特許第5972155号(P5972155)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5972155
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】廃水処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/78 20060101AFI20160804BHJP
   B01F 3/04 20060101ALI20160804BHJP
   B01F 5/06 20060101ALI20160804BHJP
   B01F 5/02 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   C02F1/78
   B01F3/04 A
   B01F5/06
   B01F3/04 Z
   B01F5/02 A
   B01F5/02 Z
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-257054(P2012-257054)
(22)【出願日】2012年11月26日
(65)【公開番号】特開2014-104378(P2014-104378A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000126115
【氏名又は名称】エア・ウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109472
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 直之
(72)【発明者】
【氏名】梅津 淳一
(72)【発明者】
【氏名】仁田 吉郎
(72)【発明者】
【氏名】森 晃一
(72)【発明者】
【氏名】國谷 晋吾
【審査官】 井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−062211(JP,A)
【文献】 特開2012−179538(JP,A)
【文献】 特開2012−161786(JP,A)
【文献】 特開2009−279485(JP,A)
【文献】 特開平08−103778(JP,A)
【文献】 特開2006−289299(JP,A)
【文献】 実開平07−009401(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00〜 1/78
B01F 3/00〜 3/22
B01F 5/00〜 5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃液を貯留して処理する処理槽と、上記処理槽内に貯留された廃液に対してオゾンガスを供給するオゾン供給手段とを備え、
上記処理槽の底部には、生成された沈殿物を沈殿させて排出する沈殿排出部が設けられ、
上記処理槽内には、オゾンガスの供給を受けて廃液をオゾン処理するための上側処理空間と、生成された沈殿物を沈殿させるための下側沈殿空間とを区分する、障壁部材が配置され、
上記障壁部材は、処理槽内壁との間に周状の隙間を確保するとともに、上記隙間の内側の領域において上側処理空間と下側沈殿空間を区分していることを特徴とする廃水処理装置。
【請求項2】
上記オゾン供給手段は、処理槽内の処理液中に先端開口からオゾンガスを噴射する噴射筒に対し、噴射方向に交差する方向に処理液を導入して気液混合する筒状ノズルを含んで構成される請求項1記載の廃水処理装置。
【請求項3】
上記筒状ノズルは、気液混合されて先端開口から噴出される処理液により処理槽内で旋回流を生じさせるように構成されている請求項2記載の廃水処理装置。
【請求項4】
上記オゾン供給手段は、処理槽内の処理液中にオゾンガスをバブリング噴出する噴出口が周壁に形成されたバブリング筒と、上記バブリング筒の周壁に形成された攪拌翼と、上記バブリング筒を回転駆動する回転駆動部とを有するばっ気攪拌装置を含んで構成される請求項1記載の廃水処理装置。
【請求項5】
上記沈殿排出部は、傾斜角45°以上の漏斗状底部を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の廃水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン酸化を利用した廃水処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工場や店舗などから排出される廃水の多くは、機具を洗浄した後のアルコール系有機物や切削油に由来する鉱物油などの有機物を含んでいる。したがって、廃水処理を行うときは、含まれる有機物の処理に対して、設備やエネルギー等のコストをかける事を余儀なくされている。
【0003】
一般に、廃水中の有機物を処理する方法として、しばしばオゾン酸化が利用される。
【0004】
有機物は、オゾンそのものによる酸化と、オゾンが自己分解した際のラジカル反応などにより、酸化分解される(例えば、非特許文献1:米内伸一編,新版オゾン利用の技術,サンユー書房,p.12,(1993))。オゾン酸化を利用した廃水処理設備は、基本的に、オゾン処理部の他に、凝集沈殿除去を行なう沈殿池、あるいは沈殿槽で構成されることが示されている(例えば、非特許文献2:吉村二三隆著,これでわかる水処理技術,株式会社工業調査会,p.145〜148,(2002))。
【0005】
