー関連測定を構成及び実行し、報告するときに通信システムの構成要素によって実行される方法を示す例示的なタイミング図である。
図5】許可可能なドナー基地局のリストを用いて、ハンドオーバー関連測定を構成及び実行し、報告するときに通信システムの構成要素によって実行される方法を示す別の例示的なタイミング図である。
図6】経路情報及び位置決め測定を用いて、ハンドオーバー関連測定を構成及び実行し、報告するときに通信システムの構成要素によって実行される方法を示す例示的なタイミング図である。
図7】サービングセルの経路情報及び位置決め測定を用いて、ハンドオーバー関連測定を構成及び実行し、報告するときに通信システムの構成要素によって実行される方法を示す例示的なタイミング図である。
図8】移動中継ノードがハンドオーバー関連測定を自律的に設定及び実行し、報告するときに、通信システムの構成要素によって実行される方法を示す例示的なタイミング図である。
図9】近接指示手順を用いて通信システムの構成要素によって実行される方法を示す例示的なタイミング図である。
図10】経路情報及び位置決め測定に基づいてハンドオーバーを実行するときに、通信システムの構成要素によって実行される方法を示す例示的なタイミング図である。
図11】サービングセルの経路情報及び位置決め測定を用いて、ハンドオーバー関連測定を構成及び実行し、報告するときに通信システムの構成要素によって実行される方法を示す別の例示的なタイミング図である。
図12】測定を含む、HOトリガー処理のための既存のメッセージシーケンスを示す図である。
図13】方法1.1:測定を含む、HOトリガー処理のためのメッセージシーケンスを示す図である。
図14】方法1.1.2:X2を介して交換される許可DeNBセルリスト情報を示す図である。
図15】方法2.1:測定を含む、HOトリガー処理のためのメッセージシーケンスを示す図である。
図16】方法3.1:測定を含む、HOトリガー処理のためのメッセージシーケンスを示す図である。
図17】方法3.2:測定を含む、HOトリガー処理のためのメッセージシーケンスを示す図である。
図18】方法4.1:測定を含む、HOトリガー処理のためのメッセージシーケンスを示す図である。
図19】MRNのための可能な近接指示手順を示す図である。
図20】方法5.1:測定を含む、HOトリガー処理のためのメッセージシーケンスを示す図である。
図21】方法5.2:測定を含む、HOトリガー処理のためのメッセージシーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
概説
図1は、移動(セルラー)電気通信システム1を概略的に示しており、その電気通信システムは、移動中継ノード3を有する列車2を含む。この移動中継ノード3は、列車2内でユーザーによって携帯される複数のユーザー機器4、例えば、移動電話に基地局機能を提供する。列車2が線路6に沿って進むにつれて、移動中継ノード3はドナー基地局5−1及び5−2にアタッチする。ドナー基地局5−1及び5−2はそれぞれ幾つかのセル(すなわち、それぞれセル1及びセル2)を運用し、それらのセル内でドナー基地局はドナー基地局サービスを提供する。この例では、基地局5−3はセル3を運用し、そのセル内ではドナー基地局サービスは利用できない(それゆえ、移動中継ノード3は中継ノードとして基地局5−3に接続することができない)。
【0020】
基地局5はコアネットワーク7に結合され、コアネットワークは、数ある中でも、コアネットワーク7内の移動電話4のモビリティを管理するモビリティ管理エンティティ(MME)9と、ネットワーク内の種々のデバイスを構成する運用保守ユニット(OAM)11とを含む。このシステムでは、基地局5は、X2インターフェースを介して互いに結合される。
【0021】
列車2が線路6に沿って進むにつれて、移動中継ノード3の地理的場所が変化するので、移動中継ノード3を、移動電話3であるかのように、新たな基地局5にハンドオーバーする必要がある。
【0022】
有利には、以下に更に詳細に説明される実施形態では、移動中継ノード3及び現在移動中継ノード3をサービングしているドナー基地局5−1は、移動中継ノード3が接続することができる許可ドナー基地局のリスト10を考慮に入れて、移動中継ノード3のハンドオーバーの裏付けとして、ハンドオーバー関連測定及びシグナリングを構成し、実行する。許可ドナー基地局のリスト10は、例えば、OAM11から得ることができ、少なくとも、所与の移動中継ノード3にドナー基地局サービスを提供することができる通信ネットワーク1の基地局5を識別する情報を含む。許可ドナー基地局のリスト10は通常、移動中継ノード3がその経路に沿って進むにつれて移動中継ノード3の範囲内に入ることになる全ての基地局のサブセットを含む。その際、ドナー基地局5−1(又は移動中継ノード3)は、許可ドナー基地局のリスト10内で識別されたドナー基地局5に属するセルの中から、移動中継ノード3のためのハンドオーバーターゲットセルを選択する。このようにして、ハンドオーバー試行失敗の発生率を著しく削減することができる。
【0023】
移動中継ノード
図2は、図1に示される中継ノード3の主要構成要素を示すブロック図である。移動中継ノード3は、自らのカバレッジエリア内でサービスを提供する、基地局のような通信ノードであるが、移動中継ノード3は、コアネットワーク7に直接接続しない。代わりに、中継ノードは、ドナー基地局5に無線接続し、その際、ドナー基地局がコアネットワーク7への接続を与えるように動作可能である。
【0024】
図示されるように、移動中継ノード3は送受信機回路31を含み、送受信機回路は、ドナー基地局(DeNB)アンテナ33を介してドナー基地局5に対して信号を送信及び受信し、UEアンテナ35を介して列車2上のユーザー機器4に対して信号を送信及び受信する。送受信機回路31の動作は、メモリ39内に記憶されるソフトウェアに従ってコントローラー37によって制御される。そのソフトウェアは、数ある中でも、オペレーティングシステム41と、通信制御モジュール43と、ドナー基地局(DeNB)登録モジュール44と、ユーザー機器(UE)登録モジュール45と、測定及び報告モジュール47と、位置決めモジュール48と、運用保守モジュール49とを含む。
【0025】
通信制御モジュール43は、例えば、ユーザー機器4のそれぞれとの通信、及びドナー基地局5との通信において送受信機回路31によって使用されることになるリソースの割当てを含む、ユーザー機器4及びドナー基地局5との通信を制御する。
【0026】
ドナー基地局登録モジュール44は、例えば、移動中継ノード3の起動中又はハンドオーバー中に、ドナー基地局5での移動中継ノード3の登録を実行する。ユーザー機器登録モジュール45は、移動中継ノード3のセル(複数の場合もある)によってサービングされるユーザー機器4を追跡する。
【0027】
測定及び報告モジュール47は、ドナー基地局5−1又は運用保守モジュール49によって構成される測定イベントに従って信号測定を実行する。また、測定及び報告モジュール47は、測定報告を生成し、ドナー基地局5に送信する。
【0028】
位置決めモジュール48は、移動中継ノード3の地理的場所に関連する情報を得るための手順を実行する。
【0029】
運用保守モジュール49は、移動中継ノード3の動作パラメーターを設定し、記憶するためにコアネットワーク7内のOAMエンティティ11とインターフェースするように動作可能である。
【0030】
ドナー基地局
図3は、図1に示すドナー基地局5−1等のドナー基地局5における主な構成要素を示すブロック図である。ドナー基地局5は、自身のカバレッジエリア内のユーザー機器4にサービスを提供する固定通信ノードである。本発明による実施形態では、ドナー基地局5は、移動中継ノード3を介して列車2内のユーザー機器4と通信している。図示するように、ドナー基地局5は、少なくとも1つのアンテナ53を介して中継ノード3に対して信号を送受信する送受信機回路51を備える。また、ドナー基地局5は、ネットワークインターフェース55(隣接する基地局5と通信するためのX2インターフェース及びコアネットワーク7と通信するためのS1インターフェース)を介して、コアネットワーク7及び他の隣接する基地局5に対して信号を送信及び受信する。送受信機回路51の動作は、メモリ59に記憶されたソフトウェアに従ってコントローラー57によって制御される。このソフトウェアは、特に、オペレーティングシステム61、通信制御モジュール63、中継ノード管理モジュール65、中継ノードハンドオーバーモジュール67、位置決めモジュール68、及び運用保守モジュール69を含む。
【0031】
通信制御モジュール63は、ドナー基地局5及び移動中継ノード3と、ユーザー機器4と、MME9及びOAM11等のネットワークデバイスとの通信を制御する。
【0032】
中継ノード管理モジュール65は、基地局5と当該基地局にアタッチされた中継ノード3との接続を制御する。
【0033】
中継ノードハンドオーバーモジュール67は、ハンドオーバーターゲットセルを選択することに関連して実行される、移動中継ノード3に関する測定を構成する。中継ノードハンドオーバーモジュール67は、移動中継ノード3が接続することができるターゲットセルを識別する情報を得る。
【0034】
位置決めモジュール68は、移動中継ノード3の地理的場所に関連する情報を得るための手順を実行する。
【0035】
運用保守モジュール69は、基地局5の動作パラメーターを設定し、記憶するためにコアネットワーク7内のOAMエンティティ11とインターフェースする。
【0036】
上記の説明において、移動中継ノード3及びドナー基地局5は、理解するのを容易にするために、幾つかの個別のモジュール(通信制御モジュール、並びに運用保守モジュール等)を有するように説明された。これらのモジュールは、特定の応用形態、例えば、既存のシステムを変更して本発明を実施した場合にこのようにして設けることができるが、他の応用形態、例えば、最初から本発明の特徴を念頭に置いて設計されたシステムでは、これらのモジュールは、オペレーティングシステム又はコード全体の中に組み込むことができるので、これらのモジュールは個別のエンティティとして区別できない場合がある。これらのモジュールは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア又はこれらの組み合わせにおいて実施することもできる。
【0037】
ここで、上記の中継ノード3及びドナー基地局5を用いて本発明をいかに実施することができるかを示す幾つかの異なる実施形態が記述される。それらの実施形態を、図4図11に示される流れ図を参照しながら説明する。
【0038】
リストに基づくハンドオーバートリガー処理
第1の実施形態
図4は、許可可能なドナー基地局のリスト10を用いて、ハンドオーバー関連測定を構成及び実行し、報告するときに、通信システム1の構成要素によって実行される方法を示す例示的なタイミング図を示す。この実施形態では、許可ドナー基地局のリスト10は、移動中継ノード3を現在サービングしているドナー基地局5−1によって用いられる。詳細には、ドナー基地局5−1は、リスト10を用いて、許可ドナー基地局のリストに対する、移動中継ノード3付近のセルに関して移動中継ノード3から受信された測定報告のフィルタリングを実行し、ドナーサービスを提供することができる各基地局5のセルに関連する測定報告を識別する。その後、サービングドナー基地局5−1が、リスト10上に含まれる基地局に向かうハンドオーバーだけをトリガーすることになるように、ドナーサービスを提供することができる各基地局5のセルに関連する測定報告に基づいて、かつドナーサービスを提供できない基地局5のセルに関連する測定報告に基づくことなく、ハンドオーバー判断が実行される。
【0039】
図示されるように、ステップs401において、ドナー基地局5−1は、例えば、その運用保守モジュール69を用いてOAM11から、許可ドナー基地局のリスト10を入手し、そのメモリ59に記憶する。リスト10は、少なくとも、所与の移動中継ノード3にドナー基地局サービスを提供することができる基地局を含む(通常、それらの基地局は、ドナー基地局サービスを提供することができる全ての基地局のサブセットとすることができる)。代替的には、許可ドナー基地局のリスト10は、ドナー基地局サービスを提供する通信システム1の全ての基地局を含むことができる。
【0040】
