(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の一実施形態について説明する。なお、本発明は本実施形態で示す例に限られない。
【0015】
まず、本実施形態に係る一酸化炭素処理方法(以下、「本方法」という。)について説明する。本方法は、窒素原子を含む有機物とコバルトとを含む原料を炭素化して得られる炭素触媒と、一酸化炭素を含み水蒸気量が12mg/L以下又は相対湿度が40%以下のガスとを接触させることを含む。
【0016】
すなわち、本方法は、処理の対象となる一酸化炭素含有ガス(以下、「処理対象ガス」という。)を触媒と接触させることにより、当該処理対象ガスに比べて一酸化炭素の濃度が低減されたガス(以下、「処理後ガス」という。)を生成する方法であって、当該触媒として、上記特定の炭素触媒を使用し、且つ当該処理対象ガスとして、水蒸気量が12mg/L以下の一酸化炭素含有ガス又は相対湿度が40%以下の一酸化炭素含有ガスを使用する。なお、処理対象ガスの水蒸気量が12mg/L以下であるとは、1Lの当該処理対象ガスが12mgの水蒸気を含むことを意味する。また、例えば、30℃において水蒸気量が12mg/L以下である処理対象ガスは、30℃において相対湿度が40%以下の処理対象ガスである。
【0017】
本方法で使用する炭素触媒は、窒素原子を含む有機物とコバルトとを含む原料を炭素化することにより製造される。原料に含まれる有機物は、窒素原子を含み、炭素化される有機物であれば特に限られない。すなわち、有機物は、その分子内に窒素原子を含む有機化合物を1種以上含む。
【0018】
有機化合物としては、高分子量の有機化合物(例えば、熱硬化性樹脂及び/又は熱可塑性樹脂等の樹脂)及び/又は低分子量の有機化合物を使用する。また、有機物として、バイオマスを使用することとしてもよい。
【0019】
有機物は、コバルトに配位する配位子を含むこととしてもよい。配位子は、例えば、その分子内に1又は複数個の配位原子を含む化合物である。配位原子は、例えば、窒素原子、リン原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選択される1種以上である。また、配位子は、例えば、その分子内に1又は複数個の配位基を含む化合物である。配位基は、例えば、アミノ基、フォスフィノ基、カルボキシル基及びチオール基からなる群より選択される1種以上である。
【0020】
具体的に、有機物としては、例えば、フェノール樹脂、ポリフルフリルアルコール、フラン、フラン樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミン、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、キレート樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ピロール、ポリピロール、ポリビニルピロール、3−メチルポリピロール、アクリロニトリル、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル−ポリメタクリル酸共重合体、ポリ塩化ビニリデン、チオフェン、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ビニルピリジン、ポリビニルピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピペラジン、ピラン、モルホリン、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾ−ル、キノキサリン、アニリン、ポリアニリン、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ポリスルフォン、ポリアミノビスマレイミド、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ベンゾイミダゾ−ル、ポリベンゾイミダゾ−ル、ポリベンズイミダゾ−ル、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミド系紙力剤、ポリアミド、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリエ−テル、ポリエ−テルエ−テルケトン、セルロ−ス、カルボキシメチルセルロース、リグニン、キチン、キトサン、ピッチ、褐炭、絹、毛、ポリアミノ酸、核酸、DNA、RNA、ヒドラジン、ヒドラジド、尿素、サレン、ポリカルバゾール、ポリビスマレイミド、トリアジン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸、ポリウレタン、ポリアミドアミン及びポリカルボジイミドからなる群より選択される1種以上である。
【0021】
原料に含まれるコバルトとしては、コバルト単体及び/又はコバルト化合物を使用する。コバルト化合物は、例えば、コバルト塩、コバルト酸化物、コバルト水酸化物、コバルト窒化物、コバルト硫化物、コバルト炭化物及びコバルト錯体からなる群より選択される1種以上であり、好ましくはコバルト塩、コバルト酸化物、コバルト硫化物及びコバルト錯体からなる群より選択される1種以上である。なお、有機物がコバルト配位子を含む場合には、原料中においてコバルト錯体が形成される。
【0022】
