(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5971951
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】遮光幕用巻き取りローラ制御装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/174 20060101AFI20160804BHJP
E06B 9/24 20060101ALI20160804BHJP
E06B 9/78 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
E06B9/174
E06B9/24 Z
E06B9/78
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-473(P2012-473)
(22)【出願日】2012年1月5日
(65)【公開番号】特開2013-139692(P2013-139692A)
(43)【公開日】2013年7月18日
【審査請求日】2014年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】503033404
【氏名又は名称】林 世明
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】林 世明
【審査官】
佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】
特表平11−509591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00〜9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドレールが延伸する水平軸を回転軸として回転し、遮光材を巻き取ったり繰り出したりすることができる巻き取りローラを備えた遮光幕における前記巻き取りローラの回転を制御する装置であって、
前記巻き取りローラに連結すると前記水平軸と交差する垂直軸に沿って延伸するスパイラルシャフトと、前記スパイラルシャフトを囲んでいるスリーブシェルと、該スリーブシェル内に設けられている軸受と、該軸受内に設けられている伝動部材と、前記スリーブシェルと前記軸受とにかけて設けられている回転止め手段と、から構成されており、
前記スパイラルシャフトは、前記垂直軸を回転軸として回転させられると前記巻き取りローラを前記水平軸を回転軸として回転駆動することができるように、前記巻き取りローラ側に連結することができるシャフト端と、該シャフト端から延伸するシャフトボディを有し、該シャフトボディの外周面にはねじ溝が設けられており、
前記スリーブシェルは、前記垂直軸に沿って延伸する両端にそれぞれ第1の端壁と第2の端壁とを有すると共に、前記第1の端壁に隣接する第1の周壁と前記第2の端壁に隣接する第2の周壁とが形成され、該スリーブシェルと前記スパイラルシャフトとの間にスリーブシェル内空間を画成するように、前記スパイラルシャフトを囲み且つ回転可能に配置されており、
前記軸受は、前記スパイラルシャフトの前記シャフトボディを囲む環状ベース壁を有するベース部と、該環状ベース壁を包囲する環状受動壁を有するカバー部と、を有し、前記環状受動壁は前記垂直軸に沿って延伸した一端に第1の受動端を、他端に第2の受動端を有しており、また前記軸受は前記スリーブシェル内空間で前記垂直軸に沿って、前記スリーブシェルが外部から力を加えられて下げられることにより前記第1の端壁と前記第1の受動端とが当接する位置である引き下げ位置と、前記スリーブシェルが外部から力を加えられて上げられることにより前記第2の受動端と前記第2の端壁とが当接する位置である押し上げ位置と、の間で往復移動できるように配置されており、
前記伝動部材は、前記環状ベース壁に上方に開口して前記伝動部材を回転可能に受け入れるように設けられた伝動部材受け切欠に回転可能に支承されると共に前記ねじ溝に対して転動可能に前記ねじ溝と接触するように前記ねじ溝に嵌められており、また、前記環状受動壁には、前記第1の受動端の周縁から内向きに延伸し、前記伝動部材受け切欠と協働して前記伝動部材を支持する内向フランジが設けられており、
前記回転止め手段は、前記軸受の前記スリーブシェルに対する回転を防止できるように前記第1の周壁と前記環状受動壁とにかけて設けられており、
前記軸受が前記引き下げ位置にある時に、前記軸受の前記スリーブシェルに対する回転が防止されるので、前記スリーブシェルに前記垂直軸に沿って加えられた力が、前記環状受動壁を前記垂直軸に沿って動かすよう伝えられるようになり、前記伝動部材と前記ねじ溝との嵌合により前記スパイラルシャフトが前記垂直軸を軸として回転し、これにより前記遮光材を巻き取ることができる、
