(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記消去用磁石の、前記磁気泳動表示シートの表示面と対向する面側に、スペーサーを設け、前記対向面と前記磁気泳動表示シートの表示面との距離が一定となるようにした請求項7記載の磁気泳動表示装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の提案技術では、
図8の概略図に示すように、シート構成が複雑である。また、表示セル5と軟磁性体6との間が離れているので、イレーサー4による、表示の消去に必要な背面への磁気吸引力を十分に得ることができない。一方、表示消去に十分な強い磁場を作用させると、針状の突起部の形状磁気異方性により突起が磁化されて、使用に伴い書き込み性能が維持できなくなるといった課題がある。
【0006】
また、特許文献2の提案技術では、重力により磁石を退避させる必要があるため、壁面等への垂直配置ができず、シート構成も複雑になる。また、書き込み時に背面磁石が作用しやすく、表示色が薄くなるおそれがある。
【0007】
特許文献3の提案技術では、磁性粒子を背面側に引く力が強くないため、表示の消去はされるが消去が不十分で表示面の消去部分に色が残るおそれがある。
【0008】
特許文献4の提案技術では、磁極を2色に着色した磁性粒子が表示面に常に存在するため、反転しきらない磁性粒子により消去が不完全になる他、表示色が1色に制限される。
【0009】
本発明は、このような従来問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構成で、しかも書き込み性能を低下させることなく、表示面側からの操作によって表示を部分的に消去可能な磁気泳動表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成する本発明に係る磁気泳動表示装置は、着色分散液に磁性粒子が分散された液体が封入された複数の表示セルを平面状に配置した磁気泳動表示シートを備え、前記表示セルの中心よりも、前記磁気泳動表示シートの表示面と反対側の背面側に、前記複数の表示セルと接触するように複数の軟磁性体を配置し、前記磁気泳動表示シートの表示面に、当該表示面と対向する面の全体が同一極である消去用磁石を位置させることによって、前記磁気泳動表示シートの表示を消去することを特徴とする。
【0011】
なお、本明細書において「接触」とは、軟磁性体と表示セルとが実際に接触している場合の他、軟磁性体と表示セルとの距離が200μm未満の場合を含むものとする。
【0012】
前記軟磁性体は略球形状であるのが好ましい。また、前記軟磁性体の平均粒子径は前記表示セルの最大幅よりも小さいのが好ましい。
【0013】
前記軟磁性体の残留磁化は10mT以下であるのが好ましい。
【0014】
前記消去用磁石の、前記磁気泳動表示シートの表示面と対向する面の面積は、前記表示セルの面積以上であるのが好ましい。
【0015】
前記消去用磁石の、前記磁気泳動表示シートの表示面における実効磁化は40mT〜100mTの範囲であるのが好ましい。
【0016】
前記消去用磁石は、板状の硬磁性体であるのが好ましい。
【0017】
前記消去用磁石の、前記磁気泳動表示シートの表示面と対向する面側に、スペーサーを設け、前記対向面と前記磁気泳動表示シートの表示面との距離が一定となるようにするのが好ましい。あるいは、前記消去用磁石の、前記磁気泳動表示シートの表示面と対向する面を、中心部が前記表示面側に突出した曲面とするのが好ましい。このとき、前記消去用磁石の前記曲面の曲率は0.2mm
−1以下であるのが好ましい。
【0018】
前記磁性粒子として、磁極を異なる色に色分けした磁石片を用いてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の磁気泳動表示装置では、複数の表示セルと接触するように複数の軟磁性体を配置するという簡易な構成で、書き込み性能を低下させることなく、表示面側からの操作によって表示を部分的に消去できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。
