(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ボビンの各々は、前記軸方向で間隔をあけて配置された一対の内ステータコアの間に配置されて、外周に巻回された前記コイルを、前記内ステータコアの内径側から軸方向に延びる極歯の径方向外側に位置させていると共に、樹脂インサート成形により、前記一対の内ステータコアと一体に形成されており、
前記A相のコイルと前記B相のコイルは、前記軸方向で隣接する他のコイル側に位置する内ステータコア同士を互いに接触させて設けられており、
前記一方のコイルの端子保持部は、
当該一方のコイルが巻き回されるボビンの前記他方のコイル側の鍔部と一体に一部品で形成されていると共に、径方向から見て、前記接触させて設けられた内ステータコアと重なる位置に設けられており、
さらに、前記他方のコイルが巻き回されるボビンの前記一方のコイル側の鍔部と、一体または別体に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のギアユニット。
前記A相のコイルと前記B相のコイルの前記一対の内ステータコアは、樹脂インサート成形により、前記A相のコイルと前記B相のコイルの前記ボビンと一体に形成されており、
前記A相と前記B相のコイルの前記一対のステータコアは、少なくともその一部が、一体に形成された前記A相のコイルと前記B相のコイルの前記ボビン内に埋め込まれていることを特徴とする請求項3に記載のギアユニット。
前記A相のコイルと前記B相のコイルの外周を囲む外ステータコアを備えており、前記外ステータコアには、前記径方向から見て、前記複数の端子と重なる位置に、前記複数の端子との干渉を避けるための切欠きが設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載のギアユニット。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、本発明のバルブ駆動装置(ギアユニット)を冷蔵庫の冷媒の流路を開閉する弁装置に適用した場合を例に挙げて、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
以下の説明では、
図1に示したバルブ駆動装置1における上方と下方を基準として、バルブ駆動装置の各構成要素の位置関係を適宜説明する。
【0010】
図1は、実施形態にかかるバルブ駆動装置1の断面図である。
図2は、
図1におけるX1−X1断面図である。
図3は、バルブ駆動装置1のモータM側の分解斜視図である。
【0011】
図1および
図2に示すように、本発明の実施形態にかかるバルブ駆動装置1は、外部装置である冷蔵庫(図示せず)との間に流体(ここでは、冷媒)が循環可能な流路を構成し、冷蔵庫から流体導入管2を介して流体室S内へ導入された流体を、流体導出管3、4を介して冷蔵庫へ導出する弁装置である。
このバルブ駆動装置1では、モータMにより弁部70を駆動して、流体室S内に導入された流体を、流体導出管3、4から冷蔵庫側に導出するようになっており、このバルブ駆動装置1のモータMとして、一対のステータ組50A、50B(A相のコイルとB相のコイル)がロータ30の軸方向に並べて配置されたクローポール型ステッピングモータが採用されている。
【0012】
バルブ駆動装置1では、底板部10の上面に固定した有底円筒形状の隔壁20により、底板部10と隔壁20の間に流体室Sが形成されている。
バルブ駆動装置1において隔壁20は、底部20aを底板部10とは反対側の上方に向けて設けられている。隔壁20は、底部20aから離れる方向で2段に拡径した外形を有しており、底部20a側の小径部201と、底板部10側の大径部202と、を備えて構成される。
底板部10の外周縁には、大径部202の先端202aが外嵌する段部11が、全周に亘って設けられており、隔壁20は、大径部202の先端202aを段部11に嵌合させて、底板部10に固定されている。
【0013】
小径部201の内側には、モータMのロータ30が、軸部材21に外挿された状態で設けられている。
バルブ駆動装置1において軸部材21は、軸線Xに沿って設けられており、この軸部材21の一端21aは、底部20aの凹部20bで支持されており、他端21bは、底板部10の孔部10aでロウ付けされており、軸部材21は、回り止めされた状態で設けられている。
軸部材21においてロータ30は、回転可能に支持されており、モータMの駆動時に、軸線X周りに回転するようになっている。
【0014】
ロータ30は、軸部材21に外挿される軸受部31aを有する基部31と、軸線X周りの周方向でN相とS相とが交互に配置された磁石32と、を備えて構成される。
磁石32は、ロータ30を樹脂成形する際に、インサート成型によりロータ30と一体に形成されており、基部31において磁石32は、軸線X周りの周方向で全周に亘って設けられている。
【0015】
基部31の底板部10側の下部には、ロータ30の回転を後記する弁部70に伝達する伝達軸33が、軸受部31aと基部31の間に挿入されて固定されている。伝達軸33は、ロータ30と同様に、軸部材21に回転可能に支持されており、ロータ30と一体に軸線X周りに回転するようになっている。
【0016】
伝達軸33は、軸線Xに沿って底板部10側の下方に延びており、その先端部33aを、底板部10の上面10bに当接させている。
実施の形態においてロータ30は、軸部材21の一端21a側に外挿したスプリングSpにより、底板部10側の下方に付勢されており、このスプリングSpの付勢力により、伝達軸33の先端部33aが、底板部10の上面10bに常時当接させられて、ロータ30の軸線Xの軸方向の位置決めがされている。
【0017】
伝達軸33における先端部33aの上側は、当該先端部33aよりも径が大きい大径部33bとなっており、この大径部33bの外周には、後記するギヤ71の外周に設けた歯部71gに噛合する歯部33cが設けられている(
図2参照)。
【0018】
図1に示すように、ロータ30を収容する隔壁20の小径部201は、ロータ30の磁石32を所定間隔で囲む筒状に形成されており、この小径部201の外周には、ステータアッセンブリ40が外挿されて取り付けられている。
実施の形態では、小径部201と大径部202を接続する円板部203が、軸線Xに直交して設けられており、この円板部203により、小径部201に外挿したステータアッセンブリ40の位置決めがされて、ロータ30(磁石32)の径方向外側に、2つのステータ組50A、50Bが配置されるようになっている。
なお、ロータ30の磁石32は、隔壁20を介して後述のステータアッセンブリ40からの磁力によって駆動されるため、隔壁20は非磁性体で構成される。また流体室Sの圧力に耐えられるよう、隔壁20は金属で構成される。このため、隔壁20は非磁性金属であるステンレスで構成される。
