(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記マークは前記被印刷媒体の搬送方向と直交する幅方向における前記被印刷媒体の端部であって、前記最終頁の印刷領域と前記再開開始頁の印刷領域のそれぞれの印刷領域外に印刷されることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るラベルプリンタ1に使用されるプリンタ本体10の内部構成を説明する断面図である。
【0011】
図1に示すプリンタ本体10は、電子写真式で二次転写方式のタンデム型のカラー画像形成装置であり、DSS部(ドラム/現像装置)12、転写ベルト装置30、トナーカートリッジ40、電装部45、給紙部50、及び定着装置60で構成されている。
【0012】
また、プリンタ本体10は、ファーストプリント時間を最小とする為、背面転写方式で構成されている。転写ベルト装置30を挟んで上部にトナーカートリッジ40が配置され、転写ベルト装置30を挟んだ略直下に感光体及び現像システムを構成するDSS部(ドラム/現像装置)12が配置されている。転写ベルト装置30は、中間転写ベルト31と、駆動ローラ32と、従動ローラ33と、を含む。
【0013】
上記DSS部(ドラム/現像装置)12は、転写ベルト装置30の中間転写ベルト31の下部走行面31aに接して同図の右から左へ4個の現像装置13(13k、13c、13m、13y)を多段式に並設して構成される。
【0014】
上記4個の現像装置13(13k、13c、13m、13y)のうち上流側(図の左側)の3個の現像装置13c、13m及び13yは、それぞれ減法混色の三原色であるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色トナーによるモノカラー画像を形成し、現像装置13kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。
【0015】
上記の各現像装置13(13k、13c、13m、13y)は、画像を現像するトナーの色を除き全て同じ構成である。したがって、最も上流側に位置するイエロー(Y)のトナー用の現像装置13yを例にしてその構成を説明する。
【0016】
現像装置13(13k、13c、13m、13y)は、最上部に感光体ドラム14を備えている。この感光体ドラム14は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成されている。この感光体ドラム14の周面に接して又は近傍を取り巻いて、クリーナ15、帯電ローラ16、光書込ヘッド17、及び現像器18の現像ローラ19が配置されている。
【0017】
この現像器18には、4個のトナーカートリッジ40から、同図にK、C、M、Yで示すブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のいずれかのトナーが供給される。
【0018】
転写ベルト装置30は、プリンタ本体10のほぼ中央で図の左右方向に扁平なループ状になって延在する無端状の上述した中間転写ベルト31と、この中間転写ベルト31を掛け渡されて中間転写ベルト31を図の矢印aで示す反時計回り方向に循環移動させる駆動ローラ32と従動ローラ33を備えている。
【0019】
転写ベルト装置30は、更に、駆動ローラ32の上方で中間転写ベルト31を掛け渡されている二次転写バックアップローラ34を備えている。二次転写バックアップローラ34には、中間転写ベルト31を介して二次転写ローラ35が圧接して、二次転写部36を形成している。
【0020】
上記の中間転写ベルト31には、一次転写ローラ(不図示)がユニットと一体に組み込まれている。一次転写ローラ(不図示)は、下方を循環移動するベルト表面にトナー像を直接転写(一次転写)する。中間転写ベルト31は、そのトナー像を更に用紙等の被印刷媒体に転写(二次転写)すべく、二次転写ローラ35が中間転写ベルト31を介して二次転写バックアップローラ34に圧接する二次転写部36まで搬送する。
