特許第5971796号(P5971796)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5971796-ナースコールシステム 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5971796
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】ナースコールシステム
(51)【国際特許分類】
   A61G 12/00 20060101AFI20160804BHJP
【FI】
   A61G12/00 E
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-166430(P2012-166430)
(22)【出願日】2012年7月27日
(65)【公開番号】特開2014-23723(P2014-23723A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】591253593
【氏名又は名称】株式会社ケアコム
(72)【発明者】
【氏名】坂詰 康孝
【審査官】 井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−233629(JP,A)
【文献】 特開2010−051565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者が医療従事者を呼び出すために操作され、ワンショットの呼出信号を出力する呼出操作装置と、患者の所定の状態を検出して、ワンショットまたは連続接点による呼出信号を出力するセンサーと、前記呼出操作装置および前記センサーの少なくとも一方を接続し、入力した呼出信号を外部に出力するとともに前記呼出信号の外部への出力の停止を解除するための復旧信号を入力する子機インターフェースと、時間を計測するタイマーと、前記子機インターフェースが呼出信号を入力した場合に、前記タイマーを動作させ、このタイマーが所定時間を計測する間に、前記呼出信号がワンショットの呼出信号であるか連続接点による呼出信号であるかを判定する判定部と、前記呼出信号がワンショットの呼出信号であると前記判定部にて判定した場合に、前記呼出信号にワンショットの呼出信号であることを示す情報を付加して前記子機インターフェースにより外部へ出力させ、前記呼出信号が連続接点による呼出信号であると前記判定部にて判定した場合に、前記呼出信号に連続接点による呼出信号であることを示す情報を付加して前記子機インターフェースにより外部へ出力させるとともに、前記子機インターフェースにより何れかの呼出信号を外部へ出力した場合に、外部から復旧信号を入力するまで前記呼出信号を外部へ出力しないようにする子機制御部とを備えたナースコール子機と
前記ナースコール子機または前記ナースコール子機の近傍に設置されており、操作されることで復旧信号を生成して出力する復旧操作装置と、
前記ナースコール子機から出力された呼出信号および前記復旧操作装置から出力された復旧信号を入力するインターフェースと、患者が医療従事者を呼び出していること報知する報知部と、前記報知部による報知に対して応答するために操作される応答操作部と、前記インターフェースが前記呼出信号を入力した場合に、前記報知部を動作させるとともに、前記呼出信号にワンショットの呼出信号であることを示す情報が付加されているか否かを判定し、ワンショットの呼出信号であることを示す情報が付加されていると判定したときには、前記応答操作部が操作されると復旧信号を生成して前記インターフェースから前記ナースコール子機へ出力して、前記報知部の動作を停止させ、前記呼出信号にワンショットの呼出信号であることを示す情報が付加されていないと判定したときには、前記応答操作部が操作されても復旧信号を生成せず、前記報知部の動作のみを停止させる制御部とを有するナースコール親機と、
を備えたことを特徴とするナースコールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院や介護施設などで患者や被介護者からの要求に応じて看護師や介護者を呼び出すナースコールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナースコールシステムでは、患者や被介護者(以下、まとめて患者と記載する)の近辺(例えば、ベッド近傍など)に設置されたナースコール子機と看護師や介護者(以下、まとめて医療従事者と記載する)の常駐するスタッフルームなどに設置されたナースコール親機とを有線や無線などにより接続している。このように構成されたナースコールシステムでは、患者がナースコール子機に設けられた呼出操作部を操作することによって、ナースコール親機に設けられた報知部が動作し、患者が医療従事者を呼び出すことができる。医療従事者は、ナースコール親機に設けられたハンドセットをオフフックして応答を行うとともに、患者と通話を行うことができる。
