特許第5971513号(P5971513)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5971513
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】端子付き電線およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/62 20060101AFI20160804BHJP
   H01R 4/70 20060101ALI20160804BHJP
   H01R 43/02 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   H01R4/62 A
   H01R4/70 K
   H01R43/02 B
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-11951(P2012-11951)
(22)【出願日】2012年1月24日
(65)【公開番号】特開2013-152805(P2013-152805A)
(43)【公開日】2013年8月8日
【審査請求日】2014年5月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 賢次
(72)【発明者】
【氏名】太田 智也
【審査官】 塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−238430(JP,A)
【文献】 特開2010−108829(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/62
H01R 4/70
H01R 43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム製またはアルミニウム合金製の素線を複数本撚り合わせた撚り線からなる芯線を、絶縁被覆で覆った電線と、
前記電線の端末において前記絶縁被覆の剥離により露出した露出芯線が接続される接続部を有する端子と、を備える端子付き電線であって、
前記端子の接続部には、前記露出芯線が載置されており、その載置されている前記露出芯線が溶接された載置部と、前記載置部に起立し前記露出芯線の両側縁および先端を囲む包囲壁と、前記包囲壁内に形成され、前記露出芯線の全域を覆う樹脂部と、が設けられている端子付き電線。
【請求項2】
前記樹脂部は、前記電線の前記絶縁被覆により被覆された被覆部の一部にも形成されている請求項1に記載の端子付き電線。
【請求項3】
前記樹脂部は、熱硬化樹脂材料、光硬化樹脂材料および湿気硬化樹脂材料から選ばれる樹脂材料硬化したものである請求項1または請求項2に記載の端子付き電線。
【請求項4】
前記端子は、前記電線の前記絶縁被覆で覆われた被覆部に圧着されるインシュレーションバレル部を有する請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の端子付き電線。
【請求項5】
アルミニウム製またはアルミニウム合金製の素線を複数本撚り合わせた撚り線からなる芯線を、絶縁被覆で覆った電線と、
前記電線の端末において前記絶縁被覆の剥離により露出した露出芯線が接続される接続部を有する端子と、を備える端子付き電線の製造方法であって、
前記端子の接続部に、前記露出芯線が載置される載置部と、前記載置部に起立し前記露出芯線の両側縁および先端を囲む包囲壁とを形成する包囲壁形成工程を経たのち、前記露出芯線を前記載置部に溶接により接続する接続工程を実行し、
前記接続工程を経た後、前記包囲壁内に配置した前記露出芯線の全域を覆う樹脂部を形成する被覆工程を実行する端子付き電線の製造方法。
【請求項6】
前記被覆工程において、前記樹脂部を、前記電線の露出芯線の全域および前記電線の前記絶縁被覆により覆われた被覆部の一部に形成する請求項5に記載の端子付き電線の製造方法。
【請求項7】
前記樹脂部を、熱硬化樹脂材料、光硬化樹脂材料および湿気硬化樹脂材料から選ばれる樹脂材料を前記包囲壁内に流し入れて硬化させることにより形成する請求項5または請求項6に記載の端子付き電線の製造方法。
【請求項8】
前記端子は、前記電線の前記絶縁被覆で覆われた被覆部に圧着されるインシュレーションバレル部を有し、
前記接続工程を経た後に、前記インシュレーションバレル部を前記電線の被覆部に圧着する圧着工程を実行する請求項5ないし請求項7のいずれか一項に記載の端子付き電線の製造方法。
【請求項9】
前記接続工程は、前記載置部に載置した前記露出芯線を超音波溶接することにより実行される請求項5ないし請求項8のいずれか一項に記載の端子付き電線の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子付き電線およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
室内に配索される電線としては、車両の軽量化等の観点から、近年では、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の芯線を絶縁被膜で被覆してなるアルミ電線の需要が高まっている。アルミ電線に接続される端子としては、強度上の問題等で銅または銅合金製の金属板材を用いて作製したものを用いるのが一般的である。