このようなオゾンを使用して有機物を含む廃水を処理する方法について開示された特許文献として、出願人は、特許文献1(特開2004−237266)を把握している。COおよびHOになるまで有機物が完全に分解されるには、長時間を費やし、その間に大量のオゾンを消費する。特許文献1では、有機物を完全分解させず、有機酸になるまでオゾンで酸化し、この有機酸をカルシウムイオン等を水中投与することによりキレート形成させて凝集沈殿除去することにより処理を効率化することが開示されている。
【0006】
上述したように、非特許文献2によると、オゾンを用いた廃水処理設備は、基本的に、オゾン処理部(槽)の他に凝集沈殿除去を行なう沈殿池(槽)を備えた2槽構造となる。
【0007】
図1および図2は、このような2槽構造の廃水処理設備の一例を示す。図1は処理設備の全体構成であり、図2は処理槽1と凝集沈殿槽2の周辺構造の詳細である。
【0008】
処理対象とする廃液は、例えば、界面活性剤や水溶性切削油等、半導体製造工場などから排出される有機物である。具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの高分子やエマルジョン化した鉱物油などの水溶性有機物などを含有する液体である。
【0009】
この装置では、処理槽1内に廃液を導入し、オゾン発生装置5で発生させたオゾンを廃液と気液接触させてオゾン酸化させる。一方、CaOタンク3から処理槽1にCaOを導入し、オゾン酸化で生成したカルボニル化合物をCaイオンでキレート化させる。処理液は凝集沈殿槽2に適宜移送し、凝集剤の投入によりフロック化して沈殿させる。沈殿物はろ過槽4で固液分離する。沈殿物が分離された液体は処理槽1に戻す。処理が終了した処理液は一定時間静置後に排水路13から排出される。
【0010】
すなわち、まず、メインポンプ14aを駆動し、メインバルブ14bおよび廃液導入バルブ10aを経由して廃液を処理槽1に導入する。ついで、ガスボンベ等の酸素ガス供給源から酸素ガスをオゾン発生装置5に送ってオゾンガスを発生させる。このオゾンガスを、筒状ノズル17ヘ供給すると同時に、メインポンプ14aにより処理槽1内の廃液を、第2循環バルブ12aおよび第1循環バルブ11aを経由して循環させる。この循環液が、筒状ノズル17からオゾンガスと一緒に噴出し、数十μmから数百μm程度に微細化したオゾンガスが廃液内に分散して溶解する。同時に、循環液とオゾンガスによって廃液が攪拌されることにより、廃液に含まれる有機物を酸化分解し、カルボニル化合物を生成する。
【0011】
一方、CaO導入ポンプ18aを駆動し、CaOタンク3内のCaO分散液を処理槽1に導入することにより、オゾン酸化で生成したカルボニル化合物をCaイオンによってキレート化させる。
【0012】
この一連の反応が進んだ際、適時、液の一部(具体的には処理液の1/10程度の量)を移送ポンプ19aにより移送バルブ19bを経由して凝集沈殿槽2に移送する。凝集沈殿層2へは凝集剤投入器2aにより凝集剤を適量投入し、攪拌機2bで攪拌してフロックを生成し沈殿させる。その後、凝集沈殿槽2の底部に溜まった沈殿物を、沈殿物排出バルブ22を開閉してろ過槽4に移す。ろ過槽4に設置された固液分離メッシュ23で固液分離を行なう。凝集沈殿槽4に残った残液は、第1還流ポンプ20aにより、第1還流バルブ20bを経由して処理槽1に戻す。ろ過槽4の底部に溜まった液は、第2還流ポンプ21aを駆動し、第2還流バルブ21bを経由して、処理槽1に戻す。これらの動作を繰り返し、廃液に含まれる有機物濃度を目的とするレべルに低減させる。また、廃液に含まれる浮遊物質濃度が低減することから、処理終了後の静置時間を短縮できる。
【0013】
廃液に含まれる有機物濃度が目的とするレベル(例えば有機物濃度の指標であるTOC値(全有機炭素)が100mg/L程度)に低減するまで上述した処理を継続する。処理が終了した後、オゾンガスの供給とメインポンプ14aを停止して処理を終了する。処理槽1内の処理液は、メインポンプ14a、第2循環バルブ12aおよび排水バルブ13aを経由して処理槽1から取り出し、ファイナルフィルタ16で液中に残った不溶物をろ過後、排出する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】米内伸一編,新版オゾン利用の技術,サンユー書房,p.12,(1993)
【非特許文献2】吉村二三隆著,これでわかる水処理技術,株式会社工業調査会,p.145〜148,(2002)
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2004―237266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述したような
処理槽1と凝集沈殿槽2を有する処理設備では、2つの槽の設置が必須となる。そしてこれら2つの槽の間において液を移送するために、それだけ多くのポンプ、配管、バルブ等の機器が必要となる。このように、設備自体が複雑かつ大掛かりで構成する機器が多く、設備コストを押し上げることになるうえ、当然、設置スペースも大きくなる。しかも、カルシウム等の添加剤に起因するスケールが配管、バルブ、ポンプ等の内面に付着する。放って置くと液の移送路19が閉塞してしまうので、配管、バルブ、ポンプ等の機器を定期的にメンテナンスする必要がある。メンテナンスは、スケールを酸洗で除去したり、場合によっては機器の交換を行ったりする。これらの保守にかかるコストが設備の導入や普及を妨げている。
