特許第5971864号(P5971864)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5971864
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】感熱記録体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/337 20060101AFI20160804BHJP
   B41M 5/333 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   B41M5/18 101C
   B41M5/18 108
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-119273(P2013-119273)
(22)【出願日】2013年6月5日
(65)【公開番号】特開2014-233970(P2014-233970A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2015年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241810
【氏名又は名称】北越紀州製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】皆川 俊
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 篤
(72)【発明者】
【氏名】大塚 康弘
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 賢治
【審査官】 野田 定文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−202801(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/065704(WO,A1)
【文献】 特開平10−264531(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/097895(WO,A1)
【文献】 特開平06−099661(JP,A)
【文献】 特開平06−227123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/28 − 5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、少なくともロイコ染料、増感剤、顕色剤、酸化防止剤、及び、添加剤を含有する感熱記録層を設けた感熱記録体の製造方法であって、
混合分散物100質量%中、15〜24質量%の前記増感剤、10〜24質量%の前記顕色剤、及び1〜5質量%前記酸化防止剤、並びに水溶性分散剤を湿式混合粉砕して混合分散物とし、
前記混合分散物と前記添加剤を混合することで塗工液を作成し、当該塗工液を塗布することにより感熱記録層を形成し、
前記増感剤として、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン又は1,2−ジフェノキシエタンを使用し、
前記顕色剤として、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンを使用し、
前記酸化防止剤として、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘクシルフェニル)ブタンを使用し、
及び、
前記添加剤として、α−{4−[(ヒドロキシフェニル)スルホニル]フェニル}−ω−ヒドロキシポリ(重合度n=1〜7)(オキシエチレンオキシエチレンオキシ−p−フェニレンスルホニル−p−フェニレン)を使用することを特徴とする感熱記録体の製造方法
【請求項2】
前記混合分散物の平均粒子径が0.7〜1.2μmの範囲にあることを特徴とする、請求項に記載の感熱記録体の製造方法
【請求項3】
前記添加剤が、水溶性分散剤の存在下で湿式粉砕されたものであり、その平均粒子径が0.3〜0.8μmの範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の感熱記録体の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロイコ染料と顕色剤との発色反応を利用した感熱記録体に関する。
【背景技術】
【0002】
ロイコ染料(電子供与呈色性化合物)と顕色剤(電子受容性化合物)との加熱発色反応を利用した感熱記録紙は、例えば、特許文献1〜3等に開示されているように広く実用化されている。一般に、感熱記録紙は、ロイコ染料と顕色剤とをそれぞれ別々に微細な粒子に摩砕分散した後、両者を混合し、バインダー、充填剤、感度向上剤、滑剤その他の助剤を添加して得た塗液を紙およびフィルム等の支持体に塗工したものであり、加熱による瞬時の化学反応により発色記録を得るものである。このような感熱記録紙においては、無色染料の品種を選択することにより各種の色相の発色が得られる。
【0003】
近年、感熱記録方式が普及し、用途が多様化するとともに、記録の高速化と画質の向上すなわち解像度を上げるための高密度化が重要視されてきた。このため、記録装置のサーマルヘッドの熱エネルギーはより小さくなる傾向にあり、これに使用する感熱記録紙に対しては、微小な熱量でも鮮明な発色記録を得るに充分な発色感度を保有することが要求されている。
【0004】
