特許第5972160号(P5972160)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5972160
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】非円形のサクションホイール
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/10 20060101AFI20160804BHJP
【FI】
   B65H3/10 A
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-269618(P2012-269618)
(22)【出願日】2012年12月10日
(65)【公開番号】特開2013-119484(P2013-119484A)
(43)【公開日】2013年6月17日
【審査請求日】2015年6月8日
(31)【優先権主張番号】10 2011 120 476.1
(32)【優先日】2011年12月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390009232
【氏名又は名称】ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Heidelberger Druckmaschinen AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ハウプト−テアラウ
【審査官】 山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−147441(JP,U)
【文献】 特開2004−115226(JP,A)
【文献】 実開昭51−056365(JP,U)
【文献】 特表2010−534601(JP,A)
【文献】 米国特許第03998449(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00 − 3/68
B65H 5/06、5/22
B65H 29/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線(29)を中心に回転可能なサクションホイールボディ(20)を備えるサクションホイール(1)であって、前記サクションホイールボディ(20)は、外周面(28)、シート(1000)を吸着して搬送するための複数の吸着開口(27)を有し、前記サクションホイールボディ(20)は非円形に形成されている、サクションホイール(1)において、
前記サクションホイールボディ(20)は、略同一サイズのn個のセグメント(21,22,23)に分割されていて、その際、nは1、2、3、4…であり、前記各セグメント(21,22,23)は、シート(1000)を吸着する吸着領域(24)と、シート(1000)を保持しかつ搬送する保持領域(25)と、シート(1000)を解放する解放領域(26)とを備え、前記吸着領域(24)、前記保持領域(25)および前記解放領域(26)は、それぞれ異なっており
前記サクションホイールボディ(20)は、前記解放領域(26)において、単位面積あたり、前記吸着領域(24)および前記保持領域(25)よりも少数の前記吸着開口(27)を有する、ことを特徴とするサクションホイール。
【請求項2】
前記解放領域(26)における部分外周面(28.1)の静止摩擦係数は、前記保持領域(25)における部分外周面の静止摩擦係数よりも小さい、請求項1記載のサクションホイール。
【請求項3】
回転軸線(29)を中心に回転可能なサクションホイールボディ(20)を備えるサクションホイール(1)であって、前記サクションホイールボディ(20)は、外周面(28)に、シート(1000)を吸着して搬送するための複数の吸着開口(27)を有し、前記サクションホイールボディ(20)は非円形に形成されている、サクションホイール(1)において、
前記サクションホイールボディ(20)は、略同一サイズのn個のセグメント(21,22,23)に分割されていて、その際、nは1、2、3、4…であり、前記各セグメント(21,22,23)は、シート(1000)を吸着する吸着領域(24)と、シート(1000)を保持しかつ搬送する保持領域(25)と、シート(1000)を解放する解放領域(26)とを備え、前記吸着領域(24)、前記保持領域(25)および前記解放領域(26)は、それぞれ異なっており、
