(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5971943
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】コンデンサ
(51)【国際特許分類】
H01G 9/12 20060101AFI20160804BHJP
H01G 9/08 20060101ALI20160804BHJP
H01G 11/14 20130101ALI20160804BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20160804BHJP
【FI】
H01G9/12 B
H01G9/08 F
H01G11/14
H01G11/78
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-287023(P2011-287023)
(22)【出願日】2011年12月27日
(65)【公開番号】特開2013-138042(P2013-138042A)
(43)【公開日】2013年7月11日
【審査請求日】2014年2月21日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】特許業務法人タス・マイスター国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米田 満
(72)【発明者】
【氏名】丸山 尚也
【審査官】
田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】
実開平01−065127(JP,U)
【文献】
特開平10−022180(JP,A)
【文献】
特開2010−092913(JP,A)
【文献】
実公昭57−056507(JP,Y1)
【文献】
特開2003−309047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/12
H01G 9/08
H01G 11/14
H01G 11/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータを介して陽極箔と陰極箔とを重ね合わせて巻回し、電解液を含浸してなるコンデンサ素子と、
前記コンデンサ素子を収納する有底円筒状の外装ケースと、
前記外装ケースの開口部を封口する封口体と、を備えたコンデンサであって、
前記外装ケースの内底部には、
前記内底部の中央部領域を前記内底部の最深部として、前記中央部領域から放射状に拡がる第1の傾斜面と、前記第1の傾斜面の外縁部に続く前記第1の傾斜面よりも急峻な第2の傾斜面とを有する凹部が形成され、
前記凹部内に弱体部が形成され、かつ前記外装ケースの前記内底部の外側に溝部が形成されていて、
前記凹部の外周には前記コンデンサ素子と当接する面が平坦な肉厚部が形成され、
前記コンデンサ素子における前記内底部に対向する面の外縁部が、前記肉厚部に当接して、前記内底部と前記コンデンサ素子との間に空間が形成されていることを特徴とするコンデンサ。
【請求項2】
前記最深部には、前記外装ケースの内径の3%〜28%の範囲内の直径を有する平坦部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記第1の傾斜面の傾斜角度は、前記内底部の配置面である水平面に対して、0.5°〜2.0°の範囲内の角度であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記外装ケースの内底部の縁部分の長さは、前記外装ケースの径の11%〜29%の範囲内の長さであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のコンデンサ。
【請求項5】
前記外装ケースの内底部の肉厚部の厚みは、0.5mm〜1.0mmの範囲内の厚みであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のコンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンデンサ、特に外装ケース内部に電解液を含有するコンデンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
外装ケース内部に電解液を含有するコンデンサには、電解コンデンサや電気二重層コンデンサがある。
電解コンデンサはアルミニウム、タンタルおよびニオブ等の弁金属と呼ばれる金属を電極に使用して、陽極酸化することで得られる酸化皮膜層を誘電体として利用するコンデンサである。
電気二重層コンデンサは、電極(分極性電極)と電解液の界面において、極めて短い距離で電荷が配列される現象(電気二重層)を利用したコンデンサである。
【0003】