感熱発色材をサーマルヘッドで発色させる感熱記録(感熱印字)においては、省エネルギー,サーマルヘッドの長寿命化等の観点から、より小さい印字エネルギーで高い発色濃度の得られる感熱記録材料の開発が強く望まれている。通常、感熱記録材料は、ロイコ系染料等の呈色剤、3,3’−ジアリル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン等の顕色剤、2−ベンジルオキシナフタレン等の増感剤、必要に応じ、ステアリン酸亜鉛等の滑剤などからなる材料が結着剤中に分散されたものである。例えば、特許文献4には、増感剤として、2−ベンジルオキシナフタレンを用いた感熱記録材料が記載されている。この感熱記録材料は、低い熱エネルギーで高濃度の発色画像が得られる熱応答性に優れた感熱記録材料に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭43−4160号
【特許文献2】特公昭45−14039号
【特許文献3】特開昭48−27736号
【特許文献4】特開昭61−199987号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、より耐湿性や耐熱性に優れ、記録感度が高く、ドット再現性に優れた感熱記録体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の感熱記録体は
支持体上に、少なくともロイコ染料、増感剤、顕色剤、酸化防止剤、及び、添加剤を含有する感熱記録層を設け、
前記感熱記録層には、感熱記録層の全固形分に対して、
前記増感剤として、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン又は1,2−ジフェノキシエタンの少なくとも1種を10〜32質量%、
前記顕色剤として、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンを10〜28質量%、
前記酸化防止剤として、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘクシルフェニル)ブタンを0.1〜10質量%、及び、
前記添加剤として、α―{4―[(ヒドロキシフェニル)スルホニル]フェニル}―ω―ヒドロキシポリ(重合度n=1〜7)(オキシエチレンオキシエチレンオキシ―p―フェニレンスルホニル−p−フェニレン)を3〜15質量%含有するものとする。
【0008】
また、本発明の感熱記録体は、前記増感剤、前記顕色剤、及び前記酸化防止剤を、水溶性分散剤の存在下で湿式混合粉砕して混合分散物とし、該混合分散物を感熱記録層中に含有させてもよい。
【0009】
また、本発明の感熱記録体は、前記混合分散物の平均粒子径を0.7〜1.2μmの範囲としてもよい。
【0010】
また、本発明の感熱記録体は、添加剤が、水溶性分散剤の存在下で湿式粉砕されたものであり、その平均粒子径が0.3〜0.8μmの範囲にあってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明であれば、耐湿性や耐熱性に優れ、記録感度が高く、ドット再現性に優れる感熱記録体を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
感熱記録体の感熱記録層に含有させる感熱記録材料の組み合わせは様々あるが、検討の結果、少なくともロイコ染料、増感剤、顕色剤、酸化防止剤、及び、添加剤を含有させ、さらに具体的には、増感剤として、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン又は1,2−ジフェノキシエタンの少なくとも1種と、顕色剤として、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、及び、更に、酸化防止剤として、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘクシルフェニル)ブタン、及び、添加剤として、α−{4−[(ヒドロキシフェニル)スルホニル]フェニル}−ω−ヒドロキシポリ(重合度n=1〜7)(オキシエチレンオキシエチレンオキシ−p−フェニレンスルホニル−p−フェニレン)を特定の配合量で用いることにより、耐湿性、耐熱性及び記録感度のバランスが最も優れていることを見出し、本発明に至った。
【0013】
即ち、本発明の感熱記録体は、支持体上に、少なくともロイコ染料、増感剤、顕色剤、酸化防止剤、及び、添加剤を含有する感熱記録層を設け、前記感熱記録層には、感熱記録層の全固形分に対して、前記増感剤として、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン又は1,2−ジフェノキシエタンの少なくとも1種を10〜32質量%含有し、前記顕色剤として、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンを10〜28質量%含有し、更に、酸化防止剤として、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘクシルフェニル)ブタンを0.1〜10質量%を含有し、さらに、添加剤として、α−{4−[(ヒドロキシフェニル)スルホニル]フェニル}−ω−ヒドロキシポリ(重合度n=1〜7)(オキシエチレンオキシエチレンオキシ−p−フェニレンスルホニル−p−フェニレン)を3〜15質量%含有するものである。
【0014】