【0017】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、設備を大幅に簡略化し、設備自体の小型化および省スペース化を図り、加えてメンテナンスコストの大幅な低減を実現した廃水処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するため、本発明の廃水処理装置は、廃液を貯留して処理する処理槽と、上記処理槽内に貯留された廃液に対してオゾンガスを供給するオゾン供給手段とを備え、
上記処理槽の底部には、生成された沈殿物を沈殿させて排出する沈殿排出部が設けられ、
上記処理槽内には、オゾンガスの供給を受けて廃液をオゾン処理するための上側処理空間と、生成された沈殿物を沈殿させるための下側沈殿空間とを区分する、障壁部材が配置され、
上記障壁部材は、処理槽内壁との間に周状の隙間を確保するとともに、上記隙間の内側の領域において上側処理空間と下側沈殿空間を区分していることを要旨とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の廃水処理装置は、従来、処理槽と沈殿槽の2槽が必要であった処理装置について、処理槽の底部に沈殿排出部を設け、処理槽内を障壁部材により上側処理空間と下側沈殿空間とに区分することにより、1槽構造とした。そして、障壁部材は、処理槽内壁との間に周状の隙間を確保し、その内側の領域において上側処理空間と下側沈殿空間を区分することにより、上側処理空間でオゾン処理を行いながら沈殿物を周状の隙間から下側沈殿空間に分離できるようにした。しかも障壁部材の存在により下側沈殿空間に溜まった沈殿物は再び上側処理空間に舞い上がらない。このように、1槽構造において固液分離を確実に行うことに成功したのである。
このような構成を採用したことにより、2槽間において液を移送するための配管やバルブならびにポンプを省略し、設備コストを抑えるとともに設置スペースを小さくすることが可能となった。さらには、これらの機器におけるメンテナンスを不要とした。このようにすることにより、これまで処理設備が複雑で、メンテナンス性に問題があったために、導入が進まなかったオゾン利用の廃水処理設備の普及拡大に大きく寄与することが出来る。
【0020】
本発明において、上記オゾン供給手段は、処理槽内の処理液中に先端開口からオゾンガスを噴射する噴射筒に対し、噴射方向に交差する方向に処理槽から処理液を導入して気液混合する筒状ノズルを含んで構成される場合には、
オゾンと処理液の気液接触が効果的に行われ、オゾン処理を効果的に進めることができる。
【0021】
本発明において、上記筒状ノズルは、気液混合されて先端開口から噴出される処理液により処理槽内で旋回流を生じさせるように構成されている場合には、
上側処理空間でオゾン処理を行いながら沈殿物を周状の隙間から下側沈殿空間に速やかに分離できる。しかも下側沈殿空間に溜まった沈殿物は再び上側処理空間に舞い上がらない。
【0022】
本発明において、上記オゾン供給手段は、処理槽内の処理液中にオゾンガスをバブリング噴出する噴出口が周壁に形成されたバブリング筒と、上記バブリング筒の周壁に形成された攪拌翼と、上記バブリング筒を回転駆動する回転駆動部とを有するばっ気攪拌装置を含んで構成される場合には、
バブリング筒の回転により気液接触と処理液の攪拌が充分に行われ、処理槽内に処理液を導入する必要がない。このため、気液接触を行うために処理液を導入する配管、バルブ、ポンプ等の機器を設ける必要がない。したがって、これらの機器にスケールが付着することに起因するメンテナンスを行わなくてすむ。
【0023】
本発明において、上記沈殿排出部は、傾斜角45°以上の漏斗状底部を有する場合には、
下側沈殿空間に沈降する沈殿物は漏斗状底部に溜まって舞い上がりにくく、固液分離の効率がよくなる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】従来の廃水処理装置の構成を示す図である。
図2】従来の廃水処理装置の要部を示す図である。
図3】本発明の廃水処理装置の第1実施形態を示す図である。
図4】第1実施形態の要部を示す図である。
図5】筒状ノズルを示す図である。
図6】本発明の廃水処理装置の第2実施形態を示す図である。
図7】第2実施形態の要部を示す図である。
図8】ばっ気攪拌装置を示す図である。
図9】従来例と第1実施形態について、TOC測定を行った結果である。
図10】SS処理のシュミレーションを行った結果である。
図11】第1実施形態について、SS処理のシュミレーションを行った結果である。
図12】第1実施形態について、SS処理のシュミレーションを行った結果である。
図13】第1実施形態について、SS処理のシュミレーションを行った結果である。
図14】第2実施形態について、SS処理のシュミレーションを行った結果である。
図15】第2実施形態について、SS処理のシュミレーションを行った結果である。
図16】第2実施形態について、SS処理のシュミレーションを行った結果である。
図17】第1実施形態と従来例について、SS処理の試験結果である。
図18】第2実施形態について、SS処理の試験結果である。
図19】第1実施形態について、SS処理の試験結果である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
つぎに、本発明を実施するための形態を説明する。
【0026】
図3図4および図5は、本発明が適用される廃水処理装置の第1実施形態を示す。
【0027】
