(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る石炭不活性化処理装置の実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明は、図面に基づいて説明する以下の実施形態のみに限定されるものではない。
【0020】
[第一番目の実施形態]
本発明に係る石炭不活性化処理装置の第一番目の実施形態を
図1に基づいて説明する。
【0021】
図1に示すように、低質炭を乾燥し乾留してなる石炭である乾留炭1を一方である上方から他方である下方へ向けて内部に流通させる第1処理装置110の第1処理装置本体(処理塔)111の上部には、当該第1処理装置本体111の内部へ当該乾留炭1を供給する供給室(図示せず)が設けられている。第1処理装置本体111の下方には、当該第1処理装置本体111で処理されてなる1次処理済み乾留炭2aを一方である上方から受け入れ、他方である下方へ向けて内部を流通させる第2処理装置120の第2処理装置本体121が設けられている。
【0022】
前記第1処理装置本体111には、酸素を含有する処理ガス(第1処理ガス)103を当該第1処理装置本体111の内部へ導入する導入管131の先端側と、当該第1処理装置本体111の内部を流通した前記処理ガス103を外部へ排出する排出管132の基端側とがそれぞれ上下方向に沿って複数連結されている。
【0023】
前記導入管131の基端側には、前記処理ガス103を送給する送給管133の先端側が連結している。前記送給管133の基端側には、空気102を供給する空気供給管135の先端側と、窒素ガス101を供給する窒素供給管134の先端側とが連結している。前記窒素供給管134の基端側は、窒素ガスタンク等のような窒素ガス供給源112に連結している。前記空気供給管135の基端側は、大気開放されている。
【0024】
前記空気供給管135及び前記窒素供給管134の途中には、ブロア115,113がそれぞれ設けられている。前記送給管133の途中には加熱器114が設けられている。
【0025】
つまり、前記ブロア113,115を作動させると、前記窒素ガス供給源112からの窒素ガス101と外部の空気102とを混合した処理ガス103を前記加熱器114で加熱して前記第1処理装置本体111の内部に送給することができるようになっている。ここで、前記ブロア113,115からの前記窒素ガス101及び前記空気102の送給量を調整することにより、前記処理ガス103中の酸素ガス濃度を調整することができ、前記加熱器114を調整することにより、前記処理ガス103の温度を調整することができる。
【0026】
前記排出管132の先端側は、送出管136の基端側に連結している。前記送出管136の途中には、ガス中の粉塵を除去するフィルタ116が設けられている。
【0027】
前記第2処理装置本体121には、酸素を所定濃度で含有する第2処理ガスとして空気102を当該第2処理装置本体121の内部へ導入する導入管141の先端側と、当該第2処理装置本体121の内部を流通した前記空気102を外部へ排出する排出管142の基端側とがそれぞれ連結されている。
【0028】
前記導入管141の基端側は、大気開放されている。前記導入管141の途中には、ブロア122及び加熱器123が設けられている。
【0029】
前記排出管142の途中には、ガス中の粉塵を除去するフィルタ124が設けられている。
【0030】
前記排出管142の基端側と前記フィルタ124との間には、当該排出管142内を流通するガスの状態である当該ガスの一酸化炭素濃度を検知するCOセンサ(第2処理ガス一酸化炭素濃度検知手段)125が設けられている。
【0031】
前記COセンサ125は、制御手段である制御装置130の入力部に電気的に接続している。前記制御装置130の出力部は、前記ブロア113,115,122及び前記加熱器114,123に接続しており、当該制御装置130は、前記COセンサ125等からの情報に基づいて、前記ブロア113,115,122及び前記加熱器114,123の作動を制御することができるようになっている。
【0032】