本発明の感熱記録体の感熱記録層に用いるロイコ染料としては、特に限定するものではなく、感熱記録体の分野で用いられる公知のロイコ染料を1種又は2種以上用いることができる。このようなロイコ染料には、トリフェニルメタン系、フルオラン系、フェノチアジン系、オーラミン系、スピロピラン系、インドリルフタリド系等のロイコ染料がある。具体例としては、例えば、2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、クリスタルバイオレットラクトン、3−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−(p−トルイジノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−(N−エチル−N−ヘキシルアミノ)−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、及び3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3’−(6’−ジメチルアミノ)フタリド等が挙げられる。
【0015】
これらのロイコ染料の中でも、フルオラン系のロイコ染料が好ましい。具体的には、好ましくは、2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、及び3−(N−エチル−N−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオランがよく、特に好ましくは、2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランがよい。耐熱性と記録感度のバランスが特に優れているからである。
【0016】
感熱記録層中のロイコ染料の含有量は、感熱記録層の全固形分に対して6〜12質量%範囲とすることが好ましく、より好ましくは7〜11質量%である。6〜12質量%の範囲であれば、発色感度と耐熱性が良好な感熱記録体が得られるからである。6質量%未満であると記録感度が低下しやすい。また、12質量%を超えるとドット再現性が低下しやすい。
【0017】
ロイコ染料は、水を分散媒とし、ボールミル、サンドミル等の攪拌・粉砕機により粉砕することができる。分散媒中には水溶性分散剤を添加することが好ましい。水溶性分散剤としては、完全鹸化ポリビニルアルコール、部分鹸化ポリビニルアルコール、スルホン変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。特にヒドロキシプロピルメチルセルロースは微粒子化に優れ、少量の添加量で分散が可能であるため、より好ましく用いられる。ロイコ染料は単独で粉砕してもよいが、後述する増感剤、顕色剤、及び、酸化防止剤と共に混合し、同時に混合粉砕することで、平均粒子径が細かくなり易く、記録感度が向上させることができる。
【0018】
ロイコ染料の平均粒子径は0.2〜0.7μmが好ましく、より好ましくは0.3〜0.5μmである。0.2〜0.7μmの範囲であれば、分散効率が良好であり、優れた画質の感熱記録体が得られる。0.2μm未満であると白色度が低下しやすい。また、0.7μmを超えると記録感度が低下しやすい。
【0019】
本発明においては、増感剤として、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、及び1,2−ジフェノキシエタンから少なくとも1種を用いる。この2種の増感剤は、比較的融点が低く、ロイコ染料との親和性が高いため増感効果が高く、ファックスや各種プリンター用紙等、耐熱性が求められない高感度の感熱記録紙に使用されている。なかでも、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンは、耐熱性と記録感度に優れ、好ましく用いられる材料である。1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン及び1,2−ジフェノキシエタンから選ばれる少なくとも1種の増感剤は、感熱記録層の全固形分に対して10〜32質量%含有させ、より好ましくは15〜20質量%含有させる。含有量が10質量%未満であると記録感度が低下する。また、含有量が32質量%を超えると耐熱性が低下する。尚、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、又は1,2−ジフェノキシエタンのどちらか一方のみを用いる場合は、その一方の含有量が感熱記録層の全固形分に対して10〜32質量%であればよく、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンと、1,2−ジフェノキシエタンとを併用する場合は、その合計含有量が10〜32質量%であればよい。
【0020】
また、本発明においては、本発明の目的とする効果を阻害しない範囲において他の増感剤を更に使用してもよい。他の増感剤としては、例えば、ステアリン酸アミド、ステアリン酸メチレンビスアミド、ステアリン酸エチレンビスアミド、4−ベンジルビフェニル、p−トリルビフェニルエーテル、ジ(p−メトキシフェノキシエチル)エーテル、1,2−ジ(4−メトキシフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−クロロフェノキシ)エタン、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−(3−メチルフェノキシ)エタン、2−ナフチルベンジルエーテル、1−(2−ナフチルオキシ)−2−フェノキシエタン、1,3−ジ(ナフチルオキシ)プロパン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ−p−メチルベンジル、シュウ酸ジ−p−クロルベンジル、テレフタル酸ジブチル、テレフタル酸ジベンジル等が挙げられる。
【0021】
