特許第5972178号(P5972178)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5972178
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】歩車道境界用縁石ブロック
(51)【国際特許分類】
   E01C 11/22 20060101AFI20160804BHJP
   E03F 5/046 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   E01C11/22 B
   E01C11/22 A
   E03F5/046
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-2384(P2013-2384)
(22)【出願日】2013年1月10日
(65)【公開番号】特開2014-134018(P2014-134018A)
(43)【公開日】2014年7月24日
【審査請求日】2015年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】504127887
【氏名又は名称】エムシー産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081592
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 義則
(72)【発明者】
【氏名】西 博
【審査官】 越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公開第02231904(GB,A)
【文献】 特開2014−080798(JP,A)
【文献】 特開2006−132320(JP,A)
【文献】 特開2008−184773(JP,A)
【文献】 実開平07−012503(JP,U)
【文献】 特開平08−253964(JP,A)
【文献】 米国特許第01656653(US,A)
【文献】 特開2007−100506(JP,A)
【文献】 特開2006−118131(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 1/00−17/00
E03F 1/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車道(9)と歩道(8)の境界に敷設されるコンクリート製の歩車道境界用縁石ブロック(1)であって、
車道(9)に面して設置される正面(1a)にブロック全長に亘って開口部(10)が形成され、この開口部(10)からブロック内部に向けて下り傾斜して雨水通水溝(11)が形成されることで断面略C字形状に形成され、
前記開口部(10)の底縁(12)に、微粒子サイズの土砂やゴミは流入できるが、それより大きいサイズの土砂やゴミは流入が阻止される間隔に形成された雨水流入用スリット口(12a)を複数個設けた堰堤部(13)が形成され、
かつ、前記雨水流入用スリット口(12a)は、その底面が開口部(10)の底縁(12)で形成され、この底縁(12)が施工に際し車道(9)の表面に一致するように形成されて、前記堰堤部(13)の堤高が車道(9)の表面より高くなるように形成されていることを特徴とする歩車道境界用縁石ブロック。
【請求項2】
請求項1記載の歩車道境界用縁石ブロックにおいて、前記堰堤部(13)がブロックと一体成型されたコンクリート製の堰堤部である歩車道境界用縁石ブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車道と歩道の境界に敷設されるコンクリート製の歩車道境界用縁石ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、標準的に施工される歩車道境界用縁石ブロックと道路表面で構成される略L字溝は、不特定箇所に水溜りが発生する。これを解決するために、歩車道境界用縁石ブロックにおいて、車道に面して設置される面にブロック全長に亘って開口部が形成され、この開口部からブロック内部に向けて下り傾斜して雨水通水溝が形成されることで断面略C字形状に形成されたものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この従来の歩車道境界用縁石ブロックは、開口部の底縁を車道の表面に一致させるように敷設させ、これにより車道の表面から雨水を開口部からブロック内部の雨水通水溝に流入させ、この雨水通水溝を通して集水桝等に排水させるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−195214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の歩車道境界用縁石ブロックは、開口部と雨水排水溝によってブロック内部に通水機能を持たせたものであるが、開口部の底縁がその全長に亘って車道の表面に一致するように形成されている。