【0003】
このようなアルミ電線の端末では、絶縁被膜の剥離除去により露出した芯線が、端子のバレル片により圧着され接続されている(例えば特許文献1を参照)。
【0004】
したがって、端子と、露出芯線との接続部では、電線の芯線を構成するアルミニウムまたはアルミニウム合金と、端子を構成する銅または銅合金という異種の金属が接触することになるため、芯線と端子との接触部分に塩分などの電解質を含む水が浸入することによる電食の発生が懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−111058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
芯線と端子との接触部分における電食の発生を防止する方法としては、例えば、露出芯線と端子との接続部を熱収縮チューブで覆うことが考えられる。
【0007】
しかしながら、熱収縮チューブを覆う方法では、端子と芯線とを圧着等により接続したのちに熱収縮チューブを被せて、さらに加熱する必要があるため、材料コストと手間がかかるという問題があった。
【0008】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、コストや手間をかけずに電食の発生を防止した端子付き電線を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の素線を複数本撚り合わせた撚り線からなる芯線を、絶縁被覆で覆った電線と、前記電線の端末において前記絶縁被覆の剥離により露出した露出芯線が接続される接続部を有する端子と、を備える端子付き電線であって、前記端子の接続部には、前記露出芯線が載置され溶接により接続される載置部と、前記載置部に起立し前記露出芯線の両側縁および先端を囲む包囲壁と、前記包囲壁内に形成され、前記露出芯線の全域を覆う樹脂部と、が設けられている端子付き電線である。
【0010】
また、本発明は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の素線を複数本撚り合わせた撚り線からなる芯線を、絶縁被覆で覆った電線と、前記電線の端末において前記絶縁被覆の剥離により露出した露出芯線が接続される接続部を有する端子と、を備える端子付き電線の製造方法であって、前記端子の接続部に、前記露出芯線が載置される載置部と、前記載置部に起立し前記露出芯線の両側縁および先端を囲む包囲壁とを形成する包囲壁形成工程を経たのち、前記露出芯線を前記載置部に溶接により接続する接続工程を実行し、前記接続工程を経た後、前記包囲壁内に配置した前記露出芯線の全域を覆う樹脂部を形成する被覆工程を実行する端子付き電線の製造方法である。
【0011】
本発明においては、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の撚り線からなる芯線を有する電線の端末において露出する露出芯線が、端子の載置部に溶接により接続されるとともに包囲壁により包囲され、かつ、その全域は樹脂部により覆われている。
したがって、本発明によれば、端子の一部を加工することで包囲壁を形成し、包囲壁内に配される露出芯線の全域を覆う樹脂部を形成するだけで電食の発生を防止することができるので、手間をかけずに電食の発生を防止した端子付き電線を提供することができる。
【0012】
本発明は以下の構成としてもよい。
前記樹脂部は、前記電線の前記絶縁被覆により被覆された被覆部の一部にも形成されていてもよい。
前記被覆工程において、前記樹脂部を、前記電線の露出芯線の全域および前記電線の前記絶縁被覆により覆われた被覆部の一部に形成してもよい。
上記のような構成とすると、電線の露出芯線と絶縁被覆により被覆された被覆部との境界の部分から水分が浸入した際にも電食を防止することができる。
【0013】
前記樹脂部は、熱硬化樹脂材料、光硬化樹脂材料および湿気硬化樹脂材料から選ばれる樹脂材料を硬化させることにより形成されていてもよい。
このような構成とすると、樹脂部を簡易な方法により形成できる。
【0014】
前記端子は、前記電線の前記絶縁被覆で覆われた被覆部に圧着されるインシュレーションバレル部を有していてもよい。
前記端子は、前記電線の前記絶縁被覆で覆われた被覆部に圧着されるインシュレーションバレル部を有し、前記接続工程を経た後に、前記インシュレーションバレル部を前記電線の被覆部に圧着する圧着工程を実行してもよい。
上記のような構成とすると、電線がインシュレーションバレル部により端子に圧着されるので、電線と端子との電気的な接続を確実なものとすることができる。
【0015】
前記露出芯線は前記載置部に超音波溶接により接続されていてもよい。
前記接続工程は、前記載置部に載置した前記露出芯線を超音波溶接することにより実行されてもよい。