本発明においては、顕色剤として、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンを用いる。2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンは記録感度に優れるため、好適に用いることができる。2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンの含有量は、感熱記録層の全固形分に対して10〜28質量%とし、好ましくは13〜20質量%とする。含有量が10質量%未満であると記録感度が低下する。また、28質量%を超えるとドット再現性が低下する。
【0022】
2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンの平均粒子径は、特に限定するものではないが、0.7〜1.2μmが好ましく、より好ましくは0.8〜1.0μmである。0.7〜1.2μmの範囲であれば、分散効率が良好であり、優れた画質の感熱記録体が得られやすい。0.7μm未満であるとドット再現性が低下するおそれがある。また、1.2μmを超えると記録感度が低下しやすい。
【0023】
また、本発明においては、本発明の目的とする効果を阻害しない範囲において他の顕色剤を更に使用してもよい。他の顕色剤としては、例えば、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホン、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジアリル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−メチルジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン等のフェノール性化合物、N−p−トリルスルホニル−N’−フェニルウレア、4,4’−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルメタン、4,4’−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホン、N−p−トリルスルホニル−N’−p−ブトキシフエニルウレア等の分子内にスルホニル基とウレイド基を有する化合物、4−〔2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸亜鉛、4−〔3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸亜鉛、5−〔p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸等の芳香族カルボン酸の亜鉛塩等が挙げられる。
【0024】
本発明においては、感熱記録層中に、酸化防止剤として、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘクシルフェニル)ブタンを含有させる。1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘクシルフェニル)ブタンは、酸化防止剤としての効果があり、記録像の保存性を得るために用いるが、前述の増感剤及び顕色剤と併用することで、さらに耐可塑剤性、耐熱性の向上に効果がある。当該酸化防止剤の感熱記録層中の含有量は、感熱記録層の全固形分に対して0.1〜10質量%の範囲とする。より好ましくは1〜5質量%である。0.1質量%未満であると耐可塑剤性が低下する。また、10質量%を超えると耐熱性が低下する。
【0025】
本発明においては、感熱記録層中に、更に、添加剤として、α−{4−[(ヒドロキシフェニル)スルホニル]フェニル}−ω−ヒドロキシポリ(重合度n=1〜7)(オキシエチレンオキシエチレンオキシ−p−フェニレンスルホニル−p−フェニレン)を含有させる。当該添加剤は、記録像の保存性を得るために用いるが、前述の増感剤及び顕色剤と併用することで、耐可塑剤性、耐水性、耐熱性が向上し、特に油や可塑剤等に対する保存性を向上させることができる。添加剤の感熱記録層中の含有量は、感熱記録層の全固形分に対して3〜15質量%とし、好ましくは3〜8質量%とする。感熱記録層中の含有量が3質量%未満であると耐可塑剤性や耐水性が低下する。また、15質量%を超えると耐熱性が低下する。
【0026】
添加剤としてのα−{4−[(ヒドロキシフェニル)スルホニル]フェニル}−ω−ヒドロキシポリ(重合度n=1〜7)(オキシエチレンオキシエチレンオキシ−p−フェニレンスルホニル−p−フェニレン)は、ポリビニルアルコール等の水溶性分散剤を用いて粉砕することが好ましい。水溶性分散剤の存在下に湿式粉砕すると、平均粒子径が細かくなり易く、油や可塑剤等に対する保存性向上剤としてより好適に利用できる。
【0027】
α−{4−[(ヒドロキシフェニル)スルホニル]フェニル}−ω−ヒドロキシポリ(重合度n=1〜7)(オキシエチレンオキシエチレンオキシ−p−フェニレンスルホニル−p−フェニレン)の平均粒子径は0.3〜0.8μmが好ましく、より好ましくは0.4〜0.6μmである。0.3〜0.8μmの範囲であれば、分散効率が良好であり、優れた画質の感熱記録体が得られやすい。0.3μm未満であると記録感度が低下しやすく、0.8μmを超えるとドット再現性が低下しやすい。
【0028】
前述の増感剤(1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン又は1,2−ジフェノキシエタンの少なくとも1種)、顕色剤(2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン)、及び、酸化防止剤(1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘクシルフェニル)ブタン)は、所望の粒子径となるようにそれぞれ単独で粉砕することもできる。しかしながら、本発明においては、前記増感剤、前記顕色剤、及び前記酸化防止剤を水溶性分散剤の存在下で混合して同時に粉砕することが好ましい。平均粒子径が細かくなり易く、記録感度が向上するからである。粉砕の方法としては、水を分散媒とし、ボールミル、サンドミル等の攪拌・粉砕機により粉砕することができる。分散媒には水溶性分散剤を添加することが好ましい。水溶性分散剤としては、完全鹸化ポリビニルアルコール、部分鹸化ポリビニルアルコール、スルホン変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等を用いることができる。特にヒドロキシプロピルメチルセルロースは微粒子化に優れ、少量の添加量で分散が可能であるため、より好ましく用いられる。
