(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、液化ガスの気化熱によって人体等の被吐出体を冷却することを目的としたエアゾール組成物が公知であり、吐出時に液化ガスの気化熱により水性原液中の水の凍結体を形成して被吐出体を冷却するようにしたエアゾール組成物が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、界面活性剤を含有した水性原液と、液化石油ガスを主成分とする液化ガス(エアゾール用噴射剤)とからなり、前記水性原液に液化ガスを乳化させた吐出物が氷結状あるいは積雪状の凍結体を形成するエアゾール組成物が記載されている。
特許文献2には、炭素原子数1〜3の低級アルコールおよび炭素原子数10〜22の直鎖モノカルボン酸を含む原液と液化ガスとからなり、吐出物がシャーベット状の凍結体を形成するエアゾール組成物が記載されている。
特許文献3には、炭素数1〜3の低級アルコールおよび非イオン性界面活性剤を含む原液と液化ガスとからなり、吐出物がシャーベット状の凍結体を形成するエアゾール組成物が記載されている。
特許文献4には、炭素数1〜3の低級アルコールおよび炭素数12以上の高級アルコールを含む原液と液化ガスとからなり、吐出物がシャーベット状の凍結体を形成するエアゾール組成物が記載されている。
特許文献5には、ジメチルエーテル、水および0〜5重量%の炭素数2〜3のアルコールからなり、ジメチルエーテルの気化熱により、水とジメチルエーテルとの凍結体を形成するエアゾール組成物が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
公知のエアゾール組成物は、液化ガスの気化熱により水性原液中の水の凍結体を形成した際に、水性原液中に含まれる水以外の常温で液体あるいは固体である界面活性剤、乳化助剤、油脂類、水溶性高分子等が凍結体に残留するため、その量が多いと凍結体が溶けた際に液体あるいは固体で残留する。
そのため、皮膚等に直接吐出した場合は、ベタつきや固体の残留感等により使用感を低下させ、布等に吐出する場合も、液体あるいは固体で残留した成分が布等に付着したままとなり、それらの除去に手間がかかるという問題があった。
【0006】
また、これらのエアゾール組成物は、使用者が涼を取ったり、体調不良の際に体温を冷やすために用いられ、特に夏場等の高温の環境下、すなわち気温25℃以上、炎天下等であれば気温40℃以上でも有効に使用可能であることが重要であるが、界面活性剤、乳化助剤、油脂類、水溶性高分子等の成分量を減らした場合、水性原液と液化ガスの混合、乳化を充分に行うことが困難となるため、吐出されるエアゾール組成物の成分比が一定せず、凍結体の形成が不十分となるという問題があった。
また、界面活性剤、乳化助剤、油脂類、水溶性高分子等の成分量を減らした場合、高温の環境下では均一な凍結体を得ることができないという問題があった。
さらに、公知のエアゾール組成物を吐出した際に形成される凍結体の形態は、塊状、シャーベット状、雪状のものであり、より微細な氷の粒子からなるダイアモンドダスト状(結晶の直径が概ね0.2mm以下)の集合体に形成できるものは存在しなかった。
【0007】
そこで本発明は、前述したような問題を解決するものであって、凍結体が溶けた際に液体あるいは固体で残留する成分を抑え、ベタつきや固体の残留感等による使用感の低下を抑制し、除去を容易とするとともに、水性原液と液化ガスの混合、乳化が容易で、高温の環境下でも確実に均一なダイアモンドダスト状の集合体である凍結体の形成を可能とするエアゾール組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、水性原液と液化ガスとを含み、吐出時に凍結体を形成するエアゾール組成物であって、前記水性原液が、水と炭素数2〜3の1価アルコール合わせて95重量%以上と、界面活性剤および乳化助剤を含み、かつ、油脂類、水溶性高分子および炭素数4以上のアルコール類を含まず、前記炭素数2〜3の1価アルコールが、前記水性原液の3重量%以上であり、前記液化ガスが、液化石油ガスとジメチルエーテルからなり、前記水性原液と液化ガスとの重量配合比が50/50〜10/90であることにより、前記課題を解決するものである。