【0006】
このように形成すると、車道表面からの雨水を開口部の全長に亘って広範囲に集水することができるものの、同時に車道表面の土砂やゴミ等が開口部から雨水通水溝に流入しやすくなり、雨水通水溝が土砂やゴミ等で詰まってしまい、その除去作業に多くの手間を要するなど維持管理性の面で改良の余地があった。
【0007】
また、車道の端を歩車道境界用縁石ブロックに沿って人が歩いたり走ったり自転車が走行したりする際に、靴や車輪が開口部から雨水通水溝内に滑り込み易くなり、事故につながってしまうという問題もあった。
【0008】
本発明は、開口部から雨水通水溝への雨水の流入を確保しながら、車道表面の土砂やゴミ等が流入しにくい構造とすることで、雨水通水溝が土砂やゴミ等で詰るといった不具合を解消させ、また、人の靴や自転車の車輪が開口部から雨水通水溝内に滑り込むといった事故を回避できるようにした歩車道境界用縁石ブロックを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1にかかる歩車道境界用縁石ブロックは、
車道(9)と歩道(8)の境界に敷設されるコンクリート製の歩車道境界用縁石ブロック(1)であって、
車道(9)に面して設置される正面(1a)にブロック全長に亘って開口部(10)が形成され、この開口部(10)からブロック内部に向けて下り傾斜して雨水通水溝(11)が形成されることで断面略C字形状に形成され、
前記開口部(10)の底縁(12)に、微粒子サイズの土砂やゴミは流入できるが、それより大きいサイズの土砂やゴミは流入が阻止される間隔に形成された雨水流入用スリット口(12a)を複数個設けた堰堤部(13)が形成され、
かつ、前記雨水流入用スリット口(12a)は、その底面が開口部(10)の底縁(12)で形成され、この底縁(12)が施工に際し車道(9)の表面に一致するように形成されて、前記堰堤部(13)の堤高が車道(9)の表面より高くなるように形成されている構成とした。
【0010】
また、本発明の請求項2にかかる歩車道境界用縁石ブロックは、
請求項1記載の歩車道境界用縁石ブロックにおいて、前記堰堤部(13)がブロックと一体成型されたコンクリート製の堰堤部である構成とした。
【発明の効果】
【0011】
本発明(請求項1)の歩車道境界用縁石ブロックは、開口部の底縁に形成する堰堤部に、微粒子サイズの土砂やゴミは流入できるが、それより大きいサイズの土砂やゴミは流入が阻止される間隔に形成された雨水流入用スリット口を複数個設けた構成に特徴がある。
【0012】
このように、雨水流入用スリット口を設けた堰堤部を形成させたことにより、この堰堤部が壁となって車道に堆積した土砂やゴミ等が開口部から流入するのを抑制することができ、雨水通水溝が土砂やゴミ等で詰るといった不具合を解消できる。
また、雨水流入用スリット口は、微粒子サイズの土砂やゴミは流入できるが、それより大きいサイズの土砂やゴミは流入が阻止される間隔に形成されているから、車道に堆積した土砂やゴミ等のうち、雨水通水溝内の流水を阻害するようなサイズのものが雨水流入用スリット口から雨水通水溝内に流入して、通水溝が土砂やゴミ等で詰まることを防止することができる。
【0013】
また、雨水流入用スリット口が形成された開口部の底縁を車道の表面に一致させるため、この雨水流入用スリット口を通して雨水の流入を確保することができ、本来の機能である歩車道境界用縁石ブロックの内部を利用した通水機能を保持できる。
【0014】
また、開口部に堰堤部を形成させたので、この堰堤がガード壁になり、歩車道境界用縁石ブロックに沿って人が歩いたり走ったり自転車が走行したりする際に、滑って靴や車輪が開口部から雨水通水溝内に滑り込むといった事故を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例1にかかる歩車道境界用縁石ブロックの施工状態を示す断面図。
図2】実施例1の歩車道境界用縁石ブロックを示す斜視図。
図3】実施例2の歩車道境界用縁石ブロック示す断面図。
図4】実施例3の歩車道境界用縁石ブロックの施工状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0016】
実施例1の歩車道境界用縁石ブロックは、図1図2に示すように、基本的断面形状が略台形で、道路延長方向を長手方向としたコンクリート製ブロックで形成され、その正面1aが車道9に面し、背面1bが歩道8に面するように敷設される。
尚、図1において、5は基礎栗石、6はベースコンクリートである。
【0017】