【0003】
また、このようなナースコールシステムでは、ナースコール子機とナースコール親機との間に、廊下灯を設置することが一般的である。廊下灯は、病室などの部屋の出入口近傍の廊下側の壁面に取り付けられている。また、廊下灯は、取り付けられている病室の番号やその病室に入院している患者の氏名などの患者情報を表示している。また、廊下灯は、ナースコール親機と連動しており、患者がナースコール子機の呼出操作部を操作して呼び出しを行うと、ナースコール子機は、ナースコール親機および廊下灯に呼び出しを通知する。このとき、廊下灯は廊下灯に設けたランプなどを点灯/点滅させることにより廊下灯が設置されている病室で呼び出しが行われていることを知らせる。これにより、廊下に居る医療従事者などは、呼び出しを行った患者が居る病室を特定することができる。
【0004】
また、上述した構成に加えて、医療従事者が携行する携帯端末(例えば、PHS(Personal
Handy phone System)端末など)とPBX(Private Branch Exchange:電話交換機)とを備えたナースコールシステムも提供されている。そして、ナースコール子機により呼び出しが行われた場合に、携帯端末は鳴動したり振動したりして報知を行う。医療従事者は、携帯端末を操作して応答を行うとともに、患者と通話を行うことができる。
【0005】
ところで、ナースコール子機からの呼び出しに対して、ナースコール親機のハンドセットや携帯端末にて応答を行うと、ナースコール親機や携帯端末による報知が停止し、廊下灯のランプが消灯して、呼び出しに対する対応が完了した状態(いわゆる復旧状態)となるナースコールシステムが存在している。しかしながら、このようなナースコールシステムでは、ナースコール子機からの呼び出しに対して、医療従事者がナースコール親機のハンドセットや携帯端末で応答するだけで報知が停止するため、医療従事者が患者の居る病室に赴いて看護を行う必要があるにも関わらず、医療従事者が患者の居る病室へ行くことを忘れるケースが生じてしまうという問題があった。
【0006】
このような問題を解決するために、廊下灯に復旧ボタンを設け、復旧ボタンの操作によってシステムを復旧状態にするナースコールシステムが知られている(例えば、特許文献1など)。また、ナースコール子機に復旧操作部を設け、復旧操作部の操作によってシステムを復旧状態にするナースコールシステムも知られている(例えば、特許文献2など)。ここで、復旧ボタンと復旧操作部は同様の機能を持ち、以降、これらをまとめて復旧操作部と記載する。
【0007】
特許文献1、2に記載のナースコールシステムでは、医療従事者がナースコール親機のハンドセットや携帯端末で応答を行うと、ナースコール親機や携帯端末による報知が停止するものの、ナースコールシステムは復旧状態とはならず、廊下灯が点灯/点滅したままとなる。また、ナースコールシステムが復旧状態となっていない場合には、同じナースコール子機の呼出操作部の操作が無効となることがある。
【0008】
ナースコールシステムを復旧状態とするためには、廊下灯やナースコール子機の近傍に設けた復旧操作部を操作する必要がある。そのため、ナースコール親機のハンドセットや携帯端末で応答した医療従事者は、復旧操作部の操作をする目的と呼び出しを行った患者の看護を行う目的との両方を満たすために、患者の居る病室へ赴くことになる。従って、呼び出しに応答した医療従事者が患者の病室へ行くことを忘れるケースが少なくなる。
【0009】
ところで、呼出操作部を備えたナースコール子機以外にも、患者の所定の状態を検出するセンサーを用いたナースコール子機も存在する。このようなセンサーとしては、例えば、ベッド近傍の床面に置かれるマットセンサーなどが知られている。このようなマットセンサーに患者が乗ると、マットセンサーは呼出信号を出力する。ここで、センサーの中には、患者の所定の状態を検出している状態で、連続接点による呼出信号を出力し続けるものも存在している。