【0009】
水性原液は、界面活性剤0.01重量%以上、乳化助剤0.1重量%以上、防腐剤0〜0.3重量%を含むことが好ましく、水と炭素数2〜3の1価アルコール合わせて99重量%以下を含むことがさらに好ましい。
液化ガスは、ジメチルエーテル30重量%以上で残部が液化石油ガスからなることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のエアゾール組成物によれば、水性原液が水と炭素数2〜3の1価アルコール合わせて95重量%以上を含むことで凍結体が溶けた際に残留する成分を減らすとともに、残留した際の使用感の低下が大きく除去が困難な油脂類および水溶性高分子を含ませないことによって、ベタつきや固体の残留感等による使用感の低下を抑制し、除去を容易とすることができる。
また、炭素数2〜3の1価アルコールが含まれることにより、凍結体を微細なダイアモンドダスト状に形成でき、炭素数2〜3の1価アルコールを3重量%以上とすることで、凍結体をより確実に微細なダイアモンドダスト状の集合体とすることができる。
炭素数2〜3の1価アルコールが水性原液の3重量%より少ないと、吐出時の外気温の状態によっては、吐出によって微細粒子化された水が凍結する際に結合し、粒子の大きな雪状、シャーベット状、あるいは、塊状の凍結体となる場合がある。
さらに、水性原液が界面活性剤および乳化助剤を含み、液化ガスが液化石油ガスとジメチルエーテルからなり、かつ、水性原液と液化ガスとの重量配合比が50/50〜10/90であることにより、水性原液と液化ガスの混合、乳化が容易で、高温の環境下でも確実に均一なダイアモンドダスト状の集合体である凍結体の形成が可能となる。
【0011】
水性原液が、界面活性剤0.01重量%以上、乳化助剤0.1重量%以上、防腐剤0〜0.3重量%を含むことにより、水性原液と液化ガスの混合、乳化がさらに容易となる。
液化ガスが、ジメチルエーテル30重量%以上で残部が液化石油ガスからなることで、水性原液の比率を高めても、高温の環境下でも確実に均一なダイアモンドダスト状の集合体である凍結体の形成が可能となる。
水性原液を、水と炭素数2〜3の1価アルコール合わせて99重量%以下とすることで、水性原液と液化ガスの混合、乳化を妨げることがない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、水性原液と液化ガスとを含み、吐出時に凍結体を形成するエアゾール組成物であって、水性原液が、水と炭素数2〜3の1価アルコール合わせて95重量%以上と、界面活性剤および乳化助剤を含み、かつ、油脂類、水溶性高分子および炭素数4以上のアルコール類を含まず、炭素数2〜3の1価アルコールが水性原液の3重量%以上であり、液化ガスが液化石油ガスとジメチルエーテルからなり、水性原液と液化ガスとの重量配合比が50/50〜10/90である。
【0013】
本発明のエアゾール組成物は、たとえば、耐圧容器に水性原液を充填し、次いで液化ガスを充填したのちバルブを固着し、エアゾール容器を振とうして水性原液と液化ガスとを乳化させることにより調製することができる。
【0014】
前記水は、たとえば、精製水、イオン交換水などが用いられる。
水と炭素数2〜3の1価アルコールの配合量は、合わせて水性原液中95重量%以上であり、さらには99重量%以下であることが好ましい。
水と炭素数2〜3の1価アルコールの配合量が合わせて95重量%よりも少ない場合は、吐出物によって形成された凍結体が溶けた際に、液体あるいは固体で残留する水あるいは炭素数2〜3の1価アルコール以外の成分によって、ベタつきや固体の残留感等による使用感の低下をまねくとともにその除去に手間がかかる。
また、水性原液の水と炭素数2〜3の1価アルコールの配合量が合わせて95重量%以上であっても、油脂類および水溶性高分子が含まれると、凍結体が溶けた際にそれらが残留し、ベタつきや固体の残留感等による使用感の低下をまねくとともにその除去に手間がかかる。
炭素数2〜3の1価アルコールの配合量は水性原液の3重量%以上であり、3重量%より少ない場合は、吐出した際に塊状、シャーベット状、あるいは、雪状に凍結し、微細なダイアモンドダスト状の集合体である凍結体が得られない。
