特許第5972110号(P5972110)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5972110
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】回転規制部材
(51)【国際特許分類】
   F16M 13/00 20060101AFI20160804BHJP
   A47B 91/12 20060101ALI20160804BHJP
   A47B 97/00 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   F16M13/00 S
   F16M13/00 T
   A47B91/12
   A47B97/00 E
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-189444(P2012-189444)
(22)【出願日】2012年8月30日
(65)【公開番号】特開2014-47813(P2014-47813A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2014年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】宮越 直人
【審査官】 鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−048902(JP,A)
【文献】 特開2008−121364(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/107625(WO,A1)
【文献】 特開2007−271573(JP,A)
【文献】 特開平11−332726(JP,A)
【文献】 実開昭57−083935(JP,U)
【文献】 実開昭56−050835(JP,U)
【文献】 実公昭44−013425(JP,Y1)
【文献】 実開平09−000495(JP,U)
【文献】 特開2006−246973(JP,A)
【文献】 特開昭51−088215(JP,A)
【文献】 特開平09−313281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16M 13/00
A47B 91/12
A47B 97/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面と対向する底部に回転可能な脚輪が設けられるオフィスにおいて使用される画像形成装置における前記脚輪の回転を規制する回転規制部材であって、
一定の厚さを有し、平面方向に広がる部材であって、前記脚輪と床面との間に配置される回転規制部材であって、前記脚輪が載置されることで前記画像形成装置の重さにより変形可能であり、瞬間的に前記画像形成装置を移動させる方向の力が加えられた場合に実質的に変形せずに、長い時間を掛けて力が加えられた場合に前記脚輪と前記回転規制部材との間の隙間が埋め尽くされるように変形するスライム状物質が封入されている
回転規制部材。
【請求項2】
前記スライム状物質は、ポリビニールアルコールである
請求項1に記載の回転規制部材。
【請求項3】
床面側の面に形成され、床面側に突出する突起部を有する滑り止め部材を更に備える
請求項1又は2に記載の回転規制部材。
【請求項4】
前記脚輪が載置される側の載置面において、前記脚輪が載置されていない状態の前記載置面に形成され、床面側に窪む凹部を更に備え、
垂直方向から視た場合に、前記凹部の大きさは、前記脚輪の大きさよりも小さい
請求項1から3のいずれかに記載の回転規制部材。
【請求項5】
前記脚輪は、水平方向から視た場合の形状が円形形状であり、
前記回転規制部材の厚さは、水平方向から視た場合における前記脚輪の半径から直径までの範囲である
請求項1から4のいずれかに記載の回転規制部材。
【請求項6】
前記脚輪は、水平方向に平行な軸を中心に回転可能で且つ垂直方向に平行な軸を中心に回転可能である
請求項1から5のいずれかに記載の回転規制部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、底部に回転可能な脚輪が設けられる画像形成装置等の機器における脚輪の回転を規制する回転規制部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、底部に回転可能な脚輪が設けられる画像形成装置等の機器の転倒を防止する技術として、次のような技術が知られている。