なお、前記第1処理装置本体111としては、従来から不活性化処理に利用されている装置であって、供給された石炭、例えば乾留炭1を所定の酸素濃度の雰囲気中に所定時間さらすことが可能なものであり、外側からの熱的影響を受けにくいものであれば、いずれでも適用できる。また、前記第2処理装置本体121としては、前記第1処理装置本体111と同様な構造をなし当該第1処理装置本体111よりも小型の装置であって、供給された石炭、例えば1次処理済み乾留炭2aを所定の酸素濃度の雰囲気中に所定時間さらすことが可能なものであり、外側からの熱的影響を受けにくいものであれば、いずれでも適用できる。
【0033】
このような本実施形態においては、前記窒素ガス供給源112、前記ブロア113,115等により第1処理ガス送給手段を構成し、前記ブロア113,115等により第1処理ガス酸素濃度調整手段を構成し、前記加熱器114等により第1処理ガス温度調整手段を構成し、前記ブロア122等により第2処理ガス送給手段を構成し、前記加熱器123等により第2処理ガス温度調整手段を構成している。前記COセンサ125等により、第2処理ガスの状態を検知する第2処理ガス状態検知手段を構成し、具体的には、第2処理ガス酸素濃度検知手段を構成している。これは、前記第2処理装置本体121から排気される前記空気102中の一酸化炭素が、当該第2処理装置本体121で1次処理済み乾留炭2aを不活性化処理した際に生成する気体であって、外部の空気102の一酸化炭素の含有量がppmオーダであり、前記第2処理装置本体121内で前記空気102の酸素が前記1次処理済み乾留炭2aとの反応により減少することから、前記第2処理装置本体121から排気される前記空気102中の一酸化炭素濃度を検知することにより、間接的に前記第2処理装置本体121から排気される前記空気102中の酸素濃度を検知することになるからである。
【0034】
次に、上述した石炭不活性化処理装置100の作動を説明する。
【0035】
前記第1処理装置本体111の内部に乾留炭1を供給すると共に、前記制御装置130を作動させると、当該制御装置130は、所定の酸素濃度(例えば、9%)であり、所定の温度(例えば、50℃)である処理ガス103を前記第1処理装置本体111の内部に送給するように前記ブロア113,115及び前記加熱器114を制御すると共に、所定の温度(例えば、30℃)の空気102(酸素濃度:約20%)を前記第2処理装置本体121の内部に送給するように前記ブロア122及び前記加熱器123を制御する。
【0036】
前記第1処理装置本体111の内部に供給された前記乾留炭1は、前記処理ガス103によって、酸化されて活性が低下した1次処理済み乾留炭2aとなる。このような不活性化処理を前記第1処理装置本体111の内部で所定時間(例えば、15時間)施された1次処理済み乾留炭2aは、前記第1処理装置本体111の下部から送出される。なお、前記第1処理装置本体111の内部で前記乾留炭1を不活性化させた後の使用済みの前記処理ガス103は、当該第1処理装置本体111の内部から排気され前記フィルタ116で粉塵が除去されて外部へ排気される。
【0037】
前記第1処理装置本体111から送出された1次処理済み乾留炭2aは、前記第2処理装置本体121の内部に供給される。前記第2処理装置本体121の内部に供給された前記1次処理済み乾留炭2aは、所定の温度(例えば、30℃)に調整された前記空気102によって、さらに酸化されて活性がさらに低下した改質炭3となる。このような不活性化処理を前記第2処理装置本体121の内部で所定時間(例えば、1.5時間)施されてなる改質炭3は、前記第2処理装置本体121の下部から外部へ排出される。
【0038】
つまり、前記第2処理装置本体121では、前記1次処理済み乾留炭2aの不活性化処理及び冷却が行われている。
【0039】
前記第2処理装置本体121の内部で前記1次処理済み乾留炭2aを不活性化させた後の使用済みの前記空気102は、当該第2処理装置本体121の内部から排気され、所定時間(例えば、2時間)毎に又は連続的に前記COセンサ125で一酸化炭素濃度が検知される。なお、一酸化炭素濃度が検知された後の前記空気102は、前記フィルタ124で粉塵が除去されて外部へ排気される。
【0040】
前記制御装置130は、前記COセンサ125からの情報及び空気中の一酸化炭素濃度のデータ(例えば、2ppm以下)等に基づいて、一酸化炭素濃度の差が所定値C1よりも大きいか、前記所定値C1以下であるかを判断する。
【0041】