アルミニウムを電極に使用したアルミニウム電解コンデンサは、エッチング処理および酸化皮膜形成処理が施され、電極引き出し端子が取り付けられた陽極箔と陰極箔とがセパレータを介して巻回され、素子止めテープによって固定されてコンデンサ素子が形成されている。このコンデンサ素子は駆動用電解液が含浸された後、有底筒状外装ケースに収納され、場合によっては固定材を用いてケース内に固定される。
【0004】
さらに、外装ケースの開口部には封口体が装着され、該開口部は、絞り加工により密閉された構成を有する。
【0005】
基板自立タイプのアルミニウム電解コンデンサは、この封口体の外端面に陽極端子および陰極端子が形成され、これらの端子の端部は、コンデンサ素子から引き出された陽極タブ端子および陰極タブ端子が電気的に接続されている。また、リード線タイプのアルミニウム電解コンデンサは、コンデンサ素子から引き出された陽極タブ端子および陰極タブ端子と電気的に接続されたリード端子が、封口体に設けられた挿通孔を通して外部に引き出されている。
【0006】
電気二重層コンデンサのコンデンサ素子は、アルミニウム等の金属箔からなる集電体の上に分極性電極層が形成され、電極引き出し端子が取り付けられた陽極箔および陰極箔を、セパレータを介して巻回することによって得られる。電気二重層コンデンサは、このようなコンデンサ素子が、電解液を含浸した状態で、アルミニウム等からなる有底筒状のケースに収納されたものである。このように、電気二重層コンデンサは、電極の構造が異なるだけで、アルミニウム電解コンデンサと同様の構造を有している。
【0007】
上記のような内部に電解液を含有するコンデンサは、過電圧や過リプル電流など異常ストレスが印加されると電解液が分解されてガスが発生する。このガス発生によりコンデンサの内部圧が高まるとコンデンサが破裂するため、有底円筒状の外装ケースの底部に弱体部を設け、内部圧の上昇に伴って作動して内部圧を外部に逃がす安全装置(圧力弁)としている。
【0008】
この圧力弁が作動する圧力は弱体部の厚さにより所望の圧力に設定できるが、作動圧が高いほど開弁する範囲がより広くなり、開弁後の外装ケースの底部が大きく変形してしまう問題があった。そこで、外装ケースの底面部に側壁部より厚く成形された厚肉部が形成され、この厚肉部の範囲内に薄肉部を形成するとともに、さらに薄肉部に弱体部となる線状溝を形成することで、開弁範囲を薄肉部に制限する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−307967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の安全装置においては、外装ケース底面の内部に形成された弱体部と、薄肉部のケース内側とが略平行に形成されているため、内部圧の上昇に伴う圧力が弱体部全体にかかり、薄肉部も大きく変形することになり、外装ケース底面の変形高さの低減を図る点において未だ不十分であった。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するものであり、圧力弁の作動性及び作動時における弁変形の安定化を図ることができるコンデンサを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、セパレータを介して陽極箔と陰極箔とを重ね合わせて巻回し、電解液を含浸してなるコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子を収納する有底円筒状の外装ケースと、前記外装ケースの開口部を封口する封口体と、を備えたコンデンサであって、前記外装ケースの内底部には、前記内底部の中央部領域を前記内底部の最深部として、前記中央部領域から放射状に拡がる第1の傾斜面と、前記第1の傾斜面の外縁部に続く前記第1の傾斜面よりも急峻な第2の傾斜面とを有する凹部が形成され、前記凹部内に弱体部が形成され、かつ前記外装ケース
の前記内底部の外側に溝部が形成されていて、前記凹部の外周には
前記コンデンサ素子と当接する面が平坦な肉厚部が形成され、前記コンデンサ素子における前記内底部に対向する面の外縁部が、前記肉厚部に当接して
、前記内底部と前記コンデンサ素子との間に空間が形成されていることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、第1の傾斜面及び第2の傾斜面からなる凹部を外装ケースの内底部に設けることにより、外装ケースの内圧上昇に伴う当該外装ケースの底部の変形の起点を、底面部全体ではなく、凹部のみとすることができる。これにより、内圧上昇に伴って底部を変形させる際に、当該底部の変形量を抑え、変形高さの低減を図ることができる。また、変形の起点が凹部のみとなることにより、所望とする内圧での変形の安定化を図ることができる。
【0014】
また、本発明のコンデンサにおいて、前記最深部には、前記外装ケースの内径の3%〜28%の範囲内の直径を有する平坦部が設けられていることを特徴とする。