例えば、底部に脚輪が設けられる画像形成装置の底部に取り外し可能に取り付けられる転倒防止装置であって、装置本体に、画像形成装置の底部と床面との高さを調整可能な高さ調整ボルトを備え、この高さ調整ボルトの締め量を調節することにより画像形成装置の転倒及びガタツキを防止できるように構成された転倒防止装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、機器の底部のキャスター(脚輪)の旋回用の支軸を中心として回動自在に取り付けられた転倒防止部材を有する転倒防止装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載の転倒防止装置においては、転倒防止部材が旋回用の支軸を頂点とする湾曲形状の扇形に形成され、この転倒防止部材を機器の側面から突出する位置に回動させることにより、機器の転倒を防止する効果を得ることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−296863号公報
【特許文献2】特開2002−252475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の転倒防止装置においては、高さ調整ボルトを画像形成装置に取り付ける必要があるため、構成が複雑となる。また、特許文献1に記載の転倒防止装置においては、高さ調整ボルトを床面に接触させたままの状態で画像形成装置を移動させると、高さ調整ボルトや転倒防止装置自体が破損する可能性がある。
また、特許文献2に記載の転倒防止装置においては、転倒防止部材と床面との間に機器の移動を可能にするための間隔が設けられているため、脚輪は、自由に回転可能である。そのため、特許文献2に記載の転倒防止装置においては、地震等の振動が発生した場合に、脚輪が回転することにより機器が移動して、機器が他の機器や人に接触する可能性がある。
従って、簡易な構成で、脚輪の回転を規制して機器が移動することを防止することができる技術が望まれている。
【0006】
本発明は、簡易な構成で、底部に回転可能な脚輪が設けられる機器における脚輪の回転を規制して、地震等による振動が発生した場合でも、機器が移動することを防止することができる回転規制部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、床面と対向する底部に回転可能な脚輪が設けられる機器における前記脚輪の回転を規制する回転規制部材であって、一定の厚さを有し、平面方向に広がる部材であって、前記脚輪と床面との間に配置され、前記脚輪が載置されることで前記機器の重さにより変形可能であり、瞬間的に力が加えられた場合に実質的に変形せずに、長い時間を掛けて力が加えられた場合に変形する回転規制部材に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡易な構成で、脚輪の回転を規制して、地震等の振動が発生した場合でも、機器が移動することを防止することができる回転規制部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の回転規制部材80を適用する機器の一例である画像形成装置としてのコピー機1の全体構成を示す外観側面図である。
図2】コピー機1の全体構成を示す縦断面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る回転規制部材80の使用状態を説明する斜視図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る回転規制部材80の使用状態を説明する縦断面図である。
図5A】本発明の第1実施形態に係る回転規制部材80を上方側から視た斜視図である。
図5B】本発明の第1実施形態に係る回転規制部材80を下方側から視た斜視図である。
図6A】本発明の第2実施形態に係る回転規制部材80を上方側から視た斜視図である。
図6B】本発明の第2実施形態に係る回転規制部材80の上方側から視た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係る回転規制部材80を適用するコピー機1について説明する。図1は、本発明の回転規制部材80を適用する機器の一例である画像形成装置としてのコピー機1の全体構成を示す外観側面図である。図2は、コピー機1の全体構成を示す縦断面図である。図3は、本発明の第1実施形態に係る回転規制部材80の使用状態を説明する斜視図である。図4は、本発明の第1実施形態に係る回転規制部材80の使用状態を説明する縦断面図である。
【0011】
図1及び図2に示すように、コピー機1は、原稿搬送部10と、原稿読取部20と、用紙搬送部30と、画像形成部40と、転写部50と、定着部60と、本体ケースBDと、筐体支持車輪70とを備える。
【0012】
原稿搬送部10は、ADF(Automatic Document Feeder)であり、原稿載置部11と、第1送りローラー12と、ガイド13と、タイミングローラー対14と、原稿排出部15とを備える。第1送りローラー12は、原稿載置部11に載置された原稿Gを1枚ずつ順にタイミングローラー対14に供給する。タイミングローラー対14は、原稿読取部20が原稿Gの画像を読み取るタイミングと、原稿Gの画像が原稿読取部20によって読み取られる位置(ガイド13が配置されている位置)に原稿Gを供給するタイミングとを合わせるために、原稿Gの搬送又は原稿Gの搬送停止を行う。ガイド13は、搬送された原稿Gを後述する第1読取面21aに導く。原稿排出部15は、原稿読取部20によって画像が読み取られた(ガイド13を通過した)原稿Gをコピー機本体2の外部に排出する。コピー機本体2は、上記の用紙搬送部30や画像形成部40や転写部50や定着部60を収容する筐体である本体ケースBDにより、外観形状が形成されている。
