(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
インテークマニホールド(1)の吸気通路(R)下流側に配設され、支持体(25)に支持された弁体(23)が回動することによって上記吸気通路(R)の断面積を変化させるように構成され
たインテークマニホールドの弁装置であって、
上記弁体(23)は、板状の弁本体(34)と該弁本体(34)の回動軸心方向両外側に突出する一対の軸部(53)とを備え、
上記支持体(25)は、上記吸気通路(R)内壁に取り付けられた環状の枠部(35)と、該枠部(35)に互いに対向するように立設され、上記各軸部(53)が回動可能に挿入される軸受孔(39)を先端に有し、互いに離れる方向に撓み可能な一対の腕部(37)とを備え、
上記両腕部(37)間には、該両腕部(37)を内側から支持する板部材(29)が上記吸気通路(R)を第1通路(R1)と第2通路(R2)とに仕切るように橋絡され、
上記両腕部(37)の内側の面には、腕部(37)立設方向に延びる溝部(42)が形成され、
上記板部材(29)の両腕部(37)側両端は、上記両腕部(37)の溝部(42)に挿入されていることを特徴とするインテークマニホールドの弁装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1では、両腕部の先端を支持するものがなく、その内倒れが防止されていないので、両腕部の内倒れにより弁体の回動が妨げられて吸気量を調整できなくなったり、弁体が両腕部の軸受孔外周縁に接触した状態で回動して弁体と両腕部とが互いの摩擦により損傷したりするおそれがある。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、吸気量を確実に調整できるようにするとともに弁装置の損傷を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明は、両脚部を内側から支持する板部材を設けたことを特徴とする。
【0007】
具体的には、本発明は、インテークマニホールドの吸気通路下流側に配設され、支持体に支持された弁体が回動することによって上記吸気通路の断面積を変化させるように構成されたインテークマニホールドの弁装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0008】
すなわち、請求項1に記載の発明は、上記弁体は、板状の弁本体と該弁本体の回動軸心方向両外側に突出する一対の軸部とを備え、上記支持体は、上記吸気通路内壁に取り付けられた環状の枠部と、該枠部に互いに対向するように立設され、上記各軸部が回動可能に挿入される軸受孔を先端に有
し、互いに離れる方向に撓み可能な一対の腕部とを備え、上記両腕部間には、該両腕部を内側から支持する板部材が上記吸気通路を第1通路と第2通路とに仕切るように橋絡され
、上記両腕部の内側の面には、腕部立設方向に延びる溝部が形成され、上記板部材の両腕部側両端は、上記両腕部の溝部に挿入されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の
弁装置を複数備えたインテークマニホールドであって、上記各弁装置の弁体の軸部には、軸方向に延びる嵌入孔が形成され、上記複数の弁装置の弁体の嵌入孔には、共通の駆動軸が串刺し状に上記弁体に対して回転しないように嵌挿され、上記複数の弁装置のうち両外側に配置される2つの弁装置の外側に配置される軸受孔の内周面には、貫通方向に延びる凹溝が形成され、上記複数の弁装置のうち両外側に配置される2つの弁装置の外側に配置される軸受孔には、貫通孔を有し、かつ突条部が外周に形成された軸受部材が上記突条部を上記軸受孔の凹溝に対応させた状態で内嵌され、該軸受部材の貫通孔には、上記両外側の2つの弁装置の弁体の外側の軸部が回動可能に挿入されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1
,2に記載の発明によれば、両腕部が板部材により内側から支持されているので、両腕部の内倒れが防止され、その結果、弁体が確実に回動して吸気量を適正に調整するとともに、弁体と両腕部との摩擦による損傷も防止される
。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0013】
《実施形態1》
図1及び
