(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5971877
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】雪中設置用標識アンカー
(51)【国際特許分類】
A63C 19/06 20060101AFI20160804BHJP
G09F 19/22 20060101ALI20160804BHJP
E02D 5/80 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
A63C19/06 Z
G09F19/22 Z
E02D5/80 101
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-193486(P2015-193486)
(22)【出願日】2015年9月30日
【審査請求日】2016年2月10日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508245172
【氏名又は名称】渡辺 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100117374
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真一
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 達也
【審査官】
宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−057114(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0028640(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63C 19/06
G09F 7/22
G09F 17/00
G09F 19/22
E01F 9/00 − 11/00
E02D 5/22 − 5/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸本体に螺旋リブ部を設け、軸先端に径方向外方に向けて拡がるブラシ部を有する雪中設置用標識アンカーであって、
前記ブラシ部は軸方向に沿って軸基端に向かい傾斜するように複数条を配列されてなると共に、一条の前記ブラシ部は軸方向に沿って複数列に配され、前記複数列の夫々の先端部が相互に突合するように形成されてなる
ことを特徴とする雪中設置用標識アンカー。
【請求項2】
前記ブラシ部は、前記螺旋リブ部の螺旋角度と同様の角度にて配設されてなることを特徴とする請求項1に記載の雪中設置用標識アンカー。
【請求項3】
前記軸本体の周面には複数の突部を形成してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の雪中設置用標識アンカー。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一に記載の雪中設置用標識アンカーを備えることを特徴とする標識。
【請求項5】
請求項4に記載の雪中設置用標識アンカーを備える標識の設置方法であって、
雪中に前記軸本体の径より径小の孔を穿設する行程と、
前記孔に前記雪中設置用標識アンカーの下部を突き刺し固定する行程と、
前記標識に取付取外用器具を外装し前記雪中設置用標識アンカーに係合させる行程と、
前記取付取外用器具を回転させ、前記雪中設置用標識アンカーを前記孔にねじ込む行程と、
前記雪中設置用標識アンカーが所定位置に埋設された状態で、さらに前記雪中設置用標識アンカーを水平回転させて窄んだ前記ブラシ部を拡径させる行程と、
を備えることを特徴とする標識の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、スラローム等のスキー競技の標識や積雪状態における標識を支持するための雪中設置用標識アンカー及びその設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スラローム等のスキー競技の標識を支持するための雪中設置用標識アンカーとしては、例えば、特開平10−20821号公報(特許文献1)に記載のものが公知である。