【0021】
中間転写ベルト31には、従動ローラ33に掛け渡されている表面に当接してベルトクリーナ37が配置されている。ベルトクリーナ37の下方には、ベルトクリーナ37が中間転写ベルト31から除去した廃トナーを収容する廃トナー回収容器38が配置されている。
【0022】
トナーカートリッジ40は、中間転写ベルト31の上部走行面の上方に配置されている4個で構成される。4個のトナーカートリッジには、それぞれブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の補給用トナーが収容されている。
【0023】
トナーカートリッジ40とDSS部(ドラム/現像装置)12間にはトナー縦搬送経路42が各々配置され、トナーカートリッジ40から定量のトナーがDSS部(ドラム/現像装置)12内に設けられたトナー濃度検出装置からの補給信号により制御され搬送される。
【0024】
このトナーカートリッジ40の左方には、ベルトクリーナ37の左方から従動ローラ33の上方にかけて2つの電装部45が配設されている。電装部45には、複数の電子部品からなる制御装置が搭載された回路基盤が装着されている。
【0025】
給紙部50は、給紙カセットを備えている。給紙カセットの給紙口(図の右方)近傍には、給送ローラ54、被印刷媒体を上流側から下流側へ搬送する搬送ローラ56等の搬送部58が配置されている。被印刷媒体200の搬送される搬送経路74を破線で示す。
【0026】
搬送ローラ56の被印刷媒体搬送方向(図の鉛直上方向)には、前述した二次転写部36が形成されている。この二次転写部36の下流(図では上方)側には定着装置60が配置されている。二次転写部36まで鉛直方向に搬送される被印刷媒体200に中間転写ベルト31を介してトナー像が転写され、更に鉛直方向に被印刷媒体200を定着装置60に搬送される。定着装置60は、ベルト式熱定着装置で、トナー像を定着させる。
【0027】
定着装置60の更に下流側には、定着後の被印刷媒体200を定着装置60から搬出された被印刷媒体200を装置上面に載置する排紙トレー70が形成されている。
【0028】
プリンタ本体10の右側面には、両面印刷用搬送ユニットが設けられる。この両面印刷用搬送ユニットは、排紙トレー70の直前から図の右横方向に分岐して最終的に返送される被印刷媒体200を反転させる返送路76を備えている。返送路76を1点鎖線で示す。
【0029】
図2は、プリンタ本体10を搭載したラベルプリンタ(ラベル印刷装置あるいは印刷装置とも呼ぶ)1の主たる構成を説明する断面図である。ラベルプリンタ1は、実装ボックス80、台座ユニット82及びロール状の被印刷媒体200を連続的に巻き取る巻取装置であるリワインダー86を有する。台座ユニット82は、ラベルプリンタ1全体を支持する基台である。
【0030】
台座ユニット82の内部には、巻出装置であるアンワインダー84、被印刷媒体200を上部の実装ボックス80を介してプリンタ本体10に搬送するロール紙搬送部90の一部と、センサ88が備えられる。
【0031】
アンワインダー84は、ロール状に巻かれたラベル印刷用の被印刷媒体200が装着され、装着されたロール紙を連続的にプリンタ本体10に供給する。アンワインダー84には、モータ等の駆動系が備えられる。このロール状に巻かれた被印刷媒体200を、ロール紙または連続的な用紙とも称す。
【0032】
アンワインダー84から供給された被印刷媒体200は、ロール紙搬送部90によってp方向(本図で上方向)に搬送される。台座ユニット82には、アンワインダー84用モータ、その伝達系及びアンワインダー84を駆動制御する、
図3に示すアンワインダー駆動部84aが備わっている。
【0033】
センサ88は、プリンタ本体10が運転中に一時停止した場合に、バックフィードされた被印刷媒体200の停止位置を決めるために、被印刷媒体200に印刷されたマークMを検出するものである。センサ88は、反射検出用の光センサで、被印刷媒体200の印刷面側に配置される。センサ88の詳細は、後述する。
【0034】