ステップs403において、中継ノードハンドオーバーモジュール67は、「RRC接続再構成」メッセージを生成し、(送受信機回路51を介して)移動中継ノード3に送信する。このメッセージは、MRN3に、この基地局5−1によってサービングされるユーザー機器(移動電話等)によって実行されるのと同じ測定を実行するように要求する。中継ノードハンドオーバーモジュール67は、このメッセージに「MeasConfig」情報要素(IE)を含めることによってこれを果たし、その情報要素は、測定の種類と、それらの測定が移動中継ノード3によって開始される必要がある条件とを規定する。詳細には、「MeasConfig」IEは、3GPP TS36.331 v10.5.0標準規格において規定されているようなイベントタイプ(すなわち、イベントA1〜A6、B1及びB2)のうちの少なくとも1つのための測定パラメーターを含み、その標準規格の内容は引用することにより本明細書の一部をなす。そのようなパラメーターは、例えば、現在のサービングセルに対する閾値信号レベルを規定することができ、その信号レベル未満の場合に移動中継ノード3が、構成された測定を開始することになる。この結果として、実効的には、移動中継ノード3は、現在のセル内で信号品質の劣化(例えば、移動中継ノード3がドナー基地局5−1から離れつつあることに起因する)を受けているときにハンドオーバーすることができる他の基地局セルの探索を実行する。
【0041】
このRRC接続再構成メッセージを受信するのに応答して、移動中継ノード3は、ステップs405において、受信された「MeasConfig」IEに従ってその測定及び報告モジュール47を構成し、その中に規定された条件が満たされたか否かを監視し始める。その後、ステップs407において、移動中継ノード3は、「RRC接続再構成完了」メッセージを生成し、ドナー基地局5−1に送信することによって、測定再構成が成功したことを確認する。
【0042】
「MeasConfig」IEにおいて定義された条件が満たされたときに、ステップs409において、移動中継ノード3は、「MeasConfig」IEにおいてドナー基地局5−1によって識別されたセルに関する必要なセル測定を実行する(この実施形態では、ドナー基地局5−1によって識別されるセルは、許可DeNBリスト10上のセルには限定されず、中継ノード3が接続することを許可されない他の隣接するセルを含む場合がある)。その後、移動中継ノード3は、ドナー基地局5−1によってサービングされるユーザー機器が測定を実行するのと同じようにして、必要とされる測定を実行する。測定が完了すると、ステップs411において、移動中継ノード3は測定報告を生成し、ステップs413において、「RRC測定報告」メッセージにおいてドナー基地局5−1に送信する。この測定報告は、ステップs409において実行されたセル測定の結果を含む。
【0043】
ドナー基地局5−1は、測定報告を受信した後に、ステップs414において、ステップs401において入手した、記憶された許可ドナー基地局のリスト10に基づいて、測定報告をフィルタリングする。詳細には、ドナー基地局5−1は、許可ドナー基地局のリスト10に含まれない基地局によって運用されるセルに関連する測定結果を破棄又は無視する。その後、ステップs415において、ドナー基地局5−1は、ステップs414において破棄又は無視されなかった測定結果に基づいて移動中継ノード3のためのハンドオーバー判断を行い、それゆえ、許可ドナー基地局のリスト10上にあるドナー基地局(例えば、基地局5−2)に属する、ハンドオーバーのためのターゲットセルを選択する。それゆえ、この判断は、ドナーサービスを提供することができるターゲットセルを識別する情報に基づく。
【0044】
最後に、ステップs417において、ドナー基地局5−1及び移動中継ノード3は、ターゲットセルに対するハンドオーバー手順を実行し、すなわち、移動中継ノード3は基地局5−1からデタッチし、ステップs415において選択されたセルに関連付けられる新たなドナー基地局(例えば、ドナー基地局5−2)に再アタッチする。
【0045】
第2の実施形態
図5は、許可可能なドナー基地局のリスト10を用いて、ハンドオーバー関連測定を構成及び実行し、報告するときに、通信システム1の構成要素によって実行される方法を示す別の例示的なタイミング図を示す。この実施形態では、許可ドナー基地局のリスト10はドナー基地局5−1ではなく移動中継ノード3によって入手され、使用される。詳細には、移動中継ノード3はリスト10を用いて、リスト10に含まれる基地局によって運用される(それゆえ、ドナーサービスを提供することができる)セルに関する測定報告をドナー基地局5−1に提供し、ドナーサービスを提供することができない基地局によって運用されるセルに関する測定報告を提供しないように、許可ドナー基地局に対する被測定セルのフィルタリングを実行する。したがって、このようにして、サービングドナー基地局5−1は、ドナーサービスを提供することができない基地局によって運用されるセルに関する測定結果を受信せず、したがって、リスト10に含まれず、それゆえ、ドナーサービスを提供することができない基地局のセルへのハンドオーバーをトリガーしない。それゆえ、これは、サービングドナー基地局5−1が、ドナーサービスを提供することができる基地局によって運用されるセルへのハンドオーバーをトリガーするのを確実にする。
【0046】
図示されるように、この実施形態では、ステップs501において、移動中継ノード3は、例えば、OAM11から、移動中継ノード3が接続するのを許可され、その移動中継ノード3にドナー基地局サービスを提供することができる、許可ドナー基地局のリスト10を入手し、そのメモリ39に記憶する。1つの代替形態では、許可ドナー基地局のリスト10は、ドナー基地局サービスを提供することができる通信システム1の全ての基地局を含むことができる。
【0047】
ステップs503において、ドナー基地局5−1は(その中継ノードハンドオーバーモジュール67及び送受信機回路51を用いて)、「RRC接続再構成」メッセージを生成し、移動中継ノード3に送信する。上記のように、ドナー基地局5−1は、このメッセージに、「MeasConfig」情報要素(IE)を含み、その情報要素は測定の種類と、それらの測定が移動中継ノード3によって開始される必要がある条件とを規定する。詳細には、「MeasConfig」IEは、3GPP TS36.331 v10.5.0標準規格において規定されるようなイベントタイプ(すなわち、イベントA1〜A6、B1及びB2)のうちの少なくとも1つのための測定パラメーターを含む。移動中継ノード3は、これらの測定パラメーターを用いて、移動中継ノード3が現在のセルにおいて信号品質の劣化を受けているときに(例えば、移動中継ノード3がドナー基地局5−1から離れつつあることに起因する)、及び/又は他の基地局からの信号があらかじめ設定された閾値より良くなるときに、移動中継ノード3がハンドオーバーすることができる別の基地局5を見つけるために、他の基地局からの信号に関する測定を実施し始める時点を制御する。
【0048】
ステップs505において、移動中継ノード3は、受信された「MeasConfig」IEに従ってその測定及び報告モジュール47を構成し、その中に規定された条件が満たされたか否かを監視し始める。その後、ステップs507において、移動中継ノード3は、「RRC接続再構成完了」メッセージを生成し、ドナー基地局5−1に送信することによって、測定再構成が成功したことを確認する。
【0049】
測定及び報告モジュール47が、「MeasConfig」IEにおいて規定される条件が満たされたと判断するとき、ステップs509において、移動中継ノード3は、「MeasConfig」IEにおいて識別されたセルに関するセル測定を実行する。測定が完了すると、移動中継ノード3は、ステップs511において、測定報告を生成する。
【0050】
次に、ステップs512において、移動中継ノード3の測定及び報告モジュール47は、ステップs501において得られた許可ドナー基地局の記憶されたリスト10に基づいて測定報告内の測定結果をフィルタリングし、許可ドナー基地局のリスト10上に含まれない基地局に関連付けられるセルに関する測定結果を除去する。ステップs513において、移動中継ノード3は、「RRC測定報告」メッセージを生成し、ドナー基地局5−1に送信し、このメッセージに、フィルタリングされた測定結果を含めて、それにより、許可ドナー基地局のリスト10にある基地局に関連付けられるセルに関する測定結果が現在サービングしているドナー基地局5−1に報告されるが、リスト10に含まれない他の基地局に関する測定結果が報告されないようにする。
【0051】
ドナー基地局5−1が移動中継ノード3から測定報告を受信した後に、ドナー基地局5−1(例えば、その中継ノードハンドオーバーモジュール67)は、ステップs515において、移動中継ノード3がハンドオーバーすべきターゲットセルとして測定報告に含まれるセルのうちの1つを選択することによって、移動中継ノード3に関するハンドオーバー判断を行う。測定報告は、許可ドナー基地局のリスト10上にあるドナー基地局に属するセルを含み、ドナーサービスを提供しない基地局に属するセルを含まないので、現在サービングしているドナー基地局5−1は、移動中継ノード3がハンドオーバーに成功することができるターゲットセルを選択することになる。それゆえ、この判断は、ドナーサービスを提供することができるターゲットセルを識別する情報に基づく。
【0052】
最後に、ステップs517において、ドナー基地局5−1及び移動中継ノード3は、ターゲットセルに対するハンドオーバー手順を実行し、すなわち、移動中継ノード3は基地局5−1からデタッチし、ステップs515において選択されたセルに関連付けられる新たなドナー基地局(例えば、ドナー基地局5−2)に再アタッチする。
【0053】
経路に基づくハンドオーバートリガー処理
第3の実施形態
図6は、経路情報を用いて、ハンドオーバー関連測定を構成及び実行し、報告するときに、通信システム1の構成要素によって実行される方法を示す例示的なタイミング図を示す。
【0054】
この実施形態では、通信システム1によってカバーされるエリア内の移動中継ノード3(例えば、所定の経路に沿って進行している列車上に取り付けられる中継ノード)の計画された経路に関する情報を考慮に入れることによって、移動中継ノード3の地理的位置が測定され、報告される。この場合、許可ドナー基地局のリスト10の代わりに(又はそれに加えて)、経路情報を用いて、移動中継ノード3のための関連するハンドオーバー候補ではないセルを破棄又は無視する。
【0055】
最初に、ステップs601において、移動中継ノード3は、例えば、OAMエンティティ11から、MRN特有経路情報(地理的座標、その経路に沿ったドナー基地局のリスト、現在のセル及び/又は場所による次の許可DeNBセル等)を入手し、そのメモリ39に記憶する。例えば、移動中継ノード3はこの経路情報を起動時にダウンロードすることができる。そのような経路情報は、許可ドナー基地局のRNのリスト10とともに含まれる場合があるか、又は別に与えられる場合がある。
【0056】
次に、ステップs603において、ドナー基地局5−1は「RRC接続再構成」メッセージを生成し(すなわち、その中継ノードハンドオーバーモジュール67を用いる)、移動中継ノード3に送信する(すなわち、その通信制御モジュール63及び送受信機回路51を用いる)。ドナー基地局5−1は、このメッセージに、「MeasConfig」IEを含めて、この場合、そのIEは、移動中継ノード3のための場所に基づくイベントを構成する。詳細には、「MeasConfig」IEは、移動中継ノード3に対して、位置決め測定及び報告をいつ、いかに実行するかを規定する条件を含む。その条件は、例えば、移動中継ノードの現在の地理的場所による場合がある(例えば、移動中継ノード3が現在のドナー基地局5−1から離れたか否かを監視する、移動中継ノード3が隣接基地局の規定された付近に入ったか否かを監視する等)。
【0057】
好ましくは、ドナー基地局5−1は、「位置測定」イベント(「場所に基づく要RNハンドオーバー」、又は「イベントA2」等)を用いてこれらの条件を構成し、RRCシグナリングに含まれる情報要素において、「位置測定」イベントを移動中継ノード3に送信する。「位置測定」イベントは、必要とされる、又は好ましい位置決め方法の詳細を規定することもでき、最低限の、位置特定精度、使用される位置決め技法のタイプ(例えば、A−GPS)等を規定することもできる。
【0058】
ステップs605において、移動中継ノード3は、その位置決めモジュール48を、受信された「位置測定」イベントに従って位置決め測定を実行するように構成し、その中に定義された条件が満たされたか否かを監視し始める。次に、ステップs607において、移動中継ノード3は、「RRC接続再構成完了」メッセージを生成し、ドナー基地局5−1に送信することによって、その測定再構成が成功したことを確認する。
