(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5971878
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】骨組構造物用構造材及びこれを用いた骨組構造物
(51)【国際特許分類】
E04H 15/34 20060101AFI20160804BHJP
E04G 21/32 20060101ALI20160804BHJP
E04G 1/14 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
E04H15/34 Z
E04G21/32 B
E04G1/14 303C
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-215440(P2015-215440)
(22)【出願日】2015年11月2日
【審査請求日】2016年3月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500094381
【氏名又は名称】株式会社サンエープロテント
(74)【代理人】
【識別番号】100129540
【弁理士】
【氏名又は名称】谷田 龍一
(74)【代理人】
【識別番号】100082474
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 丈夫
(72)【発明者】
【氏名】高山 敏彦
【審査官】
河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−036231(JP,A)
【文献】
特開2011−246881(JP,A)
【文献】
特開2008−231853(JP,A)
【文献】
実開平07−023142(JP,U)
【文献】
特開2011−122409(JP,A)
【文献】
特開2000−002022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 15/00−15/64
E04B 1/343
E04G 1/14
E04G 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列状に着脱自在に連結されて骨組構造物の柱材や梁材を構成する骨組構造物用構造材であって、前記骨組構造物用構造材は、縦向き姿勢で対向状に配置され、上端部及び下端部の両方に連結手段を設けた左右の縦材と、左右の縦材間に上下方向に沿って向きが交互になるトラス状に配設され、左右の縦材を連結する複数の斜材と、左右の縦材間に上下方向に所定の間隔を置いて水平姿勢で配設され、上下に隣接する少なくとも一部の斜材間の中間に位置して左右の縦材を連結すると共に、足場板や階段の一端部が着脱自在に係止される複数の横材と、左右の縦材の横材を連結した位置に設けられ、水平姿勢の通し桟の一端部が着脱自在に連結される連結部と、左右の縦材に上下方向に所定の間隔を置いて設けられ、縦向き姿勢の筋交の一端部が着脱自在に連結される複数の縦向き筋交用係止具と、を備えており、前記左右の縦材の上端部及び下端部に設けた連結手段は、左右の縦材の上端面及び下端面に縦材に直交する姿勢で固定された複数のボルト挿通孔を形成したフランジ板から成り、また、通し桟の一端部が連結される前記連結部は、左右の縦材の前面及び後面に縦材の長手方向に沿う姿勢で且つ縦材に垂直に固定された複数のボルト挿通孔を形成した金属板から成ることを特徴する骨組構造物用構造材。
【請求項2】
前記左右の縦材は、何れも断面形状が四角形の二本の金属製のパイプ部材を重ね合わせることにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の骨組構造物用構造材。
【請求項3】
前記左右の縦材は、各横材から所定の高さ位置に設けられ、水平姿勢の手摺の一端部が着脱自在に連結される複数の手摺用係止具を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の骨組構造物用構造材。
【請求項4】