この廃水処理装置は、処理対象となる廃液を貯留して処理する処理槽1と、上記処理槽1内に貯留された廃液に対してオゾンガスを供給するオゾン供給手段7とを備えている。以下の説明では、処理槽1に導入した廃液を含み、本装置で処理させる液を『廃液』または『処理液』として説明を進める。
【0028】
上記処理槽1は、縦型の円筒状で内部に処理液を貯留する。上記オゾン供給手段7は、処理槽1に貯留された処理液に対してオゾンガスを供給する。これにより、処理槽1内に貯留された処理液をオゾン酸化させてオゾン処理する。
【0029】
上記オゾン供給手段7は、酸素ガスの供給を受けてオゾンを発生させるオゾン発生装置5と、発生したオゾンを処理槽1内に導入するためのオゾン導入路6と、オゾン導入路6のオゾンガスの流通を開閉するオゾン導入バルブ6aと、オゾンガスと処理液を気液混合して気液接触させるための筒状ノズル17を含んで構成される。
【0030】
上記廃水処理装置は、処理槽1における処理液の導入、循環、排出の際に処理液を流通させるメイン流路14を備えている。上記メイン流路14には、処理液の導入、循環、排出の際に処理液を圧送するためのメインポンプ14aが設けられている。また、上記メイン流路14には、処理対象としての原液である廃液の導入を開閉するメインバルブ14bが設けられている。
【0031】
上記メイン流路14の下流端は、廃液導入路10、第1循環路11、排水路13に分岐している。また、メイン流路14のメインバルブ14bとメインポンプ14aの間には、処理槽1と接続されて処理液を循環させるための第2循環路12が接続されている。
【0032】
廃液導入路10には、廃液の導入の開閉を行う廃液導入バルブ10aが設けられている。処理槽1に廃液を導入するときは、メインポンプ14aを駆動してメインバルブ14bおよび廃液導入バルブ10aを開け、メイン流路14および廃液導入路10を経由して処理槽1内に廃液を導入する。
【0033】
処理槽1に貯留された廃液は、第1循環路11および第2循環路12を経由して処理の間循環される。第1循環路11には、処理液の循環を開閉する第1循環バルブ11aが設けられ、第2循環路12には、処理液の循環を開閉する第2循環バルブ12aが設けられている。処理液を循環するときは、メインポンプ14aを駆動して第1循環バルブ11aおよび第2循環バルブ12aを開け、処理槽1の底部に接続された第2循環路12から処理液を取り出して、その処理液を第1循環路11に戻す。
【0034】
排水路13には排水を開閉する排水バルブ13aが設けられている。処理槽1から処理液を排出するときは、メインポンプ14aを駆動して第2循環バルブ12aおよび排水バルブ13aを開け、処理槽1の底部に接続された第2循環路12から処理液を取り出して、その処理液を排水路13から排出する。排水路13にはファイナルフィルタ16が設けられている。
【0035】
上記第1循環路11の先端は上述した筒状ノズル17に接続されている。
【0036】
図5(A)は筒状ノズル17の詳細を示す図である。
【0037】
上記筒状ノズル17は、処理槽1内の処理液中に先端開口17aからオゾンガスを噴射する噴射筒17bに対し、噴射方向に交差する方向に処理液を導入して気液混合する。すなわち、噴射筒17bの周壁に第1循環路11の先端が接続され、噴射筒17b内に導入された処理液は噴射筒17b内で旋回流を生じるようになっている。噴射筒17bの後端にはオゾン導入路6の先端が接続されてオゾンガスを吹き込むようになっている。一方、噴射筒17bの後端には気液混合されたオゾンガスと処理液を噴出させる先端開口17aが形成されている。これにより、噴射筒17bに導入されて旋回流となっている処理液に対してオゾンガスが吹き込まれ、気液混合されたオゾンガスと処理液が先端開口17aから噴出される。
【0038】
この装置は、上記処理槽1内の処理液に対してCaOを導入するためのCaOタンク3を備えている。上記CaOタンク3には、処理槽1内にCaO分散液を導入するためのCaO導入路18が接続され、CaO導入路18にはCaO分散液の導入を開閉するCaO導入ポンプ18aが設けられている。CaOタンク3内のCaO分散液を処理液に投入することにより、オゾン酸化で生成したカルボニル化合物をCaイオンによってキレート化させることにより沈殿させる。
【0039】
また、上記処理槽1の底部には、生成されたキレートを含む沈殿物を沈殿させて排出する沈殿排出部26が設けられている。
【0040】
上記沈殿排出部26は、傾斜角45°以上の漏斗状底部26aを有する。好ましくは漏斗状底部26aの傾斜角を60°に設定する。上記漏斗状底部26aの下端には、沈降した沈殿物を排出する沈殿物排出路24が接続されている。沈殿物排出路24には沈殿物排出バルブ22が設けられている。上記沈殿物排出路24の下流にはろ過槽4が配置されている。
【0041】
上記ろ過槽4は、沈殿物排出バルブ22から処理液とともに排出された沈殿物を固液分離するための固液分離メッシュ23を備えている。また、ろ過槽4には、固液分離メッシュ23を通過した処理液を処理槽1に還流させる第2還流路21が接続されている。第2還流路21には、還流させる処理液を圧送するための第2還流ポンプ21aが設けられ、処理液の還流を開閉する第2還流バルブ21bが設けられている。
【0042】
このように、この実施形態の装置では、図1の従来例にあった凝集沈殿槽2を備えていない。それに伴い、第1還流路20、第1還流ポンプ20a、第1還流バルブ20bおよび移送ポンプ19aを備えていない。
【0043】