原稿排出部15におけるコピー機本体2の外側には、原稿集積部16が形成される。原稿集積部16には、原稿排出部15から排出された原稿Gが積層して集積される。
【0013】
原稿読取部20は、第1読取面21aと、第2読取面22aとを備える。第1読取面21aは、ガイド13に対向して配置された第1コンタクトガラス21の上面に沿って形成され、原稿Gの画像を読み取る面となる。第2読取面22aは、第1読取面21aに隣接して(図2に示す場合では、第1読取面21aの右側の大部分に亘って)配置される。第2読取面22aは、原稿搬送部10を用いずに原稿Gの画像を読み取る場合に用いられる。第2読取面22aは、原稿Gが載置される第2コンタクトガラス22の上面に沿って形成され、原稿Gの画像を読み取る面となる。
【0014】
また、原稿読取部20は、照明部23と、第1ミラー24と、第2ミラー25と、第3ミラー26と、結像レンズ27と、撮像部28とをコピー機本体2の内部に備える。照明部23と第1ミラー24とは、それぞれ副走査方向Xに移動する。第2ミラー25と第3ミラー26とは、図2において照明部23及び第1ミラー24の左側に配置される。更に、第2ミラー25及び第3ミラー26は、第1ミラー24と、第2ミラー25と、第3ミラー26と、結像レンズ27とを介した第1読取面21a又は第2読取面22aから撮像部28までの距離(光路長)を一定に保ちつつ、それぞれ副走査方向Xに移動する。
【0015】
照明部23は、原稿Gに光を照射する光源である。第1ミラー24、第2ミラー25及び第3ミラー26は、光路長を一定に保ちつつ、原稿Gによって反射された光を結像レンズ27に導くためのミラーである。結像レンズ27は、第3ミラー26から入射した光を撮像部28に結像させる。撮像部28は、入射された光を電気信号に変換することにより、結像された光像に基づいて画像データーを得るための撮像素子であり、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサーである。
【0016】
用紙搬送部30は、第2送りローラー31と、第3送りローラー32と、レジストローラー対33と、用紙排出部34とを備える。第2送りローラー31は、給紙カセット36に収容される用紙Tを転写部50に供給する。第3送りローラー32は、手差しトレイ37に載置される用紙Tを転写部50に供給する。レジストローラー対33は、転写部50にトナー画像が到達するタイミングと、転写部50に用紙Tを供給するタイミングとを合わせるために、用紙Tの搬送又は用紙Tの搬送停止を行う。また、レジストローラー対33は、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正を行う。用紙排出部34は、トナー画像が定着された用紙Tをコピー機本体2の外部に排出する。
用紙排出部34におけるコピー機本体2の外側には、排紙集積部35が形成される。排紙集積部35には、用紙排出部34から排出された用紙Tが積層して集積される。
【0017】
画像形成部40は、トナー画像を形成するためのものであり、感光体ドラム41と、帯電部42と、レーザースキャナーユニット43と、現像器44と、クリーニング部45と、トナーカートリッジ46と、1次転写ローラー47と、中間転写ベルト48と、対向ローラー49とを備える。
感光体ドラム41(41a,41b,41c,41d)は、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローそれぞれのトナー画像を形成するために、感光体又は像担持体として機能する。各感光体ドラム41a,41b,41c,41dの周囲には、感光体ドラム41の回転方向に沿って上流側から下流側へ順に、帯電部42と、レーザースキャナーユニット43と、現像器44と、クリーニング部45とが配置される。帯電部42は、感光体ドラム41の表面を帯電させる。レーザースキャナーユニット43は、感光体ドラム41の表面から離れて配置され、原稿読取部20によって読み取られた原稿Gに関する画像データーに基づいて感光体ドラム41の表面を走査露光する。これにより、感光体ドラム41の表面には、露光された部分の電荷が除去されて静電潜像が形成される。現像器44は、感光体ドラム41の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー画像を形成する。クリーニング部45は、除電器(図示せず)によって感光体ドラム41の表面が除電された後のその表面に残るトナー等を除去する。
トナーカートリッジ46は、現像器44に供給される各色のトナーを収容する。トナーカートリッジ46と現像器44とは、トナー供給路(図示せず)により接続されている。
【0018】
