(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5971837
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】扉操作ハンドルのロック構造
(51)【国際特許分類】
E05B 13/00 20060101AFI20160804BHJP
【FI】
E05B13/00 A
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-272431(P2011-272431)
(22)【出願日】2011年12月13日
(65)【公開番号】特開2013-124455(P2013-124455A)
(43)【公開日】2013年6月24日
【審査請求日】2014年10月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 典夫
【審査官】
佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭61−46805(JP,U)
【文献】
特開平8−199868(JP,A)
【文献】
実開昭59−117208(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00− 85/28
H02B 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉の開閉を行うために扉前面で回動操作する操作ハンドルと、前記操作ハンドルの閉操作により扉の閉状態を保持するよう扉裏面に配置された係止片と、前記操作ハンドルと前記係止片とを連結する軸と、前記軸を扉に貫通配置して回動可能に保持する台座とを有し、閉操作した前記操作ハンドルを南京錠等の掛け金を有する施錠手段を使用してロックし、開操作を禁止する扉操作ハンドルのロック構造であって、
前記台座の前記操作ハンドル回動エリア内に、前記施錠手段を取り付ける取付片を形成すると共に、前記操作ハンドルに前記取付片を通過させる切り欠きを形成し、
前記施錠手段を装着しない状態では、閉位置にある前記操作ハンドルを前記取付片を通過させて開位置へ回動可能とし、前記施錠手段を前記取付片に装着した状態では、閉位置にある前記ハンドルの開位置への回動が禁止されることを特徴とする扉操作ハンドルのロック構造。
【請求項2】
前記取付片は前記台座から扉前方に突出して形成され、前記軸を中心とする円弧状に形成されて一様な厚みを有し、
前記切り欠きは、前記取付片の厚みより数ミリメートル大きな幅で形成されて成ることを特徴とする請求項1記載の扉操作ハンドルのロック構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施錠装置を組み込むことなくキャビネット等の扉を操作する操作ハンドルのロックを可能とする扉操作ハンドルのロック構造に関する。
【背景技術】
【0002】
キャビネットに収納された機器を無断で或いは不用意に触ることがないようにするためには、キャビネットの扉が施錠される。このような目的のために、シリンダ錠等の施錠機構を設けたキャビネットが広く使用されている。
一方で、狭いスペースに設置されるキャビネットは、キャビネット自体の大きさが制限されるため、比較的大きな設置スペースを必要とする施錠装置の組付けは、収納機器の設置スペースを奪っていたし、小さいキャビネットは安価であるにも拘わらず、施錠装置が高価なために小さなキャビネットであって施錠装置付きはコスト高となっていた。
そのため、特許文献1に開示されているような南京錠を使用してキャビネット外部において操作ハンドルの開操作を禁止する構成が、キャビネットの内部空間を使用する必要がないし、僅かなコスト増で済むため提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−52471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の構成の場合、南京錠を装着する部材として、扉に固定される部材に加えて、操作ハンドルの軸に装着されて操作ハンドルに連動して回動する部材との2部材を必要とし、施錠装置のない扉を南京錠を使用する上記構成に変更する場合、ハンドルまわりの部材を交換する程度では対応できず、扉自体を変更するかキャビネット全体を交換することになり、コスト高となっていた。
また、南京錠の取り付けはこの2部材に連通して取り付けなければならないため、取り付け操作が面倒であったし、追加部材は前方への突出量が大きいため、状況の変化で南京錠の使用が必要無くなった場合は邪魔な部材となっていた。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、南京錠等の掛け金を有する施錠手段を使用してハンドルロックが可能な構成であっても追加する部材を無くして簡易な構造でロックすることができ、南京錠等を使用しない使用形態であっても邪魔な部材がなく違和感なく使用できる扉操作ハンドルのロック構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、扉の開閉を行うために扉前面で回動操作する操作ハンドルと、前記操作ハンドルの閉操作により扉の閉状態を保持するよう扉裏面に配置された係止片と、前記操作ハンドルと前記係止片とを連結する軸と、前記軸を扉に貫通配置して回動可能に保持する台座とを有し、閉操作した前記操作ハンドルを南京錠等の掛け金を有する施錠手段を使用してロックし、開操作を禁止する扉操作ハンドルのロック構造であって、前記台座の前記操作ハンドル回動エリア内に、前記施錠手段を取り付ける取付片を形成すると共に、前記操作ハンドルに前記取付片を通過させる切り欠きを形成し、前記施錠手段を装着しない状態では
