特許第5972114号(P5972114)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5972114
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】車両の座席袖仕切り
(51)【国際特許分類】
   B61D 33/00 20060101AFI20160804BHJP
   B61D 37/00 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   B61D33/00 Z
   B61D37/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-191749(P2012-191749)
(22)【出願日】2012年8月31日
(65)【公開番号】特開2014-46833(P2014-46833A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】712004783
【氏名又は名称】株式会社総合車両製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】横川 浩大
(72)【発明者】
【氏名】根本 直
(72)【発明者】
【氏名】太田 昭彦
【審査官】 諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−225144(JP,A)
【文献】 特開平02−106449(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00348096(EP,A2)
【文献】 特開平05−028333(JP,A)
【文献】 特開2000−043719(JP,A)
【文献】 特開2005−247146(JP,A)
【文献】 特開平03−084583(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3068138(JP,U)
【文献】 特開2012−011962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 33/00
B61D 37/00
B60N 2/00− 2/72
B60R 13/00−13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内に設置される座席の側端に位置する袖仕切りであって、
座席端部を通路空間と区分けするパーテーションボードを有し、該パーテーションボードの、少なくとも座席と反対側の面には、その表示内容を適宜変更可能に、情報表示部が設置され
該情報表示部は、前記パーテーションボードの外壁を形成する透明板からなる透過部を有し、前記透過部の内層側に空間部が形成され、該空間部に情報表示媒体が配置されてなることを特徴とする車両の座席袖仕切り。
【請求項2】
前記パーテーションボードの下端部が、車両の床面に対して所定間隔を空けて配置され、前記パーテーションボードの下端部に、前記透過部の内層側に設けられた空間部に対して、前記情報表示媒体を抜き差しするための開口部が形成されていることを特徴とする請求項記載の車両の座席袖仕切り。
【請求項3】
前記情報表示媒体を取り付けた状態で、前記開口部に対して前記情報表示媒体を抜き差しすると共に、前記開口部を覆い隠すホルダを備えることを特徴とする請求項記載の車両の座席袖仕切り。
【請求項4】
前記情報表示媒体が弾性変形可能なシート状をなしていることを特徴とする請求項1からのいずれか1項記載の車両の座席袖仕切り。
【請求項5】
前記情報表示媒体が広告紙であることを特徴とする請求項記載の車両の座席袖仕切り。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の座席袖仕切りに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、鉄道車両の座席として、室内側壁方向に並んで座るように構成されたロングシートが、通勤用車両に広く用いられている。ロングシートは、車両の側扉間に設置され、背もたれ及び座面の前方は車両の長手方向に延びる通路空間に面し、端部は側扉へと通じる通路空間に面している。ロングシートの端部に面する通路空間は、乗車空間としても用いられることから、ここの立客とロングシート端部の着座客との干渉を防ぐために、従来から、ロングシートの端部には縦横の握り棒(スタンションポール)で区画する構造が広く採用されている。