前記一酸化炭素の濃度の差が前記所定値C1よりも大きいときには、前記制御装置130は、前記1次処理済み乾留炭2aの酸化活性が未だ高い状態であり、前記第1処理装置本体111の内部において前記処理ガス103による前記1次処理済み乾留炭2aの不活性化が不十分であると判断して、前記処理ガス103の酸素濃度を増加させるように前記ブロア113,115を制御する。これにより、前記第1処理装置本体111の内部において、前記乾留炭1と前記処理ガス103の酸素との反応を加速させることができる。
【0042】
前記一酸化炭素の濃度の差が前記所定値C1以下であるときには、前記制御装置130は、前記第1処理装置本体111の内部において前記処理ガス103により前記1次処理済み乾留炭2aを過度に不活性化していると判断して、前記処理ガス103の酸素濃度を減少させるように前記ブロア113,115を制御する。これにより、前記第1処理装置本体111の内部において、前記乾留炭1と前記処理ガス103の酸素との反応を抑制することができる。
【0043】
このため、第1処理装置本体111の内部では、前記制御装置130が、前記COセンサ125からの情報等に基づき、前記第2処理装置本体121内から排気される前記空気102の状態が所定より乖離していると判断したとき、前記処理ガス103中の酸素濃度を調整するように前記ブロア113,115を制御することで、前記乾留炭1を不活性化する処理速度を適切に調整することになり、第1処理装置本体111から第2処理装置本体121へ送給される1次処理済み乾留炭2aの不活性化度が適切な範囲に維持されるようになる。これにより、1次処理済み乾留炭2aを第2処理装置本体121の内部で前記空気102の酸素により一定の速度で不活性化処理が行われて、適切な不活性化度に調整された改質炭3を得ることができる。
【0044】
したがって、本実施形態に係る石炭不活性化処理装置100によれば、前記第1処理装置本体111内に供給される乾留炭1の性状(例えば、石炭種、粒径、含有水分量、保管期間など)や乾留条件(例えば、乾留温度、乾留時間、乾留処理量など)が経時的にばらついたとしても、当該乾留炭1の性状や前記乾留条件に対して必要十分な条件で不活性化処理を簡単に行うことができる。また、従来の石炭不活性化処理装置と異なり乾留炭を不活性化処理してなる改質炭の一部をサンプリングする必要がなく、第2処理装置本体121から排気される空気102中の酸素濃度、実際には一酸化炭素濃度に基づき、第1処理装置本体111に送給する処理ガス103の酸素濃度を調整することができると共に、前記第1処理装置本体111及び前記第2処理装置本体121で乾留炭1,2aを不活性化処理することができることから、適正な不活性化度に調整した改質炭3を容易に得ることができる。
【0045】
前記第2処理装置本体121の内部から排気される前記空気102の一酸化炭素濃度を検知するCOセンサ125を用いたことにより、外部の前記空気102が約2ppm以下の一酸化炭素しか含有せず、前記1次処理済み乾留炭2aの不活性化処理で一酸化炭素が生成することから、前記COセンサ125で検知した一酸化炭素濃度に基づき前記1次処理済み乾留炭2aの活性度を高精度に特定することができる。よって、前記処理ガス103の酸素濃度をより一層適切に調整して、前記第1処理装置本体111及び前記第2処理装置本体121で乾留炭1,2aを一層適切に不活性化処理することができることから、より一層適正な不活性化度に調整した改質炭3を容易に得ることができる。
【0046】
[第二番目の実施形態]
本発明に係る石炭不活性化処理装置の第二番目の実施形態を
図2に基づいて説明する。
本実施形態は、
図1に示し上述した第一番目の実施形態が具備する第2処理装置本体の設置箇所を変更した構成となっている。その他の構成は
図1に示し上述したものと概ね同様であり、同一の機器には同一符号を付記し重複する説明を適宜省略する。
【0047】
図2に示すように、第1処理装置本体111の上方には、低質炭を乾燥し乾留してなる石炭である乾留炭1を一方である上方から他方である下方に向けて内部に流通させる第2処理装置220の第2処理装置本体121が設けられている。第2処理装置本体121の下方には、当該第2処理装置本体121で処理されてなる1次処理済み乾留炭2bを一方である上方から受け入れ、他方である下方へ向けて内部を流通させる第1処理装置本体111が設けられる。
【0048】
前記第2処理装置本体121には、酸素を所定濃度で含有する第2処理ガスとして処理ガス203を当該第2処理装置本体121の内部へ導入する導入管141の先端側と、当該第2処理装置本体121の内部を流通した前記処理ガス203を外部へ排出する排出管142の基端側とがそれぞれ連結されている。