実装ボックス80は、台座ユニット82と、プリンタ本体10と、の間に配置される。実装ボックス80には、ロール紙搬送部90の一部として、アンワインダー84から供給された被印刷媒体200をプリンタ本体10に搬送するローラが設けられる。また、実装ボックス80には、被印刷媒体200をカットするための自動カッターも備えられる。
【0035】
実装ボックス80から供給される被印刷媒体200は、プリンタ本体10に導かれ、二次転写部36でトナー像が転写され、定着装置60にて、転写されたトナー像が定着される。印刷された被印刷媒体200は、プリンタ本体10の上部のロール紙排出部92に排出されてから、リワインダー86のある左方向に搬送される。
【0036】
実装ボックス80の左横に、リワインダー86が外部に露出して取付けられる。リワインダー86は、プリンタ本体10と同等な高さ位置に取付けられる。リワインダー86は、プリンタ本体10で印刷が終了したロール状の被印刷媒体200を連続的に巻き取るためのもので、モータ等の駆動系が備わっている。
【0037】
実装ボックス80には、リワインダー86を駆動制御し、かつ
図3に示すリワインダー駆動部86a、及びロール紙搬送部90を駆動制御する、
図3に示すロール紙搬送駆動部90aが備えられる。ロール紙排出部92から排出された印刷済の被印刷媒体200は、複数の中継ローラを経て、リワインダー86に巻き取られる。
【0038】
図3は、プリンタ本体10を中心とするラベルプリンタ1のブロック図である。
図3に示すようにプリンタ本体10は、CPU(central processing unit)100を中心にして、このCPU100に、それぞれデータバスを介してインターフェイスコントローラ(I/F_CONT)102及びプリンタコントローラ(PR_CONT)104が接続されている。このPR_CONT104にはプリンタ印字部106が接続されている。これらの電気部は、電装部45に含まれる。
【0039】
CPU100には、ROM(read only memory)108、EEPROM(electrically erasable programmable ROM)110、本体操作部の操作パネル112、及び各部に配置されたセンサからの出力が入力されるセンサ部114が接続されている。ROM108には、システムプログラムが記憶され、CPU100は、このシステムプログラムに従って各部を制御して処理を行い、CPU100は、制御部として機能する。また、システムプログラムには、
図4で説明するラベルプリンタ用の制御プログラムが含まれる。
【0040】
すなわち、各部において、先ず、I/F_CONT102は、例えばパーソナルコンピュータ等のホスト機器から供給される印字データをビットマップデータに変換し、フレームメモリ116に展開する。フレームメモリ116は、ブラック(K)、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)ごとに記憶エリアが設定されており、各色のデータが対応するエリアに展開される。
【0041】
フレームメモリ116に展開されたデータはPR_CONT104に出力され、PR_CONT104からプリンタ印字部106に出力される。
【0042】
プリンタ印字部106は、エンジン部であり、PR_CONT104からの制御の下で、
図1に示した転写ベルト装置30の上下移動や回転駆動などを行うベルト駆動部118への駆動出力を制御する。
【0043】
更にプリンタ印字部106は、搬送ローラ56、感光体ドラム14、定着装置60の加熱ローラ等の回転駆動される各部からなる搬送機構を駆動する搬送機構駆動部120への駆動出力を制御する。
【0044】
更にプリンタ印字部106は、帯電ローラ16、光書込ヘッド17、一次転写ローラ等の被駆動部を有する画像形成部のプロセス負荷、二次転写ローラ35を含む回転駆動系等への電圧印加を行う印加電圧出力部122の出力を制御する。
【0045】