【0003】
前記特許文献1に記載の雪中設置用標識アンカーは、雪中に簡単にかつ素早く設置することができ、しかも安全上の観点及びスキー競技を円滑に進める観点から、雪中に確実に保持することのできるポール支持装置を提供するために、 雪中に埋設されて、雪上に起立されるスキー競技用のポールを支持するスキー競技用のポール支持装置において、ポールの基部を支持する筒部を有し、この筒部の外周には不連続に延びるらせん状のねじ部を設けたことを特徴とするものである。
【0004】
また、先端部にブラシ部を設けた雪中設置用標識アンカーとしては、例えば、米国特許公報US7,992,900(特許文献2)に記載のものが公知である。
【0005】
前記特許文献2に記載の雪中設置用標識アンカーは、スラロームポールやスキーポールの基礎として使用されるものであって、基端側に逆立ったブラシ部が外方に向けて3方向に突出するように植設された先端部と、前記先端部より径大に形成された六角形状の柱状の基端部とを一体的に成型して構成されている。前記雪中設置用標識アンカーは、雪中に突き刺して設置するものであり、設置された場合は、にあっては、前記基端側に逆立ったブラシ部が引き抜き方向への抵抗となり、それにより引き抜き方向に対して固定されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−20821号公報
【特許文献2】米国特許公報 US7,992,900
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献1に記載の雪中設置用標識アンカーは、螺旋状のねじ部によって、螺入して固定しているが、引き抜き方向への抵抗としては、螺旋状のネジ深さだけであるので、必ずしも十分に固定されているとは言い難かった。
【0008】
一方、前記特許文献2に記載の雪中設置用標識アンカーは、前記基端側に逆立ったブラシ部が引き抜き方向への抵抗となり、それにより引き抜き方向に対して固定されているが、予め、基端部の径より小径の孔をドリル等で穿設して前記孔に圧入することにより設置するので、前記孔が小径であれば有る程、固定力は高まるが、圧入することが困難となる。一方で雪中設置用標識アンカーを圧入し易くするために前記孔に径を大きくすると、固定力が減少する。
【0009】
また、特許文献2の雪中設置用標識アンカーは、ブラシ部を多くするとより引き抜き方向に対して固定力を増すが圧入することが困難となり、一方で、圧入することが容易なようにブラシ部を少なくすると、引き抜き方向に対して固定力が減少し、二律背反することとなる。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、回転圧入することができる雪中設置用標識アンカーであって、比較的小径の孔であっても、回転させながら容易に雪中に埋設させることができると共に、一方で、引き抜き方向に対して固定力を高めた雪中設置用標識アンカーを提供することにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、前記雪中設置用標識アンカーを撤収する際に、容易に取り外すことのできる取付取外用器具を提供することにある。
【0012】
さらに、本発明の他の目的は、前記雪中設置用標識アンカーを設置する際に、より引き抜き方向に対して固定力を高めることのでき前記雪中設置用標識アンカーの設置方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に係る雪中設置用標識アンカーは、軸本体に螺旋リブ部を設け、軸先端に径方向外方に向けて拡がるブラシ部を有する雪中設置用標識アンカーであって、前記ブラシ部は軸方向に沿って軸基端に向かい傾斜するように複数条を配列されてなると共に、一条の前記ブラシ部は軸方向に沿って複数列に配され、前記複数列の夫々の先端部が相互に突合するように形成されてなることを特徴とする。
【0014】