【0049】
前記導入管141の前記ブロア122と前記加熱器123との間には、窒素ガス201を供給する窒素供給管223の先端側が連結している。前記窒素供給管223の基端側は、窒素ガスタンク等のような窒素ガス供給源221に連結している。前記窒素供給管223の途中にはブロア222が設けられている。
【0050】
つまり、前記ブロア222,122を作動させると、前記窒素ガス供給源221からの窒素ガス201と外部の空気102とを混合した処理ガス203を前記加熱器123で加熱して前記第2処理装置本体121の内部に送給することができるようになっている。ここで、前記ブロア222,122からの前記窒素ガス201及び前記空気102の送給量を調整することにより、前記処理ガス203を所定濃度で酸素を含有する第2処理ガスとすることができ、前記加熱器123を調整することにより、前記処理ガス203の温度を調整することができる。
【0051】
前記排出管142の基端側と前記フィルタ124との間に設けられたCOセンサ125は、制御手段である制御装置230の入力部に電気的に接続している。前記制御装置230の出力部は、前記ブロア113,115,122,222及び前記加熱器114,123に接続しており、当該制御装置230は、前記COセンサ125等からの情報に基づいて、前記ブロア113,115,122,222及び前記加熱器114,123の作動を制御することができるようになっている。
【0052】
このような本実施形態においては、前記窒素ガス供給源221、前記ブロア122,222等により第2処理ガス送給手段を構成し、前記ブロア122,222等により第2処理ガス酸素濃度調整手段を構成している。
【0053】
次に、上述した石炭不活性化処理装置200の作動を説明する。
【0054】
前記第2処理装置本体121の内部に乾留炭1を供給すると共に、前記制御装置230を作動させると、当該制御装置230は、所定の酸素濃度(例えば、2%)であり、所定の温度(例えば、50℃)である処理ガス203を前記第2処理装置本体121の内部に送給するように前記ブロア122,222及び前記加熱器123を制御すると共に、所定の酸素濃度(例えば、2%)であり、所定の温度(例えば、50℃)の処理ガス103を前記第1処理装置本体111の内部に送給するように前記ブロア113,115及び前記加熱器114を制御する。つまり、前記第2処理装置本体121の内部には、酸素を所定濃度に調整した第2処理ガスである処理ガス203を送給する。
【0055】
前記第2処理装置本体121の内部に供給された前記乾留炭1は、前記処理ガス203によって、酸化されて活性が低下した1次処理済み乾留炭2bとなる。このような不活性化処理を前記第2処理装置本体121の内部で所定時間(例えば、1.5時間)施された1次処理済み乾留炭2bは、前記第2処理装置本体121の下部から送出される。前記第2処理装置本体121の内部で前記乾留炭1を不活性化させた後の使用済みの前記処理ガス203は、当該第2処理装置本体121の内部から排気され、所定時間(例えば、2時間)毎に又は連続的に前記COセンサ125で一酸化炭素濃度が検知される。なお、酸素濃度が検知された後の使用済みの前記処理ガス203は、前記フィルタ124で粉塵が除去されて外部へ排気される。
【0056】
前記第2処理装置本体121から送出された1次処理済み乾留炭2bは、前記第1処理装置本体111の内部に供給される。前記第1処理装置本体111の内部に供給された前記1次処理済み乾留炭2bは、前記処理ガス103によって、再び酸化されて活性が1次処理済み乾留炭2bと比べてさらに低下した改質炭3となる。このような不活性化処理を前記第1処理装置本体111の内部で所定時間(例えば、15時間)施された改質炭3は、前記第1処理装置本体111の下部から外部へ排出される。なお、前記第1処理装置本体111の内部で前記1次処理済み乾留炭2bを不活性化させた後の使用済みの前記処理ガス103は、当該第1処理装置本体111の内部から排気され前記フィルタ116で粉塵が除去されて外部へ排気される。
【0057】