1次転写ローラー47(47a,47b,47c,47d)は、中間転写ベルト48における各感光体ドラム41a,41b,41c,41dとは反対側にそれぞれ配置される。中間転写ベルト48は、画像形成部40及び転写部50を通過するベルトである。中間転写ベルト48の一部分は、各感光体ドラム41a,41b,41c,41dと各1次転写ローラー47a,47b,47c,47dとの間に挟み込まれ、各感光体ドラム41a,41b,41c,41dの表面に形成されたトナー画像が1次転写される。対向ローラー49は、環状形状の中間転写ベルト48の内側に配置され、中間転写ベルト48を図2に示す矢印A方向に進行させるための駆動ローラーである。
【0019】
転写部50は、2次転写ローラー51を備える。2次転写ローラー51は、中間転写ベルト48に関して対向ローラー49とは反対側に配置され、中間転写ベルト48の一部分を対向ローラー49との間に挟みこむ。更に、2次転写ローラー51は、中間転写ベルト48に1次転写されたトナー画像を用紙Tに2次転写させる。
【0020】
定着部60は、加熱回転体61と、加圧回転体62とを備える。加熱回転体61と加圧回転体62とは、トナー画像が2次転写された用紙Tを挟み込んで、トナーを溶融及び加圧し、そのトナーを用紙Tに定着させる。
【0021】
筐体支持車輪70は、図1から図4に示すように、コピー機1(コピー機本体2)をオフィスの床面FLに設置した場合に、床面FLと接触して本体ケースBDを支持すると共に床面FLを移動可能な支持部材である。筐体支持車輪70は、コピー機本体2の本体ケースBDの底部B1に固定されるケース固定金具71と、ケース固定金具71に回転可能に支持されて外周面が床面FLに接触するローラー体(脚輪)72と、ケース固定金具71とローラー体72とをつなぎ回転可能な軸部材73と、を備える。
【0022】
ローラー体72は、図4に示すように、水平方向から視た場合の形状が円形形状である。ローラー体72は床面FLと対向する底部B1において、水平方向に平行な第1回転軸J1を中心に回転可能且つ垂直方向に平行な第2回転軸J2を中心に回転(旋回)可能である。軸部材73の回転軸は、第2回転軸J2と同軸である。
【0023】
筐体支持車輪70は、ケース固定金具71が本体ケースBDの底部B1に取り付けられると共に、ローラー体72が床面FLに載置されることで、本体ケースBDを床面FL上に支持する。筐体支持車輪70は、ローラー体72が回転して床面FLを転がりながら移動することで、床面FL上で本体ケースBDを移動可能に支持する。
筐体支持車輪70の下側の床面FLには、地震等の振動が発生した場合にコピー機1(本体ケースBD)が床面FL上を移動することを防止するために、ローラー体72の回転を規制する回転規制部材80が設置される。
【0024】
次に、図3から図5Bにより、第1実施形態における回転規制部材80の詳細について説明する。図5Aは、本発明の第1実施形態に係る回転規制部材80を上方側から視た斜視図である。図5Bは、本発明の第1実施形態に係る回転規制部材80を下方側から視た斜視図である。
【0025】
図3及び図4に示すように、回転規制部材80は、筐体支持車輪70のローラー体72と床面FLとの間に配置される。回転規制部材80は、筐体支持車輪70のローラー体72の回転を規制する。回転規制部材80は、図5A及び図5Bに示すように、平面方向に広がる部材であって、垂直方向から視た場合の全体形状が略円形形状である。
【0026】
回転規制部材80は、図5A及び図5Bに示すように、筐体支持車輪70のローラー体72が載置される側の載置面81と、床面FL側の底面82と、を有する。載置面81は、筐体支持車輪70のローラー体72が載置されていない状態において、全体が水平方向(平面方向)に広がる平坦な面状に形成される。
【0027】
回転規制部材80は、一定の厚さtを有する。本実施形態においては、回転規制部材80の厚さtは、図4に示すように、水平方向から視た場合における筐体支持車輪70のローラー体72の半径(D/2)から直径Dまでの範囲である。即ち、厚さtは、(D/2)<t<Dの関係になるように設定される。
【0028】
回転規制部材80の底面82には、図4及び図5Bに示すように、滑り止め部材84が形成されている。滑り止め部材84は、床面FL側に突出する複数のリング状突起部83(突起部)を有する。滑り止め部材84は、径の異なる複数のリング状突起部83を略同心状に配置されることにより形成されている。
【0029】
回転規制部材80は、載置面81上にコピー機1における筐体支持車輪70のローラー体72が載置されることで、コピー機1の重さにより変形可能である。回転規制部材80は、コピー機1の重さにより瞬間的に力が加えられた場合に実質的に変形せずに、長い時間を掛けて力が加えられた場合に徐々に凹み変形する。本実施形態においては、回転規制部材80は、最終的には、図3及び図4に示すように、筐体支持車輪70のローラー体72の第1回転軸J1から下方側の略半分が回転規制部材80に沈み込むように凹み変形する。
【0030】
ここで、「コピー機1の重さにより瞬間的に力が加えられた場合」における「瞬間的」とは、例えば、回転規制部材80が地震などにより振動する短い時間を意味する。例えば、1秒以下程度である。