請求項1に係る雪中設置用標識アンカーにあっては、軸本体に螺旋リブ部を設け、軸先端に径方向外方に向けて拡がるブラシ部を有する雪中設置用標識アンカーであって、前記ブラシ部は軸方向に沿って軸基端に向かい傾斜するように複数条を配列されてなると共に、一条の前記ブラシ部は軸方向に沿って複数列に配され、前記複数列の夫々の先端部が相互に突合するように形成されているので、一条の前記ブラシ条は、平面視において先端が窄まった形状となっているので、回転圧入するときの抵抗が少なく、雪中に入り易くなるとともに、前記複数列の先端において、相互に突合するように植設されているので、先端部において複数列は重なり合っているため、引き抜き抵抗を高めることができる。
【0015】
請求項2に係る雪中設置用標識アンカーは、請求項1に記載の雪中設置用標識アンカーにおいて、前記ブラシ部は、前記螺旋リブ部の螺旋角度と同様の角度にて配設されてなることを特徴とする。
【0016】
請求項2に係る雪中設置用標識アンカーにあっては、前記ブラシ部が前記螺旋リブ部の螺旋角度と同様の角度にて配設されているので、回転圧入するときに雪中に入り易いものとなると共に、撤収時における回転引き抜きについても容易となる。
【0017】
請求項3に係る雪中設置用標識アンカーは、請求項1又は2に記載の雪中設置用標識アンカーにおいて、前記軸本体の周面には複数の突部を形成してなることを特徴とする。
【0018】
請求項3に係る雪中設置用標識アンカーにあっては、請求項1又は2に記載の雪中設置用標識アンカーにおいて、前記軸本体の周面には複数の突部を形成しているので、設置状態において、固定力をより高めることができる。
【0019】
請求項4に係る標識は、請求項1乃至3の何れか一に記載の雪中設置用標識アンカーを備えることを特徴とする。
【0020】
請求項4に係る標識にあっては、請求項1乃至3の何れか一に記載の雪中設置用標識アンカーと同様の作用効果を奏する。
【0023】
請求項5に係る標識の設置方法は、請求項4に記載の雪中設置用標識アンカーを備える標識の設置方法であって、雪中に前記軸本体の径より径小の孔を穿設する行程と、前記孔に前記雪中設置用標識アンカーの下部を突き刺し固定する行程と、前記標識に取付取外用器具を外装し前記雪中設置用標識アンカーに係合させる行程と、前記取付取外用器具を回転させ、前記雪中設置用標識アンカーを前記孔にねじ込む行程と、前記雪中設置用標識アンカーが所定位置に埋設された状態で、さらに前記雪中設置用標識アンカーを水平回転させて窄んだ前記ブラシ部を拡径させる行程と、を備えることを特徴とする。
【0024】
請求項6に係る標識の設置方法雪にあっては、標識を前記雪中設置用標識アンカーが埋設する程度にねじ込み、その位置で、さらに回転させ前記ブラシ部を回転させて、周囲の雪を削り、前記ブラシ部を拡径させるので前記標識の固定力及び引き抜き強度を高めることができる。
【発明の効果】
【0025】
請求項1に記載の雪中設置用標識アンカーによれば、軸本体に螺旋リブ部を設け、軸先端に径方向外方に向けて拡がるブラシ部を有する雪中設置用標識アンカーであって、前記ブラシ部は軸方向に沿って軸基端に向かい傾斜するように複数条を配列されてなると共に、一条の前記ブラシ部は軸方向に沿って複数列に配され、前記複数列の夫々の先端部が相互に突合するように形成されているので、一条の前記ブラシ条は、平面視において先端が窄まった形状となっているので、回転圧入するときの抵抗が少なく、雪中に入り易くなるとともに、前記複数列の先端において、相互に突合するように植設されているので、先端部において複数列は重なり合っているため、引き抜き抵抗を高めることができる。
【0026】
請求項2に記載の雪中設置用標識アンカーによれば、請求項1に記載の雪中設置用標識アンカーにおいて、前記ブラシ部が前記螺旋リブ部の螺旋角度と同様の角度にて配設されているので、請求項1に記載の雪中設置用標識アンカーに加えて、回転圧入するときに雪中に入り易いものとなると共に、撤収時における回転引き抜きについても容易となる。
【0027】
請求項3に記載の雪中設置用標識アンカーによれば、請求項1又は2に記載の雪中設置用標識アンカーにおいて、前記軸本体の周面には複数の突部を形成しているので、設置状態において、固定力をより高めることができる。
【0028】
請求項4に記載の標識によれば、請求項1乃至3の何れか一に記載の雪中設置用標識アンカーを備えているので、請求項1乃至3の何れか一に記載の雪中設置用標識アンカーと同様の作用効果を奏する。
【0030】