また、本発明のコンデンサにおいて、前記第1の傾斜面の傾斜角度は、前記内底部の配置面である水平面に対して、0.5°〜2.0°の範囲内の角度であることを特徴とする。
また、本発明のコンデンサにおいて、前記外装ケースの内底部の縁部分の長さは、前記外装ケースの径の11%〜29%の範囲内の長さであることを特徴とする。
また、本発明のコンデンサにおいて、前記外装ケースの内底部の肉厚部の厚みは、0.5mm〜1.0mmの範囲内の厚みであることを特徴とする。
これらの構成にすることで、作動圧と変形量のバラツキをより低減することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のコンデンサによると、圧力弁の作動性及び作動時における弁変形の安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明のコンデンサの構成を示す斜視図及び部分的断面図である。
【
図2】本発明のコンデンサの構成を示す平面図及び拡大断面図である。
【
図3】本発明のコンデンサの弁作動前の状態を示す断面図である。
【
図4】本発明のコンデンサの弁作動後の状態を示す断面図である。
【
図5】従来のコンデンサの弁作動前の状態を示す断面図である。
【
図6】従来のコンデンサの弁作動後の状態を示す断面図である。
【
図7】本発明の他の実施の形態による凹部の構成を示す拡大断面図である。
【
図8】本発明の他の実施の形態による溝部の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面に基づき詳細に説明する。
【0018】
図1(a)、(b)に示すように、本実施の形態に係るコンデンサ1において、コンデンサ素子6は、弁金属の陽極箔8と陰極箔7との間にセパレータである電解紙9を介在させて巻回し、巻き終わり部分に巻き止めテープ5を貼り付けることによって構成され、さらにこのコンデンサ素子6には、図示しない駆動用電解液が含浸されている。
【0019】
外装ケースである金属ケース4は、上記コンデンサ素子6を収納する有底円筒状の金属ケースであり、封口体である封口端子板2は、上記コンデンサ素子6から引き出された外部引き出し用のリードタブ3が接続される一対の端子11を備えている。
【0020】
封口端子板2は金属ケース4の開口部に配設され、金属ケース4の開放端をカーリングすることにより封止するものであり、これによりコンデンサの気密性を確保するように構成されている。
【0021】
図2に示すように、金属ケース4の底部には圧力弁20が設けられている。圧力弁20は、金属ケース4の内底部に形成された平面視円形の凹部21と、金属ケース4の底部の外面側に形成された十字状の溝部31とによって構成される。
【0022】
図2(a)に示すように、凹部21は、金属ケース4の内底部において、所定の径でなる平面視略円形の凹状に形成されている。
図2(b)に示すように、凹部21は、周縁部に2つの変曲点P1及びP2を有する傾斜面によって形成されている。具体的には、金属ケース4の内底部において、中央部領域(内底部の最深部)に形成された平面視略円形の平坦部24から放射状に拡がる第1の傾斜面22と、当該第1の傾斜面22の外縁に続く第2の傾斜面23によって凹部21が形成されている。第1の変曲点P1は、第1の傾斜面22の外縁を形成し、第1の傾斜面22の緩やかな傾斜と、これよりも急峻な第2の傾斜面23の傾斜との境界をなすものである。第2の変曲点P2は、第2の傾斜面23の外縁をなすものである。第1の変曲点P1及び第2の変曲点P2によって、急峻な第2の傾斜面23からなる段差部が形成される。
【0023】
なお、本発明において、第1の傾斜面22は、平面に限られるものではなく、第1の変曲点P1から内底部の中央部領域(平坦部24)にかけて次第に斜度が緩やかになる曲面状の傾斜面としてもよい。
【0024】
内底部の中央部領域に設けられた平坦部24の直径は、金属ケース4の内径の3%〜28%の範囲で形成されている。
【0025】
3〜28%の範囲にすることで、内部に弱体部を有する凹部21を備えた構成による効果(金属ケース4の内圧上昇に伴う当該金属ケース4の底部の変形量を抑え、変形高さの低減を図ることができるという効果)に加えて、作動圧と変形量のバラツキを低減することができ、また、本発明の重要な要素である第2の傾斜面23の長さを十分に得ることができる。
【0026】
また、第1の傾斜面22の傾斜角度は、
図2(b)における水平面(内底部の配置面である水平面)に対して、0.5°〜2.0°の範囲が適切である。0.5〜2.0°の範囲とすることで、本発明で重要な要素である第1の傾斜面22の角度を十分に得ることができる。また、内部に弱体部を有する凹部21を備えた構成による効果(金属ケース4の内圧上昇に伴う当該金属ケース4の底部の変形量を抑え、変形高さの低減を図ることができるという効果)に加えて、作動圧と変形量のバラツキを低減することができる。