原料は、さらに他の成分を含むこととしてもよい。すなわち、原料は、例えば、炭素材料を含むこととしてもよい。炭素材料としては、特に限られず、任意の1種以上を使用する。
【0023】
具体的に、例えば、カーボンブラック(例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック)、コークス、褐炭、泥炭、豆炭、カ−ボンナノファイバ−、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンファイバー、カーボンフィブリル、黒鉛粉末、活性炭、ガラス状カーボン、メソポーラスカーボン、炭素繊維、フラーレン、オニオンライクカーボン、グラフェン、木炭、石炭チャー、バイオマスチャー(バイオマス原料としては、例えば、酒粕、麹、コーヒー出し殻、お茶出し殻、ビール絞り粕、米ぬか等の食品産業廃棄物、林地残材、建築廃材等の木質系廃材、下水汚泥等の生活系廃材)、有機物、炭素化物からなる群より選択される1種以上を使用する。
【0024】
原料の調製は、少なくとも有機物とコバルトとを混合することにより行う。原料を混合する方法は特に限られず、例えば、乳鉢や撹拌装置を使用する。また、有機物及びコバルトを粉末状で混合する粉体混合や、溶媒を添加して混合する溶媒混合等、1種以上の混合方法を使用することとしてもよい。
【0025】
原料の炭素化は、当該原料を加熱して、当該原料に含まれる有機物が炭素化される所定温度(炭素化温度)で保持することにより行う。炭素化温度は、有機物が炭素化される温度であれば特に限られず、例えば、300℃以上であり、400℃以上であり、500℃以上である。炭素化温度の上限値は、特に限られないが、当該炭素化温度は、例えば、1500℃以下である。
【0026】
原料を炭素化温度まで加熱する際の昇温速度は、特に限られず、例えば、0.5℃/分以上、300℃/分以下である。原料を炭素化温度で保持する時間(炭素化時間)は、原料に含まれる有機物が炭素化される時間であれば特に限られず、例えば、5分以上である。炭素化時間の上限値は、特に限られないが、当該炭素化時間は、例えば、900分以下である。炭素化は、窒素等の不活性ガス下(例えば、不活性ガスの流通下)で行うことが好ましい。
【0027】
本方法においては、原料の炭素化により生成された炭素化材料をそのまま炭素触媒として使用することとしてもよい。炭素触媒は、少なくともその内部に、原料に由来するコバルトを含む。炭素触媒は、その表面及び内部に、原料に由来するコバルトを含むこととしてもよい。
【0028】
また、炭素触媒は、粉砕された炭素化材料からなることとしてもよい。炭素化材料を粉砕する方法は、特に限られず、例えば、ボールミルやビーズミル等の粉砕装置が好ましく使用される。粉砕後の炭素化材料の平均粒径は、特に限られず、例えば、150μm以下である。
【0029】
また、炭素触媒は、金属除去処理が施された炭素化材料からなることとしてもよい。金属除去処理は、炭素化材料に含まれる、原料に由来するコバルトを除去する処理である。金属除去処理は、炭素化材料に含まれるコバルトを除去し、又は当該コバルトの量を低減する処理であれば特に限られず、例えば、酸による洗浄処理及び/又は電解処理である。
【0030】
洗浄処理に使用する酸は、金属除去処理の効果が得られるものであれば特に限られず、任意の1種以上を使用する。すなわち、例えば、塩酸(例えば、希塩酸及び濃塩酸)、硝酸(例えば、希硝酸及び濃硝酸)及び硫酸(例えば、希硫酸及び濃硫酸)からなる群より選択される1種以上の酸を使用する。酸による洗浄処理の方法は、特に限られず、例えば、酸を含有する溶液中に炭素化材料を浸漬して保持する方法が好ましく使用される。なお、炭素触媒が、金属除去処理が施された炭素化材料からなる場合であっても、当該炭素触媒は、少なくともその内部に、原料に由来するコバルトを含む。
【0031】
炭素触媒は、金属処理が施された後に熱処理が施された炭素化材料からなることとしてもよい。この熱処理は、炭素化材料を加熱して所定温度で保持することにより行う。加熱温度は、特に限られず、例えば、300℃以上であり、400℃以上であり、500℃以上である。加熱温度の上限値は、特に限られないが、当該炭素化温度は、例えば、1500℃以下である。
【0032】
炭素触媒の形態は、その使用目的に応じて適宜選択可能であり、特に限られないが、例えば、粉末状、顆粒状、ペレット状、ハニカム状、シート状、フィルム状、繊維状、網状、プレート状、板状、プリーツ状、コルゲート状、コルゲートハニカム状、粒状、わた状、ウール状、ブロック状、円柱状、多角柱状、中空体、発泡体、多孔質体が挙げられる。また、必要に応じて、炭素触媒に、有機系及び/又は無機系のバインダー等の助剤を加えて使用することとしてもよい。
【0033】
処理対象ガスは、本方法における処理の対象となる一酸化炭素含有ガスであって、水蒸気量が12mg/L以下であるもの、又は相対湿度が40%以下であるものであれば特に限られない。
【0034】
処理対象ガスに含まれる一酸化炭素の濃度は、特に限られず、例えば、67v/v%以下(以下、ガス成分の濃度について、「v/v%」を単に「%」と表わす。)である。この場合、処理対象ガスは、例えば、1ppm以上、67%以下の濃度の一酸化炭素を含むこととしてもよい。なお、1%は、10000ppmである。
【0035】
ここで、本方法においては、処理対象ガスに含まれる一酸化炭素の濃度が比較的低い場合であっても、当該一酸化炭素を効果的に処理することができる。このため、本方法においては、例えば、炭素触媒と、5%以下の濃度の一酸化炭素を含む処理対象ガスとを接触させることとしてもよい。