【0010】
一方、ナースコール子機に設けた呼出操作部を操作した場合には、ワンショットの呼出信号が出力される。そのため、ナースコール子機に設けた呼出操作部を操作した場合には、ナースコール親機や携帯端末で応答が行われて、呼出操作部の操作を再び有効としても、患者が呼出操作部を再び操作しない限り、ナースコール親機や携帯端末では報知は行われない。
【0011】
しかしながら、連続接点による呼出信号を出力するセンサーを使用した場合には、連続接点による呼出信号が出力されるため、ナースコール親機や携帯端末で応答が行われた時点で、センサーが患者の所定の状態を検出し続けていると、ナースコール親機や携帯端末で再び報知が行われてしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2003−37679号公報
【特許文献2】特開2009−77387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上述したような問題を解決するために成されたものであり、呼出操作部を操作することでワンショットの呼出信号を出力するナースコール子機と、患者の所定の状態を検出することで連続接点による呼出信号を出力するナースコール子機とを明確に区別し、これらの呼び出しに対して医療従事者が応答した後に不要な報知が行われないようにすることができるとともに、何れの場合も、医療従事者が患者の病室へ行くことをできるだけ忘れずに実行できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決するために、本発明では、ナースコール子機から出力される呼出信号がワンショットの呼出信号である場合には、ナースコール親機の応答操作部の操作により再び呼出信号を出力することができる状態にナースコール子機を復旧し、ナースコール子機から出力される呼出信号が連続接点による呼出信号である場合には、ナースコール子機の近傍に設置した復旧操作装置の操作により再び呼出信号を出力することができる状態にナースコール子機を復旧するようにしている。
【発明の効果】
【0015】
上記のように構成した本発明によれば、ナースコール子機が出力した呼出信号がワンショットである場合には、ナースコール親機の応答操作部の操作によりナースコール子機を復旧し、ナースコール子機が出力した呼出信号が連続接点によるものである場合には、ナースコール子機の近傍に設置した復旧操作装置の操作によりナースコール子機を復旧している。これにより、呼出操作装置を操作することでワンショットの呼出信号を出力するナースコール子機と、患者の所定の状態を検出することで連続接点による呼出信号を出力するナースコール子機とを明確に区別し、これらの呼び出しに対して医療従事者が応答した後に不要な報知が行われないようにすることができる。
【0016】
また、呼出操作部の操作による呼び出しは、ナースコール親機の応答操作部の操作による応答でナースコール子機が復旧するので、医療従事者が患者の病室へ来ない場合には、患者が再び呼出操作装置を操作することが可能となる。一方、患者の所定の状態を検出することで連続接点による呼出信号を出力する呼び出しは、ナースコール子機の近傍に設置した復旧操作装置を操作するまでナースコール子機が復旧しないので、医療従事者が患者の病室へ来る可能性が高くなる。そのため、何れの場合も、医療従事者が患者の病室へ行くことをできるだけ忘れずに実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態によるナースコールシステムの構成例を示すブロック図である。である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態によるナースコールシステムの構成例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態によるナースコールシステムは、患者の居る病室のベッド近傍に設置され、患者が呼び出しの操作を行うための呼出操作装置10および患者の所定の状態を検出するセンサー20の少なくとも何れか一方を接続して構成されるナースコール子機1と、ナースコール子機1の近傍に設置された復旧操作装置30と、医療従事者が常駐するスタッフルーム(例えば、ナースステーションなど)に設置され、呼び出しを報知するためのナースコール親機40とを備える。
【0019】
