特許第5971523号(P5971523)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5971523
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】物品検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/26 20140101AFI20160804BHJP
   B07C 5/344 20060101ALI20160804BHJP
   G01R 31/00 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   G01R31/26 H
   B07C5/344
   G01R31/00
   G01R31/26 F
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-187729(P2012-187729)
(22)【出願日】2012年8月28日
(65)【公開番号】特開2014-44165(P2014-44165A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2015年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082108
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】池田 和生
【審査官】 川瀬 正巳
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4513943(JP,B2)
【文献】 特開昭62−211572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/26
B07C 5/344
G01R 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定テーブルと、上記固定テーブル上に設けられるとともに複数のポケット内に物品を保持して間欠的に搬送する搬送手段と、上記搬送手段によって搬送される物品の搬送経路上となる検査位置において物品の品質検査を行う検査手段と、上記搬送手段によって搬送される物品の温度を所定の検査温度まで昇温させる加熱手段とを備え、上記搬送手段によって物品を搬送し、上記加熱手段によって物品が加熱される加熱領域を通過させることにより、上記検査温度となった物品を上記検査手段により品質検査を行うようにした物品検査装置において、
上記加熱手段は、上記加熱領域の少なくとも一部において上記検査温度よりも高温で物品を加熱する急加熱手段を有し、さらに、所要時に上記急加熱手段によって上記物品が加熱される急加熱領域の固定テーブルに冷却流体を噴射する冷却手段を設け、上記搬送手段が異常停止した際に上記冷却手段から冷却流体を噴射することにより、上記固定テーブルを介して上記急加熱領域で停止する物品を冷却することを特徴とする物品検査装置。
【請求項2】
上記搬送手段は、外周部にポケットが設けられた回転体を有し、該回転体を駆動手段により回転させることにより各ポケットに保持される物品を上記固定テーブルの上面に摺接させながら搬送するようになっており、上記急加熱領域の固定テーブルは、上記回転体の回転軸側となる基部と、この基部よりも厚さを薄く形成されるとともに上記基部よりも回転軸の外周部側において支持した物品と摺接する搬送部とを備え、上記冷却手段は、上記搬送部の下面に冷却気体を噴射する冷却ノズルを有することを特徴とする請求項1に記載の物品検査装置。
【請求項3】
上記急加熱手段は、上記固定テーブルの基部の下面に接触して該固定テーブルを加熱する上昇位置と、上記固定テーブルの基部の下面から離隔して下方に退避した下降位置とに昇降可能になっており、上記固定テーブルは、上記急加熱手段が上昇位置で上記基部に接触した状態において、上記搬送部が所定の間隔をあけて当該急加熱手段に対向するように構成され、上記冷却ノズルは、上記固定テーブルの搬送部と上記上昇位置にある急加熱手段との間に固設されており、上記搬送手段が異常停止した際には、上記急加熱手段が上昇位置から下降位置へ下降されることを特徴とする請求項2に記載の物品検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品検査装置に関し、より詳しくは、例えばLED素子を加熱した状態で品質検査を行うようにした物品検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品の搬送経路上に常温領域と高温領域とを順次設けて、電子部品を搬送手段によって搬送しながら上記各領域において品質検査を行うようにした物品検査装置は公知である(例えば特許文献1)。