【0036】
この場合、処理対象ガスに含まれる一酸化炭素の濃度は、例えば、3%以下であることとしてもよく、2%以下であることとしてもよく、1%以下であることとしてもよく、0.5%(5000ppm)以下であることとしてもよく、0.3%(3000ppm)以下であることとしてもよく、0.2%(2000ppm)以下であることとしてもよい。
【0037】
また、処理対象ガスに含まれる一酸化炭素の濃度は、例えば、1ppm以上であることとしてもよく、10ppm以上であることとしてもよく、25ppm以上であることとしてもよい。上述した一酸化炭素の濃度の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
【0038】
処理対象ガスは、酸素をさらに含む。処理対象ガスに含まれる酸素の濃度は、特に限られず、例えば、1ppm以上、99.999%以下であることとしてもよい。また、処理対象ガスは、例えば、C
4F
8、Ar、SF
6及びN
2からなる群より選択される1種以上をさらに含むこととしてもよい。
【0039】
水蒸気量が12mg/L以下(0〜12mg/L)の処理対象ガスは、その温度にかかわらず、水蒸気量が12mg/L以下の一酸化炭素含有ガスであれば特に限られず、その水蒸気量は、例えば、10mg/L以下であることとしてもよく、8mg/L以下であることとしてもよく、5mg/L以下であることとしてもよく、1mg/L以下であることとしてもよく、0.7mg/L以下であることとしてもよく、0.3mg/L以下であることとしてもよく、0.25mg/L以下であることとしてもよく、0.25mg/L未満であることとしてもよく、0.1mg/L以下であることとしてもよく、0.05mg/L以下であることとしてもよい。
【0040】
また、相対湿度が40%以下(0〜40%)の処理対象ガスは、その温度にかかわらず、相対湿度が40%以下のガスであれば特に限られず、その相対湿度は、例えば、35%以下(例えば、33%以下又は26%以下)であることとしてもよく、20%以下(例えば、17%以下)であることとしてもよく、10%以下であることとしてもよく、5%以下(例えば、3.3%以下又は2.3%以下)であることとしてもよく、1%以下(例えば、0.8%以下又は0.8%未満)であることとしてもよく、0.5%以下であることとしてもよく、0.3%以下(例えば、0.17%以下)であることとしてもよい。
【0041】
処理対象ガスの温度は、特に限られず、例えば、200℃以下であることとしてもよく、150℃以下であることとしてもよく、100℃以下であることとしてもよく、80℃以下であることとしてもよく、50℃以下であることとしてもよく、40℃以下であることとしてもよい。また、処理対象ガスの温度は、例えば、−100℃以上であることとしてもよく、−50℃以上であることとしてもよく、0℃以上であることとしてもよく、30℃以上であることとしてもよい。これら処理対象ガスの温度の上限値と下限値とは任意に組み合わせることができる。
【0042】
本方法においては、処理対象ガスとして、水蒸気量又は相対湿度が上述のように低いガスを使用することにより、炭素触媒の活性を高いレベルで長時間維持することができ、その結果、一酸化炭素の効果的な処理が達成される。
【0043】
なお、処理対象ガスの水蒸気量が12mg/L以下又は上述したいずれかの上限値以下でない場合、又は処理対象ガスの相対湿度が40%以下又は上述したいずれかの上限値以下でない場合には、炭素触媒との接触前に、水蒸気量を12mg/L以下又は上述したいずれかの上限値以下に低減し、又は相対湿度を40%以下又は上述したいずれかの上限値以下に低減する。処理対象ガスの水蒸気量又は相対湿度を低減する方法は特に限られず、例えば、当該処理対象ガスと、吸湿剤(例えば、活性炭、モレキュラーシーブ、シリカゲル、アルミナ、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、五酸化リン及び塩化リチウムからなる群より選択される1種以上)とを接触させることにより、水蒸気量が12mg/L以下又は上述したいずれかの上限値以下に低減された処理対象ガス、又は相対湿度が40%以下又は上述したいずれかの上限値以下に低減された処理対象ガスを得る。
【0044】
処理対象ガスは、化学反応工程で排出される一酸化炭素含有ガスであることとしてもよい。この場合、処理対象ガスは、一酸化炭素の生成を伴う化学反応を行う工程で排出される一酸化炭素含有ガスであれば特に限られず、例えば、半導体製造工程で排出される一酸化炭素含有ガス(例えば、エッチング装置等の半導体製造装置から排出される一酸化炭素含有ガス)であることとしてもよい。
【0045】
具体的に、処理対象ガスは、例えば、5%以下又はこれより低い上記いずれかの上限値以下の濃度の一酸化炭素を含み、水蒸気量が5mg/L以下又はこれより低い上記いずれかの上限値以下であるか、又は相対湿度が20%以下(例えば、17%以下)又はこれより低い上記いずれかの上限値以下である、半導体製造工程で排出される一酸化炭素含有ガスであることとしてもよい。
【0046】
本方法において、炭素触媒と処理対象ガスとを接触させる条件は、当該処理対象ガスに含まれる一酸化炭素の濃度が低減される範囲であれば特に限られない。炭素触媒と処理対象ガスとを接触させる温度(接触温度)は、特に限られず、例えば、200℃以下であることとしてもよい。