さらに、上記処理槽1内には、オゾンガスの供給を受けて廃液をオゾン処理するための上側処理空間15aと、生成された沈殿物を沈殿させるための下側沈殿空間15bとを区分する、障壁部材25が配置されている。
【0044】
この例では、障壁部材25は円板状を呈している。上記障壁部材25は、縦置き円筒状の処理槽1内において横向けに配置され、処理槽1の内部空間を上下に区分する。そして、上記障壁部材25は、処理槽1内壁との間に周状の隙間25aを確保するとともに、上記隙間25aの内側の領域において上側処理空間15aと下側沈殿空間15bとを区分している。
【0045】
上記周状の隙間25aについては、この例では、処理槽1の内周面と障壁部材25の外周縁との間隔がほぼ一定になるように設定され、そのように障壁部材25が配置される。上記周状の隙間25aは、処理槽1の内周面と障壁部材25の外周縁との間に周状の間隔が確保されていればよい。すなわち、例えば、円筒状の処理槽1に対して多角形状の障壁部材25を用いたり、処理槽1と障壁部材25を偏心させて配置したりするなど、処理槽1の内周面と障壁部材25の外周縁との間隔は、必ずしも一定でなくてもよい。
【0046】
さらに、上記筒状ノズル17は、気液混合されて先端開口17aから噴出される処理液により処理槽1内で旋回流を生じさせるように構成されている。筒状ノズル17は、処理液とオゾンガスの混合流を先端開口17aから横向け(すなわち円板状の障壁部材25の板面に沿って)噴出させるよう配置される。そして、筒状ノズル17は、処理槽1の内周面の半径上において、処理槽1の内周面から半径の1/3程度あるいはそれ以下の位置になるように配置される。好ましくは、筒状ノズル17は、周状の隙間25aの上に配置する。これにより、先端開口17aから噴出された混合流は、処理槽1の内周面に沿って旋回流を起こすのである。
【0047】
以上のような構成の装置により、廃液処理は例えばつぎのようにして行われる。
【0048】
まず、メインポンプ14aを駆動してメインバルブ14aおよび廃液導入バルブ10aを開け、メイン流路14および廃液導入路10を経由して廃液を処理槽1に導入する。また、ガスボンベや液化ガス貯漕などの酸素ガス供給源から酸素の供給を受けてオゾン発生装置5によってオゾンガスを発生させる。このオゾンガスは、オゾン導入路6によって筒状ノズル17に供給する。同時に、メインポンプ14aを駆動して第2循環バルブ12aおよび第1循環バルブ11aを開け、処理槽1内の処理液を第2循環路12および第1循環路11を経由して循環させる。
【0049】
このように、処理槽1内の処理液を処理槽1の底部近傍から取り出して筒状ノズル17から再び処理槽1に戻すように循環させる。処理液を循環させながら、筒状ノズル17において循環液にオゾンガスを導入する。筒状ノズル17においてオゾンガスと処理液を気液混合して混合流として処理槽1内に戻す。
【0050】
この操作により、筒状ノズル17から処理液と一緒に噴射されるオゾンガスは処理槽1中の処理液内において数十μmから数百μm程度に微細化する。微細化したオゾンガスは処理液内に分散して溶解する。同時に、循環液とオゾンガスによって処理槽1内の処理液が攪拌される。このことで、廃液に含まれる有機物が酸化分解され、カルボニル化合物が生成される。
【0051】
一方、CaO導入ポンプ18aを駆動し、CaOタンク3内のCaO分散液を処理槽1に注入する。CaO分散液を処理槽1に投入することにより、オゾン酸化により生成したカルボニル化合物がCaイオンでキレート化される。CaO分散液を導入した後も、オゾンガスの導入と処理液の循環を継続する。
【0052】
上側処理空間15aにオゾンガスを導入しながら処理液を循環させるときに、処理槽1内の処理液に旋回流が生じる。上側処理空間15aにおいてキレート化反応で生じた沈殿物の一部は、処理槽1の内周面に沿って移動しながら徐々に沈降して周状の隙間25aを通過し、下側沈殿空間15bに移動する。周状の隙間25aよりも内側の領域では、障壁部材25が上側処理空間15aと下側沈殿空間15bを区分しているので、上側処理空間15aに生じている旋回流は下側沈殿空間15bに影響しにくい。したがって、下側沈殿空間15bに沈降した沈殿物が、上側処理空間15aにおける旋回流によって再び上側処理空間15aに舞い上がるのが防止される。
【0053】
そして、廃液に含まれる有機物濃度が目的とするレベル(例えば有機物濃度の指標であるTOC値(全有機炭素)が100mg/L程度)に低減するまでオゾンガスの導入と処理液の循環を継続する。有機物濃度が目的レベルまで低下したときに、オゾンガスの導入と処理液の循環を停止し、処理を終了する。
【0054】
この状態で、処理槽1内の処理液を静止させる。静止させる時間は、処理対象の廃液の性状や投入したCaOの量などにより適宜設定される。例えば、30分から60分程度静止させる。この静止中に、上側処理空間15aに残る処理液中の沈殿物は、スラリー状態となって周状の隙間25aを通過して下側沈殿空間15bに沈降する。下側沈殿空間15bに沈降した沈殿物は、沈殿排出部26でさらに沈降して漏斗状底部26aに堆積する。
【0055】
ここで、処理中の処理液に対してCaO以外に凝集剤を投入することもできる。
【0056】
ついで、沈殿物排出バルブ22を開いて、漏斗状底部26aに堆積した沈殿物を処理液とともに沈殿槽1から取り出し、ろ過槽4へ移送する。このとき、固液分離メッシュ23で沈殿物は捕捉され、処理液はそれを通過してろ過槽4内に貯留される。第2還流バルブ21bを開いて第2還流ポンプ21aを駆動することにより、ろ過槽4内に溜まった処理液は第2還流路21を介して処理槽1内に戻される。
