【実施例】
【0049】
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに特に限定されるものではない。また特に断らない限り例中の部及び%はそれぞれ質量部及び質量%を示す。
【0050】
<実施例1>
(下塗層の形成)
水 2質量部
焼成クレー(商品名:BASF社製、アンシレックス93) 80質量部
ポリビニルアルコール10%水溶液(商品名:クラレ社製、PVA−217) 2質量部
スチレン・ブタジエン共重合ラテックス(固形分濃度40%)
(商品名:日本エイアンドエル社製、スマーテックスPA−9281) 16質量部
【0051】
この組成物を混合攪拌して下塗層用塗工液を得た。この下塗層用塗工液を乾燥後の塗布量が5g/m
2となるように上質紙の一方の面に塗布・乾燥して下塗層を形成した。
【0052】
(A液の調成)
2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン
(商品名:山田化学社製、ODB−2) 25質量部
ポリビニルアルコール10%水溶液
(商品名:クラレ社製、PVA−217) 40質量部
水 35質量部
【0053】
この組成物を平均粒子径が0.5μmになるまでボールミルで粉砕してA液を得た。
【0054】
(B液の調成)
1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン
(商品名:三光社製、KS−232) 20質量部
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘクシルフェニル)ブタン(商品名:旭電化社製、DH−43) 1質量部
2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン
(商品名:日華化学株式会社製、BPS−24C) 14質量部
ポリビニルアルコール10%水溶液(商品名:クラレ社製、PVA−217)
20質量部
水 45質量部
【0055】
この組成物を平均粒子径が0.9μmになるまでボールミルで粉砕してB液を得た。
【0056】
(C液の調成)
α−{4−[(ヒドロキシフェニル)スルホニル]フェニル}−ω−ヒドロキシポリ(重合度n=1〜7)(オキシエチレンオキシエチレンオキシ−p−フェニレンスルホニル−p−フェニレン)(商品名:日本曹達株式会社製、D−90) 25質量部
ポリビニルアルコール10%水溶液
(商品名:クラレ社製、PVA−217) 40質量部
水 35質量部
【0057】
この組成物を平均粒子径が0.6μmになるまでボールミルで粉砕してC液を得た。
【0058】
(感熱記録層用塗工液の調製)
A液 10質量部
B液 45質量部
C液 8質量部
炭酸カルシウム(白石カルシウム社製、ハクエンカPZ) 8質量部
ポリビニルアルコール10%水溶液(商品名:クラレ社製、PVA−217) 5質量部
スチレン・ブタジエン共重合ラテックス(固形分濃度40%)
(商品名:日本エイアンドエル社製、スマーテックスPA−9281) 6質量部
水 18質量部
【0059】
この組成物を混合攪拌して感熱記録層用塗工液を得た。
【0060】
(感熱層の形成)
感熱記録層用塗工液を、前記下塗層上に乾燥後の塗布量が5g/m
2となるように塗布・乾燥して感熱記録層を形成した。
【0061】
(D液の調成)
水酸化アルミニウム 30質量部
ポリビニルアルコール10%水溶液
(商品名:クラレ社製、PVA−217) 20質量部
水 50質量部
【0062】
この組成物を平均粒子径が0.7μmになるまでボールミルで粉砕してD液を得た。
【0063】
(保護層用塗工液の調成)
D液 45質量部
ポリビニルアルコール10%水溶液
(商品名:クラレ社製、PVA−217) 35質量部
ステアリン酸亜鉛分散体36%
(商品名:中京油脂社製、ハイミクロンF−930) 6質量部
架橋剤(商品名:昭和高分子社製、KBX−0155) 12質量部
水 2質量部
【0064】
この組成物を混合攪拌して保護層用塗工液を得た。
【0065】
(保護層の形成)
保護層用塗工液を前記感熱記録層上に乾燥後の塗布量が0.8g/m
2となるように塗布乾燥して保護層を設け、続いてスーパーキャレンダー処理を行い、目的とする感熱記録体を得た。
【0066】
<実施例2>
感熱記録層用塗工液の調製において、B液の配合量を55質量部とし、C液の配合量を3質量部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0067】
<実施例3>
下塗層用塗工液の乾燥後の塗布量を8g/m
2に変更し、感熱記録用塗工液の乾燥後の塗布量を7g/m
2に変更し、保護層用塗工液の乾燥後の塗布量を1.5g/m
2に変更した以外は実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0068】
<実施例4>
B液の調製において、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン20質量部を1,2−ジフェノキシエタン(商品名:三光社製、KS−235)20質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0069】
<実施例5>
B液の調製において、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンの配合量を15質量部とし、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンの配合量を20質量部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0070】
<実施例6>
B液の調製において、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンの配合量を24質量部とし、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンの配合量を10質量部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0071】
<実施例7>
B液の調製において、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンの配合量を15質量部とし、1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘクシルフェニル)ブタンの配合量を5質量部とし、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンの配合量を15質量部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0072】