図2は、インテークマニホールド1を示す。このインテークマニホールド1は、図示しないエンジンに装着されるものであって、マニホールド本体3と、エンジンの燃焼室内にタンブル流やスワール流を生成するための本発明の実施形態1に係る3つの弁装置19とを備えている。
【0014】
マニホールド本体3は、スロットルボディ接続管7と、スロットルボディ接続管7に連結されたサージタンク9と、サージタンク9から分岐して延びる第1〜第3分岐管11a〜11cとを備えている。第1〜第3分岐管11a〜11cは、
図1において右側から順に並んでいる。これら第1〜第3分岐管11a〜11cの内部には、吸気通路Rがそれぞれ形成されている(
図6参照)。また、スロットルボディ接続管7の上流端には、スロットル弁を内蔵したスロットルボディ(図示せず)が締結される上流側フランジ部13が張り出し形成されている。一方、第1〜第3分岐管11a〜11cの下流端には、下流側フランジ部15が第1〜第3分岐管11a〜11cを連結するように張り出し形成されている。また、第1〜第3分岐管11a〜11cの各々の下流端の周壁には、第1〜第3分岐管11a〜11cの並設方向に対向する1対の駆動軸挿通孔12(第1分岐管11aの外側の駆動軸挿通孔12のみ
図1に示す)が形成されている。第3分岐管11cの外側の駆動軸挿通孔12は、有底孔をなす一方、その他の駆動軸挿通孔12は、対応する分岐管11a〜11cの周壁を上記並設方向に貫通している。
【0015】
上記弁装置19は、第1〜第3分岐管11a〜11cの吸気通路R下流側にそれぞれ配設され、各々、
図3〜5に示すように、弁体23と、該弁体23を支持する支持体25と、板部材29とを備えている。
【0016】
上記弁体23は、樹脂製であり、断面略矩形状の嵌入孔31を有する筒状の回動基部3
3と、該回動基部33の軸方向両端部を除く部分から一方向に延出する板状の弁本体34とを備えている。弁本体34は、延出方向に向けて徐々に薄くなっている。
【0017】
支持体25は、樹脂製であり、吸気通路R内壁に取り付けられる略長方形状の環状枠部35を備え、該枠部35の両短辺対応箇所には、先端に向けて幅狭になる略三角形板状の一対の腕部37が互いに対向するように立設されている。各腕部37の先端には、円形の軸受孔39が貫通形成されている。3つの弁装置19のうち両外側に配置される2つの弁装置19では、両軸受孔39のうち、外側に配置される一方の軸受孔39(
図3及び
図5における手前側の軸受孔39)が、内側に配置される他方の軸受孔39よりも幅広に形成され、上記一方の軸受孔39の内周面には、貫通方向に延びる4本の凹溝41が周方向に等しい間隔をあけて形成されている。3つの弁装置19のうち中央に配置される弁装置19では、両軸受孔39が、両側の弁装置19の他方の軸受孔39(小さい方の軸受孔39)と同じ形状になっている。また、上記3つの弁装置19では、両腕部37の内側の面に、腕部37立設方向に延びる溝部42が枠部35の短辺方向一端寄りで腕部37の基端から軸受孔39の近傍に亘って形成されている。該溝部42は、腕部37の先端側に向けて枠部35の短辺方向他端寄りに若干傾斜している。また、腕部37の基端近傍には、矩形状の位置決め孔43が上記溝部42と交差するように貫通形成されている。なお、位置決め孔43の溝部42に交差する方向の幅は、溝部42の幅よりも長く設定されている。これにより、成形型の位置決め孔43対応箇所の強度を高めることができる。
【0018】
板部材29は、平面視長方形状の平坦な板本体29aと、該板本体29aの両短辺側の端面の長手方向一端寄りに形成された三角形状の突出片部29bとからなる。
【0019】
3つの弁装置19のうち両外側に配置される2つの弁装置19は、それぞれ上記一方の軸受孔39(外側に配置される軸受孔39)に内嵌する軸受部材27をさらに備えている。この軸受部材27は、内側に貫通孔45を有する筒部47を有し、該筒部47の一端には、環状張出部49が張り出し形成されているとともに、該筒部47の外周面には、4本の突条部51が互いに周方向に等しい間隔をあけて平行に形成されている。この軸受部材27は、突条部51を上記一方の軸受孔39の凹溝41に対応させた状態で該一方の軸受孔39に内嵌している。
【0020】