さらに、プリンタ本体10には、CPU100と外部機器とを接続するためのIF部130が設けられる。CPU100は、IF部130を介して、ラベルプリンタ1専用の各電気部と接続される。CPU100には、ラベルプリンタ1のアンワインダー84を駆動制御するアンワインダー駆動部84a、リワインダーを駆動制御するリワインダー駆動部86a、ロール紙搬送部90を駆動制御するロール紙搬送駆動部90a及びセンサ88が接続される。
【0046】
CPU100は、プリンタ本体10に実装ボックス80や台座ユニット82が接続されて、ラベルプリンタ1が構築された場合には、システムプログラムの中のラベルプリンタ用の制御プログラムに従って、ラベルプリンタ1の制御部として機能する。
【0047】
図2に示すように、ラベルプリンタ1では、ロール状の被印刷媒体200はアンワインダー84に装着され、被印刷媒体200の先端はロール紙搬送部90に手動または自動でスタート位置で待機される。
【0048】
また、被印刷媒体200の先端はプリンタ本体10エンジンの待機位置で停止され、プリンタ本体10の画像形成に合わせ二次転写位置にて印字位置が合致するべく制御され、印刷が開始される。プリンタ本体10から排出された被印刷媒体200はプリンタ本体10の天面のロール紙排出部92を経て、リワインダー86に巻き取られる。
【0049】
このように被印刷媒体200の先端から印刷を開始する場合は、容易に印字位置をあわせることが出来る。但し、プリンタの画像形成に於いてプロセス速度はエンジン速度を変化させてはならないため、各々駆動源を有するアンワインダー84及びリワインダー86には弛みを形成でき、その弛みを検出する弛みセンサ(不図示)が設けられ、プリンタエンジン速度に影響が出ないように制御されている。少量単位でラベルを印刷し都度カットする場合は、自動カッターでカットされ、次のジョブに対しての位置制御(先端合わせも)もここで行われる。
【0050】
ラベルプリンタ1において、ロール状の被印刷媒体へのラベルの連続印刷中には、印刷の一時停止はない方が望ましい。しかし、トナーが無くなってきたり、あるいは定着装置での温度上昇等その他の事情により、一時的に停止することが必要になる場合がある。
【0051】
従来のラベルプリンタ1で、一旦停止して印刷を再開すると、ロール紙の途中にムダが発生したり、印刷後に空白部分をカットする等の処理をしなければならない。また、空白に相当する長さ分だけ被印刷媒体を戻してから、印刷を再開することも可能であるが、正確な位置に戻すことが容易ではなく、停止前の最終頁の画像と再開後の最初の画像の間隔が、規定よりずれてしまう可能性が高かった。
【0052】
図4から
図6を参照して、ラベルプリンタ1で一時停止して印刷を再開しても、一定のピッチでラベル印刷を行うことのできる方式について説明する。
【0053】
図4は、ラベルプリンタ1でロール状の被印刷媒体に連続印刷を行っている際に、一時停止指示があってから印刷を再開するまでの処理手順を説明するフローチャートである。
図5は、一時停止から再開までに行われる被印刷媒体200に対する戻し操作を説明する図である。
図6は、一時停止時に被印刷媒体200に印刷される画像パターンを模式的に示す図である。
【0054】
図4のフローチャートの順番に従って、
図5、
図6を参照しながら、以下説明する。なお、
図4で示す一連の処理は、主にプログラムに従ったCPU100によって実行される処理である。この処理において、CPU100は、連続する被印刷媒体への画像の連続印刷を制御する印刷制御部を構成する。
【0055】
まず、連続印刷中に、一時停止指示ありか否かを判断する(ステップS10)。一時停止を指示する例としては、
・トナー残量不足(トナー残量が閾値以下)
・定着部端部温度上昇時等のクールダウン動作
・色の重ね合わせ(レジストレーション)調整動作
・ベルトクリーニング維持等の為のトナー吐き出し動作
・その他突然停止以外の必要停止動作
等がある。さらに、操作者の判断による一時停止操作もある。
【0056】
一時停止指示がないと判断すると(ステップS10NO)、ステップS10をループする。一時停止指示があったと判断すると(ステップS10YES)、印刷一時停止を開始する(ステップS12)。停止前最終頁の画像形成を行う(ステップS14)。
