特許第5972124号(P5972124)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5972124-建物の換気構造 図000002
  • 特許5972124-建物の換気構造 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5972124
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】建物の換気構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/70 20060101AFI20160804BHJP
【FI】
   E04B1/70 B
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-198812(P2012-198812)
(22)【出願日】2012年9月10日
(65)【公開番号】特開2014-51862(P2014-51862A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2015年9月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】森戸 直美
(72)【発明者】
【氏名】千葉 陽輔
【審査官】 河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−291662(JP,A)
【文献】 特開2010−151418(JP,A)
【文献】 特開昭62−172138(JP,A)
【文献】 特開平7−260229(JP,A)
【文献】 特開2007−132153(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第2455813(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/70− 1/90
7/18
E04D 13/03−13/035
13/14−13/143
F24F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の換気構造であって、
建物の陸屋根から上方に突出し、内部が前記陸屋根の下の居室に連通し、建物の外部に対し開閉自在な開閉窓を備えた換気塔と、
前記換気塔の天井面から垂下されたファンと、
前記ファンを前記換気塔内の位置と前記居室内の位置との間で昇降させる昇降装置と、
前記ファンの回転方向を切り替えて、前記ファンの風向を上方と下方に切り替える風向切り替え装置と、を有する、建物の換気構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の換気構造に関する。
【背景技術】
【0002】
都市部などの密集地に建築される建物は、隣接する建物との離隔距離が十分に確保できないので、風が流れにくく、建物の側壁面の窓のみで建物内部の換気を充分に行うことが難しい。
【0003】
そこで、建物の天井面に換気用の窓を設けることがある。例えば特許文献1には、建物の天井面に開放可能な天窓を設け、その天窓の真下に気流を生じさせるファンを設けることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−146838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のように天窓の真下に単にファンを設けても、建物内の空気を天窓から効率よく排出するのは難しい。また、冬期には、建物内の空調された暖気の排出を抑制する為に、ファンはほとんど停止状態となり有効的に活用されない状態が続く。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、建物内の空気を効率的に排出でき、なおかつ冬期でもファンを有効に活用できる建物の換気構造を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明は、建物の換気構造であって、建物の陸屋根から上方に突出し、内部が前記陸屋根の下の居室に連通し、建物の外部に対し開閉自在な開閉窓を備えた換気塔と、前記換気塔の天井面から垂下されたファンと、前記ファンを前記換気塔内の位置と前記居室内の位置との間で昇降させる昇降装置と、前記ファンの回転方向を切り替えて、前記ファンの風向を上方と下方に切り替える風向切り替え装置と、を有する建物の換気構造である。
【0008】
本発明によれば、ファンを上昇させて流路の狭い換気塔内に配置し、ファンを回して上方に向けて送風できるので、居室の空気を効率的に換気塔内に取り込み、換気塔の開閉窓から建物外部に排出できる。また、ファンを降下させて居室内に配置し、ファンを逆に回して下方に向けて送風できるので、例えば冬場に居室の上部や換気塔内部に溜まる暖気を効果的に下方に流し、建物内の空気を循環させることができる。これにより、建物内の空気を効率的に換気でき、なおかつ冬期でもファンを有効に活用できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、建物内の空気を効率的に換気でき、なおかつ冬期でもファンを有効に活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】換気構造を有する建物の模式図である。
図2】換気構造の構成の概略を示す説明図である。