また、「長い時間を掛けて力が加えられた場合」における「長い時間」とは、回転規制部材80が地震などにより振動する時間よりも長い時間を意味する。例えば、5秒から1分程度である。
また、「実質的に変形せずに」とは、「回転規制部材80が完全に変形せずに」という意味でなく、回転規制部材80が少し変形している状態が含まれるという意味である。例えば、載置面81上にコピー機1における筐体支持車輪70のローラー体72が載置された状態において、初期段階における回転規制部材80が徐々に変形している状態や、地震等の振動が発生した場合に回転規制部材80がねじれて振動を吸収する状態などは、回転規制部材80が実質的に変形していない状態に含まれる。
【0031】
上記のような凹み変形を可能とする回転規制部材80としては、半固形物質(スライム状物質)を可撓性袋の内部に封入して形成した物品や、上面に開口を有する容器に半固形物質(スライム状物質)を収納して形成した物品等が挙げられる。半固形物質(スライム状物質)の材料としては、例えば、ポリビニールアルコール(PVA)等が挙げられる。また、市販されているスライム状物資(例えば、商品名:サイバークリーン)などを利用してもよい。スライム状物質の封入物品は、いずれもコピー機1の重さによる力が瞬間的に加えられた場合に即座には変形しないが、一定の力が加えられた状態で時間が経過するにつれて徐々にコピー機1の重さが作用する方向に凹み変形する。最大の凹み変形量(深さ)は、コピー機1の重さによって決定される。
【0032】
次に、第1実施形態における回転規制部材80の使用状態及び作用について説明する。
コピー機1を据付ける予定の床面FL上において、コピー機1の筐体支持車輪70のローラー体72と床面Fとの間に回転規制部材80を配置する。この際、滑り止め部材84のリング状突起部83は、床面FLに当接する。
【0033】
この状態で、コピー機1の筐体支持車輪70のローラー体72を、回転規制部材80の載置面81に載置する。筐体支持車輪70のローラー体72が載置されることにより、コピー機1の重さにより回転規制部材80に瞬間的に力が加えられたことで回転規制部材80は即座には変形しない。そして、コピー機1の重さによる一定の力が加えられた状態で時間が経過することに伴って、回転規制部材80のローラー体72の載置部分が徐々に凹み変形する。そして、回転規制部材80は、最終的には、図3及び図4に示すように、筐体支持車輪70のローラー体72の第1回転軸J1から下方側の略半分が回転規制部材80に沈み込むように凹み変形する。
【0034】
回転規制部材80が凹み変形した状態においては、ローラー体72と回転規制部材80との間の隙間が埋め尽くされると共に、ローラー体72と回転規制部材80との接触面積が増大して回転抵抗が増加し、ローラー体72の回転が規制される。
また、回転規制部材80における滑り止め部材84のリング状突起部83が床面FLに当接するため、回転規制部材80と床面FLとの間の水平方向の摩擦力が増加される。そのため、回転規制部材80自体が滑って移動することが抑制される。これにより、コピー機1が不測に移動することを防止できる。
【0035】
また、地震等による振動が発生した場合、回転規制部材80が実質的に変形せずに、振動方向に作用する力を回転規制部材80がねじれることで、回転規制部材80は、地震等による振動を効率よく吸収することができる。これにより、コピー機1の移動を防止することができ、コピー機1の転倒を防止することができる。
【0036】
以上に説明した第1実施形態の回転規制部材80によれば、例えば、次の効果が奏される。
本実施形態においては、回転規制部材80は、筐体支持車輪70のローラー体72と床面FLとの間に配置され、筐体支持車輪70のローラー体72が載置されることでコピー機1の重さにより変形可能であり、瞬間的に力が加えられた場合に実質的に変形せずに、長い時間を掛けて力が加えられた場合に変形する。
【0037】
そのため、筐体支持車輪70のローラー体72が回転規制部材80に載置されると、長い時間を掛けてコピー機1の重さによる力が加えられて回転規制部材80が凹み変形する。これにより、筐体支持車輪70のローラー体72と回転規制部材80との間の隙間が埋め尽くされると共に、ローラー体72と回転規制部材80との接触面積が増大して回転抵抗が増加する。従って、ローラー体72の回転を規制することができる。
また、回転規制部材80は、地震等による振動のような瞬間的な力では実質的に変形しない。そのため、地震等の振動が発生した場合、回転規制部材80の形状が壊れずに、振動方向に作用する力を回転規制部材80がねじれることで吸収するため、回転規制部材80は、地震等による振動を効率よく吸収することができる。これにより、コピー機1の移動を防止することができ、コピー機1の転倒を防止することができる。
【0038】
また、本実施形態においては、回転規制部材80の床面FL側の底面82に、床面FL側に突出するリング状突起部83を有する滑り止め部材84を更に備える。
そのため、滑り止め部材84により、回転規制部材80と床面FLとの間の水平方向の摩擦力が増加される。これによって、回転規制部材80自体の移動を抑制する。その結果、コピー機1が不測に移動することを一層防止することができる。