【0057】
なお、最終頁の画像を最終画像Nとも呼ぶ。最終頁と次頁間にマークMを印刷する(ステップS16)。次頁とは、印刷再開後に最初に印刷される画像をさす。マークMの形状等は
図6で後述するが、最終画像Nの後端に印刷される短い横線である。
【0058】
しかし、マークMの形状としては、短い横線に限らず、一般に印刷で使用されないような特殊で複雑な図柄の画像でも良い。そのようにすることで、万が一、最終画像NにマークMと同一形状の画像があり、且つ、長尺状の被印刷媒体200の幅方向において、マークM位置と同一の位置にあった場合、センサ88が、最終画像NにあるマークMと同一形状の画像を、誤ってマークMであると認識してしまうことを防ぐことができる。
【0059】
また、マークMの形状として、複数の画像を予めメモリに記憶させておいてもよい。そのようにすることで、万が一、通常デフォルトで印刷するはずのマークMと同一の画像が、最終画像Nに含まれていた場合、急遽用のマークMとして、デフォルトの画像と異なる画像を印刷することができる。
【0060】
更には、最終画像Nの印刷幅より外側に位置する最終画像Nの印刷領域外を含む領域にマークMを印刷することで、万が一、最終画像NにマークMと同一形状の画像があったとしても、長尺状の被印刷媒体200の幅方向において、マークM位置と異なる位置にあるので、センサ88が、最終画像NにあるマークMと同一形状の画像を、誤ってマークMであると認識してしまうことはない。
【0061】
以上のようにすることで、センサ88によるマークMの検出を正確に行うことができ、従って、再印刷のタイミングを正確に制御することができる。
【0062】
なお、できればマークMは、長尺状の被印刷媒体200の幅方向において中央付近にあることが望ましい。そのようすることで、長尺状の被印刷媒体200の幅方向の長さが被印刷媒体200によって変化した場合でも、中央付近を含む領域を検知できる幅方向の長さがあればよく、比較的短い小型のセンサ88を用いることができる。従って、幅方向全体を検知する必要がある大きなサイズのセンサ88を設ける必要がない。
【0063】
そして、マークM以降は印刷を行わないで(ステップS18)、マークMの位置が定着装置60を通過後に搬送を停止させる(ステップS20)。マークMを確実に印刷するためである。マークMの位置が確実に定着処理が通過したことを判断して、被印刷媒体200の搬送を停止する。例えば、二次転写ローラ35等の回転数で判断する。
【0064】
図5(A)は、ステップS20で搬送を停止した状態での、被印刷媒体200に対する定着装置60近傍のローラの状態を示す図である。
【0065】
定着装置60内部には、駆動ローラ61、定着熱ベルト62、定着ローラ63、バックアップローラ64、定着搬送ローラ66が備えられる。定着熱ベルト62は、被印刷媒体200の印刷面を加熱して転写されたトナー像を被印刷媒体200に定着させるものである。
【0066】
定着熱ベルト62は、駆動ローラ61と定着ローラ63に懸架され、駆動ローラ61の回転により定着熱ベルト62が駆動される。バックアップローラ64は、被印刷媒体200を定着熱ベルト62に押圧しながら搬送する。
【0067】
定着搬送ローラ66は、定着熱ベルト62でトナーが画像として定着された被印刷媒体200を定着装置60から排出する。
【0068】
ステップS20で搬送が停止された状態で、被印刷媒体200は、定着装置60内では、バックアップローラ64及び定着搬送ローラ66により圧着(挟持)された状態である。また、被印刷媒体200は、定着装置60外では、搬送ローラ56や、二次転写バックアップローラ34と二次転写ローラ35等によって圧着(挟持)された状態である。
【0069】
なお、この状態では、マークMは、定着熱ベルト62を少し通り過ぎた位置にあって、上述のようにマークMも画像として定着される。被印刷媒体200の実線で示す範囲は、定着処理が済んだ部分を示し、破線で示す範囲は定着処理が済んでいない範囲を示す(
図5(B)、(C)も同じ)。