また、加熱領域に2つの分割ヒーターを配置し、加熱領域における入口側となる分割ヒーターの加熱温度を目標温度よりも高温に設定することにより、物品を加熱する際のタクトタイムを短縮するようにした装置が提案されている(例えば特許文献2)。さらに、半導体素子を導電性接着剤によりリードフレームに接着する装置であって、搬送中にリードフレームが異常停止した際に、該リードフレームの搬送経路の下方に配置されているヒータを下降させることにより、リードフレームの過熱を防止する装置が提案されている(例えば特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4513943号公報
【特許文献2】特開昭62−211572号公報
【特許文献3】特公平4−76499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1の物品検査装置においては、何らかの原因により搬送手段としてのインデックステーブルが異常停止して電子部品の搬送が停止されることがある。ここで、仮に、特許文献1の装置において特許文献2に開示されている、上流側の分割ヒータの加熱温度を目標温度よりも高温に設定することによりタクトタイムを短縮する構成を採用した場合には、目標温度よりも高温に設定した領域で停止中の物品が過熱されて破損することになる。
なお、この場合に特許文献3に開示されている昇降可能なヒーターを採用して、インデックステーブルの異常停止時にヒーターを下降させることも可能である。しかしながら、そのような構成を採用したとしても、特許文献1の固定テーブルは蓄熱性があるので、その固定テーブルに蓄熱された熱によって電子部品が過熱されて破損するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した事情に鑑み、請求項1に記載した本発明は、固定テーブルと、上記固定テーブル上に設けられるとともに複数のポケット内に物品を保持して間欠的に搬送する搬送手段と、上記搬送手段によって搬送される物品の搬送経路上となる検査位置において物品の品質検査を行う検査手段と、上記搬送手段によって搬送される物品の温度を所定の検査温度まで昇温させる加熱手段とを備え、上記搬送手段によって物品を搬送し、上記加熱手段によって物品が加熱される加熱領域を通過させることにより、上記検査温度となった物品を上記検査手段により品質検査を行うようにした物品検査装置において、
上記加熱手段は、上記加熱領域の少なくとも一部において上記検査温度よりも高温で物品を加熱する急加熱手段を有し、さらに、所要時に上記急加熱手段によって上記物品が加熱される急加熱領域の固定テーブルに冷却流体を噴射する冷却手段を設け、上記搬送手段が異常停止した際に上記冷却手段から冷却流体を噴射することにより、上記固定テーブルを介して上記急加熱領域で停止する物品を冷却することを特徴とするものである。
また、請求項2に記載した本発明は、上記請求項1の発明を前提として、上記搬送手段は、外周部にポケットが設けられた回転体を有し、該回転体を駆動手段により回転させることにより各ポケットに保持される物品を上記固定テーブルの上面に摺接させながら搬送するようになっており、上記急加熱領域の固定テーブルは、上記回転体の回転軸側となる基部と、この基部よりも厚さを薄く形成されるとともに上記基部よりも回転軸の外周部側において支持した物品と摺接する搬送部とを備え、上記冷却手段は、上記搬送部の下面に冷却気体を噴射する冷却ノズルを有することを特徴とするものである。
また、請求項3に記載した本発明は、上記請求項2の発明を前提として、上記急加熱手段は、上記固定テーブルの基部の下面に接触して該固定テーブルを加熱する上昇位置と、上記固定テーブルの基部の下面から離隔して下方に退避した下降位置とに昇降可能になっており、上記固定テーブルは、上記急加熱手段が上昇位置で上記基部に接触した状態において、上記搬送部が所定の間隔をあけて当該急加熱手段に対向するように構成され、上記冷却ノズルは、上記固定テーブルの搬送部と上記上昇位置にある急加熱手段との間に固設されており、上記搬送手段が異常停止した際には、上記急加熱手段が上昇位置から下降位置へ下降されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
上記請求項1の発明によれば、何らかの原因で搬送手段が異常停止した際には冷却手段から冷却流体が噴射されるので、急加熱領域に停止した物品が過熱により破損する可能性を低減させることができる。