前記解放領域(26)における部分外周面(28.1)の静止摩擦係数は、前記保持領域(25)における部分外周面の静止摩擦係数よりも小さい、ことを特徴とするサクションホイール。
【請求項4】
前記吸着領域(24)における前記サクションホイールボディ(20)の半径(rA)は、前記保持領域(25)における前記サクションホイールボディ(20)の半径(rH)よりも大きい、請求項1から3のいずれか1項記載のサクションホイール。
【請求項5】
回転軸線(29)を中心に回転可能なサクションホイールボディ(20)を備えるサクションホイール(1)であって、前記サクションホイールボディ(20)は、外周面(28)に、シート(1000)を吸着して搬送するための複数の吸着開口(27)を有し、前記サクションホイールボディ(20)は非円形に形成されている、サクションホイール(1)において、
前記サクションホイールボディ(20)は、略同一サイズのn個のセグメント(21,22,23)に分割されていて、その際、nは1、2、3、4…であり、前記各セグメント(21,22,23)は、シート(1000)を吸着する吸着領域(24)と、シート(1000)を保持しかつ搬送する保持領域(25)と、シート(1000)を解放する解放領域(26)とを備え、前記吸着領域(24)、前記保持領域(25)および前記解放領域(26)は、それぞれ異なっており、
前記吸着領域(24)における前記サクションホイールボディ(20)の径(rA)は、前記保持領域(25)における前記サクションホイールボディ(20)の径(rH)よりも大きいことを特徴とするサクションホイール。
【請求項6】
前記解放領域(26)における前記サクションホイール(1)の吸着作用は、前記吸着領域(24)および前記保持領域(25)における前記サクションホイール(1)の吸着作用よりも小さい、請求項1からまでのいずれか1項記載のサクションホイール。
【請求項7】
前記サクションホイールボディ(20)の前記外周面(28)の表面特性は、前記吸着領域(24)前記保持領域(25)とで異なるか、前記吸着領域(24)と前記解放領域(26)とで異なるか、前記吸着領域(24)と前記保持領域(25)と前記解放領域(26)とでそれぞれ異なる請求項1からまでのいずれか1項記載のサクションホイール。
【請求項8】
前記吸着領域(24)における前記サクションホイールボディ(20)の部分外周面は、平面として形成されている、請求項1からまでのいずれか1項記載のサクションホイール。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載の少なくとも1つのサクションホイール(1)を備える、パイル(100)からシート(1000)を持ち上げて個別化する、シートを加工する機械(12)用のシートフィーダ(10)であって、前記サクションホイール()は、パイル(100)の上側に配置されていて、パイル(100)のその都度の最上位のシート(1000)に作用することを特徴とする、シートフィーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸線を中心に回転可能なサクションホイールボディを備えるサクションホイールならびにサクションホイールを備えるシートフィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術において、シートがシートフィーダにおいて適切な持上げおよび/または搬送手段、例えばサッカおよび/またはサクションホイールを用いてパイルからその都度第1のシートを持ち上げることにより分離し、それぞれ個別化して、シートを、シートを加工する機械、例えばシート折り機にシートを供給することが以前から公知である。その際、シートは、間隔を置いてまたは刺身状にずれ重なった状態でシートを加工する機械に供給することができる。
【0003】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102008048287号明細書において、折り機のシートフィーダが記載されており、シートフィーダは、パイルの後縁部分に持上げおよび分離サッカを備え、パイルの前側部分にサクションホイールを備える。そこでは、サクションホイール位置の調節により、後続のフィーダボード(搬送台)を介して後続のシート折り機に搬送されるシートのずれ重なり度を変更することができる。ずれ重なった折りにより、シート速度を同程度に高める必要なく、折り機の能力を大幅に高めることができる。これによりシートの割合小さな負荷で、比較的高い折り品質が保証される。
【0004】