<比較例1>
B液の調製において、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンの配合量を3質量部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0073】
<比較例2>
B液の調製において、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンの配合量を35質量部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0074】
<比較例3>
B液の調製において、1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘクシルフェニル)ブタンを配合しなかった以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0075】
<比較例4>
B液の調製において、1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘクシルフェニル)ブタンの配合量を20質量部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0076】
<比較例5>
B液の調製において、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンの配合量を5質量部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0077】
<比較例6>
B液の調製において、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンの配合量を35質量部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0078】
<比較例7>
感熱記録層用塗工液の調製において、B液の配合量を70質量部とし、C液を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0079】
<比較例8>
B液の調成において、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン20質量部を、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(商品名:セロゾールK−840/中京油脂社製)20質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0080】
(1)発色性試験
感熱試験機(TH−PMD/大倉電機社製)を使用して、得られた感熱記録体の感熱記録層上に下記条件で感熱記録を行った。
印加電圧 24.0V
印字パルス巾 1.0msec
印字エネルギー 0.50mj/dot
【0081】
感熱記録後、記録部の濃度を目視にて判定し、以下の3段階で評価した。
◎:試験後の発色性が非常に鮮明であり、実用上問題なし
○:試験後の発色性が鮮明であり、実用上問題なし
×:試験後の発色性が鮮明でなく、実用上問題あり
【0082】
(2)耐湿性試験
感熱試験機(TH−PMD/大倉電機社製)を使用して、得られた感熱記録体の感熱記録層上に下記条件で感熱記録を行った。
印加電圧 24.0V
印字パルス巾 1.0msec
印字エネルギー 0.50mj/dot
【0083】
感熱記録を行った感熱記録体を40℃×90%RHの高湿度条件下に24時間整置し、整置後の記録部の濃度を目視にて判定し、以下の3段階で評価した。
◎:試験後の発色性が非常に鮮明であり、実用上問題なし
○:試験後の発色性が鮮明であり、実用上問題なし
×:試験後の発色性が鮮明でなく、実用上問題あり
【0084】
(3)耐熱性試験
感熱試験機(TH−PMD/大倉電機社製)を使用して、得られた感熱記録体の感熱記録層上に下記条件で感熱記録を行った。
印加電圧 24.0V
印字パルス巾 1.0msec
印字エネルギー 0.50mj/dot
【0085】
感熱記録を行った感熱記録体を60℃の高温乾燥条件下に24時間保整置し、整置後の記録部の濃度を目視にて判定し、以下の3段階で評価した。
◎:試験後の発色性が非常に鮮明であり、実用上問題なし
○:試験後の発色性が鮮明であり、実用上問題なし
×:試験後の発色性が鮮明でなく、実用上問題あり
【0086】
(4)耐水性試験
感熱試験機(TH−PMD/大倉電機社製)を使用して、得られた感熱記録体の感熱記録層上に下記条件で感熱記録を行った。
印加電圧 24.0V
印字パルス巾 1.0msec
印字エネルギー 0.50mj/dot
【0087】
感熱記録を行った感熱記録体を水道水中に24時間浸漬させ、自然乾燥の後、記録部の濃度を目視にて判定し、以下の3段階で評価した。
◎:試験後の発色性が非常に鮮明であり、実用上問題なし
○:試験後の発色性が鮮明であり、実用上問題なし
×:試験後の発色性が鮮明でなく、実用上問題あり
【0088】
(5)耐可塑剤性試験
感熱試験機(TH−PMD/大倉電機社製)を使用して、得られた感熱記録体の感熱記録層上に下記条件で感熱記録を行った。
印加電圧 24.0V
印字パルス巾 1.0msec
印字エネルギー 0.40mj/dot
【0089】
感熱記録を行った感熱記録体の感熱記録層上の記録部と非記録部とにポリ塩化ビニルフィルム(商品名:ダイアラップ/三菱樹脂社製)を接触させた状態で、40℃×90%RHの高湿度条件下に24時間整置し、整置後の記録部の濃度を目視にて判定し、以下の3段階で評価した。
◎:試験後の発色性が非常に鮮明であり、実用上問題なし
○:試験後の発色性が鮮明であり、実用上問題なし
×:試験後の発色性が鮮明でなく、実用上問題あり
【0090】
(6)ドット再現性試験
感熱評価機(商品名:SA4T、東芝テック社製)を用いて、印字速度152.4mm/sec、印字濃度−10で感熱記録体をベタ発色させ、記録部の発色性を目視観察し、以下の3段階で評価した。
◎:試験後の発色性が非常に鮮明であり、実用上問題なし
○:試験後の発色性が鮮明であり、実用上問題なし
×:試験後の発色性が鮮明でなく、実用上問題あり
【0091】
各実施例及び比較例に用いた各粒子の平均粒子径は、マイクロトラックによる散乱式レーザー光回折法(Leeds+Northrup社製)により測定した。
【0092】
【表1】
【0093】
表1に示す如く実施例1〜7で得られた感熱記録体はいずれもドット再現性が高く、記録により得られた画像安定性は、特に耐湿性、耐可塑剤性に優れている。
【0094】
以上から明らかな如く、本発明は諸種の性質に悪影響を及ぼすことなくドット再現性に優れ、記録により得られた画像安定性は湿度、熱、水、可塑剤などの外部条件による退色が少ない品質的に安定した感熱記録体を得ることができる。