そして、3つの弁装置19のうち第1分岐管11a(アクチュエータ側)に組み込まれる弁装置19では、弁体23の回動基部33の長手方向外側(アクチュエータ側)の一端が軸受部材27の貫通孔45に回動可能に挿入されている。また、第3分岐管11c(反アクチュエータ側)に組み込まれる弁装置19では、弁体23の回動基部33の長手方向外側(反アクチュエータ側)の一端が軸受部材27の貫通孔45に回動可能に挿入されている。換言すれば、各弁体23の回動基部33の長手方向一端が、軸受部材27を介在させて支持体25の一方の軸受孔39に回動可能に挿入されている。一方、上記長手方向一端が貫通孔45に挿入された回動基部33の長手方向他端は、支持体25の他方の軸受孔39に回動可能に直接挿入されている。また、3つの弁装置19のうち中央に配置される弁装置19、すなわち第2分岐管11bに組み込まれる弁装置19では、回動基部33の長手方向両端が、支持体25の両軸受孔39に回動可能に直接挿入されている。このように、各弁装置19の弁体23の回動基部33の長手方向両端は、弁本体34の回動軸心方向両外側に突出する一対の軸部53を構成している。また、板部材29は、その長辺方向両端を上記両腕部37の溝部42に挿入した状態で両腕部37間を橋絡している。この状態で、板部材29は両腕部37を内側から支持するとともに、
図6及び
図7に示すように、吸気通路Rを、第1通路R1と該第1通路R1よりも狭い第2通路R2とに仕切っている。このように第1通路R1と第2通路R2の広さが異なっているのは、溝部42が枠部35の短辺方向一端寄りに形成されているからである。また、板部材29は、上述した溝部42の傾斜により、腕部37の先端側に向けて第1通路R1側に傾斜している。さらに、両腕部37の位置決め孔43に板部材29の両突出片部29bが係合して板部材29の溝部42長手方向への移動が阻止されている。
【0021】
そして、上記3つの弁装置19の弁体23の嵌入孔31には、各分岐管11a〜11cの駆動軸挿通孔12を介して共通の駆動軸21が串刺し状に嵌挿されている。この駆動軸21は、例えば金属材料で構成されており、その断面が弁体23の回動基部33の嵌入孔31と同じ矩形状となっている。したがって、駆動軸21を嵌入孔31に嵌入した状態で、駆動軸21が弁体23に対して回転しない。また、駆動軸21の第1分岐管11a側の端部が図示しないアクチュエータの出力軸に連結されている。
【0022】
アクチュエータは、エンジン制御装置(図示せず)により制御されるようになっており、例えば、エンジン回転数が所定回転数よりも低い場合には、駆動軸21を回動させることにより、弁体23を、吸気通路Rを絞る状態、詳しくは、第1通路R1を閉じて第2通路R2のみを開放する状態(
図6に示す)とし、所定回転数以上の場合には、吸気通路Rを開放する状態、すなわち第1通路R1及び第2通路R2を開放する状態(
図7に示す)とするようになっている。
【0023】
次に、上記のように構成された弁装置19をマニホールド本体3に組み付ける手順について説明する。
【0024】
まず、3つの弁装置19を組み立てる。これら弁装置19を組み立てるには、まず、第1分岐管11aに組み込む支持体25と、第3分岐管11cに組み込む支持体25とを用意し、第1分岐管11aに組み込む支持体25のアクチュエータ側(外側)の軸受孔39に軸受部材27を嵌め込む。また、第3分岐管11cに組み込む支持体25の反アクチュエータ側(外側)の軸受孔39に軸受部材27を嵌め込む。そして、嵌め込んだ軸受部材27の貫通孔45に弁体23の回動基部33の長手方向一端を挿入し、両腕部37を互いに離れる方向に撓ませて他方の軸受孔39に上記回動基部33の長手方向他端を挿入する。これにより、両腕部37の形状が復元する。なお、他方の軸受孔39に回動基部33の長手方向一端を挿入した後で軸受部材27の貫通孔45に回動基部33の長手方向他端を挿入してもよい。また、第2分岐管11bに組み込む支持体25を用意し、この支持体25の両軸受孔39の一方に弁体23の回動基部33の長手方向一端を挿入し、両腕部37を互いに離れる方向に撓ませて両軸受孔39の他方に回動基部33の長手方向他端を挿入する。これにより、両腕部37の形状が復元する。その後、3つの支持体25の両腕部37の基端側から板部材29の長辺方向両端を両溝部42に挿入する。
【0025】
次に、第1分岐管11a用の弁装置19と第3分岐管11c用の弁装置19とを、その軸受部材27側の腕部37が外側に位置するようにそれぞれ第1分岐管11a及び第3分岐管11cに下流端開口から挿入するとともに、第2分岐管11b用の弁装置19を第2分岐管11bに下流端開口から挿入する。そして、駆動軸21を、第1〜第3分岐管11a〜11cの駆動軸挿通孔12及び3つの弁装置19の弁体23の嵌入孔31に第1分岐管11a側から嵌入し、駆動軸21の第1分岐管11a側一端にアクチュエータを組み付ける。