【0059】
その後、ステップs609において、位置決めモジュール48は、例えば、位置決め測定等によって、移動中継ノード3の地理的場所を得る。このステップは、受信された「MeasConfig」IEにおいて定義されるように、一度だけ、又は連続して、又は定期的に実行することができる。
【0060】
ステップS610において、測定及び報告モジュール47は、移動中継ノード3の現在の位置を、構成されたトリガーと比較し、構成された条件が満たされた場合には、ステップs611に進み、測定報告を生成する。測定報告において、測定及び報告モジュール47は、測定イベントをトリガーした(候補DeNBの)ターゲットセル(例えば、MRN現在の位置をMRN特有経路情報と比較することによって選択されたセル)、及びオプションで任意の他の許可されるターゲットセルも識別する。
【0061】
次に、ステップs613において、移動中継ノード3は、「RRC測定報告」メッセージを生成し、ドナー基地局5−1に送信し、このメッセージに、測定の結果と、移動中継ノード3がハンドオーバーすることができる次のドナー対応基地局のセル(及びドナー対応基地局の任意の更なるオプションのセル)の識別情報とを含む。
【0062】
ステップs615において、ドナー基地局5−1の中継ノードハンドオーバーモジュール67は、ステップs613において受信された情報を用いて、ハンドオーバー判断を行い、移動中継ノード3のために、ステップs613において受信されたメッセージ内で識別されたターゲットセル(例えば、基地局5−2のセル2)を選択する。それゆえ、この判断は、ドナーサービスを提供することができるターゲットセルを識別する情報に基づく。移動中継ノード3によって指示されるセルは、許可可能なドナー基地局のリスト10上の基地局(複数の場合もある)に属し、この基地局(複数の場合もある)は、構成されたハンドオーバー測定判定基準も満たすので、ドナーサービスを提供することができない基地局のセルにハンドオーバーを試みることに起因するハンドオーバー失敗は実効的に避けられる。
【0063】
最後に、ステップs617において、ドナー基地局5−1及び移動中継ノード3は、ターゲットセルに対するハンドオーバー手順を実行し、すなわち、移動中継ノード3は基地局5−1からデタッチし、ステップs615において選択されたセルに関連付けられる新たなドナー基地局(例えば、ドナー基地局5−2)に再アタッチする。
【0064】
この例では、移動中継ノード3は、ドナー基地局5−1によって与えられる判定基準に従って、自らの場所と所定の経路情報とを比較した後にハンドオーバー手順をトリガーする。それゆえ、移動中継ノード3は、位置特定計算のみを実行し(又は任意の適切なやり方で自らの場所を入手し)、必要とされる全体の測定回数を有益に削減し、それゆえ、ハンドオーバー遅延を最小化する。したがって、移動中継ノードの現在の場所があらかじめ規定された場所(又はエリア)と一致するとき、移動中継ノード3は、移動中継ノードの既知の経路を用いて選択された次のドナー基地局にハンドオーバーする。
【0065】
しかしながら、以下の図を参照しながら詳述されるように、移動中継ノード3は、そのサービングセルのみを測定することによって、測定回数を削減することもできる。
【0066】
第4の実施形態
図7は、サービングセルの経路情報及び測定を用いて、ハンドオーバー関連測定を構成及び実行し、報告するときに、通信システム1の構成要素によって実行される方法を示す例示的なタイミング図を示す。
【0067】
先行する実施形態と同様に、移動中継ノード3は、ドナー基地局5−1への報告において、通信システム1によってカバーされるエリア内の移動中継ノード3の計画された経路に関する情報を考慮に入れる。しかしながら、この場合、移動中継ノード3は、サービングセルの測定を実行し、サービングセルの測定が、ハンドオーバーが必要であることを指示するときに、経路情報を用いてハンドオーバー候補セル(複数の場合もある)を選択する。
【0068】
最初に、ステップs701において、移動中継ノード3は、上記のステップs601を参照しながら説明したように、MRN特有経路情報(地理的座標、経路に沿ったドナー対応基地局のリスト、現在のセル及び/又は場所に応じて次に許可されるDeNBセル等)を入手し、そのメモリ39に記憶する。
【0069】
次に、ステップs703において、ドナー基地局5−1は、ステップs603の場合と同じようにして、「RRC接続再構成」メッセージを生成し、移動中継ノード3に送信する。しかしながら、この場合、ドナー基地局5−1は、移動中継ノード、例えば、列車に取り付けられた中継ノードが既知の経路に従い、それゆえ、次のターゲットDeNBは経路情報に基づいてあらかじめ決定できるという事実に頼る。それゆえ、ドナー基地局5−1は、「RRC接続再構成」メッセージ内に「MeasConfig」IEを含めて、そのIEは、移動中継ノード3に関する、サービングセルに基づく測定イベントを構成する。このメッセージは、移動中継ノード3に、現在のサービングセルに関してのみ、測定及び報告を実行するように要求する。そのメッセージは、RRCシグナリング内の情報要素に含まれる「サービングセル測定」イベント(「サービングセルが閾値未満であることに基づく要RNハンドオーバー」又は「イベントA2」等)を用いて、中継ノードの測定及び報告モジュール47を構成する。
【0070】
それゆえ、ステップs705において、移動中継ノード3は、受信された「サービングセル測定」イベントに従って、サービングセル測定を実行するようにその測定及び報告モジュール47を構成し、その中に定義された条件が満たされたか否かを監視し始める。次に、ステップs707において、移動中継ノード3は、「RRC接続再構成完了」メッセージを生成し、ドナー基地局5−1に送信することによって、測定再構成が成功したことを確認する。
【0071】
その後、ステップs709において、測定及び報告モジュール47は、サービングセルの測定を実行する。このステップは、受信された「MeasConfig」IEの規定に従って、一度だけでも、連続してでも、定期的にでも実行することができる。
【0072】
ステップs710において、測定及び報告モジュール47は、サービングセル測定の結果を構成されたトリガーと比較し、構成された条件が満たされた場合には、ステップs711に進み、測定報告を生成する。その測定報告において、測定及び報告モジュール47は、現在のセルとMRN特有経路情報との比較に基づいて、好ましいターゲットセル(及びオプションで任意の他の許可されるターゲットセル)も識別する。
【0073】
次に、ステップs713において、移動中継ノード3は、「RRC測定報告」メッセージを生成し、ドナー基地局5−1に送信し、このメッセージに、測定の結果と、移動中継ノード3がハンドオーバーすることができる次のドナー対応基地局のセル(及びドナー対応基地局の任意の更なるオプションのセル)の識別情報とを含める。
【0074】
ステップs715において、(ドナー基地局5−1の)中継ノードハンドオーバーモジュール67は、ステップs713において受信された情報を用いて、ハンドオーバー判断を行い、移動中継ノード3のために、ステップs713において受信されたメッセージ内で識別されるターゲットセル(例えば、基地局5−2のセル2)を選択する。それゆえ、この判断は実効的には、ドナーサービスを提供することができるターゲットセルを識別する情報に基づく。
【0075】
最後に、ステップs717において、ドナー基地局5−1及び移動中継ノード3は、ターゲットセルに対するハンドオーバー手順を実行し、すなわち、移動中継ノード3は基地局5−1からデタッチし、ステップs715において選択されたセルに関連付けられる新たなドナー基地局(例えば、ドナー基地局5−2)に再アタッチする。
【0076】
この手順は、現在のセルの信号強度があらかじめ定義された閾値未満に降下するときに、移動中継ノード3が、移動中継ノードの既知の経路に基づいて選択された次のドナー基地局にハンドオーバーするのを確実にする。移動中継ノード3は、いかなる候補ドナー基地局も測定する必要はない。実行される測定回数が少なくなるので、ハンドオーバー遅延を著しく短縮することができる。
【0077】
移動中継ノードの経路及び移動について入手可能である情報に応じて、移動中継ノード3がターゲットDeNBセルを識別する幾つかのやり方があることは理解されよう。
【0078】
例えば、移動中継ノード3は、サービングセル情報と、以前のサービングセル(又は以前のドナー基地局)の履歴とを用いることができる。セル/DeNB履歴によって、MRN3は、次のドナーセルを識別するために、現在のセル/DeNBをセル/DeNBの所定の順序と比較できるようになる。
【0079】
移動中継ノード3は、その位置決めモジュール48を用いて得られた位置特定情報(例えば、地理的位置、速度、進行方向等)と組み合わせてサービングセル情報を用いることもできる。この場合、MRNは、次のドナーセルを識別するために、現在のセル/DeNBをセル/DeNBの所定の順序と(位置特定情報とともに)比較することができる。
【0080】
移動中継ノードによる自律的ハンドオーバートリガー処理
第5の実施形態
図8は、移動中継ノード3が、その測定及び報告モジュール47を、ハンドオーバー関連測定及び報告を実行するように自律的に構成する場合に、通信システム1の構成要素によって実行される方法を示す例示的なタイミング図を示す。
【0081】
図6及び図7を参照しながら説明された手順に概ね従うこの例では、構成された条件が満たされるとき、移動中継ノード3は、「要RNハンドオーバー」RRCメッセージを用いてハンドオーバーを自律的に要求する。
【0082】
最初に、ステップs801において、移動中継ノード3は、上記のステップs601を参照しながら説明されたように、MRN特有経路情報(地理的座標、次の許可DeNBセル等)を入手し、そのメモリ39に記憶する。ステップs803において、移動中継ノード3は、ドナー基地局5−1にアタッチする。しかしながら、この場合、ドナー基地局5−1は、移動中継ノード3に関する、位置又はサービングセルに基づく測定イベントを構成する必要はない。
【0083】
代わりに、ステップs805において、移動中継ノード3は、その測定及び報告モジュール47を、サービングセル測定を実行するように自律的に構成し(及び/又はその位置決めモジュール48を位置決め測定を実行するように構成し)、ハンドオーバー条件が満たされたか否かを監視し始める。次に、ステップs809において、測定及び報告モジュール47は、サービングセルの測定を実行する(及び/又は位置決めモジュール48は、位置決め手順を実行する)。
【0084】
ステップs810において、測定及び報告モジュール47は、サービングセル測定/位置決めの結果を、構成されたトリガーと比較し、構成された条件が満たされた場合には、ステップs811に進み、測定報告を生成する。その測定報告において、測定及び報告モジュール47は、現在のセルとMRN特有経路情報との比較に基づいて、好ましいターゲットセル(及びオプションで任意の他の許可されるターゲットセル)も識別する。
【0085】
次に、ステップs813において、移動中継ノード3は、「RRC測定報告」メッセージを生成し、ドナー基地局5−1に送信し、このメッセージに、移動中継ノード3がハンドオーバーすることができる次のドナー対応基地局のセル(及び任意の更なるオプションのセル)の識別情報を含める。
【0086】
ステップs815において、(ドナー基地局5−1の)中継ノードハンドオーバーモジュール67は、ステップs813において受信された情報を用いて、ハンドオーバー判断を行い、移動中継ノード3のために、ターゲットセル(例えば、基地局5−2のセル2)を選択する。それゆえ、この判断は、ドナーサービスを提供することができるターゲットセルを識別する情報に基づく。
【0087】
最後に、ステップs817において、ドナー基地局5−1及び移動中継ノード3は、ターゲットセルに対するハンドオーバー手順を実行し、すなわち、移動中継ノード3は基地局5−1からデタッチし、ステップs815において選択されたセルに関連付けられる新たなドナー基地局(例えば、ドナー基地局5−2)に再アタッチする。
【0088】
この例は、移動中継ノード3をサービングするドナー基地局5−1によって必要とされる処理及びシグナリングを有益に削減する。有利には、この場合、ドナー基地局5−1は、アタッチされた移動中継ノード3のモビリティを認識している必要はなく、それゆえ、ハンドオーバー関連測定を構成する必要も全くない。