【0015】
前記界面活性剤および乳化助剤は、エアゾール容器内で水性原液と液化ガスと均一に混合、乳化させ、液化ガスの気化熱を均一に吐出物に伝え、確実に均一なダイアモンドダスト状の集合体である凍結体を形成する目的で配合される。
【0016】
前記界面活性剤としては、たとえば、モノヤシ油脂肪酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノオレイン酸POEソルビタンなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;POE・POPセチルエーテル、POE・POPデシルテトラデシルエーテルなどのポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;モノステアリン酸POEグリセリルなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;POEラノリンアルコールなどのポリオキシエチレンラノリンアルコール;POE硬化ヒマシ油などのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEラウリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEオクチルドデシルエーテル、POEイソセチルエーテル、POEイソステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;モノステアリン酸ポリエチレングリコールなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル;モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸ペンタグリセリル、モノミリスチン酸ペンタグリセリル、モノオレイン酸ペンタグリセリル、モノステアリン酸ペンタグリセリル、モノラウリン酸デカグルセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸エステル;モノオレイン酸POEグリセリルなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;モノパルミチン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノイソステアリン酸POEソルビタン、モノオレイン酸POEソルビタンなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;モノラウリン酸POEソルビット、テトラステアリン酸POEソルビット、テトラオレイン酸POEソルビットなどのポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル;などのHLBが10〜19、好ましくは11〜18であるものがあげられる。 HLBが19よりも大きい場合は液化ガスを乳化しにくくなる傾向がある。
【0017】
界面活性剤の配合量は、水性原液中0.01重量%以上であることが好ましい。
界面活性剤の配合量が水性原液中0.01重量%よりも少ない場合は、水性原液と液化ガスとが乳化しにくくなり、吐出物が均一なダイアモンドダスト状の集合体である凍結体を形成しにくい。
また、水性原液中の水と炭素数2〜3の1価アルコールが合わせて95重量%以上のため、界面活性剤は5重量%よりも少なく、残留が少なく使用感の低下を抑制できる。
【0018】
前記乳化助剤は、水性原液と液化ガスとを乳化しやすくする粉体から構成され、当該粉体が有効成分として作用したり、他の有効成分を担持する担体、付着剤などとしても用いられる。
【0019】
前記乳化助剤としては、たとえば、タルク、酸化亜鉛、カオリン、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、シリカ、ゼオライト、セラミックパウダー、窒化ホウ素などがあげられる。
【0020】
前記乳化助剤の配合量は、水性原液中0.1重量%以上、さらには0.4重量%であることが好ましい。