【0047】
ここで、本方法においては、接触温度が比較的低い場合であっても、処理対象ガスに含まれる一酸化炭素を効果的に処理することができる。このため、本方法においては、例えば、炭素触媒と処理対象ガスとを150℃以下の温度で接触させることとしてもよい。
【0048】
この場合、接触温度は、100℃以下であることとしてもよく、80℃以下であることとしてもよく、50℃以下であることとしてもよく、40℃以下であることとしてもよい。これらの場合において、接触温度は、例えば、−100℃以上であることとしてもよく、−50℃以上であることとしてもよく、0℃以上であることとしてもよい。上述した接触温度の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。すなわち、接触温度は、例えば、0℃以上、100℃以下であることとしてもよく、0℃以上、80℃以下であることとしてもよく、0℃以上、50℃以下であることとしてもよく、0℃以上、40℃以下であることとしてもよい。
【0049】
炭素触媒と処理対象ガスとを接触させる空間速度(SV:1時間あたりに処理装置内を通過するガス量を、当該処理装置内の触媒層の体積で除することにより算出される)は、特に限られず、例えば、30h
−1以上であることとしてもよく、300h
−1以上であることとしてもよい。
【0050】
本方法においては、炭素触媒と処理対象ガスとを接触させることにより、当該処理対象ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を低減する。すなわち、処理対象ガスを炭素触媒と接触させることにより、当該処理対象ガスに含まれる一酸化炭素を酸化して、その濃度を低減し、当該処理対象ガスに比べて一酸化炭素の濃度が低い処理後ガスを生成する。
【0051】
具体的に、例えば、炭素触媒と、5%以下、3%以下又は2%以下の濃度の一酸化炭素を含む処理対象ガスとを接触させることにより、一酸化炭素の濃度が100ppm以下の処理後ガスを生成する。これらの場合、50ppm以下又は25ppm以下の処理後ガスを生成することとしてもよい。また、処理対象ガスは、その水蒸気量が、5mg/L以下又はこれより低い上記いずれかの上限値以下であるか、又はその相対湿度が20%以下(例えば、17%以下)又はこれより低い上記いずれかの上限値以下であることとしてもよい。また、炭素触媒と処理対象ガスとを80℃以下、50℃以下又は40℃以下で接触させることとしてもよい。また、炭素触媒と処理対象ガスとを0℃以上又は30℃以上で接触させることとしてもよい。これらの接触温度の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。また、処理対象ガスは、半導体製造工程で排出される一酸化炭素含有ガスであることとしてもよい。
【0052】
本方法における一酸化炭素の処理効率を評価する方法は、特に限られないが、例えば、一酸化炭素の転化率(%)により評価することとしてもよい。一酸化炭素の転化率(%)は、処理対象ガスの一酸化炭素濃度(CO
in)と、処理後ガスの一酸化炭素濃度(CO
out)とに基づいて次のように算出される:一酸化炭素の転化率(%)=[CO
in(ppm)−CO
out(ppm)]/CO
in(ppm)×100。
【0053】
そして、本方法においては、処理対象ガスとして、水蒸気量が12mg/L以下又は上述したいずれかの上限値以下のガス、又は相対湿度が40%以下又は上述したいずれかの上限値以下のガスを使用することにより、一酸化炭素の転化率を長時間にわたって維持することができる。この効果は、例えば、処理対象ガスとして、水蒸気量が12mg/L以下又は上述したいずれかの上限値以下のガス、又は相対湿度が40%以下又は上述したいずれかの上限値以下のガスを使用することにより、炭素触媒の活性が効果的に維持されるためと考えられる。
【0054】
具体的に、本方法においては、例えば、炭素触媒と処理対象ガスとの接触を開始してから5時間経過した時点の転化率が、30%以上であることとしてもよく、40%以上であることとしてもよく、50%以上であることとしてもよく、60%以上であることとしてもよく、70%以上であることとしてもよい。
【0055】
また、本方法においては、例えば、炭素触媒と処理対象ガスとの接触を開始してから1時間経過した時点の転化率(C
1%)に対する、当該接触を開始してから5時間経過した時点の転化率(C
5%)の割合(維持率M%)が、60%以上であることとしてもよく、65%以上であることとしてもよく、70%以上であることとしてもよく、75%以上であることとしてもよく、80%以上であることとしてもよく、85%以上であることとしてもよく、90%以上であることとしてもよい。なお、この転化率の維持率M(%)は、次の式により算出される:維持率M(%)=[C
5%/C
1%]×100。
【0056】
次に、本実施形態に係る一酸化炭素処理装置(以下、「本装置」という。)について説明する。本装置は、一酸化炭素を処理するための装置であって、窒素原子を含む有機物とコバルトとを含む原料を炭素化して得られ、一酸化炭素を含み水蒸気量が12mg/L以下又は相対湿度が40%以下のガスと接触可能に設けられた炭素触媒を有する。
【0057】
すなわち、本装置は、例えば、その内部を処理対象ガスが流通可能な筺体と、当該筺体内において当該処理対象ガスと接触可能に設けられた炭素触媒とを備えていることとしてもよい。炭素触媒は、例えば、筺体内に設けられた担体に担持される。担体は、炭素触媒を処理対象ガスと接触可能に担持できるものであれば特に限られないが、例えば、多孔質担体(ベントナイト、モンモリロナイト、ゼオライト等)であることが好ましい。