先行技術から公知のサクションホイールでは、サクションホイールと、サクションホイールによりその都度最上位のシートが引き出されるパイルの上縁との間の間隔はそれぞれ一定である。回転するサクションホイールがその都度最上位のシートを確実に捕捉することを保証するために、サクションホイールとパイル上縁との間の間隔は、通常4mm〜6mmである狭い範囲だけの調節しか許容されない。一定の間隔に基づいて、最上位のシートとその下に位置するシートとの間に分離作用を有するエアクッションが形成されない場合に、吸着トラブルが生じ、したがって、吸着力が通り抜けるスルーサクションの紙では、サクションホイールにより2枚のシートが連行される場合があるので、いわゆる2枚重ねシートが後続のシートを加工する機械に引き渡される。別の吸着トラブルは、サクションホイールとパイル上縁との間の大きすぎる間隔に基づいて、最上位のシートがサクションホイールにより捕捉される時点が正確に設定できないことに起因する。これに対してサッカ上縁からサッカホイールまでの間隔が小さすぎる場合、僅かな間隔に基づいて分離空気が分離したいシートの下にほとんど面状にブローできないので、最上位のシートとその下に位置するシートとの間に限定的にしか分離作用を有するエアクッションを形成することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第102008048287号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、パイルのその都度の最上位のシートを所定に確実に捕捉することができるサクションホイールを提供することである。
【0007】
また、本発明の課題は、個別化され所望に間隔を置かれたシートを確実にシートを加工する機械に供給する、シートを加工する機械用のシートフィーダを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するために、本発明によれば、回転軸線を中心に回転可能なサクションホイールボディを備えるサクションホイールであって、サクションホイールボディは、外周面で、シートを吸着して搬送するための複数の吸着開口を有し、サクションホイールボディは非円形に形成されている、サクションホイールにおいて、サクションホイールボディは、略同一サイズのn個のセグメントに分割されていて、その際、nは1、2、3、4…であり、各セグメントは、シートを吸着する吸着領域と、シートを保持しかつ搬送する保持領域と、シートを解放する解放領域とを備え、吸着領域、保持領域および解放領域は、それぞれ異なっている。
【0009】
好適には、サクションホイールボディは、m個の構成要素から形成されていて、その際、mは1、2、3、4…であり、各構成要素が組み合わされてサクションホイールが形成される。
【0010】
好適には、吸着領域におけるサクションホイールボディの曲率半径は、保持領域におけるサクションホイールボディの曲率半径よりも大きい。
【0011】
好適には、解放領域におけるサクションホイールの吸着作用は、吸着領域および保持領域におけるサクションホイールの吸着作用よりも小さい。
【0012】
好適には、サクションホイールは、解放領域において、単位面積あたり、吸着領域および保持領域よりも少数の吸着開口を有する。
【0013】
好適には、サクションホイールボディの外周面の表面特性は、吸着領域および/または保持領域および/または解放領域においてそれぞれ異なり、特にそれぞれ異なる摩擦係数が存在している。
【0014】
好適には、解放領域における部分外周面の静止摩擦係数は、保持領域における部分外周面の静止摩擦係数よりも小さい。
【0015】
好適には、吸着領域におけるサクションホイールボディの部分外周面は、平面として形成されている。
【0016】
また、この課題を解決するための本発明の装置によれば、少なくとも1つのサクションホイールを備える、パイルからシートを持ち上げて個別化する、シートを加工する機械用のシートフィーダであって、サクションホイールは、パイルの上側に配置されていて、パイルのその都度の最上位のシートに作用する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によるサクションホイールは、回転軸線を中心に回転可能なサクションホイールボディを備え、サクションホイールボディは、外周面で、シートを吸着して搬送するための複数の吸着開口を備える。サクションホイールは、特にその都度最上位のシートをパイルから個別化する働きをする。好適には、サクションホイールボディは、非円形に形成されている。