上記のような構成においては、芯線に超音波振動が与えられることにより、芯線を構成する素線同士が擦れ合って、素線の表面が粗化され、この素線の粗化領域同士が擦れ合うと、素線の表面に形成された酸化被膜等が剥がされて、新生面が露出する。このようにして露出した新生面同士が互いに接触することにより、素線同士が電気的に接続される。したがって、上記構成によれば、芯線の径方向内側に位置する素線も、電線と端子との間の電気的な接続に寄与させることができるので、太い芯線を備える電線においても、電線と端子の間の電気抵抗を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、手間をかけずに電食の発生を防止した端子付き電線を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態1の端子付き電線の斜視図
図2】端子付き電線の平面図
図3図2のA−A線における断面図
図4】端子付き電線の側面図
図5図4のB−B線における断面図
図6】端子の斜視図
図7】端子の平面図
図8図7の長手方向における断面図
図9】端子の載置部に電線を載置した様子を示す斜視図
図10】端子の載置部に露出芯線を溶接する様子を示す斜視図
図11】端子のインシュレーションバレル部を電線に圧着した様子を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
本発明に係る実施形態1の端子付き電線10を図1ないし図11によって説明する。以下の説明においては、図2および図7おける左側を前とし、図2および図7における右側を後とする。また、図3および図4における上側を上とし、下側を下とする。
【0019】
端子付き電線10は、図1に示すように、電線11と、電線11が接続される端子20とを備える。
【0020】
電線11は、芯線12の周囲が合成樹脂の絶縁被覆13で覆われている。電線11の端末11Aにおいては、図1に示すように、絶縁被覆13が剥ぎ取られ芯線12が露出している(露出芯線12)。なお電線11の絶縁被覆13により覆われている部分は被覆部15である。
【0021】
芯線12は、多数(複数)の金属素線14が撚り合わされた撚り線からなる。金属素線14は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製である。
【0022】
端子20は、図示しない相手側の端子と接続される平板状の端子接続部21と、電線11の露出芯線12が接続される接続部23と、電線11の被覆部15に圧着されるインシュレーションバレル部27と、を有する。
【0023】
端子20の材料としては、銅、銅合金、アルミニウム、およびアルミニウム合金などの導電性の金属板材があげられ、必要に応じて任意の金属材料の中から適宜選択される。本実施形態において、端子20は、銅製または銅合金製である。
【0024】
なお、本実施形態の端子20を構成する金属材料の表面は、メッキ層が形成されていてもよい。メッキ層を構成する金属としては、例えば、スズ、ニッケル等が挙げられ、必要に応じて任意の金属材料の中から適宜選択される。
【0025】
端子接続部21は、図1および図2に示すように、端子20の後端に設けられている。端子接続部21の略中央には、円形をなして相手方端子が挿通される端子挿通孔22が形成されている。
【0026】
端子20の端子接続部21の前方には接続部23が連なっている。接続部23は、図1に示すように、全体として箱状をなしており、その内部には電線11の端末11Aにおいて露出する露出芯線12が配置されている。接続部23は、図1および図3に示すように、露出芯線12が載置され接続される載置部24と、載置部24に起立し露出芯線12の両側縁および先端を取り囲む包囲壁25と、包囲壁25内に形成され露出芯線12の全域を覆う樹脂部29と、を備える。
【0027】
載置部24は方形板状をなしており、その上面には露出芯線12が、載置されるとともに超音波溶接により接続されている。包囲壁25は、載置部24の幅方向における側縁から延出され、載置部24に対して略垂直上方に切り立っている。包囲壁25のうち、露出芯線12の両側縁の外側に沿って配される一対の壁部を側壁部25Aとし、露出芯線12の先端と対向する位置に配される壁部を後壁部25Bとする。
【0028】
包囲壁25は載置部24の両側縁において幅方向外側にそれぞれ延出された延出部26を、載置部24の側縁に対して略垂直となるように折り曲げることで形成される。延出部26は、載置部24の側縁と連なっている部分26Aと、載置部24と連なっていない部分26Bとを備える。延出部26の載置部24の側縁と連なっている部分26Aは、後述するインシュレーションバレル部27を構成するバレル片28と、露出芯線12の側縁に沿ってそれぞれ配される側壁部25Aとして機能する部分である。2つの延出部26の載置部24と連なっていない部分26Bは、載置部24の後端部で内側方向に略垂直に折り曲げられるとともに、載置部24の後端部に載置されることにより形成され、露出芯線12の先端部に沿って配される後壁部25Bである(図6および図1を参照)。本実施形態の端子20において、2つの後壁部25B,25Bの間には隙間がない。
【0029】
包囲壁25内に形成されている樹脂部29は、図3および図5に示すように、露出芯線12の全域を覆うとともに被覆部15の一部を覆うように形成されており、本実施形態では露出芯線12が樹脂部29内に埋設されている。
【0030】
樹脂部29は、熱硬化樹脂材料、光硬化樹脂材料、湿気硬化樹脂材料、熱可塑性樹脂、ホットメルト接着剤等から選ばれる材料により形成される。樹脂部29の材料としては、熱硬化樹脂材料、光硬化樹脂材料および湿気硬化樹脂材料から選ばれる樹脂材料を用いると簡易な方法により樹脂部29を形成することができるので好ましい。