また、上記請求項2の発明によれば、上記固定テーブルの搬送部は基部よりも薄くなっているので、物品の冷却に要する時間を短くすることができる。
さらに、上記請求項3の発明によれば、搬送手段の異常停止時に急加熱手段を下降させるとともに、搬送部と急加熱手段との間に冷却ノズルを固設しておくことにより、物品の冷却時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施例を示す平面図。
図2図1の物品検査装置における導管と冷却ノズル等の配置状態を示す図。
図3図1のIII―III線に沿う要部の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施例について本発明を説明すると、図1ないし図3において1は回転式の物品検査装置であり、この物品検査装置1は、検査対象であるLED素子2を間欠的に搬送しながら所定の検査温度まで加熱し、該検査温度まで昇温されたLED素子2を搬送経路上の検査位置Aにおいて品質検査を行うようになっている。
物品検査装置1の検査対象となるLED素子2は、方形の平板状に形成されており、その上面に図示しない2つの端子が露出させて形成されている。検査温度まで昇温された各LED素子2が検査位置Aに搬入された際に検査手段3から各LED素子2の端子に通電することで、検査対象のLED素子2が発光するか否かの品質検査が行われるようになっている。
【0009】
本実施例の物品検査装置1は、略円盤状に形成されるとともに上面4Aが水平となるように支持された固定テーブル4と、固定テーブル4の上面4Aに回転可能に載置されるとともに、外周部に等ピッチでLED素子2を保持するポケットPが形成されたインデックステーブル5と、供給位置Bにおいてインデックステーブル5の各ポケットPに順次LED素子2を供給する供給手段6と、インデックステーブル5によるLED素子2の搬送経路上となる検査位置Aに設けられて各LED素子2の品質を検査する検査手段3とを備えている。
【0010】
固定テーブル4は伝熱性が良好な金属からなり、上面4Aにおける外周部とその隣接箇所は円周方向に連続する環状段部4Bとなっている(図3参照)。この環状段部4Bよりも半径方向内方となる上面4Aに回転体としてのインデックステーブル5が載置されている。インデックステーブル5の外周部には、切欠き部からなるポケットPが円周方向に等ピッチで形成されており、インデックステーブル5の中心は固定テーブル4を貫通させた回転軸7の上端部に連結されている。回転軸7は、図示しない複数のギヤ等を介して駆動手段としての図示しないサーボモータに連動しており、制御手段8は上記サーボモータを介してインデックステーブル5を反時計方向に1ピッチずつ間欠的に回転させるようになっている。その際には、供給位置Bにおいて供給手段6によって各ポケットP内に順次1個ずつLED素子2が供給されるとともに、各ポケットPに保持されたLED素子2が順次下流側の検査位置Aに搬入されるようになっている。
【0011】
上記環状段部4Bの内周面4Cは、LED素子2がポケットP内から半径方向外方へ飛び出すのを防止するストッパとなっており、かつ、各ポケットP内のLED素子2が間欠搬送される際のガイド部となっている。そのため、供給位置BにおいてポケットP内にLED素子2が供給され、その後、インデックステーブル5が反時計方向に1ピッチずつ間欠回転されることにより、各ポケットP内のLED素子2は内周面4Cに沿った搬送経路上を下流側へ向けて間欠搬送される。そして、そのように搬送される際には、各ポケットP内のLED素子2の下面は固定テーブル4の上面4Aに支持されてそこと摺接するとともに、LED素子2における外方側の側面は環状段部4Bの内周面4Cと摺接するようになっている(図3参照)。
【0012】
本実施例においては、インデックステーブル5の各ポケットPによってLED素子2が間欠搬送される際の搬送経路に沿って3つの領域が設定されている。つまり、上記供給位置Bから反時計回りで排出位置Cにわたって順次、急加熱領域H1、検査領域H2、及び冷却領域C1が設定されている(図2参照)。そして、急加熱領域H1となる固定テーブル4の下方側には円弧状のヒーター11が昇降自在に設けられている。このヒーター11はLED素子2を急速に加熱するための急加熱手段となっている。このヒーター11により検査温度以上の220℃で固定テーブル4を加熱すると、LED素子2が急加熱領域H1を通過する間に固定テーブル4に支持されたLED素子2は検査温度(200℃)かそれに近い温度まで加熱されるようになっている。また、検査領域H2となる固定テーブル4内にはセラミックヒータ12が埋設されており、さらに、冷却領域C1となる固定テーブル4内には、冷却手段としてのペルチェ素子13が埋設されている。