【0058】
本装置は、一酸化炭素を含むガスの水蒸気量及び相対湿度を低減する吸湿剤を含む吸湿部と、当該吸湿部の下流側に設けられ、窒素原子を含む有機物とコバルトとを含む原料を炭素化して得られる炭素触媒を含む触媒部と、を備えていることとしてもよい。すなわち、この場合、本装置は、例えば、外部から当該本装置に受け入れた処理対象ガスの水蒸気量及び相対湿度を低減する吸湿部を備えている。
【0059】
このような本装置においては、まず、外部から受け入れた処理対象ガスが吸湿部に導入され吸湿剤と接触することにより、当該処理対象ガスの水蒸気量及び相対湿度が低減される。吸湿剤は、処理対象ガスの水蒸気量及び相対湿度を低減するものであれば特に限られず、例えば、活性炭、モレキュラーシーブ、シリカゲル、アルミナ、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、五酸化リン及び塩化リチウムからなる群より選択される1種以上であることとしてもよい。
【0060】
ここで、吸湿部は、例えば、処理対象ガスの水蒸気量を12mg/L以下に低減することとしてもよく、10mg/L以下に低減することとしてもよく、8mg/L以下に低減することとしてもよく、5mg/L以下に低減することとしてもよく、1mg/L以下に低減することとしてもよく、0.7mg/L以下に低減することとしてもよく、0.3mg/L以下に低減することとしてもよく、0.25mg/L以下に低減することとしてもよく、0.25mg/L未満に低減することとしてもよく、0.1mg/L以下に低減することとしてもよく、0.05mg/L以下に低減することとしてもよい。
【0061】
また、吸湿部は、例えば、処理対象ガスの相対湿度を40%以下に低減することとしてもよく、35%以下(例えば、33%以下又は26%以下)に低減することとしてもよく、20%以下(例えば、17%以下)に低減することとしてもよく、10%以下に低減することとしてもよく、5%以下(例えば、3.3%以下又は2.3%以下)に低減することとしてもよく、1%以下(例えば、0.8%以下又は0.8%未満)に低減することとしてもよく、0.5%以下に低減することとしてもよく、0.3%以下(例えば、0.17%以下)に低減することとしてもよい。
【0062】
次いで、本装置においては、水蒸気量及び相対湿度が低減された処理対象ガスを触媒部に導入して炭素触媒と接触させることにより、当該処理対象ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を低減する。こうして、本装置は、一酸化炭素の濃度が低減された処理後ガスを生成する。
【0063】
また、本装置は、携帯型の一酸化炭素処理装置であることとしてもよい。すなわち、この場合、本装置は、例えば、その少なくとも一部が使用者に装着される携帯型の一酸化炭素処理装置であり、例えば、当該使用者の呼吸のためのガスを生成する装置である。このような携帯型の本装置もまた、その内部を処理対象ガスが流通可能な筺体と、当該筺体内において当該処理対象ガスと接触可能に設けられた炭素触媒とを備えている。そして、本装置においては、使用者の呼吸により当該本装置に吸入された処理対象ガスが炭素触媒と接触することにより、その一酸化炭素濃度が低減される。そして、一酸化炭素濃度が低減された処理後ガスが使用者に供給される。また、携帯型の本装置もまた、上述した吸湿部と触媒部とを備えていることとしてもよい。
【0064】
図1及び
図2には、携帯型の本装置1の具体例を示す。
図1及び
図2に示す本装置1は、使用者Uの鼻及び口(不図示)を覆うように、当該使用者Uの頭部に装着されるマスク部10を備えている。すなわち、この例に示す本装置1は、いわゆる防毒マスクである。
【0065】
また、本装置1は、さらに、上述の吸湿部及び触媒部を含む処理部20を備えている。この処理部20は、防毒マスクのいわゆる吸収缶に相当する。具体的に、
図1に示す処理部20は、マスク部10に設けられている。すなわち、この場合、本装置1は、いわゆる直結型の防毒マスクである。
【0066】
一方、
図2に示す処理部20は、マスク部10と別体に構成され、当該マスク部10と接続部(例えば、ガス不透過性のチューブ)30を介して接続されて使用者Uの体の一部(例えば、腰、背中、胸又は腹部といった頭部以外の部分)に装着される。すなわち、この場合、本装置1は、いわゆる隔離式の防毒マスクである。
【0067】
そして、このような本装置1は、まず処理部20によって処理対象ガスの一酸化炭素濃度を低減し、当該処理部20から排出される処理後ガスを、マスク部10と、使用者Uの鼻及び口との間の密閉空間に供給する。
【0068】
より具体的に、処理部20においては、処理対象ガスの流通の上流側に吸湿部が設けられ、下流側に触媒部が設けられている。このため、外部から処理部20に吸入された処理対象ガスは、まず、吸湿部に流入する。吸湿部に流入した処理対象ガスは、吸湿剤と接触することにより、その水蒸気量及び相対湿度が低減される。
【0069】
次に、吸湿部から流出した処理対象ガスは、触媒部に流入する。触媒部に流入した処理対象ガスは、炭素触媒と接触することにより、その一酸化炭素濃度が低減される。そして、触媒部から流出する処理後ガスは、使用者Uの呼吸のために、マスク部10から当該使用者Uの鼻及び口に供給される。