【0022】
(磁気泳動表示装置)
磁気泳動表示装置は、画像の書き込みと消去とが繰返し可能な磁気泳動表示シートと、磁気泳動表示シートの表示面に画像を書き込むための書き込みペン(書込用磁石)と、書き込みを消去するイレーサー(消去用磁石)とを備える。以下、それぞれの部材について説明する。
【0023】
(磁気泳動表示シート)
図1に、磁気泳動表示シート1に画像を書き込んでいる時の概略断面図を示し、
図2に、書き込みを消去している時の概略断面図を示す。磁気泳動表示シート1は、光を透過する表示面側シート14と、背面シート15と、表示面側シート14と背面シート15との間に画像表示領域全面にわたり平面状に配置された複数の表示セル11とを有する。表示セル11のそれぞれには、着色分散液12に磁性粒子13を分散した液体が封入されている。そして、背面シート15には軟磁性体16が表示セル11と接触するように混入されている。
【0024】
図1に示すように、磁気泳動表示装置の表示面に画像を書き込む場合には、表示面に対して先端に磁石を備えた書き込みペン2を移動させる。すると、書き込みペン3の端部の磁力線が集中した部分に向かって、表示セル11内の磁性粒子13が泳動し表示面側に移動する。一方、書き込みペン3の磁界が影響しない表示セル11では着色分散液12により磁性粒子13が隠蔽されているため、着色分散液12と磁性粒子13のコントラストによって画像が表示される。
【0025】
一方、表示面に書き込まれた画像を消去する場合には、
図2に示すように、表示面の画像部分に対して、表示面側の全体が同一極であるイレーサー3aを移動させる。すると、イレーサー3aによって生じる略並行磁力線が、背面シート15に混入しているそれぞれの軟磁性体16に向かって集中し、磁性粒子13は磁力線の密度の高い方向、すなわち背面側に移動する。これにより、磁性粒子13が表示面側に位置していた表示セル11においても、着色分散液12により磁性粒子13が隠蔽されて表示の消去がなされる。
【0026】
表示面側シート14及び背面シート15は公知の樹脂を成形したものを用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリカーボネート等などの樹脂を用いることができる。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0027】
表示セル11は、着色分散液12が封入された平均粒径30〜650μmのマイクロカプセルである。マイクロカプセルの材質としては、例えば、ゼラチン/アラビアゴム重合体が挙げられる。なお、表示セル11は、マイクロカプセルに限定されるものではなく、表示面側シート14と背面シート15の間に固定された隔壁によって密封され、着色分散液12が封入された、複数表示セルで構成されたものでもよい。この場合、複数表示セルの隔壁としては、表示面側シート14や背面シート15と同様に、従来公知の樹脂を用いることができ、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリカーボネート等が挙げられる。
【0028】
表示セル11に封入される着色分散液12としては、隠蔽力を有し、磁性粒子13の色とコントラストを生じるものであればよい。具体的には、顔料又は染料などの着色剤を分散媒に分散した分散液である。分散媒としては、例えば、水やエチレングリコールなどの極性分散媒、イソパラフィン、トルエン、油類などの非極性分散媒が挙げられる。顔料としては、例えば白色顔料の場合、二酸化チタン、リトポン、亜鉛華、鉛白、硫化亜鉛等が挙げられる。顔料の粒径は、十分な分散ができれば特に限定はないが、通常、平均粒径数μm程度が好ましい。
【0029】
本発明で用いる磁性粒子13としては、例えば、黒色酸化鉄、多孔性酸化鉄、二酸化マンガン含有酸化鉄、二酸化クロム、フェライト、鉄またはニッケルの微粒子、鉄−ニッケル合金などの親和処理を施していない磁性粒子13が挙げられる。磁性粒子13の平均粒径としては20μm以下が望ましい。