【0029】
前記混合分散物の平均粒子径は0.7〜1.2μmが好ましく、より好ましくは0.8〜1.0μmである。0.7〜1.2μm程度の範囲であれば、分散効率が良好であり、優れた画質の感熱記録体が得られる。
【0030】
その他、感熱記録層中には、通常の感熱記録体に使用される公知の顔料を含有させることも可能である。顔料の具体例として、例えばカオリン、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、焼成カオリン、無定形シリカ、酸化チタン、炭酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、コロイダルシリカ、尿素−ホルマリン樹脂フィラー、プラスチックピグメント等が挙げられる。これら顔料の感熱記録層中の含有量は特に限定するものではないが、感熱記録層の全固形分に対して1〜35質量%含有させることが好ましい。
【0031】
また、感熱記録層には接着剤を含有させることが好ましい。例えば、種々の分子量のポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、澱粉及びその誘導体、メトキシセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、及びエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル−メタクリル酸3元共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、及びカゼイン等の水溶性高分子材料、並びにポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、及びスチレン−ブタジエン−アクリル系共重合体等の疎水性重合体のラテックス等が挙げられ、1種類または2種類以上で併用することも可能である。
【0032】
感熱記録層中の接着剤の含有量は、感熱記録層の全固形分に対して5〜40質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜30質量%である。5〜40質量%の範囲であれば、感熱記録層の強度も問題なく、記録感度の低下の恐れもない。尚、前述したロイコ染料や、増感剤、顕色剤等の感熱記録層中に含有させる材料の粉砕時に水溶性分散剤を用いた場合には、その水溶性分散剤をそのまま感熱記録層中に含有させる接着剤として用いることもできる。
【0033】
感熱記録層中には、前述した各材料の他、必要に応じて各種助剤を含有させてもよい。このような助剤としては、滑剤(例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレンワックス、ポリオレフィン樹脂エマルジョン等)、消泡剤、濡れ剤、防腐剤、蛍光増白剤、分散剤、増粘剤、着色剤、帯電防止剤、架橋剤等、公知のものを用いることができる。
【0034】
本発明の感熱記録体に用いられる支持体としては、紙、表面に顔料及びラテックス等を塗工したコーテッド紙、ポリオレフィン系樹脂から作られた複層構造の合成紙、プラスチックフィルム、又は、これらの複合体シート等から選ぶことができる。
【0035】
支持体に感熱記録層を設ける方法としては、感熱記録層用塗工液を支持体に塗布し、乾燥することで設けることができる。感熱記録層用塗工液は前述した各種材料を水に溶解または分散したものを混合して得ることができる。
【0036】
感熱記録層用塗工液の支持体への塗布方法としては、特に限定するものではなく、例えば、エアナイフコーティング、バリバーブレードコーティング、ピュアブレードコーティング、グラビアコーティング、ロッドブレードコーティング、ショートドウェルコーティング、カーテンコーティング、バーコーティング、ダイコーティング等の従来公知の塗布方法がいずれも採用できる。
【0037】
感熱記録層用塗工液の支持体への塗布量は、特に限定するものではないが、支持体の片面あたり、固形分重量で1〜10g/mとすることが好ましく、更には4〜7g/mとすることが好ましい。
【0038】
また、支持体と感熱記録層との間には、必要に応じて下塗層を設けてもよい。記録感度及び記録走行性をより高めることができる。下塗層としては、顔料と接着剤とを主成分とする顔料塗工層とすることができる。下塗層の塗工量は特に限定するものではないが、3〜10g/mとすることが好ましく、5〜8g/mとすることがより好ましい。
【0039】
下塗層に用いる顔料としては、特に限定するものではないが、焼成クレー、焼成カオリン、無定形シリカ、軽質炭酸カルシウム、タルク等の無機顔料が挙げられる。下塗層中の顔料の含有量についても特に限定するものではないが、下塗層の全固形分に対して50〜90質量%が好ましく、60〜80質量%がより好ましい。
【0040】