前記左右の縦材は、横材と横材の直上に位置する手摺用係止具との間に設けられ、水平姿勢の下桟の一端部が着脱自在に連結される複数の下桟用係止具を備えていることを特徴とする請求項3に記載の骨組構造物用構造材。
【請求項5】
前記各横材は、水平姿勢の筋交の一端部が着脱自在に連結される複数の水平筋交用係止具を備えていることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の骨組構造物用構造材。
【請求項6】
前記左右の縦材のうち、一方の縦材は、上下方向に所定の間隔を置いて設けられ、骨組構造物を覆う幕体を張設するための幕体張設用レールが取り付けられる複数の取付具を備えていることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4又は請求項5に記載の骨組構造物用構造材。
【請求項7】
前記左右の縦材間の間隔は、横材に係止される足場板や階段の幅よりも広めに設定され、また、前記左右の縦材を連結する上下に隣接する横材間の間隔は、作業員が通れる間隔に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の骨組構造物用構造材。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかに記載の骨組構造物用構造材を備えた骨組構造物。
【請求項9】
前記骨組構造物をごみ焼却炉や建物の解体時にごみ焼却炉や建物全体を覆う仮設テント用の幕体張設用躯体とし、前記幕体張設用躯体は、請求項1〜7の何れかに記載の骨組構造物用構造材を直列状に連結して成る柱材及び柱材の上部に連結されて請求項1〜7の何れかに記載の骨組構造物用構造材を直列状に連結して成る梁材を有し、前後方向に所定の間隔を置いて配設された複数の主骨体と、前後方向に隣接する主骨体の柱材間及び梁材間に着脱自在に設けられ、前後方向に隣接する主骨体を連結する複数の筋交と、前後方向に隣接する主骨体の柱材間及び梁材間に着脱自在に設けられ、前後方向に隣接する主骨体を連結する複数の水平姿勢の通し桟と、前後方向に隣接する主骨体の柱材の横材間に着脱自在に架設される複数の足場板及び階段とを備えていることを特徴とする請求項8記載の骨組構造物。
【請求項10】
前後方向に隣接する前記主骨体の柱材間に着脱自在に設けられ、作業員の転落を防止するための複数の水平姿勢の手摺及び下桟を備えていることを特徴とする請求項9に記載の骨組構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ごみ焼却炉の解体時にごみ焼却炉全体を覆う大型の仮設テントの幕体張設用躯体や大型のテント倉庫の幕体張設用躯体、或いは、マンション等の建物の構築時又は解体時に建物の周囲を囲う仮設足場等を構成する骨組構造物の柱材や梁材として使用されるトラス構造の骨組構造物用構造材及びこれを用いた骨組構造物に係り、現場までの運搬を容易に行えると共に、所望の大きさの骨組構造物を簡単に構築することができ、しかも、収納スペースが小さくて保管に便利で強度的に優れている骨組構造物用構造材及びこれを用いた骨組構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、大型の仮設テントやテント倉庫、仮設足場等の骨組構造物としては、例えば、特開平09−209613号公報、特開2009−150083号公報、特開2011−241585号公報及び特開2011−246881号公報に開示されたテントフレームが知られている。
【0003】
即ち、前記テントフレーム(骨組構造物)は、図示していないが、対向状に配設した柱材及び柱材の上端部に横向き姿勢で連結された梁材により門型の主骨体を形成し、この門型の主骨体を前後方向に所定の間隔を置いて複数配設すると共に、前後方向に隣接する門型の主骨体を筋交及び桁材等で連結したものである。
【0004】
ところで、テントフレーム(骨組構造物)を構成する主骨体は、柱材と梁材とが連結自在となっており、組み立て前には、二つに分解された状態で倉庫等に保管されている。
【0005】
しかしながら、構築する仮設テントやテント倉庫、仮設足場が大型の場合には、主骨体を構成する柱材や梁材の長さがかなり長くなり、そのため、柱材や梁材の現場までの運搬が容易ではなく、また、保管するにも大きな収納スペースが必要であり、極めて不便であった。