請求項5に記載の標識の設置方法によれば、請求項4に記載の雪中設置用標識アンカーを備える標識の設置方法であって、雪中に前記軸本体の径より径小の孔を穿設する行程と、前記孔に前記雪中設置用標識アンカーの下部を突き刺し固定する行程と、前記標識に取付取外用器具を外装し前記雪中設置用標識アンカーに係合させる行程と、前記取付取外用器具を回転させ、前記雪中設置用標識アンカーを前記孔にねじ込む行程と、前記雪中設置用標識アンカーが所定位置に埋設された状態で、さらに前記雪中設置用標識アンカーを水平回転させて窄んだ前記ブラシ部を拡径させる行程と、を備えているので、標識を前記雪中設置用標識アンカーが埋設する程度にねじ込み、その位置で、さらに回転させ前記ブラシ部を回転させて、周囲の雪を削り、前記ブラシ部を拡径させるので前記標識の固定力及び引き抜き強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明に係る雪中設置用標識アンカーの正面図である。
【
図4】同雪中設置用標識アンカーの軸本体の正面視要部拡大図である。
【
図5】同雪中設置用標識アンカーのブラシ部の要部断面図である。
【
図6】同雪中設置用標識アンカーの取付取外用器具であり、(a)は略正面図であり、(b)は係合部拡大斜視図である。
【
図7】同雪中設置用標識アンカーの設置方法の手順(第1行程)を示す概略図である。
【
図8】同雪中設置用標識アンカーの設置方法の手順(第2行程)を示す概略図である。
【
図9】同雪中設置用標識アンカーの設置方法の手順(第3行程)を示す概略図である。
【
図10】同雪中設置用標識アンカーの設置方法の手順(第4行程)を示す概略図である。
【
図11】同雪中設置用標識アンカーの設置方法の手順(第5行程)を示す概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明に係る雪中設置用標識アンカー(以下、「アンカー」という。)、前記雪中設置用標識アンカーの取付取外用器具及び前記雪中設置用標識アンカーの設置方法を実施するための最良の形態について、図面に従って説明する。
【0033】
図1は本発明に係る雪中設置用標識アンカーの正面図であり、
図2は同雪中設置用標識アンカーの底面図であり、
図3は同雪中設置用標識アンカーの平面図である。
【0034】
図1乃至
図3において、10は本発明に係る雪中設置用標識アンカーであり、前記雪中設置用標識アンカー10は、円柱状の本体軸部20と、前記本体軸部20より小径であってブラシBRを植設したブラシ軸部30と、前記ブラシ軸部30の先端部に形成する略円錐状の先端突入部31とが、合成樹脂により一体的に成型されて構成されている。
【0035】
前記本体軸部20は、中空形状に形成され、後述する接続バネ50(
図8乃至
図11参照)を強制嵌合する嵌合孔21を基端部に開口させ、前記嵌合孔21の外周には四方に向け径方向外方に突出する係合突出部22を突設形成している。また、前記本体軸部20は、周面に軸方向に向けて2条ネジ状の螺旋リブ23を設ける共に、外周面全体に半球状の小突起24を突出形成している
【0036】
前記ブラシ軸部30は、中実状に成型され強度が高められており、軸の長さ方向に向けて2列を1条38として、6条のブラシ条38を周方向において等間隔かつ、軸径方向に亘って植設されている。また、前記ブラシBRは、前記ブラシ軸部30の基端方向に向けて傾斜すると共に、前記ブラシBRのブラシ径が前記本体軸部20より径大となると共に窄んだ場合は前記本体軸部20の直径範囲内に収まるように形成されている。
【0037】
前記先端突入部31は、その外径を前記本体軸部20の外径と略同径となるように、前記ブラシ軸部30より大径に形成すると共に、傾斜部に沿って、前記植設された6条のブラシBRの条間に合致する位置に雪中に突入する場合に雪塊を逃がすための逃がし溝31aを穿設している。そして、前記逃がし溝31a,31a間に残された形で形成される突部31bは前記ブラシBRの根本の直下にそれぞれ位置するので、前記先端突入部31雪中に突入する場合に、前記ブラシBRの根本を保護する効果を有することとなる。
【0038】
図4は同雪中設置用標識アンカーの本体軸部及びブラシ軸部の正面視要部拡大図であり、
図5は同雪中設置用標識アンカーのブラシ部におけるブラシ群の植設状態を示す要部断面図である。
【0039】
図4及び