しかしながら、縦横の握り棒により、ロングシートの端部と通路空間との区画を行なう構造は、縦横の握り棒で囲まれた部分が大開口となっており、シート端部を面状に仕切るものではないことから、立客と着座客との仕切りが不十分となる場合がある。又、側扉の開放時に車内に吹き込む風の遮蔽機能も期待できない。このため、近年では、座席端部と通路空間とを面状に仕切ることで明確に区分けする、パーテーション状の袖仕切りが採用される事例が、多くなっている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−11962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の、パーテーション状の袖仕切りは、ロングシートの端部と通路空間の仕切りを確実にするという点では効果的であるが、車内での見通しを確保するという観点からは一考の余地がある。このため、上記特許文献1記載の袖仕切りは、一部が透過した構造を採用することで、この透過部分を介して、車内での見通しを良好にしたものである。
一方、パーテーション状の袖仕切りは、乗客の目につき易い場所にあることから、これを有効活用したいといったニーズも存在する。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、袖仕切りの機能性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。又、各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。よって、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0006】
(1)車室内に設置される座席の側端に位置する袖仕切りであって、座席端部を通路空間と区分けするパーテーションボードを有し、該パーテーションボードの、少なくとも座席と反対側の面には、その表示内容を適宜変更可能に、情報表示部が設置されている車両の座席袖仕切り。
【0007】
本項に記載の車両の座席袖仕切りは、座席端部を通路空間と区分けするパーテーションボードによって、座席の端部と通路空間とを、物理的に確実に仕切るものである。すなわち、パーテーションボードは、座席の端部と通路空間とを面状に仕切ることから、座席端部の着座客と立客との直接的な干渉が生じることは無く、又、側扉の開放時に車内に吹き込む風を遮蔽して、着座客へと風が直接的に当ることも無い。そして、座席の端部と通路空間との間に面状に広がるパーテーションボードの、少なくとも座席と反対側の面に設けられた情報表示部において表示される情報を、乗客に示すものとなる。又、情報表示部の表示内容は、適宜変更可能であることにより、乗客に様々な情報を提供するものとなる。
なお、本発明において、情報表示部に表示される情報は、例えば、広告、ニュース、車両の運行に関する情報はもちろんのこと、コーポレートマーク、幾何学的模様や色彩、風景画像等も表示し得るものである。又、情報表示部は、パーテーションボードの座席と反対側の面のみならず、座席側の面に設けることとしても良い。この場合には、着座客によって隠されない範囲内において、座席側の面からも乗客に情報提供をすることが可能となり、また、立客のみならず着座客に対しても、例えば視覚的に癒し効果のある模様や色彩等を提供し、或いは、必要な情報を提供するものとなる。
【0008】
(2)上記(1)項において、前記情報表示部は、前記パーテーションボードの外壁を形成する透明板からなる透過部を有し、前記透過部の内層側に空間部が形成され、該空間部に情報表示媒体が配置されてなる車両の座席袖仕切り(請求項)。
本項に記載の車両の座席袖仕切りは、情報表示部が、パーテーションボードの透明板からなる透過部を介して、透過部の内層側に形成された空間部に配置される、情報表示媒体の表示情報を、乗客に提供するものである。又、透過部がパーテーションボードの外壁を形成するものであることから、情報表示媒体自体に十分な強度を与えることなく、透過部の内層側に形成された空間に格納する態様で、情報表示媒体を設置するものとなる。又、透過部によって情報表示媒体が外力から保護されることとなる。
【0009】