【0027】
また、金属ケース4の内底部の縁部分の長さL11は、金属ケース4の径の11%〜29%が適切である。11〜29%の範囲とすることで、底面肉厚部の長さを十分に確保することができるため、弁膨張抑制効果が得られる。また、内部に弱体部を有する凹部21を備えた構成による効果(金属ケース4の内圧上昇に伴う当該金属ケースの底部の変形量を抑え、変形高さの低減を図ることができるという効果)に加えて、作動圧と変形量のバラツキを低減することができる。
【0028】
また、金属ケース4の内底部の肉厚部の厚みT11は、金属ケース4の大きさに関係なく、0.5mm〜1.0mmが適切である。0.5〜1.0mmの範囲とすることで、底面肉厚部の厚みを十分に確保することができるため、弁膨張抑制効果が得られる。また、内部に弱体部を有する凹部21を備えた構成による効果(金属ケース4の内圧上昇に伴う当該金属ケース4の底部の変形量を抑え、変形高さの低減を図ることができるという効果)に加えて、作動圧と変形量のバラツキを低減することができる。
【0029】
以上のように、本実施の形態においては、圧力弁20の凹部21として、急峻な傾斜面(段差を形成する急峻な第2の傾斜面23)と、内底部の中央部領域へと延びる緩やかな傾斜面(第1の傾斜面22)を有する構成としたことにより(
図3)、金属ケース4の内圧上昇に伴う当該金属ケース4の底部の変形の起点を、内底部全体ではなく、凹部21のみとし、変形状態を略一定の状態に制御することができる(
図4)。
【0030】
この点について、従来のコンデンサ100では(
図5)、金属ケース4の底面部に本実施形態のような2つの傾斜面(第1の傾斜面22及び第2の傾斜面23)を有する凹部21が設けられていないことにより、金属ケース4の内圧上昇に伴う当該金属ケース4の底部の変形の起点が底面全体となり(
図6)、底部の変形高さが高くなる問題があったが、本実施の形態のコンデンサ1(
図3、
図4)では、この点が改善され、圧力弁20が開口したときの変形量を抑え、変形高さの低減を図ることができる。
【0031】
また、変形の起点が凹部21のみとなることにより、所望とする弁作動圧での作動性の安定化を図ることができる。
【0032】
なお、上述の実施の形態においては、
図2に示したように、急峻な第2の傾斜面23によって一段の段差を有する凹部21を金属ケース4の内底部に形成する場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、
図7に示すように、急峻な傾斜面26を追加形成することにより、傾斜面23及び26によって二段形状の凹部を構成するようにしてもよい。さらに、段数はこれに限られず、三段以上とすることもできる。
【0033】
また、上述の実施の形態においては、十字状の溝部31を形成する場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、
図8(a)、(b)、(c)に示すように、要は、弱体部が金属ケース4の底部の略中央部に配置される構成であれば、種々の形状の溝部31を適用することができる。
【実施例】
【0034】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
【0035】
まず、上述の実施の形態において説明した金属ケース4(一段形状(
図2))と、
図7に示した二段形状の凹部を有する金属ケース4と、凹部21が形成されていない従来形状の金属ケースとについて、油圧試験を行った。
【0036】
油圧試験は、溝部31及び一段形状(
図2)の凹部21を有する圧力弁20が設けられた実施形状(実施例(一段))、溝部31及び二段形状(
図7)の凹部21を有する圧力弁20が設けられた実施形状(実施例(二段))、溝部31のみからなる圧力弁が設けられた従来形状(従来例)の各金属ケースに対して、圧力弁の作動圧及び作動時(開口時)の変形高さを測定した。測定結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
表1から以下のことがわかる。本発明の実施形態に係る金属ケース4では、従来形状と比較して、弁作動圧は同等を維持しながら、油圧による急激な変形について、金属ケース4の底部の変形高さを抑制することができた。
【0039】
次に、上述の実施の形態において説明した金属ケース4(一段形状(
図2))と、
図7に示した二段形状の凹部を有する金属ケース4と、凹部21が形成されていない従来形状の金属ケースとについて、信頼性試験を行った。
【0040】
信頼性試験は、溝部31及び一段形状(
図2)の凹部21を有する圧力弁20が設けられた実施形状(実施例(一段))、溝部31及び二段形状(
図7)の凹部21を有する圧力弁20が設けられた実施形状(実施例(二段))、溝部31のみからなる圧力弁が設けられた従来形状(従来例)の各金属ケースに対して、リプル電流の印加による信頼性試験を2000時間行い、圧力弁の変形高さを測定した。測定結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