【0013】
上記ヒーター11は、図示しない昇降機構によって固定テーブル4の下面4Dと接触する上昇位置と、下面4Dから離隔して所定量下降した下降端位置とに昇降自在となっている。上記昇降機構の作動及びヒーター11の作動は制御手段8によって制御されるようになっており、検査手段3により各LED素子2の品質検査を行う際には、制御手段8は昇降機構によってヒーター11を予め上昇端に位置させるとともに、ヒーター11を作動させる。そのため、ヒーター11の上面11Aが固定テーブル4の下面4Dと接触するので、急加熱領域H1の固定テーブル4はヒーター11により加熱される。
この状態において、インデックステーブル5が間欠回転されるのに伴って、上述したように供給位置Bにおいて各ポケットPにLED素子2が供給されるとともに、その後、ポケットP内のLED素子2は順次急加熱領域H1内を下流側へ間欠的に搬送されるようになっている。それに伴って、ヒーター11により高温に加熱された固定テーブル4の上面4AをLED素子2が摺動するので、ヒーター11からの伝熱によってLED素子2が加熱されて検査温度(200℃)か、それに近い温度まで昇温されるようになっている。つまり、インデックステーブル5により急加熱領域H1内を間欠搬送されるLED素子2は、ヒーター11によって検査温度(200℃)まで昇温されるようになっており、検査温度に昇温されたLED素子2は検査位置Aがある次の検査領域H2に搬入されるようになっている。
【0014】
検査領域H2内における下流端に近い箇所が上記検査位置Aとなっており、その検査位置Aに従来公知の検査手段3が配置されている。また、検査領域H2と急加熱領域H1との境界部には、ポケットP内のLED素子2の温度を測定する温度測定手段14が配置されている。インデックステーブル5のポケットPに保持されて間欠搬送される各LED素子2は、温度測定手段14の下部を通過する際に温度を測定されるようになっており、温度測定手段14が測定したLED素子2の温度は順次上記制御手段8に伝達されるようになっている。
温度測定手段14による温度の測定結果に基づいて、制御手段8は、検査領域H2内に搬入されたLED素子2の温度を認識できるようになっている。制御手段8は、品質検査中に上記ヒーター11が作動される際には検査領域H2のセラミックヒーター12も作動させるようになっている。そのため、LED素子2の品質検査中においては、セラミックヒーター12の温度は200℃に維持されている。したがって、検査領域H2の固定テーブル4は検査温度である200℃に維持される。そのため、急加熱領域H1から検査領域H2内に搬入されたLED素子2は、検査温度である200℃に維持された状態で検査位置Aにおいて検査手段3により発光するか否かが検査されるようになっている。検査位置Aにおける各LED素子2の検査手段3による品質検査の結果は、検査手段3から制御手段8に送信されるようになっている。
【0015】
検査位置Aにおいて検査手段3による品質検査が終わった各LED素子2は、インデックステーブル5の間欠搬送に伴って、検査領域H2から冷却領域C1へ搬入されるようになっている。LED素子2の品質検査を行う際には、制御手段8は冷却領域C1のペルチェ素子13にも通電させているので、冷却領域C1となる固定テーブル4は約10℃に維持されている。そのため、検査領域H2内で200℃であった各LED素子2は、検査領域H2から冷却領域C1に搬入されると急速に冷却されて略常温まで温度が低下する。そして、そのように温度が常温まで低下した状態においてLED素子2は排出位置Cにおいて排出手段15によりポケットPから排出されるようになっている。
その際、制御手段8は、上記検査手段3による品質検査結果の良否と等級に応じて排出手段15がLED素子2を排出する際の排出先を振り分けるさせるようになっている。より詳細には、上記排出手段15による排出先としては、品質の等級に応じた図示しない複数の分類ビンが配置されている。そして、排出手段15は、品質検査結果から判定した等級に応じて所要の分類ビンにLED素子2を振り分けるようになっている。分類ビンの内の1つが不良品回収ビンになっており、不良品のLED素子2は不良品回収ビンに振り分けられる。
【0016】