【0057】
その後、第2循環バルブ12aおよび排水バルブ13aを開けてメインポンプ14aを駆動し、処理槽1内の処理液を排水路13から排出する。このとき、排出する処理液はファイナルフィルタ16で液中に残った不溶物がろ過される。
【0058】
このように、従来技術の2槽式処理装置にあった凝集沈殿槽2を廃止して1槽式で処理を完結させるようにした。これにより、凝集沈殿槽2およびそれを接続するために必要であった配管、ポンプおよびバルブ等を不要とした。そして、上側処理空間15aでオゾン処理を行いながら沈殿物を周状の隙間25aから下側沈殿空間15bに分離できるようにした。しかも障壁部材25の存在により下側沈殿空間15bに溜まった沈殿物は再び上側処理空間15aに舞い上がらない。このように、1槽構造において固液分離を確実に行うことができるのである。
【0059】
本実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0060】
すなわち、従来、処理槽1と凝集沈殿槽2の2槽が必要であった処理装置について、処理槽1の底部に沈殿排出部26を設け、処理槽1内を障壁部材25により上側処理空間15aと下側沈殿空間15bとに区分することにより、1槽構造とした。そして、障壁部材25は、処理槽1内壁との間に周状の隙間25aを確保し、その内側の領域において上側処理空間15aと下側沈殿空間15bを区分することにより、上側処理空間15aでオゾン処理を行いながら沈殿物を周状の隙間から下側沈殿空間15bに分離できるようにした。しかも障壁部材25の存在により下側沈殿空間15bに溜まった沈殿物は再び上側処理空間15aに舞い上がらない。このように、1槽構造において固液分離を確実に行うことに成功したのである。
このような構成を採用したことにより、2槽間において液を移送するための配管やバルブならびにポンプを省略し、設備コストを抑えるとともに設置スペースを小さくすることが可能となった。さらには、これらの機器におけるメンテナンスを不要とした。このようにすることにより、これまで処理設備が複雑で、メンテナンス性に問題があったために、導入が進まなかったオゾン利用の廃水処理設備の普及拡大に大きく寄与することが出来る。
【0061】
また、上記オゾン供給手段7は、処理槽1内の処理液中に先端開口17aからオゾンガスを噴射する噴射筒17bに対し、噴射方向に交差する方向に処理槽1から処理液を導入して気液混合する筒状ノズル17を含んで構成されるため、
オゾンと処理液の気液接触が効果的に行われ、オゾン処理を効果的に進めることができる。
【0062】
また、上記筒状ノズル17は、気液混合されて先端開口17aから噴出される処理液により処理槽1内で旋回流を生じさせるように構成されているため、
上側処理空間15aでオゾン処理を行いながら沈殿物を周状の隙間から下側沈殿空間15bに速やかに分離できる。しかも下側沈殿空間15bに溜まった沈殿物は再び上側処理空間15aに舞い上がらない。
【0063】
また、上記沈殿排出部26は、傾斜角45°以上の漏斗状底部を有するため、
下側沈殿空間15bに沈降する沈殿物は漏斗状底部26aに溜まって舞い上がりにくく、固液分離の効率がよくなる。
【0064】
図6図7および図8は、本発明が適用される廃水処理装置の第2実施形態を示す。
【0065】
この例は、筒状ノズル17の代わりにばっ気攪拌装置30を備えたものである。それ以外は図3図4および図5に示す装置と同様であり同様の部分には同じ符号を付して説明を省略する。
【0066】
すなわち、この装置のオゾン供給手段7は、処理槽1内の処理液中にオゾンガスをバブリング噴出する噴出口31aが周壁に形成されたバブリング筒31と、上記バブリング筒31の周壁に形成された攪拌翼32と、上記バブリング筒31を回転駆動する回転駆動部33とを有するばっ気攪拌装置30を含んで構成される。
【0067】
上記ばっ気攪拌装置30では、オゾンガスは、バブリング筒31の周壁に形成された噴出口31aからバブルとなって噴出する。その際に、バブリング筒31が回転駆動されて攪拌翼32のせん断力により、オゾンガスのバブルが微細化されて処理液に混合される。同時に処理液の攪拌が行われる。
【0068】
このように、上記ばっ気攪拌装置30によれば、処理液を循環させなくても、オゾンガスと処理液の気液接触と処理液の攪拌を行うことができる。すなわち、導入されたオゾンガスを攪拌翼32で微細化し、オゾンガスを処理液中に溶解しながら処理槽1内の曝気と攪拌を行なう。したがって、第1循環路11および第1循環バルブ11aを省略することができる。
【0069】
上記ばっ気攪拌装置30では、バブリング筒31が横向き(すなわち円板状の障壁部材25の板面に沿って)配置されている。バブリング筒31は、好ましくは、周状の隙間25aの上ではなく、障壁部材25の上に配置する。攪拌翼32の攪拌で生じた攪拌流により、処理槽1内を上下に処理液が移動する流れを生じるが、周状の隙間25aの内側の領域において障壁部材25によって上側処理空間15aと下側沈殿空間15bが区分されているので、下側沈殿空間15bに溜まった沈殿物は再び上側処理空間15aに舞い上がらない。このように、1槽構造において固液分離を確実に行うことができる。
【0070】
本実施形態では、つぎの作用効果を奏する。
【0071】
すなわち、上記オゾン供給手段7は、処理槽1内の処理液中にオゾンガスをバブリング噴出する噴出口31aが周壁に形成されたバブリング筒31と、上記バブリング筒31の周壁に形成された攪拌翼32と、上記バブリング筒31を回転駆動する回転駆動部33とを有するばっ気攪拌装置30を含んで構成されるため、