【0019】
図2に示すように、ステータアッセンブリ40は、軸線Xの軸方向に重ねて配置された2つのステータ組50A、50Bを備えており、このステータアッセンブリ40には、ステータ組50A、50Bの外周を囲む外ステータコア59が外挿して取り付けられている。
外ステータコア59は、後記する内ステータコア51、52と同様に、磁性体の板体をプレス加工することで形成されており、ステータ組50A、50Bに外挿して取り付けた際に、外ステータコア59と内ステータコア51、52とが互いに接触した状態で設けられて、外ステータコア59と内ステータコア51、52とで磁路が構成されるようになっている。
【0020】
ステータ組50A、50Bの各々は、軸方向に間隔をあけて配置された一対の内ステータコア51、52の間に、ボビン53の外周に巻き付けられたコイル54が配置された基本構成を有している。
ステータアッセンブリ40においてボビン53は、その内部にステータ組50A、50Bの内ステータコア51、52がインサート成形により埋め込まれた樹脂成形体(絶縁体)であり、後記する端子保持部55と一体に形成されている。
【0021】
図4は、ステータアッセンブリ40の斜視図であり、(a)は、ステータアッセンブリ40において樹脂で形成された部分をハッチングして示した図であり、(b)は、樹脂部分を除いた構成要素の分解斜視図であり、ステータ組50A、50Bの各内ステータコア51、52と、コイル54を軸方向に並べた図である。
図5の(a)は、バルブ駆動装置1から上カバー部材90を取り外した状態を、基板60側から見た側面図であり、(b)は、(a)におけるA−A断面の要部を拡大して示す図であり、(c)は、外部接続端子61を説明する図である。
図6および
図7は、コネクタハウジング62を保持するコネクタ保持部材100を説明する分解斜視図である。
図8は、上カバー部材90を、下カバー部材80側の下方から見た斜視図である。
【0022】
図4に示すように、内ステータコア51、52は、軸線Xに直交する向きで配置されたリング状のフランジ部510、520と、フランジ部510、520の内周から軸線X方向に起立形成された複数の極歯511、521とを備えており、フランジ部510、520の内径側において極歯511、521は、軸線X周りの周方向に等間隔で設けられている。
ステータ組50A、50Bの一対の内ステータコア51、52は、一方の内ステータコア51の極歯511と、他方の内ステータコア52の極歯521とが、軸線X周りの周方向で交互に並んで配置されるように、互いの極歯511、521を対向させる向きで配置されている。
【0023】
図5の(b)に示すように、極歯511、521の径方向外側には、外周にコイルが巻き付けられたボビン53の円筒状の基部530が位置しており、軸線Xの軸方向におけるこの基部530の両端には、径方向外側に延びる鍔部531、532が、軸線X周りの周方向で全周に亘って設けられている。
【0024】
ステータアッセンブリ40において、ステータ組50Aの内ステータコア51と、ステータ組50Bの内ステータコア52は、軸線Xの軸方向で、フランジ部510、520同士を接触させた状態で設けられている。
【0025】
図4に示すように、各ステータコアのフランジ部510、520には、軸線X方向に貫通する貫通穴510a、520aが、軸線X周りの周方向で複数設けられている。
実施の形態では、軸線Xの軸方向で互いに接して設けられた内ステータコア51、52の貫通穴510a、520aは、軸方向から見て重なる位置に設けられており、インサート成形の際に樹脂が貫通穴に充填されて、重ねられた内ステータコア51、52のフランジ部510、520が隙間なく接合された状態で、樹脂内に保持されるようにされている。
【0026】
内ステータコア51、52が埋め込まれたステータアッセンブリ40では、ボビン53の基部530の内径側に極歯511、521が露出しており、フランジ部510、521のコイル54側の面が、鍔部531、532を構成する樹脂で覆われている。
ここで、ボビン53の基部530の内径側に極歯511、521が露出しているのは、インサート成形により、内部に内ステータコア51、52が埋め込まれたボビン53を形成する際に、極歯511、521の内径側を、金型との位置決め部として用いているためである。
【0027】
そして、ステータアッセンブリ40では、ステータ組50Bのフランジ部510の内径側の上面を覆う樹脂材料により、リング状の取付部57(
図2〜
図4参照)が形成されており、この取付部57には、後記する上カバー部材90の嵌合壁91cが内嵌して取り付けられるようになっている(
図1参照)
また、ステータ組50Aのフランジ部520の内径側の下面を覆う樹脂材料により、リング状の当接部58(
図2参照)が形成されている、この当接部58は、ステータアッセンブリ40が隔壁20の小径部201外挿された際に、小径部201と大径部202との境界の円板部203に軸線X方向から当接するようになっており、ステータアッセンブリ40の軸方向の位置決めが、円板部203に当接させた当接部58により行われるようになっている。
【0028】
図4に示すように、各ステータコアのフランジ部510、520では、その外周部の一部に軸線X側に窪んだ切欠き部510b、520bが形成されており、各フランジ部510、520の切欠き部510b、520bは、軸線Xの軸方向から見て重なる位置に設けられている。実施の形態では、この切欠き部510b、520bの部分を利用して、端子保持部55が設けられている。
【0029】
図5の(b)に示すように、ステータ組50Bの端子保持部55Bは、フランジ部510、520の切欠き部510b、520bに跨って設けられている。
この端子保持部55Bは、フランジ部510、520の両側に位置するボビン53の鍔部532、531と一体に形成されており、軸線Xの軸方向に所定の厚みWaを有している。
【0030】
ステータ組50Aの端子保持部55Aは、内ステータコア52のフランジ部520の切欠き部520bに設けられている。
この端子保持部55Aは、ステータ組50Aのボビン53の鍔部532と一体に形成されており、軸線Xの軸方向に所定の厚みWbを有している。
【0031】
ステータ組50Aの端子保持部55Aと、ステータ組50Bの端子保持部55Bは、軸線X方向に間隔をあけて設けられている。
ステータ組50A、50Bの端子保持部55A、55Bには、複数のコイル端子56が圧入されて支持されており、複数のコイル端子56は、ステータアッセンブリ40から径方向外側に突出して設けられていると共に、コイル端子56の基端は、切欠き部510b、520b内に位置している。
【0032】
そのため、ステータアッセンブリ40に外挿して取り付けられる外ステータコア59では、ステータ組50A、50Bの外周を囲む周壁部592に、コイル端子56との干渉を避けるための切欠き593が設けられている。(