【0006】
更に、要求される仮設テント等の大きさが異なった場合には、新たに主骨体を溶接等により作製しなければならず、緊急の要求に対応することが困難である等の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平09−209613号公報
【特許文献2】特開2009−150083号公報
【特許文献3】特開2011−241585号公報
【特許文献4】特開2011−246881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、現場までの運搬を容易に行えると共に、所望の大きさの骨組構造物を簡単に構築することができ、しかも、収納スペースが小さくて保管に便利で強度的に優れている骨組構造物用構造材及びこれを用いた骨組構造物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る骨組構造物用構造材は、直列状に着脱自在に連結されて骨組構造物の柱材や梁材を構成する骨組構造物用構造材であって、前記骨組構造物用構造材は、縦向き姿勢で対向状に配置され、上端部及び下端部
の両方に連結手段を設けた左右の縦材と、左右の縦材間に上下方向に沿って向きが交互になるトラス状に配設され、左右の縦材を連結する複数の斜材と、左右の縦材間に上下方向に所定の間隔を置いて水平姿勢で配設され、上下に隣接する少なくとも一部の斜材間の中間に位置して左右の縦材を連結すると共に、足場板や階段の一端部が着脱自在に係止される複数の横材と、左右の縦材の横材を連結した位置に設けられ、水平姿勢の通し桟の一端部が着脱自在に連結される連結部と
、左右の縦材に上下方向に所定の間隔を置いて設けられ、縦向き姿勢の筋交の一端部が着脱自在に連結される複数の縦向き筋交用係止具と、を備えており、前記左右の縦材の上端部及び下端部に設けた連結手段は、左右の縦材の上端面及び下端面に縦材に直交する姿勢で固定された複数のボルト挿通孔を形成したフランジ板から成り、また、通し桟の一端部が連結される前記連結部は、左右の縦材の前面及び後面に縦材の長手方向に沿う姿勢で且つ縦材に垂直に固定された複数のボルト挿通孔を形成した金属板から成ることに特徴がある。
【0010】
前記左右の縦材は、何れも断面形状が四角形の二本の金属製のパイプ部材を重ね合わせることにより形成されていることが好ましい。
【0011】
前記左右の縦材は、各横材から所定の高さ位置に設けられ、水平姿勢の手摺の一端部が着脱自在に連結される複数の手摺用係止具を備えていることが好ましい。
【0012】
前記左右の縦材は、横材と横材の直上に位置する手摺用係止具との間に設けられ、水平姿勢の下桟の一端部が着脱自在に連結される複数の下桟用係止具を備えていることが好ましい。
【0013】
前記各横材は、水平姿勢の筋交の一端部が着脱自在に連結される複数の水平筋交用係止具を備えていることが好ましい。
【0014】
前記左右の縦材のうち、一方の縦材は、上下方向に所定の間隔を置いて設けられ、骨組構造物を覆う幕体を張設するための幕体張設用レールが取り付けられる複数の取付具を備えていることが好ましい。
【0015】
前記左右の縦材間の間隔は、横材に係止される足場板や階段の幅よりも広めに設定され、また、前記左右の縦材を連結する上下に隣接する横材間の間隔は、作業員が通れる間隔に設定されていることが好ましい。
【0016】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る骨組構造物は、上記した本発明に係る骨組構造物用構造材を備えていることを特徴とする。
【0017】
前記骨組構造物をごみ焼却炉や建物の解体時にごみ焼却炉や建物全体を覆う仮設テント用の幕体張設用躯体とし、前記幕体張設用躯体は、上記した本発明に係る骨組構造物用構造材を直列状に連結して成る柱材及び柱材の上部に連結されて上記した本発明に係る骨組構造物用構造材を直列状に連結して成る梁材を有し、前後方向に所定の間隔を置いて配設された複数の主骨体と、前後方向に隣接する主骨体の柱材間及び梁材間に着脱自在に設けられ、前後方向に隣接する主骨体を連結する複数の筋交と、前後方向に隣接する主骨体の柱材間及び梁材間に着脱自在に設けられ、前後方向に隣接する主骨体を連結する複数の水平姿勢の通し桟と、前後方向に隣接する主骨体の柱材の横材間に着脱自在に架設される複数の足場板及び階段とを備えていることが好ましい。