前記乳化助剤の配合量が0.1重量%よりも少ない場合は、前記乳化助剤を配合する効果が得られにくい。
また、水性原液中の水と炭素数2〜3の1価アルコールからなる混合物が95重量%以上のため、乳化助剤は5重量%よりも少なく、吐出時にバルブや吐出部材の吐出孔で詰まることはなく、また長期間保存した場合でも、乳化助剤が容器底部で固まって均一な吐出を阻害することもない。
【0021】
前記液化ガスは、エアゾール容器内では液体であり、水性原液と乳化して乳化物を形成する。
大気中に吐出されると液化ガスは気化し、気化熱により吐出物を冷却して水性原液を主体とするダイアモンドダスト状の凍結体を形成する。
【0022】
前記液化ガスは、プロパン、ノルマルブタン、イソブタンあるいはこれらの混合物である液化石油ガスと、ジメチルエーテルからなる。
ジメチルエーテルを混合することで、水性原液中の水と炭素数2〜3の1価アルコールが合わせて95重量%以上であっても、吐出時の気化熱で確実に水性原液を冷却し、均一なダイアモンドダスト状の集合体である凍結体を形成することができる。
また、ジメチルエーテルを液化ガス中に30重量%以上含有することが好ましく、このことで吐出時の気化熱を大きくし、水性原液と液化ガスとの配合の際の水性原液の配合比を増加させて、エアゾール容器内の水の絶対量を増加させ多量のダイアモンドダスト状の集合体である凍結体を得ることが可能となる。
【0023】
前記水性原液と液化ガスとの重量配合比は50/50〜10/90であり、45/55〜15/85であることが好ましい。
水性原液と液化ガスとの重量配合比が50/50より大きくなると、液化ガスによって水性原液を凍結させるだけの気化熱が得られない。
また、10/90より小さくなると、液化ガスを乳化しにくく、乳化が不安定になりやすく、得られる凍結体の量も少なくなり、また、容器に充填した際に圧力が高くなるとともに、気化する液化ガス量が多くなるため、匂いが強くなるとともに引火の危険も増大し、使用上の支障が大きくなる。
【0024】
なお、水性原液には、使用感を良好にするため、あるいは品質の保持のために、必要に応じて香料、防腐剤、薬用成分等の微量の有効成分を配合しても良い。
また、エアゾール容器内の圧力を調整するために、加圧剤として炭酸ガス、チッ素ガス、亜酸化窒素ガス、圧縮空気、酸素ガスなどの圧縮ガスを用いても良い。
【0025】
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
各実施例および比較例は、水性原液と噴射剤としての液化ガスをアルミニウム製耐圧容器(φ45×157)に充填し、耐圧容器の開口部にエアゾールバルブを固着し、耐圧容器を上下に振り、水性原液と液化石油ガス(LPG)およびジメチルエーテル(DME)とを乳化させてエアゾール組成物を製造した。
エアゾールバルブはステム孔がφ0.4、ハウジングのアンダータップがφ2.0であるものを用い、吐出部材は吐出孔がφ1.2であるものを用いた。
なお、下記の乳化状態の評価は、耐圧容器内の目視が必要なため、ガラス製の透明耐圧容器を用いた。
水性原液および液化ガスの成分は以下のものであり、それぞれの成分比を変えたものを各実施例および比較例として評価を行った。
【0026】
<水性原液>
水:精製水
エタノール:99度合成無変性アルコール
界面活性剤:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル[20E.O][8P.O](商品名:NIKKOL PBC−44)
乳化助剤:タルク(商品名:クラウンタルク)
防腐剤:メチルパラペン(商品名:メッキンスM)
【0027】
各実施例および比較例についての評価結果を表1乃至表3に示す。
評価は、乳化状態、吐出物温度、吐出物状態、凍結保持時間、結晶状態および残留感について、以下のよう行った。
<乳化状態>
各成分を充填したガラス製の耐圧容器を一定温度条件下に1時間静置した後、同一温度条件下で60回/分で耐圧容器を振盪して乳化状態を目視確認した。
振盪時間1分以内で乳化したものを「◎」、1〜3分で乳化したものを「○」、3分で乳化しなかったものを「×」とした。
なお、温度条件は、25℃、5℃および45℃の3条件とした。