【0070】
そして、この状態から、定着ニップ及び二次転写ニップ間を離間する(ステップS22)。
図5(B)に示すように、バックアップローラ64及び二次転写ローラ35を、それぞれ離間させる。
【0071】
離間後に、印刷再開工程を開始する(ステップS24)。バックフィードを開始する(ステップS26)。バックフィードとは、被印刷媒体200を、戻し方向つまり逆方向(q方向)に搬送させることをいう。バックフィードは、搬送ローラ56や定着搬送ローラ66を逆回転させることで行われる。
【0072】
バックフィードさせながら、センサ88がマークMを検出したか否かを判断する(ステップS28)。つまり、マークMがセンサ88を通過するまで、バックフィードさせる。センサ88がマークMを検出したと判断した後(ステップS28YES)、被印刷媒体200の搬送を停止させる(ステップS30)。停止した位置を戻し位置とも呼ぶ。
【0073】
図5(C)が、バックフィードされ、センサ88でマークMが検出されて、停止した被印刷媒体200の様子である。ここで、センサ88でマークMを検出してから、直ちに被印刷媒体200を停止させるのではなく、検出後所定時間経過後あるいは、所定長更に上流方向に戻した後に被印刷媒体200を停止させるようにする。この位置が戻し位置に相当する。マークMの位置を、センサ88で検出した位置よりさらに前の位置(上流側)まで戻しておくためである。
【0074】
図6は、
図5(C)でK部で示す被印刷媒体200の部分を拡大して示す図である。
図6(A)は、被印刷媒体200を印刷面から見た図で、
図6(B)は側面から見た図である。
【0075】
図6(A)のp方向(図で上方向)が、被印刷媒体200の搬送方向である。被印刷媒体200の上の斜線で示す3つの画像が、定着処理が完了した画像である。一時停止時の最終頁の画像が最終画像Nである。各画像は、
図6(A)に示すように、一定の間隔bで印刷される。
【0076】
最終画像Nの直下で、幅方向で中央に印刷された横線が、マークMである。マークMの色や大きさは、センサ88で検出可能なものであればよく、丸やドットでもよい。マークMの印刷位置は、最終画像Nの近傍にあればよく、幅方向の中央である必要はない。なお、ステップS18で説明したように、マークMの下以降は、白地部つまり未印刷部である。
【0077】
図6(B)に示すように、センサ88は被印刷媒体200の印刷面側に配置され、ステップS28で説明したように、マークMがセンサ88より上流方向になる位置で、被印刷媒体200は停止される。実線で示すマークMより上の部分が定着完了部で、破線で示すマークMより下の部分が白地部である。
【0078】
図4に戻る。停止後、定着部分が所定温度に達したら、定着ニップ及び二次転写ニップ間を再度圧着させる(ステップS32)。つまり、
図5(C)に示すように、バックアップローラ64及び二次転写ローラ35を、それぞれ再度圧着させる。定着部は冷却状態からスタートするため、停止後再開までの時間はある程度必要である。被印刷媒体200を挟んだ状態からでは昇温に問題が生じる。
【0079】
そして、再開指示があるか否かを判断する(ステップS34)。再開指示は例えば操作パネル112からの入力である。再開指示がない場合には(ステップS34NO)、ステップS34をループする。再開指示があったと判断すると(ステップS34YES)、印刷動作を再開する(ステップS36)。用紙等の被印刷媒体200の順方向への送りを開始する。
【0080】
順方向への送り開始後、センサ88がマークMを検出したか否かを判断する(ステップS38)。ステップS30での停止時には、マークMは、センサ88の位置よりもさらに上流方向の位置にあるからである(
図5(C)、
図6(B))。
【0081】
センサ88がマークMを検出していない場合には(ステップS38NO)、ステップS38をループする。センサ88がマークMを検出したと判断すると(ステップS38YES)、そのタイミングに合わせて画像形成を開始する(ステップS40)。現像装置13(13k、13c、13m、13y)による一次転写を開始する。マーク位置以降からの印刷を継続する(ステップS42)。
