【実施例】
【0009】
以下に、本発明の実施例に係る測長装置1を
図1〜
図4に基づき説明する。
以下では、鋼材など(以下ではワークと言い、物品の一例である)を測長する測長装置を一例として説明する。
【0010】
この測長装置は、ワークを必要な長さで切断等の加工をするために、予めワークの端部から切断箇所までの長さを計測するものである。したがって、通常、
図1に示すように、測長装置1は、ワークを載置する支持コンベア10上に取り付けられるとともに、ワークを切断する切断機15に固定される。以下では、測長装置1から見て切断機15側を後方向、その反対側を前方向とし、この前後方向に水平面で直交する方向を左右方向として説明する。
【0011】
図1および
図2に基づいて具体的に説明すると、この測長装置1は、ワークを測長する方向である前後方向に配置されたレール(ガイド部材の一例である)2と、このレール2により前後方向で移動可能に案内される測定器3と、この測定器3に保持されるとともにワークを測長する際に当該ワークに当接する当接器4とから構成される。
【0012】
レール2の上面および左右側面には、レール2の長さ方向である前後方向にガイド溝22が形成されており、測定器3に設けられた図示しないガイドローラが、このガイド溝22により案内される。また、ガイド溝22には、図示しないが、前後方向に亘って磁気ストリップが設けられており、この磁気ストリップが測定器3の図示しないセンサーで検知されて、測定器3の移動距離が計測される。なお、測定器3がレール2の前端より前に移動することを防止するための脱落防止部材21が、レール2の前端部上面に取り付けられている。
【0013】
測定器3は、
図2に示すように、上記レール2に案内されてレール2上を移動し得る本体部30と、この本体部30の上面に取り付けられた取付アーム36に支持されて当該本体部30のレール2上での移動距離を表示する表示部35と、本体部30を手動によりレール2上で移動させるため本体部30上面に設けられた移動グリップ33と、本体部30の左側面に設けられて本体部30の移動をロックするクランプレバー34とから構成される。なお、表示部35で表示される本体部30の移動距離は、本体部30に設けられたセンサーで上記磁気ストリップを検知して、計測されるものである。
【0014】
当接器4は、本体部30の右側面で前後方向に取り付けた支持軸42を介して鉛直面内で揺動可能に配置した接続体40と、主ロッド部51および副ロッド部44(いずれも後述する)を前後方向に案内する各貫通穴が形成されるとともに上記接続体40の後側面に取り付けられた案内支持板43と、この案内支持板43および接続体40に貫通させて前後方向に配置した主ロッド部(当接ガイド体の一例である)51と、前端側が案内支持板43の主ロッド用貫通穴の外周囲に取り付けられて主ロッド部51を後方向に付勢するスプリング(付勢手段の一例である)52と、前端部を上記案内支持板43の副ロッド用貫通穴に貫通させ且つ後端面を主ロッド部51とともに当接ブロック(後述する)45に取り付けてこの当接ブロック45を前後方向に移動可能とする副ロッド部44と、前面がこれら主ロッド部51および副ロッド部44における後端面に取り付けられて後面をワークに接触させ得る当接ブロック(当接部材の一例である)45とを具備する。
【0015】
ここで、主ロッド部51について詳細に説明する。主ロッド部51には、スプリング52による後方向への付勢力を受けるためのストッパーリング53と、スプリング52による付勢力で主ロッド部51が接続体40から脱落することを防止する脱落防止リング55と、この脱落防止リング55と接続体40の衝突による衝撃を吸収する緩衝リング56とが取り付けられている。また、上記ストッパーリング53は、スプリング52による付勢力を調整できるようにするため、主ロッド部51における前後方向での固定位置を自由に調整できる構造とする。例えば、ビス54によりストッパーリング53を主ロッド部51に固定する構造とすることで、その固定位置を前後方向で自由に調整できる。
【0016】
次に、測定器3の本体部30と当接器4の接続体40との関係について、
図3に基づき説明する。
図3は、本体部30および接続体40の前後方向における中央断面を、後方向から前方向に見た一部切欠断面図である。この
図3に示すように、接続体40には本体部30に向けて突起部41を形成するとともに、本体部30には接続体40に対向する面に切欠部31を形成し、この突起部41が切欠部31内に入るようにして接続体40が配置される。さらに、本体部30には、規制ボルト32を上方から螺挿して、この規制ボルト32の下部を切欠部31の上端面から突出させており、突起部41がこの規制ボルト32の下端面で規制されることで、案内支持板43が下方に移動する方向への接続体40の回転を規制する。一方、切欠部31は、その下端面と突起部41が接触しないような大きさで形成されているので、案内支持板43が上方に移動する方向へ接続体40を回転させることはできる。