【0089】
近接指示による自律的ハンドオーバー
第6の実施形態
図9は、近接指示手順を用いて通信システム1の構成要素によって実行される方法を示す例示的なタイミング図を示す。
【0090】
3GPPリリース10では、TS36.331標準規格において「近接指示」手順が定義され、UEが、UEがそのメンバーであるあらかじめ定義されたグループ(例えば、クローズド加入者グループ(CSG))を有する1つ又は複数のセルの付近に入りつつあるか、又はその付近から離れつつあることを指示するために用いられる。近接の検出は、TS36.304において定義されるような自律探索機能に基づき、その内容は引用することにより本明細書の一部をなす。
【0091】
この例では、近接指示機能は、MRNで使用するために、すなわち、移動中継ノード3が、ドナーサービスを提供することができる基地局の付近に入りつつあるか、又はその付近から離れつつあることを指示するために拡張される。
【0092】
最初に、ステップs901において、ドナー基地局5−1の中継ノードハンドオーバーモジュール67が、移動中継ノード3に関する近接指示パラメーターを構成する。これは、例えば、起動中に、又はドナー基地局5−1への移動中継ノード3のアタッチメント中に実行される場合がある。
【0093】
それゆえ、ステップs903において、サービングドナー基地局5−1は、「RRC接続再構成」メッセージを生成し、移動中継ノード3に送信し、そのメッセージにおいて、近接指示構成を含む「近接指示」IE(例えば、「proximityIndicationEUTRA−RN」IE)を含める。このメッセージは、移動中継ノード3に、MRNがそのメンバーである「クローズド加入者グループ」を有する他の基地局及び/又はそのセルを探索するように実効的に指示する。MRNがそのメンバーである「CSG」を有するセルは、ドナー対応基地局によって運用されるドナー対応セルに限定される。その探索は、MRNがそのメンバーであるCGSを有するセルを識別する(それゆえ、ドナーサービスを提供することができる基地局によって運用されるセルを識別する)情報を含む、MRNに記憶されたリストに基づく。このようにして、ドナーサービスを提供することができる基地局は、移動中継ノード3が属する「クローズド加入者グループ」を有するものとして扱われる。
【0094】
ステップs905において、移動中継ノード3は、受信された近接指示構成をそのメモリ39に記憶し、その測定及び報告モジュール47を用いて、その中に定義された条件が満たされたか否かを監視し始める。
【0095】
次に、ステップs907において、移動中継ノード3は、「RRC接続再構成完了」メッセージを生成し、ドナー基地局5−1に送信することによって、再構成が成功したことを確認する。
【0096】
次に、ステップs909において、移動中継ノード3は、ドナー基地局セルを自律的に探索する。探索機構は、移動中継ノードの現在の場所(例えば、位置決めモジュール48を用いて得られる)又はセル測定(例えば、測定及び報告モジュール47を用いて得られる)に基づくことができ、許可されたDeNBセルだけに(許可ドナー基地局のリスト10が入手可能である場合)及び/又は移動中継ノード3の予想経路に沿って位置するドナー基地局に限定することができる。このステップは、受信された「proximityIndicationEUTRA−RN」IEにおいて定義されるように、一度だけ、又は連続して、又は定期的に実行することができる。
【0097】
ステップs911において、移動中継ノード3は、構成された近接指示判定基準と一致する候補セル、すなわち、MRNがそのメンバーであり、それゆえ、ドナーサービスが利用可能であるセルを検出する。
【0098】
それゆえ、ステップs913において、移動中継ノード3は、「RRC近接指示」メッセージを生成し、ドナー基地局5−1に送信し、そのメッセージに(例えば、情報要素に)、移動中継ノード3がハンドオーバーすることができる検出されたセル(及び任意の更なるセル)の識別情報(例えば、物理セル識別子(PCI))を含める。
【0099】
オプションでは、ステップs914において、ドナー基地局5−1は(その中継ノードハンドオーバーモジュール67を用いて)、そのハンドオーバー判断を更に支援するために、移動中継ノード3に、更なる測定(例えば、その測定及び報告モジュール47及び/又は位置決めモジュール48を用いる)を実行するように要求することができる。しかしながら、中継ノードハンドオーバーモジュール67は、近接指示だけに基づいてハンドオーバーをトリガーすることができる。
【0100】
ステップs915において、中継ノードハンドオーバーモジュール67は、ステップs913(及び/又はオプションのステップs914)において受信された情報を用いて、移動中継ノード3のために、ハンドオーバー判断を行い、近接指示において指示されたターゲットセルを、それゆえ、ドナー対応基地局のドナー対応セル(例えば、基地局5−2のセル2)を選択する。
【0101】
最後に、ステップs917において、ドナー基地局5−1及び移動中継ノード3は、ターゲットセルに対するハンドオーバー手順を実行し、すなわち、移動中継ノード3は、基地局5−1からデタッチし、ステップs915において選択されたセルに関連付けられる新たなドナー基地局(例えば、ドナー基地局5−2)に再アタッチする。
【0102】
ドナー基地局によって保持される経路情報
第7の実施形態
図10は、経路情報及び位置測定に基づいてハンドオーバーを実行するときの、通信システム1の構成要素によって実行される方法を示す例示的なタイミング図を示す。
【0103】
この例では、ドナー基地局5−1は、MRN特有経路情報を入手し、移動中継ノード3の現在の場所を監視する。ドナー基地局5−1が、移動中継ノード3がMRN特有経路情報内のハンドオーバー場所として識別される場所(又はエリア)に達したと判断するとき、ドナー基地局5−1は、ターゲットセルに向かって、中継ノード3に関するハンドオーバーをトリガーする。
【0104】
最初に、ステップs101において、移動中継ノード3及びドナー基地局5−1は接続を確立し、ステップs103において、ドナー基地局5−1は(例えば、その運用保守モジュール69を用いて)、MRN特有経路情報を入手し、そのメモリ59に記憶する。経路情報は所定のMRNハンドオーバー情報(地理的座標、次の許可MRNセル等)を含む。
【0105】
移動中継ノード、例えば、列車に取り付けられる中継ノードは多くの場合に既知の経路を使用し、中継ノードハンドオーバーモジュール67は、上記で得られた経路情報と、移動中継ノード3の現在の地理的場所とを用いて、最適なハンドオーバー場所及びターゲットDeNBセルを判断することができる。
【0106】
それゆえ、ステップs105において、位置決めモジュール68は、移動中継ノード3に関連する位置特定情報(例えば、地理的位置、速度、進行方向等)を得る。位置特定情報は、例えば、3GPP TS23.271において定義されるような位置特定要求サービス(LCS)を用いて得ることができ、その内容は引用することにより本明細書の一部をなす。オプションで、ステップs105は、図6のステップs603〜s613を参照しながら上記で説明した手順に概ね従うことができる。
【0107】
その後、ステップs107において、中継ノードハンドオーバーモジュール67は、ハンドオーバー判断を行い、移動中継ノード3のためのターゲットセルを選択する。このステップにおいて、中継ノードハンドオーバーモジュール67は、得られた位置特定情報、ドナーサービスを提供することができるセル/基地局を識別する情報、及び所定の経路情報を用いて、MRNがそのセルカバレッジに入るときに、移動中継ノード3に関するドナー対応セルへのハンドオーバーをトリガーする。
【0108】
最後に、ステップs109において、ドナー基地局5−1及び移動中継ノード3は、ハンドオーバー手順を実行し、すなわち、移動中継ノード3は基地局5−1からデタッチし、ステップs107において選択された新たなドナー基地局に再アタッチする。
【0109】
この方法において、移動中継ノード3は、経路情報を入手し、処理する必要はない。場所計算のみが必要とされる。これは、移動中継ノード3の複雑さを都合良く緩和し、必要とされる測定回数も削減し、それにより、ハンドオーバー遅延を最小化する。
【0110】
第8の実施形態
図11は、経路情報及びサービングセルの測定を用いて、ハンドオーバー関連測定を構成及び実行し、報告するときに、通信システム1の構成要素によって実行される方法を示す例示的なタイミング図を示す。
【0111】
この例において、ドナー基地局5−1は、図7を参照しながら上記で説明された実施形態と同じように、移動中継ノード3に関するサービングセル測定を構成する。しかしながら、この実施形態では、ドナー基地局5−1がMRN特有経路情報を入手するので、移動中継ノード3は、ハンドオーバー候補セルを指示する必要はない。
【0112】
最初に、ドナー基地局5−1は、ステップs111において、MRN特有経路情報を(例えば、OAM11から)得る。経路情報は、所定のMRNハンドオーバー情報(地理的座標、その経路に沿ったドナー対応基地局のリスト、MRNが使用するように構成される一連のセル等)を含む。
【0113】
この方法のステップs113〜s121はそれぞれ、図7のステップs703〜s711を参照しながら説明された手順に概ね従う。しかしながら、ステップs123において、測定及び報告モジュール47は、サービングセル測定の結果のみを報告する。
【0114】
ステップs125において、中継ノードハンドオーバーモジュール67は、ステップs123において受信された測定結果と、ステップs111において得られたMRN特有経路情報とを用いて、移動中継ノード3に関するハンドオーバー判断を行い、ターゲットセル(例えば、基地局5−2のセル2)を選択する。
【0115】
例えば、中継ノードハンドオーバーモジュール67は、ターゲットセルを選択するときに、サービングセル情報と、以前のサービングセル(又は以前のドナー基地局)の履歴とを用いることができる。セル/DeNB履歴によって、中継ノードハンドオーバーモジュール67は、移動中継ノード3に関して、現在のセル/DeNBをセル/DeNBの所定の順序と比較できるようになる。
【0116】
ターゲットセルを選択するとき、中継ノードハンドオーバーモジュール67は、位置決めモジュール68を介して得られた位置特定情報(例えば、地理的座標、速度、進行方向等)と組み合わせてサービングセル情報を用いることもできる。この場合、中継ノードハンドオーバーモジュール67は、次のドナーセルを識別するために、現在のセル/DeNBをセル/DeNBの所定の順序と(位置特定情報とともに)比較することができる。それゆえ、ステップs119〜s123に加えて(又はその代わりに)、ドナー基地局5−1及び移動中継ノード3は、ステップs105において上記で説明されたような位置決め手順を実行することができる。
【0117】
いずれの場合でも、ステップs125におけるハンドオーバー判断は、ドナーサービスを提供することができるターゲットセルを識別する情報に基づく。移動中継ノード3のためのターゲットドナー対応セルが選択された後に、サービングドナー基地局5−1及び移動中継ノード3は、ステップs127において、ハンドオーバー手順を実行する。
【0118】
この方法は、現在のセルの信号強度があらかじめ定義された閾値未満に降下するときに、移動中継ノード3が、移動中継ノードの既知の経路に基づいて選択された次のドナー可能基地局にハンドオーバーするのを確実にする。この場合、移動中継ノード3は、経路情報を入手し、処理する必要はないので、移動中継ノード3の複雑さが都合良く緩和する。
【0119】
変更形態及び代替形態
詳細な実施形態が上記で説明された。当業者が理解するように、上記の実施形態において具現される本発明から依然として利益を享受しながら、上記の実施形態に対する幾つかの変更形態及び代替形態を実施することができる。
【0120】
図4において、中継ノードハンドオーバーモジュールが、移動中継ノードの測定結果を受信した後にセルのフィルタリングを実行することが示されたが、中継ノードハンドオーバーモジュールは、移動中継ノードに関する測定を構成する前に、すなわち、ドナー基地局がステップs403において「RRC接続再構成」メッセージを生成し、送信する前に、セルをフィルタリングすることができる。この場合、許可ドナー基地局のリスト上の基地局に属するセルのみが、測定するために構成されることになるので、移動中継ノードの測定及び報告モジュールは、適切なハンドオーバー候補でないセルを測定又は報告する必要はない。それゆえ、ステップs414は、省くことができる(すなわち、中継ノードハンドオーバーモジュールは、ステップs403の前に類似のフィルタリングを実行する)。これは、測定及び報告モジュールが実行する必要がある測定回数が少なく、移動中継ノードのための有効なハンドオーバー候補を表すドナー基地局に対してしか実行する必要がないので、更なる利点を都合良く提供する。この変形形態は、ドナー基地局と移動中継ノードに対して必要とされるシグナリングを著しく削減する。