下塗層に用いる接着剤としては、前記感熱記録層に使用される接着剤が適宜使用し得るが、特に澱粉−酢酸ビニルグラフト共重合体、各種ポリビニルアルコール、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックスが好ましい。各種ポリビニルアルコールとしては、完全鹸化ポリビニルアルコール、部分鹸化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、珪素変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。下塗層中の接着剤の含有量についても特に限定するものではないが、下塗層の全固形分に対して1〜20質量%が好ましく、2〜10質量%がより好ましい。
【0041】
また、下塗層には、必要に応じて、各種助剤を用いることができる。このような助剤としては、滑剤、消泡剤、濡れ剤、防腐剤、蛍光増白剤、分散剤、増粘剤、着色剤、帯電防止剤、架橋剤、等が挙げられる。
【0042】
支持体に下塗層を設ける方法としては、下塗層用塗工液を支持体に塗布し、乾燥することで設けることができる。下塗層用塗工液は前述した各種材料を水に溶解または分散することで得ることができる。
【0043】
下塗層用塗工液の塗布方法としては、特に限定するものではなく、例えば、エアナイフコーティング、バリバーブレードコーティング、ピュアブレードコーティング、グラビアコーティング、ロッドブレードコーティング、ショートドウェルコーティング、カーテンコーティング、ダイコーティング等の従来公知の塗布方法がいずれも採用できる。
【0044】
本発明の感熱記録体においては、感熱記録層上に更に保護層を設けることが好ましい。保護層を構成する成分は公知の顔料、接着剤、各種助剤等を用いることができる。
【0045】
保護層に使用する顔料としては、無定形シリカ、カオリン、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、焼成カオリン、酸化チタン、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、コロイダルシリカ、合成層状雲母、尿素−ホルマリン樹脂フィラー等のプラスティックピグメント等が挙げられる。
【0046】
また、保護層に使用する接着剤としては、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、アクリル樹脂、澱粉及びその誘導体、セルロース及びその誘導体、ゼラチン、カゼイン等が挙げられる。なかでも、可塑剤や油等の溶剤に対する感熱記録層の保護性に特に優れていることから、ポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールが好ましく、とりわけアセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール等の各種変性ポリビニルアルコールがより好ましく用いられる。これら変性ポリビニルアルコールの中でも、重合度が500〜5000、特に700〜4500のアセトアセチル変性ポリビニルアルコールや、重合度が500〜3000、特に700〜3000のジアセトン変性ポリビニルアルコールが好ましく使用される。
【0047】
その他、保護層中には公知の助剤、例えば、滑剤、消泡剤、濡れ剤、防腐剤、蛍光増白剤、分散剤、増粘剤、着色剤、帯電防止剤、架橋剤等の各種助剤を適宜添加してもよい。
【0048】
保護層の塗布量は、固形分換算で0.5〜2.0g/mが好ましく、更に好ましくは0.8〜1.5g/mである。下塗層用塗液の塗布方法としては、特に限定されず、例えば、エアナイフコーティング、バリバーブレードコーティング、ピュアブレードコーティング、グラビアコーティング、ロッドブレードコーティング、ショートドウェルコーティング、カーテンコーティング、ダイコーティング等の従来公知の塗布方法がいずれも採用できる。
【実施例】
【0049】
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに特に限定されるものではない。また特に断らない限り例中の部及び%はそれぞれ質量部及び質量%を示す。
【0050】
<実施例1>
(下塗層の形成)
水 2質量部
焼成クレー(商品名:BASF社製、アンシレックス93) 80質量部
ポリビニルアルコール10%水溶液(商品名:クラレ社製、PVA−217) 2質量部
スチレン・ブタジエン共重合ラテックス(固形分濃度40%)
(商品名:日本エイアンドエル社製、スマーテックスPA−9281) 16質量部
【0051】
この組成物を混合攪拌して下塗層用塗工液を得た。この下塗層用塗工液を乾燥後の塗布量が5g/mとなるように上質紙の一方の面に塗布・乾燥して下塗層を形成した。
【0052】
(A液の調成)
2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン
(商品名:山田化学社製、ODB−2) 25質量部
ポリビニルアルコール10%水溶液
(商品名:クラレ社製、PVA−217) 40質量部
水 35質量部
【0053】
この組成物を平均粒子径が0.5μmになるまでボールミルで粉砕してA液を得た。
【0054】
(B液の調成)
1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン
(商品名:三光社製、KS−232) 20質量部
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘクシルフェニル)ブタン(商品名:旭電化社製、DH−43) 1質量部
2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン
(商品名:日華化学株式会社製、BPS−24C) 14質量部
ポリビニルアルコール10%水溶液(商品名:クラレ社製、PVA−217)
20質量部
水 45質量部
【0055】
この組成物を平均粒子径が0.9μmになるまでボールミルで粉砕してB液を得た。