【0018】
前後方向に隣接する前記主骨体の柱材間に着脱自在に設けられ、作業員の転落を防止するための複数の水平姿勢の手摺及び下桟を備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の骨組構造物用構造材は、左右の縦材、左右の縦材を連結するトラス状に配設された斜材、左右の縦材を連結する横材等を備え、左右の縦材の上端部及び下端部に連結手段を設けているため、骨組構造物用構造材の長さを短く形成しても、複数の骨組構造物用構造材を直列状に連結することにより所望の長さの柱材や梁材を構成することができる。
その結果、本発明の骨組構造物用構造材は、骨組構造物用構造材の長さを短くすることが可能となり、現場までの運搬を容易に行えると共に、収納スペースが小さくて済み、保管にも便利であり、また、直列状に連結する骨組構造物用構造材の数を変えることにより所望の長さの柱材や梁材を構成することができ、所望の大きさの骨組構造物を構築することができる。
【0020】
本発明の骨組構造物用構造材は、左右の縦材をトラス状に配設された斜材で連結すると共に、上下に隣接する斜材間の中間位置に横材を配設して左右の縦材を連結しているため、骨組構造物用構造材を剛体化することができ、外部から力がかかっても形が崩れ難くなり、骨組構造物構造体のねじれ等を防止することができる。
【0021】
本発明の骨組構造物は、主骨体を形成する柱材及び梁材が一定寸法の骨組構造物用構造材を直列状に連結することにより構成されているため、組み立てする前には現場までの運搬を容易に行えると共に、収納スペースが小さくて済み、保管にも便利であり、また、直列状に連結する骨組構造物用構造材の数を変えることにより所望の長さの柱材や梁材を構成することができ、所望の大きさの骨組構造物を構築することができる。
【0022】
本発明の骨組構造物は、前後に隣接する主骨体の柱材間に足場板及び階段を架設しているため、骨組構造物の組み立て作業や幕体の張設作業等を安全且つ容易に行える。しかも、主骨体の柱材間に手摺及び下桟を備えているため、骨組構造物の組み立て作業や幕体の張設作業等をより一層安全且つ容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係る骨組構造物用構造材の一実施形態を示す正面図である。
【
図2】
図1に示す骨組構造物用構造材の側面図である。
【
図11】本発明に係る骨組構造物の一実施形態を示し、
図1及び
図2の骨組構造物用構造材を用いてごみ焼却炉全体を覆う大型の仮設テントの幕体張設用躯体を構成した場合の骨組構造物の一部省略正面図である。
【
図15】本発明に係る骨組構造物用構造材の他の一実施形態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜
図4は本発明の一実施形態に係る骨組構造物用構造材1を示し、当該骨組構造物用構造材1は、縦向き姿勢で対向状に配置された左右の縦材2と、左右の縦材2を連結する複数の斜材3と、左右の縦材2を連結する複数の横材4と、左右の縦材2に設けられ、水平姿勢の通し桟5が連結される複数の連結部6と、左右の縦材2に設けられ、縦向き姿勢の筋交7が連結される複数の縦向き筋交用係止具8と、左右の縦材2に設けられ、水平姿勢の手摺9が連結される複数の手摺用係止具10と、左右の縦材2に設けられ、水平姿勢の下桟11が連結される複数の下桟用係止具12と、各横材4に設けられ、水平姿勢の筋交13が連結される複数の水平筋交用係止具14と、一方の縦材2に設けられ、幕体(図示省略)を張設するための幕体張設用レール(図示省略)が取り付けられる複数の取付具15とを備えており、直列状に着脱自在に連結されて大型の仮設テントや仮設足場、テント倉庫等の骨組構造物の柱材19や梁材20を構成するものである。
【0025】
具体的には、前記左右の縦材2は、
図1〜