前記制御装置230は、前記COセンサ125からの情報、空気中の一酸化炭素濃度のデータ(例えば、2ppm以下)、前記ブロア122,222の作動等に基づいて、一酸化炭素濃度の差が所定値C2よりも大きいか、前記所定値C2以下であるかを判断する。これは、前記一酸化炭素濃度の差から乾留炭1の活性度を求め、前記乾留炭1の活性度から、適正な不活性化度に調整した改質炭3を得るために必要な酸素吸着量を求めることができ、前記適正な不活性化度に調整した改質炭3を得るために必要な酸素吸着量と、前記第2処理装置121の内部から排出される前記処理ガス203の酸素濃度から、前記第1処理装置本体111の内部に送給する前記処理ガス103の酸素濃度を求めることができるからである。
【0058】
前記一酸化炭素の濃度の差が前記所定値C2よりも大きいときには、前記制御装置230は、前記ブロア113,115によって酸素濃度が調整された前記処理ガス103で前記1次処理済み乾留炭2bを不活性化処理しても前記改質炭3の酸化活性が未だ高い状態であり、当該改質炭3の不活性化が不十分であると判断して、前記処理ガス103の酸素濃度を増加させるように前記ブロア113,115を制御する。これにより、前記第1処理装置本体111の内部において、前記1次処理済み乾留炭2bと前記処理ガス103の酸素との反応を加速させることができる。
【0059】
前記一酸化炭素の濃度の差が前記所定値C2以下であるときには、前記制御装置230は、前記ブロア113,115によって酸素濃度が調整された前記処理ガス103で前記1次処理済み乾留炭2bを不活性化処理すると前記改質炭3が過度に不活性化したものになると判断して、前記処理ガス103の酸素濃度を減少させるように前記ブロア113,115を制御する。これにより、前記第1処理装置本体111の内部において、前記1次処理済み乾留炭2bと前記処理ガス103の酸素との反応を抑制することができる。
【0060】
このため、第1処理装置本体111の内部では、前記制御装置230が、前記COセンサ125からの情報等に基づき、前記第2処理装置本体121内から排気される前記処理ガス203の状態が所定より乖離していると判断したとき、前記処理ガス103中の酸素濃度を調整するように前記ブロア113,115を制御することで、前記1次処理済み乾留炭2bを不活性化する処理速度を適切に調整することになり、適切な不活性化度に調整された改質炭3を得ることができる。
【0061】
したがって、本実施形態に係る石炭不活性化処理装置200によれば、前述した実施形態の場合と同様な作用効果を得ることができる。
【0062】
[第三番目の実施形態]
本発明に係る石炭不活性化処理装置の第三番目の実施形態を
図3に基づいて説明する。
本実施形態は、
図1に示し上述した第一番目の実施形態が具備する第2処理置本体へ送給する第2処理ガスである空気ガスへ不活性ガスを混合する構成を追加した構成となっている。その他の構成は
図1に示し上述したものと概ね同様であり、同一の機器には同一符号を付記し重複する説明を適宜省略する。
【0063】
図3に示すように、前記導入管141の前記ブロア122と前記加熱器123との間には、不活性ガス301を供給する不活性ガス供給管325の先端側が連結している。前記不活性ガス供給管325の基端側は、前記第1処理装置本体111の内部から排気された前記処理ガス103や、窒素ガスタンクなどの不活性ガス供給源321に連結している。前記不活性ガス供給管325の途中にはブロア322が設けられている。
【0064】
つまり、前記ブロア322,122を作動させると、前記不活性ガス供給源321からの不活性ガス301と外部の空気102とを混合した処理ガス303を前記加熱器123で加熱して第2処理装置320の前記第2処理装置本体121の内部に送給することができるようになっている。ここで、前記ブロア322,122からの前記不活性ガス301及び前記空気102の送給量を調整することにより、前記処理ガス303を所定濃度で酸素を含有する第2処理ガスとすることができ、前記加熱器123を調整することにより、前記処理ガス303の温度を調整することができる。
【0065】
前記導入管141の先端側と前記加熱器123との間には、当該導入管141内を流通する前記処理ガス203の一酸化炭素濃度及び酸素濃度を検知するCOセンサ323及びO
2センサ324が設けられている。前記COセンサ125,323及び前記O
2センサ324は、制御手段である制御装置330の入力部に電気的に接続している。前記制御装置330の出力部は、前記ブロア113,115,122,322、前記加熱器114,123にそれぞれ電気的に接続されており、当該制御装置330は、前記COセンサ125,323及び前記O