(3)上記(2)項において、前記パーテーションボードの下端部が、車両の床面に対して所定間隔を空けて配置され、前記パーテーションボードの下端部に、前記透過部の内層側に設けられた空間部に対して、前記情報表示媒体を抜き差しするための開口部が形成されている車両の座席袖仕切り(請求項)。
本項に記載の車両の座席袖仕切りは、パーテーションボードの下端部に開口部が形成され、この開口部から、透過部の内層側に設けられた空間部に対して情報表示媒体を抜き差しすることで、情報表示媒体の交換を行なうものである。しかも、パーテーションボードの下端部が、車両の床面に対して所定間隔を空けて配置されていることで、この交換作業を容易にするための作業空間が確保される。また、開口部がパーテーションボードの下端部に形成されていることで、開口部が乗客の目につき難く、乗客によるいたずら防止に貢献するものとなる。又、開口部がパーテーションボードの下方に向けて開口するように構成すれば、開口部から透過部の内層側に設けられた空間部に対して埃等の異物が入りにくくなり、メンテナンス性にも配慮したものとなる。
【0010】
(4)上記(2)項において、前記パーテーションボードの上端部に、前記透過部の内層側に設けられた空間部に対して、前記情報表示媒体を抜き差しするための開口部が形成されている車両の座席袖仕切り。
本項に記載の車両の座席袖仕切りは、パーテーションボードの上端部に開口部が形成され、この開口部から、透過部の内層側に設けられた空間部に対して情報表示媒体を抜き差しすることで、情報表示媒体の交換を行なうものである。座席の袖仕切りを構成するパーテーションボードは、通常、車内での見通しを確保する為に、その上端部は立客(成人)の腰位置から胸部位置程度の高さに抑えられている。このため、情報表示媒体の交換作業を行なうための作業空間が、パーテーションボードの上方に確保されており、パーテーションボードの上方から、情報表示媒体の交換作業が容易に行なわれるものとなる。
【0011】
(5)上記(3)(4)項において、前記情報表示媒体を取り付けた状態で、前記開口部に対して前記情報表示媒体を抜き差しすると共に、前記開口部を覆い隠すホルダを備える車両の座席袖仕切り(請求項)。
本項に記載の車両の座席袖仕切りは、情報表示媒体を取り付けた状態で、開口部に対して情報表示媒体を抜き差しすると共に、開口部を覆い隠すホルダを備えることで、このホルダを介して、パーテーションボードに対する情報表示媒体の交換、固定、及び開口部の封止を行なうものとなる。
【0012】
(6)上記(2)項において、前記透過部の一部又は全部が、前記パーテーションボードに対して着脱ないし開閉自在に構成されている車両の座席袖仕切り。
本項に記載の車両の座席袖仕切りは、透過部の一部又は全部を、パーテーションボードに対して、取外し又は開放状態とすることにより、情報表示媒体を抜き差しするための開口部が形成される。この開口部から、透過部の内層側に設けられた空間部に対して情報表示媒体を抜き差しすることで、情報表示媒体の交換を行なうものである。そして、情報表示媒体の交換作業が、パーテーションボードの側方から容易に行なわれるものとなる。
【0013】
(7)上記()から(6)項において、情報表示媒体が弾性変形可能なシート状をなしている車両の座席袖仕切り(請求項)。
本項に記載の車両の座席袖仕切りは、情報表示媒体がシート状をなしていることで、透過部の内層側に設けられた空間部に要求される情報表示媒体の厚み方向の必要寸法が、シート状の情報表示媒体を抜き差し及び格納可能な程度に抑えることとなり、パーテーションボードの厚みの増大を防ぐものとなる。又、情報表示媒体が弾性変形可能であることにより、開口部から、透過部の内層側に設けられた空間部に対して情報表示媒体を抜き差しする際に、適宜、交換作業を容易かつ円滑に行なえるように、情報表示媒体を変形させて作業を行うことを可能とするものである。しかも、情報表示媒体を取り付けるホルダを用いる場合には、情報表示媒体が不用意に変形しやすいものであっても、情報表示媒体が取ホルダに保持されることで、開口部を介しての情報表示媒体の交換及び固定作業が、ホルダを介して確実に行なわれるものとなる。
【0014】
(8)上記(7)項において、前記情報表示媒体が広告紙である座席袖仕切り(請求項)。
本項に記載の車両の座席袖仕切りは、情報表示媒体が広告紙であることにより、異なる情報が印刷された広告紙を情報表示部に設置することで、パーテーションボードに、印刷された情報の表示機能を与えるものとなる。又、広告紙を適宜交換することで、乗客に様々な情報を提供するものとなる。