【0017】
一方、ワークを載置するための支持コンベア10は、
図1に示すように、鋼材を枠状に組んだ前後方向の架台部11と、この架台部11内に配置されるとともにワークを支持して前後方向へ搬送し得る複数のローラ12と、この架台部11を支持する伸縮自在の脚柱部13とから構成される。この支持コンベア10上への測長装置1の固定は、支持コンベア10の架台部11とレール2とを接続する保持金具14により行われる。
【0018】
また、切断機15は、ワークを載置する切断台16と、切断台16に載置したワークを切断するための回転カッター19を有するカッター部18と、カッター部18を切断台16の上方で保持するとともにこのカッター部18を下降させ得るレバー部17とを有する。
【0019】
以下、この測長装置1を用いたワークの測長およびワークの切断加工について説明する。
まず、
図1に示すような状態にするため、クレーン等により、測長装置1を支持コンベア10上に配置し、保持金具14により固定する。そして、測長装置1を切断機15の前に配置し、切断台16の上面と支持コンベア10のローラ12上端が面一になるように、支持コンベア10の脚柱部13の伸縮を調節した後、切断機15と測長装置1を固定する。
【0020】
次に、
図4(a)に示すように、切断機15のレバー部17によりカッター部18を下降させるとともに、測定器3の移動グリップ33を把持して手動により測定器3を後方向へ移動させ、当接ブロック45の後面を回転カッター19の前面に軽く(スプリング52が収縮しない程度に)接触させる。そして、この位置を基準とするため、表示部35に設けられた図示しないリセットボタンを押してセンサーによる計測をリセットする。これにより、表示部35には移動距離として「0」が表示される。
【0021】
その後、表示部35で表示される移動距離を確認しながら、測定器3を前方向へ移動させる。表示される移動距離が、必要とするワークの長さと一致すれば、測定器3の移動を停止し、クランプレバー34により測定器3の移動をロックして、測定器3をレール2上に固定する。
【0022】
そして、
図4(b)に示すように、ワークWを切断台16およびローラ12の上面に載置し、このワークWが当接ブロック45の後面に軽く接触するまで、ワークWを前方向へ搬送する。この搬送により、ワークWが当接ブロック45を押してスプリング52が収縮した場合は、スプリング52が収縮しない程度にまで、ワークWを少しずつ後方向へ戻す。
【0023】
以上のような作業により、ワークWの測長が行われる。すなわち、ワークWの前端から切断予定位置までの長さが、必要とするワークWの長さと一致する。
その後、
図4(c)に示すように、レバー部17によりカッター部18を下降させ、回転カッター19でワークWを切断する。この切断時には、ワークWが切断箇所から傾いてワークWの前端面が当接ブロック45を後方向から押し上げるが、この当接ブロック45は前方向に移動して、ワークWから受ける力を逃がす。また、前方向に移動した当接ブロック45は、スプリング52の付勢力でワークWを後方向へ押し戻す。
【0024】
一方、測長装置1を用いない場合は、
図3に示すように、案内支持板43が上方に移動する方向へ接続体40を回転させて、当接器4を測定器3側に寄せることで、他の作業を支持コンベア10上で行う際に、この当接器4が妨げとならない。
【0025】
このように、当接器4がクランプレバー34により測定器3とともにレール2上で固定されていても、当接ブロック45が前方向に移動し得るので、切断中のワークWから受ける力を逃がして測長装置1の破損を防ぐことができる。また、ワークWが傾けば、当接ブロック45がスプリング52の付勢力でワークWを後方向へ押し戻すため、切断されたワークWの飛び跳ねを防止できるとともに、ワークWの切断時における傾きを抑制することで回転カッター19の破損や磨耗を防止できる。さらに、接続体40を回転させて当接器4を測定器3側に寄せることで、測長装置1が他の作業の妨げとなることを防ぐこともできる。
【0026】
ところで、上記実施例では、測長装置、支持コンベアおよび切断機を一体とした装置について説明したが、測長装置のみで用いてもよい。
また、上記実施例では、ワーク用の測長装置について説明したが、ワーク用に限定されるものではない。
【0027】
さらに、上記実施例における測長装置の主たる材質は、測長装置が固定された支持コンベアの安定性や防食を考慮すれば、アルミ製が軽量で耐食性を有するため適しているが、これに限定されるものではなく、他の材質であってもよい。