ことを特徴とした遮光幕用巻き取りローラ制御装置。
【請求項2】
前記回転止め手段は、前記第1の周壁から内向きに突出している複数の棒状突起と、該棒状突起と係合して制動されるように前記垂直軸を軸とした周方向に設けられた複数の回転止め突起と、から構成されており、
前記垂直軸に沿った力が前記スリーブシェルに加えられている時に、前記軸受の前記スリーブシェルに対する回転が防止されていることにより、前記スパイラルシャフトが前記垂直軸を軸として回転する、
ことを特徴とした請求項1に記載の遮光幕用巻き取りローラ制御装置。
【請求項3】
前記ベース部の前記環状ベース壁と、前記カバー部の前記環状受動壁と、が、互いにスプライン構造により組み合わされている、
ことを特徴とした請求項1または2に記載の遮光幕用巻き取りローラ制御装置。
【請求項4】
前記スリーブシェルは、前記第1の周壁を有する第1の筐体部分と、前記第2の周壁を有する第2の筐体部分と、を含み、該第1の筐体部分と該第2の筐体部分とがスプライン構造により組み合わされている、
ことを特徴とした請求項1から3のいずれか一項に記載の遮光幕用巻き取りローラ制御装置。
【請求項5】
前記第1の筐体部分と前記第2の筐体部分とにおいて、前記第1の端壁には第1の案内孔が、前記第2の端壁には第2の案内孔がそれぞれ設けられており、該第1及び第2の案内孔に前記スパイラルシャフトが通されている、
ことを特徴とした請求項4に記載の遮光幕用巻き取りローラ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置に関し、特に遮光幕用の巻き取りローラの回転を制御する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、屋内で用いる遮光装置としての遮光幕は、一般に巻き取りローラと、これに吊り下げられる遮光材と、巻き取りローラの一端に巻き付けられて垂れ下がる紐またはチェーンと、から構成される。これら紐またはチェーンは、遮光材の昇降を制御する手段となっており、紐またはチェーンを引いて巻き取りローラを回転させることにより、遮光材を巻き取るか繰り出すかして遮光材を上げ下げしている。
【0003】
しかし、この垂れ下がった紐またはチェーンが、例えば幼い子供のいる場所においては、子供の首や手足に巻きついてしまい思わぬ事故につながるという危険性があった。そこで、巻き取りローラを制御するための紐またはチェーンを棒状のものに替えて安全を図った遮光幕が発案されている(例えば、特許文献1又は2参照)。
【0004】
これは、ローラ制御装置として紐の代わりにシャフトを用いたもので、シャフトの上端が巻き取りローラ側と繋がって垂れ下がっており、シャフトを垂直軸を回転軸として回転させると、回転軸の角度を垂直軸から水平軸に変換することができる回転伝動機構が介在していることにより、巻き取りローラが水平軸を回転軸として回転し、遮光材を巻き取ることができる。
【0005】
また、シャフトを回転させやすくするために、シャフトの下端から延伸して直角に二度折れ曲がり略N字形に形成されたハンドルがシャフトの下端にヒンジを介して取り付けられており、てこの原理を利用してシャフトを回転させやすくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0186246号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第2369123号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のローラ制御装置では、シャフトを回すためのハンドルを小さくすると回転に大きな力が必要となって制御しにくくなり、また大きくすると小さな力でも回せるようになるが回転軌道が大きくなるのでやはり制御しにくくなる。
【0008】
このように、シャフトとこれを回すためのハンドルを備えたローラ制御装置は、ハンドルのサイズを大きいものにしても小さいものにしてもどちらもローラの回転を制御するのに非効率的なものであった。
【0009】
そこで本発明は、伝動効率が向上されて、回転が滑らかであり、且つ構造が簡単な遮光幕用巻き取りローラ制御装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の手段を用いた。
【0011】
すなわち、本発明の遮光幕用巻き取りローラ制御装置は、