【0015】
(9)上記(7)項において、前記情報表示媒体が液晶シートである座席袖仕切り。
本項に記載の車両の座席袖仕切りは、情報表示媒体が液晶シートであることにより、パーテーションボードに、液晶シートに表示された情報の表示機能を与えるものとなる。又、液晶シートの表示内容を適宜変更することで、乗客に様々な情報を提供するものとなる。
(10)上記(8)(9)項において、前記情報表示媒体の照明手段を備える座席袖仕切り。
本項に記載の車両の座席袖仕切りは、広告や液晶シート等、非自発光型の表示媒体を照明手段によって適宜照明することで、車内の明るさの如何にかかわらず、乗客に対して明確に情報を提供するものとなる。
【0016】
(11)上記(7)項において、前記情報表媒体が自発光型表示シートである座席袖仕切り。
本項に記載の車両の座席袖仕切りは、情報表示媒体が、例えば有機EL等の自発光型表示シートであることにより、パーテーションボードに、自発光型表示シートに表示された情報の表示機能を与えるものとなる。又、自発光型表示シートの表示内容を適宜変更することで、乗客に様々な情報を提供するものとなる。
(12)上記()から(11)項において、透過部の内層側に設けられた空間部が、前記情報表示媒体の外形に倣った形状を有している車両の座席袖仕切り。
本項に記載の車両の座席袖仕切りは、透過部の内層側に設けられた空間部が、前記情報表示媒体の外形に倣った形状を有していることから、情報表示媒体を空間部に差し込むことで、パーテーションボードに対する情報表示媒体の位置決めがなされるものとなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明はこのように構成したので、袖仕切りの機能性を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態に係る座席袖仕切りが採用された鉄道車両の、要部断面図である。
図2図1に示される座席袖仕切りを抜粋して示したものであり、(a)は出入口側面図、(b)は座席側面図、(c)は(a)のA−A断面図、(d)はパーテーションボードのベース部及びホルダを示す分解図である。
図3】(a)は、図1に示される座席袖仕切りを斜め上方から見た斜視図であり、(b)は、図1に示される座席袖仕切り及びホルダを下方から見た斜視図である。
図4図1に示される座席袖仕切りの分解斜視図である。
図5図1に示される座席袖仕切りに対し、情報表示媒体としての広告紙を交換する様子を模式的に示す立体図であり、(a)は出入口側面から見た様子を示し、(b)は座席側側面から見た様子を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態を添付図面に基づいて説明する。なお、本説明では、ロングシートの端部に設けられた袖仕切りを例示して説明する。
【0020】
図1図3に示される、本発明の実施の形態に係る車両の座席袖仕切り10は、車室内に設置される座席12の側端に位置するものであり、座席端部を通路空間と区分けするパーテーションボード14を有している。又、パーテーションボード14は、図1に示されるように、その下端部が車両の床面15に対して所定間隔Hを空けるようにして、配置される。一方、その上端部は、車内での見通しを確保する為に、立客(成人)の腰位置から胸部位置程度の高さに抑えられている。
そして、パーテーションボード14の、少なくとも座席12と反対側の面には、情報表示部16が設置されている。なお、図示の例では、情報表示部16は、パーテーションボード14の座席12と反対側の面のみならず、座席12側の面にも設けられている。
【0021】
ここで、パーテーションボード14の構造について、図4を参照しながらより具体的に説明する。まず、パーテーションボード14は、強度保持部材として、複数のフレームを適宜組み合わせて構成された、支持枠18を有している。図示の例では、支持枠18は、パーテーションボード14の外枠を構成する縦枠部18a、上横枠部18b及び下横枠部18dに加え、中横枠部18cを有し、全体としてE字状をなしている。そして、支持枠18の2箇所のコ字状開放部20、22のうち、縦枠部18a、上横枠部18b及び中横枠部18cで囲まれた開放部20は、縦枠部18a、中横枠部18c及び下横枠部18dで囲まれた開放部22よりも大開口に形成され、ここに情報表示部16(図1図3参照)が配置される。