図3参照)。
ここで、実施の形態では、ステータ組50Aのコイル端子56(56a〜56c)と、ステータ組50Bのコイル端子56(56a〜56c)とが、軸線Xの軸方向で近接して配置されているので、外ステータコア59における切欠き593を形成する範囲、具体的には、軸線Xの軸方向における切欠きの大きさを、小さくできるようになっている。
そのため、切欠き593の上辺593a(
図5の(b)参照)が、外部接続端子61が径方向外側に位置するほうのステータ組50B(コイル54)と、径方向から見て重なる位置に配置されている。
【0033】
なお、外ステータコア59は、
図3に示すように、有底円筒形状を有しており、底部591の中央部に、隔壁20の底部20a側を挿通可能とする開口591aが設けられている。そして、底部591の全周に亘って設けられた周壁部592は、ステータ組50A、50Bのフランジ部510、520を全周に亘って取り囲む円筒形状を成している。
【0034】
図5に示すように、コイル端子56は、直線状に延びる棒形状を呈する導電性のピンであり、軸線X周りの周方向に等間隔W1をあけて設けられている。
【0035】
実施の形態のステータアッセンブリ40では、内ステータコア51、52のフランジ部510、520の切欠き510b、520bに端子保持部55A、55Bを設けたので、切欠きを設けない場合に比べて、端子保持部55A、55Bが径方向外側に突出することを好適に防止しており、モータMの径方向の大型化が防止されるようになっている。
【0036】
また、ステータ組50Aでは端子保持部55Aがフランジ部520の厚みを、ステータ組50Bでは端子保持部55Bがフランジ部510、520の厚みを、それぞれ利用して設けられているので、端子保持部55A、55Bの厚みWb、Waを厚くすることができるようになっている。これにより、端子保持部55A、55Bにおけるコイル端子56の支持強度が高められている。
【0037】
ステータ組50Aの端子保持部55Aでは、圧入支持された複数のコイル端子56が、ステータ組50Aの内ステータコア52のフランジ部520厚みの範囲内に位置している。ステータ組50Bの端子保持部55Bでは、圧入支持された複数のコイル端子56が、軸方向で重ねられたステータコアのフランジ部510、520の重ね合わせ部分の厚みの範囲内に位置している。
【0038】
実施の形態では、端子保持部55Aで保持されたコイル端子56には、ステータ組50Aのコイル54(A相のコイル)から引き出された巻き線の端部(図示せず)が絡げられ、端子保持部55Bで保持されたコイル端子56には、ステータ組50Bのコイル54(B相のコイル)から引き出された巻き線の端部(図示せず)が絡げられている。
ここで、コイル54は、コイル端子56bからコイル端子56aに巻かれるコイルと、コイル端子56bからコイル端子56cに巻かれるコイルとを備え、この2つのコイルが巻かれる方向は、コイル端子56bからコイル端子56a側と、コイル端子56bからコイル端子56c側で逆方向になっている。
そして、これら端子保持部55A、55Bで支持されたコイル端子56の各々は、共通のリジッド基板60(以下、基板60と表記する)を介して、それぞれ対応する外部接続端子61(61a〜61e)に接続されている。なお、コイル端子56の各々は、基板60におけるコイル54とは反対側の面601aで、基板60に設けられた配線60a〜60eのうちの対応する配線に、半田付けにより固定されている。
【0039】
基板60には、合計5つの外部接続端子61(61a〜61e)が接続されており、ステータ組50A、50Bのコイル端子56(56a〜56c)は、基板60に設けられた配線60aから60eを介して、それぞれ対応する外部接続端子61(61a〜61e)に接続されている。
すなわち、ステータ組50Aのm本のコイル端子56と、ステータ組50Bのn本のコイル端子56とに対して、m+n−1本の外部接続端子61が設けられている。
基板60において、隣接する外部接続端子61間の間隔W2は、隣接するコイル端子56間の間隔W1よりも小さく設定されている(W1>W2)。
【0040】
なお、外部接続端子61の各々は、基板60におけるコイル54とは反対側の面601aで、配線60a〜60eのうちの対応する配線に、半田付けにより固定されている。
このように、実施の形態では、基板60における一方の面601a(同一の面)に、コイル端子56と外部接続端子61の各々が、半田付けにより固定されている。
ここで、
図5の(a)に示すように、基板60とコネクタハウジング62とが、基板60における一方の面601a側(
図5(a)の紙面手前側)から見て重ならない位置関係で設けられている(基板60とコネクタハウジング62とが軸線Xの軸方向でオフセットしている)。これにより、外部接続端子61を、配線60a〜60eのうちの対応する配線に半田付けする際に、コネクタハウジング62が基板60から突出した外部接続端子61を覆うことがない。このため、コネクタハウジング62が半田付け作業の邪魔にならないので、半田付けの作業効率と確実性が向上することになる。
【0041】
また、
図5の(b)に示すように、基板60とコネクタハウジング62とが、軸線Xの軸方向から見て重ならない位置関係で設けられている(基板60とコネクタハウジング62とが軸線Xの径方向でオフセットしている)。これにより、外部接続端子61と配線60a〜60eのうちの対応する配線に半田付けする半田付け部と、コネクタハウジング62を離して配置することができる。ことため、半田付け作業の熱で樹脂製のコネクタハウジング62を変形させる虞が低減される。
【0042】
なお、
図5の(b)とは異なり、コネクタハウジング62を、基板60寄りの径方向内側に配置して、コネクタハウジング62と基板60とを径方向で重ねて配置しても良く、かかる場合、コネクタハウジング62が基板カバー120から径方向に突出する量が少なくなり、バルブ駆動装置1のモータM側の外径を小さくすることができるので、バルブ駆動装置1のモータM側を径方向に小型化できることになる。
【0043】
ステータ組50Aのコイル端子56aは、
図5の(a)において左から1番目の配線60aを介して、左から1番目の外部接続端子61aと電気的に接続されており、左から2番目のコイル端子56bは、左から3番目の配線60cを介して、左から3番目の外部接続端子61cと電気的に接続されており、左から3番目のコイル端子56cは、左から4番目の配線60dを介して、左から4番目の外部接続端子61dと電気的に接続されている。
また、ステータ組50Bのコイル端子56aは、
図5の(a)において左から2番目の配線60bを介して、左から2番目の外部接続端子61bと電気的に接続されており、左から2番目のコイル端子56bは、左から3番目の配線60cを介して、左から3番目の外部接続端子61cと電気的に接続されており、左から3番目のコイル端子56cは、左から5番目の配線60eを介して、左から5番目の外部接続端子61eと電気的に接続されている。