【0056】
(C液の調成)
α−{4−[(ヒドロキシフェニル)スルホニル]フェニル}−ω−ヒドロキシポリ(重合度n=1〜7)(オキシエチレンオキシエチレンオキシ−p−フェニレンスルホニル−p−フェニレン)(商品名:日本曹達株式会社製、D−90) 25質量部
ポリビニルアルコール10%水溶液
(商品名:クラレ社製、PVA−217) 40質量部
水 35質量部
【0057】
この組成物を平均粒子径が0.6μmになるまでボールミルで粉砕してC液を得た。
【0058】
(感熱記録層用塗工液の調製)
A液 10質量部
B液 45質量部
C液 8質量部
炭酸カルシウム(白石カルシウム社製、ハクエンカPZ) 8質量部
ポリビニルアルコール10%水溶液(商品名:クラレ社製、PVA−217) 5質量部
スチレン・ブタジエン共重合ラテックス(固形分濃度40%)
(商品名:日本エイアンドエル社製、スマーテックスPA−9281) 6質量部
水 18質量部
【0059】
この組成物を混合攪拌して感熱記録層用塗工液を得た。
【0060】
(感熱層の形成)
感熱記録層用塗工液を、前記下塗層上に乾燥後の塗布量が5g/mとなるように塗布・乾燥して感熱記録層を形成した。
【0061】
(D液の調成)
水酸化アルミニウム 30質量部
ポリビニルアルコール10%水溶液
(商品名:クラレ社製、PVA−217) 20質量部
水 50質量部
【0062】
この組成物を平均粒子径が0.7μmになるまでボールミルで粉砕してD液を得た。
【0063】
(保護層用塗工液の調成)
D液 45質量部
ポリビニルアルコール10%水溶液
(商品名:クラレ社製、PVA−217) 35質量部
ステアリン酸亜鉛分散体36%
(商品名:中京油脂社製、ハイミクロンF−930) 6質量部
架橋剤(商品名:昭和高分子社製、KBX−0155) 12質量部
水 2質量部
【0064】
この組成物を混合攪拌して保護層用塗工液を得た。
【0065】
(保護層の形成)
保護層用塗工液を前記感熱記録層上に乾燥後の塗布量が0.8g/mとなるように塗布乾燥して保護層を設け、続いてスーパーキャレンダー処理を行い、目的とする感熱記録体を得た。
【0066】
<実施例2>
感熱記録層用塗工液の調製において、B液の配合量を55質量部とし、C液の配合量を3質量部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0067】
<実施例3>
下塗層用塗工液の乾燥後の塗布量を8g/mに変更し、感熱記録用塗工液の乾燥後の塗布量を7g/mに変更し、保護層用塗工液の乾燥後の塗布量を1.5g/mに変更した以外は実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0068】
<実施例4>
B液の調製において、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン20質量部を1,2−ジフェノキシエタン(商品名:三光社製、KS−235)20質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0069】
<実施例5>
B液の調製において、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンの配合量を15質量部とし、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンの配合量を20質量部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0070】
<実施例6>
B液の調製において、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンの配合量を24質量部とし、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンの配合量を10質量部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0071】
<実施例7>
B液の調製において、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンの配合量を15質量部とし、1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘクシルフェニル)ブタンの配合量を5質量部とし、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンの配合量を15質量部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0072】
<比較例1>
B液の調製において、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンの配合量を3質量部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0073】
<比較例2>
B液の調製において、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンの配合量を35質量部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0074】
<比較例3>
B液の調製において、1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘクシルフェニル)ブタンを配合しなかった以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0075】
<比較例4>