図1に示すように、前記ブラシBRは、多数のブラシ毛が一つの植設孔35に植設された一個のブラシ群36が、前記ブラシ軸部30の軸の長手方向に13個、等間隔に一列に列37(37a,37b)として形成されて、前記一の列37aと隣り合う列37bのブラシ群36は、前記列37aのブラシ群36,36の間に配列される長手方向位置にて形成されると共に、一の列37aが対抗する列37bに対してそれぞれが傾斜して植設されている。そして、前記ブラシBRは、前記2列37を一つの条38として、合計6条の条38から形成されている。
【0040】
また、
図4に詳細に示すように、前記一列37aのブラシ群36は対向列37bのブラシ群36との配列角度θを、前記本体軸部20に形成された螺旋リブ23の傾斜角度θと同等の角度で形成すると共に、前記角度θは、隣り合う条38に形成されるブラシ群と同角度状に配列され形成されている。
【0041】
さらに、
図5に示すように、前記のように一条38を2列(37a,37b)で構成されるブラシBRは、前記一列37aのブラシ群36の先端36aが、前記他列37bのブラシ群36,36間に入り込むように、それぞれが他方の列に向かって周方向において傾斜するように植設されている。すなわち、前記一列37aのブラシ群36の先端36aが他列37bのブラシ群36の先端36a,36a間に入り込むように、それぞれがもたれかかるように傾斜をつけて植設されている。すなわち前記2列のブラシ群36の先端36a,36aにおいて、相互に突合するように植設されているのである。
【0042】
図6(a)は前記雪中設置用標識アンカーの取付取外用器具の略正面図であり、(b)は取付取外用器具の係合部拡大斜視図である。
【0043】
図6中、40は取付取外用器具であり、標識のポール60(
図8参照)及び前記雪中設置用標識アンカー10を外嵌することができる器具本体41と前記器具本体41と直交するように取り付けられるハンドル42とから、全体として略T字状に構成されている。
【0044】
前記器具本体41は、アルミダイキャスト製法により、概略円筒状に形成される共に、長手方向の略全長に亘り円半周に亘り切り欠くように前記ポール60を抱持できるポール嵌入部41aを形成している。そして、前記器具本体41の上端には前記ポール嵌入部41aとは平面視において対象となる位置に、嵌め入れた前記ポール60を上端で保持する半円環状のポール外抱部41bを設けて、直下に、前記ポール60をポールの側面から嵌め入れるためのポール挿入孔41dを設けている。また、前記41ポール外抱部41bとは平面視において対象となる位置であって、前記器具本体41の下部にはポール外抱横架部41cを設けている。
【0045】
そして、前記器具本体41の下端には、前記雪中設置用標識アンカー10の上端に設けられた前記係合突出部22に嵌合し、前記雪中設置用標識アンカー10を回転圧入や、回転引き抜きを行うための鈎形嵌合部43を切欠形成している。前記鈎形嵌合部43は前記係合突出部22を上方から嵌め入れるための縦型嵌合孔43aと、前記縦形嵌合孔43aに連通して前記係合突出部22を横方向に嵌め入れる横長嵌合孔43bとを備えている。
【0046】
図7乃至
図8は同雪中設置用標識アンカーの設置方法の手順(第1行程乃至第5行程)を示す概略図である。
【0047】
以上のように構成された前記雪中設置用標識アンカー10を、前記取付取外用器具40を使用して雪中に設置するには、次のような設置方法で行うと好適である。
【0048】
先ず、
図7に示すように、積雪面SGRの所望位置に、前記雪中設置用標識アンカー10の前記本体軸部20の径と略同寸又はやや小さい径の孔HLをドリル等で穿設する。
【0049】
次に、
図8に示すように、予め、前記雪中設置用標識アンカー10に接続バネ50とポール60を嵌め込んだ状態で、前記孔HLに突き刺す。このとき、前記雪中設置用標識アンカー10の前記ブラシ部BRの先端部は、前記孔HLにより窄まった状態で、前記孔HLに突入することとなる。このとき、前記孔HLの孔径を大きくすると、前記雪中設置用標識アンカー10は突入し易くなり設置し易くなるが、引き抜き抵抗が弱くなる。
【0050】
次に、
図9に示すように、前記取付取外用器具40を、前記ポール60の側部から外嵌して取り付けて、前記取付取外用器具40の前記鈎形嵌合部43を、前記雪中設置用標識アンカー10の係合突出部22に係合させるように固定する。