【0044】
ここで、実施の形態の基板60では、基板60に設けられた配線60a〜60eのうち、ステータ組50Aのコイル端子56a、56cと、外部接続端子61a、61dと、を接続する配線60a、60dは、ステータ組50Aのコイル端子56a、56cを迂回するように湾曲して設けられている。そのため、ステータ組50Aのコイル端子56(56a〜56c)と、ステータ組50Bのコイル端子56(56a〜56c)とを、周方向にずらして設けることなく、それぞれ対応する外部接続端子61に接続できるようになっている。
よって、実施の形態では、基板60の幅W3を広げることなく、コイル端子56の間隔W1を広く取ることができるようになっている。
これにより、基板60の幅W3は、外部接続端子61を周方向に並べて配置するのに必要な最小の幅を備えていれば良いので、基板60の大型化を防止できることになる。
【0045】
図5の(c)に示すように、外部接続端子61(61a〜61e)は、側面視コ字形状を呈する導電性のピンであり、基板60の孔部に挿通される第1の部位61−1と、第1の部位61−1のステータ組50B側の端部から折り曲げられて上方へ延設される第2の部位61−2と、第2の部位61−2の上端部から折り曲げられてステータ組50Bから離間する方向へ延設される第3の部位61−3と、を備える。
つまり、第2の部位61−2は、軸線Xの軸方向に沿って延びており、第1の部位61−1は、第2の部位61−2の軸方向の一端から径方向外側に延びており、第3の部位61−3は、第2の部位61−2の軸方向の他端から径方向外側に延びている。このため、外部接続端子61は、径方向から見た基板60の幅W3の範囲内に位置しており、軸線X周りの周方向で基板60の幅W3よりも周方向外側に飛び出さないように設けられている。
各外部接続端子61(61a〜54e)の第1の部位61−1は、ステータ組50Bのフランジ部510よりも低い位置(ステータ組50A側の位置)に設けられている。
【0046】
外部接続端子61a〜54eの第3の部位61−3には、コネクタハウジング62が設けられており、このコネクタハウジング62には、相手側コネクタ端子(図示せず)が脱着可能とされている。
軸線Xの径方向外側から見てコネクタハウジング62では、幅方向の両側に、幅方向外側に突出して係合突部62aが設けられている。この係合突部62aは、コネクタハウジング62の高さ方向の全長に亘って形成されており、コネクタ保持部材100の凹溝102a(
図6参照)との係合部となっている。
【0047】
図6および
図7に示すように、コネクタ保持部材100は、外ステータコア59の外周に取り付けられる基部101と、基部101の外ステータコア59とは反対側の面を覆う基板カバー120と、を備えて構成される。
基部101の幅方向における両側には、上カバー部材90(
図1参照)側の上方に延びる一対の壁部102、102が設けられている。
これら壁部102、102の各々では、上面視において略コ字形状を有する凹溝102a、102aが、外ステータコア59とは反対側の一側の互いに対向する面に設けられている。
壁部102、102において凹溝102a、102aは、高さ方向の全長亘って設けられており、コネクタハウジング62の係合突部62aが図中上方向から係合するようになっている。
【0048】
基部101における凹溝102a、102aの間の上端面101aは、コネクタ保持部材100に取り付けたコネクタハウジング62の載置面となっており、コネクタハウジング62は、基部101の上端面101aにより、軸線X(
図1参照)の軸方向における位置決めがされている。
【0049】
基部101における凹溝102aの近傍には、外部接続端子61を挿通させるための開口101bが設けられており、外部接続端子61の第1の部位61−1および第1の部位61−2(
図5の(c)参照)が、コネクタハウジング62をコネクタ保持部材100に取り付ける際に、この開口101b内に図中上側から挿入されるようになっている。
【0050】
図7に示すように、基部101における基板カバー120側の面には、開口101bを挿通させた基板60の周縁に当接する枠部103と、基板60の裏面601b(
図6参照)に当接する当接部104、105が設けられている。
コネクタ保持部材100において基板60は、枠部103により軸線X(
図1参照)の軸方向および周方向の位置決めがされ、当接部104、105により軸線Xの径方向の位置決めがされている。
【0051】
当接部104は、基部101の幅方向における両側で、枠部103の内側に接して設けられており、これら当接部104、104の間に、ステータ組50Aのコイル端子56を挿通させる開口106が設けられている。
【0052】
当接部105は、当接部104の上側に所定距離離間した位置に設けられており、当接部104と当接部105の間に、ステータ組50Bのコイル端子56を挿通させる開口107が設けられている。
当接部105には、基板60に接続された外部接続端子61との干渉を避けるための切欠き105aが設けられており、コネクタハウジング62をコネクタ保持部材100に取り付ける際に、コネクタハウジング62と基板60とを接続する外部接続端子61が、当接部105に干渉しないようにされている。
さらに、外部接続端子61の各々が、切欠き105a内に収容されることで、隣接する外部接続端子61同士が、互いに接触しないようにされている。
【0053】
図6に示すように、基部101におけるこれら当接部104、105の反対側には、外ステータコア59側に突出する係合爪108a、108bが設けられている。これら係合爪108a、108bは、コネクタ保持部材100を外ステータコア59に取り付ける際に、外ステータコア59の切欠き593の上辺593aと側辺593b(
図3参照)にそれぞれ係止されて、コネクタ保持部材100の外ステータコア59からの脱落が、これら係合爪108a、108bにより防止されるようになっている。
【0054】
ここで、係合爪108a、108bを外ステータコア59の切欠き593に係止させて、コネクタ保持部材100を外ステータコア59に取り付けると、基部101の外ステータコア側の面101c、101cが、軸線Xの径方向からそれぞれ端子保持部55A、55Bに当接するようになっている(
図5の(b)参照)。
実施の形態では、外ステータコア59にコネクタ保持部材100を取り付けると、コネクタ保持部材100が、外ステータコア59の周壁部592(
図3参照)のみならず、端子保持部55A、55Bにも接触した状態となるので、コネクタ保持部材100の取付安定性が向上するようになっている。
【0055】
なお、