ヘッドレールが延伸する水平軸を回転軸として回転し、遮光材を巻き取ったり繰り出したりすることができる巻き取りローラを備えた遮光幕における前記巻き取りローラの回転を制御する装置であって、
前記巻き取りローラに連結すると、前記水平軸と交差する垂直軸に沿って延伸するスパイラルシャフトと、前記スパイラルシャフトを囲んでいるスリーブシェルと、該スリーブシェル内に設けられている軸受と、該軸受内に設けられている伝動部材と、前記スリーブシェルと前記軸受とにかけて設けられている回転止め手段と、から構成されている。
【0012】
前記スパイラルシャフトは、前記垂直軸を回転軸として回転させられると前記巻き取りローラを前記水平軸を回転軸として回転駆動することができるように、前記巻き取りローラ側に連結することができるシャフト端と、該シャフト端から延伸するシャフトボディと、を有し、該シャフトボディの外周面にはねじ溝が設けられている。
【0013】
前記スリーブシェルは、それぞれ前記垂直軸に沿って延伸する両端にそれぞれ第1の端壁と第2の端壁とを有すると共に、前記第1の端壁に隣接する第1の周壁と前記第2の端壁に隣接する第2の周壁とが形成され、該スリーブシェルと前記スパイラルシャフトとの間にスリーブシェル内空間を画成するように、前記スパイラルシャフトを囲み且つ回転可能に配置されている。
【0014】
前記軸受は、前記スパイラルシャフトの前記シャフトボディを囲む環状ベース壁と、該環状ベース壁を包囲する環状受動壁と、を有し、前記環状受動壁は、前記垂直軸に沿って延伸した一端に第1の受動端を、他端に第2の受動端を有しており、また前記軸受は、前記スリーブシェル内空間で前記垂直軸に沿って、前記スリーブシェルが外部から力を加えられて下げられることにより前記第1の端壁と前記第1の受動端とが当接する位置である引き下げ位置と、前記スリーブシェルが外部から力を加えられて上げられることにより前記第2の受動端と前記第2の端壁とが当接する位置である押し上げ位置と、の間で往復移動できるように配置されている。
【0015】
前記伝動部材は、前記環状ベース壁に支承されていると共に前記ねじ溝に嵌められており、
前記回転止め手段は、前記軸受の前記スリーブシェルに対する回転を防止できるように前記第1の周壁と前記環状受動壁とにかけて設けられている。
【0016】
以上の手段により、前記軸受が前記引き下げ位置にある時に、前記軸受の前記スリーブシェルに対する回転が防止されるので、前記スリーブシェルに前記垂直軸に沿って加えられた力が、前記環状受動壁を前記垂直軸に沿って動かすよう伝えられるようになり、前記伝動部材と前記ねじ溝との嵌合により前記スパイラルシャフトが前記垂直軸を軸として回転し、これにより前記遮光材を巻き取ることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上の構成によれば、伝動部材が転動可能にスパイラルシャフトのねじ溝に嵌められているので、スパイラルシャフトに取り付けられているスリーブを引き下げたり押し上げたりするという簡易な操作だけで、スパイラルシャフトとこれに接続されている巻き取りローラとをすばやく回転させることができ、これにより遮光材をスムーズに巻き取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る制御装置の一実施の形態を示す斜視図である。
【
図3】本発明に係る制御装置が押し上げられている状態を示す軸方向の断面図である。
【
図4】本発明に係る制御装置が引き下げられている状態を示す軸方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0020】
図1〜
図3は、本発明に係る制御装置10の一実施の形態を示している。
【0021】
遮光幕1は、水平軸L1に沿って延伸するヘッドレール11と、ヘッドレール11から張り出し且つ互いに距離を置くように配置された2つのシャフトガイド12(
図1では1つだけ図示)と、2つのシャフトガイド12の間に水平軸L1を回転軸として回転できるように配置された2つの回転スリーブ13(
図1では1つだけ図示)と、2つの回転スリーブ13の間に挟まれるように固定されてこれらと共に回転できる巻き取りローラ14と、巻き取りローラ14に一端が固定されていることにより巻き取りローラ14の回転につれて巻き取られたり繰り出されたりする遮光材15と、2つの回転スリーブ13のうちの一つに一端が固定されており、水平軸L1に沿って延伸してシャフトガイド12を通ってから水平軸L1と交差する垂直軸L2に折れ曲がるように形成された接続手段16と、から構成されており、接続手段16の他端は接続端161として制御装置10に繋がることが可能である。