図3に示す如く、何れも断面形状が四角形の二本の金属製のパイプ部材を重ね合わせることにより形成されており、一定の間隔を置いて縦向き姿勢で対向状に配置されている。尚、左右の縦材2の間隔は、横材4に着脱自在に係止される足場板16や階段(図示省略)の幅より広めに設定されている。
【0026】
また、左右の縦材2の上端部及び下端部には、左右の縦材2を直列状に連結可能にする連結手段17が設けられている。前記連結手段17は、左右の縦材2を直列状に連結可能にするものであり、複数のボルト挿通孔17aを形成したフランジ板から成る。このフランジ板は、左右の縦材2の上端面及び下端面に縦材2に直交する姿勢で配置され、溶接により固定されている。尚、
図1〜
図3において、18は左右の縦材2と連結手段17(フランジ板)との間に溶接より固定した複数の補強用リブである。
【0027】
前記斜材3は、断面形状が長方形の金属製のパイプ部材から形成されており、
図1に示す如く、左右の縦材2間に上下方向に沿って向きが交互になるようにトラス状に配設され、両端部が左右の縦材2に溶接されて左右の縦材2を連結している。この実施形態においては、斜材3は、左右の縦材2間に四本配設されており、向きが交互になるようになっている。
【0028】
前記横材4は、断面形状が円形の金属製のパイプ部材から形成されており、
図1に示す如く、左右の縦材2間に上下方向に所定の間隔を置いて水平姿勢で配設され、上下に隣接する少なくとも一部の斜材3間の中間に位置し、両端部が左右の縦材2に溶接されて左右の縦材2を連結している。また、この横材4には、足場板16や階段(図示省略)の一端部が着脱自在に係止されるようになっている。この実施形態においては、横材4は、左右の縦材2間に二本配設されており、上側の横材4は、上側の二本の斜材3間の真中に位置し、また、下側の横材4は、下側の二本の斜材3間の真中に位置している。尚、上下に隣接する横材4間の間隔は、作業員が通れる間隔(この例では、約2m)に設定されている。
【0029】
尚、足場板16は、
図5に示す如く、長方形状の枠体16aと、枠体16aの内側に設けた踏面板16bと、枠体16aの長手方向の両端に突出状態で設けられ、横材4に着脱自在に係止される複数のフック金具16cとを備えている。この足場板16には、長さ及び幅が同じで市販されている足場板16を使用しても良く、また、長さが同じで幅が異なる二種類の市販されている足場板16を使用しても良い。
【0030】
また、階段は、図示していないが、対向状に配設された一対の側桁と、一対の側桁間に所定間隔ごとに配設され、一対の側桁を連結する複数枚のステップと、一対の側桁の両端部に突出状態で設けられ、横材4に着脱自在に係止される複数のフック金具とを備えている。この階段には、市販の金属製の足場用階段が使用されている。
【0031】
前記連結部6は、複数のボルト挿通孔6aを形成した長方形状の金属板から成り、
図2及び
図4に示す如く、左右の縦材2の前面及び後面(
図2及び
図4に示す縦材2の左側面及び右側面)で且つ横材4を連結した位置に溶接により固定されている。この連結部6は、縦材2の長手方向に沿う姿勢で且つ縦材2に垂直に設けられており、水平姿勢の通し桟5の一端部が着脱自在に連結されるものである。
【0032】
前記通し桟5は、
図6に示す如く、断面が円形の金属製のパイプ部材から形成されており、パイプ部材の両端部が潰されて扁平状になっていると共に、この扁平部分に連結部6のボルト挿通孔6aに合致してボルトが挿通されるボルト挿通孔5aが形成されている。
【0033】
前記縦向き筋交用係止具8は、
図1に示す如く、左右の縦材2に上下方向に所定の間隔を置いて設けられており、縦向き姿勢の筋交7の一端部が着脱自在に連結されるものである。この実施形態においては、縦向き筋交用係止具8は、従来公知のグラビティロックピンから成り、左右の縦材2の対向する面で且つ各横材4の上下位置の四箇所に水平姿勢でもって溶接により固定されている。
【0034】
前記縦向き姿勢の筋交7は、
図7に示す如く、X字状の筋交に形成されており、二枚の金属製のプレートを交差状に連結して成る中心プレート7aと、中心プレート7aに溶接によりX字状に連結固定された四本の金属製の角パイプ7bと、各角パイプ7bの先端部に溶接により固定され、縦向き筋交用係止具8が挿通される貫通孔7cを形成した端部プレート7dとを備えている。