図6に示すように、基板60は、コネクタ保持部材100の外周方向(軸線Xの径方向)から枠部103に嵌め込まれるようになっている。そのため、基板60は、外部接続端子61とコイル端子56を、それぞれ開口101bと開口106、107を通過させたのちに、外部接続端子61とコイル端子56が、それぞれ基板60の対応する貫通穴に挿入されるようにして、枠部103に取り付けられることになる。
このようにすることで、基板60の裏面601bを、コネクタ保持部材100の当接部104、105(
図7参照)に確実に接触させた状態で、外部接続端子61とコイル端子56を、基板60に半田付けすることができるので、コネクタ保持部材100における基板60の設置安定性が向上することになる。
【0056】
図7に示すように、基部101の幅方向における両側には、基板カバー120のガイド部124が嵌合するガイド溝109が設けられており、このガイド溝109は、コネクタ保持部材100の高さ方向に沿って設けられている。
このガイド溝109における上側には、基部101の幅方向における外側に突出して突出部110が設けられている。突出部110は、基板カバー120をコネクタ保持部材100に取り付けた際に、ガイド部124に設けた切欠き124a(
図6参照)に係合するようになっており、基板カバー120のコネクタ保持部材100からの脱落が、切欠き124aに係合した突出部110により阻止されるようになっている。
【0057】
図7に示すように、基板カバー120は、コネクタ保持部材100の枠部103に、図中下方向から外挿して取り付けられて、コネクタ保持部材100で保持された基板60(図示せず)の前面を覆うものである。
図6に示すように、基板カバー120は、平面視において矩形形状を有するカバー部121と、カバー部121の幅方向における両側に設けられた側壁部122と、カバー部121の下辺に沿って設けられて、側壁部122、122の下端同士を接続する下壁部123と、側壁部122、122の端部から基板カバー120の幅方向における内側に延びるガイド部124と、外側に延びる係合部125とを有している。
【0058】
ガイド部124は、側壁部122、122のカバー部121とは反対側の端部から、基板カバー120の幅方向における内側に延びており、基板カバー120の高さ方向(側壁部122の長手方向)の全長に亘って設けられている。
ガイド部124は、前記したガイド溝109と略整合する幅W4で板状に形成されており、基板カバー120をコネクタ保持部材100に取り付ける際にガイド溝109に挿入されて、ガイド部124が、ガイド溝109に沿って移動するようになっている。
【0059】
係合部125は、側壁部122、122のカバー部121とは反対側の端部から、基板カバー120の幅方向における外側に延びたのち、カバー部121から離れる方向に屈曲しており、上面視においてL字形状を成している。
係合部125は、基板カバー120がコネクタ保持部材100に組み付けられた際に、コネクタ保持部材100の両側に突出するようになっており、後記する上カバー部材90の凹溝93c(
図8参照)に係合させるために設けられている。
【0060】
次に、モータMにより駆動される弁部70を説明する。
図9は、バルブ駆動装置1における下カバー部材80、弁部70、台部材86およびモータMの部分の分解斜視図である。
図10は、弁部70のギヤ71および弁体72を示す分解斜視図である。
【0061】
バルブ駆動装置1の弁部70は、モータMにより軸線X2(
図9参照)周りに回転駆動される部材であって、ギヤ71と、弁体72と、を備える。
ギヤ71は、モータMの伝達軸33の外周に設けられた歯部33cと歯合する外歯車である。
図10に示すように、ギヤ71の中心には、円形の孔部71aが形成されていると共に、ギヤ71の底面には、中心突起71bと、当該中心突起71bの周囲に配置された複数(本実施形態では3つ)の突起71cと、が形成されている。
【0062】
弁体72は、略円板形状を呈する部材であり、弁体72の中心には、円形の孔部72aが形成されていると共に、弁体72の上面には、孔部72aの周囲に配置された1つの孔部72bおよび2つの凹部72cが形成されている。
また、弁体72の底面には、切欠72dが形成されている。弁体72の底面のうち、切欠72dが形成されていない部位は、流体導出管3、4の開口3a、4a(
図9参照)を閉塞可能に構成されている。
【0063】
ギヤ71および弁体72は、ギヤ71の中心突起71bおよび3つの突起71cが弁体72の孔部72a、1つの孔部72bおよび2つの凹部72cのそれぞれに挿入されることによって、互いに固定されている。
ギヤ71と弁体72は、孔部71aと孔部72aを挿通させた軸部材73(
図9参照)で回転可能に支持されており、
図1に示すように、軸部材73の上端73aと下端73bは、台部材86の支持孔89aと、底板部10に固定された接続部材15の穴部15aで、それぞれ回り止めされた状態で保持されている。
【0064】
接続部材15は、底板部10に設けられた貫通穴10cに、モータMとは反対側の下方から嵌入して設けられている。
接続部材15の中央部には、軸部材73を支持するための穴部15aが、流体室S側に開口して形成されており、接続部材15において、この穴部15aの径方向外側の位置には、流体導出管3の開口3aと、流体導出管4の開口4aが位置している(
図9参照)。
流体導出管3、4は、それぞれ接続部材15を軸線X方向に貫通して設けられており、底板部10の上方に形成される流体室Sに連通している。
【0065】
底板部10では、中央の孔部10aを挟んで貫通穴10cとは反対側の位置に、貫通穴10dが設けられており、この貫通穴10dには、流体導入管2が嵌入されている。この状態で、流体導入管2の開口2aは流体室S内に開口しており、流体導入管2を流体室Sに連通させている。
【0066】
図9に示すように、底板部10の上面10b(
図1参照)には、台部材86が載置されており、この台部材86は、台部87と、台部87の周縁部から下方側に延びる複数の脚部88(88a、88b)と、を備えて構成される。
台部87では、前記した伝達軸33を挿通させる穴部87aがその中央部に形成されており、この穴部87aの径方向外側には、支持孔89aを備える腕部89が、軸線Xまわりの周方向に沿って設けられている。
【0067】
実施の形態では、底板部10に隔壁20を固定した際に、隔壁20の円板部203が台部87に当接して、脚部88aを底板部10に当接させる位置まで、底板部10側の下方に押し込むようになっている。
この際、脚部88bは脚部88aよりも径方向外側に突出して設けられているので、台部材86は、脚部88bを隔壁20の大径部202の内周に押し当てた状態で、隔壁20内で保持されるようになっている。
【0068】
また、弁部70の軸部材73を支持する腕部89は、台部87とは独立に軸方向に変形可能となっており、台部材86が底板部10側の下方に押し込まれた際に、弁体72を底板部10側の下方に付勢するようになっている。そのため、弁部70の弁体72は、腕部89により底板部10の上面に常時当接させられて、軸方向の位置決めがされている。