、閉位置にある前記操作ハンドルを前記取付片を通過させて開位置へ回動可能とし、前記施錠手段を
前記取付片に装着した状態では、閉位置にある前記ハンドルの開位置への回動
が禁止されることを特徴とする。
この構成によれば、操作ハンドルの回動エリア内に取付片を配置するため、比較的露出面積が少ない台座に取付片を形成することができ、ロックするための専用の部材が必要なくなる。そのため、南京錠等の施錠手段による施錠機能を設けても簡易な構成で済む。
また、取付片の前方への突出量は操作ハンドルの突出量に比べて僅かで良く、操作ハンドルの回動操作の邪魔になり難く、ハンドルロック機能を必要としない扉として使用する場合であっても、違和感なく使用することができる。
更に、南京錠を取付片の1箇所に取り付けるだけでロックできるため、簡易な操作でロックできる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、前記取付片は前記台座から扉前方に突出して形成され、前記軸を中心とする円弧状に形成されて一様な厚みを有し、前記切り欠きは、前記取付片の厚みより数ミリメートル大きな幅で形成されて成ることを特徴とする。
この構成によれば、取付片は操作ハンドルの回動操作により切り欠きの移動方向に合わせた曲率を有するため、切り欠きの幅は取付片の厚みより数ミリメートル幅広に形成すれば良い。よって、操作ハンドルの操作性は損なわれないし、取付片に施錠手段を取り付ければ確実に回動が阻止される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、操作ハンドルの回動エリア内に取付片を配置するため、比較的露出面積が少ない台座に取付片を形成することができ、ロックするための専用の部材が必要なくなる。そのため、施錠手段による施錠機能を設けても簡易な構成で済む。
また、取付片の前方への突出量は操作ハンドルの突出量に比べて僅かで良いため、操作ハンドルの回動操作の邪魔になり難く、ハンドルロック機能を必要としない扉として使用する場合であっても、違和感なく使用することができる。
更に、施錠手段を取付片の1箇所に取り付けるだけでロックできるため、簡易な操作でロックできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る扉操作ハンドルのロック構造の一例を示す分解斜視図である。
【
図2】
図1の操作ハンドルを組み付けたキャビネットの斜視図である。
【
図3】南京錠を取り付けてロックした状態の操作ハンドルの斜視説明図である。
【
図4】
図1の台座を示し、(a)は正面図、(b)は底面図である。
【
図5】軸を一体形成した操作ハンドルの側面図である。
【
図6】操作ハンドルの把持部と台座の係止片との位置関係を示す斜視図であり、(a)は
図1の閉状態の関係を示し、(b)は開状態の関係を示している。
【
図7】扉操作ハンドルのロック構造の他の形態を示す操作ハンドルの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は扉操作ハンドルのロック構造の一例を示す分解斜視図であり、1は扉を開閉操作するための操作ハンドル、2は操作ハンドル1を回動可能に扉に取り付ける台座、3は操作ハンドル1の操作により係止対象に係止動作するベロ、4は操作ハンドル1とベロ3とを連結する軸、5はOリング、6は防水ゴム、7はリングスプリング、8は台座2を扉に固定するためのナット、9はバネ座金、10はベロ3を軸4に固定するためのナット、11は南京錠を取り付けるために台座2に形成された取付片である。尚、M1は軸4の中心線を表している。
【0011】
図2はこの扉操作ハンドルのロック構造をキャビネット20に採用した状態を示している。
図2に示すように、操作ハンドル1はキャビネット20の扉20aに取り付けられ、操作ハンドル1と台座2のフランジ状の座部2aが露出し、他の部材は扉20aの裏面に配置される。操作ハンドル1を上下方向に向けた
図1及び
図2に示す状態は、扉20aを閉じて係止している状態であり、この状態の角度でベロ3は
図1に示すように左方向に突出してキャビネット20の本体に係止する。
そして
図3は、この状態で南京錠13を取り付けて操作ハンドル1をロックした状態を示している。
図3に示すように、南京錠13を取付片11に掛け留めることで、操作ハンドル1はロックされて開操作が禁止される。
【0012】
操作ハンドル1は、扉開閉のために把持する把持部1aを有し、把持部1aは軸4の先端に一体に形成されている。把持部1aは、軸4の中心線M1上に配置され、交差する方向に長く板状に形成されている。そして、一方が長く偏心形成され、長い方に背部からU字状の切り欠き15が形成されている。この切り欠き15は台座2に形成された取付片11の位置に合わせて形成されている。
【0013】
台座2は、扉20a前面に当接するフランジ状の座部2aと、扉20aの図示しない開口部に挿入される筒部2bとで構成され、全体が金属で形成されている。台座2の中心には軸4を挿通する穴2cが穿設されている。