【0031】
インシュレーションバレル部27は、端子20の前端に設けられている。インシュレーションバレル部27は一対のバレル片28を備える。一対のバレル片28は載置部24から延出された延出部26の前方側に形成されている。一対のバレル片28は、図1および図4に示すように、電線11の被覆部15に食い込むように圧着されている。
【0032】
次に、本実施形態の端子付き電線10の製造方法について説明する。
電線11の端末11Aの絶縁被覆13を剥離除去して芯線12を露出させておく。銅製または銅合金製の金属板材にプレス加工を施し、露出芯線12が載置される載置部24と、載置部24に起立し露出芯線12の両側縁および先端を囲む包囲壁25とを形成して図6図8に示すような形状の端子20を作製する(包囲壁形成工程)。
【0033】
次に、図9に示すように、電線11の端末11Aにおいて露出している露出芯線12を、接続部23の載置部24に載置し、図10に示すように、超音波溶接機31を用いて超音波溶接により、載置部24に接続する(接続工程)。図中32は溶接ホーン32である。接続工程を経ると、露出芯線12は載置部24と接続されるとともにその厚みが溶接前よりも小さくなる。
【0034】
接続工程を経た後、一対のバレル片28を電線11の被覆部15に圧着して接続すると(圧着工程)、図11に示すような端子付き電線32が得られる。
【0035】
次に、図11に示す端子付き電線32の、包囲壁25内に配置されている露出芯線12を覆う樹脂部29を形成する(被覆工程)。被覆工程においては、熱硬化樹脂材料、光硬化樹脂材料および湿気硬化樹脂材料から選ばれる樹脂材料を用いると、これらの樹脂材料を包囲壁25内に流し入れて硬化させることにより、容易に樹脂部29を形成することができる。被覆工程を経ると図1に示す本実施形態の端子付き電線10が得られる。
【0036】
次に、本実施形態の作用および効果について説明する。
本実施形態においては、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の撚り線からなる芯線12を有する電線11の端末において露出する露出芯線12が、端子20の載置部24に溶接により接続されるとともに包囲壁25により包囲され、かつ、その全域は樹脂部29により覆われている。
【0037】
したがって、本発明によれば、端子20の一部を加工することで包囲壁25を形成し、包囲壁25内に配される露出芯線12の全域を覆う樹脂部29を形成するだけで電食の発生を防止することができるので、手間をかけずに電食の発生を防止した端子付き電線10を提供することができる。
【0038】
また、本実施形態によれば、樹脂部29は、電線11の絶縁被覆13により被覆された被覆部15の一部にも形成されているから、電線11の露出芯線12と絶縁被覆13により被覆された被覆部15との境界の部分から水分が浸入した際にも電食を防止することができる。
【0039】
また、本実施形態によれば、端子20は、電線11の絶縁被覆13で覆われた被覆部15に圧着されるインシュレーションバレル部27を有しているから、電線11がインシュレーションバレル部27により端子20に圧着されるので、電線11と端子20との電気的な接続を確実なものとすることができる。
【0040】
また、本実施形態において、露出芯線12は載置部24に超音波溶接により接続されているから、芯線12に超音波振動が与えられることにより、芯線12を構成する素線14同士が擦れ合って、素線14の表面が粗化され、この素線14の粗化領域同士が擦れ合うと、素線14の表面に形成された酸化被膜等が剥がされて、新生面が露出する。このようにして露出した新生面同士が互いに接触することにより、素線14同士が電気的に接続される。したがって、本実施形態によれば、芯線12の径方向内側に位置する素線14も、電線11と端子20金具との間の電気的な接続に寄与させることができるので、太い芯線12を備える電線11においても、電線11と端子20の間の電気抵抗を小さくすることができる。
【0041】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、樹脂部29が電線11の被覆部15の一部にも形成されている例を示したが、樹脂部は、露出芯線の全域のみを覆う構成であってもよい。
(2)上記実施形態では、2つの後壁部25Bの間に隙間のない構成を示したが、2つの後壁部の間には隙間が形成されてもよい。
(3)上記実施形態では、電線11の被覆部15に圧着されるインシュレーションバレル部27を有する端子20を示したが、インシュレーションバレル部を有さない端子であってもよい。
(4)上記実施形態では露出芯線12を超音波溶接により載置部24に接続した例を示したが、抵抗溶接等の方法で露出芯線を載置部に接続してもよい。
【符号の説明】
【0042】
10…端子付き電線
11…電線
12…芯線(露出芯線)
13…絶縁被覆
14…素線
15…被覆部
20…端子
23…接続部
24…載置部
25…包囲壁
25A…側壁部
25B…後壁部
27…インシュレーションバレル部
28…バレル片
29…樹脂部
30…超音波溶接機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11