<吐出物温度>
各成分を充填した耐圧容器を25℃の条件下で1時間静置した後、60回/分で3分間振盪し、さらに1時間静置した後に、60回/分で10秒間振盪し、内容物を紙ウエス(パルプ100%、シートサイズ380×330mm)に対して垂直方向10cmの位置から吐出させて、紙ウエス上に置いた熱電対によってその温度を測定した。
<吐出物状態>
各成分を充填した耐圧容器を25℃の条件下で1時間静置した後、60回/分で3分間振盪し、さらに1時間静置した後に、60回/分で10秒間振盪し、内容物1gを吐出させ、吐出物の状態を観察した。
吐出物が凍結しているものを「○」、吐出物が凍結せず泡状であったり、水相のものがそのまま霧状になっているものを「×」とした。
【0028】
<凍結保持時間>
各成分を充填した耐圧容器を25℃の条件下で1時間静置した後、60回/分で3分間振盪し、さらに1時間静置した後に、60回/分で10秒間振盪し、紙ウエス(パルプ100%、シートサイズ380×330mm)に対して垂直方向10cmの位置から内容物5gを吐出させて凍結体を形成し、その直後に該紙ウエスを40℃の恒温室に静置して形成された凍結体の状態を観察した。
紙ウエス上の凍結体が溶けるまでの時間が1分以上のものを「○」、1分未満のものを「×」とした。
<結晶状態>
各成分を充填した耐圧容器を25℃の条件下で1時間静置した後、60回/分で3分間振盪し、さらに1時間静置した後に、60回/分で10秒間振盪し、紙ウエス(パルプ100%、シートサイズ380×330mm)に対して垂直方向10cmの位置から内容物5gを吐出させて凍結体を形成し、マイクロスコープ(VHX−100)で結晶の大きさを測定した。
結晶の大きさが直径で30μm〜200μm(ダイアモンドダスト状)である場合を「○」、それ以上である場合(雪あられ:直径5mm、霧雪:直径1mm、ひょう:直径5mm〜50mm)を「×」とした。
<残留感>
各成分を充填した耐圧容器を25℃の条件下で1時間静置した後、60回/分で3分間振盪し、さらに1時間静置した後に、60回/分で10秒間振盪し、内容物1gを手の甲に向かって吐出させ、溶けた後に残留した吐出物に触れた時の感触を観察した。
ベタつき等の残留感がないものを「○」、あるものを「×」とした。
【0029】
表1は、水性原液:液化ガス(噴射剤)=20:80としたものである。
【表1】
【0030】
表2は、水性原液:液化ガス(噴射剤)=30:70としたものである。
【表2】
【0031】
表3は、水性原液:液化ガス(噴射剤)=40:60としたものである。
【表3】
【0032】
上記のように、本願発明のエアゾール組成物(実施例1〜6、11〜16、21〜26)は水性原液と液化ガスとの乳化に支障はない。
また、吐出物は均一なダイアモンドダスト状の集合体である凍結体となって付着、その凍結保持時間も充分に確保される。
これに対し、ジメチルエーテルが含まれない組成物(比較例1、11、21)およびジメチルエーテルが含まれずエタノールが2%の組成物(比較例2、12、22)では、凍結体は形成されるものの、吐出物がダイアモンドダスト状に凍結しておらず、また、凍結体の保持時間も充分ではない。
また、水性原液の水を90重量%、エタノールを3.5重量%で合計93.5重量%としたもの(比較例3、13、23)は、ダイアモンドダスト状の凍結体は形成されるものの、凍結体が溶けた後の界面活性剤および乳化助剤の残留によるベタつきの感覚が顕著であった。
さらに、水性原液の水を95.85重量%、エタノールを3.5重量%で合計99.35重量%としたもの(比較例24、25)は、いずれの温度条件でも水性原液と液化ガスとの乳化が不十分であり、吐出状態も不均一であり充分な凍結体が得られず、その凍結保持時間も充分ではなかった。
【0033】
以上、本発明のエアゾール組成物によれば、高温の環境下に静置された後にも吐出物が均一なダイアモンドダスト状の集合体である凍結体になり、付着性に優れ持続して冷却させることが可能なエアゾール組成物を得ることができる。
また、凍結体が溶けた際に液体あるいは固体で残留する成分が極めて少なく、ベタつきや固体の残留感等による使用感の低下を抑制し、布等に付着させた場合でもその除去が極めて容易となる。