【0070】
なお、本装置1は、
図1及び
図2に示す例に限られない。例えば、本装置1における吸湿部及び触媒部の配置は、
図1及び
図2に示す例に限られない。すなわち、例えば、吸湿部及び触媒部の一方がマスク部10に設けられ、他方が当該マスク部10とは別の部分(例えば、
図2に示す処理部20)に設けられることとしてもよい。また、本装置1は、複数の処理部20を備え、当該複数の処理部20の1つに吸湿部を有し、他の処理部20に触媒部を有することとしてもよい。また、本装置1は、例えば、一酸化炭素の酸化により発生した二酸化炭素を吸着する吸着剤(非晶質アルミニウムケイ酸、リチウムシリケート、酸化亜鉛、ゼオライト、活性炭、アルミナ等)を含む二酸化炭素吸着部を触媒部の下流側に備えることとしてもよい。
【0071】
本方法及び本装置によれば、一酸化炭素を効果的に処理することができる。すなわち、本発明の発明者らは、一酸化炭素を処理する技術的手段について鋭意検討を重ねた結果、金属としてコバルトを含む原料の炭素化により得られる炭素触媒を使用し、且つ処理対象ガスの水蒸気量が12mg/L以下又は上述したいずれかの上限値以下である場合、又は処理対象ガスの相対湿度が40%以下又は上述したいずれかの上限値以下である場合に、当該処理対象ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を極めて効果的に低減できることを独自に見出し、本発明を完成するに至った。
【0072】
本方法及び本装置によれば、例えば、処理対象ガスに含まれる一酸化炭素の濃度が比較的低い場合であっても、一酸化炭素を効果的に処理することができる。また、本方法及び本装置によれば、例えば、炭素触媒と処理対象ガスとを常温付近(例えば、50℃以下又は40℃以下)の温度で接触させる場合であっても、一酸化炭素を効果的に処理することができる。
【0073】
また、本方法及び本装置は、貴金属触媒や金属酸化物触媒等の従来の金属系触媒を使用することなく、一酸化炭素を効果的に処理することができる。また、本方法及び本装置は、触媒として炭素触媒を使用するため、低廉且つ簡便に一酸化炭素を処理することができる。
【0074】
次に、本実施形態に係る具体的な実施例について説明する。
【実施例1】
【0075】
[炭素触媒(CA(Co))]
窒素原子を含む有機物とコバルトとを含む原料を炭素化することにより炭素触媒CA(Co)を製造した。すなわち、容積100mLのビーカー中のDMF20gに、1gのポリアクリロニトリル(PAN)(三井化学株式会社製)、1gの2−メチルイミダゾール(和光純薬工業株式会社製)及び1gの塩化コバルト六水和物(CoCl
2・6H
2O)(関東化学株式会社製)を溶解させた。この溶液に、0.9gのケッチェンブラック(ECP600JD、ライオン株式会社製)を加え、混練した。その後、溶媒を除去し、乾燥及び固化を行い、前駆体組成物を得た。
【0076】
次に、前駆体組成物の不融化処理を行った。すなわち、前駆体組成物を石英製容器に入れ、大気下で加熱することにより、その温度を室温から150℃まで30分かけて上昇させ、さらに220℃まで2時間かけて上昇させ、その後、220℃で3時間保持した。
【0077】
そして、上述のようにして調製した原料の炭素化を行った。すなわち、石英容器中の原料を、窒素雰囲気下にて、900℃で1時間加熱することにより、当該原料の炭素化を行った。
【0078】
さらに、炭素化によって得られた炭素化材料を、乳鉢及び遊星型ボールミルを用いて粉砕した。また、粉砕された炭素化材料を濃塩酸に浸漬することにより、酸による洗浄処理を行った。その後、炭素化材料を石英容器中、窒素雰囲気下にて、900℃で1時間加熱した。こうして、熱処理後の炭素化材料を、炭素触媒CA(Co)として得た。
【0079】
[炭素触媒(CA(Fe)]
塩化コバルト六水和物(CoCl
2・6H
2O)に代えて塩化鉄(III)六水和物(FeCl
3・6H
2O)(シグマアルドリッチジャパン株式会社製)を使用した以外は、上述の炭素触媒CA(Co)の場合と同様にして、炭素触媒CA(Fe)を製造した。
【0080】
[貴金属触媒(Pt/アルミナ)]
5重量%白金担持アルミナ(シグマアルドリッチジャパン株式会社製)をアルミナで希釈することにより、2重量%の白金を含有した貴金属触媒を製造した。
【0081】
[貴金属触媒(Pt/カーボン)]
39重量%白金担持カーボン触媒(石福金属興業株式会社製)をカーボンブラックで希釈することにより、2重量%の白金を含有した貴金属触媒を製造した。
【0082】
[ガスの水蒸気量及び相対湿度の測定]
気体採取器(GV−100、株式会社ガステック製)と水蒸気検知管(NO.6)とを使って30℃の処理対象ガス1L中の水蒸気量を測定し、当該測定結果と温度補正表とに基づき真の1L中の水蒸気量(mg/L)を求めた。また、次の式から湿度(相対湿度)(%)を求めた。
【数1】
【0083】
[一酸化炭素の処理]
ガスボンベ、マスフローコントローラー、反応管(BELREA SPNS、日本ベル株式会社製)、恒温槽及びガス分析装置(ガスクロマトグラフィー GC−2014ATF、株式会社島津製作所製)を含む測定装置を使用した。すなわち、反応管内に、上述のようにして準備した触媒0.2gを充填した。なお、触媒の上流側及び下流側には石英ウール0.1gをそれぞれ充填した。
【0084】