【0026】
次に、インテークマニホールド1を使用する場合について説明する。エンジンの回転数が所定回転数よりも低いと、
図6に示すように、アクチュエータにより3つの弁装置19の弁体23が第1通路R1を閉じる位置まで回動する。これにより、第1〜第3分岐管11a〜11c内の吸気通路Rが絞られてエンジンの燃焼室内でタンブル流やスワール流を生成することができる。
図6及び
図7において、吸気の流れを一点鎖線の矢印で示す。
【0027】
一方、エンジンの回転数が所定回転数以上になると、
図7に示すように、アクチュエー
タにより3つの弁装置19の弁体23が第1通路R1を開放する位置まで回動する。
【0028】
本実施形態1によれば、両腕部37が板部材29により内側から支持されているので、両腕部37の内倒れが防止され、その結果、弁体23が確実に回動して吸気量を適正に調整するとともに、弁体23と両腕部37との摩擦による損傷も防止される。
【0029】
また、第2通路R2よりも広い第1通路R1を開閉するので、エンジン回転数に応じて吸気量を大きく調整でき、その結果、燃料と空気の混合を促進させて燃焼効率を向上させることができる。
【0030】
《実施形態2》
図8及び
図9は、本発明の実施形態2に係る弁装置19を備えたインテークマニホールド1を示す。本実施形態2では、板部材29の溝部42挿入箇所(長辺方向両端)の内側部分29cに、該内側部分29cが短辺方向一端側から他端側に向けて徐々に厚くなるように傾斜する傾斜面29dが形成されている。また、内側部分29cの厚肉側の端面が、板厚方向に凹状に湾曲する湾曲面29eをなしている。
【0031】
そして、この板部材29は、その厚肉側を両腕部37の先端側に向け、かつ傾斜面29dを第1通路R1側に向けた状態で両腕部37間を橋絡している。そして、内側部分29cの厚肉側端縁、すなわち湾曲面29e側の端縁が、上記弁体23の回動基部33に段差なく接近し、その表裏面が吸気案内面29fを構成している。
【0032】
その他の構成は、実施形態1と同じであるので、同一の構成箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0033】
本実施形態2によれば、板部材29(内側部分29c)の一端縁と弁体23の回動基部33とが接近しているので、両者を大きく離間させた場合に比べ、両者間に吸気が流れ込みにくい。また、両者間に段差が形成されないので、
図6及び
図7において一点鎖線で囲まれた箇所のような吸気乱れが生じず、吸気の流れがスムーズになる。
【0034】
なお、上記実施形態1,2では、本発明を直列3気筒エンジン用のインテークマニホールド1に適用した場合について説明したが、これに限らず、V型エンジン用のインテークマニホールドや水平対向エンジン用のインテークマニホールドにも適用できる。
【0035】
また、上記実施形態1,2では、弁体23が第1通路R1を閉じる状態と開放する状態との2つの状態に切り換えられるようになっていたが、該2つの状態のうちの一方を両者の中間の任意の状態に置き換えてもよいし、弁体23がエンジン回転数に応じて3つ以上の状態に切り換えられるようにしてもよい。
【0036】
また、上記実施形態1,2では、3つの弁装置19のうち両外側の弁装置19の外側の軸受孔39、すなわち合計2つの軸受孔39に軸受部材27を嵌め込んだが、第3分岐管11c用の支持体25の反アクチュエータ側の軸受孔39のみに軸受部材27を嵌め込むようにしてもよい。また、各弁装置19の反アクチュエータ側の軸受孔39に軸受部材27を嵌め込むとともに、各弁装置19のアクチュエータ側の軸受孔39に軸受部材27を嵌め込まないようにする等、軸受部材27を嵌め込んだ軸受孔39と軸受部材27を嵌め込んでいない軸受孔39とが交互に位置するようにしてもよい。また、すべての軸受孔39に軸受部材27を嵌め込むようにしてもよい。
【0037】
また、上記実施形態1では、板部材29が腕部37の先端側に向かって第1通路R1側に傾斜していたが、枠部35に対して垂直な方向、すなわち各分岐管11a〜11cの軸
線に沿う方向に延びていてもよい。また、板部材29が枠部35の短辺方向中央(各分岐管11a〜11cの中央)で吸気通路Rを仕切るようにしてもよい。
【0038】
また、上記実施形態2において、内側部分29cの第1通路R1側の面に、傾斜面29dに代えて、
図8及び
図9において二点鎖線で示すように、湾曲面29d’を設けてもよい。