【0030】
また、磁性粒子13として、磁極を異なる色に色分けした磁石片を用いると、外部磁界の作用により磁性粒子13が泳動あるいは反転して、背景色の他に2色の表示を行うことができるようになる。このような磁石片は、例えば、樹脂又はゴムに磁性材料を分散したものを1色ずつ層状に形成したものを、細片化することによって作製できる。磁石片に用いられる材料としては、例えば、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライトなどの六方晶マグネトプランバイト型フェライト、サマリウムコバルト、セリウムコバルト、イットリウムコバルト、ブラセオジウムコバルト等の希土類コバルト、ネオジム合金、サマリウム−鉄−窒素合金、ネオジム系ナノ結晶スプリング磁粉、マグネタイト、マグヘマタイト、コバルト被着マグネタイト、コバルト被着マグヘマタイト、マンガンジンクフェライト、ニッケルジンクフェライト、鉛フェライト、希土類フェライト、二酸化クロムなどが挙げられる。磁石片の反転性と凝集防止のため、保持力の異なる2種以上の磁性材料を混合して用いてもよい。
【0031】
本発明で使用する軟磁性体16は残留磁化の小さいものが好ましい。具体的には、残留磁化が印加磁界80kA/mにおいて10mT以下であるものが望ましい。残留磁化が10mTよりも大きいと、表示濃度が経時的に低下するなどの不具合が生じるおそれがある。
【0032】
軟磁性体16としては、例えば、黒色酸化鉄、多孔性酸化鉄、二酸化マンガン含有酸化鉄、二酸化クロム、フェライト、鉄またはニッケルの微粒子、鉄−ニッケル合金などを用いることができる。
【0033】
軟磁性体16の形状に特に限定はないが、最大径と最小径との比が大き過ぎる場合、例えば針状であった場合、磁気分極が生じやすくなり、書き込みと消去とを繰り返し行ううちに軟磁性体16が徐々に磁化され、表示濃度が低下するおそれがある。したがって、軟磁性体16の形状としては、最小径に対する最大径の比が1〜2の範囲であるのが好ましい。より好ましくは球形状又は略立方体形状であり、さらに好ましくは球形状である。
【0034】
また、軟磁性体16の平均粒径は、表示セル11の最大幅よりも小さくするのが望ましい。軟磁性体16の平均粒径が表示セル11の最大幅よりも大きいと、イレーサー3aを作用させても磁力線が十分に集中せず表示の消去が不十分となるからである。なお、軟磁性体16の平均粒径が表示セル11の最大幅に対して小さすぎる場合、磁力線の集中する範囲が狭くなって、表示セル11の内部全体に対して軟磁性体16を背面側へ移動させる十分な作用が得られず、画像の消去が不十分となるおそれがある。したがって、軟磁性体16の平均粒径は、表示セル11の最大幅に対して1/10〜3/4の範囲が望ましい。また、軟磁性体16の個数は、表示セル11の個数より多くするのが望ましい。軟磁性体16の個数が表示セル11の個数より少ないと、表示セル11の一部において十分な画像消去作用が得られないことがある。
【0035】
軟磁性体16は、表示セル11の中心よりも背面側であって、表示セル11と接触するように配置することが重要である。軟磁性体16を表示セル11の中心よりも表示面側に配置した場合、イレーサー3aによって生じる略並行磁力線は、軟磁性体16に向かって集中するものの、軟磁性体16が表示セル11の中心よりも表示面側に位置しているため、着色分散液12によって磁性粒子13が十分には隠蔽されず画像の消去が不十分となる。また、軟磁性体16を表示セル11から離れた位置に配置した場合、磁力線の集中による磁性粒子13の吸引作用が表示セル11内には及ばず、画像の消去が不十分となる。
【0036】
軟磁性体16は、表示セル11の中心よりも背面側であって、表示セル11と接触するように配置すればよく、背面シート15に混入させる他、
図3に示すように、背面シート15上の表示セル11の側面に配置しても構わない。
【0037】