【0035】
前記手摺用係止具10は、
図1に示す如く、左右の縦材2に各横材4から所定の高さ位置に設けられており、水平姿勢の手摺9の一端部が着脱自在に連結されるものである。この実施形態においては、手摺用係止具10は、従来公知のグラビティロックピンから成り、左右の縦材2の上端部側の連結手段17(フランジ板)の対向する部分と左右の縦材2の対向する面で且つ上下に隣接する横材4間の中間位置の二箇所に水平姿勢でもって溶接により固定されている。
【0036】
前記手摺9は、
図8に示す如く、断面が円形の金属製のパイプ部材から形成されており、パイプ部材の両端部が潰されて扁平状になっていると共に、この扁平部分に手摺用係止具10が挿通されるボルト挿通孔9aが形成されている。
【0037】
前記下桟用係止具12は、
図1に示す如く、左右の縦材2に各横材4から所定の高さ位置に設けられており、水平姿勢の下桟11の一端部が着脱自在に連結されるものである。この実施形態においては、下桟用係止具12は、従来公知のグラビティロックピンから成り、左右の縦材2の対向する面で且つ横材4と横材4の直上に位置する手摺用係止具10との間に水平姿勢でもって溶接により固定されている。
【0038】
前記下桟11は、
図9に示す如く、断面が円形の金属製のパイプ部材から形成されており、パイプ部材の両端部が潰されて扁平状になっていると共に、この扁平部分に下桟用係止具12が挿通されるボルト挿通孔11aが形成されている。
【0039】
前記水平筋交用係止具14は、
図1に示す如く、各横材4に設けられており、水平姿勢の筋交13の一端部が着脱自在に連結されるものである。この実施形態においては、水平筋交用係止具14は、従来公知のグラビティロックピンから成り、各横材4の両端部下面の二箇所に下向き姿勢でもって溶接により固定されている。
【0040】
前記水平姿勢の筋交13は、
図10に示す如く、断面形状が円形の二本の金属製の丸パイプ13aをX字状に交差させて連結したものであり、各丸パイプ13aの両端部が潰されて扁平状になっていると共に、この扁平部分に水平筋交用係止具14が挿通されるボルト挿通孔13bが形成されている。
【0041】
前記取付具15は、
図1に示す如く、左右の縦材2のうち、一方の縦材2に上下方向に所定の間隔を置いて設けられており、骨組構造物を覆う幕体(図示省略)を張設するための幕体張設用レール(図示省略)が取り付けられるものである。この実施形態においては、取付具15は、左側の縦材2の外側面に上下方向に所定の間隔を置いて配設され、左側の縦材2に水平姿勢でもって溶接により固定されたボルト15aと、ボルト15aに螺着されたナット15bとから成り、幕体(図示省略)を張設するための幕体張設用レール(図示省略)が着脱自在に取り付けられるようになっている。
【0042】
而して、上述した骨組構造物用構造材1は、左右の縦材2の上端部に設けた連結手段17(フランジ板)に他の骨組構造物用構造材1の左右の縦材2の下端部に設けた連結手段17(フランジ板)を重ね合わせ、連結手段17同士を複数のボルト・ナットで締め付けることにより直列状に連結される。従って、複数の骨組構造物用構造材1を直列状に連結することにより柱材19や梁材20を構成することができる。
【0043】
尚、この実施形態においては、骨組構造物用構造材1の高さは4.1mに、左右の縦材2間の間隔(左側の縦材2の中心線と右側の縦材2の中心線の間隔)は1.48mにそれぞれ設定されている。また、下側の横材4の高さ位置は、左右の縦材2の下端から1/4の高さ位置に、上側の横材4の高さ位置は、左右の縦材2の下端から3/4の高さ位置になるように設定されている。更に、各手摺用係止具10の高さ位置は、各横材4に架設された足場板16に載っている作業員の略腰の高さになるように、また、各下桟用係止具12の高さ位置は、横材4とこの横材4の直上に位置する手摺用係止具10の中間の高さ位置になるようにそれぞれ設定されている。更に、縦向き筋交用係止具8、手摺用係止具10及び下桟用係止具12の長さはこれらに縦向き姿勢の筋交7、水平姿勢の手摺9、水平姿勢の下桟11をそれぞれ連結したときに縦向き姿勢の筋交7、手摺9、下桟11が互いに干渉しないような長さに設定されている。
