(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5972175
(24)【登録日】2016年7月22日
    
      
        (45)【発行日】2016年8月17日
      
    (54)【発明の名称】コイルダウンエンダ
(51)【国際特許分類】
   B21C  47/24        20060101AFI20160804BHJP        
【FI】
   B21C47/24 F
【請求項の数】9
【全頁数】6
      (21)【出願番号】特願2012-551180(P2012-551180)
(86)(22)【出願日】2011年1月4日
    
      (65)【公表番号】特表2013-517950(P2013-517950A)
(43)【公表日】2013年5月20日
    
      (86)【国際出願番号】US2011020103
    
      (87)【国際公開番号】WO2011094032
(87)【国際公開日】20110804
    【審査請求日】2013年12月4日
【審判番号】不服2015-5535(P2015-5535/J1)
【審判請求日】2015年3月24日
      (31)【優先権主張番号】12/694,401
(32)【優先日】2010年1月27日
(33)【優先権主張国】US
    
      
        
          (73)【特許権者】
【識別番号】510002268
【氏名又は名称】シーメンス  インダストリー  インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Siemens  Industry,  Inc.
          (74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
          (74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野  琢也
        
      
      
        (72)【発明者】
          【氏名】ウォード  エム.  ホロウェイ
              
            
        
      
    【合議体】
      【審判長】
        鈴木  正紀
      
      【審判官】
        宮澤  尚之
      
      【審判官】
        富永  泰規
      
    (56)【参考文献】
      
        【文献】
          特開2000−103507(JP,A)
        
        【文献】
          特開2000−158043(JP,A)
        
      
    (58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21C47/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
  ステムがパレットからコイルを貫通して突出した状態で、下側に位置するパレット上に支持されて鉛直に配置された円筒状のコイルをダウンエンドするための装置において、
  水平軸線を中心にして回転可能なクレイドルと、
  該クレイドル上のテーブルとが設けられており、該テーブルが、コイル軸線が前記水平軸線と交差して延びている鉛直の第1の位置における前記コイルを備えた前記パレットを収容及び保持するように構成及び配置されており、
  前記コイルを前記鉛直の第1の位置から水平の第2の位置へ配置転換するために前記水平軸線を中心にして前記クレイドルを回転させるための駆動手段が設けられていることを特徴とする、装置。
【請求項2】
  前記クレイドルに、前記水平軸線に関して同心状に配置された少なくとも1つの部分的に円形の軌道が設けられており、該軌道が、前記水平軸線を中心にして回転するように定置の支持体に支持されている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
  前記駆動手段が、前記軌道に沿って延びた有限長さのチェーンを有しており、該チェーンの両方の端部が前記軌道に対して固定されており、チェーン端部の間の前記チェーンのセグメントがスプロケットによって係合されており、該スプロケットの回転が、前記水平軸線を中心とする前記軌道及び前記クレイドルの回転を生ぜしめる、請求項2記載の装置。
【請求項4】
  前記スプロケットが電気的に駆動される、請求項3記載の装置。
【請求項5】
  前記円形の軌道の2つが、互いに平行な平面に配置されており、前記テーブルが前記軌道の間に配置されている、請求項2記載の装置。
【請求項6】
  前記テーブルが、ローラテーブルであり、該ローラテーブル上に前記パレットが前記水平軸線に沿って収容される、請求項1又は5記載の装置。
【請求項7】
  前記鉛直の第1の位置から前記水平の第2の位置への前記コイルの配置転換の間に前記ローラテーブル上に前記パレットを保持するための手段が設けられている、請求項6記載の装置。
【請求項8】
  ステムがパレットからコイルを貫通して突出した状態で、下側に位置するパレット上に支持されて鉛直に配置された円筒状のコイルをダウンエンドするための装置において、
  水平軸線を中心にして回転可能なクレイドルが設けられており、該クレイドルが、前記水平軸線に関して同心状にかつ該水平軸線に沿って互いに間隔を置いて配置された一対の部分的に円形の軌道を有しており、
  該軌道の間において前記クレイドルに位置決めされたテーブルが設けられており、前記テーブルが、コイル軸線が前記水平軸線と交差して延びている鉛直の第1の位置における前記コイルを備えた前記パレットを収容及び保持するように構成及び配置されており、
  前記コイルを前記第1の位置から水平の第2の位置へ配置転換するために前記水平軸線を中心にして前記クレイドルを回転させるための駆動手段が設けられており、該駆動手段が、前記軌道に沿って延びた有限長さのチェーンを有しており、該チェーンの両側の端部がそれぞれの軌道に対して固定されており、前記端部の間の前記チェーンのセグメントが、スプロケットによって係合されており、該スプロケットの回転が前記水平軸線を中心とする前記軌道及び前記クレイドルの回転を生じることを特徴とする、装置。
【請求項9】
  前記スプロケットが、電動式モータによって駆動される共通の軸に支持されている、請求項8記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
  1.発明の分野
  本発明は、概して材料取扱い機器、特に、高温の圧延された製品の円筒状のコイルを鉛直位置から水平位置へ配置転換するために圧延機において使用するための新規でかつ改良されたダウンエンダの提供に関する。
【0002】
  2.従来技術の説明
  典型的な圧延機ダウンエンダにおいては、コイルの軸線は、コイルが鉛直位置から水平位置へ配置転換させられるときの回転軸線と交差して延びていない。これは、回転軸線からのコイルの重心のずれを大きくし、ひいてはコイルの配置転換を行うために要求される動力を増大する。この増大した動力要求を満たすために、機器設計者は慣用的に液圧式リニアアクチュエータの利用に頼るが、この液圧式リニアアクチュエータは、かなり大きなスペースを占め、また液圧ポンプ、配管及び回路を含む高価な関連する構成要素を必要とする。
【0003】
  本発明の課題は、改良されたダウンエンダを提供することであり、このダウンエンダにおいては、コイル軸線が、コイルが配置転換させられるときの回転軸線と交差して延びており、これにより、有利にはコイル重心をダウンエンダの回転軸線のより近くに位置決めする。このことは、ひいては動力要求を低減させ、より複雑でない、より安価な電動式駆動構成要素を使用することを可能にする。
【0004】
  発明の概要
  広く言えば、本発明は、ステムがパレットからコイルを貫通して軸方向に延びた状態で、下側に位置するパレット上に支持された鉛直に配置された円筒状のコイルをダウンエンドするための装置を含む。この装置は、水平軸線を中心にして回転可能なクレイドルを有する。クレイドル上のテーブルは、コイル軸線がクレイドルの水平回転軸線と交差して延びている鉛直の第1の位置におけるコイルを備えたパレットを収容及び保持するように構成及び配置されている。電動式駆動装置は、コイルを鉛直位置から水平位置へ配置転換するためにクレイドルを水平軸線を中心にして回転させるように働く。
【0005】
  ここでこれらの特徴及びその他の特徴及びその付随する利点を添付の図面を参照しながらより詳細に説明する。
 