そして、この反応管を恒温槽内に配置した。反応管には熱電対が取り付けられ、恒温槽内において、当該反応管内の温度は30℃に維持された。また、反応管の上流端には、マスフローメーターを介して、CO/N
2ガスボンベ及び圧縮空気ガスボンベが接続された。一方、反応管の下流端は、ガス分析装置に接続された。
【0085】
そして、マスフローメーターを調節して、1000〜1050ppmの一酸化炭素及び11体積%の酸素を含む処理対象ガスの流量30L/g−触媒・hrでの反応管への流通を開始することにより、当該反応管内の触媒と当該処理対象ガスとの30℃での接触を開始した。なお、処理対象ガスの水蒸気量は0.25mg/L(相対湿度0.8%)であった。
【0086】
そして、ガス分析装置によって、反応管から流出するガス(処理後ガス)を15分間隔でサンプリングし、当該処理後ガスに含まれる一酸化炭素、酸素及び二酸化炭素の濃度を測定した。
【0087】
この測定結果に基づき、次の式より一酸化炭素の転化率(%)を算出した:一酸化炭素の転化率(%)=[CO
in(ppm)−CO
out(ppm)]/CO
in(ppm)×100(ただし、式中、CO
inは処理対象ガス中の一酸化炭素濃度であり、CO
outは処理後ガス中の一酸化炭素濃度である)。
【0088】
なお、この一酸化炭素転化率は、一酸化炭素がどの程度、触媒によって酸化されたかを示しており、当該転化率が高いほど、より多くの一酸化炭素が酸化されたことを示す。
【0089】
[結果]
図3には、上述のようにして一酸化炭素の転化率を評価した結果を示す。
図3において、横軸は反応管への処理対象ガスの流通を開始してから経過した時間である処理時間(時間)を示し、縦軸は一酸化炭素(CO)の転化率(%)を示す。また、黒塗り丸印は炭素触媒(CA(Co))の結果を示し、黒塗り四角印は炭素触媒(CA(Fe)の結果を示し、白抜き菱形印は貴金属触媒(Pt/アルミナ)の結果を示し、白抜き三角印は貴金属触媒(Pt/カーボン)の結果を示す。
【0090】
図3に示すように、炭素触媒(CA(Fe)を使用した場合には、一酸化炭素の酸化は実質的に行われなかった。また、貴金属触媒を使用した場合には、処理時間5時間の間に転化率が急激に低下した。
【0091】
これに対し、炭素触媒(CA(Co))を使用することにより、転化率55〜80%での一酸化炭素の酸化が5時間にわたって維持された。すなわち、炭素触媒(CA(Co))を使用した場合の一酸化炭素転化率は、他の触媒を使用した場合に比べて顕著に高かった。
【0092】
また、上述した転化率の維持率(維持率M(%)=[(C
5%)/C
1%]×100)は、貴金属触媒(Pt/アルミナ又はPt/カーボン)を使用した場合には15〜35%であったのに対し、炭素触媒(CA(Co))を使用した場合には80%と顕著に高かった。
【実施例2】
【0093】
[炭素触媒(CA(Co))]
上述の実施例1と同様に、炭素触媒CA(Co)を準備した。
【0094】
[コバルト担持カーボン]
ポリアクリロニトリル(PAN)及び2−メチルイミダゾールを使用しなかったこと以外は、上述の炭素触媒CA(Co)の場合と同様にして、コバルト担持カーボンを製造した。
【0095】
[カーボン担体]
カーボン担体からなる比較材料として、ケッチェンブラック(ECP600JD、ライオン株式会社製)を準備した。
【0096】
[一酸化炭素の処理]
上述の実施例1と同様にして、一酸化炭素の処理を行い、一酸化炭素の転化率を評価した。
【0097】
[結果]
図4には、一酸化炭素の転化率を評価した結果を示す。
図4において、黒塗り丸印は炭素触媒(CA(Co))の結果を示し、白抜き丸印はコバルト担持カーボンの結果を示し、白抜き菱形印はカーボン担体の結果を示す。
【0098】
図4に示すように、カーボン担体を使用した場合には、一酸化炭素の酸化は実質的に行われなかった。また、コバルト担持カーボンを使用した場合には、転化率は10%未満であった。
【0099】
これに対し、炭素触媒(CA(Co))を使用することにより、転化率50〜90%での一酸化炭素の酸化が10時間にわたって維持された。すなわち、炭素触媒(CA(Co))を使用した場合の一酸化炭素転化率は、他の比較材料を使用した場合に比べて顕著に高かった。また、炭素触媒(CA(Co))を使用した場合の転化率の維持率は79%であった。
【実施例3】
【0100】
[炭素触媒(CA(Co))]
上述の実施例1と同様に、炭素触媒CA(Co)を製造した。
【0101】
[一酸化炭素の処理]
水蒸気量及び相対湿度が異なる7種類の処理対象ガスを使用した以外は、上述の実施例1と同様にして、一酸化炭素の処理を行い、一酸化炭素の転化率を評価した。すなわち、処理対象ガスとして、1000ppmの一酸化炭素及び11体積%の酸素を含み、水蒸気量が0.05mg/L(相対湿度0.17%)である処理対象ガス、1000ppmの一酸化炭素及び11体積%の酸素を含み、水蒸気量が0.25mg/L(相対湿度0.8%)である処理対象ガス、水ポンプから導入された水を蒸発器で気化し合流させることにより水蒸気量を18mg/L(相対湿度60%)、14mg/L(相対湿度46%)、10mg/L(相対湿度33%)、5mg/L(相対湿度17%)又は0.7mg/L(相対湿度2.3%)に調整された処理対象ガスを使用した。
【0102】
[結果]
図5には、一酸化炭素の転化率を評価した結果を示す。