2センサ324等からの情報に基づいて、前記ブロア113,115,122,322、前記加熱器114,123の作動をそれぞれ制御することができるようになっている。
【0066】
このような本実施形態においては、前記不活性ガス供給源321、前記ブロア122,322等により第2処理ガス送給手段を構成し、前記ブロア122,322等により第2処理ガス酸素濃度調整手段を構成している。
【0067】
次に、上述した石炭不活性化処理装置300の作動を説明する。
【0068】
前記第1処理装置本体111の内部に乾留炭1を供給すると共に、前記制御装置330を作動させると、当該制御装置330は、所定の酸素濃度(例えば、9%)であり、所定の温度(例えば、50℃)である処理ガス103を前記第1処理装置本体111の内部に送給するように前記ブロア113,115及び前記加熱器114を制御すると共に、所定の温度(例えば、30℃)であり、所定の酸素濃度(例えば、2%)である処理ガス303を前記第2処理装置本体121の内部に送給するように前記ブロア122,322及び前記加熱器123を制御する。
【0069】
前記第1処理装置本体111の内部に供給された前記乾留炭1は、前記処理ガス103によって、酸化されて活性が低下した1次処理済み乾留炭2aとなる。このような不活性化処理を前記第1処理装置本体111の内部で所定時間(例えば、15時間)施された1次処理済み乾留炭2aは、前記第1処理装置本体111の下部から送出される。
【0070】
前記第1処理装置本体111から送出された1次処理済み乾留炭2aは、前記第2処理装置本体121の内部に供給される。前記第2処理装置本体121の内部に供給された前記1次処理済み乾留炭2aは、所定の温度(例えば、30℃)及び所定の酸素濃度に調整された前記処理ガス303によって、さらに酸化されて活性がさらに低下した改質炭3となる。このような不活性化処理を前記第2処理装置本体121の内部で所定時間(例えば、1.5時間)施されてなる改質炭3は、前記第2処理装置本体121の下部から外部へ排出される。
【0071】
つまり、前記第2処理装置本体121では、前記1次処理済み乾留炭2aの不活性化処理及び冷却が行われている。
【0072】
前記第2処理装置本体121の内部で前記1次処理済み乾留炭2aを不活性化させた後の使用済みの前記処理ガス303は、当該第2処理装置本体121の内部から排気され、所定時間(例えば、2時間)毎に又は連続的に前記COセンサ125で一酸化炭素濃度が検知される。
【0073】
また、前記第2処理装置本体121の内部へ送給する前記処理ガス303は、所定時間(例えば、2時間)毎に又は連続的に前記COセンサ323及び前記O
2センサ324で一酸化炭素濃度及び酸素濃度がそれぞれ検知される。
【0074】
前記制御装置330は、前記COセンサ125,323及び前記O
2センサ324からの情報等に基づいて、一酸化炭素濃度の差が所定値C3よりも大きいか、前記所定値C3以下であるかを判断する。
【0075】
前記一酸化炭素の濃度の差が前記所定値C3よりも大きいときには、前記制御装置330は、前記1次処理済み乾留炭2aの酸化活性が未だ高い状態であり、前記第1処理装置本体111の内部において前記処理ガス103による前記1次処理済み乾留炭2aの不活性化が不十分であると判断して、前記処理ガス103の酸素濃度を増加させるように前記ブロア113,115を制御する。これにより、前記第1処理装置本体111の内部において、前記乾留炭1と前記処理ガス103の酸素との反応を加速させることができる。
【0076】
前記一酸化炭素の濃度の差が前記所定値C3以下であるときには、前記制御装置330は、前記第1処理装置本体111の内部において前記処理ガス103により前記1次処理済み乾留炭2aを過度に不活性化していると判断して、前記処理ガス103の酸素濃度を減少させるように前記ブロア113,115を制御する。これにより、前記第1処理装置本体111の内部において、前記乾留炭1と前記処理ガス103の酸素との反応を抑制することができる。
【0077】
このため、第1処理装置本体111の内部では、前記制御装置330が、前記COセンサ125,323および前記O