バブリング筒31の回転により気液接触と処理液の攪拌が充分に行われ、処理槽1内に処理液を導入する必要がない。このため、気液接触を行うために処理液を導入する配管、バルブ、ポンプ等の機器を設ける必要がない。したがって、これらの機器にスケールが付着することに起因するメンテナンスを行わなくてすむ。
【0072】
それ以外は、第2実施形態と同様であり、同様の作用効果を奏する。
【実施例】
【0073】
つぎに、実施例について説明する。なお、以下の実施例では、図中『障壁部材』を『VB』と表示している。
【0074】
〔オゾン処理能力〕
まず、オゾン処理能力について、TOC(全有機炭素)の低減速度で評価した。
【0075】
まず、図1および図2に示す従来の2槽式廃液処理装置について測定を行った。
【0076】
2槽式の処理槽に内容積16.5Lの塩化ビニル製円筒容器(内径180mm深さ650mm)を用いた。試験液として、イオン交換水に一般に工業用洗浄剤として用いられる花王株式会社製、商品名・クリンスルーと三栄化学株式会社製、商品名・デラストをそれぞれ0.13w%、1.64w%濃度となるように、13Lを調製した。
【0077】
ガス溶解、処理槽の攪拌には筒状ノズル(内径40mm、長さ40mmの円筒形状)を用い、処理槽底部から120mmの位置に容器側面に沿わせて設置した。
【0078】
オゾン発生装置としては、エアツリー社製オゾナイザ(型番・V−80)を用い、発生させた123g/Nmのオゾンガスを前述の筒状ノズルに2L/minの流量で供給した。また、筒状ノズルヘの循環液量は、5.2L/minとした。オゾン処理中は田源石灰工業製生石灰(農薬用)を遂次添加し、処理中のpHを8.5〜12の間に保った。pHは東亜ディーケーケー株式会社製HM−P30を用いて処理槽の深さ320mm付近からチューブポンプで抜取った液を測定した。
【0079】
凝集沈殿の操作は、30分毎に処理槽の深さ320mm付近から2.2Lをチューブポンプで抜取り、別容器に入れ、SiOを主成分とする無機系凝集剤を200mg/L濃度以上になるように添加、攪拌して凝集沈殿物を得た。その上澄液をチューブポンプで処理槽へ戻し、この工程を繰り返した。なお、ここで用いた無機系凝集剤としては、株式会社アクト製の商品名・水夢や、大正印写株式会社製の商品名・アクアリファインなどを用いることができる。
【0080】
こうして、オゾン分解処理を行いながら、液中のTOCを測定し、TOC値が100mg/Lを下回るまで継続した。TOC測定は処理槽の深さ320mm付近からチューブポンプにて約100ccを取り出し、上澄液をTOC測定に供した。TOC計は島津製作所製TOC−VCSH型全自動測定器を用いた。
【0081】
この測定器では、自動吸引されたサンプル液は、680℃に加熱された燃焼管に注入され、サンプル液中の全炭素が燃焼、分解して二酸化炭素となり、これを除湿クーラで冷却、除湿後、赤外線分析装置にて二酸化炭素量を測定する。ここで得られた値は、全炭素濃度に比例するため、予め標準液を用いて設定した検量線との比較により、サンプル中の全炭素を求めることが出来る。
【0082】
つぎに、図3図4および図5に示す第1実施形態の2槽式廃液処理装置について測定を行った。
【0083】
1槽式の処理槽に内容積16.5Lの塩化ビニル製円筒容器(内径180mm×深さ650mm)を用いた。試験液として、イオン交換水に一般に工業用洗浄剤として用いられる花王株式会社製、商品名・クリンスルーと三栄化学株式会社製、商品名・デラストをそれぞれ0.13w%、1.64w%濃度となるように、13Lを調製した。
【0084】
ガス溶解、処理槽の攪拌には筒状ノズル(内径40mm、長さ40mmの円筒形状)を用い、処理槽底部から120mmの位置に容器側面に沿わせて設置した。
【0085】
オゾン発生装置としては、エアツリー社製オゾナイザ(型番・V−80)を用い、発生させた123g/Nmのオゾンガスを前述の筒状ノズルに2L/minの流量で供給した。また、筒状ノズルヘの循環液量は、5.2L/minとした。オゾン処理中は田源石灰工業製生石灰(農薬用)を遂次添加し、処理中のpHを8.5〜12の間に保った。pHは東亜ディーケーケー株式会社製HM−P30を用いて処理槽の深さ320mm付近からチューブポンプで抜取った液を測定した。
ただし、2槽式構成で実施した凝集沈殿の操作、凝集剤の添加は、行わなかった。
【0086】
こうして、オゾン分解処理を行いながら、液中のTOCを測定し、TOC値が100mg/Lを下回るまで継続した。TOC測定は処理槽の深さ320mm付近からチューブポンプにて約100ccを取り出し、上澄液をTOC測定に供した。TOC計は島津製作所製TOC−VCSH型全自動測定器を用いた。
【0087】
図9は、筒状ノズル17を使用した第1実施形態と従来例について、TOC測定の結果を示す。
【0088】
1槽式も2槽式いずれも、オゾン処理が進むに従いTOC値は同じ傾向をたどって低減していることが確認できた。すなわち、今回の発明の凝集沈殿の操作や凝集剤の添加を行わない1槽式においても、2槽式と同等の廃液処理能力があることがわかった。
【0089】
なお、1槽式において2槽式で行なう様な凝集剤を使用して固液分離する場合は、2槽式の際と同様に凝集剤を投入し、1槽式処理槽下部に障壁部材25を設ける。これにより障壁部材25上部ではオゾン反応による有機物分解と並行してフロック生成と凝集反応が進み、これが沈降して障壁部材25下部に堆積させることが可能である。