つまり、サクションホイールボディの曲率半径は、サクションホイールボディ全体の領域で一定ではない。換言すると、サクションホイールボディの回転軸線とサクションホイールボディの外側面もしくは外周面との間の間隔が変化している。従来慣用の円形のサクションホイールとは異なり、本発明によるサクションホイールにより、好適には、サクションホイールボディの外周面とサクションホイールにより捕捉したい最上位のシートとの間の間隔が、サクションホイールボディの回転運動中に変化する。したがって小さな間隔が存在し、シートを容易に吸着できる期間だけでなく、大きな間隔が存在し、最上位のシートとその下に位置するシートとの間にエアクッションを形成するために、両方のシートの間に容易に分離空気をブローできる期間が得られる。サクションホイールとは、本発明では、ドイツ連邦共和国特許公開第19632657号明細書およびドイツ連邦共和国特許出願公開19648742号明細書に記載されたような、パイルからシートを取り出す装置の、循環走行するベルトを備えたサクションホイールとも解される。
【0018】
好適には、サクションホイールボディは、同一の大きさのn個のセグメントに分割されており、その際、nは1、2、3、4等の自然数であり、各セグメントは、シートを吸着する吸着領域と、シートを保持して搬送する保持領域と、シートを解放する解放領域とを備える。異なる機能性を有するセグメントを設けることにより、本発明によるサクションホイールは、好適には、極めて簡単な構造で先行技術において公知の持上げおよび運出しサッカの役割を担うことができる。吸着領域、保持領域および解放領域は、それぞれ異なっている、つまり同一でない。
【0019】
本発明によるサクションホイールの好適な改良形では、吸着領域におけるサクションホイールボディの曲率半径は、保持領域におけるサクションホイールの曲率半径よりも大きい。吸着領域におけるサクションホイールボディの比較的大きな曲率半径により、シートの吸着中、サクションホイールボディの吸着開口と吸着したいシートとの間の間隔が特に小さくなるように保証される。これにより一方では、シートが確実に吸着されることが保証され、また他方では、その都度最上位のシートがサクションホイールにより捕捉される時点がより精確に設定可能であることが保証される。保持領域においてサクションホイールボディの曲率半径が低減されていることにより、持ち上げられる最上位のシートをその下に位置するシートに対して大きく持ち上げて、最上位のシートとその下に位置するシートとの間に、分離空気の導入により、エアクッションを形成することができる。
【0020】
好適な改良形では、解放領域におけるサクションホイールの吸着作用は、吸着領域および保持領域よりも小さい。したがってサクションホイールボディは、特に解放領域において、吸着領域および保持領域よりも単位面積あたり少量の吸着開口を有する。極端な場合、サクションホイールボディは、解放領域において、サクション開口を全く有していないか、または、サクション開口は、少なくとも部分的に被覆されているかもしくは閉じられている。減じられた吸着作用に基づいて、各シートは、もはや以前のように強くは保持されず、容易に解放して、例えば後続の搬送ユニットに引き渡すことができる。
【0021】
本発明に係るサクションホイールの好適な改良形では、吸着領域におけるサクションホイールボディの外周面の表面特性は、保持領域および/または解放領域とは異なる。したがって特に異なる摩擦係数が存在してよい。異なる摩擦係数は、異なる材料の選択や異なる表面加工により達成される。したがって例えば吸着領域における外周面はポリウレタン(PU)から形成し、保持領域における外周面は鋼から形成し、解放領域における外周面はクロムめっきされた材料から形成してよい。さらに好適には、解放領域における部分外周面の静止摩擦係数は、保持領域における部分外周面の静止摩擦係数よりも小さい。
【0022】
サクションホイールの1つの態様では、吸着領域におけるサクションホイールボディの部分外周面は、平面として形成されている。これにより好適には、吸着領域全体が、吸着時点で、パイルの最上位のシートに対して略一定の間隔を有し、シートを所定の方式で確実に吸着することができる。
【0023】
シートを加工する機械用のシートフィーダは、前述の少なくとも1つのサクションホイールを用いてパイルからシートを持ち上げて個別化する働きをする。その際、サクションホイールは、パイルの上側に配置されていて、パイルのその都度の最上位のシートに作用する。
【0024】