【0069】
図2に示すように、底板部10の上面に固定された隔壁20の大径部202には、下カバー部材80が外挿して固定されている。
下カバー部材80は、板状の基部81の中央に、隔壁20の大径部202が挿入される開口81aが設けられており、開口81aの内周縁には、軸線X方向の上側に向けて起立形成された当接片81bが、軸線X周りの周方向で複数設けられている。
当接片81bの各々は、開口81aから軸線X側に膨出して設けられており、軸線Xの径方向外側に弾性変形可能とされている。
そのため、下カバー部材80を隔壁20の大径部202に外挿して取り付ける際に、大径部202が当接片81bを径方向外側に押し広げながら、基部81の開口81a内に挿入されて、下カバー部材80が隔壁20に固定されるようになっている。
【0070】
図9に示すように、基部81の幅方向における一側には、軸線X方向の下側に向けて折り曲げて形成された取付部85が設けられている。取付部85は、バルブ駆動装置1を外部構造物である冷蔵庫へ取り付けるために設けられており、基部81の長手方向の全長に亘って設けられている。取付部85には、ネジ等が挿通される穴部85aが形成されている。この穴部85aは、前記した流体導入管2と流体導出管3との干渉を避けるために、取付部85を正面から見た
図1において、軸線Xの径方向で、これら流体導入管2と流体導出管3よりも径方向外側に位置している。
【0071】
図9に示すように、基部81の長手方向における両側には、軸線X方向の上側に向けて折り曲げて形成された補強壁82、83が設けられている。補強壁82、83は、それぞれ基部81の幅方向の全長に亘って設けられており、補強壁の上端82a、83aには、上カバー部材90(
図3参照)が載置されるようになっている。
実施の形態では、
図1および
図3に示すように、一方側の補強壁82の上方にコネクタハウジング62(外部接続端子61)が位置するようになっており、他方側の補強壁83に、下カバー部材80と上カバー部材90とを係合状態で保持するための係合腕84が設けられている。
【0072】
補強壁82において係合腕84は、幅方向の略中央部から、基部81から離れる方向(上方)に延出して設けられており、係合腕84の上端側には、軸線X側に膨出して係合部84aが設けられている。
係合部84aは、上カバー部材90をモータMの外ステータコア59に外挿して取り付けた際に、上カバー部材90の被係合部92aに係合するようになっており、これにより、上カバー部材90の下カバー部材80からの脱落が防止されている。
【0073】
実施の形態の下カバー部材80では、補強壁82、83が、軸線Xの軸方向で取付部85の折り曲げ方向(下方向)とは反対の方向(上方向)に折り曲げられて、下カバー部材80の基部81の曲げ剛性が高められている。
これは、下カバー部材80を隔壁20の大径部202に外挿(圧入)して取り付ける際に、大径部202が当接片81bを径方向外側に押し広げながら、基部81の開口81a内に挿入されて、下カバー部材80が隔壁20に固定されるようになっているため、この際の応力で、基部81が大きく変形しないようにするためである。
ここで、実施の形態の下カバー部材80では、長手方向の両側の補強壁82、83が、それぞれ同じ上方向に折り曲げられているため、曲げ加工により、補強壁82、83と取付部85を形成する際の加工が、補強壁82、83が軸線Xの軸方向で異なる方向(上下方向)に曲げられる場合よりも容易に行えるようになっている。
【0074】
図1から
図3に示すように、上カバー部材90は、モータMのステータアッセンブリ40と外ステータコア59を収容する部材であり、ステータアッセンブリ40の上面を覆うカバー部91と、外ステータコア59の外周を囲む周壁部92と、コネクタハウジング62の上面と側面とを囲むコネクタカバー部93とを備えて構成される。
【0075】
カバー部91の中央には、軸方向から見てリング状の膨出部91aが設けられており、この膨出部91aの中央には、膨出部911内に位置する隔壁20を視認可能とする開口91bが設けられている。
カバー部91における膨出部91aとは反対側には、リング状の嵌合壁91c(
図8参照)が基部81側の下方に突出して形成されており、この嵌合壁91cは、ステータアッセンブリ40の上部に設けられた略リング形状の取付部57の段部57a(
図2参照)に内嵌している。
また、カバー部91において、嵌合壁91cから径方向外側の位置には、ステータアッセンブリ40側の下方に突出して凸部91d、91dが設けられている(
図7参照)。凸部91d、91dは、軸方向から見て膨出部91aを挟んで対称となる位置に設けられている。実施の形態では、これら凸部91d、91dが、取付部57の外周に設けた凹部57b、57bに係止されて、上カバー部材90の軸線X周りの回転が規制されるようになっている。
【0076】
上カバー部材90の周壁部92は、前記したコイル端子56との干渉を避ける範囲に設けられている。
上カバー部材90では、下カバー部材の係合腕84と整合する位置に、係合腕84の係合部84aが係合する被係合部92aが設けられており、軸線Xを挟んでこの被係合部92aの反対側の位置に、コネクタカバー部93が設けられている。
【0077】
図3および
図8に示すように、コネクタカバー部93は、コネクタハウジング62の上面を保護する上壁部93aと、コネクタハウジング62の側面を保護する側壁部93b、93bとを備えており、側壁部93b、93bの各々には、基板カバー120の係合部125が係合する凹溝93c、93cが設けられている。
なお、上壁部93aの先端側には、段部93a1が設けられており、この段部93a1には、コネクタハウジング62の先端部62b(
図1参照)が軸線Xの径方向で係合して、コネクタハウジング62の軸線Xから離れる方向への移動が、段部93a1により規制されている。
従って、このことによっても、コネクタハウジング62の上カバー部材90からの脱落が阻止されるようになっている。
【0078】
以下、
図11を参照して、バルブ駆動装置1の動作例について説明する。
図11は、バルブ駆動装置1の動作を説明するための図であって、弁体72を下カバー部材80側から見て、流体導出管3、4を仮想線で示した図であり、(a)は、流体導出管3、4の両方が弁体72で閉じられた閉弁状態を、(b)は、流体導出管4が弁体72で閉じられた第一の閉弁状態を、(c)は、流体導出管3、4の両方が開かれた第二の閉弁状態を、(d)は、流体導出管3が弁体72で閉じられた第三の閉弁状態を示す図である。
【0079】
バルブ駆動装置1では、外部接続端子61(61a〜61e)、基板60およびコイル端子56を介したコイル34への通電によって、ステータ組50A、50Bのコイル34が励磁され、かかる磁力によってロータ30を回転させる。