【0022】
本実施形態に係る制御装置10は、このようにヘッドレール11が延伸する水平軸L1を回転軸として回転し、遮光材15を巻き取ったり繰り出したりすることができる巻き取りローラ14を備えた遮光幕における、巻き取りローラ14の回転を制御する装置である。
【0023】
制御装置10は、巻き取りローラ14に連結すると、接続手段16の接続端161に繋がって垂直軸L2に沿って延伸するスパイラルシャフト2と、これを囲んでいるスリーブシェル3と、スリーブシェル3内に設けられている軸受4と、軸受4内に設けられている伝動部材42と、スリーブシェル3と軸受4とにかけて設けられている回転止め手段7と、から構成されている。
【0024】
スリーブシェル3は、例えば使用者の手により把持されて下げられたり上げられたりすることができるものである。
【0025】
スパイラルシャフト2は、外周面にらせん状のねじ溝21が設けられており、上端で接続手段16の接続端161と繋がるシャフト端22と、該シャフト端22から延伸するシャフトボディ24と、を有し、垂直軸L2に沿って吊り下げられ、垂直軸L2を回転軸として回転することができる。ここで接続手段16としては、スパイラルシャフト2を回転させる力を、巻き取りローラ14を回転させる駆動力に変換することができるものであればよく、例えば各種の軸継手あるいはギア等の伝動機構を用いても構わない。これによりスパイラルシャフト2を、垂直軸L2を回転軸として回転させると、巻き取りローラ14は水平軸L1を回転軸として回転駆動させられる。
【0026】
スリーブシェル3は、それぞれ開口を有する中空の半球状に形成された第1の筐体部分31と第2の筐体部分33とを有している。第1の筐体部分31と第2の筐体部分33とには、それぞれにスプライン構造が設けられており、このスプライン構造により互いの開口を合わせて接続すると1つの中空球状になるように構成されている。ここでスプライン構造としては、例えば本実施形態のように、第2の筐体部分33に複数の突起335を、また第1の筐体部分31に形状と位置と数量とが突起335に対応する突起受け孔315を、第1及び第2の筐体部分31、33が互いの開口を合わせ一つの球状を呈した時に互いに当接する面にそれぞれ垂直に延伸するように設けて、突起335を突起受け孔315に差し込むと、第1の筐体部分31と第2の筐体部分33とが互いに係合し固定されるようにしてもよい。
【0027】
このように第1の筐体部分31と第2の筐体部分33とが接続されると、スリーブシェル3が中空球状に形成される。
【0028】
また、スリーブシェル3を構成する第1の筐体部分31は、第1の周壁312と第1の端壁311とを、第2の筐体部分33は、第2の周壁332と第2の端壁331とをそれぞれ有している。第1及び第2の周壁312、332は、第1及び第2の筐体部分31、33が接触している面からそれぞれ垂直軸L2に沿って対応して円弧状に延伸した切頭半円球状の壁であり、また第1及び第2の端壁311、331は、これら第1及び第2の周壁312、332が互いに延伸した上下の端が更にそれぞれ垂直軸L2へ向かって延伸するように形成された壁である。言い換えれば、スリーブシェル3は、垂直軸L2に沿って延伸する両端にそれぞれ第1の端壁311と第2の端壁331とを有しており、スリーブシェル3には、更に第1の端壁311に隣接する第1の周壁312が、第2の端壁331に隣接する第2の周壁332が形成されている。さらに第1の端壁311には第1の案内孔314が、第2の端壁331には第2の案内孔334がそれぞれの中心に貫設されており、これらの案内孔314、334を経由してスパイラルシャフト2がスリーブシェル3内に通されている。
【0029】
このようにスリーブシェル3は、垂直軸L2に沿ってスパイラルシャフト2に貫通されており、つまりスリーブシェル3は、スパイラルシャフト2を囲んでおり且つ互いに回転可能になっている。また、スリーブシェル3の内周面とスパイラルシャフト2との間には、スリーブシェル内空間32が画成されている。
【0030】
軸受4は、スパイラルシャフト2に貫通されて回動及び上下動可能にスリーブシェル内空間32に配置されており、ベース部410とカバー部411とから構成されている。
【0031】
ベース部410は、スパイラルシャフト2のシャフトボディ24を取り囲むように、スパイラルシャフト2の延伸方向、つまり垂直軸L2に沿って延伸した環状ベース壁416を有し、環状ベース壁416には、上方に開口し、伝動部材42が回転可能になるようにこれを受け入れる伝動部材受け切欠419が、等間隔で互いに離間するように環状ベース壁416の一端(図示における上端)から他端の方向に一部切り込んだように設けられている。なお、伝動部材受け切欠419の数量は、伝動部材42の数量と対応している。