磁気泳動表示シート1の作製方法に特に限定はないが、例えば、軟磁性体16をバインダーに分散させて基体シートに塗布及び乾燥し背面シート15とした後、背面シート15の一方側に、表示セル11とバインダーとを混合した組成物を塗布し乾燥し、その表面に表示面側シート14に固定して作製すればよい。
【0038】
(書き込みペン)
書き込みペン3は、磁化が70mT以上の棒磁石を用いるのがよい。磁化が70mTよりも小さいと、磁性粒子13の泳動が起きにくく、表示濃度が不十分となるおそれがある。なお、磁極を異なる色に色分けした磁石片を用いて2色表示とする場合に、磁化が強い磁石を作用させると、磁石片の磁化が破壊されることがあるので、書き込みペン3の磁化は110mT以下であるのが好ましい。
【0039】
鋭い線描を描くためには、棒磁石の側面を強磁性体で被覆し磁力線を集中させるのがよい。また、塗りつぶしやスタンプなど、広い領域の塗り画像を表示したい場合には、書き込みペン3の表示面との対向面を、N極とS極とが交互に配置されたもの、あるいは表示面に対して水平な磁界を形成するものを用いるのが好ましい。
【0040】
書き込みペン3の材料に特に限定はなく、従来公知のものを用いればよい。例えば、フェライト粒子(マグネトプランバイト型フェライト)、金属粒子(Nd、Sm、Co、Fe、Ni等の単独もしくは合金)からなる磁石又はこれらの材質にゴムや樹脂を加えて成形した磁石などが挙げられる。
【0041】
(イレーサー)
図2に示すように、イレーサー3aは、磁気泳動表示シート1の表示面と対向する面の全体が、N極(又はS極)で構成された板状の硬磁性体31とホルダー32とを備える。板状の硬磁性体31により、磁気泳動表示シート1の表示面側において表示面に対して垂直方向で略平行な磁力線が形成される一方、背面側において軟磁性体16により磁力線の集中が生じ、磁性粒子13は磁力線の密度の高い方向、すなわち背面側に移動する。
【0042】
イレーサー3aに用いる硬磁性体31としては従来公知のものを用いることができる。例えば、フェライト粒子(マグネトプランバイト型フェライト)、金属粒子(Nd、Sm、Co、Fe、Ni等の単独もしくは合金)よりなる磁石及びこれらの材料にゴムや樹脂を加えて成形した磁石などが挙げられる。
【0043】
磁気泳動表示シート1の表示面におけるイレーサー3aの実効磁化は40〜100mTの範囲が好ましく、より好ましくは50〜80mTの範囲である。イレーサー3aの実効磁化が40mT未満の場合、イレーサー3aの消去作用が不十分となるおそれがある。一方、イレーサー3aの磁化が100mTを超えると、イレーサー側からの硬磁性体31の作用が大きくなりすぎ、表示は消去されるものの、磁性粒子13が全体に表面に引き寄せられて消去が不十分になるおそれがある。
【0044】
イレーサー3aの、磁気泳動表示シート1の表示面と対向する面の面積としては、表示セル11の面積以上にするのが望ましい。イレーサー3aの前記面積が表示セル11の面積より小さいと、磁力線が集中して磁性粒子13が表面に吸引され表示の消去が困難となるおそれがある。
【0045】
図4に、イレーサー3a端部の拡大概略図に示す。磁気泳動表示シート1の表示面から一定の距離を隔ててイレーサー3aを位置させると、イレーサー3a端部の磁力線が集中している部分の影響による磁性粒子13の吸引が防止でき、よりきれいに表示を消去できるようになる。
【0046】
図5に、磁気泳動表示シート1の表示面とイレーサー3aとの距離に対する、表示消去可能なイレーサー3aの面積の下限を示す。表示面とイレーサー3aとの距離が長いと、小面積のイレーサー3aでも表示を消去できるようになる。反対に、表示面とイレーサー3aとの距離が短い、イレーサー3a端部の磁力線の集中の影響が大きくなり、イレーサー3aの面積を大きくしないと表示を消去できない。そして、イレーサー3aが表示面に密着している場合には、イレーサー3a端部の磁力線の集中の影響によって表示のコントラストはなくなるが、表示面のイレーサー3aが密着している部分全体が着色する。したがって、イレーサー3aの面積が決まれば、表示の消去可能な、磁気泳動表示シート1の表示面とイレーサー3aとの距離が定まる。かかる距離を常に維持するには、