【0121】
それゆえ、図1に示される例示的なシステムでは、ドナー基地局は、移動中継ノードに、ハンドオーバートリガー処理のためにドナー基地局5−2のみを測定するように指示することができる。これは、移動中継ノードが、(この移動中継ノードに対して)ドナー基地局サービスを提供しない、基地局5−3のような他の隣接基地局を測定するのを(正:node from measuring)都合良く防ぐ。それゆえ、セル3(基地局5−3によって運用される)の信号品質がセル2(基地局5−2によって運用される)より良好である可能性がある場合であっても、基地局5−3はこのMRNがハンドオーバーするのに適していない候補であるので、測定及び報告モジュールによって不要な測定及び報告が実行される必要はない。
【0122】
図5において、測定結果が得られた後に(すなわち、ステップs512において)、移動中継ノードが候補セルのフィルタリングを実行することが示されたが、移動中継ノードは、測定を実行する前であっても候補セルをフィルタリングできることは理解されよう。この場合、許可ドナー基地局のリスト上にある基地局に属するセルのみが測定されることになるので、測定及び報告モジュールは、適切なハンドオーバー候補ではないセルを測定又は報告しない。それゆえ、ステップS512は省くことができる(すなわち、移動中継ノードは、ステップs509の前に同様のフィルタリングを実行する)。
【0123】
図5に示されるように、許可ドナー基地局のリストは、移動中継ノード内で構成され、記憶することができる。好ましくは、移動中継ノードは、OAMエンティティから、又は基地局からそのリストを得る。この場合、ドナー基地局によって保持されるリストの代わりに、又はそれに加えて、移動中継ノードは、自らのリストに基づいてセル測定を(ステップs512において)フィルタリングすることができる。例えば、移動中継ノード(すなわち、その測定及び報告モジュール)は、受信された構成パラメーターが異なる1組の基地局の測定を規定する場合であっても、許可ドナー基地局のリスト内に含まれる基地局のみに関するセル測定を実行することができる。オプションでは、移動中継ノードは、ドナー基地局によって規定された全ての基地局に関するセル測定を実行することができるが、移動中継ノードの許可ドナー基地局のリスト上にある基地局に属するセルのみを報告する。
【0124】
この代替形態の更なる変更形態によれば、ドナー基地局は、ネットワーク特有のドナー基地局リストを記憶することができ、移動中継ノードは、移動中継ノード特有の許可基地局リストを記憶することができ、そのリストは、ドナー基地局のリストとは異なっていてもよく、例えば、ドナー基地局のリストのサブセットとすることができる。それらのリストは、OAMエンティティを介して、又は基地局のうちの1つを介して(例えば、X2インターフェースを用いて、又はRRCシグナリングを用いることによって)移動中継ノード及び/又は基地局内で構成され、記憶される場合がある。
【0125】
上記の説明において、ドナー基地局及び/又は移動中継ノードは、OAMエンティティから許可ドナー基地局のリストを得る。しかしながら、ドナー基地局は、別の基地局(例えば、同じ移動中継ノードをサービングしていた以前のドナー基地局)から、又はX2インターフェースを介して複数の基地局から、このリストを得ることができる。基地局がX2インターフェースを介してセル情報を交換するとき、それらの基地局は、セルごとの情報を伴う付加的な指示(例えば、「MRNハンドオーバー許可」IE)を含むことができる。その指示は、例えば、「X2設定要求」、「X2設定応答」及び「ENB構成更新」メッセージのいずれか1つに含めることができる。この場合、最初に、各ドナー基地局は、例えば、OAMエンティティによって構成され、許可ドナー基地局のリストはその基地局のみからなる。しかしながら、他の基地局とX2メッセージを交換した後に、ドナー基地局は初期リストを拡張し、更なる許可ドナー基地局を追加し、それにより、経時的に、許可ドナー基地局の完全な最新のリストを生成することができる。
【0126】
代替的には、ドナー基地局及び/又は移動中継ノードは、RRCシグナリングを用いて、又は上記の代替形態の組み合わせを用いて、許可ドナー基地局のリストを得ることができる。
【0127】
上記の実施形態では、許可ドナー基地局のリストは、ネットワーク特有であるか、又は移動中継ノード特有であるかのいずれかであるように説明される。しかしながら、異なるタイプのリスト又はサブリスト、例えば、現在の地理的場所又は地理的場所の履歴に基づくリスト、時間パラメーターに基づくリスト、又はその任意の組み合わせを与えることもできることは理解されよう。例えば、許可ドナー基地局のリストは、国、都市又は移動中継ノードによって以前にとられた経路のような、所定の領域ごとのドナー基地局を含むことができる。さらに、許可ドナー基地局のリストは、例えば、移動中継ノードが位置する現在のセルに基づいて更に絞ることができる。この場合、許可ドナー基地局のリストは進行方向によって決めることができ、その場合、移動中継ノードは、隣接基地局、又は移動中継ノードによってとられることになる(又は以前にとられた)経路に沿って位置する基地局のみを測定又は報告する。この代替形態は、ハンドオーバー時にドナー基地局によって考慮されるべきセルを更に制限し、長い鉄道線路の場合にかなり大きくなるおそれがある、許可ドナー基地局のリストのサイズを削減する。
【0128】
特定の例では、1つのセル、すなわち、移動中継ノードに関する次のアタッチメント点であると予想される基地局に属するセルだけが、移動中継ノードによって測定され、及び/又は報告される。この代替形態の変形として、次のセルの代わりに、現在のセルだけが測定され、信号レベルが所定の閾値未満に降下するときに、移動中継ノードに関する次のアタッチメント点であると予想される基地局に属するセルに対して(例えば、記憶された経路情報に基づく)、ハンドオーバーがトリガーされる。この解決策の利点は、移動中継ノードが、隣接セルより確かに現在のセルを測定することができ、それゆえ、誤り及び遅延を起こす可能性が小さいことである。この測定は、新たなイベントタイプ、例えば、「サービングセルが閾値未満であることに基づく要RNハンドオーバー」、又は既存のイベントタイプ(例えば、イベントA2)の変更として与えることができる。
【0129】
許可ドナー基地局のリストは、移動中継ノードの現在の速度に基づいて与えることもでき、それにより、相対的に小さな地理的エリア(相対的に短時間で横切ることができるエリア)をカバーするセルは、測定から除かれるか、又はハンドオーバー判断から除かれ、相対的に大きなセルが選択される。この代替形態は、移動中継ノードが頻繁にハンドオーバーするのを都合良く防ぐ。
【0130】
図6を参照しながら説明された実施形態では、MRN特有経路情報が、移動中継ノードによってOAMエンティティからダウンロードされると説明された。しかしながら、経路情報は、基地局のうちの1つから(又は1つを介して)、ダウンロードすることもできることは理解されよう。この場合、移動中継ノードは、経路情報を用いて、ドナー基地局(例えば、許可ドナー基地局のリストを既に考慮に入れている場合がある)によって構成される測定を絞り込む。このオプションは、ハンドオーバーターゲットセルの測定及び/又は報告及び/又は選択が許可ドナー基地局のリスト及び移動中継ノードによって得られた経路情報の両方を考慮に入れるように、図4及び図5を参照しながら説明されたリストに基づく実施形態のいずれかと都合良く組み合わせることができる。さらに、MRN特有経路情報は、ドナー基地局によって得ることもでき、その後、ドナー基地局は、移動中継ノードの測定を構成するために、その経路情報を用いる。
【0131】
上記の実施形態において、移動電話に基づく電気通信システムが説明された。本出願において記述されるシグナリング技法が他の通信システムにおいても利用できることは当業者には理解されよう。他の通信ノード又はデバイスは、例えば、携帯情報端末、ラップトップコンピューター、ウェブブラウザー等のユーザーデバイスを含むことができる。移動通信デバイスのために上記の中継システムが用いられることは必須ではないことは当業者には理解されよう。そのシステムを用いて、移動通信デバイスとともに、又は移動通信デバイスの代わりに、1つ又は複数の固定コンピューティングデバイスを有するネットワークにおいて基地局のカバレッジを拡張することができる。
【0132】
上記の説明において、ドナー基地局及び移動中継ノードは、理解するのを容易にするために、幾つかの個別のモジュールを有するように説明されている。これらのモジュールは、或る特定の応用形態、例えば、既存のシステムを変更して本発明を実施した場合にこのようにして設けることができるが、他の応用形態、例えば、最初から本発明の特徴を念頭に置いて設計されたシステムでは、これらのモジュールは、オペレーティングシステム又はコード全体の中に組み込むことができるので、これらのモジュールは個別のエンティティとして区別できない場合がある。これらのモジュールは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア又はこれらの組み合わせにおいて実施することもできる。
【0133】
測定結果及び/又は近接指示及び/又はセル情報を含む、本明細書において記述されるシグナリングメッセージは、簡単である、実施するのが容易である、及び必要とされるメッセージの数を最小化するという観点から好都合であるが、この情報は、幾つかの異なるやり方のいずれかにおいて、例えば、複数のメッセージにおいて送信することもできる。さらに、上記のシグナリングメッセージを変更する代わりに、測定結果及び/又は近接指示及び/又はセル情報を含む全く新しいメッセージを生成することもできる。
【0134】
上述の例示の実施形態では、移動中継ノード及び基地局は、それぞれ送受信機回路を備える。通常、この回路は専用ハードウェア回路によって形成される。しかしながら、幾つかの実施形態では、送受信機回路の一部を、対応するコントローラーによって実行されるソフトウェアとして実装することができる。
【0135】
上記の実施形態では、複数のソフトウェアモジュールが説明された。当業者であれば理解するように、それらのソフトウェアモジュールは、コンパイル済みの形式又は未コンパイルの形式で与えることができ、コンピューターネットワークを介して信号として、又は記録媒体において基地局又は中継局に供給することができる。さらに、このソフトウェアの一部又は全部によって実行される機能は、1つ又は複数の専用のハードウェア回路を用いて実行することもできる。
【0136】
種々の他の変更が当業者には明らかであり、ここでは、これ以上詳しくは説明しない。
【0137】
以下は、現在提案されている3GPP標準規格において本発明を実施することができる方法の詳細な記述である。種々の特徴が必須又は必要であるものとして説明されるが、これは、例えば、提案された3GPP標準規格によって課せられる他の要件に起因して、その標準規格の場合にのみ当てはまる場合がある。それゆえ、これらの陳述は、本発明を多少なりとも限定すると解釈されるべきではない。
【0138】
序論
中継ノード(RN)は3GPPリリース10において導入された[5]。RNは基本的にはeNBであり、そのバックホールは、ドナーeNB(DeNB)と呼ばれる、RNをサービングするeNBへの接続を介して無線で設けられる。
【0139】
3GPPリリース10では、RNは静止していると見なされ、すなわち、RNのセル間ハンドオーバーはサポートされなかった。現在、3GPPリリース11の検討事項を通して、移動中継が検討されている[1]。RNがモバイルである場合には、RNのセル間ハンドオーバーが必要とされることになる。
【0140】
本文書の目的は、移動中継ノード(MRN)のセル間ハンドオーバーのためのトリガーを論じることである。
【0141】
検討
問題
DeNBセル間のハンドオーバーはいかにトリガーされることになるか。
【0142】
UEと同じ方法、すなわち、隣接セル測定を用いることは、以下のことから、適切でない場合がある。