ロータ30の回転は、伝達軸33の歯部33cを介して弁体72に伝達されて、弁体72が軸線X2周りに回転駆動する。
【0080】
<閉弁状態>
図11(a)に示すように、切欠72dが流体導出管3、4以外の位置にある状態では、弁体72は、流体導出管3、4を閉塞する閉弁状態(全閉)であり、流体室Sから流体導出管3、4への流体の導出が遮断される。
【0081】
<第一の開弁状態>
図11(b)に示すように、閉弁状態からギヤ71および弁体72が時計回りに回転し、切欠72dが流体導出管3の位置に達した状態では、弁体72は、流体導出管3を開放すると共に流体導出管4を閉塞する第一の開弁状態(一部開)であり、流体室Sから流体導出管3への流体の導出が許容されると共に流体導出管4への流体の導出が遮断される。
【0082】
<第二の開弁状態>
図11(c)に示すように、第一の開弁状態からギヤ71および弁体72がさらに時計回りに回転し、切欠72dが流体導出管3、4の位置に達した状態では、弁体72は、流体導出管3、4を開放する第二の開弁状態(全開)であり、流体室Sから流体導出管3、4への流体の導出が許容される。
【0083】
<第三の開弁状態>
図11(d)に示すように、第二の開弁状態からギヤ71および弁体72がさらに時計回りに回転し、切欠き42dが流体導出管3の位置を通り過ぎた状態では、弁体72は、流体導出管3を閉塞すると共に流体導出管4を開放する第三の開弁状態(一部開)であり、流体室Sから流体導出管3への流体の導出が遮断されるとともに流体導出管4への流体の導出が許容される。
【0084】
以上の通り、実施の形態では、冷蔵庫(図示せず)との間で流体(冷媒)が循環可能な流路を構成し、冷蔵庫から流体導入管2を介して流体室S内へ導入された流体の導出先を、モータMにより回転駆動される弁体72により、流体導出管3、4のうちの少なくとも一方に切り替えるように構成されたバルブ駆動装置1であって、
モータMは、一対のステータ組50A、50Bが軸方向に並べて配置されたクローポール型ステッピングモータであり、
ステータ組50Aのコイル54(A相のコイル)とステータ組50Bのコイル54(B相のコイル)の各々は、
外周にコイル54が巻回されると共に、軸線Xの軸方向の両端に径方向に延びる鍔部531、532を有するボビン53と、
コイル54から引き出された巻き線の端部が絡げられる複数のコイル端子56(56a〜56c)と、
複数のコイル端子56(56a〜56c)が圧入されて保持される端子保持部55A、55Bと、を備え、
B相のコイル54を備えるステータ組50Bでは、軸方向で隣接するステータ組50A側の鍔部532に、端子保持部55Bが設けられており、
A相のコイル54を備えるステータ組50Aでは、隣接するステータ組50B側の鍔部531とは反対側の鍔部532に、端子保持部55Aが設けられており、
複数のコイル端子56(56a〜56c)の各々は、共通の基板60を介して、それぞれ対応する外部接続端子61(61a〜61e)に接続されており、
外部接続端子61(61a〜61e)は、軸線Xの径方向から見てB相のコイルを備えるステータ組50Bと重なる位置に設けられている構成とした。
【0085】
このように構成すると、A相のコイル54とB相のコイル54の複数のコイル端子56(56a〜56c)の各々を、共通の基板60を介して、それぞれ対応する外部接続端子61(61a〜61e)に接続したので、相手側コネクタ端子の着脱によるコイル巻線部分への負荷を低減できる。
【0086】
特に、B相のコイル54を備えるステータ組50Bでは、軸方向で隣接するステータ組50A側の鍔部532に、端子保持部55Bが設けられており、A相のコイル54を備えるステータ組50Aでは、隣接するステータ組50B側の鍔部531とは反対側の鍔部532に、端子保持部55Aが設けられており、外部接続端子61(61a〜61e)が、軸線Xの径方向から見てB相のコイルを備えるステータ組50Bと重なる位置に設けられている構成とした。
これにより、複数のコイル端子56(56a〜56c)と外部接続端子61(61a〜61e)とが、軸方向に並べて配置されたA相のコイル54を備えるステータ組50AとB相のコイル54を備えるステータ組50Bの高さの範囲内に収まるので、ステッピングモータMの軸方向の大きさを小さくすることができる。
【0087】
外部接続端子61は、基板60からB相のコイルを備えるステータ組50B側に延びる第1の部位61−1と、第1の部位61−1の先端から、端子保持部55Bで保持された複数のコイル端子56から離れる方向に延びる第2の部位61−2とを少なくとも備える構成とした。
【0088】
このように構成すると、基板60の配線60a〜60e(配線パターン)を片面のみに形成することができ、さらには、端子保持部55A、55Bで保持された複数のコイル端子56(56a〜56c)と、複数の外部接続端子61(61a〜61e)との干渉を防止することができる。
特に、配線パターンが片面のみに形成された基板は、配線パターンが両面に形成された基板よりも安価であるので、バルブ駆動装置の作製コストの低減が可能になる。また、配線パターンが片面のみに形成された基板では、コイル端子56および外部接続端子61と配線パターンとの半田付けによる接続が、同一側の面で行われることになるので、かかる半田付け作業が、配線パターンが両面に形成された基板の場合よりも容易に行えることになる。
【0089】
ボビン53の各々は、軸線Xの軸方向で間隔をあけて配置された一対の内ステータコア51、52のフランジ部510、510の間に配置されて、基部530外周に巻回されたコイル54を、内ステータコア51、52の内径側から軸方向に延びる極歯511、521の径方向外側に位置させていると共に、樹脂インサート成形により、一対の内ステータコア51、52と一体に形成されており、
ステータ組50A、50Bは、隣接するステータ組50B、50A側に位置する内ステータコア51、52のフランジ部510、520同士を互いに接触させて設けられており、
ステータ組50Bの端子保持部55Bは、ボビン53の鍔部532と一体に一部品で形成されていると共に、軸線Xの径方向から見て、接触させて設けられたフランジ部510、520と重なる位置に設けられていると共に、さらに、ステータ組50Aのボビン53の鍔部531と一体に形成されている構成とした。
【0090】
このように構成すると、ステータ組50Bでは端子保持部55Bがフランジ部510、520厚みを利用して設けられるので、端子保持部55Bの厚みWaを厚くすることができる。これにより、端子保持部55Bにおけるコイル端子56の支持強度を高めることができる。
【0091】
さらに、ステータ組50Aでは端子保持部55Aがフランジ部520の厚みを利用して設けられているので、端子保持部55Aの厚みWbも厚くすることができる。これにより、端子保持部55Aにおけるコイル端子56の支持強度を高めることができる。