【0051】
次に、
図10に示すように、前記取付取外用器具40のハンドル42を持ち、回転させながら圧入させて行く。このとき、前記ブラシ部BRは、全体としては前記ブラシ部BRを窄めた状態で入り込んで行くが、前記ブラシ部BRを構成する一条の前記ブラシ条38は、平面視において先端が窄まった形状となっていると共に、前記ブラシ部BRの径が前記本体軸部20の直径範囲内に窄んで収まるため、回転圧入するときの抵抗が少なく、雪中に入り易くなる。さらに、前記ブラシ部BRを構成する前記ブラシ群36,36・・は、前記本体軸部20に形成される螺旋リブ23と同傾斜角度で植設されているので、回転圧入するときに雪中に入り易いものとなる。加えて、前記本体軸部20に前記螺旋リブ23が形成されているので、回転圧入するとき、にさらに雪中に入り易いものとなる。
【0052】
そして、
図11に示すように、前記雪中設置用標識アンカー10が埋設する程度にねじ込むと、その位置で、さらに前記取付取外用器具40を回転させ(
図11では前記取付取外用器具40の記載を省略)、前記ブラシ部BRを、その位置で回転させて、周囲の雪を削り、前記ブラシ部BRを窄まった状態から、さらに拡径させるのである。この行程により、さらに前記雪中設置用標識アンカー10の固定力及び引き抜き強度を高めることができる。
【0053】
また、設置状態においては、前記ブラシBRは、前記2列のブラシ群36の先端36a,36aにおいて、相互に突合するように植設されているので、先端部において2列のブラシ群36,36は重なり合っているため、引き抜き抵抗を高めることができる。
【0054】
一方、前記ポール60を撤収する場合は、前記取付取外用器具40を、前記ポール60の側部から外嵌して取り付けて、前記取付取外用器具40の前記鈎形嵌合部43を、前記雪中設置用標識アンカー10の係合突出部22に係合させるように固定し、回転させながら引き抜くのである。このとき、前記取付取外用器具40の前記鈎形嵌合部43は、前記雪中設置用標識アンカー10の前記係合突出部22に係合した状態で引き抜かれるので、前記ポール60を容易に引き抜くことができる。また、撤収時における回転引き抜きについても、前記本体軸部20に設けた前記螺旋リブ23と、前記螺旋リブ23と同傾斜角度で植設した前記ブラシ群36,36により、その回転が容易となる。
【0055】
なお、本実施例においては、前記雪中設置用標識アンカー10の前記ブラシ部BRを6条にて形成したが、前記ブラシ群36,36の構成に応じて、条数を変更しても良い。また、前記一条のブラシ群38を2列で構成したが、特にこの列数に限定されるものではなく、例えば3列であっても、その他の列数であっても良い。また、前記一条のブラシ条38は、2列のブラシ列を互いに傾斜して植設し、先端部で相互に突合するように構成したが、これに限定されるものではなく、一列を直立させて植設し、他列を傾斜して先端部で相互に突合するように構成しても良い。
【符号の説明】
【0056】
10 アンカー
20 本体軸部
21 嵌合孔
22 係合突出部
23 螺旋リブ
24 小突起
30 ブラシ軸部
31 先端突入部
31a 逃がし溝
31 突部
35 植設孔
36 ブラシ群
37 ブラシ列
37a 一列のブラシ列
37 対向するブラシ列
38 一条のブラシ条(2列のブラシ列にて構成される)
40 取付取外用器具
41 器具本体
41a ポール嵌入部
41b ポール外抱部
41c ポール外抱横架部
41 ポール挿入孔
42 ハンドル
43 鉤型嵌合部
43a 縦型嵌合孔
43b 横長嵌合孔
50 接続バネ
60 ポール(標識)
BR ブラシ
SGR 積雪部
HL 孔
【要約】 (修正有)
【課題】回転圧入することができる雪中設置用標識アンカーであって、比較的小径の孔であっても、回転させながら容易に雪中に埋設させることができると共に、一方で、引き抜き方向に対して固定力を高めた雪中設置用標識アンカーを提供する。
【解決手段】軸本体20に螺旋リブ部23を設け、軸先端に径方向外方に向けて拡がるブラシ部BRを有する雪中設置用標識アンカー10であって、ブラシ部は軸方向に沿って軸基端に向かい傾斜するように複数条を配列されてなると共に、一条のブラシ部は軸方向に沿って複数列に配され、複数列の夫々の先端部が相互に突合するように構成した。
【選択図】
図1