−移動中継3GPPリリース11検討事項は、具体的には、高速列車のシナリオ、例えば、RNを列車車両に取り付けることに重点を置いている。
−これは、MRNが、測定精度が低い非常に高速の環境において動作している場合があることを意味する。
−測定は実行するのに時間を要し、高速環境ではいかなる時間遅延も重大である場合がある。
−列車に取り付けられたMRNは既知の経路を用いる。次のターゲットDeNBセル、及び適切なハンドオーバー場所をあらかじめ知ることができるとき、全てのセルを測定する必要はない。
−既存のUE測定は、DeNBセルと、非DeNBセルとを区別しない。MRNによって非DeNBセルに関する測定イベントがトリガーされる場合には、その測定イベントは、MRNハンドオーバーにとって的外れである場合がある。
○例えば、イベントA5(Pセルが閾値1より悪くなり、隣接セルが閾値2より良好になる)は、任意の隣接セルによってトリガーされる場合がある。隣接セルが許可されたDeNBセルでない場合には、そのイベントは、MRNハンドオーバーにとって有用なトリガーではない。
【0143】
MRNのための任意のハンドオーバー機構は、ハンドオーバー失敗が増える可能性があることに起因して(すなわち、MRNが高速であること、及び幾つかの隣接セルが許可されないDeNBセルであることに起因して)、かつハンドオーバー失敗がもたらす結果、すなわち、潜在的に多数のUEが影響を及ぼされることに起因して、ロバストでなければならない。
【0144】
考えられる解決策
本文書では、以下の考えられる解決策が検討される。
【0145】
解決策1:MRNがUEと同じ周波数内/周波数間測定を実行する。
−方法1.1:DeNBが許可DeNBセルリストに対して、報告されたセルのフィルタリングを実行しなければならない。
○方法1.1.1:許可DeNBセルリストを、O&Mを介してDeNBが入手できる。
○方法1.1.2:許可DeNBセルリストを、X2を介してDeNBが入手できる。
【0146】
解決策2:MRNがUEと同じ周波数内/周波数間測定を実行するが、リレー特有のいくつかの拡張を伴う。
−方法2.1:MRNだけが、許可DeNBセルに基づいて測定イベントをトリガーする。
【0147】
解決策3:新たなリレー特有の測定イベントが導入される。
−方法3.1:新たなリレー特有の場所に基づく測定イベントが導入される。
−方法3.2:MRNで使用するために、サービングセルに基づく測定イベントが作成される。
○方法3.2.1:新たなリレー特有のサービングセルに基づく測定イベントが導入される。
○方法3.2.2:MRNで使用するために、既存のサービングセルに基づく測定イベントが変更される。
【0148】
解決策4:MRNがRRCメッセージを用いてハンドオーバーを要求する。
−方法4.1:MRNが新たなリレー特有のRRCメッセージを用いてハンドオーバーを自律的に要求する。
○方法4.1.1:MRNが、自らの場所及び所定の経路情報に基づいてハンドオーバーをトリガーする。
○方法4.1.2:MRNが、サービングセル測定及び所定の経路情報に基づいてハンドオーバーをトリガーする。
−方法4.2:MRNが、中継のために多少の変更を加えて、既存の「近接指示」手順を用いる。
【0149】
解決策5:DeNBが所定の経路情報を用いてハンドオーバーをトリガーする。
−方法5.1:DeNBが位置特定サービス及び所定の経路情報を用いてハンドオーバーをトリガーする。
−方法5.2:DeNBが既存のサービングセル測定及び所定の経路情報を用いてハンドオーバーをトリガーする。
【0150】
可能性がある解決策及び方法の詳細な説明が以下に記述される。
【0151】
解決策1:MRNがUEと同じ周波数内/周波数間測定を実行する
通常のUEの場合の既存の全体的なモビリティシーケンスがTS36.300のセクション10.1.2において記述される[5]。以下のシーケンスは、そのシーケンスの開始に、すなわち、eNBによる測定の設定及び後続のハンドオーバーのトリガー処理に焦点を合わせる。図12を参照。
【0152】
この解決策の場合、既存のUE測定手順及びシグナリングが、変更を加えることなく、MRN及びDeNBによって再利用される。すなわち、以下の通りである。
○DeNBが、MRNに、UEと同じシグナリング及び手順を用いて、UEと同じ測定、例えば、イベントA5を実行するように求めることができる。
○MRNがUEに対して既存と同様のやり方で測定を実行する。測定イベントもこれまで通りにトリガーされ、すなわち、MRNは、セルを許可DeNBセルリストと照合しない。
○隣接セル測定に基づいてハンドオーバーをトリガーすることができ、全てのセルが測定イベントをトリガーするために用いられる。
【0153】
しかしながら、本文書の冒頭に列挙された問題は対処されない。さらに、この解決策は、MRNが周波数間測定を実行するために測定間隔を必要とする。
【0154】
この解決策のために対処される必要がある具体的な問題は、DeNBが、許可されないDeNBセルに対するハンドオーバーをトリガーすべきでないということである。
【0155】
DeNBが、許可されないDeNBセルへのハンドオーバーをトリガーしないのを確実にする方法は以下の通りである。
−方法1.1:DeNBが、許可DeNBセルリストに対して、報告されたセルのフィルタリングを実行しなければならない。
【0156】
そのフィルタリングは、RRC:測定報告の受信時に実行される。図13を参照。
3GPPリリース10において、DeNBは許可/非許可DeNBセル情報を有するように規定されないが、この解決策の場合にはこれが必要とされる。これを果たす方法は以下の通りである。
□方法1.1.1:許可DeNBセルリストを、O&Mを介してDeNBが入手することができる。
この情報(例えば、許可DeNBセルリスト)は、DeNBがMRNをサービングしているときに、DeNBによってO&Mからダウンロードすることができる。
既存の許可DeNBセルリストはRN特有とすることができるので(Rel’10では、RN O&Mからダウンロードされる)、DeNBは以下のいずれかを実施しなければならない。
○RN特有のO&Mにアクセスする。
○RN特有情報をDeNB O&Mにおいて入手できなければならない。
○許可DeNBセルリストがRN特有であることを許可されない。
□方法1.1.2:許可DeNBセルリストを、X2を介してDeNBが入手することができる。
セル情報がX2を介して、例えば、X2設定要求、X2設定応答、ENB構成更新メッセージにおいて交換されるとき、セルごとに、その情報に付加的な指示子(例えば、「MRNハンドオーバー許可」IE)が追加される。
これは次のメッセージシーケンスに示されている(TS36.423[6]のセクション8.3.3及び8.3.5に基づく)。図14を参照。
この情報はネットワーク全体にわたるものであり、すなわち、RN特有ではない。RN特有の詳細は、方法1.1.1において記述されるように取り扱われる。
【0157】
解決策2:MRNがUEと同じ周波数内/周波数間測定を実行するが、リレー特有のいくつかの拡張を伴う。
この解決策の場合、リレー特有の多少の変更を加えて、既存のUE測定手順及びシグナリングが再利用される。
−方法2.1:MRNが、許可DeNBセルに基づく測定イベントだけをトリガーする。この方法は、測定イベントが無関係のセルによってトリガーされるのを回避する。
DeNBは、MRNに、同じシグナリング及び手順を用いて、UEと同じ測定、例えば、イベントA5を実行するように求めることができる。
「許可DeNBセル」を、RNがRN O&Mから入手することができる。これは、RN起動時にダウンロードされ、Rel’10において既に標準化されている。
その測定手順では、TS36.311のセクション5.5.4.1において記述されるように、測定イベントトリガー処理条件が満たされたか否かを判断するときに、MRNは、「許可DeNBセル」(例えば、O&Mからダウンロードされる)のみを考慮する[3]。
□例えば、イベントA5(Pセルが閾値1より悪くなり、隣接セルが閾値2より良好になる)が、任意の隣接セルによってトリガーされる場合がある。その隣接セルが許可DeNBセルであることが保証される場合には、そのイベントは、MRNハンドオーバーのための有意なトリガーとして用いることができる。
この方法はオプションで以下のことを実施することにより向上させることができる。
○測定され、報告された測定報告の結果内に「許可DeNBセル」のみを含むようにMRNを制限する。測定報告は、許可DeNBセルに基づいてトリガーされるが、そのDeNBは、ハンドオーバーのためにそのセルを選択する必要はなく、例えば、測定報告内の他のセルを見ることができる。測定報告内の全てのセルを許可DeNBセルだけに制限することによって、これは、DeNBに、HOターゲットとして選択することができる許可DeNBセルの完全なプールを通知することになる。
○既存の「許可DeNBセル」リストを拡張させる。一例が、許可DeNBセルごとに、次の許可ターゲットDeNBセル(複数の場合もある)を含めることである。長い列車線路の場合に「許可DeNBセル」リストがかなり大きい場合があるので、有用な場合がある、HO時にDeNBによって考慮されるべきセルを更に制限する。
この解決策は、MRNが周波数間測定を実行するために測定間隔を必要とする。図15を参照。
【0158】
解決策3:リレー特有の使用のために測定イベントが作成されるか、又は変更される。
この解決策は、列車に取り付けられたMRNが既知の経路を使用し、それゆえ、次のターゲットDeNBセルをあらかじめ決定できるという事実を利用する。
−方法3.1:新たなリレー特有の場所に基づく測定イベントが導入される。
MRNが自らの場所及び所定の経路情報に基づいてハンドオーバーをトリガーする。
この方法では、場所計算のみが必要とされる。実行される測定回数が少ないので、ハンドオーバー遅延も短縮される。
この方法では、DeNBは、既存のRRC測定手法シグナリング及び手順を用いて、MRN内に新たなイベント、例えば、「場所に基づく要RNハンドオーバー」を構成することができる。測定構成は、必要とされる位置決めの詳細、例えば、位置特定精度を含むことができる。
この方法では、MRNは、例えば、A−GPSを用いて、その自らの場所計算を実行/要求することができ、これを所定のハンドオーバー情報と比較して、ハンドオーバーがいつ必要とされるか否かを判断する。
3GPPリリース10では、MRNは、任意の所定のMRNハンドオーバー情報にアクセスするように現時点では規定されていない。この方法の場合、RN起動時に許可DeNBセルをダウンロードするとともに、MRNが所定のMRNハンドオーバー情報(地理的座標、次の許可MRNセル等)を入手できるようにすべきである。
MRNによって送信される測定報告は、測定イベントをトリガーした許可ターゲットDeNBセルを指示することができ、オプションで、任意の他の許可ターゲットDeNBセルを指示することができる。図16を参照。
−方法3.2:サービングセルに基づく測定イベントを用いて、ハンドオーバーをトリガーする。
この方法では、サービングDeNBセルのみが測定される。これは、隣接セルより測定するのが容易であり、それゆえ、誤り及び遅延を起こす傾向が少ない。
DeNBは、MRNに、サービングセルが閾値未満に降下する時点を報告する測定イベントを構成するように要求することができる。
このイベントは、この目的のために作成された新たな測定イベント、例えば、「サービングセルが閾値未満であることに基づく要RNハンドオーバー」とすることができるか、又はこの目的のために、既存の測定イベントA2を変更することができる。
新たなイベント又は変更されたイベントは、既存のRRC測定手法シグナリング及び手順を用いて構成することができる。
そのイベントがトリガーされるとき、MRNは、所定の経路情報を用いて、次のターゲットDeNBセルを選択する。MRNは、現時点でこの情報を有しない。MRNは、RN起動時の許可DeNBセルのダウンロードとともに、RNによってO&Mからダウンロードすることができる。
MRNによって送信される測定報告は、測定イベントをトリガーした許可ターゲットDeNBセルを指示することができ、オプションで、任意の他の許可ターゲットDeNBセルを指示することができる。
MRNが次のターゲットDeNBセルを選択するやり方は、自らの移動について入手可能な情報によって決まる。
●サービングDeNBセル情報及び以前のサービングDeNBセル履歴
○DeNBセル履歴によって、MRNはDeNBセルの所定の順序と比較し、次のDeNBセルを判断できるようになる。MRNはUE履歴情報IEを入手することができないので、MRNは自らこの情報を保持する必要がある。