【0032】
カバー部411は、環状ベース壁416を包囲するように、スパイラルシャフト2の延伸方向、つまり垂直軸L2に沿って環状ベース壁416よりも長く延伸した環状受動壁412と、この環状受動壁412の一端(図示における上端)から垂直軸L2に向かって延伸するように環状に形成された内向フランジ413と、から構成されている。また、環状受動壁412は、延伸した一端(図示における上端)に第1の受動端4121を、他端(図示における下端)に第2の受動端4122を有しており、内向フランジ413は、この第1の受動端4121の周縁から内向きに延伸し、伝動部材受け切欠419と協働して伝動部材42を支持できるように設けられている。
【0033】
また、カバー部411は、ベース部410を覆い囲むようにスプライン構造によってベース部410に固定されている。詳しく言うと、カバー部411の環状受動壁412と、ベース部410の環状ベース壁416と、が、互いにスプライン構造により組み合わされており、ここでスプライン構造としては、本実施形態では、環状受動壁412にスプライン溝415を、環状ベース壁416にスプライン突起417を設けて互いに嵌合させて固定したが、スプライン構造としてはこれに限らず、要はカバー部411とベース部410とが固定されさえすればよい。
【0034】
また、軸受4は、スパイラルシャフト2に貫通されているだけであり固定はされていないので、スリーブシェル内空間32において押し上げ位置(
図3における位置)と引き下げ位置(
図4における位置)との間でスパイラルシャフト2に沿って、つまり垂直軸L2に沿って移動できる。ここで押し上げ位置とは、スリーブシェル3が外部から力を加えられて上方に上げられることにより、軸受4の下端とスリーブシェル3とが当接する位置、つまり第2の受動端4122と第2の端壁331とが当接する位置を指し、また引き下げ位置とは、スリーブシェル3が外部から力を加えられて下方に下げられることにより、軸受4の上端とスリーブシェル3とが当接する位置、つまり第1の受動端4121と第1の端壁311とが当接する位置を指す。
【0035】
伝動部材42は、複数(本実施形態では4つ)の球体を用いており、ベース部410の環状ベース壁416に支承されていると共にねじ溝21に嵌められている。詳しく言うと、伝動部材42は、それぞれが環状ベース壁416に設けられている各伝動部材受け切欠419に回転可能に嵌め込まれており且つねじ溝21に対して転動可能にねじ溝21と接触している。これにより伝動部材42は、垂直軸L2と平行な方向においては内向フランジ413と伝動部材受け切欠419との間に、水平軸L1と平行な方向においてはカバー部411の環状受動壁412とスパイラルシャフト2のねじ溝21との間に回転可能に挟持される。
【0036】
なお、上述のように本実施形態では伝動部材42としてスパイラルシャフト2に対して転動可能な球体を用いたが、他の形態として、伝動部材42と軸受4とを一体に形成してもよい。
【0037】
回転止め手段7は、軸受4が上記引き下げ位置にある時に軸受4のスリーブシェル3に対する回転を止められるように第1の周壁312と環状受動壁412とにかけて設けられている。詳しく言うと、回転止め手段7は、第1の筐体部分31内において第1の周壁312の内周面から内向きに突出するように設けられた複数の棒状突起313と、この棒状突起313と係合して制動されるようにカバー部411の環状受動壁412の外周面から垂直軸L2を軸とした周方向に突出するように設けられた複数の回転止め突起414と、からなっており、
図4及び
図5に示すように軸受4が上記引き下げ位置にある時に、これらの突起313、414が係合すると、軸受4のスリーブシェル3に対する回転を防止することができる。
【0038】
以上の構造により、軸受4が上記引き下げ位置にある時に、軸受4のスリーブシェル3に対する回転が防止されるので、スリーブシェル3に垂直軸L2に沿って外部から力が下方へ加えられると、環状受動壁412が第1の端壁311に当接していることにより、環状受動壁412は垂直軸L2に沿って動かされ、更にこの力が伝動部材42に伝えられ、伝動部材42とねじ溝21との嵌合によりスパイラルシャフト2が垂直軸L2を軸として回転し、これにより遮光材15を巻き取ることができる。
【0039】
以下、本発明の制御装置10を用いて遮光材15を巻き取る機構をより詳しく説明する。
図2、
図4及び