図3】ファンを居室内の位置に下げた状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係る換気構造1を有する建物2を示す模式図である。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
換気構造1は、例えば建物2の陸屋根3から上方に突出した換気塔10と、換気塔10の天井面から垂下されたファン11と、ファン11を昇降させる昇降装置12と、ファン11の回転方向を切り替えてファン11の風向を上方と下方に切り替える風向切り替え装置13と、を有している。また、居室4の側壁面には、例えば開閉窓5が設けられており、居室4の1階部と2階部とは、例えば吹抜け6を介して連通している。
【0013】
換気塔10は、例えば直方体状の外形を有している。換気塔10の内部は、陸屋根3の下の居室4と連通している。換気塔10の四方の側壁面には、建物2の外部に対し開閉自在な開閉窓20が設けられている。開閉窓20は、例えば上部を支点として外側に回動して開閉できる。
【0014】
ファン11は、例えば複数枚の羽根30を備えている。ファン11は、正回転のときに上方に向けて送風し、逆回転のときに下方に向けて送風できる。
【0015】
例えば図2に示すように昇降装置12は、例えばファン11を吊るす紐40と、紐40を巻き取り、巻き戻すためのプーリ41と、プーリ41を回転駆動するモータなどの駆動部42と、駆動部42の駆動を制御する制御部43を有している。昇降装置12は、制御部43により駆動部42を駆動させ、プーリ41を回転させることにより、紐40を巻き取り、或いは巻き戻し、ファン11を上下動させることができる。昇降装置12は、ファン11を換気塔10内の所定位置と居室4内の所定位置の間で昇降できる。なお、例えば制御部43に対する指示信号は、リモコンや居室4の壁等に設けられたスイッチにより発せられ、制御部43は、当該指示信号に従って駆動部42を駆動する。
【0016】
風向切り替え装置13は、例えばファン11を回転駆動するモータなどの駆動部50と、駆動部50の駆動を制御する制御部51を有している。駆動部50は、ファン11を正逆回転可能である。風向切り替え装置13は、制御部51により駆動部50の回転方向を変え、ファン11の回転方向を変えることによって、ファン11の風向を上方と下方に切り替えることができる。なお、例えば制御部51に対する指示信号は、リモコンや居室4の壁等に設けられたスイッチにより発せられ、制御部51は、当該指示信号に従って駆動部50を駆動する。
【0017】
次に、以上のように構成された換気構造1の動作について説明する。例えば夏期など建物2の居室4の換気を行う場合には、図1、2に示すように換気塔10の開閉窓20および居室4の開閉窓5が開けられ、ファン11が昇降装置12によって上昇し換気塔10内に配置される。そして、ファン11が風向切り替え装置13により正回転すると上方への気流が形成され、居室4内の空気が吸い上げられ換気塔10内を通って開閉窓20から建物の外部に排出される。このとき、居室4に比べて流路が狭い換気塔10の内部でファン11が回転するので、強い上向きの気流が形成され、居室4内の空気が効率的に換気される。
【0018】
また、冬期など居室4内の空気を循環させる場合には、図3に示すように換気塔10の開閉窓20が閉められ、昇降装置12によりファン11が換気塔10内の位置から下げられ、居室4内の位置に移動される。そして、風向切り替え装置13によりファン11が逆回転し、下方への気流が形成される。これにより、換気塔10の内部や居室4の上部の空気がファン11の下方に流されるとともに、居室4の下部の空気がファン11の側方の空間を経由しファン11の上方にまわり込むことで建物内の空気が循環する。このとき、ファン11が居室4内にあることにより、ファン11の側方及び上方に十分な空間が確保されているので、建物内の空気が効率的に循環される。
【0019】
本実施の形態によれば、夏期等換気を必要とする場合には、ファン11を上昇させて流路の狭い換気塔10内に配置し、ファン11を正回転させて上方に向かう気流を形成することができるので、居室4の空気を効率的に換気塔10内に取り込み、換気塔10の開閉窓20から建物の外部に排出できる。従って、建物が密集して風が通りにくい都市部に建築される建物においても、換気を効率的に行うことができる。また、換気のニーズの低い冬期においては、ファン11を降下させてファン11の側方や上方に充分な空間が確保されるように居室4内に配置し、ファン11を逆回転させることで居室4の上部や換気塔10に溜まる暖気を効果的に下方に流すとともに居室4の下部の空気をファン11の上方に送るすことができるので、建物内の空気を効率的に循環させることができる。したがって、換気のニーズの低い冬期でもファン11を有効に活用することができる。
【0020】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0021】
例えば上述の昇降装置12において、ファン11は駆動部42により昇降されていたが、手動により昇降されてもよい。また、居室4は、リビングなどの部屋であってもよいし、廊下や階段等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、建物内の空気を効率的に換気し、なおかつ冬期でもファンを有効に活用する際に有用である。
【符号の説明】
【0023】
1 換気構造
2 建物
3 陸屋根
4 居室
10 換気塔
11 ファン
12 昇降装置
13 風向切り替え装置
図1
図2
図3