【0039】
また、本実施形態においては、回転規制部材80は、垂直方向から視た場合の全体形状が略円形形状である。そのため、筐体支持車輪70のローラー体72を回転規制部材80の略中央部に載置することで、地震等による振動を安定して吸収することができる。
【0040】
また、回転規制部材80の厚さは、水平方向から視た場合における筐体支持車輪70のローラー体72の半径(D/2)から直径Dまでの範囲である。そのため、回転規制部材80は、コピー機1の重さにより、安定して沈み込むように凹み変形する。これにより、コピー機1を安定した状態で回転規制部材80に載置することができる。
【0041】
<第2実施形態>
次に、図6A及び図6Bを参照しながら、第2実施形態における回転規制部材80Aについて説明する。図6Aは、本発明の第2実施形態に係る回転規制部材80Aを上方側から視た斜視図である。図6Bは、本発明の第2実施形態に係る回転規制部材80Aの上方側から視た平面図である。なお、第2実施形態の説明にあたって、第1実施形態と同一の構成要件については同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
【0042】
図6A及び図6Bに示すように、回転規制部材80Aは、垂直方向から視て全体が略円形形状の回転規制部材80Aの載置面81の中央部に、床面FL側に窪む凹部85を備える。
凹部85は、筐体支持車輪70のローラー体72が載置される側の回転規制部材80Aの載置面81において、筐体支持車輪70のローラー体72が載置されていない状態の載置面81に形成され、床面FL側に窪んでいる。
【0043】
凹部85は、垂直方向から視た場合に、略円形形状であり、凹部85の大きさは、筐体支持車輪70のローラー体72の大きさよりも小さい。具体的には、図6Bに示すように、凹部85の全体は、垂直方向から視た場合に、筐体支持車輪70のローラー体72に覆われる大きさである。
【0044】
第2実施形態の回転規制部材80Aにおいては、コピー機1の筐体支持車輪70のローラー体72を回転規制部材80Aの載置面81に載置する際において、ローラー体72を凹部85に位置させることにより、筐体支持車輪70のローラー体72を回転規制部材80Aの中央部に容易に位置決めすることができる。従って、筐体支持車輪70のローラー体72を回転規制部材80Aに容易に安定した状態で載置することができる。
【0045】
筐体支持車輪70のローラー体72を位置決めして載置した後は、前述の第1実施形態と同様に、コピー機1の重さによる一定の力が加えられた状態での時間の経過に伴って、回転規制部材80Aのローラー体72に対応する凹部85の周辺部分が徐々に拡張して変形する。これにより、最終的には、前述の第1実施形態と同様に、図4及び図5に示すように、筐体支持車輪70のローラー体72の第1回転軸J1から下方側の略半分が回転規制部材80に沈み込むように凹み変形する。
これにより、第2実施形態においても、第1実施形態と同様な効果が奏される。
【0046】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されることはなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、前記実施形態においては、回転規制部材80を、滑り止め部材84をスライム状物質の封入物品と一体的に形成したが、機器の重さにより変形可能な回転規制部分と滑り止め部材84とを別々に作成し、両者を上下に重合して一体的に形成してもよい。
【0047】
また、前記実施形態においては、回転規制部材80を、垂直方向から視た全体形状を略円形形状に形成した場合について説明したが、全体形状を正方形等の矩形形状や三角形形状に形成してもよい。
【0048】
また前記実施形態においては、4つの筐体支持車輪70のローラー体72に対して、それぞれ回転規制部材80を設置したが、これに制限されない。4つの筐体支持車輪70のローラー体72のうちの1つに対して回転規制部材80を設置してもよい。4つのローラー体72のうちの1つに対して回転規制部材80に設置した場合においても、前記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0049】
また、上述した実施形態において、適用する機器としてコピー機1について説明したが、これに限定されない。更に、適用する画像形成装置としては、モノクロコピー機、ファクシミリや複合機であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1……コピー機(機器)、72……ローラー体(脚輪)、80、80A……回転規制部材、81……載置面、82……底面(床面側の面)、83……リング状突起部(突起部)、84……滑り止め部材、85……凹部、J1……第1回転軸、J2……第2回転軸、t……厚さ、D……ローラー体の直径
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B