【0044】
上述した構成の骨組構造物用構造材1は、左右の縦材2の上端部及び下端部に連結手段17(フランジ板)を設けているため、骨組構造物用構造材1の長さを短く形成しても、複数の骨組構造物用構造材1を直列状に連結することにより所定長さの柱材19や梁材20を構成することができる。
その結果、前記骨組構造物用構造材1は、骨組構造物用構造材1の長さを短くすることが可能となり、現場までの運搬を容易に行えると共に、収納スペースが小さくて済み、保管にも便利であり、また、直列状に連結する骨組構造物用構造材1の数を変えることにより所望の長さの柱材19や梁材20を構成することができ、所望の大きさの骨組構造物を構築することができる。
【0045】
また、前記骨組構造物用構造材1は、左右の縦材2をトラス状に配設された斜材3で連結すると共に、上下に隣接する斜材3間の中間位置に横材4を配設して左右の縦材2を連結しているため、骨組構造物用構造材1を剛体化することができ、外部から力がかかっても形が崩れ難くなり、骨組構造物構造体のねじれ等を防止することができる。
【0046】
図11〜
図14は上述した構成の骨組構造物用構造材1を用いた骨組構造物を示し、ごみ焼却炉の解体時にごみ焼却炉全体を覆う大型の仮設テントの幕体張設用躯体(テントフレーム)に構成されている。
【0047】
即ち、前記骨組構造物(幕体張設用躯体)は、骨組構造物用構造材1を直列状に且つ着脱自在に連結して成る柱材19及び柱材19の上部に連結されて骨組構造物用構造材1を直列状に且つ着脱自在に連結して成る梁材20を有し、前後方向に所定の間隔を置いて配設された複数の主骨体21と、前後方向に隣接する主骨体21の柱材19間及び梁材20間に着脱自在に設けられ、前後方向に隣接する主骨体21を連結する複数の筋交7,13と、前後方向に隣接する主骨体21の柱材19間及び梁材20間に着脱自在に設けられ、前後方向に隣接する主骨体21を連結する複数の水平姿勢の通し桟5と、前後方向に隣接する主骨体21の柱材19の横材4間に着脱自在に架設される複数の足場板16及び階段(図示省略)と、前後方向に隣接する前記主骨体21の柱材19間に着脱自在に設けられ、作業員の転落を防止するための複数の水平姿勢の手摺9及び下桟11とを備えており、骨組構造物全体を幕体(図示省略)で覆うことによりごみ焼却炉全体を覆う仮設テントに構成される。
【0048】
尚、ここで左右方向とは、骨組構造物の幅方向(
図11の左右方向)を言い、前後方向とは、骨組構造物の奥行方向(
図12の左右方向)を言う。
【0049】
前記主骨体21は、この実施形態では、
図11に示す如く、四つの骨組構造物用構造材1を直列状に連結して成る柱材19と、三つの骨組構造物用構造材1を直列状に連結して成る梁材20と、柱材19の上端部に梁材20を斜め上方を向く姿勢で連結する略L字状の中間連結材22と、梁材20の先端に連結された先端連結材23とを備えており、左右に一対配設されて先端連結材23同士を連結することにより門型に形成されている。
【0050】
前記中間連結材22及び中間連結材23は、何れも複数本の金属製のパイプ部材等を組み合わせることにより形成されており、両端部には、骨組構造物用構造材1の連結手段17(フランジ板)に着脱自在に連結される連結手段(フランジ板)が設けられている。
【0051】
また、骨組構造物用構造材1同士の連結、骨組構造物用構造材1と中間連結材22の連結、骨組構造物用構造材1と先端連結材23の連結、先端連結材23同士の連結は、それぞれ複数のボルト・ナット(図示省略)により行われている。
【0052】
尚、この実施形態においては、前記骨組構造物の幅は約31mに、骨組構造物の柱材19の高さは約17mにそれぞれ設定されている。
【0053】
上述した骨組構造物は、主骨体21を形成する柱材19及び梁材20が一定寸法の骨組構造物用構造材1を直列状に連結することにより構成されているため、組み立てする前には現場までの運搬を容易に行えると共に、収納スペースが小さくて済み、保管にも便利であり、また、直列状に連結する骨組構造物用構造材1の数を変えることにより所望の長さの柱材19や梁材20を構成することができ、所望の大きさの骨組構造物を構築することができる。