記載された本発明および記載された本発明の好適な改良形は、相互に任意に組み合わせた形でも、本発明の好適な改良形を成すものである。
【0025】
別の利点および本発明の構造的かつ機能的な観点から好適な構成は、従属請求項ならびに任意の図面に関する実施の形態の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】aは、本発明に係るサクションホイールの第1の態様を示す図であり、bは、サクションホイールの第2の態様を示す図である。
図2】aは、サクションホイールの立体図であり、bは、サクションホイールの1つの態様を示す図である。
図3】aは、1つのセグメントを備えるサクションホイールを示す図であり、bは、2つのセグメントを備えるサクションホイールを示す図であり、cは、3つのセグメントを備えるサクションホイールを示す図である。
図4】本発明に係るサクションホイールを備えるシートフィーダを示す図である。
図5】a〜dは、本発明に係るサクションホイールによる吸着および搬送の経過を示す図である。
図6】サクションホイールの選択的な構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、図示の態様に基づいて、本発明の実施の形態を詳説する。
【0028】
図面においてそれぞれ対応する構成要素および構成部材には、同一の符号を設けた。
【0029】
図1には、本発明に係るサクションホイール1の第1の態様を示しており、サクションホイール1は、サクションホイールボディ20を備え、第1のセグメント21と第2のセグメント22とに分けられている。各セグメント21,22は、吸着領域24と保持領域25と解放領域26とを備える。吸着領域24は、図示していないシートを吸着する働きをする。保持領域25は、サクションホイール1の回転中に、吸着されたシートを保持してシートを搬送する働きをする。解放領域26は、シートを例えば後続の搬送装置に引き渡すために、吸着されたシートを解放する働きをする。サクションホイール1のサクションホイールボディ20は、非円形に形成されている。つまり、サクションホイールボディ20は、単一の半径を有していない。吸着領域24におけるサクションホイールボディ20の曲率半径rAは、保持領域25における曲率半径rHよりも大きい。そこでは、小さな曲率半径rHと大きな曲率半径rAとの間の移行部は、スムーズに構成されている。サクションホイールの運転時には、サクションホイール1にサクション(負圧)空気が作用させられ、サクションホイール1は、回転軸線29を中心に回転する。
【0030】
図1のbには、サクションホイールボディ20が択一的に構成されたサクションホイール1を示しており、サクションホイールボディ20の外周面28(図示していない)は、吸着領域24で、平面として形成されている。これにより、サクションホイール1の下側に位置するシート1000を特に確実に吸着することができる。
【0031】
図2のaに示すように、サクションホイールボディの外周面は、吸着開口27を備え、吸着開口27を通って、サクション空気が作用させられる。単位面積あたりの吸着開口27の数は、吸着領域24と保持領域25と解放領域26とでそれぞれ異なっていてよい。シート1000(図示していない)がはじめに吸着領域24でサクションローラ1により吸着されるので、吸着領域24では、特に高い吸着力が要求されている。保持領域25では、サクション空気は、吸着領域24で吸着される各シート1000を保持して搬送することができるような大きさである必要がある。解放領域26では、各シート1000の解放および引渡しを容易にするために、サクション空気の作用は、小さくするべきである。したがってサクションボディ20の解放領域26では、単位面積あたりの吸着開口27の数は、保持領域25および吸着領域24に対して減じられている。択一的に、吸着開口27は、図2のbに示すように、閉じるか、または解放領域26を部分外周面28.1でカバーすることにより、非作動化することができる。
【0032】
図1のa、b、図2のa、2bおよび図3のbに示す、2つのセグメント21,22を備えるサクションホイールボディ20の態様に対して択一的に、サクションホイールボディ20は、図3aに示すように、1つの第1のセグメント21だけを備えてもよく、したがって第1のセグメント21は、1つの吸着領域24と1つの保持領域25と1つの解放領域26とを備える。図3cに示すように、サクションボディ20は、比較的多数のセグメント21,22,23を備えてもよく、その際、ここでも各セグメントは、1つの吸着領域24と1つの保持領域25と1つの解放領域26とを備える。