尚、取付片11は台座2に溶接により取り付けられているが、座部2aに取付片11を側方に延設し、折り曲げて前方に突出させても良い。また、操作ハンドル1と軸4は別体としても良く、別体とした場合は操作ハンドル1を樹脂で形成することもできる。
【0014】
図4は台座2単体を示し、(a)は正面図、(b)は底面図である。この図に示すように、取付片11は、座部2aの右下位置に、周囲に沿って軸M1上に位置する台座2の中心M2からの距離が一様になるように曲率を設けて円弧状に形成されている。扉20aを閉じた状態で操作ハンドル1の把持部1aは縦方向を向くため、この開操作を阻止する位置として右下に取付片11は配置される。
そして、取付片11は台座2の周方向に対して一様な厚みT1(例えば3mmの厚み)を有して形成され、南京錠13を取り付けるための穴11aが穿設されている。この穴11aは
図2に示す扉20aを閉じて係止した角度で上下方向を向くよう穿設され、南京錠13を無理なく挿入して装着できるよう形成されている。
【0015】
一方、筒部2bは、ナット8を装着するための雌ねじ(図示せず)が周上に形成され、回転防止のために扉20aに係止する平坦な切り欠
き2d(
図1に示す)が左右側面に形成されている。
【0016】
ここで、把持部1aと取付片11の関係を
図5,
図6を参照して具体的に説明する。
図5は操作ハンドル1及び軸4の側面図を示している。また、
図6は操作ハンドル1と取付片11の位置関係を示し、(a)は
図1の角度で扉を閉じてベロ3を係止させた角度、
図6(b)はベロ3の係止を解除して扉20aを開放した角度をそれぞれ示している。
図5に示すように、切り欠き15は把持部1aの後部からU字状に切り欠いて形成され、取付片11の厚みT1より僅かに大きな幅T2を有して形成されている。例えば、取付片11の厚みT1が3mmであれば、切り欠き15の幅T2は5mm程度と数ミリメートル大きく形成される。
【0017】
そして、この寸法関係で扉20aを閉じた
図6(a)の状態から、操作ハンドル1を略90度回動して
図6(b)の開放状態に移行することができ、このように操作ハンドル1の回動操作により取付片11は切り欠き15の僅かな隙間をスムーズに通過させることができる。また、
図3に示すように南京錠13を取り付けた状態では操作ハンドル1の回動がロックされ、閉じた操作ハンドル1を開操作することが禁止される。
【0018】
このように、操作ハンドル1の回動エリア内に取付片11を配置するため、比較的露出面積が少ない台座2に取付片11を形成することができ、ロックするための専用の部材を別途必要としない。そのため、南京錠13による施錠機能を設けても簡易な構成で済む。
また、取付片11の前方への突出量は操作ハンドル1の突出量に比べて僅かで済むため、操作ハンドル1の回動操作の邪魔になり難く、ハンドルロック機能を必要としない扉として使用する場合であっても、違和感なく使用することができる。
更に、南京錠13を取付片11の1箇所に取り付けるだけでロックできるため、簡易な操作でロックできる。
また、取付片11は切り欠き15の移動方向に合わせた曲率を有するため、切り欠き15の幅は取付片11の厚みより僅かに広く形成するだけで良く、切り欠き15の幅を小さくでき、操作ハンドル1の操作性は損なわれない。
【0019】
図7は扉操作ハンドルのロック構造の他の例を示し、操作ハンドル1を台座2に装着した状態の側面図を示している。上記実施形態とは取付片11の形状が異なり、
図7に示すように、取付片11は台座2の座部2aから側方に突設されている。詳しくは、座部2aの前方への突出量を大きくし、その側部の前端位置に取付片11がU字状に形成されている。尚、取付片11は、扉閉塞操作時に上下方向を向く把持部1aの開操作を禁止するために右下方向に向けて突設されている
一方、把持部1aは扉閉塞時に下方を向く一端が、後方に延設された舌部1bを有し、座部2aの側方に至る奥行きを有している。そして、切り欠き15は、取付片11の位置に合わせて側方(
図7では下方)に向けて形成されている。
【0020】
このように、取付片11は前方に向けて形成せずに側方に向けて形成することもできる。この場合、取付片11は前方に全く突出しないため、操作ハンドル1の回動操作の邪魔にならず、ハンドルロック機能を必要としない扉として使用する場合も良好に操作できる。
そして、上記形態と同様に比較的露出面積が少ない台座2に取付片11を形成し、把持部1aの奥行きを拡大するだけでロック機構が構成されるため、ロックするための専用の部材を別途必要としない。そのため、南京錠13による施錠機能を設けても簡易な構成で済む。
【0021】
尚、上記実施形態では、U字状の掛け金を有する南京錠13により施錠する構成を示したが、掛け金は直線であっても良く、掛け金を備えて持ち運びできる錠前であれば取付片11に取り付ける施錠手段として使用できる。
また、操作ハンドル1の右側に取付片11を設けた構成となっているが、開放操作が切り欠き15を左に移動させる構成であれば、取付片11は左側に形成すれば良い。
【符号の説明】
【0022】
1・・扉操作ハンドル、2・・台座、3・・ベロ(係止片)、4・・軸、11・・取付片、13・・南京錠(施錠手段)、15・・切り欠き、20・・キャビネット、20a・・扉。