【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明のプラズマ処理装置のうち、第1の本発明は、処理室内でプラズマにより基板上に薄膜を形成するプラズマ処理装置において、
前記処理室内で前記基板上以外に絶縁物が付着するのを妨げ、かつアノードとして機能する
複数の導電性の防着板と、
前記処理室内で放電電圧を印加する電源部と、を備え、
前記防着板の少なくとも一部は、板面を表裏に貫通する
、大きさが1〜5mmである複数の貫通孔が設けられ、かつ前記貫通孔が設けられた前記防着板同士が互いに
1〜5mmの間隔をあけて板面を対向させ
、互いに間隔をあけて配置されている前記防着板の一方に設けられた前記貫通孔と前記防着板の他方に設けられた前記貫通孔とが、プラズマ発生側方向に対し、前記方向に沿って位置しないように配置され
、板面を対向する防着板同士は、断面積が10mm2以下の導電性の接続具によって電気的に接続され、処理室内壁側に位置する防着板は、処理室内壁に沿って配置され、かつ前記処理室に電気的に接続されていることを特徴とする。
【0009】
第2の本発明のプラズマ処理装置は、前記第1の本発明において、前記薄膜が電気的に絶縁物であることを特徴とする。
【0015】
第
3の本発明のプラズマ処理装置は、前記第1
または第2の本発明において、前記処理室内に、前記薄膜の原料の少なくとも一部となるターゲットが配置されることを特徴とする。
【0016】
第
4の本発明のプラズマ処理装置は、前記第1〜第
3の本発明のいずれかにおいて、前記薄膜の原料の少なくとも一部となる原料ガスを前記処理室内に供給する原料ガス供給部をさらに備えることを特徴とする。
【0017】
第
5の本発明の防着板は、処理室内でプラズマにより基板上に薄膜を形成するためのプラズマ処理装置に配置され、アノードとして機能する
複数の導電性の防着板であって、
板面を表裏に貫通する
、大きさが1〜5mmである複数の貫通孔が設けられ、かつ互いに
1〜5mmの間隔をあけて板面を対向させ
、互いに間隔をあけて配置されている前記防着板の一方に設けられた前記貫通孔と前記防着板の他方に設けられた前記貫通孔とが、プラズマ発生側方向に対し、前記方向に沿って位置しないように位置づけられ、板面を対向する防着板同士は、断面積が10mm2以下の導電性の接続具によって電気的に接続され、処理室内壁側に位置する防着板は、処理室内壁に沿って配置されて前記処理室に電気的に接続されて配置されることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、防着板の貫通孔により全面にわたって絶縁物が付着しても、電子の通過空間が確保され、対向する防着板や処理室内壁に電子が到達することができ、防着板で電子の移動が遮断されることはない。
【0022】
本発明のプラズマ処理装置は、反応性スパッタ装置、プラズマCVD装置などをその具体例として挙げることができるが、これに限定されるものではない。形成可能な薄膜としては、酸化膜、窒化膜などが例示され、具体的には、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、チタン窒化膜などを示すことができる。電気的に絶縁物である薄膜の形成において本発明は特に好適である。
【0023】
電源部は、処理室内で放電電圧を印加するものであり、放電電圧の印加により、処理室内においてプラズマを発生させることができる。電源部としては、直流電圧、交流電圧、パルス電圧などを用いることができ、特定のものに限定されるものではない
【0024】
処理室内では、薄膜の原料の少なくとも一部となるターゲットを設置して、プラズマ処理することができ、また、原料ガスを処理室に供給する原料ガス供給部を設けることができる。ターゲットを用いることなく原料ガスのみで薄膜材料を得るものや、基板との反応によって薄膜材料を得るものであってもよい。
【0025】
また、プラズマ処理装置内に配置される防着板は導電性を有し、アノードとして機能する。防着板は、処理室と電気的に接続することができる。
さらに、少なくとも一部の防着板は、表裏に貫通する貫通孔を有し、互いに間隔を空けて板面を対向させて配置される
【0026】
貫通孔の横断面形状や大きさは特に限定されるものではないが、円形状、多角形状などとすることができる。貫通孔の大きさは、1〜5mmとするのが望ましい。異形の形状では、例えば、最小大きさ、最大大きさともに1〜5mmに収まるものとする。すなわち、貫通孔は、直径1mmの円形と直径5mmの円形との間に収まる大きさを有するものとすることができる。
貫通孔の大きさが1mm未満であると、電子の通過が妨げられ、放電の不安定化を招きやすくなる。また、貫通孔の大きさが5mmを超えると、1枚目の貫通孔を通過した成膜粒子などが2枚目の防着板の広い面積に付着、堆積し、電子の透過性を損ない、放電の不安定化を招く。
貫通孔は、板の全面にわたってまたは面の一部に分散して形成されたものとすることができ、例えば、所定の間隔をおいて配列することができる。孔同士の間隔としては、例えば孔の周縁間距離として1〜5mmを挙げることができる。
1mm未満では貫通孔の面積が小さくなりすぎ、プラズマ放電が不安定となり、5mmを超えると、貫通孔の効果が少なく、プラズマ放電が不安定となる。
なお、貫通孔の大きさと貫通孔間の間隔は同じにするのが望ましい。
【0027】
貫通孔を有する防着板同士を対向させる際の互いの間隔は特に限定されるものではないが、例えば1〜5mmの間隔とすることができる。
その間隔が1mm未満であると、1枚目の防着板の貫通孔を通過した電子の直進性によって成膜粒子などが堆積した部分にしか電子が至らず、通電が阻害され放電安定性を得ることが難しい。
一方、間隔が5mmを超えると、1枚目の貫通孔を通過した成膜粒子などが2枚目の防着板の広い面積に付着、堆積し、電子の透過性を損ない、放電の不安定化を招く。
【0028】
また、対向配置する防着板は、導電性のねじなどからなる接続具で互いに接続するのが望ましい。これにより、接続具を通して徐々に電流が流れ、授電流分散効果と時間差伝導効果がある。このため、接続具は、面接続するものではなく、小さい面(例えば10mm
2以下)で点接続するねじなどを面上に分散することが望ましい。
【0029】
また、対向配置する防着板では、一方に設けられた貫通孔と他方に設けられた貫通孔とが、プラズマ発生側方向に対し、両貫通孔がこの方向に沿っていないのが望ましい。両貫通孔がこの方向に沿っていると、1枚目の貫通孔を通過した成膜粒子などがそのまま2枚目の貫通孔を通って処理室内壁に到達してしまい、防着板としての機能を損なうためである。