●サービングDeNBセル情報及び位置特定情報
○MRNは、その詳細な場所、又はその位置に関する何らかの指示、例えば、進行方向を認識している必要がある。
○その際、MRNは、所定のDeNBセル情報と(位置特定情報とともに)比較し、次のDeNBセルを判断することができる。図17を参照。
【0159】
解決策4:MRNがRRCメッセージを用いてハンドオーバーを要求する。
−方法4.1:MRNが新たなリレー特有RRCメッセージを用いてハンドオーバーを自律的に要求する。
この解決策は解決策3に類似であるが、DeNBによる構成を必要とする代わりに、MRNがハンドオーバートリガー条件を自律的にチェックする。
DeNBに、この中継ノードに関してハンドオーバーが必要とされることを通知するために、MRNからDeNBへの新たなRRCメッセージ、例えば、RRC:要RNハンドオーバーが特に作成される。
この新たなメッセージは、ハンドオーバーをトリガーした許可ターゲットDeNBセルを指示することができ、オプションで、任意の他の許可ターゲットDeNBセルを指示することができる。解決策3と同様に、ハンドオーバーは以下に基づいてトリガーすることができる。
−方法4.1.1:MRNが自らの場所及び所定の経路情報に基づいてハンドオーバーをトリガーする。
−方法4.1.2:MRNがサービングセル測定及び所定の経路情報に基づいてハンドオーバーをトリガーする。図18を参照。
−方法4.2:リレーで使用するために何らかの変更を加えて、MRNが既存の「近接指示」手順を使用する
3GPPリリース10では、TS.331[3]において近接指示手順が定義されており、UEが1つ又は複数のCSGメンバーセルの付近に入りつつあるか、又はその付近から離れつつあることを指示するために用いられる。近接の検出は、TS36.304[4]において定義されるような自律探索関数に基づき、探索関数自体はUEの実施態様に委ねられている。
近接指示機能は、MRNで使用するために、例えば、MRNがDeNBの付近に入りつつあるか、又はその付近から離れつつあることを指示するために拡張することができる。
一例が以下の図に示される。
注記:図中の破線は、その手順のオプション部分を表す。図19を参照。
1.DeNBが、これまで通りにRN起動/RNハンドオーバーの一部としてRRC接続再構成手順を実行する。RRC接続再構成メッセージは、MRNに関する近接指示が必要とされることを指示する新たなIE、例えば、「proximityIndicationEUTRA−RN」を含む。
2.MRNが、これまで通りに、RRC接続再構成完了メッセージで応答する。
3.その後、MRNは、DeNBセルに関する自律的探索を実行することになる。この探索は、O&Mからダウンロードされるような許可DeNBセルのみに限定することができる。実際の探索機構は、これまで通りに実施態様に委ねることができるが、以下のオプションを含むことができる。
a.場所に基づく
b.測定に基づく
4.MRNはRRC:近接指示メッセージを送信する。RRC近接指示メッセージは、適切なDeNBセル(複数の場合もある)が検出されたことを指示する新たなIEを含み、DeNBセル(複数の場合もある)の識別情報、例えば、PCI(複数の場合もある)も含む。
5.その後、DeNBは、例えば、ハンドオーバーをトリガーする時点を判断するために、かつターゲットセルを判断するために、更なるUE測定を実行することを望む場合がある。DeNBは近接指示だけに基づいてハンドオーバーをトリガーすることができるので、このステップはオプションである。
6.その後、DeNBはこれまで通りにハンドオーバーを実行する。
【0160】
解決策5:DeNBが所定の経路情報を用いてハンドオーバーをトリガーする
−方法5.1:DeNBが位置特定サービス及び所定の経路情報を用いてハンドオーバーをトリガーする
この方法では、場所計算のみが必要とされる。実行される測定回数が少ないので、ハンドオーバー遅延も短縮される。
列車に取り付けられたMRNは既知の経路を使用し、それゆえ、ハンドオーバーのターゲットDeNBセルはあらかじめ決定することができる。
DeNBは、例えば、LCS[2]の位置特定要求サービスを用いて、MRNの場所を知り、これを所定のハンドオーバー情報と比較して、ハンドオーバーが必要とされるか、及びどのセルに向かうかを判断する必要がある。
3GPPリリース10において、DeNBは、任意の所定のMRNハンドオーバー情報にアクセスするように現時点では規定されていない。例えば、DeNBがMRNをサービングしているときにO&Mからダウンロードすることによって、DeNBが所定のMRNハンドオーバー情報(地理的座標、次の許可MRNセル等)を入手できるようにすべきである。
既存の許可DeNBセルリストはRN特有とすることができるので(Rel’10では、RN O&Mからダウンロードされる)、DeNBは以下のいずれかを実施しなければならない。
○RN特有のO&Mにアクセスする。
○RN特有情報をDeNB O&Mにおいて入手できなければならない。
○許可DeNBセルリストがRN特有であることは許されない。
図20を参照。
−方法5.2:DeNBが既存のサービングセル測定及び所定の経路情報を用いてハンドオーバーをトリガーする
この解決策では、サービングDeNBセルのみが測定される。これは、隣接セルより測定するのが容易であり、それゆえ、誤り及び遅延を起こす傾向が少ない。
列車に取り付けられたMRNは既知の経路を使用し、それゆえ、次のターゲットDeNBセルはあらかじめ決定することができる。
DeNBは、サービングセルが閾値未満に降下するときに、すなわち、既存の測定イベントA2を用いて、MRNに測定イベントをトリガーするように要求することによって、モビリティ手順を開始することができる。
イベント、例えば、測定イベントA2がトリガーされるとき、DeNBは所定の経路情報を用いて次のターゲットDeNBセルを選択する。そのDeNBは、この情報を現時点で有していない。それは、MRNをサービングしているときに、DeNBによってO&Mからダウンロードすることができる。
□注記:この情報はRN特有とすることができる(すなわち、異なるRNが異なる列車線路上に存在することができる)ので、DeNBは、RN特有のO&Mにアクセスしなければならないか、又はDeNB O&Mにおいて同等の情報を入手できなければならない。
DeNBが次のターゲットDeNBセルを選択するやり方は、MRN移動について入手可能な情報によって決まる。
□サービングDeNBセル識別子及び以前のサービングDeNBセル履歴
●DeNBセル履歴によって、サービングDeNBは、DeNBセルの所定の順序と比較し、次のDeNBセルを判断できるようになる。UE履歴情報IEは、S1/X2ハンドオーバー準備手順内で既に必須である。
□サービングDeNBセル識別子及び位置特定情報
●DeNBに与えられる位置特定情報は、MRNの完全な場所の位置決め、又はMRN位置に関する何らかの指示だけ、例えば、進行方向とすることができる。この情報は、現時点でDeNBは入手できない。これは、例えば、測定イベントA2報告の一部として、又は新たな測定イベントとして追加される必要がある。
●その際、サービングDeNBは、所定のDeNBセル情報と(位置特定情報とともに)比較し、次のターゲットDeNBセルを判断することができる。図21を参照。
注記:全ての上記の解決策は、O&Mを介して与えられることになる許可DeNBセルリストを考慮する。同じ手法は、許可DeNBセル情報が、他の手段、例えば、システム情報を介して与えられる場合にも当てはまる。
【0161】
引用文献
[1]PR-111377, New Study Item Proposal: Mobility Relay for E-UTRA, 3GPP TSG RAN#53, Fukuoka, Japan, Sep 13-16 2011
[2]3GPP TS 23.271 (V10.2.0), Functional Stage 2 description of Location Services (LCS)
[3]3GPP TS 36.331 (V10.6.0), E-UTRA; Radio Resource Control (RCC); Protocol specification
[4]3GPP TS 36.304 (V11.0.0), E-UTRA; User Equipment (UE) procedures in idle mode
[5]3GPP TS 36.300 (V10.8.0), E-UTRA and E-UTRAN; Overall description; Stage 2
[6]3GPP TS 36.423, E-UTRAN(V11.1.0); X2 Application Protocol (X2AP)
【0162】
上記の実施形態の全体又は一部を以下のように記述することもできるが、それに限定されるものではない。
【0163】
したがって、本発明の一態様は、複数の基地局を備える通信システムの基地局であって、該基地局によって現在サービングされている移動中継ノードのハンドオーバーを開始し、該基地局は、
前記移動中継ノードに前記通信システムへのアクセスを与えるように前記基地局のサービングセルを前記移動中継ノードと関連付ける手段と、
少なくとも1つの更なる基地局を識別し、前記少なくとも1つの更なる基地局が、前記少なくとも1つの更なる基地局によって運用される少なくとも1つのセルを介して、前記移動中継ノードにドナーサービスを提供できることを指示する情報を得る手段と、
前記移動中継ノードが前記サービングセルとは異なるセルにハンドオーバーする必要がある時点を判断する手段と、
前記得られた情報によって識別される前記少なくとも1つの更なる基地局の前記少なくとも1つのセルから、前記移動中継ノードの前記ハンドオーバーのためのターゲットセルを選択する手段と、
を備える、複数の基地局を備える通信システムの基地局を提供する。
【0164】
前記得られた情報は、ドナーサービスを提供することができる基地局のリスト(例えば、「ホワイトリスト」又はドナー基地局「ホワイトリスト」のようなリスト)を含むことができる。さらに、前記得られた情報は、前記移動中継ノードの所定の経路に関連する情報を含むことができる。
【0165】
前記移動中継ノードの所定の経路に関連する前記情報は、前記経路を表す地理的情報、前記経路に沿ったドナー対応セル/基地局のリスト、及び前記経路に沿った次のドナー対応セル/基地局を識別する情報のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0166】
所定の経路に関連する前記情報は、前記サービングセルの場所によって決めることができる。さらに、所定の経路に関連する前記情報は、前記サービングセルの前記場所に対する前記経路に沿った次のドナー対応セル/基地局を識別することができる。
【0167】
前記得る手段は、運用保守エンティティ(「OAM」)から前記情報を得るように動作可能であることができる。さらに、前記得る手段は、更なる基地局から前記情報の少なくとも一部を得るように動作可能であることができる。前記得る手段は、また、少なくとも1つのX2プロトコルメッセージを用いるように動作可能であることができる。
【0168】
前記少なくとも1つのX2プロトコルメッセージは、「X2設定要求」、「X2設定応答」及び「ENB構成更新」メッセージのうちの少なくとも1つを含むことができる。さらに、前記少なくとも1つのX2プロトコルメッセージは、前記移動中継ノードが動作することができる前記特定の基地局の各セルを識別する指示子(例えば、「MRNハンドオーバー許可」情報要素を含むことができる。
【0169】
前記情報は、前記移動中継ノードが前記サービングセルからハンドオーバーすることができる少なくとも1つの基地局及び/又は少なくとも1つのセルの識別情報を含むことができる。
【0170】
前記得る手段は、前記移動中継ノードから前記情報を得るように動作可能であることができる。さらに、前記得る手段は、少なくとも1つのRRCプロトコルメッセージにおいて前記移動中継ノードから前記情報を得るように動作可能であることができる。
【0171】
前記少なくとも1つのRRCプロトコルメッセージは、「測定報告」、「要RNハンドオーバー」及び「近接指示」メッセージのうちの少なくとも1つを含むことができる。さらに、前記少なくとも1つのRRCプロトコルメッセージは、前記移動中継ノードがハンドオーバーすることができる基地局の少なくとも1つのセルの識別情報(例えば、物理セル識別子「PCI」)を含む、少なくとも1つの情報要素を含むことができる。