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】コイルが鉛直の第1の位置に支持された状態の、本発明によるダウンエンダの側面図である。
 
【
図5】水平の第2の位置へダウンエンドされたコイルを示す、
図1と同様の図である。
 
【
図6】
図1に示された円で囲われた部分の拡大図である。
 
【0007】
  ここで図面を参照すると、鉛直に配置された円筒状のコイル"C"をダウンエンドするための装置が符号10で示されている。コイルCは、ステム14がパレットから軸方向にコイルを貫通して上方へ突出した状態で、下側に位置するパレット12上に支持されている。
【0008】
  この装置は、水平軸線"A
H"を中心にして回転可能なクレイドル16を有する。クレイドル上のテーブル18は、ローラ20を有しており、これらのローラ20上にパレット12が水平軸線A
Hに沿って収容される。フック状のブラケット22はパレット12をテーブルローラ20上に保持するために働き、この時、コイルは、コイル軸線A
Cが水平軸線A
Hと交差して延び、これによりコイルの重心を水平軸線A
Hと整合させている第1の鉛直の位置にある。
【0009】
  クレイドルには、水平軸線A
Hに関して同心状に配置された少なくとも1つの、好適には2つの部分的に円形の軌道24が設けられている。軌道24は、水平軸線A
Hを中心に回転するように定置の支持体26に支持されている。
図3に最も分かりやすく示したように、軌道24は水平軸線A
Hに沿って互いに平行にかつ互いに間隔を置いて配置されており、その際、テーブル18がこれらの軌道の間に配置されている。
【0010】
  電動式駆動装置は、コイルを、
図1から
図3までに示した鉛直の第1の位置から
図5に示した水平の第2の位置へ配置転換するために水平軸線A
Hを中心にしてクレイドルを回転させるために働く。駆動装置は、軌道24に沿って延びた有限長さのチェーン28を有しており、その際、チェーンの両側の端部は軌道に関して符号30において固定されている。
【0011】
  図6に最も分かりやすく示したように、各チェーン28のセグメントは、アイドラスプロケット32上と、駆動スプロケット34の周囲とに延びている。
図3に示したように、チェーン28の駆動スプロケット34は、電動式ギヤモータ38によって駆動される共通の軸36に支持されている。
【0012】
  前記説明を考慮すると、最初にコイルCをその軸線A
Cが水平軸線A
Hと交差して延びる状態で位置決めしてコイルの重心を水平軸線A
Hと整合させることによって、コイルを
図5に示した水平の位置へ回転させるために要求される動力は、コイル軸線A
Cが水平軸線A
Hと交差しないで延びる場合に要求される動力よりも小さいということが、当業者によって理解されるであろう。この減じられた動力要求は、よりコンパクトで、より安価な電動式駆動装置を用いることを可能にする。
【0013】
  前記説明は、発明を例示するために示されており、限定しようとするものではない。発明の思想及び実質を含んだ前記実施形態のさらなる変更が当業者に対して生ずることもあるので、発明の範囲は、添付の請求項及びその均等物に関してのみ限定されるべきである。