図6に示すように、イレーサー3bの、表示面と対向する面にスペーサー33を設けるのが好ましい。なお、この図に示すイレーサー3bでは、表示面と対向する面の全体にスペーサー33を設けているが、表示面とイレーサー3bとの距離を一定に維持できれば、スペーサー33の取り付け位置は、イレーサー3bの、表示面と対向する面の一部(例えば、外縁部)であっても構わない。
【0047】
また、
図7に示すように、イレーサー3cの、表示面と対向する面を、中心部が表示面側に突出した曲面として、イレーサー3c端部の磁力線が集中している部分の影響による磁性粒子13の吸引を防止するようにしてもよい。このとき、イレーサー3cの、表示面と対向する面の曲率は0.2mm
−1以下が好ましく、より好ましくは0.03mm
−1〜0.1mm
−1の範囲である。イレーサー3cの、表示面と対向する面の曲率が0.2mm
−1より大きいと、イレーサー3cの表面に磁力線が集中し、軟磁性体16に至る磁力線が少なくなって、表示セル11内の磁性粒子13を背面側に移動させる力が不十分となるおそれがある。
【実施例】
【0048】
(実施例1〜14)
表1に示す実験条件で磁気泳動表示装置の書き込み性及び消去性を下記の方法で評価した。評価結果を表1に合わせて示す。なお、いずれのイレーサーも、磁気泳動表示シートの表示面と対向する面にN極の円形の硬磁性体を配置し、スペーサーとしてはポリエチレンシートを用いた。また、表1の「個数比」は、表示セルの個数に対する軟磁性体の個数比である。
【0049】
(書き込み性及び消去性の評価方法)
直径1mmの棒状磁石からなる書き込みペンで直線を描き、直線のコントラストを目視にて線書き込み性として評価した。
次いで、描いた直線に対して各イレーサーを表示面側から3回作用させた後、作用した部分に線画が残っているかどうかを目視にて線消去性として評価した。また、作用部分の色と背面側からイレーサーを作用した部分の色とを目視にて比較し白色度として評価した。そして、良好な場合を「◎」、許容できる場合を「○」、やや悪い場合を「△」、悪い場合を「×」とした。
【0050】
(比較例1)
表示セルと軟磁性体との距離を200μmとした以外は実施例13と同様の実験条件で磁気泳動表示装置の書き込み性及び消去性を評価した。評価結果を表2に合わせて示す。
【0051】
(比較例2)
表示セルと軟磁性体との距離を200μmとした以外は実施例5と同様の実験条件で磁気泳動表示装置の書き込み性及び消去性を評価した。評価結果を表2に合わせて示す。
【0052】
(比較例3)
軟磁性体を配置しなかった以外は実施例1と同様の実験条件で磁気泳動表示装置の書き込み性及び消去性を評価した。評価結果を表2に合わせて示す。
【0053】
(比較例4)
図8に示す構造の磁気泳動表示装置であって、ポリエチレンの板に幅100μm、高さ500μmの突起を500μmピッチで固定して、表示セルとの個数比0.1の軟磁性体シートを作製し、スペーサーを介して軟磁性体を固定していない磁気泳動表示シートの背面に固定したものである。評価結果を表2に合わせて示す。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
実施例1〜14の磁気泳動表示装置では、いずれも良好に書き込み及び表示の消去がなされた。これに対し、比較例1,2の磁気泳動表示装置では、軟磁性体の表示セルとの距離が200μmと大きかったため、磁力線の集中による磁性粒子の吸引作用が表示セル内には及ばず、十分な白色度が得られなかった。また、軟磁性体を配置しなかった比較例3の磁気泳動表示装置及び
図8に示す構造の比較例4の磁気泳動表示装置では、線はおおよそ消えたが、全体に表示セルによる着色があった。また比較例4の磁気泳動表示装置では、軟磁性体と対応する表面位置でわずかに白色度の良い部分が見られたが、使用可能なレベルにすることは困難であった。