【実施例】
【0028】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、実施例において示す「部」及び「%」は、特に明示しない限り固形分質量部及び固形分質量%を示す。なお、得られた中質印刷用紙について以下に示す様な評価法に基づいて試験を行った。
【0029】
<MA値の測定>
PST2600(FIBRO system ab社製)を使用し、0.16mm
2以上の非接触部の合計面積の、測定部面積に対する比率をMA値(%)として求めた。また、このときのクランピング圧力条件を3.4MPaとし、クランピング時間を0.02秒で行った。
【0030】
具体的には、設定クランピング圧力及び設定時間にて紙をクランプし、紙の表面をプリズムに押し当てた状態で斜め上方から光を当てた。反射光を上部CCDカメラにて読み取った。市販パーソナルコンピューターに取り付けた専用画像解析基盤と専用プログラムによって、測定画像からプリズム表面と紙表面の接触/非接触エリアの算出を行った。非接触エリアは面積に応じて階級分けされるため、着肉不良による画線部の欠けと相関するデータが得られる。面積の大きな非接触部が多いと、印刷インキが定着しにくくなり印画部の欠けの原因となりやすい。以上の原理によって、いわゆるエアリーク法による平滑度測定法よりも直接的な表面状態測定を行うことが可能となる。本発明においては、MA値を次の計算式で求めた。
MA値(%)=0.16mm
2以上の非接触部の合計面積(mm
2)÷測定部面積(mm
2)×100
ここで、測定部面積とは、プリズムの押し当て面のうち、光を当てる実際の測定部分の面積である。
【0031】
<透気抵抗度>
JIS P8117:1998に準拠して測定した。
【0032】
<坪量>
JIS P8124:1998年に準拠して測定した。
【0033】
<厚さ及び密度>
JIS P8118:1998年に準拠して測定した。
【0034】
<フリーネス>
JIS P8121:1995年に準拠し、カナダ標準ろ水度試験方法にて測定した。
【0035】
印刷機として、リョービ社製「リョービ3302M」を使用、墨インキ(ValuesG墨:DIC社製)にて1色印刷を8500枚/時の印刷速度で印刷し、耐刷力及びインキ着肉性を評価した。
【0036】
<耐刷力>
◎:ブランケットの汚れがほとんど無く、良好。
○:ブランケットの汚れが多少あるが、画線部の白抜けがほとんど無く、良好。
△:ブランケットの汚れが多く、画線部の白抜けが有り、実用上下限レベル。
×:ブランケットの汚れが酷く、画線部の白抜けも多く、実用上不可レベル。
【0037】
<インキ着肉性>
◎:インキ着肉性ムラが無く、良好。
○:インキ着肉性ムラが僅かにある程度で、問題ないレベル。
△:インキ着肉性ムラが多少あり、実用上下限レベル。
×:インキ着肉性が酷く、実用上不可レベル。
【0038】
(実施例1)
フリーネス200ccにまで叩解した針葉樹機械パルプ80質量部とフリーネス400ccにまで叩解した広葉樹漂白化学パルプ(LBKP)20質量部としたパルプスラリーに、パルプに対し、カチオン化澱粉(商品名:ネオタック40T/日本食品加工社製)1.0質量部、填料として炭酸カルシウム(商品名:TP121/奥多摩工業社製)8質量部、嵩高剤(商品名:KB85(高級アルコールのポリオキシアルキレンアルキルエーテル)/花王社製)0.5質量部、歩留向上剤(商品名:HHC503/栗田工業社製)0.01質量部を添加し、紙料を調製した。この紙料をオントップ型ツインワイヤー式抄紙機で抄紙し、ロッドメタリング方式サイザーにて、PVA(商品名:PVA117/クラレ社製)5%、酸化澱粉(商品名:MS3800/日本食品化工社製)10%の表面サイズ液を片面当たりで固形質量1.5g/m
2となるように塗布及び乾燥し、マシンカレンダーを用い線圧50kN/mで平坦化処理調整を行い、坪量60g/m
2の中質印刷用紙を得た。尚、PVAの片面当たりの塗布量は固形質量分で0.5g/m
2であった。
【0039】
(実施例2)
針葉樹機械パルプのフリーネスを200ccから100ccに変更した以外は、実施例1と同様にして中質印刷用紙を得た。
【0040】
(実施例3)
針葉樹機械パルプフリーネスのフリーネスを200ccから400ccに変更した以外は、実施例1と同様にして中質印刷用紙を得た。
【0041】
(実施例4)
針葉樹機械パルプの配合量を80質量部から50質量部に変更し、広葉樹漂白化学パルプの配合量を20質量部から50質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして中質印刷用紙を得た。
【0042】
(実施例5)