ここで、ナースコール子機1は、子機制御部2、タイマー3、判定部4、子機インターフェース5を備えて構成されている。呼出操作装置10は、ボタンなどの操作部を備えた装置であり、子機インターフェース5に接続されている。また、上述したボタンは患者によって操作される。センサー20は、マットセンサーなどにより構成されており、患者の所定の状態(ここでは、患者が乗った状態)を検出する。また、センサー20も子機インターフェース5に接続されている。
【0020】
なお、センサー20としては、上述したマットセンサーだけではなく、超音波センサーや赤外線センサーなどのセンサーが用いられる。これらのセンサーとしては、患者の所定の状態を検出した場合に、ワンショットの呼出信号を出力するものと、連続接点による呼出信号を出力するものとが存在している。
【0021】
復旧操作装置30は、ナースコール子機1の子機インターフェース5に接続されており、復旧操作装置30とナースコール子機1とを電気的に接続する。また、復旧操作装置30は、ナースコール子機1の呼出操作装置10が操作されたり、センサー20が患者の所定の状態を検出したりして、後述するナースコール親機40にて報知が行われた際に、報知を停止するために操作される。
【0022】
また、復旧操作装置30は、ナースコール子機1の呼出操作装置10が操作されたり、センサー20が患者の所定の状態を検出したりして、ナースコール子機1から呼出信号が出力された後に、ナースコール子機1から呼出信号が再び出力されなくなった状態を復旧するために操作される。このとき、復旧操作装置30は復旧信号を出力する。ここで、この復旧信号には、復旧操作装置30が設置されている病室にあるナースコール子機1を識別するための子機識別情報が付加されている。
【0023】
ナースコール親機40は、制御部41、インターフェース42、報知部43、応答操作部44を備えて構成されている。また、ナースコール子機1とナースコール親機40との間には図示しない廊下灯が設置されている。ここで、廊下灯は、病室などの部屋の出入口近傍の廊下側の壁面に取り付けられている。また、廊下灯は、取り付けられている病室の番号やその病室に入院している患者の氏名などの患者情報を表示している。また、廊下灯は、ナースコール子機1およびナースコール親機40と連動しており、患者がナースコール子機1の呼出操作装置10を操作したり、センサー20が患者の所定の状態を検出したりした場合に、廊下灯は内蔵したランプなどを点灯/点滅させることにより廊下灯が設置されている病室で呼び出しが行われていることを知らせる。これにより、廊下に居る医療従事者などは、呼び出しを行った患者や医療従事者が居る病室を特定することができる。
【0024】
このとき、ナースコール子機1の呼出操作装置10が操作された場合とセンサー20が患者の所定の状態を検出した場合とを区別するために、廊下灯は両者の操作によるランプの点灯/点滅パターンを異ならせることが好ましい。また、本実施形態の復旧操作装置30は、廊下灯に設けられている。
【0025】
まず、ナースコール子機1の構成要素について説明する。子機制御部2は、ナースコール子機1の各構成要素を後述するように制御するためのものであり、CPU(Central Processing Unit)などにより構成されている。タイマー3は、時間の計測を行うためのものである。判定部4は、子機制御部1と同様にCPUなどにより構成されており、タイマー3が所定時間を計測する間に、後述する呼出操作装置10またはセンサー20が出力する呼出信号がワンショットの呼出信号であるか連続接点による呼出信号であるかを判定する。
【0026】
子機インターフェース5は、ナースコール子機1と復旧操作装置30(すなわち、廊下灯)とを電気的に接続して通信を行うとともに、ナースコール子機1とナースコール親機40とを電気的に接続して通信を行う。また、子機インターフェース5は、呼出操作装置10およびセンサー20の少なくとも一方を接続する。例えば、患者が自分の意志で医療従事者を呼び出すことができれば良いナースコール子機1であれば、子機インターフェース5には呼出操作装置10のみが接続される。また、患者が自分の意志で医療従事者を呼び出すことができず、患者の所定の状態を検出することで医療従事者を呼び出すことができれば良いナースコール子機1であれば、子機インターフェース5にはセンサー20のみが接続される。また、両者が必要であれば、子機インターフェース5には呼出操作装置10およびセンサー20が接続される。
【0027】