【0054】
また、この骨組構造物は、前後に隣接する主骨体21の柱材19間に足場板16及び階段(図示省略)を架設しているため、骨組構造物の組み立て作業や幕体の張設作業等を安全且つ容易に行える。しかも、主骨体21の柱材19間に手摺9及び下桟11を備えているため、骨組構造物の組み立て作業や幕体の張設作業等をより一層安全且つ容易に行える。
【0055】
図15〜
図17は本発明の他の実施形態に係る骨組構造物用構造材1を示し、当該骨組構造物用構造材1は、左右の縦材2を断面形状が四角形の一本の金属製のパイプ部材から形成し、左右の縦材2の間隔を広げると共に、左右の縦材2の上端部及び下端部に設けた連結手段17(フランジ板)の形状を変えたものであり、その他の構成は
図1に示す骨組構造物用構造材1と同様構造に構成されている。尚、
図1に示す骨組構造物用構造材1と同じ部材・部位には同一の参照番号を付している。
【0056】
この骨組構造物用構造材1及びこれを用いた骨組構造物も
図1に示す骨組構造物用構造材1及び
図11に示す骨組構造物と同様の作用効果を奏することができる。
【0057】
尚、上記の実施形態においては、左右の縦材2及び斜材3を角パイプにより形成し、横材4を丸パイプにより形成したが、他の実施形態においては、左右の縦材2及び斜材3を丸パイプにより形成し、横材4を角パイプにより形成しても良く、また、左右の縦材2、斜材3、横材4を中実材により形成しても良い。
【0058】
上記の実施形態においては、骨組構造物用構造材1に四本の斜材3、二本の横材4を使用したが、斜材3及び横材4の本数は上記の実施形態に係るものに限定されるものではなく、骨組構造物用構造材1の長さを運搬等を容易に行える長さにすることができれば、如何なる本数であっても良い。
【0059】
上記の実施形態においては、縦向き筋交用係止具8、手摺用係止具10、下桟用係止具12、水平筋交用係止具14を何れもグラビティロックピンにより形成したが、各係止具8,10,12,14は、グラビティロックピンに限定されるものではなく、縦向き姿勢の筋交7、手摺9、下桟11、水平姿勢の筋交13を着脱自在に連結することができれば、如何なる構造及び形状のものであっても良い。
【0060】
上記の実施形態においては、骨組構造物の屋根を山形に形成したが、他の実施形態においては、骨組構造物の屋根を水平に形成しても良い。
【0061】
上記の実施形態においては、骨組構造物用構造材1を用いてごみ焼却炉全体を覆う仮設テントの幕体張設用躯体(テントフレーム)を構成したが、他の実施形態においては、骨組構造物用構造材1用いて大型のテント倉庫の幕体張設用躯体(テントフレーム)を構成しても良く、或いは、骨組構造物用構造材1を用いてマンション等の建物の構築時又は解体時に建物の周囲を囲う大型の仮設足場を構成しても良い。
【符号の説明】
【0062】
1は骨組構造物用構造材
2は左右の縦材
3は斜材
4は横材
5は通し桟
6は連結部
7は縦向き姿勢の筋交
8は縦向き筋交用係止具
9は手摺
10は手摺用係止具
11は下桟
12は下桟用係止具
13は水平姿勢の筋交
14は水平筋交用係止具
15は取付具
16は足場板
17は連結手段(フランジ板)
19は柱材
20は梁材
21は主骨体
【要約】 (修正有)
【課題】所望の大きさの骨組構造物を簡単に構築することができ、しかも、収納スペースが小さくて保管に便利で強度的に優れている骨組構造物用構造材及びこれを用いた骨組構造物を提供する。
【解決手段】直列状に着脱自在に連結されて骨組構造物の柱材や梁材を構成する骨組構造物用構造材1であって、縦向き姿勢で対向状に配置され、上端部及び下端部に連結手段17を設けた左右の縦材2と、左右の縦材2間に上下方向に沿って向きが交互になるトラス状に配設され、左右の縦材2を連結する複数の斜材3と、左右の縦材2間に上下方向に所定の間隔を置いて水平姿勢で配設され、上下に隣接する少なくとも一部の斜材3間の中間に位置して左右の縦材2を連結すると共に、足場板や階段の一端部が着脱自在に係止される複数の横材4と、左右の縦材2の横材4を連結した位置に設けられ、水平姿勢の通し桟の一端部が着脱自在に連結される連結部6とを備えている。
【選択図】
図1