【0082】
図7は、転写ベルト装置30に対応するセンサ88の配置位置の関係を説明するための図である。最終画像Nに続いて再開後の画像を連続的に印刷するためのタイミングを設定するためには、センサ88は、中間転写ベルト31による搬送経路長に相当する長さよりも、上流方向に配置される必要があるからである。
【0083】
一次転写されるトナー像の最初の画像形成色の
露光位置
kから、一次転写の位置を経た二次転写部36による二次転写ニップ位置nまでの距離Xを求める。最初の画像形成色は、イエローの現像装置13yにより形成されるので、現像装置13yの感光体ドラム14が光書込ヘッド17に対向する位置が最初の
露光位置になる。この位置から、二次転写バックアップローラ34と二次転写ローラ35の二次転写ニップ位置nまでの距離が、Xとなる。
【0084】
次に、マークMを検出するセンサ88と前記二次転写ニップ位置nまでの被印刷媒体200の搬送経路距離をYとする。Yは、
図7に示す通り、センサ88の位置から、被印刷媒体200の搬送経路に従って、二次転写バックアップローラ34と二次転写ローラ35の二次転写ニップ位置nまでの距離となる。従って、センサ88は、Y≧Xを満足するような位置に配置する必要がある。
【0085】
これにより、最終画像Nに続いて、所定の間隔bを空けて再開後の最初の画像を印刷することができる。なお、最終画像Nを含む数枚分は、2回定着処理が行われることになるが、実用上の問題はない。
【0086】
以上説明したような実施形態により、少なくとも以下の効果が奏せられる。
1)連続印刷の途中で停止し、再開してもロール状の被印刷媒体200にラベル(画像)が連続的に印刷されるので、必要に応じて一時停止処理をすることができ、良好な印刷品質を保つことができる。
2)途中に一時停止による白紙部分を生じることがないので、ロール状の被印刷媒体200を無駄なく使用できる。また、後工程でのカット処理の必要もない。
3)事前にマークMが印刷された被印刷媒体200を用いるわけではなく、一般の被印刷媒体200が使用できるので、利用に汎用性がある。
4)センサを取り付けることだけで実現できるので、コストもかからない。
5)ラベル(画像)間のすきまにマークMを印刷するので、マークM印刷によって被印刷媒体200に無駄が生じることもない。
【0087】
また、上記印刷制御処理につき、プログラムに従ったCPU100によるソフトウェア処理で説明したが、これに限るものではなく、全部または一部をハードウェアによる処理に代えてもよい。
【0088】
本発明の実施形態を説明したが、本発明は特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下、本件特許出願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0089】
〔付記1〕
被印刷媒体を搬送路の上流側から下流側へ搬送する搬送部と、
前記搬送路に配置され、トナー像を前記被印刷媒体に定着させる定着部と、
前記搬送路における前記定着部より上流側に配置され、前記被印刷媒体に印刷されたマークを検出するセンサと、
前記被印刷媒体への印刷中に印刷停止の指示を受けると、前記被印刷媒体に前記マークを印刷した後、前記搬送部による前記被印刷媒体の前記上流側から前記下流側への搬送を停止させ、前記搬送部により前記被印刷媒体を前記下流側から前記上流側に搬送し、前記被印刷媒体に印刷された前記マークの位置が前記センサに対応する位置を通過したら前記被印刷媒体の搬送を停止させ、印刷再開指示を受けると、前記被印刷媒体を停止させた戻し位置から前記搬送部により、前記被印刷媒体を前記下流側に搬送し、前記センサによる前記マークの検出に基づき、印刷のタイミングを制御する制御部と、を有する
ことを特徴とする印刷装置。
【0090】
〔付記2〕
一次転写されたトナー像を搬送する転写ベルトと、
前記転写ベルトにより搬送されるトナー像を連続する前記被印刷媒体に転写する二次転写部と、