【0033】
図4は、シートフィーダ10を示しており、シートフィーダ10において、本発明に係るサクションホイール1は、パイル100からシート1000を個別化して、個々のシート1000を、フィーダボード(給紙台)11を介してシートを加工する機械12(ここではシート折り機のバックル折りステーションとして構成されている)に供給するために用いられる。図面を簡単にするために、サクションホイール1は、円として示されているが、もちろんサクションホイール1は、上述のような好適な態様を有する。
【0034】
シートフィーダ10は、本発明に従って構成された第1のサクションホイール1と第2のサクションホイール2とを備える。第1のサクションホイール1は、パイル100の上側に配置されているのに対して、第2のサクションホイール2は、搬送平面Eの下側で、シート搬送方向Tにみてパイル100の下流側に配置されている。第1のサクションホイール1の回転軸線は、シート1000のパイル後縁100.1に対して間隔Aを有する。第2のサクションホイール2は、パイル100のパイル前縁100.2から間隔Bを置いて配置されている。その際、間隔Aは、間隔Bに対して大きいかまたは同一である。これにより、次の後続のシート1000が第1のサクションホイール1により吸着されて同様に搬送されるまえに、パイル100の、第1のサクションホイール1により捕捉される最上位のシート1000が確実に第2のサクションホイール2に引き渡されることが保証される。シートフィーダ10は、2つの高さセンサ4.1,4.2を備え、高さセンサ4.1,4.2は、一方ではパイル100の後方ガイドに働き、他方では第1のサクションホイール1と持上げユニットもしくは分離ユニット3とから成るユニットの高さ位置適合に働く。持上げユニットもしくは分離ユニット3は、パイル100の後縁100.1の領域に配置されていて、パイル100からその都度最上位のシート1000を持ち上げる働きをし、これにより最上位のシートは、パイルから分離される。第2のサクションホイール2の下流側にセンサ5が設けられており、このセンサ5により、2枚重ねシートもしくは複数枚重ねシートならびに個々のシートの間の間隔もしくはシートのずれ重なり度が検出可能である。このセンサ5によりエラーが確認される場合、該当するシート1000は、そこからさらに排出するか、またはシート流れにおけるその位置を修正することができる。
【0035】
回転矢印が示唆するように、第1のサクションホイール1は、回転速度v1で回転し、第2のサクションホイール2は、回転速度v2で回転する。その際常に、回転速度v1は、回転速度v2に対して小さいかまたは同一である。換言すると、第1のサクションホイール1がシート1000を比較的低い回転速度v1で、したがって比較的高い精度およびシート1000の比較的小さな破損リスクで吸着して搬送するのに対して、第2のサクションホイール2の極めて高い回転速度v2により、シート1000は、大きく加速される。シート1000が第2のサクションホイール2により折りステーション12の生産速度に加速されると、特に好適である。
【0036】
非円形のサクションホイール1の作動方式は、前述した図1図4に関係して図5のa〜5dにおいて明らかである。図5aは、吸着過程を示している。シート1000は、サクションホイール1の吸着領域24により吸着される。吸着領域24における比較的大きな曲率半径rAに基づいて、パイル100の最上位のシート1000に対する間隔は最小であり、最上位のシート1000は、確実に所定の形で吸着することができる。吸着ホイール1の回転により、吸着されたシートは、図5のbおよびcに示すように、吸着ホイールボディ20の保持領域25で保持され、そうして引き続き搬送される。その際、保持領域25における比較的小さな曲率半径rHに基づいて、吸着されたシート1000は、軽くパイル100から持ち上げられるので、その下に位置するシートも同様に持ち上げられる恐れがあり、持ち上げられたシート1000とその下の未だパイル100の上にあるシート1000との間に、両方のシートの間に分離作用を及ぼすエアクッションを形成するために、分離空気Lをブローすることができる。次のシートがサクションホイール1により吸着され、搬送されるまえに、シート1000は、図5のdに示すように、解放領域26で幾分か弱く吸着されるので、シート1000は簡単に解放され、例えば後続の搬送装置に引き渡される。その際、図4から判るように、後続の搬送装置も同様にサクションホイールとして、つまり第2のサクションホイールとして構成してよく、先行技術において公知の構成のように、シート搬送平面の下側に配置されている。