図5において、黒塗り丸印は水蒸気量が0.05mg/L(相対湿度0.17%)の処理対象ガスを使用した場合の結果を示し、白抜き丸印は水蒸気量が0.25mg/L(相対湿度0.8%)の処理対象ガスを使用した場合の結果を示し、黒塗り菱形印は水蒸気量が0.7mg/L(相対湿度2.3%)の処理対象ガスを使用した場合の結果を示し、白抜き菱形印は水蒸気量が5mg/L(相対湿度17%)の処理対象ガスを使用した場合の結果を示し、十字印は水蒸気量が10mg/L(相対湿度33%)の処理対象ガスを使用した場合の結果を示し、黒塗り三角印は水蒸気量が14mg/L(相対湿度46%)の処理対象ガスを使用した場合の結果を示し、白抜き三角印は水蒸気量が18mg/L(相対湿度60%)の処理対象ガスを使用した場合の結果を示す。
【0103】
図5に示すように、処理対象ガスの水蒸気量が18mg/L(相対湿度60%)の場合の転化率は、処理開始から急激に低下し、約2時間でほぼゼロとなった。また、処理対象ガスの水蒸気量が14mg/L以下(相対湿度46%以下)の場合の転化率は、約4時間でほぼゼロとなった。これに対し、処理対象ガスの水蒸気量が14mg/L未満(相対湿度46%未満)、具体的には、10mg/L(相対湿度33%)以下の場合の転化率は、5時間以上にわたって10%以上に維持された。さらに、処理対象ガスの水蒸気量が10mg/L(相対湿度33%)未満、具体的には、5mg/L(相対湿度22%)以下の場合の転化率は、5時間以上にわたって、15%以上に維持された。
【0104】
また、処理対象ガスの水蒸気量が5mg/L(相対湿度22%)未満、具体的には、0.7mg/L(相対湿度2.3%)以下の場合の転化率は、5時間にわたって30%程度以上に維持され、その後も10時間にわたって維持された。さらに、処理対象ガスの水蒸気量が0.25mg/L(相対湿度0.8%)以下の場合の転化率は、5時間にわたって40%以上に維持された。そして、処理対象ガスの水蒸気量が0.05mg/L(相対湿度0.17%)の場合の転化率は、10時間にわたって70%以上に維持された。
【0105】
また、転化率の維持率は、処理対象ガスの水蒸気量が0.7mg/L(相対湿度2.3%)の場合には67%であり、0.25mg/L(相対湿度0.8%)の場合には74%であり、0.05mg/L(相対湿度0.17%)の場合には98%であった。
【実施例4】
【0106】
[触媒]
上述の実施例1と同様に、炭素触媒CA(Co)、炭素触媒CA(Fe)、貴金属触媒(Pt/アルミナ)及び貴金属触媒(Pt/カーボン)を準備した。また、上述の実施例2と同様に、コバルト担持カーボン及びカーボン担体も準備した。
【0107】
[一酸化炭素の処理]
処理対象ガスとして、1000ppmの一酸化炭素及び11体積%の酸素を含み、水蒸気量が0.05mg/L(相対湿度0.17%)である処理対象ガスを使用した以外は、上述の実施例1と同様にして、一酸化炭素の処理を行い、一酸化炭素の転化率を評価した。
【0108】
[結果]
図6及び
図7には、一酸化炭素の転化率を評価した結果を示す。
図6において、黒塗り丸印は炭素触媒(CA(Co))の結果を示し、黒塗り四角印は炭素触媒(CA(Fe)の結果を示し、白抜き菱形印は貴金属触媒(Pt/アルミナ)の結果を示し、白抜き三角印は貴金属触媒(Pt/カーボン)の結果を示す。また、
図7において、黒塗り丸印は炭素触媒(CA(Co))の結果を示し、白抜き丸印はコバルト担持カーボンの結果を示し、白抜き菱形印はカーボン担体の結果を示す。なお、
図6に示す炭素触媒(CA(Co))の結果を
図7にも示している。
【0109】
図6及び
図7に示すように、上述の実施例1及び実施例2と同様、炭素触媒(CA(Co))を使用した場合の一酸化炭素転化率は、他の触媒を使用した場合に比べて顕著に高かった。
【0110】
また、炭素触媒(CA(Co))を使用した場合の転化率は、10時間にわたって70〜80%以上に維持された。また、炭素触媒(CA(Co))を使用した場合の転化率の維持率は98%であった。
【実施例5】
【0111】
[炭素触媒(CA(Co))]
上述の実施例1と同様に、炭素触媒CA(Co)を準備した。
【0112】
[金属酸化物触媒(CuMn
2O
4)]
金属酸化物触媒(CuMn
2O
4)(ホプカライト(II)、キシダ化学株式会社製)を準備した。
【0113】
[一酸化炭素の処理]
下記の点以外は上述の実施例1と同様にして、一酸化炭素の処理を行った。反応管内には、炭素触媒CA(Co)4.97g又は金属酸化物触媒9.84gを充填した。処理対象ガスとしては、2%(20000ppm)の一酸化炭素及び10%の酸素を含み、水蒸気量が0.05mg/L(相対湿度0.17%)の処理対象ガスを使用した。処理対象ガスの流量は50mL/分であった。
【0114】
[結果]
図8には、反応管から流出した処理後ガスに含まれている一酸化炭素の濃度を測定した結果を示す。
図8において、横軸は処理時間(時間)を示し、左側の縦軸は炭素触媒(CA(Co))を使用した場合の処理後ガス中の一酸化炭素濃度(出口CO濃度)(ppm)を示し、右側の縦軸は金属酸化物触媒を使用した場合の処理後ガス中の出口CO濃度(ppm)を示す。また、黒塗り丸印は炭素触媒(CA(Co))の結果を示し、白抜き四角印は金属酸化物触媒の結果を示す。
【0115】
図8に示すように、炭素触媒(CA(Co))を使用した場合の出口CO濃度は、金属酸化物触媒を使用した場合に比べて顕著に低かった。すなわち、金属酸化物触媒を使用した場合の出口CO濃度は、12000〜14000ppm程度であったのに対し、炭素触媒(CA(Co))を使用した場合の出口CO濃度は、25ppm以下に抑えられた。