以上のようにして、物品検査装置1は、インデックステーブル5の各ポケットP内にLED素子2を保持して間欠搬送しながら急加熱領域H1と検査領域H2において検査温度までLED素子2を昇温させてから検査手段3により品質検査を行う。ところで、物品検査装置1によるLED素子2の品質検査中において、何らかの原因によってインデックステーブル5が異常停止されることがある。このように、品質検査中にインデックステーブル5が異常停止されると、急加熱領域H1内に停止中の各LED素子2は、220℃で加熱中のヒーター11の熱によって損傷するおそれがある。そこで、本実施例においては、このようなインデックステーブル5の異常停止時において、上記急加熱領域H1内に停止中のLED素子2がヒーター11によって過熱されて損傷するのを防止するようにしたものである。
【0017】
すなわち、図3に示すように、急加熱領域H1の固定テーブル4における環状段部4Bとその隣接内方側の箇所は、下面4D側が開放されて円周方向に伸びる空間部4Eとなっている。それにより、急加熱領域H1の固定テーブル4におけるLED素子2と摺接する上面4Aと環状段部4Bの内周面4Cの箇所は、肉厚が薄い搬送部4Fとなっている。空間部4Eよりも半径方向内方となる回転軸7側の箇所は肉厚が厚い基部4Gとなっている。換言すると、急加熱領域H1における固定テーブル4は、インデックステーブル5の回転中心側に厚肉の基部4Gを備えるとともに、その隣接外周側に基部4Gよりも厚さが薄い搬送部4Fを備えている。そして、基部4Gの下面が固定テーブル4の下面4Dとなっており、基部4G及び搬送部4Fの上面が固定テーブル4の上面4Aとなっている。
したがって、前述したヒーター11が上昇位置に位置した際には、固定テーブル4の下面4Dである基部4Gの下面に接触するようになっている。また、その際には、搬送部4Fとそれに対向する位置のヒーター11の上面11Aとは離隔した状態となり、該ヒーター11の上面によって空間部4Eの下方開口部が閉鎖されるようになっている。
【0018】
そして、図2ないし図3に示すように、本実施例においては、上記空間部4E内の円周方向複数箇所に搬送部4Fに向けて冷却ノズル16が配置されている。各冷却ノズル16は固定テーブル4の外周部に傾斜させた状態で固設されており、それによって、各冷却ノズル16の先端部は搬送部4Fの下面に近接した位置に支持されている。他方、各冷却ノズル16の基部は導管21に接続されており、この導管21にエアが給送されると、各冷却ノズル16から搬送部4Fにエアが吹き付けられるようになっている。
この導管21の上流端21Aは常温のエアを供給するポンプ22に接続される一方、導管21の下流端21Bは上記供給位置Bにおいて半径方向外方に向けて開放されている。ポンプ22の下流側となる導管21にはコルダーからなる冷却エア発生手段23が設けられている。
冷却エア発生手段23の下流側となる導管21は、冷却領域C1の固定テーブル4内を搬送経路に沿って1往復折り返して配置されており、その折り返された領域が予備冷却部21Cとなっている。この予備冷却部21Cは、LED素子2の品質検査中においては、ペルチェ素子13によって固定テーブル4とともに冷却されるようになっている。そのため、予備冷却部21C内に介在するエアは、品質検査中において10℃程度まで予め冷却されるようになっている。さらに、その予備冷却部21Cよりも下流側となる導管21は、冷却領域C1の固定テーブル4の外周部から外方へ突出させてから固定テーブル4の外周部に沿って配置され、その状態で固定テーブル4に固定されている。そして、前述したように、急加熱領域H1における導管21に上記複数の冷却ノズル16の基部が接続されている。
上記ポンプ22及び冷却エア発生手段23は、制御手段8によって作動を制御されるようになっており、前述した品質検査中においてインデックステーブル5が正常に間欠作動している時にはポンプ22、冷却エア発生手段23は作動されないようになっている。
【0019】
そして、この物品検査装置1によりLED素子2の品質検査が開始されると、制御手段8は図示しない昇降機構によってヒーター11を上昇端位置まで上昇させるとともにヒーター11を作動させる。他方、ポンプ22、冷却エア発生手段23は作動されていない。そのため、固定テーブル4の下面4D(基部4Gの下面)にヒーター11の上面11Aが接触しており、しかも、上記空間部4Eの下方開口部はヒーター11の上面11Aによって閉鎖される。なお、ポンプ22と冷却エア発生手段23は作動されていないので、冷却ノズル16からはエアは噴出されていない。この状態において、上述したようにインデックステーブル5の各ポケットPによってLED素子2が間欠搬送されることにより、急加熱領域H1においてLED素子2が検査温度まで昇温されてから検査位置Aに搬入されて検査手段3による品質検査が行われるようになっている。
【0020】
一方、LED素子2の品質検査中において何らかの原因でインデックステーブル5が異常停止された場合には、制御手段8は、ポンプ22と冷却エア発生手段23を作動させるとともに、昇降機構を介してヒーター11を下降端の位置まで下降させて、固定テーブル4からヒーター11を離隔させる。