このように構成されたナースコール子機1において、呼出操作装置10が操作されると呼出操作装置10は呼出信号を子機インターフェース5へ出力する。また、センサー20が患者の所定の状態を検出するとセンサー20は呼出信号を子機インターフェース5へ出力する。子機インターフェース5が呼出信号を入力すると、子機制御部2はタイマー3を動作させる。そして、判定部4は、タイマー3が計測した時間が所定時間となるまでに子機インターフェース5が入力した呼出信号がワンショットによる呼出信号であるのか連続接点による呼出信号であるのかを判定する。ここで、判定部4が判定するために所定時間の経過を計測するのは、入力した呼出信号が連続接点による呼出信号である場合に、そのことを判定するためには、ある程度の時間が必要だからである。また、所定時間は数秒程度であることが好ましい。
【0028】
子機インターフェース5が入力した呼出信号がワンショットの呼出信号であると判定部4にて判定した場合には、子機制御部2は、呼出信号がワンショットの呼出信号であることを示す情報を呼出信号に付加して子機インターフェース5により呼出信号を外部へ出力させる。ここで、外部とは、ナースコール親機40および廊下灯である。また、子機制御部2は、このナースコール子機1を他のナースコール子機1と識別するための子機識別情報も呼出信号に付加する。なお、子機識別情報としては、ベッド番号などが用いられる。
【0029】
一方、子機インターフェース5が入力した呼出信号が連続接点による呼出信号であると判定部4にて判定した場合には、子機制御部2は、呼出信号が連続接点による呼出信号であることを示す情報を呼出信号に付加して子機インターフェース5により呼出信号を外部へ出力させる。ここで、子機制御部2は、このナースコール子機1を他のナースコール子機1と識別するための子機識別情報も呼出信号に付加する。
【0030】
また、子機インターフェース5により呼出信号が外部へ出力された場合には、その呼出信号が何れの呼出信号であっても(換言すると、呼出信号がワンショットであるか連続接点であるかに関わらず)、子機制御部2は、復旧操作装置30またはナースコール親機40から復旧信号を入力するまで、呼出操作装置10またはセンサー20が呼出信号を子機インターフェース5に出力しても、その呼出信号を外部へ出力しないようにする。
【0031】
次に、ナースコール親機40の構成要素について説明する。制御部41は、ナースコール親機40の各構成要素を後述するように制御するためのものであり、CPUなどにより構成されている。インターフェース42は、ナースコール親機40とナースコール子機1とを電気的に接続する。インターフェース42は、ナースコール子機1から出力された呼出信号を入力するとともに、復旧操作装置30から出力された復旧信号を入力する。また、インターフェース42は、ナースコール子機1へ復旧信号を出力する。
【0032】
報知部43は、スピーカーなどの音声出力装置やディスプレイなどの表示装置、ランプなどの点灯装置の少なくとも一つの装置により構成されている。また、報知部43は、患者が医療従事者を呼び出していることや、患者が所定の状態であることを報知する。ここで、患者が医療従事者を呼び出したことを報知する場合と、患者が所定の状態であることを報知する場合とで、報知部43の動作パターンを異ならせることが好ましい。
【0033】
インターフェース42がナースコール子機1から呼出信号を入力した場合に、制御部41は、報知部43を動作させる。このとき、制御部41は、入力した呼出信号に含まれる子機識別情報に基づいて、呼び出しが行われたナースコール子機1を特定することができるように、スピーカーから報知音を出力させたり、ディスプレイに呼び出しが行われていること、および、呼び出しを行った患者氏名を表示させたり、ランプを点滅させたりする。
【0034】
応答操作部44は、報知部43による報知に対して応答するために操作されるものであり、例えば、ハンドセットなどにより構成されている。ここで、報知部43により報知が行われている状態で応答操作部44が操作されると、制御部41は報知部43の動作を停止させる。
【0035】
また、インターフェース42がナースコール子機1から呼出信号を入力した場合に、制御部41は、呼出信号に含まれる情報により、その呼出信号がワンショットによるものか、連続接点によるものかを判定する。そして、呼出信号にワンショットの呼出信号であることを示す情報が含まれていると制御部41にて判定した場合には、制御部41は、応答操作部44が操作されたときに復旧信号を生成してインターフェース42によりナースコール子機1へ出力する。ここで、制御部41は、呼出信号に含まれる子機識別情報と同じ子機識別情報を復旧信号に付加する。