を有し、
前記被印刷媒体に前記マークの印刷した後とは、前記定着部による定着が完了した状態を示しており、
前記制御部が制御する前記印刷のタイミングは、前記二次転写部で前記被印刷媒体に転写するタイミングを合わせることを特徴とする付記1に記載の印刷装置。
【0091】
〔付記3〕
前記被印刷媒体を前記下流側から前記上流側に搬送する場合には、前記二次転写部の二次転写ローラを前記被印刷媒体から離間させることを特徴とする付記2に記載の印刷装置。
【0092】
〔付記4〕
前記被印刷媒体を前記戻し位置で停止させた後に、前記二次転写部の前記二次転写ローラを前記被印刷媒体に圧着させる
ことを特徴とする付記3に記載の印刷装置。
【0093】
〔付記5〕
前記被印刷媒体を前記センサによる検知後さらに所定量上流側に搬送した位置に停止させておき、
前記印刷再開時には、前記被印刷媒体を前記戻し位置から前記搬送部により前記下流側に搬送し、前記センサによる前記マークの位置の検出タイミングに基づき、画像形成を行うことを特徴とする付記1乃至4のいずれか1つに記載の印刷装置。
【0094】
〔付記6〕
前記一次転写されるトナー像の最初の画像形成色の帯電位置から前記一次転写の位置を経て前記二次転写部による二次転写位置までの距離をX ,前記マークを検出する前記センサと前記二次転写位置までの前記被印刷媒体の搬送経路距離をYとし、
Y≧X である
ことを特徴とする付記1乃至5のいずれか1つに記載の印刷装置。
【0095】
〔付記7〕
さらに、前記連続する被印刷媒体を前記二次転写部に供給するアンワインダーと、
前記印刷された前記連続する被印刷媒体を巻き取るリワインダーと、を備える
ことを特徴とする付記1乃至6のいずれか1つに記載の印刷装置。
【0096】
〔付記8〕
被印刷媒体を搬送路の上流側から下流側へ搬送する搬送部と、前記搬送路に配置され、トナー像を前記被印刷媒体に定着させる定着部と、前記搬送路における前記定着部より上流側に配置され、前記被印刷媒体に印刷されたマークを検出するセンサと、を有する印刷装置における印刷方法において、
前記被印刷媒体への印刷中に印刷停止の指示を受けると、前記被印刷媒体に前記マークを印刷した後、前記搬送部による前記被印刷媒体の前記上流側から前記下流側への搬送を停止させ、
前記搬送部により前記被印刷媒体を前記下流側から前記上流側に搬送し、前記被印刷媒体に印刷された前記マークの位置が前記センサに対応する位置を通過したら前記被印刷媒体の搬送を停止させ、
印刷再開指示を受けると、前記被印刷媒体を停止させた戻し位置から前記搬送部により、前記被印刷媒体を前記下流側に搬送し、前記センサによる前記マークの検出に基づき、印刷のタイミングを制御する
ことを特徴とする印刷方法。
【0097】
〔付記9〕
被印刷媒体を搬送路の上流側から下流側へ搬送する搬送部と、前記搬送路に配置され、トナー像を前記被印刷媒体に定着させる定着部と、前記搬送路における前記定着部より上流側に配置され、前記被印刷媒体に印刷されたマークを検出するセンサと、を有する印刷装置のコンピュータに印刷方法を実行させるプログラムにおいて、
前記被印刷媒体への印刷中に印刷停止の指示を受けると、前記被印刷媒体に前記マークを印刷した後、前記搬送部による前記被印刷媒体の前記上流側から前記下流側への搬送を停止させるステップと、
前記搬送部により前記被印刷媒体を前記下流側から前記上流側に搬送し、前記被印刷媒体に印刷された前記マークの位置が前記センサに対応する位置を通過したら前記被印刷媒体の搬送を停止させるステップと、
印刷再開指示を受けると、前記被印刷媒体を停止させた戻し位置から前記搬送部により、前記被印刷媒体を前記下流側に搬送し、前記センサによる前記マークの検出に基づき、印刷のタイミングを制御するステップとを 含む
ことを特徴とするプログラム。
【0098】
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではく、実施段階でのその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。