このようにヒーター11が固定テーブル4から離隔されるので、ヒーター11の熱は固定テーブル4に伝熱されなくなる。また、ポンプ22が作動されることにより、導管21を介してポンプ22から給送されたエアが各冷却ノズル16から空間部4E内の搬送部4Fに向けて噴射される。ここで、品質検査中においては、冷却領域C1のペルチェ素子13によって予備冷却部21C内のエアは予め冷却されている。そのため、ポンプ22が作動されると、上記予備冷却部21C内で冷却されていた10℃程度のエアが冷却ノズル16から搬送部4Fに直ちに噴射されるとともに、その後、冷却エア発生手段23によって発生した冷たいエアが冷却ノズル16から継続して噴射される。そのため、急加熱領域H1内の搬送部4Fが急激に冷却され、該搬送部4F上に支持されている複数のLED素子2が急激に冷却される。そのため、急加熱領域H1内で停止中のLED素子2がヒーター11の熱によって損傷することを効率的に抑制することができる。
以上の説明から明らかなように、本実施例においては、上記複数の冷却ノズル16、導管21、ポンプ22及び冷却エア発生手段23とによって上記急加熱領域H1内のLED素子2を所要時に冷却する冷却手段が構成されている。
【0021】
以上のように、本実施例においては、LED素子2の品質検査中においてインデックステーブル5が異常停止した際に、ヒーター11を下降させて固定テーブル4から離隔させるとともに、上記各冷却ノズル16から冷却用のエアを搬送部4Fに向けて噴射するようになっている。これにより、搬送部4Fを急速に冷却させて、急加熱領域H1に停止中のLED素子2を検査温度200℃以下の温度まで急速に冷却させることができる。そのため、ヒーター11によってLED素子2が加熱される品質検査中に、何らかの原因でインデックステーブル5が異常停止した場合においても、急加熱領域H1内に停止した各LED素子2がヒーター11によって過熱されるのを抑制して、各LED素子2が破損する可能性を低減させることができる。
【0022】
なお、上記実施例においては、昇降機構によってヒーター11を昇降可能として、品質検査中においてはヒーター11を上昇させて固定テーブル4に接触させ、インデックステーブル5の異常停止時にはヒーター11を下降させるように構成しているが、ヒーター11としては非接触式のものを採用しても良い。つまり、ヒーター11としては、赤外線等の輻射熱を用いたヒーターを採用することができる。この場合においては、インデックステーブル5の異常停止の際にはヒーター11を単に停止させるだけでよい。
また、上記実施例における冷却ノズル16の代わりに、固定テーブル4内に冷却用水を流通させるパイプを配設しても良い。但し、この場合には、パイプ内に冷却用水が流通するまでに時間が掛かるので、冷却効果としては上述した常温のエアを空間部4E内に噴射させる構成の方が優れている。
また、上述した実施例では、インデックステーブル5の外周部に切欠き部からなる複数のポケットPが形成されているが、各ポケットPにLED素子2を支持するための底面を設けて、該底面に支持した状態のLED素子2をヒーター11で加熱するようにしても良い。また、インデックステーブル5のポケットPとしては、LED素子2を保持可能であって、かつヒーター11からの熱をLED素子2に伝熱可能であれば、どのような構成であってもよい。
【0023】
さらに、上述した実施例においては、急加熱領域H1の隣接下流側に検査領域H2を設けるとともに該検査領域H2内に検査位置Aを設けていたが、検査領域H2の隣接下流側(検査領域H2の外部)に検査位置Aを設けても良い。また、上述した検査領域H2を省略して、上記急加熱領域H1の隣接下流側の箇所に検査位置Aを設定するようにしても良い。なお、検査時点で検査温度になっていれば良いので、検査位置Aは急加熱領域H1の下流側端部にあっても良い。このような構成であっても、検査温度までLED素子2を昇温させた状態において検査位置Aで品質検査を行うことができ、かつ、インデックステーブル5の異常停止時においては上述した実施例と同様の効果を得ることができる。しかも、検査領域H2を省略し、急加熱領域H1の隣接下流側の箇所に検査位置Aを設定した構成を採用すると、検査領域H2を省略する分だけ、物品検査装置1全体を小型化することが可能である。
【符号の説明】
【0024】
1‥物品検査装置 2‥LED素子(物品)
3‥検査手段 4‥固定テーブル
5‥インデックステーブル(搬送手段) P‥ポケット
11‥ヒーター(急加熱手段) 16‥冷却ノズル(冷却手段)
A‥検査位置 H1‥急加熱領域
図1
図2
図3