【0036】
一方、呼出信号に連続接点による呼出信号であることを示す情報が含まれていると制御部41にて判定した場合には、制御部41は、応答操作部44が操作されても復旧信号を生成しない。
【0037】
また、報知部43により報知が行われている状態で報知部43を動作させた呼出信号に含まれる子機識別情報と同じ子機識別情報を含む復旧信号を、インターフェース42が復旧操作装置30から入力した場合に、制御部41は報知部43の動作を停止する。
【0038】
ナースコール子機1の子機インターフェース5が復旧信号を入力すると、子機制御部2は、復旧信号に含まれる子機識別情報と子機制御部2により生成される呼出信号に含まれる子機識別情報とを比較する。そして、両者が一致したと子機制御部2にて判定した場合に、子機制御部2は、呼出操作装置10またはセンサー20が呼出信号を子機インターフェース5に出力すると、その呼出信号を再び外部へ出力するようになる。
【0039】
以上詳しく説明したように、本実施形態によれば、ナースコール子機1から出力される呼出信号がワンショットの呼出信号であると判定部4にて判定した場合には、ナースコール子機1は、ナースコール親機40の応答操作部44の操作により復旧信号を入力し、再び呼出信号を出力することができる状態に復旧される。また、ナースコール子機1から出力される呼出信号が連続接点による呼出信号であると判定部4にて判定した場合には、ナースコール子機1の近傍に設置した復旧操作装置30の操作によってのみ復旧信号を入力し、再び呼出信号を出力することができる状態に復旧される。
【0040】
これにより、呼出操作装置10を操作することでワンショットの呼出信号を出力するナースコール子機1と、患者の所定の状態を検出することで連続接点による呼出信号を出力するナースコール子機1とを明確に区別することができ、連続接点による呼出信号に対しては、ナースコール親機40の応答操作部44で応答してもナースコール子機1が復旧状態とならないため、センサー20により患者の所定の状態が継続して検出されていたとしても、これらの呼び出しに対して医療従事者が応答した後に不要な報知が行われないようにすることができる。
【0041】
また、呼出操作装置10の操作による呼び出しは、ナースコール親機40の応答操作部44の操作による応答でナースコール子機1が復旧状態となるので、医療従事者が患者の病室へ来ない場合には、患者が再び呼出操作装置10を操作することが可能となる。一方、センサー20が患者の所定の状態を検出することで連続接点による呼出信号を出力する呼び出しは、ナースコール子機1の近傍に設置した復旧操作装置30を操作するまでナースコール子機1が復旧状態とならないため、医療従事者が患者の病室へ来る可能性が高くなる。そのため、何れの場合も、医療従事者が患者の病室へ行くことをできるだけ忘れずに実行することができる。
【0042】
なお、前述した実施形態では、タイマー3および判定部4をナースコール子機1に設けるようにしているが、これに限定されない。例えば、タイマー3および判定部4をナースコール親機40に設けるようにしても良いし、図示しない廊下灯に設けるようにしても良い。
【0043】
また、前述した実施形態では、制御部41は、インターフェース42が入力した呼出信号にその呼出信号がワンショットの呼出信号であることを示す情報が付加されているか、連続接点による呼出信号であることを示す情報が付加されているかを判定しているが、これに限定されない。例えば、制御部41が呼出信号にその呼出信号がワンショットの呼出信号であることを示す情報が付加されているか否かを判定するようにしても良い。
【0044】
また、前述した実施形態では、ナースコール親機10は、スタッフルームに設置された固定式のものであるが、これに限定されない。例えば、ナースコール親機10を医療従事者によって携行される携帯端末により構成するようにしても良い。
【0045】
その他、上記実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 ナースコール子機
2 子機制御部
3 タイマー
4 判定部
5 子機インターフェース
10 呼出操作装置
20 センサー
30 復旧操作装置
40 ナースコール親機
41 制御部
42 インターフェース
43 報知部
44 応答操作部
図1