2センサ324からの情報等に基づき、前記第2処理装置本体121内から排気される前記処理ガス303の状態が所定より乖離していると判断したとき、前記処理ガス103中の酸素濃度を調整するように前記ブロア113,115を制御することで、前記乾留炭1を不活性化する処理速度を適切に調整することになり、第1処理装置本体111から第2処理装置本体121へ送給される1次処理済み乾留炭2aの不活性化度が適切な範囲に維持されるようになる。これにより、1次処理済み乾留炭2aを第2処理装置本体121の内部で前記処理ガス303の酸素により一定の速度で不活性化処理が行われて、適切な不活性化度に調整された改質炭3を得ることができる。
【0078】
したがって、本実施形態に係る石炭不活性化処理装置300によれば、前記第1処理装置本体111内に供給される乾留炭1の性状(例えば、石炭種、粒径、含有水分量、保管期間など)や乾留条件(例えば、乾留温度、乾留時間、乾留処理量など)が経時的にばらついたとしても、当該乾留炭1の性状や前記乾留条件に対して必要十分な条件で不活性化処理を簡単に行うことができる。また、従来の石炭不活性化処理装置と異なり乾留炭を不活性化処理してなる改質炭の一部をサンプリングする必要がなく、第2処理装置本体121の内部に送給される処理ガス303中の一酸化炭素濃度及び酸素濃度と、第2処理装置本体121から排気される処理ガス303中の一酸化炭素に基づき、第1処理装置本体111に送給する処理ガス103の酸素濃度をより適切に調整することができると共に、前記第1処理装置本体111及び前記第2処理装置本体121で乾留炭1,2aをより適切に不活性化処理することができることから、より一層適正な不活性化度に調整した改質炭3を容易に得ることができる。
【0079】
[他の実施形態]
なお、前述した実施形態において、前記排出管142に前記COセンサ125を設け、前記第2処理装置本体121から排出された使用済みの空気102、処理ガス203,303の一酸化炭素濃度を実際に検知するようにしたが、他の実施形態として、例えば、CO
2センサ(第2処理ガス二酸化炭素濃度検知手段)を設けることにより、前記第2処理装置本体121から排出された使用済みの空気102、処理ガス203,303の二酸化炭素濃度を実際に検知するようにすることも可能である。
【0080】
また、他の実施形態として、例えば、O
2センサ(第2処理ガス酸素濃度検知手段)を設けることにより、前記第2処理装置本体121から排出された使用済みの空気102、処理ガス203,303の酸素濃度を実際に検知し、前記O
2センサからの情報、空気中の酸素濃度のデータ、前記O
2センサ324からの情報等に基づき、酸素濃度の差が所定値C4よりも小さいときには、前記処理ガス103の酸素濃度を増加させるように前記ブロア113,115を制御して、前記乾留炭1又は前記1次処理済み乾留炭2bと前記処理ガス103の酸素との反応を加速させ、前記酸素濃度の差が前記所定値C4以上であるときには、前記処理ガス103の酸素濃度を減少させるように前記ブロア113,115を制御して、前記乾留炭1又は前記1次処理済み乾留炭2bと前記処理ガス103の酸素との反応を抑制することができる。つまり、このような実施形態であっても、上述した実施形態と同様、適正な不活性化度に調整した改質炭3を容易に得ることができる。
【0081】
さらに、他の実施形態として、例えば、温度センサ(第2処理ガス温度検知手段)を設けることにより、前記第2処理装置本体121から排出された使用済みの空気102、処理ガス203,303の温度を検知し、前記温度センサからの情報、前記加熱器123,の作動等に基づき、温度の差が所定値T1以下であるときには、前記処理ガス103の酸素濃度を減少させるように前記ブロア113,115を制御して、前記乾留炭1又は前記1次処理済み乾留炭2bと前記処理ガス103の酸素との反応を抑制させ、前記温度の差が前記所定値T1よりも大きいときには、前記処理ガス103の酸素濃度を増加させるように前記ブロア113,115を制御して、前記乾留炭1又は前記1次処理済み乾留炭2bと前記処理ガス103の酸素との反応を加速させることができる。つまり、このような実施形態であっても、上述した実施形態と同様、適正な不活性化度に調整した改質炭3を容易に得ることができる。
【0082】
上記では、一酸化炭素濃度の差、二酸化炭素濃度の差、酸素濃度の差、温度の差を基準に、前記処理ガス103の酸素濃度を調整するようにしたが、前記第2処理装置本体121から排出される前記空気102、前記処理ガス203,303の一酸化炭素濃度、二酸化炭素濃度、酸素濃度、または温度そのものを基準に、前記処理ガス103の酸素濃度を調整するようにすることも可能である。