【0092】
ステータ組50A、50Bの一対の内ステータコア51、52は、樹脂インサート成形により、ボビン53と一体に形成されており、
一対の内ステータコア51、52は、少なくともその一部が、一体に形成されたボビン53内に埋め込まれている構成とした。
【0093】
このように構成すると、軸線Xの軸方向でステータ組50A、50Bの間に位置すると共に、ボビン53に一体に形成された端子保持部55Bの強度が、内ステータコア51、52と一体に構成されることで向上する。
【0094】
A相のコイル54を備えるステータ組50AとB相のコイル54を備えるステータ組50Bの外周を囲む外ステータコア59を備えており、外ステータコア59には、径方向外側から見て、複数のコイル端子56(56a〜56c)と重なる位置に、複数のコイル端子56(56a〜56c)との干渉を避けるための切欠き59aが設けられている構成とした。
【0095】
このように構成すると、ステータ組50Aのコイル端子56(56a〜56c)と、ステータ組50Bのコイル端子56(56a〜56c)とが、軸線Xの軸方向で近接して配置されているので、外ステータコア59における切欠き59aを形成する範囲を狭くすることができる。
外ステータコア59における切欠き59aを形成する範囲が広くなると、磁束の流れに好ましくない影響を及ぼす虞があるが、切欠き59aを形成する範囲を狭めることができるので、かかる影響の発生を抑えることができる。
【0096】
ステータ組50A、50Bの複数のコイル端子56(56a〜456c)は、それぞれ端子保持部55A、55Bで、軸線X周りの周方向に並べて配置されていると共に、
複数の外部接続端子61(61a〜61e)は、軸線X周りの周方向に並べて配置されており、
複数の外部接続端子61(61a〜61e)の周方向における間隔W2が、複数のコイル端子56(56a〜456c)の周方向における間隔W1よりも小さく設定されている構成とした。
【0097】
このように構成すると、コイル端子56(56a〜456c)の周方向の間隔W1を広く取ることができる。そうすると、間隔W1が広くなった分だけ、端子保持部55A、55Bにおけるコイル端子56(56a〜56c)の支持強度を高めることができるので、ボビン53と一体に形成された端子保持部55A、55Bに、コイル端子56(56a〜56c)を強固に固定することができる。
【0098】
底板部10(基部)の上面に固定されて底板部10との間に流体の導入室(流体室S)を形成する隔壁20(有底の筒壁部材)を備え、
隔壁20は、
当該隔壁20の底部20a側に設けられてロータ30(磁石32)の外周を所定間隔で囲むと共に、ステータ組50A、50Bを備えるステータアッセンブリ40が外挿される小径部201と、
小径部201に隣接して設けられて隔壁20の開口側に位置すると共に、ステータ組50A、50Bのコイル54(A相のコイル、B相のコイル)を、磁石32の径方向外側に位置決めする大径部202と、を備え、
ステータアッセンブリ40は、大径部202側の下端に樹脂製の当接部58を備えており、ステータアッセンブリ40は、当接部58を大径部202の円板部203に当接させて、軸線Xの軸方向における位置決めがされる構成とした。
【0099】
このように構成すると、ステータアッセンブリ40を小径部201に外挿させた際に、ステータアッセンブリ40の金属製のステータコア(ステータ組50Aの内ステータコア52)と金属製の隔壁20(円板部203)とが接触して、隔壁が傷つくことを好適に防止できる。
【0100】
隔壁20とステータアッセンブリ40を収容する有底筒状のカバー部材(上カバー部材90)と、
下カバー部材80の基部81から、軸線Xの軸方向に沿って上カバー部材90側に延びると共に、軸線Xの径方向の外側から上カバー部材90(被係合部92a)に係合して、上カバー部材を軸線Xの軸方向の所定位置で保持する係合腕84(保持部材)と、をさらに備え、
軸方向から見て、係合腕84は、複数のコイル端子56(56a〜56c)との干渉を避ける位置に設けられている構成とした。
【0101】
このように構成すると、係合腕84が、ステータ組50A、50Bのコイル端子56(56a〜56c)と、基板60、そして外部接続端子61(61a〜61e)と干渉することを好適に防止できる。
【0102】
外部接続端子61(61a〜61e)の先端側を収容するコネクタハウジング62が、上カバー部材90に収容されて設けられており、
上カバー部材90は、コネクタハウジング62の先端部62bと係合する段部93a1(係合部)を備えている構成とした。
【0103】
このように構成すると、コネクタハウジング62の上カバー部材90からの脱落を防止することができる。
【0104】
下カバー部材80の基部81は、外部構造物(冷蔵庫)との取付部85を備えており、取付部85は、軸線Xの軸方向において外部接続端子61が位置する側と反対側に設けられている構成とした。
【0105】
このように構成すると、外部接続端子61に相手側コネクタ端子が接続されている状態であっても、バルブ駆動装置1の冷蔵庫への取付および冷蔵庫からの取外しが容易である。
【0106】
さらに、実施の形態では、ステータ組50Aのコイル54(A相のコイル)が絡げられるコイル端子56(56a〜56c)と、ステータ組50Bのコイル54(B相のコイル)が絡げられるコイル端子56(56a〜56c)を、それぞれ保持する端子保持部55A、55Bが、軸線X方向で離間して設けられている構成としたので、A相とB相のコイル54からそれぞれ引き出した巻き線を、対応するコイル端子56(56a〜56c)に絡げるための空間を確保するために、端子保持部55Aで保持されたコイル端子56(56a〜56c)と、端子保持部55Bで保持されたコイル端子56(56a〜56c)と、をそれぞれ軸線Xの周方向にずらして設ける必要がない。
【0107】
例えば、
図5の(a)において、図中上側に位置するコイル端子56a、51bの間に、図中下側に位置するコイル端子56bが位置するように、端子保持部55Aで保持されたコイル端子56(56a〜56c)と、端子保持部55Bで保持されたコイル端子56(56a〜56c)と、をそれぞれ軸線Xの周方向にずらして設ける必要がない。
よって、コネクタハウジング62が軸線Xの周方向に大きくなることを好適に防止できるので、冷蔵庫に付設されるバルブ駆動装置1のような、小型であることが要求されるバルブ駆動装置に、好適に適用できるバルブ駆動装置となる。
【0108】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本発明のバルブ駆動装置は冷蔵庫の冷媒以外の流体に流路に対しても適用可能であり、弁体72によって開弁/閉弁するための構造も適宜変更可能である。