【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本第1発明は、内壁が複数のセグメントで構成されたシールドトンネル内に、台車を用いて複数の持込管を搬入し、これら持込管同士を接続してシールドトンネル内に管路を敷設する非開削工法で使用される低床レール設備であって、
低床レール部は、台車が走行可能であり且つ台車の幅方向において対向する一対のレール部材と、両レール部材間の間隔を保持する間隔保持部材とを有し、
間隔保持部材の両端が一対のレール部材に取付けられ、
レール部材は、レール本体と、レール本体の下端に設けられた棒状のベース部材とを有し、
レール本体の長手方向とベース部材の長手方向とが同方向であり、
ベース部材がセグメント上に載置され
、
間隔保持部材がセグメントから離間して、間隔保持部材とセグメントとの間に隙間が生じるものである。
【0014】
これによると、ベース部材をセグメント上に載置することにより、レール本体をベース部材に支持した状態でシールドトンネル内に敷設することができる。この際、ベース部材はレール本体の長手方向と同方向に長い棒状の部材であるため、ベース部材が従来の枕木の代りを果たし、低床レール部の高さを、従来の枕木を備えた軌条設備の高さよりも低くすることができる。
【0015】
このため、台車が低床レール部上を走行して接続すべき持込管を接続位置まで運搬した際、台車上に搭載された接続すべき持込管の管軸心がシールドトンネル内で既に接続されている持込管の管軸心よりも低位置になる。
【0016】
その後、台車に搭載された接続すべき持込管を下方からジャッキ等の持上装置で持ち上げて、接続すべき持込管の管軸心が既に接続されている持込管の管軸心と合うように高さ調整し、この状態で、持込管同士を接続する。
【0017】
このように、接続すべき持込管は台車から持ち上げられた状態で接続されるため、接続後、持上装置を持上げ前の状態に戻すことにより、接続された持込管の下方から台車を手前に容易に引き抜くことができる。したがって、台車に搭載された持込管の上方に吊り上げ用スペースを確保する必要はなく、シールドトンネルの口径を拡大せずに、持込管の口径を拡大することができる。
【0018】
本第2発明における低床レール設備は、
内壁が複数のセグメントで構成されたシールドトンネル内に、台車を用いて複数の持込管を搬入し、これら持込管同士を接続してシールドトンネル内に管路を敷設する非開削工法で使用される低床レール設備であって、
低床レール部は、台車が走行可能であり且つ台車の幅方向において対向する一対のレール部材と、両レール部材間の間隔を保持する間隔保持部材とを有し、
レール部材は、レール本体と、レール本体の下端に設けられた棒状のベース部材とを有し、
レール本体の長手方向とベース部材の長手方向とが同方向であり、
ベース部材は第1のベース部材と第2のベース部材とからなり、
第1のベース部材は両レール本体間の内側寄りに設けられ、
第2のベース部材は両レール本体間の外側寄りに設けられ、
第2のベース部材の直径が第1のベース部材の直径より小さく、
第1および第2のベース部材が円弧状のセグメント上に載置されるものである。
【0019】
これによると、レール本体は第1のベース部材と第2のベース部材とで支持されるため、レール本体を安定して支持することができる。
また、レール本体にかかる荷重は第1のベース部材と第2のベース部材とに分散してセグメントに作用するため、セグメント内面に荷重が集中して作用することはなく、セグメント内面の損傷を防止することができる。
【0020】
本第3発明における低床レール設備は、
内壁が複数のセグメントで構成されたシールドトンネル内に、台車を用いて複数の持込管を搬入し、これら持込管同士を接続してシールドトンネル内に管路を敷設する非開削工法で使用される低床レール設備であって、
低床レール部は、台車が走行可能であり且つ台車の幅方向において対向する一対のレール部材と、両レール部材間の間隔を保持する間隔保持部材とを有し、
レール部材は、レール本体と、レール本体の下端に設けられた棒状のベース部材とを有し、
レール本体の長手方向とベース部材の長手方向とが同方向であり、
複数のレール部材がシールドトンネルの長手方向において連結されており、
ベース部材はシールドトンネルの底部に配置されたセグメントの主桁上に載置され、
低床レール部は持込管の下方からシールドトンネルの長手方向に沿って引き出し可能であるものである。
【0021】
これによると、接続すべき持込管は台車から持ち上げられた状態で接続されるため、接続後、台車を持込管の下方から手前に引き抜き、さらに、持込管の下方から低床レール部を引き出すことにより、持込管の下方から容易に低床レール設備を撤去することができる。
【0022】
本第4発明における低床レール設備は、レール本体の一端に凸部が形成されると共に他端に凹部が形成され、
連結される一方のレール本体の凸部が他方のレール本体の凹部に差込まれるものである。
【0023】
これによると、連結される一方のレール本体の凸部を他方のレール本体の凹部に差込むことにより、レール本体同士の連結部分において、一方のレール本体の端部と他方のレール本体の端部とがずれるのを防止することができる。
【0024】
本第5発明における低床レール設備は、レール部材同士の連結部分において主桁の上端部を引き出し方向における後隣りのベース部材の前端から下端へ案内する引掛り防止部がベース部材の端部に形成されているものである。
【0025】