支持枠18の縦枠部18aは、車両の内壁部又は車体構体に固定されるものである(図1図2(c)参照)。又、上横枠部18bの先端部には、上部ブラケット26が設けられている。この上部ブラケット26は、スタンションポール24を挿通した状態で、スタンションポール24に固定されるものである。又、中横枠部18c及び下横枠部18dの先端部を架橋するようにして、下部ブラケット28が設けられている。この下部ブラケット28は、スタンションポール24を挿通した状態で、スタンションポール24に固定されるものである。
【0022】
支持枠18の開放部20には、図2(c)にも示されるように、三層の透明プレート30a、30b、30cを重ね合わせてなる透過部30が固定される。透過部30を構成する三層の透明プレートのうち、外部に露出する二層の透明プレート30a、30bは、必要な強度を確保するための厚みを有しており、これらに挟まれる内部一層のプレート30cは、情報表示媒体としての、広告紙32の厚みプラスアルファの幅を有している。そして、内部一層のプレート30cには、広告紙32を配置するための空間部34を形成するための切り欠き30cN(図3(a)、図4参照)が形成されている。そして、内部一層のプレート30cは、透過部30の強度保持部材であると共に、空間部34の厚み方向の必要寸法(広告紙32を抜き差し及び格納可能とする寸法)を確保する為のスペーサとしても機能するものである。又、切り欠き30cNは、透過部30の内層側に設けられた空間部34が、広告紙32の外形に倣った寸法形状を有するように形成されている。
なお、各プレート30a〜30cはポリカーボネート等の透明樹脂材料が用いられるが、適宜、強化ガラスその他の透明材料で構成することとしても良い。
【0023】
パーテーションボードの下端部には、透過部30の内層側に設けられた空間部34に対して、広告紙32を抜き差しするための開口部36、38が形成されている。図示の例では、支持枠18の中横枠部18c及び下横枠部18dの、夫々、透過部30の空間部34と対向する位置に、開口部36(図4参照)及び38(図3(b)参照)が、下方に向けて開放するように形成されている。
又、これらの開口部36、38に挿入可能なホルダ40を備えている。ホルダ40は、図3(b)、図4に示されるように、広告紙32を挟みこむための挟持部40aと、下横枠部18dに固定されることで開口部38を覆い隠す固定部40bとが、連結部40cによって、連結された構造を有している。この連結部40cは、挟持部40aに保持される広告紙32の高さ方向位置を決定するものであり、適宜、広告紙32の大きさに応じて伸縮可能な構造を採用することとしても良い。挟持部40aは、例えば板材を折り返して広告紙32を挟持可能に構成したものであり、開口部36、38に挿通可能な寸法を有している。又、固定部40bは、下横枠部18dの下面に密着するように、下横枠部18dに倣った形状を有しており、例えば、ねじ42等の固定部材を用いて下横枠部18dに固定されるものである。連結部40cは、挟持部40aと共に開口部36、38へと挿通可能な寸法を有している。
【0024】
更に、支持枠18の両側には、側部カバー44、46が装着される。これら側部カバー44、46は、少なくとも透過部30の空間部34に挿入された広告紙32が覆い隠されることの無いように、コ字状をなしている。そして、上横枠部18bには、図4に示される上部カバー48が装着される。
又、図2に示されるように、透過部30の先端縁部には、チャンネル材からなる縁カバー50が固定される。そして、縁カバー50とスタンションポール24との間には、スタンションポール24を握ることができるように空間が形成され、縁カバー50がスタンションポール24に対して、例えばU字状のステー52を介して固定されている。更に、図2(c)に示されるように、透過部30の、支持枠18の縦枠部18aと対向する端縁部は、クッション54を介して縦枠部18a及び側部カバー44、46に対し当接している。図示は省略するが、透過部30の、上横枠部18b及び中横枠部18cと対向する端縁部も同様である。
【0025】
そして、本発明の実施の形態に係る車両の座席袖仕切り10は、上記構造を有することで、適宜、座席12、パーテーションボード14、スタンションポール24を、個々に車体から取り外すことも可能となっている。
【0026】
さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能となる。まず、本発明の実施の形態に係る車両の座席袖仕切り10は、座席12の端部を通路空間PA(図5参照)と区分けするパーテーションボード14によって、座席12の端部と通路空間PAとを、物理的に確実に仕切ることが可能である。すなわち、パーテーションボード14は、座席12の端部と通路空間PAとを面状に仕切ることから、座席端部の着座客と立客との直接的な干渉が生じることは無く、又、側扉56(図5参照)の開放時に車内に吹き込む風も遮蔽して、着座客へと風が直接的に当ることも無い。そして、座席12の端部と通路空間PAとの間に面状に広がるパーテーションボード14の、側面に設けられた情報表示部16において表示される情報を、乗客に示すことが可能となる。又、情報表示部16の表示内容は、適宜変更可能であることにより、乗客に様々な情報を提供することが可能となる。
【0027】
又、本発明の実施の形態に係る車両の座席袖仕切り10は、情報表示部16が、パーテーションボード14の透明板からなる透過部30を介して、透過部30の内層側に形成された空間部34に配置される広告紙32の表示情報を、乗客に提供することが可能である。又、透過部30がパーテーションボード14の外壁を形成するものであることから、広告紙32自体に十分な強度を与えることなく、透過部30の内層側に形成された空間34に格納する態様で、広告紙32を設置することが可能である。又、透過部30によって広告紙32が外力から保護されることとなる。
【0028】
又、本発明の実施の形態に係る車両の座席袖仕切り10は、パーテーションボード14の下端部に開口部38(36)が形成され、この開口部38(36)から、透過部30の内層側に設けられた空間部34に対して広告紙32を抜き差しすることで、広告紙32の交換を行なうものである(図5参照)。しかも、パーテーションボード14の下端部が、車両の床面15に対して所定間隔Hを空けて配置されていることで、広告紙32交換作業を容易にするための作業空間が確保されている。また、開口部38(36)がパーテーションボード14の下端部に形成されていることで、開口部38が乗客の目につき難く、乗客によるいたずら防止に貢献するものとなる。又、開口部38(36)が下方へ向けて開放するように形成されていることで、開口部38(36)から透過部30の内層側に設けられた空間部34に対して埃等の異物が入りにくく、メンテナンス性にも配慮したものとなっている。
【0029】
又、本発明の実施の形態に係る車両の座席袖仕切り10はホルダ40を備え、このホルダ40に広告紙32を取り付けた状態で、開口部38(36)に対して広告紙32を抜き差しすると共に、ホルダ40によって開口部38を覆い隠すことで、このホルダ40を介して、パーテーションボード14に対する広告紙32の交換、固定、及び開口部の封止を行なうものである。そして、広告紙32単独でパーテーションボード14に対する交換、固定、及び開口部の封止を行なう場合に比べ、これらの作業を簡単かつ確実に行なうことが可能となる。
【0030】
なお、図示は省略するが、パーテーションボード14の上端部に開口部が形成され、この開口部から、透過部30の内層側に設けられた空間部34に対して情報表示媒体を抜き差しすることで、情報表示媒体の交換を行なうように構成することも可能である。この場合には、座席の袖仕切り10を構成するパーテーションボード14は、通常、車内での見通しを確保する為に、その上端部は立客の腰位置から胸部位置程度の高さに抑えられている。このため、広告紙32の交換作業を行なうための作業空間が、パーテーションボード14の上方に確保されており、広告紙32の交換作業が、パーテーションボード14の上方から容易に行なわれるものとなる。
【0031】
更なる応用例として、図示は省略するが、透過部30の一部又は全部が、パーテーションボード14に対して着脱ないし開閉自在に構成され、透過部30の内層側に設けられた空間部34に対して、広告紙32を抜き差しするための開口部が、透過部30の取外し又は開放状態において形成される構造を採用することも可能である。この場合には、例えば、透過部30を構成する三層の透明プレートのうち、座席と反対側の面に露出する一層の透明プレート30aを着脱自在、若しくはヒンジによって他の2層の透明プレート30b、30cに対し開閉自在に構成することで、上記構造が実現される。又、透過部30の全体が支持枠18に対して着脱自在、若しくは、ヒンジによって支持枠18に対し揺動自在に支持されるものであっても良い。
これらの構成によっても、広告紙32の交換作業が、パーテーションボード14の、通路空間PA側から、容易に行なうことが可能となる。