針葉樹機械パルプの配合量を80質量部から100質量部に変更し、広葉樹漂白化学パルプの配合量を20質量部から0質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして中質印刷用紙を得た。
【0043】
(実施例6)
用紙表面に塗布する表面サイズ液を、PVA(商品名:PVA117/クラレ社製)1%、酸化澱粉(商品名:MS3800/日本食品化工社製)10%の表面サイズ液に変更した以外は、実施例1と同様にして中質印刷用紙を得た。PVAの片面当たりの塗布量は固形質量分で0.1g/m
2であった。
【0044】
(実施例7)
用紙表面に塗布する表面サイズ液を、PVA(商品名:PVA117/クラレ社製)10%、酸化澱粉(商品名:MS3800/日本食品化工社製)1%の表面サイズ液に変更した以外は、実施例1と同様にして中質印刷用紙を得た。PVAの片面当たりの塗布量は固形質量分で1.0g/m
2であった。
【0045】
(実施例8)
用紙表面に塗布する表面サイズ液を、PVA(商品名:PVA117/クラレ社製)5%、酸化澱粉(商品名:MS3800/日本食品化工社製)0%の表面サイズ液に変更した以外は、実施例1と同様にして中質印刷用紙を得た。PVAの片面当たりの塗布量は固形質量分で0.5g/m
2であった。
【0046】
(実施例9)
サイズ液の塗布方式をロッドメタリング方式サイザーからゲートロールコーターに変更したこと以外は、実施例1と同様にして中質印刷用紙を得た。
【0047】
(実施例10)
嵩高剤(商品名:KB85(高級アルコールのポリオキシアルキレンアルキルエーテル)/花王社製)の添加率を0.5質量部から0.2質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして中質印刷用紙を得た。
【0048】
(実施例11)
嵩高剤(商品名:KB85(高級アルコールのポリオキシアルキレンアルキルエーテル)/花王社製)の添加率を0.5質量部から1.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして中質印刷用紙を得た。
【0049】
(実施例12)
嵩高剤(商品名:KB85(高級アルコールのポリオキシアルキレンアルキルエーテル)/花王社製)0.5質量部を、嵩高剤(商品名:PT8107(脂肪酸アミド系樹脂)/星光PMC社製)0.5質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして中質印刷用紙を得た。
【0050】
(比較例1)
針葉樹機械パルプを未使用とし、広葉樹漂白化学パルプの配合量を20質量部から100質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして中質印刷用紙を得た。
【0051】
(比較例2)
針葉樹機械パルプ及び広葉樹漂白化学パルプを未使用とし、代わりに広葉樹機械パルプを100質量部配合した以外は、実施例1と同様にして中質印刷用紙を得た。
【0052】
(比較例3)
針葉樹機械パルプのフリーネスを200ccから50ccに変更した以外は、実施例1と同様にして中質印刷用紙を得た。
【0053】
(比較例4)
針葉樹機械パルプを叩解処理せずに使用した以外は、実施例1と同様にして中質印刷用紙を得た。この際の針葉樹機械パルプのフリーネスは550ccであった。
【0054】
(比較例5)
用紙表面に塗布する表面サイズ液を、PVA(商品名:PVA117/クラレ社製)0%、酸化澱粉(商品名:MS3800/日本食品化工社製)10%の表面サイズ液に変更した以外は、実施例1と同様にして中質印刷用紙を得た。
【0055】
(比較例6)
マシンカレンダーをバイパスし、平坦化処理調整を行わないこと以外は、実施例1と同様にして中質印刷用紙を得た。
【0056】
【表1】
【0057】
実施例1〜12の結果より、針葉樹機械パルプを所定のフリーネス及び配合とし、かつPVAを所定量塗布することで、所望する密度及びMA値となり、印刷時の耐刷力が高く、インキ着肉性に優れた中質印刷用紙を得ることが出来た。
【0058】
比較例1,2及び3では所望する密度に達しなかった。比較例4は所望する密度になるものの印刷時の耐刷力とインキ着肉性が大きく劣り、使用できなかった。比較例5では表面サイズ液にPVAを使用しなかったため耐刷力が大きく低下し、使用できなかった。比較例6は平坦化処理しなかったため表面の平滑性が低下し、印刷時のインキ着肉性が低下し、使用することが出来なかった。
【0059】
表1から明らかなように、針葉樹機械パルプを所定のフリーネス及び配合とし、かつPVAを所定量塗布することで、所望する密度及びMA値となり、印刷時の耐刷力が高く、インキ着肉性に優れた中質印刷用紙を得ることが出来た。また、透気抵抗度も10秒以上であり印刷濃度が高いことがわかった。