これによると、低床レール部を引き出す際、レール部材同士の連結部分がセグメントの主桁上を引き出し方向へ通過する。このとき、主桁の上端部が引掛り防止部によって後隣りのベース部材の前端から下端へ案内されるため、主桁の上端部が後隣りのベース部材の前端に引っ掛ることは無く、後隣りのベース部材は主桁上を確実に引き出し方向へ摺動する。これにより、低床レール部は、主桁に引っ掛ることなく、確実に引き出される。
【0026】
本第6発明における低床レール設備は、引掛り防止部は、引き出し方向における後隣りのベース部材の前端部に形成され、且つ後部が前部よりも下方に傾斜した傾斜面であり、
引掛り防止部の前端部は、引き出し方向における前隣りに連結されたレール部材のベース部材の後端下部よりも上方に位置し、
引掛り防止部の後端部はベース部材の下端に続いているものである。
【0027】
これによると、低床レール部を引き出す際、主桁の上端部が後隣りのベース部材の引掛り防止部の傾斜面に摺接しながら後隣りのベース部材の前端から下端へ案内される。このため、主桁の上端部が後隣りのベース部材の前端に引っ掛ることは無く、後隣りのベース部材は主桁上を確実に引き出し方向へ摺動する。
【0028】
本第7発明における低床レール設備は、ベース部材は丸棒状であるものである。
これによると、ベース部材を、セグメント上に載置した状態で、セグメントの円弧形状に応じて周方向へ容易に摺動させることができる。このため、低床レール設備の位置をシールドトンネルの周方向において容易に調整することができる。
【0029】
本第8発明における低床レール設備は、
内壁が複数のセグメントで構成されたシールドトンネル内に、台車を用いて複数の持込管を搬入し、これら持込管同士を接続してシールドトンネル内に管路を敷設する非開削工法で使用される低床レール設備であって、
低床レール部は、台車が走行可能であり且つ台車の幅方向において対向する一対のレール部材と、両レール部材間の間隔を保持する間隔保持部材とを有し、
レール部材は、レール本体と、レール本体の下端に設けられた棒状のベース部材とを有し、
レール本体の長手方向とベース部材の長手方向とが同方向であり、
ベース部材がセグメント上に載置され、
低床レール部の引き出し方向側の端部に乗り移り用レール部が連結され、
乗り移り用レール部は、低床レール部と共にセグメント上に載置され、シールドトンネル内に設けられた軌条設備側から軌条設備よりも低い低床レール部側に向って下方へ傾斜しているものである。
【0030】
これによると、台車は、軌条設備上を走行し、軌条設備上から低床レール設備の乗り移り用レール部上を通って低床レール部上に乗り移る。尚、低床レール設備の低床レール部の高さは軌条設備の高さの高さよりも低いが、低床レール設備に乗り移り用レール部を備えることにより、低床レール部と軌条設備との上下の段差が解消され、台車を円滑に軌条設備から低床レール部へ走行させることができる。
【0031】
また、乗り移り用レール部を低床レール部に連結した状態で、低床レール設備を持込管の下方から引き出して撤去することができる。
本第9発明は、上記第1発明から第8発明のいずれか1項に記載の低床レール設備
と、この低床レール設備上を走行可能な台車
とを組み合わせた台車付きの低床レール設備であって、
台車は、持込管を支持する支持部と、支持部から持込管を持ち上げる出退自在な持上装置とを有するものである。
【0032】
これによると、接続すべき持込管を支持部で支持した状態で台車が低床レール設備上を走行することにより、持込管を接続位置まで運搬する。その後、持上装置を上方へ突出させることにより、接続すべき持込管を下方から持ち上げて、接続すべき持込管の管軸心が既に接続されている持込管の管軸心と合うように高さ調整し、この状態で、持込管同士を接続する。
【0033】
接続後、持上装置を下方へ退入させることにより、接続された持込管が台車から上方へ離間し、接続された持込管の下方から台車を手前に容易に引き抜くことができる。したがって、台車に搭載された持込管の上方に吊り上げ用スペースを確保する必要はない。
【0034】
本第10発明は、
上記請求項9に記載の台車付きの低床レール設備を使用した非開削工法であって、
複数のセグメントで構成された内壁を有するシールドトンネルを形成し、
シールドトンネル内において、持込管同士を接続する接続位置の下方に低床レール設備を載置し、
シールドトンネル内に、シールドトンネルの端部から低床レール設備に至る軌条設備を設け、
接続すべき持込管を台車に搭載し、
台車を軌条設備上から低床レール設備上に走行させて接続すべき持込管を接続位置まで運搬し、
接続位置において、台車の持上装置で接続すべき持込管を持ち上げ、接続すべき持込管の高さをシールドトンネル内で既に接続されている持込管の高さに合わせてこれら持込管同士を接続し、
接続した持込管の下方から台車を引き抜き、
軌条設備の奥端部を撤去して、低床レール設備と軌条設備との間に引出用スペースを形成し、
低床レール設備を、接続した持込管の下方から引出用スペースに引き出して、次の持込管同士の接続位置まで後退させ、軌条設備に接続することを繰り返すものである。
【0035】
これによると、接続した持込管の下方から引き出した低床レール設備を、次の持込管同士の接続位置まで後退させ、軌条設備に接続することを繰り返すことにより、一台の低床レール設備を持込管同士の接続作業毎に何回も繰り返して使用することができる。
【0036】
これにより、低床レール設備の長さを短縮することができ、シールドトンネルの端部から持込管の接続位置に達する長距離の低床レール設備を不要にすることができる。このように短距離の低床レール設備を使用することで、低床レール設備のレール部材の捩れ等を抑制することができる。