表2から以下のことがわかる。本発明の実施形態に係る金属ケース4では、従来形状と比較して、弁作動圧は同等を維持しながら、長期信頼性試験による緩やかな変形について、金属ケース4の底部の変形高さを抑制することができた。
【0043】
次に、金属ケース4の内底部の中央部領域に設けられた平坦部24(
図2(b))の直径が、金属ケース4の内径の3%〜28%の範囲内である10%で形成されている場合の圧力弁の作動圧及び作動時(開口時)の変形高さと、3%〜28%の範囲外である、1%で形成された場合及び35%で形成された場合の各々の圧力弁の作動圧及び作動時(開口時)の変形高さを測定し、測定結果の標準偏差を求めた。測定結果を表3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】
表3から以下のことがわかる。金属ケース4の内底部の中央部領域に設けられた平坦部24(
図2(b))の直径が、金属ケース4の内径の3%〜28%の範囲内である10%で形成されている場合、この範囲外で形成されている場合に比べて、作動圧と変形量のバラツキを低減することができた。
【0046】
次に、第1の傾斜面22の傾斜角度が、
図2(b)における水平面に対して、0.5°〜2.0°の範囲内である1.0°で形成されている場合の圧力弁の作動圧及び作動時(開口時)の変形高さと、0.5°〜2.0°の範囲外である、0.1°で形成された場合及び3.0°で形成された場合の各々の圧力弁の作動圧及び作動時(開口時)の変形高さを測定し、測定結果の標準偏差を求めた。測定結果を表4に示す。
【0047】
【表4】
【0048】
表4から以下のことがわかる。第1の傾斜面22の傾斜角度が、
図2(b)における水平面に対して、0.5°〜2.0°の範囲内である1.0°で形成されている場合、この範囲外で形成されている場合に比べて、作動圧と変形量のバラツキを低減することができた。
【0049】
次に、金属ケース4の内底部の縁部分の長さL11(
図2(b))が、金属ケース4の径の11%〜29%の範囲内である20%で形成された場合の圧力弁の作動圧及び作動時(開口時)の変形高さと、11%〜29%の範囲外である、5%で形成された場合及び35%で形成された場合の各々の圧力弁の作動圧及び作動時(開口時)の変形高さを測定し、測定結果の標準偏差を求めた。測定結果を表5に示す。
【0050】
【表5】
【0051】
表5から以下のことがわかる。属ケース4の内底部の縁部分の長さL11(
図2(b))が、金属ケース4の径の11%〜29%の範囲内である20%で形成されている場合、この範囲外で形成されている場合に比べて、作動圧と変形量のバラツキを低減することができた。
【0052】
次に、金属ケース4の内底部の肉厚部の厚みT11が、金属ケース4の大きさに関係なく、0.5mm〜1.0mmの範囲内である0.7mmで形成された場合の圧力弁の作動圧及び作動時(開口時)の変形高さと、0.5mm〜1.0mmの範囲外である、0.2mmで形成された場合及び1.5mmで形成された場合の各々の圧力弁の作動圧及び作動時(開口時)の変形高さを測定し、測定結果の標準偏差を求めた。測定結果を表6に示す。
【0053】
【表6】
【0054】
表6から以下のことがわかる。金属ケース4の内底部の肉厚部の厚みT11が、金属ケース4の大きさに関係なく、0.5mm〜1.0mmの範囲内である0.7mmで形成されている場合、この範囲外で形成されている場合に比べて、作動圧と変形量のバラツキを低減することができた。
【0055】
上述の実施の形態においては、電解コンデンサについて説明したが、電気二重層コンデンサの外装ケースに用いても、同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0056】
また、上述の実施の形態においては、急峻な第2の傾斜面によって一段の段差を有する凹部を金属ケースの内底部に形成する場合について述べたが、例えば、急峻な傾斜面を追加形成することにより、二段形状の凹部を構成するようにしてもよく、さらに、段数はこれに限られず三段以上としてもよい。
【0057】
さらに、上述の実施の形態においては、十字状の溝部を形成する場合について述べたが、例えば、弱体部が金属ケースの底部の略中央部に配置される構成であれば、種々の形状の溝部を適用してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 コンデンサ
2 封口端子板(封口体)
3 リードタブ
4 金属ケース(外装ケース)
5 巻き止めテープ
6 コンデンサ素子
7 陰極箔
8 陽極箔
9 電解紙(セパレータ)
11 端子
20 圧力弁
21 凹部
22 第1の傾斜面
23 第2の傾斜面
24 平坦部
31 溝部
P1、P2 変曲点