【0037】
図6は、サクションホイール1の択一的な構造を示している。ここでも同様にサクションホイールは、m個(複数)の構成要素21,22から成り、その際、各構成要素はそれぞれ異なっていてよく、特に幾何学形状および材料に関して同一の構造を有する必要はない。各構成要素21,22は、部分ボディから形成され、様々な部分ボディが組み合わされてサクションホイール1が形成される。これにより好適には、サクションホイール1は、個別にその役割およびジョブの周辺条件(例えばシートの坪量)に適合させることができる。その際、このような適合は、機械作業員により行うことができる。
【0038】
様々な曲率半径を有する非円形のサクションホイール(成形サクションホイールとも云う)の幾何学形状により、分離した複数の領域(セグメントとも云う)を有する構成が許容される。各領域に様々に構成された吸着孔が設けられているか、吸着孔の数が増減されているか、または吸着孔が例えばカバーにより完全に閉じられることにより、個々の領域は、真空を制御するためにも利用することができる。吸着領域は、成形サクションホイールとパイルとの間隔が小さく(例えば4mm以下)、したがって最適に調節可能であるという性質を有する。成形サクションホイールの回動運動およびシートの連行により、吸着領域が移動し、曲率半径が減じられた分離空気領域が、シートを持ち上げながら搬送する。その下に位置するシートの吸着は、開始段階で最適化され、吸着力が通り抜けるいわゆるスルーサクション(第2のシートの連行)が回避される。分離空気は、サクションホイールに吸着されたシートとパイル表面との間を邪魔されずに吹き抜けることができるので、最上位のシートとその下のシートとの間にエアクッションを形成することができる。
【0039】
以下に、様々なセグメントについて詳説する。
【0040】
吸着領域:
サクションホイールとパイルとの間隔は、吸着プロセスにとって最適化されていて、例えば1mm〜5mmである。搬送したいシートは、小さな間隔に基づいて、サクション空気を用いて良好にサクションホイールの吸着領域により吸着される。
【0041】
保持および分離空気領域:
サクションホイールとパイルとの間隔は、分離空気プロセスにとって最適化されていて、例えば10mm〜15mmである。したがって搬送したいシートは、パイル表面ひいては次のシートに対して10mm〜15mmの間隔を有する。約10mmだけ増加されたサクションホイールとシートおよびパイル表面との間隔により、その下に位置するシートは、分離空気を用いて、最適にパイルから分離して、搬送のために準備することができる。
【0042】
解放もしくは引渡し領域:
吸着ゾーン領域は、所定のシート引渡し「成形サクションホイール−搬送要素」にとって最適化されている。要求に応じて、サクションゾーン構成および吸込出力は、後続の搬送システム、つまり第2のサクションホイールの作用に適合させることができる。その際、真空を減じてもよく、外周面の材料形状および材料特性を変更してもよい。
【0043】
個々の領域は、周にわたって複数n回分配してよい。したがって各領域は、例えば1回(図3a参照)または2回(図3b参照)または3回(図3c参照)設けてよい。
【符号の説明】
【0044】
1 第1のサクションホイール、 2 第2のサクションホイール、 3 持上げユニット/分離ユニット、 4.1 高さセンサ、 4.2 高さセンサ、 5 センサ、 10 シートフィーダ、 11 フィーダボード、 12 折りステーション(シートを加工する機械)、 20 サクションホイールボディ、 21 第1のセグメント、 22 第2のセグメント、 23 第3のセグメント、 24 吸着領域、 25 保持領域、 26 解放領域、 27 吸着開口、 28 外周面(サクションホイールボディ)、 28.1 外周面(解放領域)、 29 回転軸線、 100 パイル、 100.1 パイル後縁、 100.2 パイル前縁、 1000 シート、 rA 曲率半径(吸着領域)、 rH 曲率半径(保持領域)、 v1 回転速度(第1のサクションホイール)、 v2 回転速度(第2のサクションホイール)、 A 間隔(第1のサクションホイール)、 B 間隔(第2のサクションホイール)、 E シート搬送平面、 L 分離空気としてのブロー空気、 T シート搬送方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6