図5に示したように、スパイラルシャフト2の自由端方向、つまり図示における下方に向かう外力がスリーブシェル3に継続的に加えられると、スリーブシェル3内に設けられている軸受4もスリーブシェル3と共に、スパイラルシャフト2に沿って下方へ移動する。この時、伝動部材42とスパイラルシャフト2のねじ溝21とが嵌合していることから、伝動部材42はねじ溝21が画成するらせんに沿って転動する。これによって軸受4に対する回転力が生まれるが、軸受4は回転止め手段7により回転を防止されているので、この回転力は更にスリーブシェル3に伝わる。しかし、スリーブシェル3は使用者により把持されているので回転できず、よってこの回転力はスパイラルシャフト2の回転(本実施形態では時計回りの回転)を導くことになる。そしてスパイラルシャフト2の回転は巻き取りローラ14に伝わり、巻き取りローラ14を回転させることができる。以上の機構により、スリーブシェル3を引き下げることで巻き取りローラ14を回転させ、遮光材15を巻き取ることが可能になる。また、巻き取りローラ14が遮光材15を巻き取り終わらないうちに、スリーブシェル3が使用者の操作しにくい高さまで下がった時には、遮光材15の巻き取り作業を継続するためにスリーブシェル3を再び高い位置に戻すことができる。
図3及び
図6に示したように、例えば使用者の手によりスリーブシェル3が上方に動かされると、これに伴って軸受4が前記押し上げ位置に移動する。スパイラルシャフト2の接続端方向、つまり図示における上方に向かう力がスリーブシェル3に更に継続的に加えられると、スリーブシェル3内に設けられている軸受4も、スリーブシェル3の下端、つまり第2の端壁331に押し上げられるようにスリーブシェル3と共にスパイラルシャフト2に沿って上方へ移動する。この時、伝動部材42とスパイラルシャフト2のねじ溝21とが嵌合していることから、伝動部材42はねじ溝21が画成するらせんに沿って転動し、これによって軸受4に対する回転力が生まれる。回転止め手段7は第1の筐体部分31に設けられているだけで、第2の筐体部分32には設けられていないので、軸受4が前記押し上げ位置にある時は軸受4のみが回転し、スパイラルシャフト2は回転しない。
【0040】
このように、スリーブシェル3を上げると、軸受4が回転することにより、スパイラルシャフト2を回転させずに、スリーブシェル3を高い位置に戻すことができる。この後再びスリーブシェル3を下げることにより、スパイラルシャフト2を同じ方向にだけ回転させ続けることができ、これにより遮光材15を継続的に且つすばやく巻き取ることができる。
【0041】
逆に、遮光材15を繰り出したい時、つまり遮光材15を巻き取りローラ14から繰り出したい時には、スパイラルシャフト2をスリーブシェル3による操作で回転する時とは反対の方向(本実施形態では反時計回りの回転)に直接手動で回してもよい。この際には遮光材15の重量が助力となって使用者はスパイラルシャフト2を容易に回転させることができる。
【0042】
上記のように、本発明に係る制御装置10は構造が簡素であり、しかも容易な操作で遮光材をスムーズに巻き取ることができ、特に長めの遮光材の巻き取りに適している。
【0043】
以上、本発明を具体的な実施形態に則して詳細に説明したが、本発明は上記実施形態及び添付図面に限定されるものではなく、最も広い解釈の範囲に含まれる種々の変更を網羅していることが意図されていると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明に係る遮光幕用巻き取りローラ制御装置は、簡単な操作で巻き取りローラをすばやく回転させられ遮光材をスムーズに巻き取ることができるので、いわゆるロールスクリーンなど遮光幕の巻き上げを制御する装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 遮光幕
10 制御装置
11 ヘッドレール
12 シャフトガイド
13 回転スリーブ
14 巻き取りローラ
15 遮光材
16 接続手段
161 接続端
2 スパイラルシャフト
21 ねじ溝
22 シャフト端
24 シャフトボディ
3 スリーブシェル
31 第1の筐体部分
311 第1の端壁
312 第1の周壁
313 棒状突起
314 第1の案内孔
315 突起受け孔
32 スリーブシェル内空間
33 第2の筐体部分
331 第2の端壁
332 第2の周壁
334 第2の案内孔
335 突起
4 軸受
410 ベース部
411 カバー部
412 環状受動壁
4121 第1の受動端
4122 第2の受動端
413 内向フランジ
414 回転止め突起
415 スプライン溝
416 環状ベース壁
417 スプライン突起
419 伝動部材受け切欠
42 伝動部材
7 回転止め手段
L1 水平軸
L2 垂直軸