この歩車道境界用縁石ブロック1には、車道9に面して設置される正面1aにブロック全長に亘って開口部10が形成され、この開口部10からブロック内部に向けて下り傾斜して上側傾斜面11aと、奥側面11bと、下側傾斜面11cとで囲まれる雨水通水溝11が形成されることで断面略C字形状に形成されている。
この雨水通水溝11は、溝幅が溝底に向けて次第に狭くなった断面V字状溝に形成され、その溝底が開口部10の底縁12よりも低い位置に形成され、また、開口部10の底縁12はブロックの正面1aから雨水通水溝11の下側傾斜面11cに至る平面状に形成されている。
【0018】
そして、前記開口部10の底縁12に、複数個(実施例では8個)の雨水流入用スリット口12aを有する堰堤部13が形成されている。この雨水流入用スリット口12aを有する堰堤部13は、ブロックと一体成型されたコンクリート製の堰堤部であり、このコンクリート一体成型によって容易かつ強固に堰堤部13が形成できる。
【0019】
前記雨水流入用スリット口12aは、その底面が開口部10の底縁12で形成され、この底縁12が施工に際し車道9の表面に一致するように形成されている。
これにより、敷設状態において、前記堰堤部13の堤高が車道9の表面より高くなるように形成されている。実施例では堰堤部13が車道9より2cm高くなるように設定している。
【0020】
このように、堰堤部13に雨水流入用スリット口12aを形成させたので、雨水流入用スリット口12aによって雨水の流入を確保しながら、堰堤部13を壁として機能させて開口部10からの土砂やゴミ等の流入を阻止させることができる。また、堰堤部13の外側に土砂が堆積して水溜りが生じても、雨水は土砂の空隙を通って透水し、雨水流入用スリット口12aから雨水通水溝11内に流入するので、水溜りを解消することができる。
【0021】
この場合、雨水流入用スリット口12aは、微粒子サイズの土砂やゴミは流入できるが、それより大きいサイズの土砂やゴミは流入が阻止される間隔に形成されているので、雨水流入用スリット口12aより大きいサイズの土砂やゴミ等は堰堤部13によって流入を阻止させることができるが、微粒子などのサイズの土砂等は雨水流入用スリット口12aを通って雨水通水溝11内に流入する。
【0022】
このようにして微粒子などの小さいサイズの土砂等が雨水通水溝11内に流入した場合でも、この雨水通水溝11は溝幅が溝底に向けて次第に狭くなった断面V字状溝に形成されているため溝底側ほど流速が速く、この水流に乗せて微粒子などの小さいサイズの土砂等を押し流し、雨水通水溝11内に溜まらないようにしている。
【0023】
また、開口部10に堰堤部13を形成させたので、堰堤部13がガード壁として機能し、人の靴や自転車の車輪が滑って開口部10から雨水通水溝11内に滑り込むといった事故を回避できる。
【実施例2】
【0024】
実施例2の歩車道境界用縁石ブロック1は、図3に示すように、堰堤部13の構造において実施例1と異なる。その他の構成は実施例1と同様である。
【0025】
この実施例2の堰堤部13は、雨水通水溝11の下側傾斜面11cに沿って金属板等の板部材13aをアンカー13bによってブロックに取り付けることで、開口部10の底縁12に複数個の雨水流入用スリット口12aを有する堰堤部13を形成させたものである
【0026】
この実施例2は、板部材13aを雨水通水溝11の下側傾斜面11cに沿って取り付けた例であるが、例えば、ブロックの正面1aに沿って板部材等を取り付けてもよいし、開口部10の底縁12に板部材や突起部材等を取り付けるようにしてもよい。
【実施例3】
【0027】
実施例3の歩車道境界用縁石ブロック1は、図4に示すように、不透水性層9bの上に透水性表層9aを形成させた排水性舗装の車道9に適用させるためのものである。
【0028】
この実施例3では、ブロックの正面下端部分に切欠き部7を形成し、この切欠き部7の正面及び底面を囲む区画部材7aを切欠き部7の天井面にスペーサ5を介して取り付けている。
【0029】
施工に際し、前記スペーサ5によって形成される空隙Sの下端に不透水性層9bの上面を一致させ、かつこの上に透水性表層9aを表面が開口部10の底縁12に一致するように敷設させる。
【0030】
これにより、透水性表層9aの内部に浸透した雨水を不透水性層9bで受け止め、この雨水が車道9の端側に流れて歩車道境界用縁石ブロック1に至ると、前記空隙Sから切欠き部7の内部に流入させ、この切欠き部7を通水路として集水桝等に排水させることができる。
【0031】
尚、透水性表層9aの表面を流れる雨水を、開口部10の雨水流入用スリット口12aを介して雨水通水溝11に流入させる点は前記実施例1と同様である。
【符号の説明】
【0032】
1 歩車道境界用縁石ブロック
1a 正面
10 開口部
11 雨水通水溝
12 底縁
12a 雨水流入用スリット口
13 堰堤部
9 車道
8 歩道
図1
図2
図3
図4