【0090】
障壁部材25としては、障壁部材25の片面空間で生じる渦流、攪拌流の影響を障壁部材25の反対側空間に与えない役割をする平板、帯板状の板などを使用することができる。固液分離を必要としない場合は、凝集剤の投入と障壁部材25の設置は不要である。オゾン処理終了後の静止で、液中の浮遊物質濃度(SS)が低下し、処理槽底部にスラリーとして堆積する。
【0091】
〔SS処理能力−1〕
つぎに、SS処理能力について流体解析によって評価した。
【0092】
解析ソフトはSTAR−CCM+を使用し、筒状ノズル17を使用した第1実施形態、ばっ気攪拌装置30を使用した第2実施形態のそれぞれについて、解析条件を変更して評価した。
【0093】
□第1実施形態
図11は、筒状ノズル17を処理槽1の壁面近傍に設置し、外周に沿った旋回流を発生させた。障壁部材25は設置していない。壁面外周では水平方向の流れが主となり、上下方向の流れがほとんど発生していない。一方、処理槽1の中心部では上下流が顕著である。
図12は、処理槽1の中心部に障壁部材25を配置した結果である。障壁部材25は直径380mmとした。筒状ノズル17を処理槽1の底部より450mm高さに設置した。障壁部材25を設置すると、障壁部材25の上部と下部の間に上下流が生じていない。
図13は、筒状ノズル17の高さを変更した結果である。筒状ノズル17を処理槽1の底部より400mm高さに設置した。障壁部材25は直径380mmとした。障壁部材25の上部と下部の間に上下流が生じていないのは同様である。
図14は、障壁部材25の直径を小さくした結果である。障壁部材25は直径300mmとした。筒状ノズル17を処理槽1の底部より450mm高さに設置した。障壁部材25は処理液の上下流を妨げることができれば小さくしても問題ないことがわかる。処理槽1内周径に対する障壁部材25の直径は、少なくとも300/400以上であればよいことがわかる。
【0094】
□第2実施形態
図15は、ばっ気攪拌装置30を縦置きにし、障壁部材25を設置した結果である。第1実施形態と同様に、障壁部材25の上部と下部の間に上下流が生じていない。
図16は、ばっ気攪拌装置30を横置きにし、障壁部材25を設置した結果である。上下流が顕著でSS処理の効果が少ないと予測される。
図17は、障壁部材25の形状に変化を加えた結果である。同様に、上下流が顕著でSS処理の効果が少ないと予測される。
【0095】
〔SS処理能力−2〕
つぎに、SS処理能力について実際に試験を行って評価をした。
【0096】
□第1実施形態
図18は、筒状ノズル17を使用した1槽式の第1実施形態と従来例の2槽式の装置における試験結果である。試験条件はつぎのとおりである。1槽式で障壁部材25を備えた実施例において、最も良好な結果が得られている。
処理槽 内径:18cm、深さ:65cm
液量 13L
液流量 5.2L/min
ガス流量 2L/min
CaO投入 間欠的に投入し、総投入量はつぎのとおり
1槽式 障壁部材なし:17g
1槽式 障壁部材あり:17g
2槽式 :16.5g
障壁部材 直径16cm円形
設置位置 処理槽底部より15cm高さ
SS測定箇所 処理槽底部より32cm高さ
【0097】
□第2実施形態
図19は、ばっ気攪拌装置30を使用した1槽式の第2実施形態における試験結果である。試験条件はつぎのとおりである。
処理槽 内径:48cm、深さ:154cm
液量 200L
ばっ気攪拌装置 AWPエアレータ KWA0.25
ガス流量 12L/min
CaO投入 1kgを最初に投入した。
障壁部材 直径45cm円形
設置位置 処理槽底部より30cm高さ
SS測定箇所 処理槽底部より68cm高さ
【0098】
図20は、筒状ノズル17を使用した1槽式の第1実施形態における試験結果である。試験条件はつぎのとおりである。
処理槽 内径:18cm、深さ:65cm
液量 13.5L
液流量 2.6L/min
ガス流量 1.2L/min
CaO投入 75gを最初に投入した。
障壁部材 直径16cm円形
設置位置 処理槽底部より15cm高さ
SS測定箇所 処理槽底部より32cm高さ
【符号の説明】
【0099】
1:処理槽
2:凝集沈殿槽
2a:凝集剤投入器
2b:攪拌機
3:CaOタンク
4:ろ過槽
5:オゾン発生装置
6:オゾン導入路
6a:オゾン導入バルブ
7:オゾン供給手段
10:廃液導入路
10a:廃液導入バルブ
11:第1循環路
11a:第1循環バルブ
12:第2循環路
12a:第2循環バルブ
13:排水路
13a:排水バルブ
14:メイン流路
14a:メインポンプ
14b:メインバルブ
15a:上側処理空間
15b:下側沈殿空間
16:ファイナルフィルタ
17:筒状ノズル
17a:先端開口
17b:噴射筒
18:CaO導入路
18a:CaO導入ポンプ
19:移送路
19a:移送ポンプ
19b:移送バルブ
20:第1還流路
20a:第1還流ポンプ
20b:第1還流バルブ
21:第2還流路
21a:第2還流ポンプ
21b:第2還流バルブ
22:沈殿物排出バルブ
23:固液分離メッシュ
24:沈殿物排出路
25:障壁部材
25a:隙間
26:沈殿排出部
26a:漏斗状底部
30:ばっ気攪拌装置
31:バブリング筒
31a:噴出口
32:攪拌翼
33:回転駆動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図17
図18
図19
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16