【0172】
基地局は、前記移動中継ノードを、前記ターゲットセルの選択に関連する手順を実行するように構成する手段を更に備えることができる。
【0173】
前記移動中継ノード構成手段は、少なくとも1つのセルの測定を構成するように動作可能であることができる。
【0174】
前記少なくとも1つのセルは前記サービングセル及び/又は少なくとも1つの隣接するセルを含むことができる。
【0175】
前記移動中継ノード構成手段は、ドナー対応セルの探索を構成するように動作可能であることができる。
【0176】
基地局は、前記ターゲットセルの前記選択に関連して前記基地局によって実行されることになる位置決めプロセスを構成する手段を更に備えることができる。
【0177】
前記位置決めプロセス構成手段は、前記位置決めプロセスを、前記移動中継ノードの現在の地理的場所を得るように構成するように動作可能であることができる。
【0178】
前記移動中継ノード構成手段は、前記移動中継ノードを、場所に基づく測定(例えば、「位置測定」)イベント、サービングセルに基づく測定(例えば、「サービングセル測定」)イベント及び近接指示イベント(例えば、「DeNBセル探索」)のうちの少なくとも1つを実行するように構成するように動作可能であることができる。
【0179】
前記移動中継ノード構成手段は、少なくとも1つのRRCプロトコルメッセージを用いて前記構成を実行するように動作可能であることができる。
【0180】
前記少なくとも1つのRRCプロトコルメッセージは、接続再構成メッセージ(例えば、RRC接続再構成メッセージ)を含むことができる。さらに、前記少なくとも1つのRRCプロトコルメッセージは、情報要素を含むことができる。前記情報要素は、「MeasConfig」及び「近接指示」(例えば、「proximityIndicationEUTRA−RN」)情報要素の少なくとも1つを含むことができる。
【0181】
本発明の一態様は、複数の基地局を備える通信システムの移動中継ノードであって、該移動中継ノードをサービングする現在の基地局によってハンドオーバーターゲットセルを選択するための情報を与え、該移動中継ノードは、
ドナー基地局として動作する前記現在の基地局のサービングセルと協働する手段と、
少なくとも1つの更なる基地局を識別し、前記少なくとも1つの更なる基地局が、前記少なくとも1つの更なる基地局によって運用される少なくとも1つのセルを介して、前記中継ノードにドナーサービスを提供できることを指示する情報を得る手段と、
前記移動中継ノードが位置するカバレッジエリアを有する少なくとも1つのセルの通信特性の測定を構成し、実行する手段と、
前記現在の基地局に、前記測定の結果を含む少なくとも1つの測定報告を報告する手段と、
を備え、該移動中継ノードは、
前記少なくとも1つの測定報告において、前記得られた情報によって識別された前記少なくとも1つの更なる基地局の少なくとも1つのセルに関連する測定の結果を与え、
前記少なくとも1つの測定報告において、前記移動中継ノードが位置するが、前記得られた情報によって識別された前記少なくとも1つの更なる基地局によって運用されないカバレッジエリアを有するセルに関連する測定の結果を与えないように動作可能である、複数の基地局を備える通信システムの移動中継ノードを提供する。
【0182】
測定を構成し、実行する前記手段は、
前記得られた情報によって識別された前記少なくとも1つの更なる基地局の少なくとも1つのセルに関連する測定を実行し、
前記移動中継ノードが位置するが、前記得られた情報によって識別された前記少なくとも1つの更なる基地局によって運用されないカバレッジエリアを有するセルに関連する測定を実行しないように動作可能であることができる。
それに応じて、前記報告する手段は、前記得られた情報によって識別された前記少なくとも1つの更なる基地局の少なくとも1つのセルに関連する前記測定を報告するように動作可能であることができる。
【0183】
測定を構成し、実行する前記手段は、
特定のセルが、前記得られた情報によって識別された前記少なくとも1つの更なる基地局によって運用されるか否かにかかわらず、そのセルに関連する測定を実行するように動作可能であることができる。前記報告する手段は、
前記得られた情報によって識別された前記少なくとも1つの更なる基地局の少なくとも1つのセルに関連する実行された測定を報告し、
前記移動中継ノードが位置するが、前記得られた情報によって識別された前記少なくとも1つの更なる基地局によって運用されないカバレッジエリアを有するセルに関連する実行された測定を報告しないように動作可能であることができる。
【0184】
前記得られた情報は、ドナーサービスを提供することができる基地局のリスト(例えば、「ホワイトリスト」又はドナー基地局「ホワイトリスト」のようなリスト)を含むことができる。さらに、前記得られた情報は、前記移動中継ノードの所定の経路に関連する情報を含むことができる。
【0185】
前記移動中継ノードの所定の経路に関連する前記情報は、前記経路を表す地理的情報、前記経路に沿ったドナー対応セル/基地局のリスト、及び前記経路に沿った次のドナー対応セル/基地局を識別する情報のうちの少なくとも1つを含むことができる。また、所定の経路に関連する前記情報は、前記サービングセルの場所によって決まる。さらに、所定の経路に関連する前記情報は、前記サービングセルの前記場所に対する前記経路に沿った次のドナー対応セル/基地局を識別することができる。
【0186】
前記得る手段は、運用保守エンティティ(「OAM」)から前記情報を得るように動作可能であることができる。
【0187】
前記情報は、前記移動中継ノードが前記サービングセルからハンドオーバーすることができる少なくとも1つの基地局及び/又は少なくとも1つのセルの識別情報を含むことができる。
【0188】
前記得る手段は、前記移動中継ノードから前記情報を得るように動作可能であることができる。さらに、前記得る手段は、少なくとも1つのRRCプロトコルメッセージにおいて前記移動中継ノードから前記情報を得るように動作可能であることができる。
【0189】
前記少なくとも1つのRRCプロトコルメッセージは、「測定報告」、「要RNハンドオーバー」及び「近接指示」メッセージのうちの少なくとも1つを含むことができる。さらに、前記少なくとも1つのRRCプロトコルメッセージは、前記移動中継ノードがハンドオーバーすることができる基地局の少なくとも1つのセルの識別情報(例えば、物理セル識別子「PCI」)を含む、少なくとも1つの情報要素を含むことができる。
【0190】
前記構成し、実行する手段は、前記サービングセル及び/又は少なくとも1つの隣接するセルを含む、少なくとも1つのセルに関連する測定を構成し、実行するように動作可能であることができる。
【0191】
前記得る手段は、ドナー対応セルの探索を実行し、それにより、前記情報であって、少なくとも1つの更なる基地局を識別し、該少なくとも1つの更なる基地局が、該少なくとも1つの更なる基地局によって運用される少なくとも1つのセルを介して前記中継ノードにドナーサービスを提供することができることを指示する前記情報を得るように動作可能であることができる。
【0192】
前記構成し、実行する手段は、前記移動中継ノードを、場所に基づく測定(例えば、「位置測定」)イベント、サービングセルに基づく測定(例えば、「サービングセル測定」)イベント及び近接指示イベントに関連する手順(例えば、「DeNBセル探索」)のうちの少なくとも1つを構成し、実行するように動作可能であることができる。さらに、前記構成し、実行する手段は、前記現在の基地局から少なくとも1つのRRCプロトコルメッセージを受信するように動作可能であることができる。
【0193】
前記少なくとも1つのRRCプロトコルメッセージは、接続再構成メッセージ(例えば、RRC接続再構成メッセージ)を含むことができる。さらに、前記少なくとも1つのRRCプロトコルメッセージは、情報要素を含むことができる。
【0194】
前記情報要素は、「MeasConfig」及び「近接指示」(例えば、「proximityIndicationEUTRA−RN」)情報要素の少なくとも1つを含むことができる。
【0195】
前記転送する手段は、少なくとも1つのRRCプロトコルメッセージにおいて、少なくとも1つの識別された更なる基地局の少なくとも1つのセルに関連する前記情報を転送するように動作可能であることができる。
【0196】
前記少なくとも1つのRRCプロトコルメッセージは、「測定報告」、「要RNハンドオーバー」及び「近接指示」メッセージのうちの少なくとも1つを含むことができる。さらに、前記少なくとも1つのRRCプロトコルメッセージは、前記少なくとも1つの更なる基地局の前記少なくとも1つのセルの識別情報(例えば、物理セル識別子「PCI」)を含む、少なくとも1つの情報要素を含むことができる。
【0197】
本発明の別の態様は、上記の基地局と、上記の移動中継ノードとを備えるシステムを提供する。
【0198】
本発明の別の態様は、複数の基地局を備える通信システム内の基地局によって、前記基地局によって現在サービングされている中継ノードのハンドオーバーを開始するように実行される方法であって、該方法は、
前記移動中継ノードに前記通信システムへのアクセスを与えるように前記基地局のサービングセルを前記移動中継ノードに関連付けることと、
少なくとも1つの更なる基地局を識別し、前記少なくとも1つの更なる基地局が、前記少なくとも1つの更なる基地局によって運用される少なくとも1つのセルを介して前記移動中継ノードにドナーサービスを提供することができることを指示する情報を得ることと、
前記移動中継ノードが前記サービングセルとは異なるセルへのハンドオーバーを必要とする時点を判断することと、
前記得られた情報によって識別された前記少なくとも1つの更なる基地局の前記少なくとも1つのセルから、前記移動中継ノードの前記ハンドオーバーのためのターゲットセルを選択することと、
前記選択されたターゲットセルへの前記移動中継ノードのハンドオーバーを実行することと、
を含む、複数の基地局を備える通信システム内の基地局によって、前記基地局によって現在サービングされている中継ノードのハンドオーバーを開始するように実行される方法を提供する。
【0199】
本発明の別の態様は、複数の基地局を備える通信システム内の移動中継ノードによって、前記移動中継ノードをサービングする現在の基地局によるハンドオーバーターゲットセル選択のための情報を与えるように実行される方法であって、該方法は、
ドナー基地局として動作している前記現在の基地局のサービングセルと協働することと、
少なくとも1つの更なる基地局を識別し、該少なくとも1つの更なる基地局が、前記少なくとも1つの更なる基地局によって運用される少なくとも1つのセルを介して前記中継ノードにドナーサービスを提供することができることを指示する情報を得ることと、
前記移動中継ノードが位置するカバレッジエリアを有する少なくとも1つのセルの通信特性の測定を構成し、実行することと、
前記現在の基地局に、前記測定の結果を含む少なくとも1つの測定報告を報告することと、
を含み、前記報告するステップにおいて、前記移動中継は、
前記少なくとも1つの測定報告において、前記得られた情報によって識別された前記少なくとも1つの更なる基地局の少なくとも1つのセルに関連する測定の結果を与え、
前記少なくとも1つの測定報告において、前記移動中継ノードが位置するが、前記得られた情報によって識別された前記少なくとも1つの更なる基地局によって運用されないカバレッジエリアを有するセルに関連する測定の結果を与えない、複数の基地局を備える通信システム内の移動中継ノードによって、前記移動中継ノードをサービングする現在の基地局によるハンドオーバーターゲットセル選択のための情報を与えるように実行される方法を提供する。
【0200】
本発明の別の態様は、上記の基地局又は上記の移動中継ノードとしてプログラマブルコンピューターデバイスを構成させるコンピューター実施可能命令を含む、コンピュータープログラム製品を提供する。
【0201】
また、本発明は、対応する方法と、搬送波信号において、又はCD、DVD等の記録媒体において与えることができるコンピューターソフトウェア製品とを提供する。
【0202】
本出願は、2012年7月13日付けの英国特許出願第1212537.3号に基づき、その特許出願からの優先権の利益を主張し、その特許出願の開示は引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。
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