【0032】
又、本発明の実施の形態に係る車両の座席袖仕切り10は、情報表示媒体が、広告紙32等、シート状をなしていることで、透過部30の内層側に設けられた空間部34に要求される厚み方向の必要寸法が、シート状の情報表示媒体を抜き差し及び格納可能な程度に抑えることとなり、パーテーションボード14の厚みの増大を防ぐものとなる。又、情報表示媒体が弾性変形可能であることにより、開口部38(36)から、透過部30の内層側に設けられた空間部34に対して情報表示媒体を抜き差しする際に、適宜、交換作業を容易かつ円滑に行なえるように、情報表示媒体を変形させて作業を行うことが可能となる(図5参照)。しかも、情報表示媒体を取り付けるホルダ40を用いることにより、情報表示媒体が不用意に変形しやすいものであっても、開口部38(36)を介しての情報表示媒体の交換及び固定作業が、ホルダ40を介して確実に行なわれるものとなる。
【0033】
そして、本発明の実施の形態では、情報表示媒体が広告紙32であることにより、異なる情報が印刷された広告紙32を情報表示部16に設置することで、パーテーションボード14に、印刷された情報の表示機能を与えることが可能となる。又、広告紙32を適宜交換することで、乗客に様々な情報を提供することが可能となる。
又、透過部30の内層側に設けられた空間部34が、広告紙32の外形に倣った形状を有していることから、広告紙32を空間部34に差し込むことで、パーテーションボード14に対する情報表示媒体の位置決めがなされるものとなる。例えば、鉄道車両への適用に際しては、車内側天井に掲載される定型の広告紙の寸法に合わせて、透過部30の内層側に設けられた空間部34を形成することで、空間部34の寸法形状も、定型の広告紙に適合するように一義的に決定されるものとなる。
【0034】
更に、本発明の実施の形態に係る車両の座席袖仕切り10に用いられる、情報表示媒体は、広告紙32に限定されるものではなく、他のシート状の情報表示媒体、例えば液晶シートを用いることも可能である。この場合でもパーテーションボード14に、液晶シートに表示された情報の表示機能を与えるものとなる。又、液晶シートの表示内容を適宜変更することで、乗客に様々な情報を提供するものとなる。
又、情報表示媒体の照明手段を設けることとすれば、広告や液晶シート等、非自発光型の表示媒体を照明手段によって適宜照明することで、車内の明るさの如何にかかわらず、乗客に対して明確に情報を提供するものとなる。なお、パーテーションボード14の内部に、透過部30を照らす照明手段を設けることとしても、パーテーションボード14の外部から、透過部30を照らす照明手段を設けることとしても良い。
【0035】
更に、情報表示媒体が、例えば有機EL等の自発光型表示シートを用いることとすれば、パーテーションボードに、自発光型表示シートに表示された情報の表示機能を与えるものとなる。又、自発光型表示シートの表示内容を適宜変更することで、乗客に様々な情報を提供するものとなる。
又、本発明の実施の形態では、情報表示部16が、パーテーションボード14の座席12と反対側の面のみならず、座席12側の面にも設けられていることから、着座客によって隠されない範囲内において、座席12側の面からも乗客に情報提供をすることが可能となり、また、立客のみならず着座客に対しても、例えば視覚的に癒し効果のある模様や色彩等を提供し、或いは、必要な情報を提供するものとなる。一方、諸条件を考慮して、情報表示部16が、パーテーションボード14の座席12と反対側の面にのみ設ける場合もある。この場合には、透過部30の、座席12側に面する透明プレート30b(図2(c)参照)を不透明プレートで構成し、又は、座席12側に面する側部カバー46によって透過部30を覆い隠すように構成することも可能である。
【0036】
又、本発明の実施の形態では、座席12としてロングシートを備える車両の座席袖仕切り10を例示して説明したが、上述のごとき情報提供機能に鑑み、例えば、クロスシートの座席側面に車両の座席袖仕切り10を設置することとしても良い。又、鉄道車両に限定されず、他の旅客用車両の座席袖仕切りにも、同様に採用することも有用である。
【符号の説明】
【0037】
10:車両の座席袖仕切り、12:座席、14:パーテーションボード、15:床面、16:情報表示部、30:透過部、32:広告紙、34:空間部、 36、38:開口部、40:ホルダ
図1
図2
図3
図4
図5