B液の調製において、1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘクシルフェニル)ブタンの配合量を20質量部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0076】
<比較例5>
B液の調製において、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンの配合量を5質量部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0077】
<比較例6>
B液の調製において、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンの配合量を35質量部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0078】
<比較例7>
感熱記録層用塗工液の調製において、B液の配合量を70質量部とし、C液を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0079】
<比較例8>
B液の調成において、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン20質量部を、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(商品名:セロゾールK−840/中京油脂社製)20質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0080】
(1)発色性試験
感熱試験機(TH−PMD/大倉電機社製)を使用して、得られた感熱記録体の感熱記録層上に下記条件で感熱記録を行った。
印加電圧 24.0V
印字パルス巾 1.0msec
印字エネルギー 0.50mj/dot
【0081】
感熱記録後、記録部の濃度を目視にて判定し、以下の3段階で評価した。
◎:試験後の発色性が非常に鮮明であり、実用上問題なし
○:試験後の発色性が鮮明であり、実用上問題なし
×:試験後の発色性が鮮明でなく、実用上問題あり
【0082】
(2)耐湿性試験
感熱試験機(TH−PMD/大倉電機社製)を使用して、得られた感熱記録体の感熱記録層上に下記条件で感熱記録を行った。
印加電圧 24.0V
印字パルス巾 1.0msec
印字エネルギー 0.50mj/dot
【0083】
感熱記録を行った感熱記録体を40℃×90%RHの高湿度条件下に24時間整置し、整置後の記録部の濃度を目視にて判定し、以下の3段階で評価した。
◎:試験後の発色性が非常に鮮明であり、実用上問題なし
○:試験後の発色性が鮮明であり、実用上問題なし
×:試験後の発色性が鮮明でなく、実用上問題あり
【0084】
(3)耐熱性試験
感熱試験機(TH−PMD/大倉電機社製)を使用して、得られた感熱記録体の感熱記録層上に下記条件で感熱記録を行った。
印加電圧 24.0V
印字パルス巾 1.0msec
印字エネルギー 0.50mj/dot
【0085】
感熱記録を行った感熱記録体を60℃の高温乾燥条件下に24時間保整置し、整置後の記録部の濃度を目視にて判定し、以下の3段階で評価した。
◎:試験後の発色性が非常に鮮明であり、実用上問題なし
○:試験後の発色性が鮮明であり、実用上問題なし
×:試験後の発色性が鮮明でなく、実用上問題あり
【0086】
(4)耐水性試験
感熱試験機(TH−PMD/大倉電機社製)を使用して、得られた感熱記録体の感熱記録層上に下記条件で感熱記録を行った。
印加電圧 24.0V
印字パルス巾 1.0msec
印字エネルギー 0.50mj/dot
【0087】
感熱記録を行った感熱記録体を水道水中に24時間浸漬させ、自然乾燥の後、記録部の濃度を目視にて判定し、以下の3段階で評価した。
◎:試験後の発色性が非常に鮮明であり、実用上問題なし
○:試験後の発色性が鮮明であり、実用上問題なし
×:試験後の発色性が鮮明でなく、実用上問題あり
【0088】
(5)耐可塑剤性試験
感熱試験機(TH−PMD/大倉電機社製)を使用して、得られた感熱記録体の感熱記録層上に下記条件で感熱記録を行った。
印加電圧 24.0V
印字パルス巾 1.0msec
印字エネルギー 0.40mj/dot
【0089】
感熱記録を行った感熱記録体の感熱記録層上の記録部と非記録部とにポリ塩化ビニルフィルム(商品名:ダイアラップ/三菱樹脂社製)を接触させた状態で、40℃×90%RHの高湿度条件下に24時間整置し、整置後の記録部の濃度を目視にて判定し、以下の3段階で評価した。
◎:試験後の発色性が非常に鮮明であり、実用上問題なし
○:試験後の発色性が鮮明であり、実用上問題なし
×:試験後の発色性が鮮明でなく、実用上問題あり
【0090】
(6)ドット再現性試験
感熱評価機(商品名:SA4T、東芝テック社製)を用いて、印字速度152.4mm/sec、印字濃度−10で感熱記録体をベタ発色させ、記録部の発色性を目視観察し、以下の3段階で評価した。
◎:試験後の発色性が非常に鮮明であり、実用上問題なし
○:試験後の発色性が鮮明であり、実用上問題なし
×:試験後の発色性が鮮明でなく、実用上問題あり
【0091】
各実施例及び比較例に用いた各粒子の平均粒子径は、マイクロトラックによる散乱式レーザー光回折法(Leeds+Northrup社製)により測定した。
【0092】
【表1】
【0093】
表1に示す如く実施例1〜7で得られた感熱記録体はいずれもドット再現性が高く、記録により得られた画像安定性は、特に耐湿性、耐可塑剤性に優れている。
【0094】
以上から明らかな如く、本発明は諸種の性質に悪影響を及ぼすことなくドット再現性に優れ、記録により得られた画像安定性は湿度、熱、水、可塑剤などの外部条件による退色が少ない品質的に安定した感熱記録体を得ることができる。